(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の部品に分割されたウェハから前記部品を採取して基材に実装する際に前記部品の使用可否を判定してから実装する実装システムにおける情報を管理する情報管理装置であって、
各種情報を記憶する情報記憶部と、
前記ウェハにおける前記部品の採取位置に関する情報と、前記部品の使用可否の判定結果に関する情報と、前記基材における前記部品の実装位置に関する情報とを取得する情報取得部と、
前記部品の採取位置と前記使用可否の判定結果とを関連付けた情報および、前記部品の採取位置と前記部品の実装位置とを関連付けた情報を前記情報記憶部に記憶させる情報処理部と、
情報出力部と、
を備え、
前記情報処理部は、前記部品の採取位置毎に、前記使用可否の判定結果が使用不可とされた使用不可率の統計情報を作成して前記情報記憶部に記憶させ、
前記情報出力部は、前記使用不可率の統計情報に基づいて当該使用不可率の高い採取位置を特定採取位置に選定し、前記特定採取位置の所定の近傍範囲となる近傍採取位置の前記部品に対する対処情報として、前記部品の採取位置と前記部品の実装位置とを関連付けた情報に基づいて前記近傍採取位置から採取された前記部品の実装先の情報を出力する
情報管理装置。
複数の部品に分割されたウェハから前記部品を採取して基材に実装する際に前記部品の使用可否を判定してから実装する実装システムにおける情報を管理する情報管理装置であって、
各種情報を記憶する情報記憶部と、
前記ウェハにおける前記部品の採取位置に関する情報と、前記部品の使用可否の判定結果に関する情報と、前記基材における前記部品の実装位置に関する情報と、前記部品が実装された前記基材に行われる前記部品の検査の結果に関する情報とを取得する情報取得部と、
前記部品の採取位置と、前記使用可否の判定結果と、前記部品の実装位置と、前記検査の結果とを関連付けた情報を前記情報記憶部に記憶させる情報処理部と、
情報出力部と、
を備え、
前記情報処理部は、前記部品の採取位置毎に、前記使用可否の判定結果が使用不可とされた使用不可率の統計情報を作成して前記情報記憶部に記憶させ、
前記情報出力部は、前記使用不可率の統計情報に基づいて当該使用不可率の高い採取位置を特定採取位置に選定し、前記特定採取位置の所定の近傍範囲となる近傍採取位置から採取された前記部品の検査において不良とされた結果と、前記特定採取位置との相関の有無を判定し、相関があると判定した場合に、前記近傍採取位置の前記部品に対する対処情報として、以降は前記近傍採取位置の前記部品の採取をスキップするように指示するスキップ情報を、前記実装システムが有する実装装置に出力する
情報管理装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下は、本発明の第1実施形態の説明である。
図1は実装システム1の構成の概略を示す構成図であり、
図2は実装システム1の電気的な接続関係を示すブロック図であり、
図3はウェハパレット13の斜視図である。なお、本実施形態は、
図1の左右方向がX方向であり、前後方向がY方向であり、上下方向がZ方向である。実装システム1は、部品を基材S上に実装する複数の実装装置10と、実装装置10よりも基材搬送方向の下流側に設けられ、部品の実装状態を検査する検査装置70と、実装処理や検査処理に関する各種情報の管理を行う管理装置90とを備える。実装装置10は、部品を供給する部品供給装置として、部品を収容したテープリールから部品を供給する装置や、ウェハWが載置されるウェハパレットから部品(ダイD)を供給する装置などを備えており、本実施形態では、後者を説明する。
【0011】
実装装置10は、
図1に示すように、複数の部品(ダイD)に分割されたウェハWが載置されるウェハパレット13からダイDを供給する部品供給装置12と、平板状の基材Sを搬送する基材搬送装置20と、搬送された基材Sを保持する基材保持装置30と、部品供給装置12から供給されたダイDを吸着ノズル52で吸着することにより採取して基材S上に実装するヘッド50と、ヘッド50をXY方向に移動させる移動機構40と、基材Sの所定位置に付された基材IDを示すIDマークやウェハパレット13の所定位置に付されたウェハIDを示すIDマーク、部品供給装置12に供給されたダイDなどを上方から撮像可能なマークカメラ54と、吸着ノズル52に採取されたダイDを下方から撮像可能なパーツカメラ56と、実装装置10の全体の制御を司る実装制御装置60(
図2参照)とを備える。
【0012】
ウェハパレット13は、
図3に示すように、円形穴14aが開けられた矩形状のパレット本体14と、円形穴14aを塞ぐように伸張された状態でグリップリング16によりパレット本体14に固定された伸縮可能な粘着シート18とを備える。粘着シート18の上面には、多数の矩形状のダイDが形成されたウェハWが貼り付けられている。ダイDは、ウェハWを裁断する前にパターン印刷によって回路が形成され、その後、ウェハWを裁断することにより形成されたものである。また、ウェハパレット13の上面には、ウェハIDを示すIDマーク19が付されている。ウェハIDは、ウェハWの種類や製造番号などを示す。粘着シート18の下方には、図示しない突き上げピンが配置される。突き上げピンは、ダイDが吸着ノズル52に吸着される際に、そのダイDを粘着シート18の下方から上方へ突き上げることにより粘着シート18からのダイDの剥離を容易にする。
【0013】
図4は、ウェハWから採取されるダイDの採取位置を示す説明図である。図示するように、ダイDの採取位置は、例えば、左上隅を基準位置(1,1)とし、ダイDのサイズに基づく座標間隔が定められたXY座標系における採取位置座標(X,Y)で示される。なお、図中「−」印は、ウェハWから外れた位置、あるいは、ウェハWの外縁付近でダイDの形状に欠けができる位置であり、ダイDが採取されないことを示す。ヘッド50(吸着ノズル52)は、例えば、
図4中の左から右へダイDを順に採取し、一ラインのダイDの採取が終了すると、一段下のラインに移って採取する処理を繰り返す。
【0014】
実装制御装置60は、
図2に示すように、CPU61を中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、CPU61の他に、ROM62と、HDD63と、RAM64と、入出力インターフェース65とを備える。これらは、バス66を介して電気的に接続されている。実装制御装置60は、マークカメラ54からの画像信号やパーツカメラ56からの画像信号などが入出力インターフェース65を介して入力される。一方、実装制御装置60は、部品供給装置12への駆動信号や基材搬送装置20への駆動信号、基材保持装置30への駆動信号、移動機構40への駆動信号、ヘッド50への駆動信号などを入出力インターフェース65を介して出力する。また、実装制御装置60は、管理装置90と通信ネットワークを介して双方向通信可能に接続され、互いにデータや制御信号のやり取りを行う。また、実装制御装置60は、ウェハWの種類(ウェハWのサイズや裁断されたダイDのサイズ)に基づくダイDの採取位置座標マップをHDD63に記憶しており、ウェハWが供給されると、ウェハWの種類に応じた採取位置座標マップを読み出す。なお、採取位置座標マップは、作業者により入力されたものが記憶されている。
【0015】
検査装置70は、
図2に示すように、ダイDなどの部品が実装された基材Sを搬送する基材搬送装置72と、搬送された基材Sを保持する基材保持装置74と、ダイDなどの実装部品を検査するための検査用画像を撮像する検査カメラ78と、検査カメラ78をXY方向に移動させる移動機構76と、検査装置70の全体の制御を司る検査制御装置80とを備える。基材搬送装置72と基材保持装置74と移動機構76は、それぞれ、実装装置10の基材搬送装置20と基材保持装置30と移動機構40と同様に構成されている。
【0016】
検査制御装置80は、実装制御装置60と同様に構成されており、CPU81とROM82とHDD83とRAM84と入出力インターフェース85とを備える。これらは、バス86を介して電気的に接続されている。検査制御装置80は、検査カメラ78からの画像信号などが入出力インターフェース85を介して入力される。一方、検査制御装置80は、移動機構76への駆動信号や検査カメラ78への撮像信号などを入出力インターフェース85を介して出力する。また、検査制御装置80は、管理装置90と通信ネットワークを介して双方向通信可能に接続され、互いにデータや制御信号のやり取りを行う。
【0017】
管理装置90は、例えば、汎用のコンピュータであり、CPU91とROM92とHDD93とRAM94と入出力インターフェース95などを備える。これらは、バス96を介して電気的に接続されている。管理装置90は、マウスやキーボード等の入力デバイス97からの入力信号が入出力インターフェース95を介して入力される。一方、管理装置90は、ディスプレイ98への画像信号を入出力インターフェース95を介して出力する。HDD93は、基材Sの生産計画を記憶している。基材Sの生産計画は、実装装置10において基材Sの実装面のどの位置にどの部品(ダイD)をどの順番で実装するか、また、そのように部品を実装した基材Sを何枚作製するかなどを定めた計画をいう。また、生産計画は、基材Sの情報やウェハWの情報、部品(ダイD)の実装位置情報などが含まれる。これらは、作業者の入力により取得される。また、管理装置90は、生産計画に従って部品が実装されるよう実装制御装置60に指令信号を出力したり、部品が実装された基材Sが検査されるよう検査制御装置80に指令信号を出力したりする。
【0018】
以下は、実装システム1の動作の説明である。まず、実装装置10が基材Sに部品を実装する部品実装処理を説明する。なお、以下では、一の実装装置10がウェハWからダイDを採取して実装する場合を例にとって説明する。
図5は、実装制御装置60のCPU61により実行される部品実装処理の一例を示すフローチャートである。この部品実装処理では、CPU61は、まず、基材搬送装置20を制御して基材Sを基材保持装置30の上方まで搬入した後、基材保持装置30を制御して基材Sを保持する(S100)。次に、CPU61は、マークカメラ54で基材S上の所定位置にあるIDマークを撮像して基材IDを取得し(S105)、取得した基材IDと受信した指令信号とに基づいて基材S上に各部品を実装する実装位置情報を取得する(S110)。続いて、CPU61は、ウェハWの一部のダイDの吸着をスキップする位置を設定するスキップ位置設定処理を行うと共に(S115)、スキップ位置設定処理でスキップ位置に設定されなかった採取位置にあるダイDを吸着ノズル52に吸着させることでダイDを採取する部品採取処理を実行する(S120)。
【0019】
図6は、スキップ位置設定処理の一例を示すフローチャートである。部品採取処理では、CPU61は、まず、部品供給装置12から新たなウェハWが供給されたか否かを判定する(S200)。CPU61は、新たなウェハWが供給されたと判定すると、マークカメラ54でウェハパレット13上の所定位置にあるIDマーク19を撮像してウェハIDを取得する(S205)。そして、CPU61は、取得したウェハIDに基づくウェハ種に対応する採取位置座標をHDD63から読み出してダイDを採取するための採取位置座標を更新すると共に(S210)、HDD63からスキップ情報を読み出してスキップ位置を設定する(S215)。ここで、スキップ情報は、管理装置90からウェハWの種類とスキップ位置とが関連付けて送信される情報である。CPU61は、管理装置90から受信したスキップ情報をHDD63に記憶しておき、S215ではウェハ種に対応するスキップ位置情報を読み出すものとした。なお、CPU61は、ウェハ種に対応するスキップ情報がHDD63に記憶されていなければS215をスキップする。また、スキップ位置設定処理は、部品実装処理の実行中に繰り返し行われ、CPU61は、S200で新たなウェハWが供給されていないと判定するとS205〜S215をスキップする。
【0020】
続いて、CPU61は、スキップ情報が更新されたか否かを判定する(S220)。CPU61は、S215でスキップ位置を設定した後に、管理装置90から新たにスキップ情報を受信したか否かに基づいてS220の判定を行う。CPU61は、スキップ情報が更新されたと判定すると、そのスキップ情報に基づいてスキップ位置を更新して(S225)、スキップ位置設定処理を終了し、スキップ情報が更新されていないと判定すると、そのままスキップ位置設定処理を終了する。なお、後述するように、管理装置90から新たにスキップ情報が送信されるのは、ダイDの使用不可率が高いために新たにスキップ位置が登録された場合などであるから、S225でスキップ位置が追加されることになる。
【0021】
図7は、部品採取処理の一例を示すフローチャートである。部品採取処理では、CPU61は、まず、部品供給装置12から新たなウェハWが供給されたか否かを判定し(S250)、新たなウェハWが供給されたと判定すると採取位置座標(X,Y)を初期値に設定し(S255)、新たなウェハWではなく既にウェハWからダイDを採取していると判定すると、採取位置座標(X,Y)を次の採取位置に更新する(S260)。CPU61は、S255ではダイDを採取可能なウェハW上の座標のうち最も左上の採取位置座標を初期値に設定する。また、CPU61は、S260では前回のダイDの採取位置座標に対しX方向に値1インクリメントした隣接位置の採取位置座標が有効であれば、その位置に採取位置を更新し、隣接位置の採取位置座標が有効でなければ、Y方向に値1インクリメントすると共にX方向で部品を採取可能な最も左側の位置に採取位置を更新する。続いて、CPU61は、今回の採取位置座標が、S115のスキップ位置設定処理で設定されたスキップ位置に一致するか否かを判定し(S265)、一致すると判定すると、スキップ位置に一致しないと判定するまで、S260の採取位置座標(X,Y)の更新を繰り返す。これにより、CPU61は、管理装置90から送信されてHDD63に記憶したスキップ情報が指定するスキップ位置のダイDを使用しないようにすることができる。即ち、スキップ位置のダイDが基材Sに実装されるのを防止することができる。
【0022】
次に、CPU61は、マークカメラ54で今回の採取位置を含む所定範囲を上方から撮像し(S270)、得られた画像を処理してダイDを採取可能であるか否かを判定する(S275)。CPU61は、画像処理では正常なダイDの基準画像と撮像した画像とを比較して、ダイDの欠落の有無を判定したり、割れや欠けなどの形状不良の有無を判定したり、ダイDの上面に付加されるスキップマークの有無を判定したりする。スキップマークは、不具合が生じているダイDを採取しないようにするために、実装装置10に搬入される前にダイDの上面に付加されている。CPU61は、ダイDが欠落していたり、ダイDに形状不良が生じていたり、ダイDにスキップマークが付加されていたりするなどの理由でダイDを採取可能でないと判定すると、そのダイDを採取することなく、再びS260に戻り処理を行う。即ち、S275の処理は、ダイDの使用可否を判定するものである。また、CPU61は、ダイDを採取可能であると判定すると、移動機構40を制御して採取位置上に吸着ノズル52を位置させると共にヘッド50を制御して吸着ノズル52にダイDを吸着させることにより、採取位置座標(X,Y)のダイDを採取する(S280)。そして、CPU61は、スキップ位置設定処理のS205で取得したウェハIDと、今回ダイDを採取した採取位置座標(X,Y)とを含む採取元情報を生成して(S285)、部品採取処理を終了する。
【0023】
図5の部品実装処理に戻って、CPU61は、次に、移動機構40を制御してヘッド50をパーツカメラ56の上方を経由して基材S上に移動させる(S125)。また、CPU61は、ヘッド50がパーツカメラ56の上方にあるときに、吸着ノズル52に吸着されているダイDを下方からパーツカメラ56で撮像し、得られた画像を処理してダイD(吸着部品)の状態を確認して(S130)、ダイDを実装可能であるか否かを判定する(S135)。CPU61は、S135では、ダイDの吸着姿勢が大きく傾いているなどの吸着姿勢不良の有無に基づいて実装可能か否かを判定したり、割れや欠けなどのダイDの形状不良の有無に基づいて実装可能か否かを判定したりする。
【0024】
ここで、
図8は、ダイDの形状不良の一例を示す説明図である。
図8(a)はウェハWからダイDが採取される前の様子を示し、
図8(b)はウェハWからダイDが採取された後の様子を示す。
図8(a)に示すように、ダイDに線状の割れなどが生じている場合、マークカメラ54で上方から撮像しても画像に割れが写りにくく判別し難いために形状不良が検知されないことがある。このため、これらのダイD(1)〜(4)が採取可能と判定されて採取されることがある。そして、吸着ノズル52の吸着によりダイDが個別に採取されると、ダイD(2)のように割れや欠けが明らかとなるものは、パーツカメラ56で撮像された画像から欠けが判別できるために形状不良として検知される。一方、ダイD(1),(3)のように線状の割れのものは、画像から判別しにくく検知されないために基材Sに実装されることがある。この例のように、割れや欠けが1つのダイDだけでなく周囲の複数のダイDに及ぶことがある。また、採取前のダイDに割れや欠けが生じていなくても、ダイDが吸着ノズル52に吸着される際に、吸着ノズル52の押し込み過多や突き上げピンの突き上げ過多による衝撃などに起因して割れや欠けが生じることがある。このため、部品採取処理で採取可能と判定されたダイDであっても、S135で実装不可と判定される場合がある。このように、S135の処理は、ダイDの使用可否を判定するものである。
【0025】
CPU61は、S135でダイDを実装可能であると判定すると、ヘッド50を制御して吸着ノズル52で基材S上にダイDを実装する(S140)。続いて、CPU61は、S105で取得した基材IDと、今回の実装位置とを含む実装先情報を生成し(S145)、採取元情報と実装先情報とを含む実装完了情報を管理装置90に送信する(S150)。そして、CPU61は、未実装のダイDがあるか否かを判定し(S155)、未実装のダイDがあればS115に戻って処理を行い、未実装のダイDがなければ基材Sを搬出して(S160)、部品実装処理を終了する。また、CPU61は、ダイDの姿勢不良や形状不良のためにS135でダイDを実装不能であると判定すると、移動機構40を制御してヘッド50を所定の廃棄位置に移動させてダイDを廃棄し(S165)、採取元情報と実装不可理由(廃棄理由)とを含む実装不可情報を生成して管理装置90に送信する(S170)。CPU61は、実装不可理由として形状不良と姿勢不良とを判別可能に実装不可情報を生成する。なお、実装不可理由は、この二つの理由に限られず、さらに細かく区別するものとしてもよい。また、このような実装不可は、パーツカメラ56で撮像した画像を処理して検出された不良に基づくことから、画像処理エラーともいう。また、CPU61は、S170で実装不可情報を管理装置90に送信すると、再びS115に戻り処理を行う。
【0026】
次に、管理装置90のCPU91が行う情報管理処理を説明する。
図9は実装関連情報管理処理の一例を示すフローチャートであり、
図10はスキップ位置登録処理の一例を示すフローチャートであり、
図11は近傍ダイ情報出力処理の一例を示すフローチャートである。
図9の実装関連情報管理処理では、CPU91は、まず、
図5のS170で実装装置10から送信される実装不可情報を受信したか否かを判定し(S300)、実装不可情報を受信したと判定すると、実装不可情報に含まれる採取元情報と実装不可理由とを取得する(S305)。次に、実装不可情報のウェハIDに対応する実装実績情報(
図12参照)をHDD93から読み出し(S310)、該当する採取位置の判定結果に使用不可を登録する(S315)。また、CPU91は、実装不可情報のウェハIDに対応するウェハ種の不良統計情報をHDD93から読み出す(S320)。
図13は不良統計情報の一例を示す説明図である。不良統計情報は、図示するように、ウェハ種と、ダイDの採取位置と、母数と、形状不良の不良数および使用不可率と、姿勢不良の不良数および使用不可率と、スキップ位置登録の有無とが対応付けられたものである。なお、複数台の実装装置10でダイDの採取や実装を行う場合には、管理装置90は、不良統計情報を実装装置10毎に別々の統計情報として管理する。CPU91は、不良統計情報を読み出すと、S305で取得した実装不可理由が形状不良であるか否かを判定し(S325)、形状不良であると判定すると、不良統計情報において該当する採取位置の母数と形状不良起因の不良数とを値1ずつインクリメントして形状不良の使用不可率を更新する(S330)。一方、CPU91は、S325で形状不良でない即ち姿勢不良であると判定すると、不良統計情報において該当する採取位置の母数と姿勢不良起因の不良数とを値1ずつインクリメントして姿勢不良の使用不可率を更新する(S335)。なお、CPU91は、S300で実装不可情報を受信していないと判定すると、S305〜S335をスキップする。
【0027】
続いて、CPU91は、
図5のS150で実装装置10から送信される実装完了情報を受信したか否かを判定する(S340)。CPU91は、実装完了情報を受信したと判定すると、実装完了情報から採取元情報と実装先情報とを取得し(S345)、採取元情報のウェハIDに対応する実装実績情報をHDD93から読み出す(S350)。そして、CPU91は、採取元情報の採取位置と実装先情報の基材IDおよび実装位置とを互いに関連付けて実装実績情報に記憶する(S355)。
図12は実装実績情報の一例を示す説明図である。図示するように、ウェハIDが「W−A1−001」のウェハWから採取されたダイDの各採取位置と、実装先の情報(基材IDと実装位置情報)とが関連付けて記憶されている。このため、ダイDの実装先情報として基材IDと実装位置情報とが分かれば、ダイDがどのウェハWのどの位置から採取されたかを特定することができる。なお、
図12において、判定結果が空欄のものはS135の処理が行われていないことを示し、実装先情報が空欄のものは未実装であることを示す。また、実装位置情報の「C−0017」などは、基材S上の回路記号などを示すが、採取位置と同様に所定位置を基準とするXY座標で示してもよい。続いて、CPU91は、ウェハIDに対応する不良統計情報をHDD93から読み出し(S360)、不良統計情報において該当する採取位置の母数を値1インクリメントして不良率を更新して(S340)、実装関連情報管理処理を終了する。なお、CPU91は、S340で実装完了情報を受信していないと判定すると、S345〜S365をスキップして、実装関連情報管理処理を終了する。
【0028】
図10のスキップ位置登録処理では、CPU91は、まず、実装関連情報管理処理のS330,S335,S365のいずれかで使用不可率を更新した位置があるか否かを判定し(S400)、更新した位置がないと判定すると、スキップ位置登録処理を終了する。一方、CPU91は、使用不可率を更新した位置があると判定すると、更新した使用不可率が所定のスキップ閾値以上であるか否か(S405)、使用不可率を更新した位置の母数が所定数以上であるか否か(S410)、使用不可率を更新した位置が既にスキップ位置に登録済みであるか否か(S415)、をそれぞれ判定する。CPU91は、更新した使用不可率が所定のスキップ閾値以上であって、使用不可率を更新した位置の母数が所定数以上であり、スキップ位置に登録済みでないと判定すると、使用不可率を更新した位置を新たなスキップ位置に登録する(S420)。そして、CPU91は、ウェハ種とスキップ位置とを含むスキップ情報を実装装置10に送信すると共に(S425)、今回新たに登録したスキップ位置に対応する箇所の設備点検指示を出力して(S430)、スキップ位置登録処理を終了する。
【0029】
なお、CPU91は、S405で使用不可率が所定のスキップ閾値以上でないと判定したり、S410で母数が所定数以上でないと判定したり、S415でスキップ位置に登録済みであると判定したりすると、そのままスキップ位置登録処理を終了する。母数が所定数未満(例えば、数個〜十数個程度)などの場合、不良が少なくても使用不可率が著しく高くなることがある。このため、使用不可率がスキップ閾値以上となり易く、不良位置の傾向を正確に反映したスキップができないことがある。したがって、CPU91は、使用不可率がスキップ閾値以上であっても、母数が所定数未満であればスキップ位置に登録しないのである。これにより、不良位置の傾向(統計情報)をより精度よく反映させて、不良が発生し易い採取位置からダイDの採取をスキップをすることができる。
【0030】
ここで、前述したように、実装装置10はスキップ位置を設定してダイDを採取しないようにする。このため、管理装置90は、S425でスキップ情報を送信することにより、使用不可率が高い傾向にある採取位置からダイDが採取されないようにして、実装不良が生じるのを防止することができる。また、実装装置10は、
図6のS220,S225により実装処理中もスキップ位置を更新するから、新たに登録したスキップ位置を速やかに反映させて実装不良の発生を抑制することができる。また、管理装置90は、ダイDの廃棄に伴ってダイDの採取をやり直す頻度を減らすことができるから、実装装置10の能率低下などを抑制することができる。また、不良統計情報において不良率が高い採取位置は、ダイDを採取するときの吸着ノズル52の押し込み不良や突き上げピンの突き上げ不良などの設備的な要因により、割れや欠けなどの形状不良が生じたり、斜め吸着などの姿勢不良が生じたりする可能性があると考えられる。即ち、不良統計情報において不良率が高い採取位置は、実装装置10において何らかの設備不良が生じている可能性がある。そのような設備不良は、1つの採取位置だけでなく周辺の採取位置にも影響を及ぼすことがある。そこで、CPU91は、S430で新たに登録したスキップ位置に対応する箇所の設備点検指示を出力するのである。実装装置10は、設備点検指示を受信すると、モニタなどにその旨を表示して作業者に設備点検を促すものなどとする。また、CPU91は、設備点検指示をディスプレイ98に表示するものなどとしてもよい。
【0031】
また、実装装置10は、
図7の部品採取処理のS275でダイDを採取不可と判定した場合には採取不可情報を管理装置90に送信せず、
図5の部品実装処理のS170でダイDを実装不可と判定した場合に実装不可情報を管理装置90に送信する。このため、管理装置90は、ダイDの採取前における使用可否の判定結果を除いて、ダイDの採取後における使用可否の判定結果を用いて、統計情報を作成することになる。ダイDが採取前に使用不可と判定される場合、ウェハWが供給された際に既にダイDに不具合が生じておりウェハWの製造工程に問題があると考えられる。一方、ダイDが採取後に使用不可と判定される場合、検出しにくい割れや欠けなどの形状不良が採取前のダイDに生じていたか、実装装置10でダイDを採取する際に形状不良や姿勢不良が生じたと考えられる。特に後者の場合には、実装装置10の設備に起因することがある。このため、CPU91は、採取前の判定結果を除いて統計情報を作成することにより、不良発生位置の傾向を把握させ易くして適切な対処に繋げることができる。
【0032】
図11の近傍ダイ情報出力処理では、CPU91は、まず、スキップ位置登録処理においてスキップ位置の登録が更新されたか否かを判定し(S500)、更新されていないと判定すると、そのまま近傍ダイ情報出力処理を終了する。一方、CPU91は、スキップ位置の登録が更新されたと判定すると、そのスキップ位置に対して所定の近傍範囲にある近傍採取位置を選定する(S505)。そして、CPU91は、実装実績情報を参照して近傍採取位置に実装済みのダイDがあるか否かを判定し(S510)、実装済みのダイDがないと判定すると、近傍ダイ情報出力処理を終了する。また、実装済みのダイDがあると判定すると、実装実績情報を参照して近傍採取位置のダイDが実装された基材IDと実装位置情報とを特定し(S515)、特定した基材IDと実装位置とを含む近傍ダイの実装先情報をディスプレイ98に表示し(S520)、近傍ダイ情報出力処理を終了する。
【0033】
ここで
図14は、近傍範囲と近傍ダイ情報との一例を示す説明図である。
図14(a)に示すように、スキップ位置に登録された採取位置(Xi,Yj)を取り囲む範囲を近傍範囲とし、採取位置(Xi,Yj)に隣接する8個の採取位置を近傍採取位置とする。また、
図14(b)に示すように、スキップ位置である採取位置(Xi,Yj)と共に、近傍のダイDの採取位置および実装先情報の一覧が表示される。なお、未実装のダイDは、実装先が空欄で表示される。このように、スキップ位置の周辺の近傍のダイDが既に実装されている場合には、それらの近傍のダイDの実装先情報を出力するのである。これにより、管理装置90は、近傍のダイDに同様な不良が生じているか否かの追跡調査を可能として、品質向上や不良部品の流出防止を図ることができる。なお、ダイDを供給中のウェハWに限られず、ダイDの供給が既に完了した複数のウェハWに遡って近傍のダイDの実装先情報を出力するものなどとしてもよい。
【0034】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の管理装置90が情報管理装置に相当し、HDD93が情報記憶部に相当し、
図9の実装関連情報管理処理のS305の処理を実行するCPU91が情報取得部に相当し、実装関連情報管理処理のS315,S330,S335,S365などの処理を実行するCPU91が情報処理部に相当する。
図10のスキップ位置登録処理のS400〜S425の処理を実行するCPU91が情報出力部に相当する。
図11の近傍ダイ情報出力処理を実行するCPU91も情報出力部に相当する。なお、本実施形態は、管理装置90の動作を説明することにより本発明の情報管理方法の一例も明らかにしている。
【0035】
以上説明した第1実施形態の管理装置90は、ウェハWにおけるダイDの採取位置と、ダイDの実装不可理由とを取得して、採取位置と実装不可の旨とを関連付けてHDD93に記憶する。このため、基材Sに実装されたダイDの検査結果などを待つことなく、情報を有効に活用して不良原因の分析や対策の検討などを迅速に行うことができる。
【0036】
また、管理装置90は、採取位置毎に使用不可率の統計情報を作成するから、使用不可とされたダイDの採取位置の傾向を適切に把握して、実装不良の発生防止に繋げることができる。
【0037】
また、管理装置90は、使用不可率が高い採取位置をスキップ位置に登録して、その位置からダイDを採取させないから、実装不良の発生を防止することができる。
【0038】
また、管理装置90は、使用不可率の高い採取位置(特定採取位置)の近傍位置から採取されたダイDの実装先情報を出力するから、近傍位置のダイDの実装状態を追跡調査させて実装不良の流出を抑制することができる。
【0039】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態の実装システムの構成は、第1実施形態と同じであるため説明は省略する。また、第2実施形態は、第1実施形態の各処理に加えて、検査装置70で基材S(ダイD)を検査する際に取得される情報を用いた処理を行う。
図15は検査処理の一例を示すフローチャートである。この検査処理では、検査制御装置80のCPU81は、まず、基材搬送装置72を制御して基材Sを基材保持装置74の上方まで搬入した後、基材保持装置74を制御して基材Sを保持する(S600)。次に、CPU81は、検査カメラ78で基材S上のIDマークを撮像して基材IDを取得し(S605)、管理装置90から送信された指令信号に基づいて各部品の検査位置(実装位置)を取得する(S610)。続いて、CPU81は、取得した検査位置に基づいて検査カメラ78で基材S上の実装部品を撮像し、得られた画像を処理して実装部品の実装状態を検査する(S615)。そして、CPU81は、検査結果が良好のダイDがあると判定すると(S620)、S605で取得した基材IDとそのダイDの実装位置と検査良好結果とを含む検査完了情報を生成する(S625)。また、CPU81は、検査結果が不良のダイDがあると判定すると(S630)、S605で取得した基材IDとそのダイDの実装位置と検査不良結果とを含む検査完了情報を生成する(S635)。そして、CPU81は、S625やS635で生成した検査完了情報を管理装置90に送信して(S640)、検査処理を終了する。
【0040】
図16は、検査情報管理処理の一例を示すフローチャートであり、
図17は検査結果情報が付加された実装実績情報を示す説明図であり、
図18は近傍ダイ情報出力処理の一例を示す説明図である。
図16の検査情報管理処理は、管理装置90のCPU91により実行される。この検査情報管理処理では、CPU91は、まず、
図15のS640で検査制御装置80から送信される検査完了情報を受信したか否かを判定し(S700)、検査完了情報を受信していないと判定すると、検査情報管理処理を終了する。一方、CPU91は、検査完了情報を受信したと判定すると、検査完了情報に含まれる基材IDと実装位置と検査結果とを取得し(S705)、HDD93に記憶された実装実績情報を参照して、取得した基材IDと実装位置に対応するウェハIDと採取位置(採取元情報)を選定する(S710)。次に、CPU91は、受信した検査結果が良好のダイDがあるか否かを判定し(S715)、検査結果が良好のダイDがあると判定すると、検査結果情報が良好の旨を該当するウェハIDおよび採取位置に関連付けて登録して実装実績情報を更新する(S720)。なお、受信した検査結果が良好のダイDがないと判定すると、S720をスキップする。続いて、CPU91は、受信した検査結果が不良のダイDがあるか否かを判定し(S725)、検査結果が不良のダイDがあると判定すると、検査結果情報が不良の旨を該当するウェハIDおよび採取位置に関連付けて登録して実装実績情報を更新して(S730)、検査情報管理処理を終了する。これらの処理により、
図17に示すように、採取元情報および実装先情報に検査結果情報の「良好」または「不良」の旨が対応付けて登録されることになる。なお、
図17において検査結果情報が空欄のものは、検査が未実行であることを示す。
【0041】
また、
図18の近傍ダイ情報出力処理では、CPU91は、まず、
図16の検査情報管理処理において実装実績情報に検査不良結果が登録されたか否かを判定し(S900)、登録されていないと判定すると、近傍ダイ情報出力処理を終了する。一方、CPU91は、S900で検査不良結果が登録されたと判定すると、検査不良結果が登録された採取位置と
図10で登録された使用不可率によるスキップ位置との相関を調査して(S905)、両スキップ位置に相関があるか否かを判定する(S910)。CPU91は、例えば検査不良結果が登録された採取位置と使用不可率によるスキップ位置とが上下左右または斜めに隣接した採取位置である場合に、相関があると判定するものなどとする。
図17の例では、採取位置(Xi,Yj)がスキップ位置に登録されており、そのスキップ位置に対し2つの隣接位置で検査結果が不良となっているため、CPU91は相関があると判定する。なお、CPU91は、スキップ位置に隣接する採取位置のうち複数位置で検査不良結果が生じた場合に相関があると判定してもよい。また、CPU91は、検査装置70による検査において検査不良の原因が形状不良か姿勢不良かが特定される場合には、相関があると判定する条件に不良原因の一致を含めてもよい。CPU91は、S910で相関がないと判定すると、近傍ダイ情報出力処理を終了する。
【0042】
一方、CPU91は、S910で相関があると判定すると、
図10で登録された使用不可率によるスキップ位置に対して所定の近傍範囲にある近傍採取位置を選定し(S915)、選定した近傍採取位置をスキップ位置に登録する(S920)。また、CPU91は、ウェハ種とスキップ位置とを含むスキップ情報を実装装置10に送信する(S925)。これにより、使用不可率によるスキップ位置と検査不良結果とに相関がある場合には、スキップ位置の近傍採取位置からのダイDの採取がスキップされる。ここで、使用不可率によるスキップ位置と検査不良結果とに相関がある場合、スキップ位置の周辺でダイDの形状不良などが生じやすく、また、その不良を実装装置10で見逃しやすいものといえる。このため、近傍採取位置をスキップ位置に登録することで、実装不良が生じるのを防止する効果をより高めることができる。
【0043】
次に、CPU91は、
図11の近傍ダイ情報出力処理のS510〜S520と同様に、実装実績情報を参照して近傍採取位置のダイDが実装済みであるか否かを判定し(S930)、実装済みであると判定すると、実装実績情報を参照して近傍採取位置のダイDが実装された基材IDと実装位置情報とを特定し(S935)、特定した基材IDと実装位置情報とを含む近傍ダイの実装先情報をディスプレイ98に表示して(S940)、近傍ダイ情報出力処理を終了する。このように、第2実施形態では、近傍採取位置からのダイDの採取をスキップすると共に、実装済みの近傍採取位置のダイDの実装先情報を表示するのである。実装先情報を表示することで、第1実施形態と同様に、近傍位置のダイDの実装状態を追跡調査させることができるから、実装不良の流出を抑制することができる。
【0044】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0045】
例えば、第1実施形態では、ダイDの採取後の不良統計情報では、実装不可理由として、ダイDの吸着姿勢が大きく傾いているなどの吸着姿勢不良と、割れや欠けなどのダイDの形状不良とを区別して統計情報を作成するものとしたが、これに限られるものではない。例えば、実装不可理由を区別することなく、ダイDの採取後に実装不可(使用不可)とされたダイDの採取位置毎の統計情報を作成するものとしてもよい。また、ダイDの採取後の不良統計情報を作成してHDD93に記憶するものに限られず、採取位置と実装不可の旨とを関連付けた情報をHDD93に記憶するものであればよく、統計情報の作成を省略してもよい。また、
図12の実装実績情報では、採取位置に使用不可の旨を関連付けて登録するものとしたが、さらに使用不可の理由が吸着姿勢不良や形状不良などのいずれであるかを合わせて登録するものなどとしてもよい。また、実装装置10は、採取元情報と実装不可理由とを含む実装不可情報を管理装置90に送信するものとしたが、実装不可の判定に用いられたパーツカメラ56の撮像画像を含めて管理装置90に送信するものとしてもよい。その場合、管理装置90は、採取位置と使用不可の旨と撮像画像とを関連付けてHDD93に記憶するものとし、作業者による不良原因の分析や対策の検討などに撮像画像が用いられものなどとすればよい。
【0046】
第1実施形態では、部品採取処理でダイDを採取不可と判定した場合に情報を管理装置90に送信しないものとしたが、これに限られるものではない。即ち、実装装置10は、ダイDを採取不可と判定すると、採取位置を含む採取不可情報を管理装置90に送信し、管理装置90は、採取不可情報を用いて採取位置毎に採取不可率の統計情報を作成するものなどとしてもよい。このようにしても、管理装置90は、ダイDの採取前の統計情報と、ダイDの採取後の統計情報(
図13参照)とを別々に作成することができるから、上述したように、不良発生位置の傾向を適切に把握して適切な対処に繋げることができる。また、管理装置90は、採取前の統計情報において採取不可率の高い採取位置をスキップ位置に登録するものなどとしてもよい。このようにすれば、その採取位置のダイDを使用することによる実装不良の発生を抑制したり、その採取位置のダイDが採取不可と判定されて採取をやり直すことによる時間ロスなどを抑制したりすることができる。
【0047】
第1実施形態では、近傍ダイ情報出力処理において、ダイDの実装先情報を表示するものとしたが、これに代えてあるいはこれに加えて、第2実施形態のように近傍採取位置のダイDの採取をスキップするものとしてもよい。また、第2実施形態では、近傍採取位置のダイDの採取をスキップすると共にダイDの実装先情報を表示するものとしたが、これらのいずれか一方のみを行うものとしてもよい。
【0048】
第1実施形態や第2実施形態の近傍ダイ情報出力処理では実装先情報に基材IDを含めるものとしたが、これに限られず、実装先情報に基材IDを含めずに実装位置のみを含めてもよい。また、第1実施形態の部品採取処理では採取元情報にウェハIDを含めるものとしたが、これに限られず、採取元情報にウェハIDを含めずに採取位置のみを含めてもよい。このようにしても、CPU91は、統計情報を作成することができるから、使用不可率によるスキップ位置を登録することができる。
【0049】
第2実施形態では、ダイDの検査結果として検査装置70の検査完了情報を用いるものとしたが、これに限られず、ダイDの検査結果としてダイDが実装された基材Sが製品として出荷された後の製品出荷後の不良発生情報を用いるものとしてもよい。
【0050】
第2実施形態では、検査装置70によるダイDの検査結果を近傍ダイ情報出力処理において、スキップ位置との相関有無の判定に用いるものとしたが、これに限られるものではない。例えば、採取位置と検査不良結果との統計情報を作成し、その統計情報において検査不良率の高い採取位置をスキップ位置に登録するものなどとしてもよい。また、そのような検査不良率によるスキップ位置と、使用不可率によるスキップ位置との相関の有無を判定し、相関がある場合に、使用不可率によるスキップ位置の近傍採取位置と検査不良率によるスキップ位置の近傍採取位置とをスキップ位置に登録するものなどとしてもよい。
【0051】
ここで、本開示の情報管理装置において、前記情報処理部は、前記部品の採取位置毎に、前記使用可否の判定結果が使用不可とされた使用不可率の統計情報を作成して前記情報記憶部に記憶させるものとすることもできる。こうすれば、使用不可とされた部品の発生率である使用不可率のウェハにおける位置の傾向を把握することができるから、実装不良の発生防止などに情報をより有効に活用することができる。
【0052】
本開示の情報管理装置において、前記使用不可率の統計情報に基づいて前記使用不可率の高い採取位置を特定採取位置に選定し、以降は前記特定採取位置の前記部品の採取をスキップするように指示するスキップ情報を、前記実装システムが有する実装装置に出力する情報出力部を備えるものとすることもできる。これにより、使用不可率の高い特定採取位置の部品が実装されるのを防止することで、実装不良の発生を抑制することができる。
【0053】
本開示の情報管理装置において、前記情報出力部は、前記特定採取位置の所定の近傍範囲となる近傍採取位置の前記部品に対する対処情報として、以降は前記近傍採取位置の前記部品の採取をスキップするように指示するスキップ情報を前記実装装置に出力するものとすることもできる。ここで、特定採取位置の部品に割れや欠けなどの形状不良などが発生する場合、近傍採取位置の部品にも同様な不良が生じることがある。このため、近傍採取位置の部品が実装されるのを防止することで、実装不良の発生をより抑制することができる。
【0054】
本開示の情報管理装置において、前記情報取得部は、前記基材における前記部品の実装位置に関する情報を取得し、前記情報処理部は、前記部品の採取位置と、前記部品の実装位置とを関連付けた情報を前記情報記憶部に記憶させ、前記情報出力部は、前記特定採取位置の所定の近傍範囲となる近傍採取位置の前記部品に対する対処情報として、前記部品の採取位置と前記部品の実装位置とを関連付けた情報に基づいて前記近傍採取位置から採取された前記部品の実装先の情報を出力するものとすることもできる。こうすれば、近傍採取位置から採取された部品の実装状態を追跡調査することができるから、実装不良の流出防止などが可能となる。
【0055】
本開示の情報管理装置において、前記情報取得部は、前記基材における前記部品の実装位置に関する情報と、前記部品が実装された前記基材に行われる前記部品の検査の結果に関する情報とを取得し、前記情報処理部は、前記部品の採取位置と、前記使用可否の判定結果と、前記部品の実装位置と、前記検査の結果とを関連付けた情報を前記情報記憶部に記憶させ、前記情報出力部は、前記近傍採取位置から採取された前記部品の検査において不良とされた結果と、前記特定採取位置との相関の有無を判定し、相関があると判定した場合に前記対処情報を出力するものとすることもできる。こうすれば、検査において不良とされた結果と特定採取位置との相関があるために近傍採取位置の部品への対処の必要性がより高い場合に、対処情報を適切に出力することができる。
【0056】
本開示の情報管理方法は、複数の部品に分割されたウェハから前記部品を採取して基材に実装する際に前記部品の使用可否を判定してから実装する実装システムにおける情報を管理する情報管理方法であって、(a)前記ウェハにおける前記部品の採取位置に関する情報と、前記部品の使用可否の判定結果に関する情報とを取得するステップと、(b)前記部品の採取位置と、前記使用可否の判定結果とを関連付けた情報を記憶するステップと、を含むことを要旨とする。
【0057】
本開示の情報管理方法は、上述した情報管理装置と同様に、ウェハにおける部品の採取位置に関する情報と、部品の使用可否の判定結果に関する情報とを取得し、部品の採取位置と使用可否の判定結果とを関連付けた情報を記憶する。これにより、記憶した情報から、使用不可と判定された部品のウェハにおける位置の傾向を把握したり、使用不可と判定された部品の近傍から採取された部品の特定などが可能となるから、実装時に取得された情報を有効に活用して、迅速な対処を行うことができる。なお、この情報管理方法において、上述した情報管理装置の種々の態様を採用してもよいし、上述した情報管理装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。