(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に説明される
図1から
図6、および、この特許文献において本発明の原理を説明するために使用される種々の実施形態は、単に例示としてものであり、そして、いかなる方法においても本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。当業者であれば、本発明の原理が、任意のタイプの好適に構成された装置またはシステムにおいて実施され得ることを理解するだろう。
【0011】
固体レーザ(solid-state laser)は自己位相変調の対象になり、それは、レーザパルスのコヒーレンス時間を低減し、結果として望ましくないスペクトル拡がり(spectral broadening)を生じる。短いコヒーレンス時間はコヒーレント検出(coherent-detection)LADARを特に妨害し、そして、広いスペクトルはスペクトル選択性を一般に低下させる。従って、自己位相変調は、固体レーザにおいて達成可能なピークパワーを実効的に制限し、その結果、これらのレーザは、LADARまたは他のリモートセンシングアプリケーションについて使用できないことがあり得る。
【0012】
固体レーザにおける自己位相変調の軽減に対する直接的なアプローチは、レーザ媒体の中で光ビーム断面積(optical beam cross-sectional area)を最大にすることであった。ビーム面積が増加するにつれて、所与のパルスパワー(pulse power)に対する光強度が低くなる。次に、より低い光強度は、自己位相変調が入り込むパルスパワーを比例的に上昇させる。ファイバレーザにおいて、このアプローチは、ますます大きなガイドコアのファイバを使用することを必要とする。しかしながら、レーザ媒体におけるビームサイズは任意のものではないが、ビーム品質の最大化を含むいくつかの同時発生する制約を満足する必要がある。ビームサイズを増加させることは、空間ビーム品質(spatial beam quality)の損失及び/又は効率の損失を導き得る。ファイバレーザにおいては、コアがより大きくなるにつれて、単一横モード動作(single-transverse mode operation)を確保することが、より難しくなる。大コアのファイバ(large-core fibers)における高次横モードの残留ガイダンス(residual guidance)は、そうしたファイバを周囲からの熱−機械的な摂動に対してより敏感にし(すなわち、頑丈さがより少ない)、そして、空間ビーム品質および指向(pointing)を潜在的に劣化させ、従って、LADARアプリケーションといった、特定の用途におけるより高いパルスパワーの利点を相殺している。
【0013】
自己位相変調の軽減に対する別のアプローチは、自己位相変調によって引き起こされる位相シフトが、時間に関してパルス振幅の導関数に比例するという事実に依存している。パルス中の光位相をカウンタシフト(counter-shift)するために、従って、光位相変調器を使用することができ、そうして、自己位相変調が入り込む際に、パルスの最中の正味の位相変動(net phase variation)が最小化される。このアプローチは、各レーザ出力パルスの時間プロファイルを検出すること、および、補正信号(correction signal)を抽出するためにこのデータを使用することを必要とする。補正信号は、連続するパルスが自己位相変調フリーであることを確実にするために、位相変調器が、次いで、使用するものである(すなわち、フィードフォワード能動ループ)。
【0014】
しかしながら、ピークパワーが増加するにつれて、自己位相変調はより速くなり、そして、従って、複雑性およびこのフィードフォワードループを駆動するために必要とされる信号帯域幅が、急速に管理不可能になり得る。加えて、LADARシステムは、しばしば、LADARシステムが配備されるプラットフォームについて、厳しいサイズ、重量、および電力(SWaP)の制約を有している。結果として、大コアのファイバのためのフィードフォワードループを実施するために使用される、だんだんと複雑なコンポーネントに関連する追加的なSWaPの要求は、多くのアプリケーションについて、このアプローチを使用できないものにしてしまうことがある。
【0015】
図1は、本開示に従って、低減された自己位相変調を有するコヒーレントなレーザ出力信号102を生成するためのレーザ送信器100を示している。
図1に示されるレーザ送信器100の実施形態は、単なる例示のためのものである。レーザ送信器100の他の実施形態が、本開示の範囲から逸脱することなく、使用され得るだろう。
【0016】
図1に示すように、レーザ送信器100は、主発振器出力増幅器(master oscillator/power amplifier、MOPA)コンフィグレーションの中に実装されている。この実施形態について、レーザ送信器100は、シード信号発生器104、電気光学振幅変調器106、および電力増幅器(PA)108を含んでいる。この実施例におけるシード信号発生器104は、ドライバ110、主発振器(master oscillator、MO)112、およびプリアンプ(preamplifier)114を含んでいる。
【0017】
ドライバ110は、主発振器112を駆動および制御するように構成されている。主発振器112は、ドライバ110からの入力に基づいて出力信号を生成するように構成されている。従って、主発振器112の出力波形は、ドライバ110から受信した入力に基づいて決定され得る。例えば、主発振器112の出力は、連続波形を含み得る。主発振器112の出力は、プリアンプ114に対して提供される。プリアンプは、シード信号116を生成するために、その出力を増幅するように構成されている。
【0018】
ドライバ110は、シード信号発生器104の出力を駆動し、かつ、制御するための任意の適切な構造を含んでよい。主発振器112は、連続波、単一周波数ダイオードレーザといった、連続波光信号(continuous-wave optical signal)を生成するための任意の適切な構造を含んでいる。プリアンプは、光信号を増幅するための任意の適切な構造を含んでいる。
【0019】
振幅変調器106は、シード信号発生器104からシード信号116を受信し、そして、シード信号116に基づいてフラットトップパルス信号118を生成するように構成されている。ここにおいて使用されるように、「フラットトップパルス(”flat-top pulse”)」は、以下の
図3Cにおいて説明される実施例といった、フラットトップな時間プロファイルを有しているパルスを意味する。従って、フラットトップパルスは、パルスの既定部分(predefined portion)の最中には振幅変化がない時間プロファイルを有しているパルスであり、既定部分は、レーザ送信器100が実装されるアプリケーションに基づいて決定されている。例えば、特定の実施形態について、既定部分は、パルスの90%より大きくてよい。他の実施形態について、既定部分は、パルスの99%より大きくてよい。いくつかの実施形態について、振幅変調器106は、チョッパ(chopper)として動作することによって、フラットトップパルス信号118を生成するように構成されてよく、フラットトップパルス信号を生成するために、交互に、シード信号116の光をブロックし、そして、規則的な間隔で光を通過させている。
【0020】
振幅変調器106は、ニオブ酸リチウム(lithium-niobate)、ファイバ結合(fiber-coupled)マッハ−ツェンダ変調器(Mach-Zehnder modulator、MZM)といった、シード信号116の振幅を変調するための任意の適切な構造を含んでいる。例えば、市販されているMZMは、上昇/下降時間(rise/fall times)が100ピコ秒より小さいパルスを生成することができる。多くのコヒーレントなLADARアプリケーションにおいて使用されるパルスは、例えば、典型的に数ナノ秒の長さなので、MZM生成パルスは、それらの持続時間の90%以上にわたりフラットであり得る。自己位相変調によって生じる光位相変動が時間に関するパルス形状関数の導関数に比例するので、パルスパワーにかかわらず、パルスのフラット部分の最中には位相シフトが存在しない。位相シフトは、次いで、パルスの立ち上がり及び立ち下がりエッジに限定され、それは全パルスエネルギーのほんの一部を含むだけである。
【0021】
電力増幅器108は、フラットトップパルス信号118を増幅することによって、振幅変調器106から受信したフラットトップパルス信号118に基づいて、コヒーレントなレーザ出力信号102を生成するように構成されている。従って、レーザ出力信号102は、フラットトップパルス信号118に比べて、より高い振幅のパルスを有する。電力増幅器108は、光信号を増幅するための任意の適切な構造を含んでいる。例を挙げるだけでも、通常の希土類ドープ(rare-earth doped)ファイバ、セミガイド高アスペクト比コア(semi-guiding high-aspect-ratio core、SHARC)ファイバまたは微細構造ファイバといった特殊ファイバ、希土類ドープ平面導波路(planar waveguide、PWG)、または、希土類ドープバルク(非導波(non-wave-guided))結晶、といったものである。電力増幅器108は、興味ある特定のアプリケーションに従った、ピークパワーおよびアベレージパワーを生成するための能力を有している。特定の例として、電力増幅器108は、ファイバ増幅器を使用して実装することができ、高効率、良好なビーム品質、および所望のSWaP特性を有している。
【0022】
自己位相変調に関連する位相シフトは、レーザ送信器100によって生成されたパルスの振幅プロファイルを模倣(mimic)するので、振幅変化が存在しないため、フラットトップパルスのフラットトップ部分の最中に位相シフトが生じない。従って、レーザ送信器100によって生成されるパルスは、非常に速い立ち上がり及び立ち下がり時間を示し、パルス持続時間の大部分の最中にパルスプロファイルがフラットに保たれているので、レーザ送信器100によって生成されるレーザ出力信号102は、最小の自己位相変調を含んでいる。従って、ファイバレーザによって生成されるパルスのパワーは、自己位相変調によって引き起こされるコヒーレンス劣化を受けることなく、著しくスケールアップされ得る。従って、コヒーレントなLADARおよび他の適切なアプリケーションのための光送信器において使用されるファイバの能力を改善している。
【0023】
このようにして、LADARおよび他のアプリケーションのためのファイバ技術(例えば、良好なビーム品質および頑丈さ)の利点は、位相検出および補正を含む大コアのファイバまたは広帯域フィードフォワード/フィードバックループを要求することなく維持され得る。しかしながら、レーザ送信器100は、また、他のアプローチとも適合可能である。例えば、望むのであれば、レーザ送信器100は、コヒーレンスの劣化を伴わずにファイバ−レーザパルスパワーをさらにスケールアップするために、大コアのファイバ及び/又は上述の位相補正スキーム(phase-correction schemes)と組み合わせて使用することができる。
【0024】
図1は、レーザ送信器100の一つの例を示しており、
図1の実施形態に対しては種々の変更が成され得る。例えば、レーザ送信器100の様々なコンポーネントは、組み合わされ、さらに細分され、移動させ、または、省略されてよく、そして、特定のニーズに応じて、追加的なコンポーネントが追加されてよい。具体的な例として、プリアンプ114は、単一のプリアンプとは対照的に、1つまたはそれ以上のプリアンプを表すことができる。加えて、振幅変調器106は、複数の振幅変調器を表し、そして、電力増幅器108は、
図2の実施形態と同様に、複数の電力増幅器を表すことができる。
【0025】
図2は、本開示の別の実施形態に従って、低減された自己位相変調を有するコヒーレントなレーザ出力信号202を生成するためのレーザ送信器200を示している。
図2に示されるレーザ送信器200の実施形態は、単なる例示のためのものである。本開示の範囲から逸脱することなく、レーザ送信器200の他の実施形態を使用することができる。
【0026】
図示された実施形態について、レーザ送信器200は、シード信号発生器204、複数の電気光学(electro-optic)振幅変調器(amplitude modulator、AM)206、および、複数の電力増幅器(power amplifier、PA)208を含んでいる。シード信号発生器204は、連続波形を有するシード信号216を生成するように構成されている。いくつかの実施形態について、シード信号発生器204は、シード信号発生器104に対応し得る。従って、シード信号発生器204は、ドライバ、主発振器、および、シード信号216として増幅された連続波光信号を生成するように構成されたプリアンプを含み得る。
【0027】
この実施形態について、パルスの消滅(extinction)を生成し、そして、最終レーザ出力信号202においてパルスのコントラストをより高くするために、複数の振幅変調器206が相互に同期して使用され得る。第1振幅変調器206
1は、シード信号発生器204からシード信号216を受信し、そして、シード信号216に基づいて第1フラットトップパルス信号218
1を生成するように構成されている。第1電力増幅器208
1は、第1フラットトップパルス信号218
1を受信し、そして、第1フラットトップパルス信号218
1に基づいて第1増幅信号(amplified signal)220
1を生成するように構成されている。
【0028】
同様に、それぞれ後続の振幅変調器206
2-nは、先行の電力増幅器208から増幅信号220を受信し、そして、増幅信号220に基づいてフラットトップパルス信号218を生成するように構成されている。同様に、それぞれ後続の電力増幅器208
2-n(最終の出力電力増幅器208
o/pを除いて)は、先行の振幅変調器206からフラットトップパルス信号218を受信し、そして、フラットトップパルス信号218に基づいて増幅信号220を生成するように構成されている。出力電力増幅器208
o/pは、電力増幅器208
nから増幅信号220
nを受信し、そして、増幅信号220
nに基づいてレーザ出力信号202を生成するように構成されている。
【0029】
振幅変調器206
1-nは、それぞれ振幅変調器106に対応し得る。例えば、いくつかの実施形態について、振幅変調器206
1-nは、それぞれ、リチウムニオブ酸塩、ファイバ結合MZM、といった、入力信号の振幅を変調するための任意の適切な構造をそれぞれ含み得る。加えて、電力増幅器208
1-nおよび出力電力増幅器208
o/pは、電力増幅器108に対応し得る。例えば、いくつかの実施形態について、電力増幅器208
1-nおよび208
o/pは、通常の希土類ドープファイバ、SHARCファイバまたはマイクロ構造ファイバといった特殊ファイバ、希土類ドープPWG、希土類ドープバルク(非導波)結晶、または他の適切な増幅器といった、光信号を増幅するための任意の適切な構造をそれぞれ含み得る。
【0030】
図2は、レーザ送信器200の一つの例を示しているが、
図2の実施形態に対して種々の変更が成され得る。例えば、レーザ送信器200の様々なコンポーネントは、組み合わされ、さらに細分され、移動させ、または、省略されてよく、そして、特定のニーズに応じて、追加的なコンポーネントが追加されてよい。具体的な例として、最終電力増幅器208
o/pが省略されてよく、そして、n番目の電力増幅器208
nによって生成された増幅信号220
nは、レーザ出力信号202に対応し得る。加えてに、nは、2より大きいか又は等しい任意の適切な整数であり得る。
【0031】
図3A−
図3Fは、本開示に従って、レーザパルスおよび干渉項(interference term)のグラフを示している。
図3A−
図3Fに示されるグラフ300、320、340、360、365、および380は、単なる例示のためのものである。
【0032】
レーザ増幅器における光場(optical field)は、以下のように表わされ得る。
【数1】
ここで、zはレーザ媒体に沿った位置であり、gは光学利得(optical gain)であり、Aは入力ピーク振幅でり、fは正規化されたパルスパワープロファイルであり、tは時間であり、kは伝搬定数(propagation constant)であり、ωは搬送波周波数であり、そして、φは光学位相である。加えて、光学位相は、以下のように定義され得る。
【数2】
ここで、φ
0は静的項であり、そして、φ
NLは自己位相変調量に対応する非線形項であって、以下のように表わされ得る。
【数3】
ここで、
【数4】
であり、かつ、ここで、n
2は非線形屈折率係数であり、λは波長であり、Lは増幅器の長さであり、そして、I(z)はパルスピークにおける光強度である。
【0033】
図3Aは、(変動するパルスピークパワーに対応している)変動するB値を伴うガウス振幅プロファイル(Gaussian amplitude profile)を有するパルスに対応するパルスプロファイルのグラフ300である。同じグラフ300において、各B値に対応する位相シフトの時間プロファイルも、また、プロットされている(右縦軸)。
図3Bは、グラフ300に示された変動するB値を有するレーザパルスと、連続波単一周波数信号との間の干渉項のグラフ320である(「局部発振器(”local oscillator”)」として参照されるもの)。全体的な干渉関数は、以下のように表現され得る。
【数5】
ここで、c
LOは局部発振器定電力(パルスピークパワーに対して正規化されたもの)であり、そして、
【数6】
は、干渉項である。
cos[φ
0+φ
NL(t)]=1 は、建設的(constructive)干渉であり、
cos[φ
0+φ
NL(t)]=−1 は、破壊的(destructive)干渉であり、
cos[φ
0+φ
NL(t)]=0 は、インコヒーレント和(incoherent sum)である。
従って、グラフ300および320に示されるように、ガウスパルスに対して、自己位相変調効果がパルス全体を通じて存在しており、パルスのコヒーレンス時間を減少させる。このことは、スペクトル拡がりを結果として生じる。一般的に、スペクトル選択性を低減し、そして、固体レーザにおいて達成可能なピークパワーを制限するものである。
【0034】
図3Cは、フラットトップパルス信号116、216に対応するパルスプロファイルのグラフ340である。この特定の実施形態について、パルスの立ち上がり時間は約100ピコ秒であり、立ち下がり時間は約100ピコ秒であって、そして、振幅変化がないフラットトップ部分は、約1ナノ秒である。
図3Dは、種々のB値についてグラフ340に示されるパルスに対する自己位相変調コヒーレンス劣化に対応する干渉項のグラフ360である。従って、グラフ360に示されるように、干渉項は、グラフ340における対応するパルスのフラット部分の最中に、平坦である。自己位相変調は、パルスの立ち上がりおよび立ち下がりエッジに限定されるので、
図3Eは、様々なB値に対応する干渉をより明確に示すために、グラフ360に示される立ち上がりエッジの干渉に係る拡大図を示すグラフ365である。
【0035】
最終的に、図示された実施形態について、
図3Fは、種々のB値に対してグラフ300および340に示されるパルスについて正規化された干渉信号を示すグラフ380である。干渉信号は、時間に関して干渉項を積分することによって獲得され、そして、多くの実施形態で、典型的なコヒーレントLADARアプリケーションにおいて検出される信号を表わしている。上側ライン382は最大コヒーレンスを示し、一方で、ゼロライン384はインコヒーレント和を示している。従って、グラフ300のガウスパルスについて、ガウスコヒーレンスライン386は、B値の増加に関連して低下するコヒーレンスを示している。グラフ340のフラットトップパルスについて、フラットトップコヒーレンスライン388は、(ガウスコヒーレンスライン386と比較して)はるかに高く、そして、より一貫性のあるコヒーレンスを示しており、それはB値の増加に伴ってわずかに低下するだけである。従って、グラフ380に示されるように、フラットトップパルス信号116、216は、ガウスパルス波形でもっとより大きい程度で発生する自己位相変調によるコヒーレンスの劣化を著しく最小化する。
【0036】
図4は、この開示に従ったレーザ送信器404を含むセンサ402を含んでいるLADARシステム400を示している。
図4に示されるLADARシステム400の実施形態は、レーザ送信器404を実装しているアプリケーションの一つの例としてだけ例示するものである。レーザ送信器404を含むLADARシステム400の他の実施形態は、この開示の範囲から逸脱することなく使用され得るだろう。いくつかの実施態様について、レーザ送信器404は、レーザ送信器100または200に対応し得る。
【0037】
フラットトップパルス波形を有するレーザ出力信号は、レーザ送信器404からポインタ/スキャン(pointer/scan)ユニット406へ提供され、出力レーザビームを所望の方向に向けることができる。例えば、ポインタ/スキャンユニット406は、航空機、車両、自転車乗り、歩行者、または、他の興味あるターゲット/オブジェクトを識別するために、ビームを用いて所与の領域をスウィープ(sweep)することができる。例えば、特定の実施形態について、LADARシステム400は、兵器システムの一部として実装されてよく、そして、ポインタ/スキャンユニット406は、破壊の対象となるオブジェクトを識別することができるだろう。別の特定の実施形態について、LADARシステム400は、自走車両(self-driving vehicle)に実装されてよく、そして、ポインタ/スキャンユニット406は、車両の操縦(maneuvering)を支援するために道路内のオブジェクトを識別することができるだろう。送信器電子機器および電源ユニット408は、出力レーザビームの発生および操作(steering)を制御するために、レーザ送信器404およびポインタ/スキャンユニット406へ電力および制御信号を提供する。
【0038】
少なくとも1つの興味あるオブジェクトから反射されたレーザ照射は、レーザ照射をスプリッタまたはステアリングミラー412に対して方向付ける、望遠鏡(telescope)410を介してセンサ402において受け取ることができる。スプリッタまたはステアリングミラー412は、レーザ照射の一部または全部をパッシブ受信器(passive receiver)414に対して配送することができる。スプリッタまたはステアリングミラー412は、また、レーザ照射を受信器/検出器アレイ418の上にフォーカスする受信器光学系416に対してレーザ照射の一部または全部を配送することもできる。パッシブ受信器414は、受動的なターゲット/オブジェクト検出に係わることができ、一方で、受信器/検出器アレイ418は、能動的または半能動的なターゲット/オブジェクト検出をサポートすることができる。
【0039】
受信器/検出器アレイ418からのデータは、適切な方法でデータをフォーマットする、データフォーマッタおよびフレームバッファ420に対して提供され得る。ディスプレイまたは自動ターゲット認識(automatic target recognition、ATR)ユニット422は、レーザ照射を使用してセンサ402によって識別された潜在的または獲得されたターゲットといった、情報を表示する。プラットフォームコンピュータ424は、オブジェクトに向かってセンサ402を方向付けるためのデータ処理、ターゲット取得、およびガイダンスコマンドといった、様々な機能をサポートすることができる。センサコントローラ426は、パッシブ受信器414または受信器/検出器アレイ418の動作といった、センサ402の様々な動作を制御することができる。
【0040】
図4は、レーザ送信器404を含むLADARシステム400の一つの例を示しているが、
図4の実施形態に対して種々の変更が成され得る。例えば、ターゲット取得のためにレーザ照射を使用するように説明されているが、様々な他のアプリケーションが、レーザ照射の透過および反射されたレーザ照射の検出を使用することができる。
【0041】
図5は、本開示に従って、低減された自己位相変調を有するコヒーレントなレーザ出力信号102を生成するための方法500を示している。
図5に示される方法500は、単なる例示のためのものである。低減された自己位相変調を有するコヒーレントなレーザ出力信号102は、本開示の範囲から逸脱することなく、任意の他の適切な方法で生成され得る。
【0042】
最初に、連続波形を有するシード信号116が生成される(ステップ502)。例えば、特定の実施形態について、シード信号発生器104が、シード信号116を生成することができる。フラットトップパルス信号118が、シード信号116に基づいて生成される(ステップ504)。例えば、特定の実施形態について、シード信号116の振幅を変調することによって、振幅変調器106が、フラットトップパルス信号118を生成することができる。レーザ出力信号102が、フラットトップパルス信号118に基づいて生成される(ステップ506)。例えば、特定の実施形態について、フラットトップパルス信号118を増幅することによって、電力増幅器108が、レーザ出力信号102を生成することができる。
【0043】
このようにして、自己位相変調は、増幅されたパルスプロファイルの検出、及び/又は、パルス情報を用いたフィードバック/フィードフォワードループを必要としないで、増幅の以前にパルスの振幅を (フラットトップ波形へと)形成することによって、補正され得る。加えて、完全にコヒーレントなパルスは、ガウスパルスで可能であろうものよりも少なくとも1桁大きいパルスエネルギーを伴って生成され得る。結果として、ファイバレーザは、レーザ送信器100といった、高出力コヒーレントレーザ送信器について使用されてよく、一方で、自己位相変調による影響が最小限である。
【0044】
図5は、低減された自己位相変調を有するコヒーレントなレーザ出力信号102を生成するための方法500の一つの例を示しているが、
図5に示す実施形態に対して種々の変更が成され得る。例えば、一連のステップとして示されているが、
図5における種々のステップは、オーバーラップし、並列に発生し、異なる順序で発生し、または、複数回発生することができる。
【0045】
図6は、本開示の実施形態に従って、低減された自己位相変調を有するコヒーレントなレーザ出力信号202を生成するための方法600を示している。
図6に示される方法600は、単なる例示のためのものである。低減された自己位相変調を有するコヒーレントなレーザ出力信号202は、本開示の範囲から逸脱することなく、任意の他の適切な方法で生成され得る。
【0046】
最初に、連続波形を有するシード信号216が生成される(ステップ602)。例えば、特定の実施形態について、シード信号発生器204が、シード信号216を生成することができる。第1フラットトップパルス信号218
1が、シード信号216に基づいて生成される(ステップ604)。例えば、特定の実施形態について、シード信号216の振幅を変調することによって、振幅変調器206
1が、第1フラットトップパルス信号218
1を生成することができる。第1増幅信号220
1が、第1フラットトップパルス信号218
1に基づいて生成される(ステップ606)。例えば、特定の実施形態について、第1フラットトップパルス信号218
1を増幅することによって、電力増幅器208
1が、第1増幅信号220
1を生成することができる。
【0047】
続いて、フラットトップパルス信号218が、増幅信号220に基づいて生成される(ステップ608)。例えば、特定の実施形態について、第1増幅信号220
1の振幅を変調することによって、振幅変調器206
2が、後続のフラットトップパルス信号218
2を生成することができる。後続の増幅信号220が、フラットトップパルス信号218に基づいて生成される(ステップ610)。例えば、特定の実施形態について、後続のフラットトップパルス信号218
2を増幅することによって、電力増幅器208
2が、後続の増幅信号220
2を生成することができる。
【0048】
追加の振幅変調器206が存在する場合(ステップ612)、本方法は、ステップ608および610まで戻り、そこで、後続の振幅変調器206および後続の電力増幅器208は、それぞれに、後続のフラットトップパルス信号218および後続の増幅信号220を生成する。例えば、特定の実施形態について、次に、対応する増幅信号220
2-(n-1)の振幅を変調することによって、振幅変調器206
3-nが、後続のフラットトップパルス信号218
3-nを順次に生成することができる。加えて、この特定の実施形態について、次に、対応するフラットトップパルス信号218
3-nを増幅することによって、電力増幅器208
3-nは、増幅信号220
3-nを順次に生成することができる。
【0049】
追加の振幅変調器206が存在しない場合(ステップ612)、レーザ出力信号202が、最終増幅信号220に基づいて生成される(ステップ614)。例えば、特定の実施形態について、出力電力増幅器208
o/pは、電力増幅器208
nによって生成された最終の、後続の増幅信号220
nを増幅することによって、レーザ出力信号202を生成することができる。別の例として、電力増幅器208
nは、レーザ出力信号202として最終の、後続の増幅信号220
nを提供することができる。
【0050】
このようにして、自己位相変調は、増幅されたパルスプロファイルの検出、及び/又は、パルス情報を用いたフィードバック/フィードフォワードループを必要としないで、増幅の以前にパルスの振幅を (フラットトップ波形へと)形成することによって、補正され得る。加えて、完全にコヒーレントなパルスは、ガウスパルスで可能であろうものよりも少なくとも1桁大きいパルスエネルギーを伴って生成され得る。結果として、ファイバレーザは、レーザ送信器200といった、高出力コヒーレントレーザ送信器について使用されてよく、一方で、自己位相変調による影響が最小限である。
【0051】
図6は、低減された自己位相変調を有するコヒーレントなレーザ出力信号202を生成するための方法600の一つの例を示しているが、
図6に示す実施形態に対して種々の変更が成され得る。例えば、一連のステップとして示されているが、
図6における種々のステップは、オーバーラップし、並列に発生し、異なる順序で発生し、または、複数回発生することができる。
【0052】
修正、追加、または省略が、本開示の範囲から逸脱することなく、ここにおいて説明される装置および方法に対して成され得る。例えば、装置のコンポーネントは、一体化され、または、分離されてよい。本方法は、より多くの、より少ない、または、他のステップを含んでよい。加えて、前述のように、ステップは、任意の適切な順序において実行されてよい。
【0053】
この特許文献の全体を通じて使用されている所定の単語およびフレーズの定義を明らかにすることは有利であり得る。用語「含む(”include”および”comprise”)」、並びにその派生語は、限定のない包含を意味している。用語「または(”or”)」は、包含的であり、及び/又は(”and/or”)を意味している。フレーズ「関連した(”associated with”)」、並びにその派生語は、含むこと、中に含まれること、相互接続すること、中に含むこと、接続すること、結合すること、通信可能なこと、協働すること、インターリーブすること、隣接すること、接近すること、結び付けること、有すること、性質を有すること、関係を有すること、等を意味し得る。フレーズ「少なくとも1つの(”at least one of”)」は、アイテムのリストと共に使用される場合に、リストされたアイテムのうち1つまたはそれ以上の異なる組み合わせが使用され得ることを意味し、そして、リストにおける1つのアイテムだけが必要とされ得る。例えば、「A、B、およびCのうち少なくとも1つ(”at least one of A, B, and C”)」は、以下の組み合わせのいずれかを含む。A、B、C、AおよびB、AおよびC、BおよびC、並びに、AおよびBおよびC、である。
【0054】
この開示は、所定の実施形態および一般的に関連した方法を説明してきたが、当業者にとっては、これらの実施形態および方法の変更および並べ替えが明らかであろう。従って、種々の実施形態の上記の説明は、この開示を定義または限定するものではない。他の変更、置換、および、改変も、また、以降の請求項によって定義されるものとして、本開示の精神および範囲から逸脱することなく可能である。