【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明に係るポリペプチドとは、アミノ酸がペプチド結合により連結された化合物を意味し、アミノ酸の数に限定されない生成物である。
【0022】
本発明に係るポリペプチドSEQ ID NO:1は、TGF−βシグナル伝達経路の伝達を阻害し、炎症細胞浸潤を減少させ、細胞外マトリックスタンパク質の合成を低減でき、炎症及び線維化反応を抑制し、線維性疾患を予防及び治療する目的を達成することができる。
【0023】
本発明に係るポリペプチドSEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列に対してアミノ酸の欠失、付加、置換又は修飾を行う目的は、本発明から逸脱することなく、線維性疾患を予防又は治療する医薬品の調製における応用に適合することにある。
【0024】
本発明は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチドに対してアミノ酸の欠失、置換、付加及び/又は修飾を行ったポリペプチドを提供する。それは、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチドに対して欠失、置換、付加又は修飾をそれぞれ行ってもよい。SEQ ID NO:1で表されるポリペプチドに対して欠失、置換、付加又は修飾の少なくとも2種を同時に行ってもよく、例えば、欠失及び置換を同時に行い、欠失及び付加を同時に行い、欠失及び修飾を同時に行い、置換及び付加を同時に行い、置換及び修飾を同時に行い、付加及び修飾を同時に行い、欠失、置換及び修飾を同時に行い、欠失、付加及び修飾を同時に行い、置換、付加及び修飾を同時に行う。SEQ ID NO:1で表されるポリペプチドに対して欠失、置換、付加及び修飾を同時に行ってもよい。
【0025】
幾つかの実施態様において、上記ポリペプチドは、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列において1つ又は複数のアミノ酸が別々に欠失、置換又は付加されたものである。
【0026】
幾つかの実施態様において、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列において1つ又は複数のアミノ酸が同時に欠失、置換又は付加されたものである。
【0027】
本発明に係るアミノ酸の欠失数は、7個以下のアミノ酸であり、7個のアミノ酸を含む。即ち、上記欠失されたアミノ酸数は、1個、2個、3個、4個、5個、6個又は7個である。
【0028】
本発明に係るアミノ酸の置換数は、11個以下のアミノ酸であり、11個のアミノ酸を含む。即ち、上記置換されたアミノ酸数は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個又は11個である。
【0029】
本発明に係るアミノ酸の付加数は、8個以下のアミノ酸であり、8個のアミノ酸を含む。即ち、上記付加されたアミノ酸数は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個又は8個である。
【0030】
幾つかの実施例において、上記ポリペプチド断片の配列は、配列表のSEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7又はSEQ ID NO:8のいずれか1つに示されるようなポリペプチドである。
【0031】
幾つかの実施態様において、上記ポリペプチドは、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列が修飾されたポリペプチドである。
【0032】
ここで、上記修飾は、ポリエチレングリコール修飾、脂肪酸修飾、グリコシル化修飾、アセチル化修飾、アミド化修飾、リン酸化修飾、及び他の既知のポリペプチド修飾を含む。
【0033】
幾つかの実施例において、上記ポリペプチドは、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のカルボキシル末端をポリエチレングリコール修飾したものであり、その配列は、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11又はSEQ ID NO:27で表される。
【0034】
本発明で提供されるポリペプチド断片は、ポリペプチドSEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列からアミノ酸の欠失により得られたポリペプチド断片であり、ポリペプチドSEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列のアミノ末端、カルボキシル末端、又はアミノ酸配列内部にそれぞれアミノ酸の欠失を施したものであってもよく、ポリペプチドSEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列のアミノ末端及びカルボキシル末端にアミノ酸の欠失を同時に施したものであってもよく、ポリペプチドSEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列のアミノ末端及び配列内部にアミノ酸の欠失を同時に施したものであってもよく、ポリペプチドSEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列のカルボキシル末端及び配列内部にアミノ酸の欠失を同時に施したものであってもよく、ポリペプチドSEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列のアミノ末端、カルボキシル末端及び配列内部にアミノ酸の欠失を同時に施したものであってもよい。
【0035】
本発明に係るアミノ酸の欠失数は、12個以下のアミノ酸であり、12個のアミノ酸を含む。例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個又は12個欠失される。
【0036】
幾つかの実施態様において、本発明に係るアミノ酸の欠失数は、7個以下のアミノ酸であり、7個のアミノ酸を含む。例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個欠失される。
【0037】
本発明に係るポリペプチド断片のアミノ酸数は、6個〜17個のいずれか1つであってもよく、6個及び17個を含む。
【0038】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド断片は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のカルボキシル末端の2個のアミノ酸が欠失されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:2で表される。
【0039】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド断片は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のアミノ酸が同時に欠失されたものであり、ここで、アミノ末端及びカルボキシル末端では、それぞれ3個のアミノ酸が欠失され、その配列は、SEQ ID NO:4で表される。
【0040】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド断片は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端の3個のアミノ酸が欠失されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:5で表される。
【0041】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド断片は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のカルボキシル末端の5個のアミノ酸が欠失されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:6で表される。
【0042】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド断片は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ酸配列内部及びカルボキシル末端のアミノ酸が同時に欠失されたものであり、ここで、アミノ酸配列内部では、3個のアミノ酸が欠失され、カルボキシル末端では、5個のアミノ酸が欠失され、その配列は、SEQ ID NO:8で表される。
【0043】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド断片は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のアミノ酸が同時に欠失されたものであり、ここで、アミノ末端及びカルボキシル末端では、それぞれ2個のアミノ酸が欠失され、その配列は、SEQ ID NO:12で表される。
【0044】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド断片は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のアミノ酸が同時に欠失されたものであり、ここで、アミノ末端及びカルボキシル末端では、それぞれ5個のアミノ酸が欠失され、その配列は、SEQ ID NO:13で表される。
【0045】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド断片は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端の5個のアミノ酸が欠失され、その配列は、SEQ ID NO:14で表される。
【0046】
本発明に係るポリペプチド断片の誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド断片のアミノ酸配列に対して、アミノ酸の置換及び/又は付加を施した誘導体である。即ち、SEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列が欠失されたポリペプチド断片に対して、アミノ酸の置換及び/又は付加を施した誘導体である。
【0047】
幾つかの実施態様において、本発明に係るポリペプチド断片の誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列が欠失されたポリペプチド断片に対して、アミノ酸の付加を施した誘導体である。
【0048】
幾つかの実施態様において、本発明に係るポリペプチド断片の誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列が欠失されたポリペプチド断片に対して、アミノ酸の置換を施した誘導体である。
【0049】
幾つかの実施態様において、本発明に係るポリペプチド断片の誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列が欠失されたポリペプチド断片に対して、アミノ酸の付加及び置換を同時に施した誘導体である。
【0050】
ここで、上記ポリペプチド断片の誘導体は、上記アミノ酸の付加は、上記ポリペプチド断片のアミノ酸配列の、アミノ末端、カルボキシル末端及び配列内部を含む任意のアミノ酸位置にアミノ酸の付加を施すことができる。
【0051】
上記ポリペプチド断片の誘導体は、上記アミノ酸の置換は、上記ポリペプチド断片のアミノ酸配列の、アミノ末端、カルボキシル末端及び配列内部を含む任意のアミノ酸位置にアミノ酸の置換を施すことができる。
【0052】
上記ポリペプチド断片の誘導体は、上記のアミノ酸の付加及び置換を同時に施すのは、上記ポリペプチド断片のアミノ酸配列の、アミノ末端、カルボキシル末端及び配列内部を含む任意のアミノ酸位置にアミノ酸の付加及び置換を導入することができる。
【0053】
本発明に係るポリペプチド断片の誘導体のうち、アミノ酸が置換された誘導体は、置換されてもよいアミノ酸数が6個以下であり、6個を含み、アミノ酸が付加された誘導体は、付加されてもよいアミノ酸数が6個以下であり、6個を含む。
【0054】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド断片の誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のそれぞれ5個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片のカルボキシル末端において、2個のアミノ酸が付加されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:19で表される。
【0055】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド断片の誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のカルボキシル末端の2個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片のアミノ末端において、1個のアミノ酸が付加されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:20で表される。
【0056】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド断片の誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のそれぞれ5個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片のアミノ末端において、1個のアミノ酸が付加されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:21で表される。
【0057】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド断片の誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端の3個のアミノ酸が欠失され、カルボキシル末端の5個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片の配列内部において、1個のアミノ酸が置換されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:22で表される。
【0058】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド断片の誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部の1個のアミノ酸が欠失され、カルボキシル末端の2個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片の配列内部において、1個のアミノ酸が置換されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:23で表される。
【0059】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド断片の誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のそれぞれ2個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片の配列内部において、1個のアミノ酸が置換されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:24で表される。
【0060】
本発明に係るポリペプチドの誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列においてアミノ酸の置換及び/又は付加を施した誘導体である。
【0061】
幾つかの実施態様において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1においてアミノ酸の付加を施した誘導体である。
【0062】
さらに、幾つかの実施態様において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1において1〜3個のアミノ酸の付加を施した誘導体である。
【0063】
幾つかの実施態様において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1においてアミノ酸の置換を施した誘導体である。
【0064】
さらに、幾つかの実施態様において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1において1〜3個のアミノ酸の置換を施した誘導体である。
【0065】
幾つかの実施態様において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1においてアミノ酸の付加及び置換を同時に施した誘導体である。
【0066】
さらに、幾つかの実施態様において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1において1〜3個のアミノ酸の付加及び1〜3個のアミノ酸の置換を同時に施した誘導体である。
【0067】
ここで、上記ポリペプチド誘導体の、上記のアミノ酸の付加を施した誘導体は、SEQ ID NO:1の、アミノ末端、カルボキシル末端及び配列内部を含む任意のアミノ酸位置にアミノ酸の付加を施したものである。
【0068】
上記ポリペプチド誘導体の、上記のアミノ酸の置換を施した誘導体は、SEQ ID NO:1の、アミノ末端、カルボキシル末端及び配列内部を含む任意のアミノ酸位置にアミノ酸の置換を施したものである。
【0069】
上記ポリペプチド誘導体の、上記のアミノ酸の付加及び置換を同時に施した誘導体は、SEQ ID NO:1の、アミノ末端、カルボキシル末端及び配列内部を含む任意のアミノ酸位置にアミノ酸の付加及び置換を同時に導入したものである。
【0070】
本発明にかかるポリペプチド誘導体のうち、アミノ酸の置換を施した誘導体は、置換されてもよいアミノ酸数は、11個以下であり、11個のアミノ酸を含む。さらに、6個以下であり、6個を含み、中でも、アミノ酸の付加を施した誘導体は、付加されてもよいアミノ酸数は、6個以下であり、6個を含む。
【0071】
本発明にかかるポリペプチド誘導体のうち、アミノ酸の付加を施した誘導体は、付加されてもよいアミノ酸数が8個以下であり、8個のアミノ酸を含む。さらに、6個以下であり、6個を含む。
【0072】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部15番目に1個のアミノ酸が置換されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:7で表される。
【0073】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部18番目に1個のアミノ酸が置換されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:15で表される。
【0074】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部7番目に1個のアミノ酸が置換されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:16で表される。
【0075】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のカルボキシル末端に1個のアミノ酸が付加されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:17で表される。
【0076】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端に1個のアミノ酸が付加されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:18で表される。
【0077】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部18番目に1個のアミノ酸が置換され、且つカルボキシル末端に1個のアミノ酸が付加されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:25で表される。
【0078】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端に1個のアミノ酸が付加され、且つ配列内部に1個のアミノ酸が置換されたものであり、その配列は、SEQ ID NO:26で表される。
【0079】
本発明にかかるアミノ酸の置換とは、別の立体配座又は他の種類のアミノ酸でSEQ ID NO:1で表されるポリペプチド断片又はSEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列のあるアミノ酸を置換することを意味する。
【0080】
本発明にかかるアミノ酸の付加とは、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド断片又はSEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列の任意のアミノ酸位置にアミノ酸を付加することを意味する。
【0081】
本発明にかかるアミノ酸の置換及びアミノ酸の付加は、それぞれ施してもよく、同時に施してもよく、同一のアミノ酸位置に施してもよく、異なるアミノ酸位置に施してもよい。
【0082】
本発明にかかるアミノ酸位置とは、ポリペプチドのアミノ酸配列において、アミノ末端からカルボキシル末端まで順に配列しているアミノ酸が位置する位置番号を意味するが、アミノ酸位置は相対的であり、アミノ酸配列においてアミノ酸が欠失又は付加された場合には、アミノ酸の位置は、変化可能であり、このような変化は当業者によって決定されてもよい。
【0083】
本発明に係る置換及び/又は付加のためのアミノ酸は、天然アミノ酸及び非天然アミノ酸を含み、中でも、天然アミノ酸とは、天然に存在するアミノ酸をいい、非天然アミノ酸は、D型アミノ酸及び他の合成アミノ酸を含む。
【0084】
本発明で提供される誘導体とは、ポリペプチドの変異体をいい、本発明では、ポリペプチド配列にアミノ酸の置換又は付加を施した生成物であってもよく、ポリペプチド分子の主鎖又は側鎖末端のアミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、フェノール性水酸基、イミダゾリル基、グアニジノ基、インドリル基、メチルチオ基などを修飾部位として化学修飾を施した生成物であってもよい。
【0085】
本発明に係る化学修飾は、ポリペプチドのレベルで、適切な修飾方法及び修飾剤を使用して化学修飾を行い、修飾後のポリペプチド類医薬品の溶解度が向上し、安定性が増加し、半減期が延長し、具体的には、当業者によって従来の方法で決定することができる。
【0086】
本発明は、ポリペプチド誘導体を提供し、それは、本発明に係るポリペプチド断片、又は本発明に係るポリペプチド断片の誘導体を化学修飾した誘導体であってもよい。
【0087】
さらに、上記ポリペプチド誘導体、本発明に係るポリペプチド誘導体を化学修飾した誘導体であってもよい。即ち、SEQ ID NO:1においてアミノ酸の付加を施した誘導体、又はSEQ ID NO:1に係るアミノ酸の置換を施した誘導体、又はSEQ ID NO:1に係るアミノ酸の付加及び置換を同時に施した誘導体を化学修飾した誘導体であってもよい。
【0088】
上記化学修飾は、ペプチド鎖の主鎖構造又は側鎖基を変えることができ、アセチル化、アミド化、グリコシル化、ポリエチレングリコール(PEG)修飾、脂肪酸修飾、及び当技術分野で公知の他のポリペプチド修飾技術を含む。
【0089】
本発明に係るアセチル化及びアミド化は、ポリペプチドにおいて一般的に用いられる主鎖末端修飾方法であり、通常、ポリペプチド主鎖のN末端でアセチル化し、ポリペプチド主鎖のC末端でアミド化する。
【0090】
本発明に係るグリコシル化修飾とは、糖構造をタンパク質ポリペプチド分子中のある特定の官能基と共有結合で連結させることを意味し、N−グリコシル化、O−グリコシル化、S−グリコシル化、C−グリコシル化、及びグリコシルホスファチジルイノシトール修飾などを含む。上記N−グリコシル化は、アスパラギンを介して側鎖のアミド窒素を連結させることであり、O−グリコシル化は、セリン又はスレオニン残基上の酸素と連結することである。上記糖構造は、様々な単糖、オリゴ糖、及び多糖を含む。
【0091】
本発明に係るPEG修飾とは、ポリペプチドの主鎖アミノ基、側鎖アミノ基、主鎖カルボキシル基、側鎖カルボキシル基、イミダゾリル基、メルカプト基、及びヒドロキシ基などの官能基を修飾部位として対応するタイプのPEGを選択して修飾することを意味する。上記PEGは、エチレンオキシドから重合された高分子ポリマーであり、その構造は限定されず、分子量も限定されない。上記PEG修飾タイプは、直鎖状PEG、分岐状PEG、ホモ二官能性PEG誘導体、ヘテロ官能性二置換PEG誘導体、及びマルチアーム型官能性PEG誘導体などを含む。
【0092】
本発明に係る脂肪酸修飾とは、脂肪酸構造をタンパク質ポリペプチド分子中のある特定の官能基と共有結合で連結させることを意味し、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基及びヒドロキシ基などの修飾を含む。脂肪酸修飾は、不飽和脂肪酸及び飽和脂肪酸修飾に分けられてもよく、飽和脂肪酸は、主に、ミリスチン酸、パルミチン酸で修飾され、不飽和脂肪酸修飾は、主に、オレイン酸、リノール酸などで修飾される。
【0093】
本発明に係るポリペプチド修飾は、当業者に周知の方法を用いて実施することができる。本発明に係る修飾の目的は、ポリペプチド配列の物理的化学的性質を変化させ、ポリペプチドの薬物形成特性を向上させるためであるが、修飾後のポリペプチドは、依然としてTGF−βシグナル伝達を阻害することができる。
【0094】
本発明に係るTGF−βシグナル伝達経路の伝達を阻害することは、TGF−βシグナル伝達経路の活性化の場合には、本発明に係るポリペプチド断片、ポリペプチド断片の誘導体、ポリペプチド誘導体、並びに上記断片及びその誘導体の化学修飾されたポリペプチド誘導体を使用してTGF−βの活性化、受容体のリン酸化、TGF−βシグナル伝達経路のタンパク質非依存的活性化、並びに下流調節遺伝子の転写及び発現を阻害することを意味し、当業者によって従来の方法で決定することができる。
【0095】
幾つかの実施態様において、上記ポリペプチド誘導体は、本発明に係るポリペプチド断片が化学修飾された誘導体である。
【0096】
さらに、幾つかの実施態様において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列において1〜10個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体である。
【0097】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のカルボキシル末端の2個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片のアミノ末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:3に示されている。
【0098】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のカルボキシル末端の5個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片のアミノ末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:9に示されている。
【0099】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のそれぞれ3個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:10に示されている。
【0100】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のそれぞれ3個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片のアミノ末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:11に示されている。
【0101】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のそれぞれ2個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片のアミノ末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:28に示されている。
【0102】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のそれぞれ5個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片のアミノ末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:29に示されている。
【0103】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のそれぞれ5個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:30に示されている。
【0104】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ酸配列内部の3個のアミノ酸が欠失され、カルボキシル末端の5個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片のアミノ末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:31に示されている。
【0105】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端の3個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:32に示されている。
【0106】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のそれぞれ5個のアミノ酸が欠失されたポリペプチド断片のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:33に示されている。
【0107】
幾つかの実施態様において、上記ポリペプチド誘導体は、本発明に係るポリペプチド断片の誘導体が化学修飾された誘導体である。
【0108】
さらに、幾つかの実施態様において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列において1〜10個アミノ酸が欠失され、1〜3個のアミノ酸を付加させ、及び/又は1〜3個のアミノ酸を置換させたポリペプチド断片の誘導体をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体である。
【0109】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のそれぞれ5個のアミノ酸が欠失され、カルボキシル末端に2個のアミノ酸が付加されたポリペプチド断片の誘導体のアミノ末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:40に示されている。
【0110】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のカルボキシル末端の2個のアミノ酸が欠失され、アミノ末端に2個のアミノ酸が付加されたポリペプチド断片の誘導体のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:41に示されている。
【0111】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のそれぞれ5個のアミノ酸が欠失され、カルボキシル末端に1個のアミノ酸が付加されたポリペプチド断片の誘導体のアミノ末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:42に示されている。
【0112】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のカルボキシル末端の2個のアミノ酸が欠失され、アミノ末端に1個のアミノ酸が付加されたポリペプチド断片の誘導体のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:43に示されている。
【0113】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のカルボキシル末端の2個のアミノ酸が欠失され、配列内部に1個のアミノ酸が付加されたポリペプチド断片の誘導体のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:44に示されている。
【0114】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のそれぞれ5個のアミノ酸が欠失され、配列内部に1個のアミノ酸を置換させたポリペプチド断片の誘導体のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:45に示されている。
【0115】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部の1個のアミノ酸が欠失され、カルボキシル末端の2個のアミノ酸が欠失され、配列内部に1個のアミノ酸を置換させたポリペプチド断片の誘導体のアミノ末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:46に示されている。
【0116】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端の2個のアミノ酸が欠失され、配列内部に1個のアミノ酸を置換させたポリペプチド断片の誘導体のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:47に示されている。
【0117】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部の1個のアミノ酸が欠失され、カルボキシル末端の2個のアミノ酸が欠失され、配列内部に1個のアミノ酸を置換させたポリペプチド断片の誘導体のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:48に示されている。
【0118】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端及びカルボキシル末端のそれぞれ2個のアミノ酸が欠失され、配列内部に1個のアミノ酸を置換させたポリペプチド断片の誘導体のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体、その配列は、SEQ ID NO:49に示されている。
【0119】
幾つかの実施態様において、上記ポリペプチド誘導体は、本発明に係るポリペプチド誘導体、即ち、SEQ ID NO:1において1〜2個のアミノ酸が付加された誘導体をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体である。
【0120】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のカルボキシル末端に1個のアミノ酸が付加されたポリペプチド誘導体のアミノ末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:37に示されている。
【0121】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列のアミノ末端に1個のアミノ酸が付加されたポリペプチド誘導体のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:38に示されている。
【0122】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部に1個のアミノ酸が付加されたポリペプチド誘導体のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:39に示されている。
【0123】
幾つかの実施態様において、上記ポリペプチド誘導体は、本発明に係るポリペプチド誘導体、即ち、SEQ ID NO:1において1〜2個のアミノ酸が置換された誘導体をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体である。
【0124】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部の15番目の1個のアミノ酸が置換されたポリペプチド誘導体のアミノ末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:34に示されている。
【0125】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部の15番目の1個のアミノ酸が置換されたポリペプチド誘導体のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:35に示されている。
【0126】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部の7番目の1個のアミノ酸が置換されたポリペプチド誘導体のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:36に示されている。
【0127】
幾つかの実施態様において、上記ポリペプチド誘導体は、本発明に記載のポリペプチド誘導体、即ち、SEQ ID NO:1において1〜3個のアミノ酸の付加及び1〜3個のアミノ酸の置換を同時に行った誘導体をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体である。
【0128】
さらに、上記ポリペプチド誘導体は、本発明に記載のポリペプチド誘導体、即ち、SEQ ID NO:1において1個のアミノ酸の付加及び1個のアミノ酸の置換を同時に行った誘導体をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体である。
【0129】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部の18番目の1個のアミノ酸が置換され、カルボキシル末端に1個のアミノ酸が付加されたポリペプチド誘導体のアミノ末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:50に示されている。
【0130】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部の15番目の1個のアミノ酸が置換され、アミノ末端に1個のアミノ酸が付加されたポリペプチド誘導体のアミノ末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:51に示されている。
【0131】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部の18番目の1個のアミノ酸が置換され、カルボキシル末端に1個のアミノ酸が付加されたポリペプチド誘導体のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:52に示されている。
【0132】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部の15番目の1個のアミノ酸が置換され、アミノ末端に1個のアミノ酸が付加されたポリペプチド誘導体のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:53に示されている。
【0133】
1つの具体的な実施例において、上記ポリペプチド誘導体は、SEQ ID NO:1で表されるポリペプチド配列内部の7番目の1個のアミノ酸が置換され、配列内部に1個のアミノ酸が付加されたポリペプチド誘導体のカルボキシル末端をポリエチレングリコール(PEG)修飾した誘導体であり、その配列は、SEQ ID NO:54に示されている。
【0134】
本発明に記載のポリペプチド、ポリペプチド断片、ポリペプチド断片の誘導体、ポリペプチド誘導体、及び上記断片及びその誘導体の調製方法は、自然抽出、酵素加水分解法、発酵法、遺伝子組換え発現、化学合成を含む。
【0135】
本発明に記載のポリペプチド、ポリペプチド断片、ポリペプチド断片の誘導体、ポリペプチド誘導体、並びに上記断片及びその誘導体の化学修飾されたポリペプチド誘導体は、有効成分として線維症を予防又は治療するための医薬品を調製することができる。ここで、上記線維症を予防又は治療するための医薬品では、予防又は治療のための安全かつ有効な量の、本発明に係るポリペプチド、ポリペプチド断片、ポリペプチド断片の誘導体、ポリペプチド誘導体、並びに上記断片及びその誘導体の化学修飾されたポリペプチド誘導体からの1種又は複数種を含む。
【0136】
予防又は治療のための安全かつ有効な量とは、正しい医学的判断の範囲内で、必要とする対象に有効で重篤な副作用を回避できるのに十分な有効成分の含有量を投与することを意味する。その安全かつ有効な量は、選択されたポリペプチド(例えば、ポリペプチドの構造、安定性、及び半減期を考慮し);選択された投与経路;治療される症状及び重症度;治療される対象の年齢、体型、体重、健康状態;治療される対象の病歴、治療期間;所望の治療効果及び類似の要因により変化するが、当業者によって従来の方法で決定することができる。
【0137】
本発明に記載の「予防」とは、可能性のある線維化促進因子の存在下で使用された後、線維症の発生を防止または軽減することを意味する。本発明に記載の「治療」とは、線維症の程度を軽減したり、線維症を治癒させて正常化したり、線維化の進行を遅らせることを意味する。
【0138】
本発明に係る線維性疾患は、TGF−βサイトカイン及びそのシグナル伝達経路の過剰な活性化によって引き起こされるものであり、当該分野の研究結果により公認されている線維性疾患は、慢性関節リウマチ、肺線維症、肝線維症、肝硬変、腎線維症、骨髄線維症、嚢胞性線維症、心筋線維症、強皮症、サルコイドーシス、ケロイド、熱傷後肥厚性瘢痕、増殖性網膜症、緑内障、白内障、水晶体後嚢混濁、血管形成術、血管手術または血管損傷後の血管再狭窄、マルファン症候群などを含むが、これらに限定されない。
【0139】
本発明に係る肺線維症は、炎症性損傷及び組織構造破壊を伴う、線維芽細胞の増殖及び大量の細胞外マトリックス凝集を特徴とする肺疾患の終末期変化である。肺組織の肺胞マクロファージ、好中球、肺胞上皮細胞及び線維芽細胞は、いずれも広範囲でTGF−β前駆体を発現し、上皮細胞損傷後で、TGF−βの活性化によっては、肺胞マクロファージ及び線維芽細胞の増殖を促進し、そして筋線維芽細胞へ変換するとともに、上皮間葉転換を誘導し、最終的に、細胞外マトリックスが異常に増加させて沈澱させ、肺線維症は、正常な肺胞組織の損傷後での異常な修復による瘢痕形成である。本発明に記載の肺線維症は、特発性肺線維症、即ち原因不明の肺線維症であってもよく、続発性肺線維症、即ち様々な原因による肺線維症であってもよく、前記病気の原因は、職業性粉塵(SiO
2など)、放射線障害、自己免疫疾患、医薬品副作用(ブレオマイシンなど)、慢性肺感染症(結核)、急性肺損傷などであってもよい。本発明に記載の肺線維症は、過敏性肺炎、放射線誘発性肺線維症、ブレオマイシン誘発性肺線維症、特発性肺線維症、珪肺症、石綿症、及び結核を含む。上記肺線維症は、肺の炎症、特に、間質性肺炎、肺機能の退化及び肺硬変(例えば、肺間質での大量の線維性結合組織形成、及び肺構造障害)の1つ又は複数として現れることができる。
【0140】
本発明に係る慢性関節リウマチは、滑膜炎を特徴とする慢性の炎症性疾患であり、常に関節外症状を伴い、関節の変形や機能の喪失につながることができる。滑膜組織には、大量の過剰発現され活性化されたサイトカインがあり、中でも、TGF−βは、関節リウマチが発症する前に異常に活性化し、間葉系幹細胞が軟骨下骨の骨髄に取り込まれ、破骨細胞による骨吸収、及びアンカップリングの骨吸収及び骨形成をもたらし、関節軟骨が退化し、関節が損傷・破壊されるようになる。
【0141】
本発明に係る骨髄線維症は、骨髄造血組織でコラーゲンが増加し、線維組織が造血機能に深刻な影響を及ぼすことにより引き起こされる骨髄増殖性疾患である。TGF−βは、骨髄中の血小板、巨核球及び骨髄細胞において広く発現され、コラーゲン及びフィブロネクチンの合成を促進し、コラーゲンを分解するマトリックスメタロプロテイナーゼを阻害し、メタロプロテイナーゼ阻害因子の合成を促進し、最終的にコラーゲンの沈着をもたらす。TGF−βは、血管内皮細胞の増殖及び骨髄の微小血管成長を引き起こす可能性もある。
【0142】
本発明に係る全身性強皮症は、限局性またはびまん性の皮膚の肥厚及び線維化を臨床的に特徴とし、心臓、肺、腎臓、消化管などの内臓にわたる結合組織疾患である。TGF−βは、皮膚線維芽細胞の細胞外マトリックスの過剰な沈着を促進しつつ、線維芽細胞の筋線維芽細胞への変換を促進することができる。
【0143】
本発明に係る熱傷後肥厚性瘢痕は、熱傷患者の創傷治癒後の重篤な後遺症であり、正常な皮膚組織構造及び生理学的機能を有さなく、正常な組織の活力を失い、異常で不健全な組織であり、関与するメカニズムが複雑であり、研究により、熱傷後瘢痕の角化細胞においてTGF−βの発現量が高く、また、TGF−β及びその下流の調節因子である結合組織増殖因子、デコリン及び結合タンパク質P311が創傷治癒及び瘢痕形成において重要な役割を果たすことがわかった。
【0144】
本発明に係る嚢胞性線維症は、外分泌腺の遺伝性疾患であり、主に消化管及び呼吸器系に影響を及ぼす。嚢胞性線維症患者は、正常集団よりもTGF−β1が有意に増加し、筋線維芽細胞の活性化が明らかになり、この機構は、機械的刺激により活性化TGF−βが上皮間葉転換、内皮間葉転換、線維芽細胞の筋線維芽細胞への転換を促進し、最終的に細胞外マトリックス分泌の増加、コラーゲン沈着及び組織収縮をもたらすことにある。
【0145】
本発明に係るサルコイドーシスは、壊死を伴わない非乾酪性類上皮細胞肉芽腫性炎症性疾患であり、主に肺実質に浸潤し、全身諸臓器、例えば、リンパ節、皮膚、関節、肝臓、腎臓及び心臓などの組織にわたる。その病因は、完全には明らかではないが、主に肉芽腫内または周囲の炎症細胞から大量のサイトカイン及び成長因子、例えば、TGF−βが放出されることによっている。
【0146】
本発明に係る心筋線維症は、中等度から重度までの冠状動脈粥状硬化症性狭窄に引き起こされる心筋線維での持続的及び/または繰り返し加重した心筋虚血及び低酸素の結果であり、徐々に心不全に進行する慢性虚血性心疾患をもたらす。TGF−βは、心筋線維芽細胞及び線維芽細胞の筋線維芽細胞への変換、上皮間葉転換、内皮間質転換を促進し、細胞外マトリックス合成を増加させ、そして結合組織成長因子の発現を促進して線維化の発生を促進することができる。
【0147】
本発明に係る肝線維症は、病理学的プロセスであり、様々な病原因子によって引き起こされる肝臓内の結合組織の異常な増殖を意味し、線維化の進行は、長期間にわたって肝硬変へ進展してしまう。肝硬変は、慢性進行性肝疾患であり、1つまたは複数の病因の長期的または反復的な作用によって引き起こされるびまん性肝障害である。TGF−βシグナル伝達経路は、肝炎、肝線維症、肝硬変及び肝癌の病理学的プロセス全体に関与する。通常、肝細胞では、TGF−βは、細胞増殖を抑制し、アポトーシスを促進することができる作用があり、慢性肝障害後でTGF−βは過剰に活性化し、肝星状細胞の筋線維芽細胞への変換、細胞外マトリックスの過剰な沈着をもたらし、大量の肝細胞死亡は炎症及び酸化ストレスを引き起こして、肝硬変に至るまでに線維化を引き起こす。
【0148】
本発明に係る腎線維症は、慢性腎臓病において重要で不可逆的なプロセスであり、腎臓の不可逆的な損傷を引き起こし、TGF−βは、腎尿細管上皮細胞におけるコラーゲン合成を刺激し、上皮間葉転換を介して腎尿細管上皮細胞の筋線維芽細胞への変換を誘導して、腎線維症につながることができる。本発明に係る腎線維症は、薬物中毒、高血圧、糖尿病、持続性風邪、感染症などの病原性因子によって引き起こされることができる。
【0149】
本発明に係る緑内障は、眼圧が上昇することで視神経乳頭陥凹、視野欠損を引き起こし、最終的に、失明につながる可能性がある重篤な眼病である。眼圧上昇は、細胞外マトリックスの沈着により小柱網経路の房水流出系に病変を生じ、房水流出の抵抗が増大するためである。房水由来のTGF−βは、小柱網細胞がフィブロネクチンなどの様々な細胞外マトリックスを発現することを局所的に誘導し、細胞外マトリックスの合成と分解とのバランスを崩壊させて細胞外マトリックスの沈着につながることができる。
【0150】
本発明に係る白内障は、老化、遺伝、局所栄養障害、免疫及び代謝異常、外傷、中毒、放射線などのさまざまな原因によって引き起こされる水晶体代謝障害であり、水晶体タンパク質が変性してしまい、濁りを生じる。水晶体後嚢混濁は、嚢外白内障摘出術後の最も一般的な合併症である。白内障手術後の水晶体後嚢混濁は、手術中で残った水晶体上皮細胞の異常な増殖及び変性・線維化によるものである。TGF−βに誘導される水晶体上皮間葉転換は、水晶体後嚢混濁及び線維化の白内障の主な原因である。
【0151】
本発明に係る増殖性硝子体網膜症は、裂孔原性網膜剥離の手術後の網膜表面及び硝子体裏面に広い線維性増殖膜の収縮、牽引によって引き起こされる再度の網膜剥離である。線維性増殖膜は、網膜色素上皮細胞、線維芽細胞、グリア細胞及びマクロファージからなる。TGF−βは、硝子体の網膜下液及び増殖膜において過剰発現され、網膜色素上皮細胞の遊走及び増殖、筋線維芽細胞への転換、ならびにグリア細胞の増殖及び収縮を誘導する。
【0152】
本発明に係るケロイドは、皮膚損傷の治癒過程において、コラーゲン同化機能は、正常な拘束的制御を失い、継続的な亢進状態にあり、コラーゲン線維が過剰増殖した結果であり、結合組織過形成症とも称される。TGF−βは、線維芽細胞の増殖を刺激し、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤の合成及び活性を増加し、結合組織成長因子を活性化してコラーゲンの沈着及び結合組織増殖を促進する。
【0153】
本発明に係る血管再狭窄は、血管形成術、血管外科手術または血管損傷後の血管新生反応に起因する平滑筋過形成、コラーゲン及び瘢痕組織過形成により、局所血管内腔の再狭窄につながる。TGF−βは、下流のSmad及びERK/MAPKシグナル伝達経路を調節し、血管平滑筋細胞の増殖及び新生内膜形成を促進し、細胞外マトリックスタンパク質分泌を促進して内膜過形成を増強することができる。
【0154】
本発明に係るマルファン症候群は、遺伝性の結合組織病であり、疾患の特徴としては、四肢、指、つま先が細く不均一であり、身長が明らかに普通の人より高く、心血管系異常を伴い、肺、眼、硬膜及び硬口蓋などを含む他の臓器に影響を及ぼす。マルファン症候群は、15番染色体上の糖タンパク質マイクロフィブリンをコードするマイクロフィブリン−1(FBN1)遺伝子の突然変異によって引き起こされ、ミクロフィブリルの形成を阻害し、マイクロフィブリンと潜在的なTGF−β結合タンパク質との間の相互作用が不活性の潜在的なTGF−β複合体を安定化するために適用できるので、マイクロフィブリンが異常であると、TGF−βが過剰活性化される。影響を受けた細胞外マトリックス組成及び異常なシグナル伝達は、一緒にマルファン症候群の表現型を決定する。
【0155】
本発明に係る治療対象とは、上記の疾患及び病症に罹る、又は上記の疾患及び病症に罹る可能性があるヒト又は動物を意味する。
【0156】
本発明に係る線維性疾患を予防及び治療する応用とは、上記ポリペプチド、ポリペプチド断片、ポリペプチド断片の誘導体、ポリペプチド誘導体、並びに上記断片及びその誘導体の化学修飾されたポリペプチド誘導体は、単一の有効成分、又は併用成分、又は別の線維化を予防又は治療するための活性を持つ漢方薬、化合物又は生物学的製剤と組み合わせて有効成分として使用されることができることを意味する。
【0157】
本発明に係るポリペプチド、ポリペプチド断片、ポリペプチド断片の誘導体、ポリペプチド誘導体、並びに上記断片及びその誘導体の化学修飾されたポリペプチド誘導体は、原薬として直接使用してもよく、薬学的に許容される担体により線維性疾患を予防又は治療するための医薬品を調製してもよい。ここで、上記の薬学的に許容される担体は、医薬品剤形に応じて慣例的に選択でき、例えば、希釈剤、増量剤、賦形剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤、界面活性剤、吸収促進剤、滑沢剤、吸着担体、徐放性ミクロスフェア、インプラント、インサイチュミクロスフェア、リポソーム、マイクロエマルジョン、インサイチュハイドロゲル、ナノ粒子、プロテアーゼ阻害剤、生体接着剤、融合タンパク質、抗体、ポリペプチドなどが挙げられる。
【0158】
本発明に係るポリペプチド、ポリペプチド断片、ポリペプチド断片の誘導体、ポリペプチド誘導体、並びに上記断片及びその誘導体の化学修飾されたポリペプチド誘導体の剤形は、特に限定されないが、当分野で通常の剤形であり、固体、半固体または液体であることが好ましく、水溶液、非水溶液または懸濁液であってもよく、錠剤、注射剤、カプセル剤、顆粒剤、眼科用製剤、吸入剤、軟膏剤、クリーム剤、スプレー剤、エアロゾル剤、ゲル剤、散剤、塗布剤、インプラント剤、ローション剤などであってもよい。
【0159】
本発明に係るポリペプチド断片、ポリペプチド断片の誘導体、ポリペプチド誘導体、並びに上記断片及びその誘導体の化学修飾されたポリペプチド誘導体は、任意の適切な投与経路により投与されることができるが、注射投与であることが好ましく、経口投与、肺内投与、経鼻投与、経皮投与、及び眼内投与などであってもよい。中でも、上記注射投与は、好ましくは、静脈内注射または静脈内点滴、腹腔内注射、皮下注射、筋肉内注射などを含む。
【0160】
本発明の1つの実施態様において、選択されたポリペプチドは、SEQ ID NO:1に示される断片であり、配列表のSEQ ID NO:2(N2と略記)であり、選択されたポリペプチド誘導体SEQ ID NO:3(N3と略記)は、N2が化学修飾された生成物であり、PEG2をアミド結合によってポリペプチドのN−末端に連結されたものである。選択されたポリペプチドの剤形は、水溶液であり、溶媒が0.01M 滅菌PBS緩衝液である。選択された治療対象は、ブレオマイシン(Bleomycin、BLM、用量が3mg/kg)によって誘発された肺線維症ラットであり、選択されたラットの由来は、特定の病原体をもっていない(Specific Pathogen Free、SPF)Sprague−Dawley(SD)ラットであり、ラットの体重が200〜250gである。選択されたポリペプチドN2及びN3の投与経路は、低侵襲的気管内注入であり、且つポリペプチドN2及びN3の好ましい投与量は、いずれも2.5mg/kgである。気管内にブレオマイシンのみを注入することと比較して、ラットの気管内にブレオマイシンとポリペプチドN2又はN3とを共に注入した後、炎症細胞浸潤を減少させ、細胞外マトリックスタンパク質合成が低下し、コラーゲンの沈着を低減させるため、ブレオマイシンによって誘発されたラットの肺の炎症及び線維化を抑制する。
【0161】
さらに、本発明の1つの実施態様において、選択されたポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体は、それぞれSEQ ID NO:4〜11に示されている。選択されたポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体の剤形は、水溶液であり、溶媒が滅菌生理食塩水(pH5〜7)である。選択された治療対象は、ブレオマイシン(Bleomycin、BLM;用量が3mg/kg)誘発肺線維症ラットであり、選択されたラットの由来は、特定の病原体をもっていない(Specific Pathogen Free、SPF)Sprague−Dawley(SD)ラットであり、ラットの体重が200〜250gである。選択されたポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体の投与経路は、低侵襲的気管内注入であり、投与量がいずれも6mg/kgである。気管内にブレオマイシンのみを注入することと比較して、ラットの気管内にブレオマイシンとSEQ ID NO:4〜11に示されるポリペプチド、ポリペプチド断片又は誘導体とを共に注入した後、炎症細胞浸潤を減少させ、細胞外マトリックスコラーゲンの沈着を低減させ、ブレオマイシンによって誘発されたラットの肺の炎症及び線維化を抑制する。
【0162】
さらに、本発明の1つの実施態様において、選択されたポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体は、それぞれSEQ IN NO:2〜54に示されている。選択されたポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体の剤形は、水溶液であり、溶媒が滅菌生理食塩水(pH5〜7)である。選択された治療対象は、ブレオマイシン(用量が4mg/kg)によって誘発された肺線維症ラットであり、選択されたラットの由来は、特定の病原体をもっていない(Specific Pathogen Free、SPF)Sprague −Dawley(SD)ラットであり、ラットの体重が200〜250gである。選択されたポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体の投与経路は、低侵襲的気管内注入であり、投与量がいずれも8mg/kgである。気管内にブレオマイシンのみを投与することと比較して、ラットの気管内にブレオマイシンとSEQ ID NO:2〜54に示されるポリペプチド、ポリペプチド断片又は誘導体とを共に投与した後、肺線維症によるラットの生活の質の低下が有意に改善され、肺組織への炎症細胞の浸潤が減少し、細胞外マトリックスコラーゲンの沈着が減少し、線維化進行中のTGF−βの遺伝子発現及びタンパク質活性化がいずれも低下し、これは、SEQ ID NO:2〜54に示されるポリペプチド、ポリペプチド断片又は誘導体の気管内注入がブレオマイシンによって誘発されたラットの肺の炎症及び線維化を抑制し、線維化による生活の質の低下を改善することができることを示す。
【0163】
さらに、本発明の1つの実施態様において、選択されたポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体は、それぞれSEQ IN NO:2〜54に示されている。選択されたポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体の剤形は、水溶液であり、溶媒が滅菌生理食塩水(pH5〜7)である。選択された治療対象は、ブレオマイシン(4mg/kg)によって誘発された肺線維症ラットであり、選択されたラットの由来は、特定の病原体をもっていない(Specific Pathogen Free、SPF)Sprague−Dawley(SD)ラットであり、ラットの体重が200〜250gである。選択されたポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体の投与経路は、静脈内注射であり、投与量がいずれも10mg/kgであり、ブレオマイシン誘発後4日目から滅菌生理食塩水又はポリペプチド医薬品であるSEQ ID NO:1〜54に示されるポリペプチド、ポリペプチド断片又は誘導体を尾静脈から注射した後、13日目まで1日1回注射する。滅菌生理食塩水を静脈内注射したラットよりも、ラットにSEQ ID NO:2〜54に示されるポリペプチド、ポリペプチド断片又は誘導体を静脈内注射した後、肺線維症によるラットの生活の質の低下が有意に改善され、肺組織への炎症細胞の浸潤が減少し、細胞外マトリックスコラーゲンの沈着が減少し、線維化進行中のTGF−βの遺伝子発現及びタンパク質活性化がいずれも低下し、これは、SEQ ID NO:2〜54に示されるポリペプチド、ポリペプチド断片又は誘導体の静脈内注射がブレオマイシンによって誘発されたラット肺の炎症及び線維化を抑制し、線維化による生活の質の低下を改善することができることを示す。
【0164】
さらに、本発明の1つの実施態様において、選択されたポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体は、それぞれSEQ IN NO:2〜54に示されている。選択されたポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体の剤形は、水溶液であり、溶媒が滅菌生理食塩水(pH5〜7)。選択された対象は、特定の病原体をもっていないC57BL/6J マウスであり、マウスの体重が16〜17gである。選択されたポリペプチド、ポリペプチド断片及びその誘導体の投与経路は、静脈内注射であり、投与量がいずれも20mg/kgであり、対照群のマウスは、13日目まで1日1回滅菌生理食塩水を注射し、その脳、心臓、肝臓、肺、腎臓及び脾臓を採取して病理学的検査を施す。生理食塩水静脈内注射群のマウスと比較して、SEQ ID NO:2〜54に示されるポリペプチド、ポリペプチド断片又は誘導体を静脈内注射した後、マウスに関連臓器毒性を引き起こさず、良好な安全性を有する。本発明の有益な効果は、ポリペプチド、ポリペプチド断片、ポリペプチド断片の誘導体、ポリペプチド誘導体及びその製造方法、並びにそれらの線維症を予防・治療するための医薬品の調製における用途を提供することにある。