(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。従って、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0011】
[冷蔵庫の全体構成]
先ず、第1の実施形態に係る扉開放装置100を備えた冷蔵庫1の全体構成を説明する。
図1は、冷蔵庫1の外観を示す概略正面図である。
【0012】
図1に示すように、冷蔵庫1(収納庫の一例)は、上段に第1の冷蔵室2、中段右側に第2の冷蔵室3、下段に第1の冷凍室4、及び、中段左側に第2の冷凍室5を備えている。第1の冷蔵室2には、左右に分割された観音開きの冷蔵室扉21(21a),21(21b)(扉の一例)が設けられている。第2の冷蔵室3には、引き出し式の冷蔵室扉31が設けられている。第1の冷凍室4及び第2の冷凍室5には、それぞれ、引き出し式の冷凍室扉41,51,52が設けられている。これらの各扉は、図示しないマグネットにより閉じた状態に保持される。ここで、左右方向Xとは、冷蔵庫1を設置面に載置した状態で、冷蔵庫1を正面から視て左右の方向(上下方向Zと直交する横方向)のことをいう。なお、本明細書中では、冷蔵庫1において、各扉が設けられている面を冷蔵庫1の前面と呼び、該前面とは反対側の冷蔵庫1の面を背面と呼ぶ。また、前後方向Yは、冷蔵庫1の前面と背面との間の方向である。
【0013】
このように、冷蔵庫1は、上段部、中段部及び下段部に区分けされて、各貯蔵空間が設けられている。そして、冷蔵庫1の上段部に配設された第1の冷蔵室2には、冷蔵室扉21(21a),21(21b)が第1の冷蔵室2に上下方向Zに沿った回動軸線回りに回動自在に設けられている。
【0014】
また、冷蔵庫1の冷蔵室扉21(21a),21(21b)の前面には、それぞれ、冷蔵室扉21a,21bの自動開放を指示する開扉指示部22(22a),22(22b)が設けられている。開扉指示部22a,22bは、冷蔵庫1に設けられた制御部20の入力系に電気的に接続されており、使用者により冷蔵室扉21a,21bの開扉指示のための操作(具体的には開扉指示部22a,22bに手を近接又は接触させる操作)が行われると、冷蔵室扉21a,21bの開扉指示を示す開扉指示信号を制御部20に送信する。開扉指示部22a,22bは、この例では、静電センサとされている。それに限定されるものではなく、開扉指示部22a,22bは、従来公知の構成を適宜採用することができる。制御部20は、開扉指示部22a,22bからの開扉指示信号により扉開放装置100を作動制御して冷蔵室扉21(21a),21(21b)を自動的に開放する。
【0015】
[扉開放装置]
<第1の実施形態>
次に、第1の実施形態に係る扉開放装置100について
図1から
図5を参照しながら説明する。
【0016】
図2は、
図1に示す冷蔵庫1から冷蔵室扉21(21a),21(21b)及び扉開放装置100部分を取り出した様子を斜め上方から視た概略斜視図である。
図3は、
図2に示す扉開放装置100の上カバー100aを取り外して扉開放装置100により一方の冷蔵室扉21aが開放している様子を斜め上方から視た概略斜視図である。
図4は、第1の実施形態に係る扉開放装置100において押出部材111が待機位置Saに位置している様子を斜め下方から視た様子を示す概略斜視図である。
図5は、第1の実施形態に係る扉開放装置100において押出部材111が待機位置Saから押出方向R1に移動している様子を斜め下方から視た概略斜視図である。なお、左右の押出部材111,111を移動させる移動機構110は左右反転している以外は実質的に同じ構成であるため、
図4及び
図5並びに後述する
図6から
図10では、左側の押出部材111を移動させる移動機構110の構成部分に代表させて示している。
【0017】
扉開放装置100は、
図1に示すように、冷蔵庫本体11(具体的には第1の冷蔵室2)の上面に設けられている。扉開放装置100は、
図2及び
図3に示すように、2つの押出部材111,111を移動させることにより閉じ状態の2つの冷蔵室扉21(21a),21(21b)を押出部材111,111によりそれぞれ押し出して開放する。扉開放装置100は、押出部材111,111を移動させる移動機構110と、移動機構110を駆動する駆動装置120と、支持部材140とを備えている。
【0018】
移動機構110は、冷蔵室扉21(21a),21(21b)を押し出し可能に押出部材111,111を移動させるものである。詳しくは、移動機構110は、押出部材111,111を円周方向R,Rに移動させる構成とされている。この例では、移動機構110は、2つの回転円板112,112と、駆動伝達機構130と、位置検知部113と、2つのカム114,114とを備えている。回転円板112,112は、水平方向に沿っている。押出部材111,111は、回転円板112,112の下側の面の外周縁部において下方に突出するように設けられている。回転円板112,112は、上下方向Zに沿った回転軸線回りに回転自在に支持部材140に支持されている。駆動伝達機構130は、駆動装置120からの回転駆動力を回転円板112,112に伝達する。位置検知部113(具体的にはエンコーダ)は、押出部材111,111の待機位置Sa及び逆転位置Sbを検知する。カム114,114は、曲面形状の当接面114a,114aが移動機構110側に向くように冷蔵室扉21(21a),21(21b)の上部に設けられている。押出部材111,111は、回転円板112,112が回転してカム114,114の当接面114a,114aに摺動しつつカム114,114を押し出すことにより、冷蔵室扉21(21a),21(21b)を開放する。
【0019】
押出部材111,111は、軸方向が上下方向Zに沿った円柱状の部材(具体的にはピン)とされており、回転円板112,112の下面に固定されている。駆動装置120は、駆動部として作用する駆動モーター121を備えている。駆動モーター121は、制御部20の出力系に電気的に接続されている。
【0020】
駆動伝達機構130は、ギヤ列で構成されている。駆動伝達機構130は、駆動側ギヤ131(具体的にはウォームギヤ)と、従動側ギヤ132,132と、中間ギヤ群133とで構成されている。駆動側ギヤ131は、駆動モーター121の回転軸121aに固定されている。従動側ギヤ132,132は、回転円板112,112の外周面に設けられている。中間ギヤ群133は、第1中間ギヤ133a、第2中間ギヤ133b、第3中間ギヤ133c、第4中間ギヤ133d,133dからなっている。第1中間ギヤ133aは、駆動側ギヤ131と噛み合うと共に第2中間ギヤ133bと噛み合う。第2中間ギヤ133bは、第1中間ギヤ133aと噛み合うと共に第3中間ギヤ133cと噛み合う。第3中間ギヤ133cは、第2中間ギヤ133bと噛み合うと共に第4中間ギヤ133d,133dと噛み合う。第4中間ギヤ133d,133dは、第3中間ギヤ133cと噛み合うと共に従動側ギヤ132,132と噛み合う。これにより、駆動伝達機構130を介して駆動モーター121からの回転駆動力を回転円板112,112に伝達することができる。また、回転円板112,112は、駆動モーター121の回転により駆動伝達機構130を介して互いに連動して同方向に回転する。
【0021】
位置検知部113は、回転円板112の被検知片(図示省略)を検知する。位置検知部113は、制御部20の入力系に電気的に接続されており、押出部材111,111の待機位置Saを示す待機位置信号及び押出部材111,111の逆転位置Sb,Sbを示す逆転位置信号を制御部20に送信する。制御部20は、位置検知部113からの待機位置信号を検出して駆動モーター121による押出部材111,111の待機位置Saでの停止動作、回転円板112,112の押出方向R1,R1の回転動作を制御する。また、制御部20は、位置検知部113からの逆転位置信号を検出して駆動モーター121による押出部材111,111の逆転位置Sb,Sbでの逆転動作、回転円板112,112の押出方向R1,R1とは逆転方向R2,R2の回転動作を制御する。
【0022】
支持部材140は、扉開放装置100の筐体15を構成している。筐体15の前端には、押出部材111,111が出入りする開口151,151(
図4、
図5参照)が設けられている。また、筐体15には、開口151,151に連通して押出部材111,111の円周方向R,Rに沿った移動を許容する貫通長孔15a(この例では円弧状のスリット孔)(
図4、
図5参照)が設けられている。制御部20は、押出部材111,111を待機位置Saで停止させる。ここで、待機位置Saとしては、開口151,151よりも内側(筐体15内)の位置と、開口151,151よりも外側(筐体15の外側)の位置とを例示できる。この例では、待機位置Saは、開口151,151よりも外側の位置とされている。
【0023】
制御部20は、右側の冷蔵室扉21bを開放するときには、駆動モーター121を作動制御することにより右側の回転円板112を右側の押出部材111の待機位置Saから押出方向R1に逆転位置Sbまで回転して押出部材111を移動させる。そうすると、押出部材111は、右側のカム114に摺動しつつカム114を押し出して右側の冷蔵室扉21bを開放する。そして、制御部20は、右側の回転円板112を逆転位置Sbで逆転方向R2に逆回転させて待機位置Saで停止させる。そうすると、右側の押出部材111は、待機位置Saに戻る。このとき、左側の回転円板112は、右側の回転円板112と同方向に回転するので、左側の押出部材111は、待機位置Saから左側の開口151に引き込まれた後、待機位置Saに戻る。すなわち、左側の押出部材111は、右側の押出部材111が右側のカム114を押し出すときに左側の開口151に引き込まれる。従って、左側の押出部材111は、左側のカム114には当接せず、左側の冷蔵室扉21aを開放しない。左側の冷蔵室扉21aの開扉動作についても左右を入れ替えるだけで右側の冷蔵室扉21bの開扉動作と同様であり、ここでは説明を省略する。制御部20は、左側の開扉指示部22aからの開扉指示信号が送られてくると、左側の冷蔵室扉21aに対する一連の開扉動作を開始し、右側の開扉指示部22bからの開扉指示信号が送られてくると、右側の冷蔵室扉21bに対する一連の開扉動作を開始する。
【0024】
ここで、2つの押出部材111,111及び開口151,151は、実質的に同じ機能のものであるので、以下、一方(ここでは左側)の押出部材111及び開口151に代表させて説明する。
【0025】
ところで、扉開放装置100では、押出部材111が引き込まれる開口151と開口151から外側に出ているときの押出部材111との間において、押出部材111の引き込み経路内に人の手の指等の侵入物(図示せず)が侵入すると、押出部材111が開口151に引き込まれるときに開口151と押出部材111との間に侵入物が挟み込まれるという不都合が発生することがある。ここで、押出部材111の引き込み経路は、押出部材111が開口151に引き込まれるときの押出部材111全体の移動軌跡とすることができる。
【0026】
この点、本実施の形態では、扉開放装置100は、押出部材111が引き込まれる開口151と開口151から外側に出ているときの押出部材111との間に、押出部材111が開口151に引き込まれるときの開口151と押出部材111との間の侵入物の挟み込みを防止するための挟み込み防止部材160が設けられている。
【0027】
本実施の形態によれば、押出部材111が引き込まれる開口151と開口151から外側に出ているときの押出部材111との間に挟み込み防止部材160が設けられるので、たとえ押出部材111の引き込み経路内に人の手の指等の侵入物が侵入したとしても、押出部材111が開口151に引き込まれるときに挟み込み防止部材160により開口151と押出部材111との間に侵入物が挟み込まれることを効果的に防止することができる。
【0028】
本実施の形態において、挟み込み防止部材160は、傾斜部材161を含んでいる。傾斜部材161は、高さh1(
図4参照)が開口151から遠ざかるほど低くなるように傾斜している。こうすることで、たとえ押出部材111の引き込み経路内に侵入物が侵入したとしても、押出部材111が開口151に引き込まれるときに侵入物を傾斜部材161の傾斜頂面161aに沿って引き込み経路よりも高さ方向における外側に排出させることができ、これにより、侵入物の挟み込みを確実に防止することができる。傾斜頂面161aは、この例では平面形状であるが、凸状又は凹状の曲面形状であっても良い。
【0029】
傾斜部材161は、押出部材111の引き込み経路の両外側のうち少なくとも一方側(この例では両外側)に形成されている。傾斜部材161は、押出部材111の引き込み経路(この例では円周方向R)に沿って形成されている。傾斜部材161は、図示を省略したが、開口151の周縁部に(この例では後述するカバー部材162を除去して)一体的に又は接触若しく近接して設けられていても良い。傾斜部材161が開口151の周縁部に近接して(接触しないで)設けられる場合、例えば、傾斜部材161と開口151の周縁部との間の距離は指等の侵入物が入らない程度の距離(例えば3mm程度以下)とすることができる。これにより、傾斜部材161と開口151との間に指等の侵入物が確実に入らないようにすることができる。
【0030】
ところで、冷蔵室扉21に対する開扉の指示から押出部材111が冷蔵室扉21を押し出すまでの時間を短縮するという観点から、扉開放装置100は、押出部材111の待機位置Saが開口151よりも外側に位置している状態(
図4に示す状態)において、押出部材111が待機位置Saから押出方向R1に移動するだけでなく、逆転方向R2に移動して待機位置Saから開口151に引き込まれる構成である場合には、待機位置Saから開口151に引き込まれるときに開口151と押出部材111との間に侵入物が挟み込まれることがある。特に、本実施の形態のように一方の扉側の押出部材111が扉を開放するときに、他方の扉側の押出部材111は開口151に引き込まれる構成としている場合は、他方の扉が既に開放しているときに一方の扉を開扉動作させると、他方の扉側の押出部材111が露出した状態で開口151に引き込まれるため、使用者の手指などの侵入物を挟み込むおそれがある。
【0031】
この点、本実施の形態において、挟み込み防止部材160は、カバー部材162(この例ではトンネル状のカバー部材)を含んでいる。カバー部材162は、押出部材111の引き込み経路の少なくとも一部(全体又は一部分)を覆うように形成されている。こうすることで、押出部材111が待機位置Saから開口151に引き込まれるときに開口151と押出部材111との間に指等の侵入物が入らないようにすることができ、これにより、侵入物の挟み込みを確実に防止することができる。
【0032】
カバー部材162は、押出部材111の引き込み経路に沿って形成されている。カバー部材162は、開口151の周縁部に一体的に又は接触若しく近接して(この例では一体的に)設けられる。図示を省略したが、カバー部材162が開口151の周縁部に近接して(接触しないで)設けられる場合、例えば、カバー部材162と開口151の周縁部との間の距離は指等の侵入物が入らない程度の距離(例えば3mm程度以下)とすることができる。これにより、カバー部材162と開口151との間に指等の侵入物が確実に入らないようにすることができる。また、傾斜部材161は、カバー部材162の開口151とは反対側の端部に一体的に又は接触若しく近接して(この例では一体的に)設けられる。図示を省略したが、傾斜部材161がカバー部材162の開口151とは反対側の端部に近接して(接触しないで)設けられる場合、例えば、傾斜部材161とカバー部材162との間の距離は指等の侵入物が入らない程度の距離(例えば3mm程度以下)とすることができる。これにより、傾斜部材161とカバー部材162との間に指等の侵入物が確実に入らないようにすることができる。
【0033】
ここで、傾斜部材161及び/又はカバー部材162は、押出部材111が開口151に引き込まれるときの押出部材111から侵入物を保護する保護部材16として作用する。従って、本実施の形態では、保護部材16により押出部材111が開口151に引き込まれるときの押出部材111から侵入物を確実に保護することができる。
【0034】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係る扉開放装置100について
図6及び
図7を参照しながら説明する。
【0035】
図6及び
図7は、第2の実施形態に係る扉開放装置100におけるカバー部材162の変形例を斜め下方から視た様子を示す概略斜視図である。
【0036】
図6に示すように、第2の実施形態に係る扉開放装置100において、カバー部材162は、重力方向の下方側を開放した開放部162aを有している。こうすることで、たとえカバー部材162内にゴミ等の異物が入り込んだとしても異物を開放部162aから確実に下方に落下させることができる。このことは、カム114との摺動性を向上させるという観点から押出部材111にグリス等の潤滑剤を塗布した場合に、ゴミ等の異物の押出部材111への付着を抑制することができ、特に有効である。しかも、カバー部材162を形成する材料の量を減らすことができ、それだけコストを低く抑えることができる。
【0037】
開放部162aは、押出部材111の引き込み経路に沿って形成されている。開放部162aは、
図6に示すように、全体的に開放していても良いし、幅d1が指等の侵入物が入らない程度の距離(例えば3mm程度以下)となるように開放していても良い。こうすることで、開放部162aに指等の侵入物が確実に入らないようにすることができる。
【0038】
ところで、カバー部材162に開放部162aが設けられている場合、開放部162aの幅d1によっては、開放部162aに指等の侵入物が入る可能性がある。この点、
図7に示すように、第2の実施形態に係る扉開放装置100において、カバー部材162には、開放部162aの少なくとも一部を(全体又は一部分、この例では後述する貫通孔162cを除いた全体)を閉塞する閉塞部162bが設けられている。こうすることで、閉塞部162b部分で指等の侵入物が入らないようにすることができる。
【0039】
ところで、カバー部材162に閉塞部162bが設けられていると、閉塞部162bにゴミ等の異物が溜まり易い。この点、本実施の形態において、閉塞部162bには、貫通孔162cが設けられている。こうすることで、閉塞部162bにゴミ等の異物が落下したとしても異物を貫通孔162cから下方に落下させることができる。
【0040】
貫通孔162cは、1つ又は複数のものであっても良い。貫通孔162cは、円形状、楕円形状、多角形状のものであっても良いし、長尺形状のものであっても良い。貫通孔162cが長尺形状である場合、押出部材111の引き込み経路に沿うように形成される。こうすることで、ゴミ等の異物を押出部材111の引き込み経路に沿って確実に落下させることができる。この例では、貫通孔162cの形状は、押出部材111の引き込み経路の方向(具体的には円周方向R)に沿って延び、かつ、幅方向n(具体的には径方向)に複数並設されたスリット形状とされている。
【0041】
なお、図示を省略したが、貫通孔162cに代えて或いは加えて閉塞部162bの内面を押出部材111の引き込み経路の方向における開口151とは反対側(押出方向R1)に行くほど重力方向の下方側に向けて傾斜させるようにしても良い。こうすることで、閉塞部162bにゴミ等の異物が落下したとしても異物を傾斜面(図示せず)に沿って転がして下方に確実に排出させることができる。
【0042】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態に係る扉開放装置100について
図8から
図10を参照しながら説明する。
【0043】
図8は、第3の実施形態に係る扉開放装置100における移動部材163部分を斜め下方から視た様子を示す概略斜視図である。
【0044】
第3の実施形態に係る扉開放装置100において、挟み込み防止部材160は、移動部材163(具体的にはレール状の長尺部材)を含んでいる。移動部材163は、押出部材111の引き込み経路の少なくとも一部(全体又は一部分)に形成されている。また、移動部材163は、押出部材111の移動と共に(一体となって)移動する。こうすることで、押出部材111の引き込み経路において開口151から外側に出ているときの押出部材111と開口151との間の空間の少なくとも一部(全体又は一部分)を埋めることができる。或いは、挟み込み防止部材160が傾斜部材161及び/又はカバー部材162(以下、単に、保護部材16ということがある。)を含む場合に押出部材111の引き込み経路において保護部材16から外側に出ているときの押出部材111と保護部材16との間の空間の少なくとも一部(全体又は一部分)を埋めることができる。これにより、押出部材111と開口151又は保護部材16との間での侵入物の挟み込み効果的に防止することができる。ここで、移動部材163の少なくとも押出部材111側の端部の高さh2は、押出部材111の高さ以上とすることが好ましい。また、移動部材163の少なくとも押出部材111側の端部の幅d2は、押出部材111の幅(幅方向におけるサイズ)以上とすることが好ましい。この例では、移動部材163は、押出部材111の引き込み経路に沿って円弧状に形成されており、開口151に挿通される。移動部材163は、回転円板112の下側の面の外周縁部に押出部材111の引き込み経路の方向(この例では円周方向R)に沿って固定されている。
【0045】
移動部材163は、押出部材111の側面に一体的に又は接触若しく近接して(この例では近接して)設けられる。移動部材163が押出部材111の側面に近接して(接触しないで)設けられる場合、例えば、移動部材163と押出部材111の側面との間の距離は指等の侵入物が入らない程度の距離(例えば3mm程度以下)とすることができる。これにより、移動部材163と押出部材111との間に指等の侵入物が確実に入らないようにすることができる。
【0046】
図9及び
図10は、第3の実施形態に係る扉開放装置100における移動部材163の変形例を斜め下方から視た様子を示す概略斜視図である。
【0047】
ところで、移動部材163の引き込み経路内に侵入物が侵入すると、移動部材163が開口151に引き込まれるときに開口151と移動部材163との間に侵入物が挟み込まれる可能性がある。このことは、押出部材111を移動させたときに移動部材163の引き込み側の端部163aが開口151から外側に出る構成とされている場合に特に顕著となる。或いは、挟み込み防止部材160が保護部材16(傾斜部材161及び/又はカバー部材162)を含む場合、移動部材163の引き込み経路内に侵入物が侵入すると、移動部材163が保護部材16に引き込まれるときに保護部材16と移動部材163との間に侵入物が挟み込まれる可能性がある。このことは、押出部材111を移動させたときに移動部材163の引き込み側の端部163aが保護部材16から外側に出る構成とされている場合に特に顕著となる。ここで、移動部材163の引き込み経路は、移動部材163が開口151又は保護部材16に引き込まれるときの移動部材163全体の移動軌跡とすることができる。
【0048】
この点、第3の実施形態に係る扉開放装置100では、
図9に示すように、移動部材163は、移動部材163の全体又は引き込み側の一部(この例では引き込み側の一部)の高さh3が移動部材163の引き込み側とは反対側(この例では押出方向R1)に行くほど高くなっている。こうすることで、たとえ移動部材163の引き込み経路内に侵入物が侵入したとしても、移動部材163が開口151又は保護部材16に引き込まれるときに侵入物を移動部材163の引き込み側とは反対側に行くほど高さh3が高くなった傾斜頂面163bに沿って移動部材163の引き込み経路よりも高さ方向における外側に排出させることができ、これにより、侵入物の挟み込みを確実に防止することができる。このことは、押出部材111を移動させたときに移動部材163の引き込み側の端部163aが開口151又は保護部材16から外側に出る構成とされている場合に特に有効となる。しかも、移動部材163を形成する材料の量を減らすことができ、それだけコストを低く抑えることができる。傾斜頂面163bは、この例では平面形状であるが、凸状又は凹状の曲面形状であっても良い。
【0049】
第3の実施形態に係る扉開放装置100では、かかる構成に代えて或いは加えて、保護部材16は、傾斜部材161を備えていることが好ましい。こうすることで、たとえ移動部材163の引き込み経路内に侵入物が侵入したとしても、移動部材163が保護部材16に引き込まれるときに侵入物を傾斜部材161の傾斜頂面161aに沿って移動部材163の引き込み経路よりも高さ方向における外側に排出させることができ、これにより、侵入物の挟み込みを確実に防止することができる。
【0050】
また、押出部材111を移動させたときに移動部材163の引き込み側の端部163aが開口151又は保護部材16から外側に出る構成とされている場合、押出部材111を移動させたときの移動部材163の引き込み側の端部163aと開口151又は保護部材16との間の距離は指等の侵入物が入らない程度の距離(例えば3mm程度以下)とすることができる。これにより、移動部材163の引き込み側の端部163aと開口151又は保護部材16との間に指等の侵入物が確実に入らないようにすることができる。
【0051】
なお、保護部材16はあっても良いが、押出部材111を最大に移動させたときに移動部材163の引き込み側の端部163aが開口151内に位置している構成とされている場合には、保護部材16はなくても良い。また、保護部材16がある場合、傾斜部材161はあっても良いが、押出部材111を最大に移動させたときに移動部材163の引き込み側の端部163aが保護部材16内に位置している構成とされている場合には、傾斜部材161はなくても良い。
【0052】
本実施の形態において、
図10に示すように、移動部材163は、移動部材163の全体又は引き込み側の一部(この例では全体)の幅d3が移動部材163の引き込み側とは反対側(この例では押出方向R1)に行くほど大きくなっている。こうすることで、たとえ移動部材163の引き込み経路内に侵入物が侵入したとしても、移動部材163が開口151又は保護部材16に引き込まれるときに侵入物を移動部材163の引き込み側とは反対側に行くほど幅d3が大きくなっている傾斜側面163d,163dに沿って移動部材163の引き込み経路よりも幅方向における外側に排出させることができ、これにより、侵入物の挟み込みを確実に防止することができる。このことは、押出部材111を移動させたときに移動部材163の引き込み側の端部163aが開口151又は保護部材16から外側に出る構成とされている場合に特に有効となる。しかも、移動部材163を形成する材料の量を減らすことができ、それだけコストを低く抑えることができる。傾斜側面163d,163dは、この例では平面形状であるが、凸状又は凹状の曲面形状であっても良い。
【0053】
ところで、人は移動部材163を触れるにしても、通常は、前面側から触れることが考えられる。かかる観点から、移動部材163は、幅d3における両傾斜側面163d,163dのうち少なくとも前面側の傾斜側面163dが傾斜していても良い。
【0054】
この例では、移動部材163は、幅d3が引き込み側に行くほど小さく、かつ、押出部材111の軸方向における基端側に行くほど小さくなっている。こうすることで、侵入物を傾斜側面163d,163dに沿って移動部材163の引き込み経路よりも幅方向における外側にさらに排出させ易くすることができ、これにより、侵入物の挟み込みをさらに確実に防止することができる。
【0055】
<その他の実施形態>
本実施の形態に係る扉開放装置100は、押出部材111を円周方向Rに移動させるように構成したものであるが、直線方向に移動させるように構成したものであっても良い。また、本実施の形態に係る扉開放装置100は、回動する扉を開放するものであるが、直線方向にスライドする扉を開放するものであっても良い。
【0056】
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、かかる実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0057】
なお、この出願は、日本で2017年7月19日に出願された特願2017−139914号に基づく優先権を請求する。その内容はこれに言及することにより、本出願に組み込まれるものである。また、本明細書に引用された文献は、これに言及することにより、その全部が具体的に組み込まれるものである。