(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6965382
(24)【登録日】2021年10月22日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】ブランクおよび歯科修復物を作製するための方法
(51)【国際特許分類】
A61C 5/77 20170101AFI20211028BHJP
A61C 13/083 20060101ALI20211028BHJP
A61K 6/831 20200101ALI20211028BHJP
【FI】
A61C5/77
A61C13/083
A61K6/831
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-24212(P2020-24212)
(22)【出願日】2020年2月17日
(62)【分割の表示】特願2018-534110(P2018-534110)の分割
【原出願日】2016年12月23日
(65)【公開番号】特開2020-103909(P2020-103909A)
(43)【公開日】2020年7月9日
【審査請求日】2020年3月5日
(31)【優先権主張番号】102015122864.5
(32)【優先日】2015年12月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515304558
【氏名又は名称】デンツプライ・シロナ・インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】504013395
【氏名又は名称】デグデント・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ローター・フォルクル
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・フェチャー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・クッツァー
(72)【発明者】
【氏名】ハイナー・ヘールホールド
【審査官】
小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−035332(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/181827(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0221554(US,A1)
【文献】
米国特許第06068913(US,A)
【文献】
米国特許第03360348(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 5/77
A61C 13/083
A61K 6/831
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科フレームワーク、クラウン、部分的クラウン、ブリッジ、キャップ、ベニア、アバットメント、ピン構造などの歯科修復物(34)、多要素ブリッジの作製に使用するための事前焼結または完全焼結ブランク(3)であって、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、および/または酸化セリウム(CeO2)を添加された二酸化ジルコニウムを含有し、その高さで見たときに異なる組成の層を有する、セラミック材料からなり、ここにおいて、第1の層(14)の材料は室温において存在する安定化された結晶形態の色および割合に関して第2の層(24)の材料と異なり、ここにおいて、二酸化ジルコニウムは、第1の層において少なくとも95%の正方結晶形態を有し、また二酸化ジルコニウムは、第2の層において51%から80%の間である正方結晶形態を有し、ここにおいて、前記ブランク(33)は、1つが前記ブランクの全高Hの少なくとも1/10Hから1/5Hにわたって延在する中心層(28)であり、前記第1の層(14)および前記第2の層(24)の材料から形成されている、少なくとも3つの層を有する、事前焼結または完全焼結ブランク(3)。
【請求項2】
前記中心層(28)において、前記第1の層(14)の前記材料のパーセンテージは、そこから始めて前記第2の層(24)の方向に連続的にまたは実質的に連続的に減少することを特徴とする請求項1に記載のブランク。
【請求項3】
前記二酸化ジルコニウムは、酸化イットリウムを添加され、ここにおいて、前記第1の層(14)中の酸化イットリウムのパーセンテージは、4.5wt%から7.0wt%の間であり、前記第2の層(24)中では7.0wt%から9.5wt%の間であることと、前記第1の層中の酸化イットリウムの前記パーセンテージは、前記第2の層中の前記パーセンテージより低いこととを特徴とする請求項1または2に記載のブランク。
【請求項4】
前記第2の層(24)の方向に始まる前記第1の層(14)からの前記中心層(28)中の酸化イットリウムのパーセンテージは、好ましくは連続的にまたは実質的に連続的に増加することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のブランク。
【請求項5】
前記第1の層(14)は、前記第2の層(24)のそれと異なることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のブランク。
【請求項6】
根元側の歯の軸方向で見たときに前記ブランク(33)から導出される修復物(34)は、切歯側より高い半透明性を有し、および/または前記切歯側で、完全焼結後には、前記根元側より高い半透明性を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のブランク。
【請求項7】
請求項1に記載のブランクから作製される歯科修復物(34)であって、
歯の軸方向で見たときの前記修復物(34)は、前記根元側上に延在する少なくとも1つの第1の層(40)と、前記切歯側上に延在する第2の層(24)と、それらの間に延在する中心層(28)または中間層(128)とからなり、前記第1の層から始まり前記第2の層の方向に連続的にもしくは実質的に連続的に強度が減少し、および/または連続的にもしくは実質的に連続的にその半透明性が高まるものであり、ここにおいて、前記層は、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、および/または酸化セリウム(CeO2)を添加された二酸化ジルコニウムを含有するセラミック材料を含むかまたはそれからなり、およびここにおいて、前記第1の層(14)の材料は、前記第2の層(24)の材料と、室温において存在する安定した結晶形態の色および割合に関して異なり、ここにおいて、二酸化ジルコニウムは、第1の層において少なくとも95%の正方結晶形態を有し、また二酸化ジルコニウムは、第2の層において51%から80%の間である正方結晶形態を有することを特徴とする歯科修復物(34)。
【請求項8】
前記歯科修復物(34)は、基部側が前記第1の層(14)の領域内に貫入するコネクタを有するブリッジであることを特徴とする請求項7に記載の歯科修復物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、セラミック材料からブランクを、特に歯科修復物の調製に使用されるブランクを調製するための方法に関するものであり、ここにおいて、異なる組成のセラミック材料の少なくとも2つの層は、モールド内に層毎に充填され、次いで、これらの層は、加圧され、焼結される。
【0002】
本発明は、特に二酸化ジルコニウムを含有し、その高さにわたって見たときに、異なる組成の層を有する、セラミック材料を備える、歯科フレームワーク、クラウン、部分的クラウン、ブリッジ、コーピング、ベニア、アバットメント、ピン構造などの歯科修復物、特にクラウン、部分的クラウン、またはブリッジの調製に使用される事前焼結または完全焼結に関するものでもある。
【0003】
本発明の主題は、異なる組成の層を有するセラミック材料のブランクから調製される、歯科修復物、特にクラウン、部分的クラウン、またはブリッジでもある。
【背景技術】
【0004】
米国特許第8,936,848B2号では、歯牙交換品の調製のために使用され、異なる化学組成の多数の層を備える二酸化ジルコニウムのブランクを開示している。それによって、個別の層は、異なるパーセンテージの酸化イットリウムを有する。
【0005】
二酸化ジルコニウムの本体部は、L*a*b*色空間内の直線に沿って色度の減少または増大を示す。
【0006】
国際公開第2014/062375A1号による歯科対象物の調製のための二酸化ジルコニウムのブランクは、異なる割合の正方結晶相および立方結晶相を有する少なくとも2つの材料領域を有し、ここにおいて、これらの領域の1つの領域では比は1より大きく、他の領域では比は1より小さい。
【0007】
欧州特許第2,371,344A1号は、表面から所望の深さのところまで安定化剤で富化されたセラミック本体部に関するものである。
【0008】
二酸化ジルコニウムは、歯科修復物を作製するためのセラミック材料として使用される。フレームワークは、たとえば、二酸化ジルコニウムのブランクからミリングされ得、次いで、焼結され得る。次の処理段階において、ベニアが手作業でフレームワークに施され、ここにおいて、少なくとも1つの切歯材料が手作業で施され、融合される。これらのプロセスステップのすべては時間がかかる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、従来技術の不利点が回避されるように、および特に美観上の要求条件を満たし、さらにブリッジのコネクタの基部側などの、大きな負荷のかかる領域内で高い強度を有する、歯科修復物が骨の折れる後処理のなしでセラミック材料から作製され得るような前述のタイプの方法を開発することである。
【0010】
この目的を達成するために、第1の層を充填した後に、層が、その表面に沿って見たときに異なる高さの領域を備える、すなわち、一様な充填高さを有しないような表面構造を備え、組成が第1の層と異なる第2の層が次いでモールド内に充填されるような、上で概要を述べた方法がさらに開発される。
【0011】
代替として、第1の層と比較して異なる組成を有する中間層が、第1の層の上のダイ内に充填され、第2の層が次いでダイ内に充填される前に両方の層が混合される。特に、中間層の材料が、中間層の高さの2倍または約2倍である、高さにわたって中間層の自由表面から始まる第1の層の材料と混合されることが規定される。さらに、特に、中間層の材料が第2の層に使用される材料と同じ材料であることが規定される。
【0012】
本発明によれば、第1の代替的形態について最初に、注ぎ込み可能な状態にある材料の第1の層がダイ内に充填される。この材料は、たとえば、1g/cm
3から1.4g/cm
3の間、好ましくは1.15g/cm
3から1.35g/cm
3の範囲内にあるかさ密度を有する、歯の色をした二酸化ジルコニウム粒状材料であるものとしてよい。40μmから70μmの間の粒径D50を有することができる、粒状材料が充填された後、表面は滑らかにされ、次いで、特に互いに平行に延在し、特にしかしながら、同心円上にもしくは互いに平行に延在する凹部(谷部)および隆起部を有している構造を整形するか、または形成する。この目的のために、特に、波状、くし状、または鋸歯状の部分により、第1の層をその表面領域において構造化する、第1の層に関して、移動する、特に第1の層に関して、回転する、要素を通じて構造が形成されることが規定される。隆起部と谷部とが交互する構造を形成するための表面の準「レーキング」がある。
【0013】
特に、隆起部の体積が凹部もしくは谷部の体積に等しいか、またはほぼ等しくなるように構造が形成されるべきである。
【0014】
鋸歯状要素は、好ましくは、形状が対称的であるV字形歯を有し、15°から45°の間の角度を囲むフランクを有する。隣接する歯と歯の間の距離、すなわち、頂点と頂点との距離は、1mmから4mmの間、好ましくは1mmから3mmの間であるべきである。
【0015】
次いで、注ぎ込み可能な第2のセラミック材料がモールド内に充填され、構造の谷部を形成するトラフから始めて量が増大し、それにより、結果として、隆起部の高さにわたって第2の層のパーセンテージの仮想的に一定の増大が生じる。表面を滑らかにした後、層は、3g/cm
3の領域内で近似的密度を達成するように圧縮される。次いで、700℃から1100℃の間、特に800℃から1000℃の範囲の温度で、たとえば、100分から150分の間の時間に、事前焼結が実行される。次いで、このようにして作製されたブランクは、二酸化ジルコニウムについては、たとえば、6.0から6.1g/cm
3の範囲内にある最終密度が得られるまで、次いで焼結される所望の歯科修復物を、ミリングおよび/または研磨により生み出すように加工される。
【0016】
たとえば10分から250分の間の時間をかけて、1300℃から1600℃の間の温度で、完全な/最終的な焼結が完全密度になるまで実行される。完全な焼結は、いくぶん高い温度でも実行され得る。たとえば、出発物質の製造業者によって与えられている温度よりも100℃高い温度で焼結が実行される場合、これは、過焼結と称され、焼結時間は完全焼結について与えられた時間に対応する。
【0017】
完全焼結は、特に、1350℃から1550℃の範囲内で実行され、ここにおいて、6.0から6.1g/cm
3、特に6.04から6.09/cm
3の間の密度が達成され得る。
【0018】
層の貫通の結果、異なる物理的および光学的特性がブランクの高さにわたって達成され得る利点が得られる。したがって、第1の層が必要な程度まで着色された後、完全焼結の後に、貫通する第1の層材料と第2の層材料とによって形成される遷移領域の端から端まで、歯の色の強度が連続的に減少し、それと同時に半透明性が望ましい仕方で増大する、歯の色をした縁領域が得られ得る。次いで、歯科修復物が、層のコースを考慮して、特にミリングによってブランクから作製され、ここにおいて、歯科修復物は歯の切歯が第2の層の領域内に延在するようにブランク内に「横たえられる」。
【0019】
これと無関係に、層と層との間の連続的遷移は、本発明の教示に基づき規定され、それにより、色/半透明度は連続的に減少するか、または増大し、また曲げ強度は、広い範囲にわたって負荷を受ける、歯科修復物の領域が負荷がそれほど高くない領域より高い曲げ強度を有するように調整され得る。この場合、いきなりの遷移はないが、述べたように、作製されるべき歯科修復物の高さにわたる連続的な、すなわち、一様で準連続的な遷移はあり、可能性は従来技術からは知られない−異なる組成のいずれかの層は、他方の上に配置構成され、したがって、階段状の急な変化が結果として生じるか、または外面とは排他的に、材料特性の変化が、すなわち、歯科修復物全体にわたり、およびその高さにはわたらずにある。
【0020】
好ましい方式において、層の表面から材料を変位させることによって、波状もしくは鋸歯状構造とも称される、構造物を形成するために、要素を、特にモールドの縦軸に沿って延在する軸の周りに回転させることによって層材料を混合する可能性が規定される。表面の方向で第1の層に作用し、特に、スタンプとも称される、要素のメス型が第1の層の表面内に押し込まれるように間に延在する凹部を有する表面内に延在する突起部を有する、圧力要素を用いて構造を形成する可能性もある。次いで、上で説明されているように、第2の層のセラミック材料が充填され、次いで、層同士を加圧し、次いで加圧された物体を事前焼結するために滑らかにされる。
【0021】
使用されるセラミック材料は、特に、酸化イットリウム(Y
2O
3)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、および/または酸化セリウム(CeO
2)を添加されるが、特に、酸化イットリウムを添加された二酸化ジルコニウムを含有するものであり、ここにおいて、第1の層の材料は第2の層の材料と、室温において安定化される色および/または結晶形態に関して異なる、
さらに、本発明は、群Pr、Er、Fe、Co、Ni、Ti、V、Cr、Cu、Mn、Tb、好ましくはFe
2O
3、Er
2O
3、またはCo
3O
4の要素からの少なくとも1つの色付けする酸化物で着色されるべき第1および/または第2の層の材料を提示する。
【0022】
本発明は、第1および第2の層が第1および第2の層の全高の1/15から1/4、特に1/10から1/5である高さHにわたる重ね合わされた領域内に相互浸透させられることも特徴とする。
【0023】
第1の層は、第1および第2の層を合わせた厚さの1/2から2/3におおよそ対応する構造化されていない状態の高さを有するべきである。
【0024】
第1の層が高い強度を特徴とし、第2の層が望ましい程度の半透明性を有するために、本発明は第1の層内の酸化イットリウムのパーセンテージを4.7wt%から7.0wt%とし、および/または第2の層内のパーセンテージを7.0wt%と9.5wt%の間とすることを規定し、ここにおいて、第1の層内の酸化イットリウムのパーセンテージは第2の層内のパーセンテージよりも小さい。
【0025】
さらに、二酸化ジルコニウムの正方相と立方相との比は事前焼結後に第1の層においてさらには第2の層において≧1であるべきである。
【0026】
特に、二酸化ジルコニウムは、第1の層において少なくとも95%の正方結晶形態を有する。第2の層において、正方結晶相は、51%から80%の間であるべきである。残り部分は、特に立方結晶相であるべきである。
【0027】
第1および第2の層に対する基材は、好ましくは、重量パーセントで次の組成を有する。
HfO
2 <3.0
Al
2O
3 <0.3
技術的に引き起こされる不可避な成分≦0.2(SiO
2、Fe
2O
3、Na
2Oなど)
第1の層:Y
2O
3 4.5から7.0
第2の層:Y
2O
3 7.0から9.5
色付けする酸化物:0〜1.5
ZrO
2=100−(Y
2O
3+Al
2O
3+HfO
2+不可避な成分+色付けする酸化物) 本発明は、特に、次の方策を特徴とする。第1に、もっぱら二酸化ジルコニウムからなる、第1の歯の色をしたセラミック材料がモールド内に充填される。充填する高さは、加圧前に1/2から2/3のブランク高さにおおよそ対応する。
【0028】
次いで、表面は、特別な構造の要素またはスタンプによって構造化され、ここにおいて、構造は、第1の材料から第2の材料への特性の連続的遷移があるように設計され得る。また、第1の層の表面の幾何学的形状は、層材料の拡散係数により整合され得る。
【0029】
好ましくは、第1の層が配置されるモールド内、すなわちダイ内まで下げられる回転する要素が使用され、次いで、必要な程度まで第1の層内に浸漬される。表面は、波状またはくし状の要素のような層側上に構造化されている、要素を回転させることによって選択的に構造化される。代替的に、表面は、好適な幾何学的形状を有するプレスプランジャによって構造化され得る。
【0030】
その後、ダイは、好ましくはより高い半透明性、およびより高いY
2O
3含有量も有する、第2の、特に色の薄いセラミック材料を充填される。次いで、セラミック材料の通常の加圧および事前焼結が行われる。
【0031】
好ましくは歯の色に対応して着色され、もっぱら二酸化ジルコニウムである、第1の層の充填後に、中間層を形成するための材料が、次いでダイ内に充填される場合に、本発明からの逸脱もない。この材料は、第1の材料に比べて色が薄いものであるべきであり、また本質的に、酸化イットリウム含有量が第1の層よりも高い、二酸化ジルコニウムからなるべきである。中間層は、たとえば、ダイ内に充填されるべき層の全高の1/10から1/5の高さを有するものとしてよい。次いで、中間層材料は、第1の層と混合される。この場合、少なくとも中間層の高さに対応する深さまで第1の層に浸透する要素との混合が行われる。次いで、より高い半透明性をもたらし、第1の層に比べて高い酸化イットリウム含有量を有するべきである、前に説明されている第2の層に対応する層がダイ内に充填される。次いで、上で説明されているように、セラミック材料は、特に、ミリングによりそのように作製されたブランクから歯科修復物を得るために、ブランクに対して押し付けられ、事前焼結される。さらなる処理ステップは、完全密度までの完全焼結である。中間層の材料は、第2の層の材料であるべきである。
【0032】
上で説明されている方法に無関係に、ベニアを張り付けなくてよい、モノリシック構造の歯科修復物が完全焼結後に得られるが、ベニアを張り付けるステップを施すことは本発明からの逸脱ではない。
【0033】
特に二酸化ジルコニウムを含有するセラミック材料からなる、および異なる組成の層をその高さにわたって有する、歯科用フレームワーク、クラウン、部分的クラウン、ブリッジ、コーピング、ベニア、アバットメント、ピン構造などの、歯科修復物の製造で使用するための事前焼結された、または完全焼結されたブランクは、ブランクが、ブランクの高さの少なくとも1/10から1/5にわたって延在する1つの中心層が第1の層の材料および第2の層の材料または中間層の材料からなる、3つの層を有することを特徴とする。本発明は、特に、中心層において、第1の層の材料の割合が、第2の層へ向かう方向で連続的にまたは実質的に連続的に減少しているという事実を特徴とする。
【0034】
本発明によれば、結果として、色および半透明性の連続的変化が可能なように第1の層と第2の層との間に連続的な遷移がある。また、そのような方策を用いることで、特に、第1の層が延在し、最高の強度を有するブランクの領域から削り出される場合に、ブリッジのコネクタの基部側などの、高負荷を受ける領域内で、所望の程度の強度値を得ることが可能である。
【0035】
特に、セラミック材料が、酸化イットリウムを添加された少なくとも85重量%の二酸化ジルコニウムを含有し、第1の層中の酸化イットリウムの割合は最大7.0重量%までであり、第1の層中の酸化イットリウムの割合は第2の層より低い、ことが規定されている。
【0036】
本発明のさらなる開発において、第1の層および第2の層は、完全焼結された修復物が切歯側に比べて根元側で歯の軸方向に見た強度が高く、および/または切歯側では根元側に比べて半透明性が高くなるように異なる着色をされ、および/または酸化イットリウムを添加される。
【0037】
上で説明されているタイプのブランクから調製された、歯科修復物、特に、クラウン、部分的クラウンまたはブリッジは、特に、第1の層から連続的にまたは実質的に連続的に第2の層の方向に強度が減少し、および/または半透明性が高まる、歯の軸方向に見たときに根元側に延在する少なくとも1つの第1の層と、切歯側上に延在する第2の層と、それらの間に延在する中心層とを有することを特徴とする。
【0038】
本発明による教示に基づき、手作業でベニアセラミックを切歯側に張り付ける必要なく、歯科修復物が安価に、再現可能に作製され得る。これによって、最高の曲げ強度が高負荷の領域内で達成され得るような仕方でセラミック材料の組成を通じて強度を調整することが可能である。
【0039】
結果として、本発明のさらなる詳細、利点、および特性は、請求項だけでなく、その特徴からも、これら単独でおよび/または組み合わせて、得られるが、好ましい例示的な実施形態の次の説明からも得られる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】アセンブリおよびそれと一緒に実行され得るプロセスステップの概略図。
【
図2】
図1b)においてより詳細に示されているアセンブリの図。
【
図3】
図3aは、ブランク特性を示すための概略図。
図3bは、ブランク特性を示すための概略図。
図3cは、ブランク特性を示すための概略図。
図3dは、ブランク特性を示すための概略図。
【
図4】
図3によりブランクから調製されるべきブリッジの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明による教示は、同一の要素は同じ参照記号を備える、図を参照することによって明確にされる。教示に基づき、特に、歯科修復物が、すぐに使用できるモノリシックな歯牙交換品が完全焼結後に得られるようなモノリシック構造を有するセラミック材料から作製される。この目的のために、本発明によれば、異なる組成を有するセラミック材料のいくつかの層からなるブランクが作成され、これを用いて、作製されるべき歯科修復物に従って、特に、たとえば、材料が手で施され、完全焼結後に焼成されることを必要とせずに、直接使用可能な歯科交換品をもたらす望ましい光学的および機械的特性が得られるものとしてよい。それに加えて、ブリッジのコネクタ基部側のように、高い負荷が生じる領域内で望ましい強度値が達成可能である。
【0042】
図1および2を参照しつつ、対応する歯科修復物が作製され得るブランクの作製が説明されている。したがって、
図1a)に示されているように、第1の材料14がプレス12のダイ10内に充填され、前記材料は、特に、酸化イットリウムで安定化されている二酸化ジルコニウムであり、重量パーセントで次の組成を有し得る。
HfO
2 <3.0
Al
2O
3 <0.3
技術的に引き起こされる不可避な成分≦0.2(SiO
2、Fe
2O
3、Na
2Oなど)
Y
2O
3 4.5から7.0
着色酸化物:0〜1.5
ZrO
2=100−(Y
2O
3+Al
2O
3+HfO
2+不可避な成分+色付けする酸化物) その後、第2の層24がダイ10(
図1c)内に充填され、そこで、層14および24の全高は、本発明による教示の制限なしで、構造化されていない状態の層14の高さの2倍に等しい。第2の層は、重量パーセントで次の組成を有し得る。
HfO
2 <3.0
Al
2O
3 <0.3
技術的に引き起こされる不可避な成分≦0.2(SiO
2、Fe
2O
3、Na
2Oなど)
Y
2O
3 7.0から9.5
色付けする酸化物:0〜1.5
ZrO
2=100−(Y
2O
3+Al
2O
3+HfO
2+不可避な成分+色付けする酸化物) 色付けをする酸化物は、特に、群Pr、Er、Fe、Co、Ni、Ti、V、Cr、Cu、Mn、Tb、好ましくはFe
2O
3、Er
2O
3、またはCo
3O
4の要素である。
【0043】
第1の層14が、好ましくは第1および第2の層14、24の全高Hの半分に対応する高さを有する場合、第1の層14の高さは、1/2Hから2/3Hであってもよく、したがって第2の層24の高さは1/3Hから1/2Hであってもよい。
【0044】
次いで、滑らかにされた表面はステップb)に従って構造化される。この目的のために、たとえば、例示的な実施形態において、層側に歯のある幾何学的形状を有し、それにより、対応するネガ構造が材料を変位させることによって層14の表面18内に形成される、円板形状、板形状、またはクモの巣形状の要素16が使用される。この構造は、同心円状に延在する隆起部および囲む谷部によって表される。隆起部(頂点)と谷部(凹部)との間の距離、すなわち、
図2による突出部20と谷底22との間の遮られない距離は、すべての層の高さの約1/5であるべきである。
【0045】
特に、隆起部の体積が凹部もしくは谷部の体積に等しいか、またはほぼ等しくなるように構造が形成されることが規定されている。
【0046】
第2の層24の材料は、層14の表面18における谷部26の基部内に貫通するので、層24、14が
図1d)により加圧された後に、層14の特性と層24の特性との間に連続する遷移がある。遷移または中間層は、
図1d)では参照番号28によって表されている。
【0047】
層24は、層14の材料と異なる材料からなる。この違いは、特に、着色添加物および酸化イットリウムの割合にある。後者は、事前焼結の後の層24内の立方結晶相の割合が層14における割合より相当大きくなるように選択される。層14において、正方結晶相の比率は90%より大きく、層24内の立方結晶相の比率は30%から49%の間である。残りは、本質的に正方結晶相である。
【0048】
これらの異なる結晶相の比率は、層14内の酸化イットリウムの含有率が4.5重量%から7重量%の間、および層24において7重量%から9.5重量%の間であり、ここにおいて、第1の層14における割合は第2の層24における割合より低い、という事実から結果として生じる。
【0049】
層24における色酸化物の比率は、層14に比較して低減され、0.0から1.5重量%の範囲内、好ましくは0.005から0.5重量%の範囲内である。この方策の結果として、層14と24との間に連続的色遷移がある。酸化イットリウム含有率が高いので、曲げ強度が低減され、また層14と比較して層24における半透明性は高い。
【0050】
最高の強度は、高負荷を受ける歯科交換品、特にブリッジのコネクタの下側が
図4に示されているように延在する、層14内に見られる。
【0051】
層14、24は、スタンプ30を用いて加圧され、圧力は1000バールから2000バールの間である。
【0052】
注ぎ込み可能な材料、すなわち、これがダイ10内に充填されるその状態において、1g/cm
3から1.4g/cm
3のかさ密度を有する。加圧した後、密度は約3g/cm
3である。
【0053】
構造化の結果として、層14および24が突き固められる前に第1および第2の層14、24の非混合領域の間の遷移領域内で最大2g/cm
3までの密度が得られる。遷移領域は、中心層28とも称され得る。
【0054】
加圧後に、作製されたブランク33がモールド10から排出され、800℃と1000℃の間の温度で、100分と150分の間の時間期間にわたって、通常の方式で事前焼結される。対応するブランクも、
図4に示されている。ブランク33は、圧縮された層14、圧縮された層24、および圧縮された中心層28、すなわち、遷移領域を備える。
【0055】
歯科交換品−例示的な実施形態ではブリッジ34−がブランク33からミリングされる場合、ミリングプログラムは、ブリッジ34の下側領域が特にコネクタの基部側36の領域内で、最高の曲げ強度を有する層14内に貫入するように設計される。ブリッジの切歯領域40は、対照的に、層24内に貫入する。
【0056】
準連続的または連続的な遷移が層14と24との間で生じる、遷移領域、すなわち、中心層28において、象牙質と切歯領域との間に遷移がある。象牙質は、領域14内に貫入する。
【0057】
本発明による教示の本質的な特徴は、
図3を参照しつつもう一度例示される。したがって、
図3は、層14および24、さらには遷移領域28を有するブランク33をもう一度示す。
【0058】
図3bは、酸化イットリウムの形態の安定化剤が、第1の層14内で約5重量%、および第2の層24内で約9重量%であること、ならびに本発明による中間層28の配置構成に基づき、酸化イットリウムのパーセンテージが連続的に増大することを示すことを意図されている。値0.425Hおよび0.575Hは、
図1および
図2に示されている要素16が第1の層14内に、表面18より0.075H下からの領域内の層14、24の全高Hに関して延在する谷部が形成され、隆起部または頂点が表面18より0.075H上からの領域内に延在するように留置され、ここにおいて、述べたように、要素16の鋸歯形状の構造の頂点20と谷部22との間の距離は0.15Hとなる、ことを示す。
【0059】
DIN ISO6872により完全に焼結された層14および24の測定は、二酸化ジルコニウムの正方結晶相の80%超が存在する、層14内の曲げ強度σ
Bが約1000MPaであることを示している。対照的に、30から49%の立方結晶相が存在する、層24内の曲げ強度は、約660MPaである。
【0060】
図3dは、層14、24の高さにわたって半透明性の変化を示している。
【0061】
図5を参照すると、本発明による教示に従う、代替的方法が示され、ここにおいて、半透明性および強度に関して第1の層と第2の層との間にまたは修復物の場合には象牙質領域と切歯領域との間に大きな連続的遷移をもたらすブランクまたは歯科修復物が調製される。
【0062】
したがって、
図5aによれば、
図1による層14に対応する、第1のセラミック材料が、最初にダイ10内に充填される。
図5aの対応する層は、番号114で示されている。この層の高さは、ダイ10内に充填される層全体の高さの半分であるものとしてよい。次いで、例示的な実施形態において厚さが層の全高の1/10である層127が層114に張り付けられる。層127の材料は、
図1による第2の層24の材料に対応するものとしてよい。次いで、層127は、層127の厚さに対応する深さにわたって層114の表面領域と混合される。これは、層の全高の2/10の厚さを有する中間層128を形成する。次いで、
図1による第2の層24に対応する、さらなる層124が中間層128に張り付けられる。例示的な実施形態における層124の高さは、したがって全高Hの4/10である。次いで、層124、128、114は、説明されているように事前焼結するステップ、加工するステップ、および完全焼結するステップからなるプロセスステップの実行を可能にするために、
図1の例示的な実施形態により一緒に加圧される。加工は、当然のことながら、完全焼結後に実行され得る。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] セラミック材料からブランク(33)を、特に歯科修復物の作製に使用されるべきブランクを作製するための方法であって、ここにおいて異なる組成のセラミック材料の少なくとも2つの層(14、24)は、ダイ(10)内に層毎に注ぎ込み可能な状態において充填され、その後、これらの層は、加圧され、焼結され、
注ぎ込み可能な状態にある第1のセラミック材料の第1の層(14)を充填した後に、前記第1の層の表面は、表面(18)上で見たときに前記第1の層が領域毎に高さに関して異なり、次いで、第2の層(24)として、前記第1の層の組成と異なる組成を有する注ぎ込み可能な状態にある第2のセラミック材料の層がモールド内に充填される、ように構造化されること、
または前記第1の層(114)の充填後に、前記第1の層と異なる、注ぎ込み可能な状態にあるセラミック材料のさらなる層(127)が、ダイ(10)内に充填されること、および前記第1の層の前記材料が、中間層(128)を形成するために前記さらなる層の前記材料と混合され、次いで、前記第2の層(124)が前記ダイ内に充填されることを特徴とする方法。
[2] 前記第1の層(14)の前記表面(18)は、隆起部および凹部が形成されるように構造化されることを特徴とする[1]に記載の方法。
[3] 同心円状の隆起部と凹部とを示す、上から見たときにリング構造が前記表面(18)内に形成されることを特徴とする[1]または[2]に記載の方法。
[4] 前記構造は、前記第1の層(14)に関して、移動し、特に回転する、および波状、くし状、または鋸歯状の形状を有する部分を用いて表面領域内の前記第1の層(14)を特に構造化する、要素(16)によって作製されることを特徴とする[1]から[3]の少なくとも一項に記載の方法。
[5] 前記構造は、前記第1の層(14)の前記表面(18)の方向に作用する圧力要素によって生成されることを特徴とする[1]から[4]の少なくとも一項に記載の方法。
[6] 使用される圧力要素は、同心円状にまたは平行に延在する隆起部が凹部が間に延在する前記第1の層(14)の前記表面(18)内に圧入されるような要素であることを特徴とする[1]から[5]の少なくとも一項に記載の方法。
[7] 前記構造は、隆起部の体積が凹部の体積に等しいか、またはほぼ等しくなるように形成されることを特徴とする少なくとも[1]に記載の方法。
[8] 前記さらなる層(127)の前記材料は、前記さらなる層の高さの2倍または約2倍に対応する高さにわたって前記さらなる層の自由表面から始まる前記第1の層(114)の材料と混合されることを特徴とする少なくとも[1]に記載の方法。
[9] 前記さらなる層(127)に使用される前記材料は、前記第2の層(24、124)に使用される材料と同じであることを特徴とする少なくとも[8]に記載の方法。 [10] セラミック材料として使用される前記材料は、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、および/または酸化セリウム(CeO2)、特に酸化イットリウムを添加された二酸化ジルコニウムを含有し、ここにおいて、前記第1の層(14)の前記材料は前記第2の層(24)の前記材料と、室温において存在する安定した結晶形態の色および/または割合に関して異なることを特徴とする[1]から[9]の少なくとも一項に記載の方法。
[11] 前記第1および/または第2の層(14、24)および/または前記中間層の材料は、群Pr、Er、Fe、Co、Ni、Ti、V、Cr、Cu、Mn、Tb、好ましくはFe2O3、Er2O3、またはCo3O4からの要素の少なくとも1つの着色酸化物で着色されることを特徴とする[1]から[10]の少なくとも一項に記載の方法。
[12] 前記第1の層(14)は、1/5Hから1/4H、特に1/10Hから1/5Hである高さにわたって積み重なる領域内の前記第2の層(24)と混合され、ここで、Hは前記第1および第2の層の全高であることを特徴とする[1]から[11]の少なくとも一項に記載の方法。
[13] 構造化されていない状態にある前記第1の層(14)は、前記第1および第2の層(14、24)の全高Hの半分であるか、または約半分である高さを有することを特徴とする[1]から[12]の少なくとも一項に記載の方法。
[14] 前記第1および/または第2のセラミック材料として使用される前記材料は、前記第1の層(14)中の酸化イットリウムのパーセンテージが4.5wt%から7.0wt%であり、および/または前記第2の層(24)内のパーセンテージは、7.0wt%から9.5wt%である材料であり、ここにおいて、前記第1の層中の酸化イットリウムの前記パーセンテージは、前記第2の層中の前記パーセンテージより低いことを特徴とする[1]から[13]の少なくとも一項に記載の方法。
[15] 前記第1の層(14)および前記第2の層(24)に使用される前記セラミック材料は、事前焼結後の前記第1の層および前記第2の層の両方における二酸化ジルコニウム内の正方結晶相と立方結晶相との比が≧1である材料であることを特徴とする[1]から[14]の少なくとも一項に記載の方法。
[16] 歯科フレームワーク、クラウン、部分的クラウン、ブリッジ、キャップ、ベニア、アバットメント、ピン構造などの歯科修復物(34)、特に多要素ブリッジの作製に使用するための事前焼結または完全焼結ブランク(3)であって、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、および/または酸化セリウム(CeO2)を添加された二酸化ジルコニウムを含有し、その高さで見たときに異なる組成の層を有する、セラミック材料からなり、ここにおいて、第1の層(14)の材料は室温において存在する安定化された結晶形態の色および割合に関して第2の層(24)の材料と異なり、ここにおいて、前記ブランク(33)は、1つが前記ブランクの全高Hの少なくとも1/10Hから1/5Hにわたって延在する中心層(28)であり、前記第1の層(14)および前記第2の層(24)の材料から形成されている、少なくとも3つの層を有する、事前焼結または完全焼結ブランク(3)。
[17] 前記中心層(28)において、前記第1の層(14)の前記材料のパーセンテージは、そこから始めて前記第2の層(24)の方向に連続的にまたは実質的に連続的に減少することを特徴とする[16]に記載のブランク。
[18] 前記二酸化ジルコニウムは、酸化イットリウムを添加され、ここにおいて、前記第1の層(14)中の酸化イットリウムのパーセンテージは、4.5wt%から7.0wt%の間であり、前記第2の層(24)中では7.0wt%から9.5wt%の間であることと、前記第1の層中の酸化イットリウムの前記パーセンテージは、前記第2の層中の前記パーセンテージより低いこととを特徴とする[16]または[17]に記載のブランク。
[19] 前記第2の層(24)の方向に始まる前記第1の層(14)からの前記中心層(28)中の酸化イットリウムのパーセンテージは、好ましくは連続的にまたは実質的に連続的に増加することを特徴とする[16]から[18]に記載のブランク。
[20] 前記第1の層(14)は、前記第2の層(24)のそれと異なることを特徴とする[16]から[19]の少なくとも一項に記載のブランク。
[21] 根元側の歯の軸方向で見たときに前記ブランク(33)から導出される修復物(34)は、切歯側より高い半透明性を有し、および/または前記切歯側で、完全焼結後には、前記根元側より高い半透明性を有することを特徴とする[16]から[20]の少なくとも一項に記載のブランク。
[22] 特に少なくとも[16]に記載のブランクから作製される歯科修復物(34)、特にクラウン、部分的クラウン、またはブリッジであって、
歯の軸方向で見たときの前記修復物(34)は、前記根元側上に延在する少なくとも1つの第1の層(40)と、前記切歯側上に延在する第2の層(24)と、それらの間に延在する中心層(28)または中間層(128)とからなり、前記第1の層から始まり前記第2の層の方向に連続的にもしくは実質的に連続的に強度が減少し、および/または連続的にもしくは実質的に連続的にその半透明性が高まるものであり、ここにおいて、前記層は、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、および/または酸化セリウム(CeO2)を添加された二酸化ジルコニウムを含有するセラミック材料を含むかまたはそれからなり、およびここにおいて、前記第1の層(14)の材料は、前記第2の層(24)の材料と、室温において存在する安定した結晶形態の色および割合に関して異なることを特徴とする歯科修復物(34)、特にクラウン、部分的クラウン、またはブリッジ。
[23] 前記歯科修復物(34)は、基部側が前記第1の層(14)の領域内に貫入するコネクタを有するブリッジであることを特徴とする[22]に記載の歯科修復物。