(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
各ゲインスイッチレーザによって放出される前記パルスストリーム中のパルスは、前記光パルスコンバイナの前記少なくとも1つの出力にて出力される前記パルスストリーム中の隣り合うパルス間の時間的分離の半分以下の幅を有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光デバイス。
前記位相測定要素は、時間遅延干渉計であり、前記位相ランダム化された光パルスのソースの前記少なくとも1つの出力からの光を2つのアームに導くように構成され、少なくとも1つのアームは、干渉計遅延を含み、前記2つのアームからの光は、互いに干渉し、前記位相測定要素の出力に導かれる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光デバイス。
前記位相ランダム化された光パルスのソースは、各ゲインスイッチレーザからの前記光パルスストリームが遅延要素に導かれるように構成され、各遅延要素は、異なる量の遅延を提供し、遅延された各光パルスストリームが前記光パルスコンバイナに導かれる、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光デバイス。
各ゲインスイッチレーザは、各ゲインスイッチレーザからの光パルスストリームが互いに対して時間的にオフセットされるように、前記光パルスストリームを放出するように構成される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光デバイス。
位相ランダム化された光パルスのソースから位相ランダム化された光パルスを生成することであって、前記位相ランダム化された光パルスのソースは、各ゲインスイッチレーザが出力を有し、各ゲインスイッチレーザは、光パルスストリーム中の各パルスの位相がランダム化されるように、前記光パルスストリームを放出するように構成される、複数のゲインスイッチレーザと、光パルスコンバイナと、を備え、前記光パルスコンバイナは、各ゲインスイッチレーザの前記出力からパルスストリームを受け取り、前記パルスストリームを互いに結合して結合パルスストリームにし、前記結合パルスストリームを前記光パルスコンバイナの少なくとも1つの出力に導くように構成され、前記光パルスコンバイナの前記少なくとも1つの出力は、前記位相ランダム化された光パルスのソースの出力であり、前記位相ランダム化された光パルスのソースは、前記複数のゲインスイッチレーザによって放出された光パルスストリームが互いに対して時間的にオフセットされるように構成されることと、
光検出器に結合された位相測定要素を使用することによって、前記位相ランダム化された光パルスのソースからのパルスの位相を測定することであって、前記位相測定要素は、前記位相ランダム化された光パルスのソースの前記出力から前記結合パルスストリームを受け取るように構成され、前記位相測定要素における干渉計遅延は、各ゲインスイッチレーザによって放出される前記パルスストリーム中のパルス間の時間的分離に等しい、ことと、
を備える乱数を生成する方法。
位相ランダム化された光パルスのソースから位相ランダム化された光パルスを生成することであって、前記位相ランダム化された光パルスのソースは、各ゲインスイッチレーザが出力を有し、各ゲインスイッチレーザは、光パルスストリーム中の各パルスの位相がランダム化されるように、前記光パルスストリームを放出するように構成される、複数のゲインスイッチレーザと、光パルスコンバイナと、を備え、前記光パルスコンバイナは、各ゲインスイッチレーザの前記出力からパルスストリームを受け取り、前記パルスストリームを互いに結合して結合パルスストリームにし、前記結合パルスストリームを前記光パルスコンバイナの少なくとも1つの出力に導くように構成され、前記光パルスコンバイナの前記少なくとも1つの出力は、前記位相ランダム化された光パルスのソースの出力であり、前記位相ランダム化された光パルスのソースは、前記複数のゲインスイッチレーザによって放出された光パルスストリームが互いに対して時間的にオフセットされるように構成されることと、
光検出器に結合された位相測定要素を使用することによって、前記位相ランダム化された光パルスのソースからのパルスの位相を測定することであって、前記位相測定要素は、前記位相ランダム化された光パルスのソースの前記出力から前記結合パルスストリームを受け取るように構成され、前記位相測定要素における干渉計遅延は、前記光パルスコンバイナの前記少なくとも1つの出力にて出力される前記パルスストリーム中の隣り合うパルス間の時間的分離に等しい、ことと、
を備える乱数を生成する方法。
位相ランダム化された光パルスのソースから位相ランダム化された光パルスを生成することであって、前記位相ランダム化された光パルスのソースは、各ゲインスイッチレーザが出力を有し、各ゲインスイッチレーザは、光パルスストリーム中の各パルスの位相がランダム化されるように、前記光パルスストリームを放出するように構成される、複数のゲインスイッチレーザと、光パルスコンバイナと、を備え、前記光パルスコンバイナは、各ゲインスイッチレーザの前記出力からパルスストリームを受け取り、前記パルスストリームを互いに結合して結合パルスストリームにし、前記結合パルスストリームを前記光パルスコンバイナの少なくとも1つの出力に導くように構成され、前記光パルスコンバイナの前記少なくとも1つの出力は、前記位相ランダム化された光パルスのソースの出力であり、前記位相ランダム化された光パルスのソースは、前記複数のゲインスイッチレーザによって放出された光パルスストリームが互いに対して時間的にオフセットされるように構成されることと、
光検出器に結合された位相測定要素を使用することによって、前記位相ランダム化された光パルスのソースからのパルスの位相を測定することであって、前記位相測定要素は、前記位相ランダム化された光パルスのソースの前記出力から前記結合パルスストリームを受け取るように構成され、前記位相測定要素における干渉計遅延は、前記光パルスコンバイナの前記少なくとも1つの出力にて出力される前記パルスストリーム中の隣り合うパルス間の時間的分離の整数倍に等しい、ことと、
を備える乱数を生成する方法。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、添付の図を参照して非限定的な実施形態に係るデバイス及び方法を説明する。
【0007】
一実施形態では、量子乱数発生器のための光デバイスが提供され、
この光デバイスは、位相ランダム化された光パルスのソースを備え、
位相ランダム化された光パルスのソースは、
各ゲインスイッチレーザが出力を有し、各ゲインスイッチレーザが、パルスストリーム中の各パルスの位相がランダム化されるように、パルスストリームを放出するように構成される、複数のゲインスイッチレーザ(gain-switched lasers)と、
光パルスコンバイナと、
を備え、光パルスコンバイナは、各ゲインスイッチレーザの出力からパルスストリームを受け取り、パルスストリームを互いに結合して結合パルスストリーム(combined stream of pulses)にし、結合パルスストリームを光パルスコンバイナの少なくとも1つの出力に導くように構成され、光パルスコンバイナの少なくとも1つの出力は、位相ランダム化された光パルスのソースの出力であり、
位相ランダム化された光パルスのソースは、複数のゲインスイッチレーザによって放出された光パルスストリームが互いに対して時間的にオフセットされるように構成され、
光デバイスは、
位相ランダム化された光パルスのソースの出力から結合パルスストリームを受け取るように構成される位相測定要素と、
位相測定要素に光学的に結合される光学検出器と、
をさらに備える。
【0008】
さらなる実施形態では、乱数を生成する方法が提供され、
この方法は、
位相ランダム化された光パルスのソースから位相ランダム化された光パルスを生成することであって、位相ランダム化された光パルスのソースは、各ゲインスイッチレーザが出力を有し、各ゲインスイッチレーザが、パルスストリーム中の各パルスの位相がランダム化されるように、光パルスストリームを放出するように構成される、複数のゲインスイッチレーザと、光パルスコンバイナと、を備え、光パルスコンバイナが、各ゲインスイッチレーザの出力からパルスストリームを受け取り、パルスストリームを互いに結合して結合パルスストリームにし、結合パルスストリームを光パルスコンバイナの少なくとも1つの出力に導くように構成され、光パルスコンバイナの少なくとも1つの出力は、位相ランダム化された光パルスのソースの出力であり、位相ランダム化された光パルスのソースは、複数のゲインスイッチレーザによって放出された光パルスストリームが互いに対して時間的にオフセットされるように構成されることと、
光検出器に結合された位相測定要素を使用することによって、位相ランダム化された光パルスのソースからのパルスの位相を測定することと、位相測定要素が、位相ランダム化された光パルスのソースの出力から結合パルスストリームを受け取るように構成されることと、
を備える。
【0009】
レーザベースのQRNGは、ゲインスイッチレーザにおいて位相ランダム化を利用する。位相ランダム化されたパルスは、例えばゲインスイッチダイオードレーザにおいて生成され、ランダム位相は、位相測定要素を使用して測定される。
【0010】
一手法では、単一のゲインスイッチレーザからのパルスは、位相測定要素に送られる。位相測定要素は、遅延線干渉計とも称され、各到来パルスは、2つのパルスに分割され、1つのパルスは遅延され、1つのパルスは遅延されない。到来パルスに由来する遅延パルスは、後続の到来パルスに由来する非遅延パルスと干渉させられる。干渉したパルスの強度に対応する信号が、光検出器を使用して測定され、測定された信号は、乱数を表す。
【0011】
別の手法では、2つのレーザ(1つはパルス化され、1つは連続波状態にある)が互いに干渉させられる。別の手法では、2つのレーザがパルス化され、各レーザによって放出されるパルスが互いに干渉させられる。次いで、干渉信号の強度に対応する信号が、光検出器を使用して測定され、測定された信号は、乱数を表す。
【0012】
上記の手法では、パルスレーザは、非常に高速でオンオフをスイッチングすることができず、そうでない場合、連続するパルス間の位相関係は、もはやランダムでない。連続するパルス間のランダム位相を保証するためには、ダイオードレーザ内のキャリア密度を降下させなければならない。したがって、ダイオードレーザが位相ランダム化されたパルスを生成することができる最大速度に制限があり、したがって、乱数生成の速度に制限がある。
【0013】
開示されるQRNG及び乱数を生成する方法は、パルスレーザベースのQRNGで使用される光検出器がパルスレーザより速い速度で動作することができることを実現すること、複数のパルスレーザのうちの各パルスレーザからより低い速度で生成された位相ランダム化されたパルスを結合して位相ランダム化されたパルスの結合パルスシーケンスを形成し、ランダム化されたパルスの生成より高い速度を達成すること、及び位相ランダム化されたパルスの位相を測定することによって、パルスレーザに基づくQRNGの性能及び速さに対して改善をもたらす。
【0014】
一実施形態では、位相測定要素は、時間遅延干渉計であり、位相ランダム化されたパルスのソースの少なくとも1つの出力から光を2つのアームに導くように構成され、少なくとも1つのアームは、干渉計遅延を含み、2つのアームからの光は、互いに干渉し、位相測定要素の出力に導かれる。
【0015】
位相ランダム化された光パルスのソースは、各ゲインスイッチレーザからの光パルスストリームが遅延要素に導かれるように構成され得、各遅延要素は、異なる量の遅延を提供し、各遅延された光パルスストリームは、光パルスコンバイナに導かれる。複数のゲインスイッチレーザによって放出される光パルスストリームは、時間的に同期されてもよい。
【0016】
さらなる実施形態では、変調電流は、複数のゲインスイッチレーザのそれぞれに注入され、変調電流は、時間的に同期される。
【0017】
さらなる実施形態では、各ゲインスイッチレーザは、各ゲインスイッチレーザからの光パルスストリームが互いに対して時間的にオフセットされるように、光パルスストリームを放出するように構成される。
【0018】
一実施形態では、変調電流は、複数のゲインスイッチレーザのそれぞれに注入され、変調電流は、互いに対して時間的にオフセットされる。
【0019】
一実施形態では、位相測定要素における干渉計遅延は、各ゲインスイッチレーザによって放出されるパルスストリーム中のパルス間の時間的分離に等しい。
【0020】
さらなる実施形態では、位相測定要素における干渉計遅延は、光パルスコンバイナの少なくとも1つの出力にて出力されるパルスストリーム中の隣り合うパルス間の時間的分離に等しい。
【0021】
さらなる実施形態では、位相測定要素における干渉計遅延は、光パルスコンバイナの少なくとも1つの出力にて出力されるパルスストリーム中の隣り合うパルス間の時間的分離の整数倍に等しい。
【0022】
各ゲインスイッチレーザによって放出されるパルスストリーム中のパルスは、200ps以上の時間的分離を有し得る。
【0023】
各ゲインスイッチレーザによって放出されるパルスストリーム中のパルスは、光パルスコンバイナの少なくとも1つの出力にて出力されるパルスストリーム中の隣り合うパルス間の時間的分離の半分以下の幅を有し得る。
【0024】
上記の実施形態では、各ゲインスイッチレーザは、出力レーザに光学的に結合されたシードレーザを備え得る。また、各ゲインスイッチレーザは、パルスカーバに光学的に結合されたゲインスイッチレーザを備えてもよい。
【0025】
一実施形態では、位相ランダム化された光パルスのソース、光パルスコンバイナ、位相測定要素、及び光学検出器は、第1の基板上に集積される。
【0026】
さらなる実施形態では、
複数のゲインスイッチレーザは第1の基板上に配置され、
光パルスコンバイナ及び位相測定要素は第2の基板上に集積され、
複数のゲインスイッチレーザによって放出される光は、光相互接続(optical interconnect)を介して光パルスコンバイナに光学的に結合される。
【0027】
第1の基板は、InPを含み得、及び/又は第2の基板は、Siを含み得る。
【0028】
さらなる実施形態では、光学検出器によって提供される数値は、ランダム性抽出アルゴリズムを使用して処理される。
【0029】
図1(a)は、QRNGのための光デバイスの概略図である。このデバイスは、一定の反復速度で駆動されてパルスのストリームを出力する単一のパルスレーザ10を備える。反復速度が十分低いとき、パルスストリーム中の各パルスは、ランダム位相を有し得る。これらのパルスは、時間遅延干渉計3の参照アーム及びロングアームに結合される。時間遅延干渉計3は、非対称マッハツェンダー干渉計(AMZI)とも称される。時間遅延干渉計のロングアームは、遅延要素8を備え、遅延要素8は、参照アームを移動するパルスに対して時間Dだけパルスを遅延させる。遅延要素8は、導入される遅延Dが、各遅延パルスが参照アーム内の以前の参照パルスと時間的に重なり合うようなものであるように構成される。遅延パルス及び参照パルスは、時間遅延干渉計3内の2×2方向性カプラ又はビームスプリッタで干渉し、干渉したパルスは光検出器に送られ、光検出器では、干渉パルスの強度が信号に変換される。干渉したパルスの強度に対応する信号は、参照パルス及び遅延パルスの位相がランダムであるため、ランダム値を有する。干渉したパルスのランダムな強度から乱数が生成され得る。
【0030】
図1(b)は、QRNGのための別のタイプの光デバイスの概略図である。2つの独立したパルスレーザであるレーザ1及びレーザ2が、等しい反復速度で駆動される。2つのレーザは、同じ強度及び波長で光を出力する。反復速度が十分低いとき、パルスストリーム中の各パルスは、ランダム位相を有し得る。さらに、各レーザからのパルスストリームは、互いに独立であり、したがって各レーザからのパルスは、互いに対してランダム位相を有する。2つのレーザからのパルスは、時間的に重なり合い、2×2方向性カプラ又はビームスプリッタ4で干渉する。干渉信号は、光検出器5に送られ、光検出器では、干渉したパルスの強度が信号に変換される。干渉したパルスの強度に対応する信号は、レーザ1及びレーザ2からのパルスの位相がランダムであるため、ランダム値を有する。干渉パルスのランダム強度から乱数が生成され得る。
【0031】
図1(a)及び
図1(b)の例では、乱数生成速度は、パルスが干渉する速度に線形比例し、パルスが干渉する速度は、レーザの反復速度に等しい。レーザの反復速度は、最大値を有し、それを越えると、連続するパルス間の位相関係は、もはやランダムではない。したがって乱数生成速度は、その値に制限される。
【0032】
図2は、一実施形態に係るQRNGのための光デバイスの概略図である。この光デバイスは、ソース1を備え、ソース1は、複数のゲインスイッチレーザを備え、各ゲインスイッチレーザは出力を有し、各レーザの出力は、光パルスコンバイナ6に向けられ、光パルスコンバイナ6は、各ゲインスイッチレーザによって放出される光を結合し、結合された光を、光パルスコンバイナ6の少なくとも1つの出力に導くように構成される。光パルスコンバイナ6の少なくとも1つの出力は、ソース1の出力である。ソース1の出力は、位相測定要素3に光学的に結合され、位相測定要素3の出力は、少なくとも1つの光検出器5に光学的に結合される。さらなる実施形態では、位相測定要素3は、時間遅延干渉計を備える。一例では、
図2に示されるように、時間遅延干渉計は、参照アーム及びロングアームという2つのアームを備えるマッハツェンダー干渉計(MZI)であり、ロングアームは、干渉計遅延8を含み、2つのアームからの光は、互いに干渉し、干渉計の出力に導かれる。図示しない別の例では、時間遅延干渉計は、参照アーム及びロングアームという2つのアームを備えるマイケルソン干渉計(MI)であり、両アームとも鏡によって終端され、ロングアームは、干渉計遅延を含み、2つの鏡からの反射光は、互いに干渉し、干渉計の出力に導かれる。
【0033】
ソース1は、各ゲインスイッチレーザが位相ランダム化されたパルスストリームを出力するように、各ゲインスイッチレーザに変調電流を注入するように構成される。変調電流の注入については、
図3(a)から
図3(c)に関連して下記でさらに説明する。ソース1は、各ゲインスイッチレーザからの各パルスストリームが参照時間から異なる量だけ時間的にオフセットされるようにさらに構成され、すべてのゲインスイッチレーザは、同じ反復速度を有する。パルスの時間的にオフセットされたパルスストリームは、別のパルスストリーム又は参照時間点から進む又は遅れるパルスストリームである。
図4(a)に関連して下記でさらに説明する実施形態では、ソース1は、各ゲインスイッチレーザが物理的な遅延要素に光学的に結合され、その結果、各ゲインスイッチレーザによって放出されるパルスストリームが互いに対して時間的にオフセットされる。物理的な遅延要素は、例えば異なる長さの光ファイバであってよい。
図4(b)に関連して下記でさらに説明する代替の実施形態では、ソース1は、各ゲインスイッチレーザに印加される変調電流が互いに対して時間的にオフセットされるように構成され、その結果、各ゲインスイッチレーザによって放出されるパルスストリームはまた、互いに対して時間的にオフセットされる。各ゲインスイッチレーザは、実質的に同じ光周波数で、また実質的に同じ強度でパルスを放出するように構成される。実質的に同じ周波数でパルスを放出するゲインスイッチレーザとは、各ゲインスイッチレーザからのパルスの光スペクトルが重なり合うことを意味する。各ゲインスイッチレーザによって放出される各時間的にオフセットされたパルスストリームは、光パルスコンバイナ6に導かれ、光パルスコンバイナ6は、時間的にオフセットされたパルスストリームを結合して結合パルスストリーム15にするように構成される。結合パルスストリーム15は、インターリーブされたパルスストリーム15とも称される。インターリーブされたパルスストリーム15は、ソース1の出力である光パルスコンバイナ6の少なくとも1つの出力に導かれる。インターリーブされたパルスストリームは、時間遅延干渉計3に導かれ、時間遅延干渉計3では、インターリーブされたパルスストリームは、インターリーブされたパルスストリームの遅延されたバージョンと干渉する。干渉パルスのストリームは、光検出器に送られ、光検出器では、干渉パルスの強度が信号に変換される。ソース1からの結合されたパルスのストリーム中のパルスの位相がランダムであるため、干渉パルスのストリームの強度に対応する信号はランダム値を有する。
【0034】
図3(a)は、ゲインスイッチ半導体レーザ140の概略図を示す。ゲインスイッチレーザは、レーザがレーザ閾値より高くなるようにスイッチングされたとき光を生成し、レーザがレーザ閾値より低くなるようにスイッチングされたとき光を生成しない。コントローラ141は、時間変化するようにポンプ電力を変調することによってレーザのゲインの変調を制御する。レーザは、電流を印加することによって電気的にポンプされる。半導体レーザのゲインを変調するために、コントローラ141は、レーザに印加される電流を変調する。
【0035】
したがって、ソース1内の複数のゲインスイッチレーザ10からの各ゲインスイッチレーザは、時間変化電流を印加することによってレーザ閾値より高く、及び低くなるように個々に周期的にスイッチングされ得る。一例では、電気接続を通じて電流を印加することによって各レーザのゲインを変調するために、ゲインスイッチレーザ10の各々にコントローラ(図示せず)が接続され得る。このようにして、レーザは、光パルスを生成する。コントローラ(図示せず)は、レーザがレーザ閾値より高くなるように周期的にスイッチングされ、光パルスを生成するように、時間変化電流を印加する駆動回路を備える。レーザに印加される電流は、一連の電流変調パルスの形態を有する。レーザは、キャリア密度がレーザ閾値より高いときに光を出力する。レーザによって出力される光のパルスは、時間的に同期される。
【0036】
別の例では、単一のコントローラの代わりに、各コントローラがゲインスイッチレーザの1つに接続される複数のコントローラを使用し、電気接続を通じて電流を印加することによって各レーザのゲインを変調してもよい。各コントローラは、各レーザがレーザ閾値より高くなるように周期的にスイッチングされて、それにより光パルスを生成するように、時間変化電流を各レーザに印加する駆動回路を備える。各レーザに印加される電流は、一連の電流変調パルスの形態を有し、各電流変調におけるパルスは、同時に生じてもよく、異なる時に生じてもよい。各レーザは、そのキャリア密度がそのレーザ閾値より高いときに光を出力する。レーザは、独立した時に光を出力し、光は、同時に出力されてもよく、光は、異なる時に出力されてもよい。
【0037】
図3(b)は、半導体ゲインスイッチレーザのゲイン変調を説明する3つのグラフを示す。上のグラフは、縦軸にレーザに印加される電流を示し、時間が横軸である。DCバイアスが横点線によって示される。レーザに印加される電流は、一連の電流変調パルスの形態を有する。波は、方形タイプの波形である。この場合、電流は、電流変調パルスの間でゼロに減少されず、バイアス値(点線によって示される)まで減少されるだけである。
【0038】
電流変調信号は、レーザに印加され、レーザのゲインを周期的にレーザ閾値より高く、及び低くなるようにスイッチングする。第2のグラフは、横軸の時間に対して、縦軸にレーザのキャリア密度を示す。レーザ閾値は、横破線によって示される。電流変調パルスがレーザに印加されると、注入されたキャリアはキャリア密度を増大させ、光子密度が増大する。光子密度の急速な増大は、キャリア密度の減少を引き起こす。次いでこれは、光子密度を減少させ、これはキャリア密度を増大する。電流変調パルスがスイッチングされてDCバイアスレベルに戻ると、レーザ放出は途絶える。
【0039】
変調信号によって生成されるレーザ出力が下のグラフに示される。縦軸はレーザ強度を示し、横軸が時間である。レーザは、キャリア密度がレーザ閾値より高いときに光を出力する。レーザキャビティ内の自然放出によって生成される光子が、出力信号を生成するために、誘導放出によって十分に増幅される。電流変調パルスの印加と出力光の生成との間の遅延の長さは、レーザタイプ、キャビティ長さ、及びポンピング電力などいくつかのパラメータに依存する。
【0040】
図3(c)は、半導体ゲインスイッチレーザダイオード145のための電気駆動回路の概略図を示す。レーザダイオード145のカソードは、インダクタ147と抵抗器又はキャパシタ148とを備えるバイアスティ146に接続される。インダクタ147を介して、DCバイアス電流がレーザダイオードに送られる。これは、ゲインバイアス(
図3(b)における点線によって示される最小レベルの電流)を提供する。抵抗器又はキャパシタ148を介して、AC変調電流がレーザダイオードに送られ、レーザ閾値より高くなったり低くなったりするようにレーザをゲインスイッチングするために必要とされるゲイン変調を提供する。この場合、バイアスティ146への変調入力は、コントローラ141によって提供される。一例では、時間変化電流は、2GHzの周波数を有する方形タイプの波形を有する。代替の実施形態では、時間変化電流は、周波数シンセサイザによって生成される電気的な正弦波である。時間変化電流は、任意のパルス形状を有する信号を含み得る。
【0041】
ゲインバイアスは、レーザ閾値に近くなるように選択され得る。なぜなら、この方式でゲインスイッチレーザを駆動することは、出力光のパルスジッタ及び周波数チャープを低減し得るからである。これは、キャリア密度がより早くレーザ閾値を超えることを意味し、これにより、光パルスが生じるための時間が増す。最初に、光強度は、オーバーシュートし、急速にキャリア密度を減少させる。次いでこれは、光子密度を減少させ、キャリア密度を増大させ、次いで光強度を増大する。この競争プロセスは、パルスの始まりに光強度の振動を引き起こし、これらの振動は、強く減衰され、強度が一定である定常状態に急速に至る。これらの振動は、弛緩振動と呼ばれる。QRNGの場合、パルスの干渉は、パルスが定常状態に落ち着いた後で、測定される。レーザパルスは、電流パルスが終了し、電流を再びバイアス値にスイッチングしたときに終了する。
【0042】
図3(d)は、一例に係る、QRNGのためのゲインスイッチレーザ10dの概略図を示す。ゲインスイッチレーザに狭いパルス幅を有するパルスのストリームを放出させることが望ましい。しかし、狭いパルス幅を有するようにAC変調信号を単純に設定することは、パルスからパルスへのタイミングの変動(ジッタ)をもたらし得る。
図3(d)に示される例では、ゲインスイッチレーザ10dは、2つのレーザ145及び140を備える。レーザ145は、シードレーザと称され、一方、レーザ140は、出力レーザと称される。シードレーザ145と出力レーザ140は共に、それぞれコントローラ151及びコントローラ141によって駆動されるゲインスイッチレーザであってよい。コントローラ151は、
図3(a)から
図3(c)に関連して説明したように、反復速度Rでパルスのストリームを放出するように、AC変調電流152を速度Rでシードレーザ145に注入する。反復速度Rは、パルス143のストリーム中のパルスがランダム位相を有するように、十分低くなるように選択される。パルス143は、パルス幅W
seedを有し得、W
seedは、AC変調電流152パルスの幅に比例する。パルス143のストリームは、出力レーザ140がシードレーザ145によってシードされるように、出力レーザ140に光学的に結合される。コントローラ141は、AC変調電流156を出力レーザ140に注入するように構成され、AC変調電流156は、同じ速度Rを有するが、シードレーザに印加されるAC変調電流152より狭いパルス幅を有する。コントローラ151及び141によって印加される変調電流152及び156は、それらが重なるように時間的に同期される。したがって、出力レーザ140は、シードレーザ145によってコヒーレントにシードされている間、その閾値レベルより高くなるように一度オンにスイッチングされる。したがって、出力レーザ141は、速度Rでパルス142のストリームを放出し、各パルスは、シードレーザ143からのパルスに対して固定された位相関係を有する。シードレーザからのパルス143のストリーム中の各パルスはランダム位相を有するので、出力パルス142のストリーム中の各パルスもまた、ランダム位相を有する。しかし、出力パルス142のストリーム中のパルスのパルス幅は、シードレーザ143中のパルスより狭い。典型的には、レーザ10dにおける出力パルス142の幅は、約40ps以下である。
【0043】
図3(e)は、一例に係る
図3(d)のシードレーザ145及び出力レーザ140の概略図を示す。シードレーザ145及び出力レーザ142は、基板200上に、基板の表面に平行な平面内で横方向に集積される。シードレーザ及び出力レーザの集積については、
図8(e)及び
図8(f)に関連して下記でさらに説明する。図示しない別の例では、シードレーザ145及び出力レーザ142は、シードレーザ145によって放出される光が可変光アテネータ(VOA)に導かれ、VOAによって放出される光が出力レーザ140に導かれるように、VOAとともに、基板200上に、基板の表面に平行な平面内で横方向に集積される。
【0044】
図3(f)は、別の例に係る、QRNGのためのゲインスイッチレーザ10fの概略図を示す。ゲインスイッチレーザに狭いパルス幅を有するパルスのストリームを放出させることが望ましい。しかし、狭いパルス幅を有するようにAC変調信号(駆動電流)を単純に設定することは、パルスからパルスへのタイミングの変動(ジッタ)をもたらし得る。
図3(f)は、ゲインスイッチレーザ10dがゲインスイッチレーザ140、コントローラ141、及びパルスカーバ158を備える例を示す。パルスカーバ158は、約100psのパルスを生成するために使用することができる高帯域幅強度変調器である。ゲインスイッチレーザ140は、
図3(a)から
図3(c)に関連して説明したように、パルス143のストリームを生成する。パルスストリームは、パルスカーバ158に注入される。パルスカーバ158は、コントローラ154によって制御される。コントローラ154は、変調制御信号をパルスカーバ158に送るように構成され、この制御信号は、コントローラ141のAC変調信号と時間的に同期され、同じ反復速度を有する。パルスカーバ158に印加される制御信号は、パルスカーバ158が注入された光を減衰するか、又は注入された光を通過させるかを決定する。したがって、パルスカーバ158は、パルス143が注入される時間の一部の間、光を減衰し、残りの時間に光を通過させるように構成され得、それにより、ゲインスイッチレーザ140によって出力されるパルス143より狭いパルス幅を有する出力パルス142をもたらす。典型的には、レーザ10fにおける出力パルス142の幅は、約100ps以下である。
【0045】
図3(g)は、
図3(f)のレーザ140及びパルスカーバ158の概略図を示す。レーザ140は、
図8(a)に関連してさらに説明するように、半導体レーザであってよい。レーザ140によって出力されるパルス143は、光相互接続(図示せず)を使用してパルスカーバ158に光学的に結合される。光相互接続は、例えば光ファイバを含み得る。
【0046】
図4(a)は、一例に係る、QRNGのためのソース1aの概略図である。変調電流11は、ソース1aの複数のゲインスイッチレーザのそれぞれに注入される。各ゲインスイッチレーザのための変調電流は、
図3(a)から
図3(c)に関連して説明したように、コントローラ及びバイアスティ回路146によって提供され得る。換言すれば、各ゲインスイッチレーザについて1つのコントローラ141及び1つのバイアスティ回路146が設けられる。代替として、ゲインスイッチレーザのための変調電流は、単一のコントローラ(図示せず)によって提供されてもよい。変調電流は、時間的に同期される。すなわち、それらは時間的に重なり合い、同じ反復速度を有する。ゲインスイッチレーザによって出力されるパルスストリームもまた、時間的に同期される。すなわち、それらは時間的に重なり合い、同じ反復速度を有する。各ゲインスイッチレーザのための変調電流の振幅は、ゲインスイッチレーザが同じ強度のパルスを放出するように構成される。
【0047】
各ゲインスイッチレーザは、各ゲインスイッチレーザによって出力される各パルスストリームが量Δt
1、Δt
2、Δt
3、...Δt
nだけ時間的にオフセットされるように、異なる遅延要素8aに光学的に結合される。遅延要素8aは、例えば、異なる長さの光ファイバ、異なる長さのエアギャップ、又は異なる光路長の導波路を含んでもよい。時間的にオフセットされたパルスストリームは、光パルスコンバイナ6に導かれ、光パルスコンバイナ6は、時間的にオフセットされたパルスストリームを結合してインターリーブされたパルスストリーム15にするように構成される。インターリーブされたパルスストリームは、ソース1aの出力でもある$光パルスコンバイナの少なくとも1つの出力に導かれる。
【0048】
図4(b)は、別の例に係る、QRNGのためのソース1bの概略図である。変調電流12は、ソース1bの複数のゲインスイッチレーザのそれぞれに注入される。各ゲインスイッチレーザのための変調電流は、
図3(a)から
図3(c)に関連して説明したように、コントローラ及びバイアスティ回路146によって提供され得る。換言すれば、各ゲインスイッチレーザについて1つのコントローラ141及び1つのバイアスティ回路146が提供される。各ゲインスイッチレーザに注入される変調電流は、参照時刻に対して量Δt
1、Δt
2、Δt
3、...Δt
nだけ時間的にオフセットされ、その結果、各ゲインスイッチレーザによって出力されるパルスストリームもまた、参照時刻に対して量Δt
1、Δt
2、Δt
3、...Δt
nだけ時間的にオフセットされる。時間的にオフセットされたパルスストリームは、光パルスコンバイナ6に導かれ、光パルスコンバイナ6は、時間的にオフセットされたパルスストリームを結合してインターリーブされたパルスストリーム15にするように構成される。インターリーブされたパルスストリームは、ソース1bの出力でもある光パルスコンバイナの少なくとも1つの出力に導かれる。
【0049】
一例によれば、時間的にオフセットされた変調電流12を、マルチチャネルの任意波形発生器(AWG)を使用して生成することができ、AWGの各出力チャネルは、トランスコンダクタンス増幅器に電気的に結合される。別の例によれば、時間的にオフセットされた変調電流12は、増幅器及び
図3に関連して説明したバイアスティ回路146に電気的に結合された位相ロックループ(PLL)回路を使用して生成され、各PLL回路は、同期のために同じ周波数の参照信号を受信し、各PLL回路は、周波数Rであり0と2πの間の位相を有する変調信号を出力するようにプログラムされる。2πの位相は、1/Rの遅延に対応する。
図4(b)を参照すると、N個のゲインスイッチレーザ及びN個の変調電流の場合、PLL回路の位相は、2π/Nだけ互いに異なるように構成され得、その結果、Δt
2−Δt
1=Δt
3−Δt
2=...=Δt
n−Δt
n−1=1/(NR)となる。各PLL回路によって生成される変調信号の周波数R及び位相は、例えば、ソフトウェアインターフェースを介して、又はアナログ電圧をPLLチップに入力することによって制御することができる。さらなる例によれば、各PLL回路は、同じ周波数の参照信号を受信し、周波数Rであり同じ位相を有する変調信号を出力するようにプログラムされる。各PLL回路からの変調信号は、電子遅延器を通され、各遅延器は、異なる遅延を有し、増幅器及びバイアスティ回路にさらに結合され、時間的にオフセットされた変調電流12を生成する。代替の例によれば、単一のPLL回路を使用し、周波数Rの変調信号を生成し、この変調信号は、電力スプリッタを使用して分割され、N個の経路に導かれ、各経路は、異なる電子遅延器を有し、各経路は、増幅器及びバイアスティ回路にさらに結合され、時間的にオフセットされた変調電流12を生成する。周波数Rであり0と2πの間の位相を有する変調信号を出力するようにプログラムされたPLL回路は、時間的にオフセットされた変調電流12を生成するために、電力スプリッタ及び電子遅延器と組み合わせることができることも理解されたい。
【0050】
図示しないさらなる実施形態では、QRNGのためのソース1は、
図4(a)に関連して説明した遅延要素8aと、
図4(b)に関連して説明した時間的にオフセットされた変調電流12と、を含む。遅延要素8a及び時間的にオフセットされた変調電流12は、各ゲインスイッチレーザによって出力されるパルスストリームが量Δt
1、Δt
2、Δt
3、...Δt
nだけ互いに対して時間的にオフセットされるように構成される。各パルスストリームの時間的オフセットは、遅延要素8a(物理的遅延)と時間的にオフセットされた変調電流12(電子的オフセット)の組み合わせを使用して達成される。
【0051】
図5(a)は、一実施形態に係るQRNGの概略図である。ソース1は、2つのゲインスイッチレーザを備え、各ゲインスイッチレーザは、同じ波長及び強度を有するランダム化されたパルスのストリームを出力するように構成される。両ゲインスイッチレーザからのパルス13は、同じ反復速度Rで生成され、ここで、Rは、パルスの位相がランダムであるように各ゲインスイッチレーザを駆動することができる最大反復速度以下である。一実施形態では、Rは約2GHzである。別の実施形態では、Rは約5GHzである。各ゲインスイッチレーザによって放出される連続するパルス間の時間的間隔は、1/Rである。ソース1は、各ゲインスイッチレーザによって出力されるパルスストリームが時間的にオフセットされるように構成され、その結果、第1のゲインスイッチレーザからのパルスストリームが第2のゲインスイッチレーザからのパルスストリームと時間的に重なり合わない。例えばRが5GHzであるとき、パルス間の分離は200psであり、パルスの幅は、<100psでなければならない。ソース1は、
図4(a)又は
図4(b)に関連して説明したように実装されてもよい。ソース1からのパルスストリームは、光パルスコンバイナ6に導かれ、光パルスコンバイナ6は、ソース1からのパルスストリームを結合するように構成される。光パルスコンバイナについては、
図6(a)及び
図6(b)に関連して下記でさらに説明する。結合されたパルスストリーム15は、インターリーブされたパルスストリーム15とも称され、時間遅延干渉計3の入力に光学的に結合される。遅延要素8は、時間遅延Dが1/Rに等しくなるように構成される。D=1/Rの場合、第1のゲインスイッチレーザに由来するパルスは、例えば、同じレーザに由来する先行するパルスと干渉する。同様に、第2のゲインスイッチレーザに由来するパルスは、同じレーザに由来する先行するパルスと干渉する。ゲインスイッチレーザによって放出されるパルスの位相がランダムであるため、干渉パルスの強度に対応する信号は、ランダム値を有する。
【0052】
図5(b)は、別の実施形態に係るQRNGの概略図である。ソース1は、2つのゲインスイッチレーザを備え、各ゲインスイッチレーザは、同じ波長及び強度を有するランダム化されたパルスのストリームを出力するように構成される。両ゲインスイッチレーザからのパルスは、同じ反復速度Rで生成され、ここで、Rは、パルスの位相がランダムであるように各ゲインスイッチレーザを駆動することができる最大反復速度以下である。一実施形態では、Rは約2GHzである。別の実施形態では、Rは約5GHzである。各ゲインスイッチレーザによって放出される連続するパルス間の時間的間隔は、1/Rである。ソース1は、各ゲインスイッチレーザによって出力されるパルスストリームが時間的にオフセットされるように構成され、その結果、第1のゲインスイッチレーザからのパルスストリームが第2のゲインスイッチレーザからのパルスストリームと時間的に重なり合わない。特に、第2のゲインスイッチレーザによって放出されるパルスは、反復速度の2倍の逆数に等しい量Δt、すなわち、Δt=1/(2R)だけ時間的にオフセットされる。例えばRが5GHzであるとき、1つのストリーム中のパルス間の分離は200psであり、パルスの幅は、<100psでなければならない。オフセットΔt=100psである。ソース1は、
図4(a)又は
図4(b)に関連して説明したように実装されてもよい。ソース1からのパルスストリームは、光パルスコンバイナ6に導かれ、光パルスコンバイナ6は、ソース1からのパルスストリームを結合するように構成される。光パルスコンバイナについては、
図6(a)及び
図6(b)に関連して下記でさらに説明する。インターリーブされたパルスストリーム15は、時間遅延干渉計3の入力に光学的に結合される。遅延要素8は、時間遅延DがΔt=1/(2R)に等しくなるように構成される。D=Δtの場合、第1のゲインスイッチレーザに由来するパルスは、例えば、第2のゲインスイッチレーザに由来する先行するパルスと干渉する。干渉パルスの強度に対応する信号は、異なるゲインスイッチレーザからのパルスの位相がランダムであるため、ランダム値を有する。インターリーブされたパルスストリーム15中のパルス間の時間的分離は、Δt=1/(2R)であり、一方、各レーザによって生成されるパルス間の時間的分離は、1/Rである。各干渉パルス間の時間的分離は、Δt=1/(2R)である。パルスが干渉する速度は、2Rである。したがって、R=5GHzである場合、2つのゲインスイッチレーザの各々は、5GHzの速度で放出するが、パルス干渉速度は、10GHzである。
【0053】
図5(c)は、別の実施形態に係るQRNGの概略図である。ソース1は、N個のゲインスイッチレーザを備え、各ゲインスイッチレーザは、同じ波長及び強度を有するランダム化されたパルスのストリームを出力するように構成される。N個のゲインスイッチレーザからのパルスは、同じ反復速度Rで生成され、ここで、Rは、パルスの位相がランダムであるように各ゲインスイッチレーザを駆動することができる最大反復速度以下である。各ゲインスイッチレーザによって放出される連続するパルス間の時間的間隔は、1/Rである。ソース1は、各ゲインスイッチレーザによって出力されるパルスストリームが時間的にオフセットされるように構成され、その結果、いずれか1つのゲインスイッチレーザによって出力されるパルスストリームが別のゲインスイッチレーザからのパルスストリームと時間的に重なり合わない。特に、ゲインスイッチレーザによって放出されるパルスは、反復速度のN倍の逆数に等しい量Δt、すなわち、Δt=1/(NR)だけ互いに時間的にオフセットされる。例えばRが5GHzであるとき、1つのストリーム中のパルス間の分離は200psであり、パルスの幅は、<100psでなければならない。オフセットΔt=200/Npsである。ソース1は、
図4(a)又は
図4(b)に関連して説明したように実装されてもよい。ソース1からのパルスストリームは、光パルスコンバイナ6に導かれ、光パルスコンバイナ6は、ソース1からのパルスストリームを結合するように構成される。光パルスコンバイナについては、
図6(a)及び
図6(b)に関連して下記でさらに説明する。インターリーブされたパルスストリーム15は、時間遅延干渉計3の入力に光学的に結合される。遅延要素8は、時間遅延Dがレーザの数に各レーザの反復速度を乗じたものの逆数の整数倍に等しい、すなわち、D=m×Δtであり、ここでΔt=1/(N×R)であり、mは整数であり、m≧1であるように構成される。D=m×Δtの場合、第1のゲインスイッチレーザに由来するパルスは、例えば、同じ第1のゲインスイッチレーザを含めて、任意の他のゲインスイッチレーザに由来する先行するパルスと干渉する。干渉パルスの強度に対応する信号は、パルスの位相がランダムであるため、ランダム値を有する。インターリーブされたパルスストリーム15中のパルス間の時間的分離は、Δt=1/(N×R)であり、一方、各レーザによって生成されるパルス間の時間的分離は、1/Rである。各干渉パルス間の時間的分離は、Δt=1/(N×R)である。パルスが干渉する速度は、N×Rである。したがって、R=5GHzである場合、個々のゲインスイッチレーザは、5GHzの速度で放出するが、パルス干渉速度は、N×5GHzである。
【0054】
図5(a)、
図5(b)、及び
図5(c)の例では、干渉パルスのストリームは、光検出器5に送られ、光検出器5では、干渉パルスの強度が信号に変換される。
図5(b)の例では、光検出器は、少なくとも2R=10GHzの速度でパルスの強度を検出するように構成される。
図5(c)の例では、光検出器は、少なくともN×Rの速度でパルスの強度を検出するように構成される。好適な光検出器は、20GHzを超える帯域幅を有するInPベースのオンチップ光検出器を含み得る。
【0055】
図6(a)は、受動光コンバイナ303の概略図を示す。一実施形態では、光パルスコンバイナ6は、受動光コンバイナ303を含む。入力では、光パルスコンバイナ6は、N個の入力を備え、ここでN≧2であり、出力では、光パルスコンバイナ6は、少なくとも1つの出力を備える。
【0056】
光は、例えばシングルモードファイバ302−1から302−NによってN個の入力に提供され得、光は、ファイバ304−1又は304−2によって出力から収集され得、ファイバ304−1又は304−2は、シングルモードファイバ又はマルチモードファイバである。基板上のリッジ導波路などのような光を送達し収集する他の手段が使用されてもよい。
【0057】
入力302−1は、N×2受動光コンバイナ内で2×1受動光カプラの第1の入力に接続され、一方、入力302−2は、2×1受動光カプラの第2の入力に接続される。2×1受動光カプラは、入力302−1及び302−2からの光パルスを結合する。同様に、入力302−3及び302−4、又は302−5及び302−6などからの光パルスは、N×2受動光スプリッタ内の他の2×1受動スプリッタにおいて結合される。2×1受動スプリッタ対の出力は、入力パルスをさらに結合するためにさらなる2×1に接続される。いくつかの2×1受動光カプラを共にカスケード接続する(cascading)ことにより、N個の入力は、カスケード接続の第1の段の後でN/2個の信号になるように、カスケード接続の第2の段の後でN/4個の信号になるようになど、カスケード接続の最後から2番目の段まで組み合わされ得、最後から2番目の段では、N個の入力信号が2つの信号になるように組み合わされている。一例では、
図6(a)に示されるように、カスケード接続における最後のカプラは、2×2受動光カプラを含み、これは、カスケード接続の最後から2番目の段からの2つの信号を結合し、それを2つの出力チャネル304−1及び304−2に出力する。上記の構成では、N×2受動光コンバイナが得られる。図示しない別の例では、カスケード接続における最後のカプラは、2×1受動光カプラを含み、これは、従属接続の最後から2番目の段からの2つの信号を結合し、それを1つの出力チャネルに出力し、その結果、N×1受動光コンバイナが得られる。
【0058】
図6(a)に示されている例では、N=8である。Nの他の値を使用することができることも理解されたい。
図6(a)に示されている構成は、一例であり、他の構成を使用することもできることも理解されたい。
【0059】
N=8の場合、各入力信号302−1から302−Nは、2つの2×1受動光カプラ及び1つの2×2受動光カプラを通過してから、304−1及び304−2で出力される。
【0060】
受動光コンバイナ303は、N×M受動光コンバイナであってよく、ここでM≧1及びN≧2である。一実施形態では、受動光コンバイナ303は、エバネッセント結合を使用し、1つの導波路からの光を1つの又はいくつかの他の導波路に結合する。一実施形態では、受動光コンバイナ303は、2つの以上の光ファイバを備え、光ファイバのクラッド厚が削減され、2つの以上のファイバが密に接して配置される。接触領域では、光は、1つのファイバから他方のファイバに振動するようにエバネッセント結合される。すなわち、結合領域の長さは、どれだけの光が1つのファイバから他方のファイバに結合されるかを決定する。換言すれば、結合領域の長さは、分割比を決定する。結合領域の長さは、例えば50%の光が1つの導波路から他方に結合されるようなものとすることができる。一実施形態では、受動光コンバイナ303は、フォトニックチップ上に実装される。フォトニックチップ上のいくつかの導波路は、接触領域では、光が1つの導波路から他方の導波路にエバネッセント結合されるように、互いに密に接して配置される。
【0061】
代替の実施形態では、受動光コンバイナ303は、1つの導波路から別の導波路に光を結合するために2つの導波路が交差される光クロスカプラである。
【0062】
一実施形態では、受動光コンバイナは、カスケード接続で共に接続された複数の2×1受動光カプラ及び/又は2×2受動光カプラを備える。
【0063】
代替として、受動光スプリッタは、密に接して配置されたN個の入力導波路とM個の出力導波路とを有する単一の受動光カプラを備え、その結果、光がN個の導波路からM個の導波路に結合される。
【0064】
さらなる実施形態では、導波路及び/又は光ファイバは、受動光コンバイナ303のN個の入力302−1から302−Nのいずれかにて提供されるパルスが同じ距離を移動してから出力に到達するように構成される。換言すれば、任意の入力から任意の出力までの光路長(OPL)が同じである。したがって、入力にて提供されるパルスは、出力に到達したとき、同じ量だけ遅延されている。別の実施形態では、入力から出力までのOPLは、入力ごとに異なる。この場合、異なる入力にて提供されるパルスは、出力に到達したとき、異なる量だけ遅延されることになる。異なる入力からのパルスが重なり合わないように出力におけるパルスの結合を可能にするために、各入力から出力までのOPLの差を決定してもよく、複数のゲインスイッチレーザ10に印加される電流変調信号12の時間的オフセットΔt
1、Δt
2、Δt
3...Δt
nを調整し、不等のOPLを補償してもよい。別の例では、受動光コンバイナ303の出力が、各変調電流に加えられる時間的オフセットを決定するためにモニタされる。
【0065】
図6(b)は、マルチモード干渉(MMI)カプラである受動光コンバイナ331の概略図である。一実施形態では、光パルスコンバイナ6は、MMIカプラを備える。MMIカプラは、N×M MMIであってよく、ここでN≧2及びM≧1である。
【0066】
MMIカプラは、N個(この場合N=4)の入力シングルモード導波路334、マルチモードの干渉により自己結像が生成されるマルチモードセクション333、及びM個の出力シングルモード導波路332を備える。
【0067】
カプラは、好適な方法、例えばエッチング又は高強度レーザビームでの直接描画で作製されたチップ上の導波路を有して実現され得る。しかし、他の実現方法も可能である。MMIカプラ331は、例えばシリコンであってよく、シリコンオンインシュレータ導波路を含み得る。
【0068】
MMIカプラは、シングルモード入力/出力を備え、エバネッセント結合を使用する
図6(a)に示される受動光コンバイナとは異なる、信号を分割する方法を使用する。
【0069】
MMIカプラ331では、光は、シングルモード導波路からマルチモード導波路領域333に挿入される。マルチモード導波路領域333内で励起されるいくつかのモード間の干渉により、マルチモード導波路内の或る伝播距離に関する入力光分布の自己結像が生成される。出力シングルモード導波路は、入力からの光を或る強度分布で出力導波路に結合するように、好適な距離で入力導波路に位置決めされる。例えば2×2カプラは、マルチモード導波路の長さにより、各々が入力光パルスのそれぞれの50%を有する2つの自己結像が生成されるように設計される。これらの自己結像が生成される位置に、出力シングルモード導波路が配置される。これは入力強度分布の像であるため、光は、各出力において50%で、出力導波路に効率的に結合される。
【0070】
一実施形態では、MMIカプラは、N×2スプリッタである。一実施形態では、第1の入力導波路334−1に挿入される光信号は、固定比率で2つの出力に分配される。信号は、第1の入力導波路334−1に挿入された光信号の半分が各出力導波路332に分配されるように、2分の1に分割される。また、第2の入力導波路334−2に挿入される光信号は、固定比率で2つの出力に分配される。
【0071】
第1の出力導波路332−1に挿入される光信号は、固定比率で2つの入力のそれぞれに分配される。信号は、第1の出力332−1に挿入された光信号の1/NがN個の入力のそれぞれに分配されるように、N分の1に分割される。
【0072】
図7(a)及び図(b)は、一実施形態に係るQRNGのためのフォトニック集積回路(PIC)の概略図を示す。
図7(a)は平面図を示し、一方、
図7(b)は側面図を示す。この実施形態では、ゲインスイッチレーザ100と光パルスコンバイナ6とを備えるソース1、時間遅延干渉計33、及び光検出器5は、InP標準集積プロセスに基づいてフォトニックチップ上に集積され、単一の基板200上に配置される。異なる構成要素が、導光セクション110により互いに光学的に結合される。この実施形態では、ゲインスイッチレーザ100は、分布帰還型(DFB)レーザ100であるが、分布ブラッグ反射器(DBR)又はリッジレーザなどの他のレーザを使用することもできることを理解されたい。DFBレーザについては、
図8(a)に関連して下記でより詳細に説明する。DFBレーザは、導光セクション110を介してMZIスイッチ90aに光学的に結合される。MZIスイッチ90aについては、
図10に関連して下記でさらに説明する。MZIスイッチ90aは、可変光アテネータ(VOA)として働き、位相コンバイナ6の各入力に注入されるパルスの強度が実質的に等しくなるように、DFBレーザ100によって出力されるパルスの強度を調整するように構成される。
図7(a)のデバイスでは、
図6(a)及び
図6(b)に関連してさらに上述した光パルスコンバイナ6は、2×2方向性カプラであり、MZIスイッチ90aを介して2つのDFBレーザ100からの入力パルスを結合し、結合されたパルスを遅延ライン干渉計33及び補助構成要素80に出力する。結合された入力パルスは、例えば50:50の比率で分割され得る。補助構成要素80は、光相互接続、回折格子カプラ、フォトダイオードなどのさらなる光学構成要素である。補助構成要素80は、較正のために使用され得、例えばMZIスイッチ90aにおける減衰の量を決定するために使用され得る。図示しない代替例では、光パルスコンバイナは、MZIスイッチ90aを介して2つのDFBレーザ100からの入力パルスを結合し、結合されたパルスを遅延ライン干渉計33に出力する2×1カプラである。遅延ライン干渉計33は、MZIスイッチ90b、参照アーム、遅延要素8を有するロングアーム、及び2×2出力カプラ6bを備えるMZIである。図示しない別の例によれば、出力カプラ6bは、2×1カプラである。MZIスイッチ90bは、参照及びロングアームにおける不等の損失を補償するように働く。図示しない別の例によれば、遅延ライン干渉計は、2×2カプラ、参照アーム、及びロングアームを備えるマイケルソン干渉計(MI)であり、両アームは鏡に結合され、ロングアームは、干渉計遅延要素を備え、2つの鏡から反射される光は、2×2カプラにて互いに干渉し、干渉計の出力に導かれる。例えば、遅延要素8は、典型的には、遅延D=500psを得るために長さ数センチメートルであり、したがって、参照アームに比べてロングアームに蓄積される損失は異なる。出力カプラ6bに入る参照パルス及び遅延パルスが実質的に同じ強度を有することを確実にするために、より多くのパワーが干渉計のロングアームに注入され、より少ないパワーが干渉計の参照アームに注入されるように、MZIスイッチを構成することができる。参照パルス及び遅延パルスは、2×2カプラ6bで干渉し、光検出器5及び別の補助構成要素80bに導かれる。2×2カプラ6bの出力は、例えば、50:50の比率に分割され得る。光検出器は、InPベースの光検出器であってよい。
【0073】
各ゲインスイッチDFBレーザ100は、
図3(a)から
図3(c)に関連して説明したように、コントローラ(図示せず)に電気的に結合される。DFBレーザ100に注入される変調電流12は、
図4(b)及び
図5(b)に関連して説明したように、インターリーブされたパルスストリーム15が得られるように構成される。
【0074】
図7(c)及び
図7(d)は、別の実施形態に係るQRNGのためのフォトニック集積回路(PIC)の概略図を示す。
図7(c)は平面図を示し、一方、
図7(d)は側面図を示す。
図7(a)及び
図7(b)に示される実施形態とこの実施形態の違いは、ゲインスイッチレーザ100を備えるソース1が第1の基板200上に配置されていることである。光パルスコンバイナ6、時間遅延干渉計33、及び光検出器5は、第2の基板400上に配置される。第2の基板400は、例えばSiベースの基板であり、光パルスコンバイナ6、時間遅延干渉計33、及び光検出器5は、例えばCMOS互換プロセスを使用して集積される。第2の基板上の異なる構成要素は、導光セクション110により互いに光学的に結合される。第1の基板200上に配置されたゲインスイッチレーザ100は、光相互接続120を介してMZIスイッチ90aに光学的に結合される。光相互接続120は、第1の半導体基板200上の導光領域を、第2の半導体基板400上の導光領域又はMZIスイッチ90に接続し、例えば光ファイバを含み得る。光相互接続は、
図3(f)及び
図3(g)に関連して説明したようにパルスカーバ(図示せず)をさらに備え得、パルスカーバは、ゲインスイッチレーザ100からパルスを入力としてとり、より狭いパルスをMZIスイッチ90aに出力するように構成されている。代替例では、光相互接続120は、
図4(a)に関連して説明したように異なる時間的オフセットを各ゲインスイッチレーザによって放出されるパルスストリームに適用する遅延要素(図示せず)をさらに備える。
【0075】
第1の基板はInPベースのものであってよく、ゲインスイッチレーザ100は、分布帰還型(DFB)レーザ100であってよいが、分布ブラッグ反射器(DBR)又はリッジなどの他のレーザを使用することもできることを理解されたい。InP基板上のDFBレーザについては、
図8(a)に関連して下記でより詳細に説明する。
【0076】
第2の基板400上の構成要素は、
図7(a)及び
図7(b)に示される構成要素に対応する。第2の基板がSiベースのものであるとき、遅延ライン干渉計33は、
図7(a)及び
図7(b)に示されるInP基板上の遅延ライン干渉計33より低い挿入損失を有することになる。特に、遅延要素8は、典型的には、長さ数cm(例えば、InP上の500pの遅延について長さ約4.5cm、窒化シリコンベースの基板上の500psの遅延について8cm)である。伝播損失は、InP上で2dB/cm、Si
3N
4上で0.5dB/cmのものとなり得、InP上で10dB、Si
3N
4上で4dBの挿入損失をもたらす。光検出器は、CMOS互換作製プロセスを使用してSi上に成長されたGeを含み得る。GeオンSi光検出器は、例えば20GHzを超える帯域幅を有する。
【0077】
図示しない別の実施形態では、第2の基板400上の遅延ライン干渉計33によって放出される光は、光相互接続を介して第3の基板上に配置されたInPベースの光検出器に光学的に結合され、光相互接続は、例えば光ファイバを含む。
【0078】
位相ランダム化された光パルスのソース1内の複数のゲインスイッチレーザのうちのゲインスイッチレーザの各々は、分布帰還型(DFB)レーザ、分布ブラッグ反射器(DBR)レーザ、又はリッジレーザとして実装されてよい。
【0079】
ゲインスイッチレーザは、回折格子領域を備え得る。回折格子領域は、活性領域とは別々であってもよく、又は活性領域は、回折格子を含んでもよい。活性領域と回折格子が別々であるレーザは、DBR(分布ブラッグ反射器)レーザ(図示せず)と称される。活性領域が回折格子を含むレーザは、DFBレーザである。
【0080】
リッジレーザ(図示せず)は、ストライプレーザとも称される。ファブリ−ペローレーザは、1つのタイプのリッジレーザ又はストライプレーザである。ストライプ及びリッジという用語は、レーザ導波路の形態を指す。ファブリペローは、レーザキャビティの形態、すなわち、導波路の端面によって構成された2つの平行な鏡を指す。リッジレーザは、明確なファセットを有する導波路を含む。材料構造は、クラッド材料によって囲まれたコアを含む。クラッド材料は、InP基板に整合された格子であってよい。一例では、クラッド材料はInPであり、コアはAlInGaAsである。AlInGaAsは、InPに比べて高い屈折率を有するので使用され得る。
【0081】
図8(a)は、QRNGにおけるゲインスイッチレーザとして使用するのに適しているDFBレーザを示す。
図8(a)から
図8(d)及び下記の説明は、DFBレーザについて述べているが、DBR(図示せず)又はリッジレーザ(図示せず)を代替としてQRNGにおいて使用することができることを理解されたい。
【0082】
図8(a)の場合のDFBレーザ内の活性領域は、多重量子井戸領域(MQW)を含む。MQW領域は、複数の量子井戸層を含む。レーザが1.55μm動作のために構成されているとき、MQW領域は、例えばAlInGaAs/InP、AlInGaAs/AlInAs、InGaAsP/InP、InGaAsP/AlInAs、又はInGaAs/AlInGaAsなどの材料の交互層を含む。これらの層すべてが、InP基板に格子整合される。
【0083】
デバイスは、基板200を備える。n型コンタクト226が、基板の1つの表面の上にある。バッファ層206が、基板200の反対側の表面にあり、そこに接触している。基板200及びバッファ層206は共にn型層である。代替として、基板200がp型層であるように、この構造を逆にすることもできる。これらの層は、nドープされたInPであってよい。n型層208が、バッファ層206上にあり、そこに接触している。n型層208は、nドープされたInPであってよい。第1の導波路材料210aが、n型層208のストリップ(strip)の上にあり、そこに接触している。MQW層212が、第1の導波路材料210aの上にあり、そこに接触している。第2の導波路材料210bが、MQW層210の上にあり、そこに接触している。pドープされたInPであってよいp型材料216が、ストリップの両側で、n型材料208の上にあり、そこに接触している。n型層218は、p型層216の上にあり、そこに接触しており、nドープされたInPであってよい。p型層220は、第2の導波路層210b及びn型層218の上にあり、そこに接触しており、pドープされたInPであってよい。p型層222は、p型層220の上にあり、そこに接触している。一実施形態では、p型層222は、高濃度ドープされたInPである。すなわち、層220のドーパント濃度より高いドーパント濃度を有する。pコンタクト金属224は、pコンタクト層222の一部の上にあり、そこに接触している。デバイス断面の概略図が
図8(b)に示されている。
【0084】
図8(a)における側面図に示されるように、MQWストリップは、デバイスの長さに沿って延びる。MQWストリップの一部の上に第1のp型層224がある。光が放出される方向に沿った第1のpコンタクト224の下のストリップの一部の片側において、第2の導波路材料内に回折格子がある。
【0085】
レーザのMQWストリップ内で光を生成するために、第1のp型コンタクト224とn型コンタクト226との間に電流が印加される。レーザのMQWストリップ内で生成された光は、MQW層に沿って放出される。光は、横方向でp型層216によって閉じ込められ、垂直方向で導波路層210a及び210bによって閉じ込められる。光は、レーザのアパーチャを通ってMQW層を出る。アパーチャについては、下記に説明する。
【0086】
図8(a)は、導波路領域210bの表面上の構造全体に沿っているDFBの回折格子を示す。DFBレーザは、分離した鏡を有しておらず、その代わりに、回折格子が、活性領域にわたって分配される光フィードバックを提供し、光は、回折格子によって反射される。これは、分離した鏡がレーザの端部における回折格子によって形成され、活性領域と回折格子が別々であるDBRレーザとは異なる。
【0087】
図8(c)に示されるようなDFBレーザ100及び導波路セクション110などの複数の異なるデバイスがモノリシックに成長される場合、物理的な間隙270がそれらの間に作成され、これは、例えばトレンチをエッチングすることによって実現され得る。この間隙は、トレンチがエッチングされた後、同様の屈折率を有する材料で充填することができ、又は、この間隙は、空いたままにされてもよい(すなわち、空気で充填される)。
【0088】
図8(c)は、デバイスの長さに沿った、すなわち、光が放出される方向に沿った側面図を示す。DFBレーザ100からの光は、導光領域110に向かって放出される。DFB100と導光領域110との間に間隙がある。この間隙は、デバイス全体にわたって、光が放出される方向に対して直交する方向に延び得る。この間隙は、バッファ層206まで延びる。光は、自由空間270を通って、又は間隙270内に充填された材料を通ってDFBレーザ100と導光領域110との間で移動する。
【0089】
図8(d)もまた、光が放出される方向に対して直交する方向を通る断面を示す。例えば
図4(b)又は
図7(a)に示されるように、光が放出される方向に対して直交する方向に、複数のレーザが互いに並んで位置し得るため、間隙271もまた、レーザをこの方向に分離するために含まれ得る。別の例では、これらの間隙は、例えば
図9(a)に示されるレベル0A成長ステップにおいて、Si−InPを使用して充填されてもよい。
【0090】
導光領域110は、バッファ層206の上にあり、そこに接触している第1の層282と、第1の層282の上にあり、そこに接触している導波路領域と、導波路領域の上にあり、そこに接触している第2の層280と、を含む。光は、垂直方向及び横方向で導波路領域内に閉じ込められる。第1の層282及び第2の層280は、例えばInPであってよい。導波路領域は、InAlAsクラッド領域を有するInGaAs層を含み得る。
【0091】
図8(e)は、シードレーザ145及び出力レーザ140を備えるレーザ100の側面図を示す。レーザ100のこの構成は、
図3(d)に関連して説明したように、狭いパルスを出力するのに適している。
図8(e)の例では、シードレーザ145及び出力レーザ140は共にDFBレーザである。DBRレーザ又はリッジレーザを使用することもできることを理解されたい。レーザは、異なるタイプのものであってもよく、例えばシードレーザ145はDBRレーザであってよく、一方、出力レーザ140は、DFBレーザ又はリッジレーザであってもよいことも理解されたい。
【0092】
図8(e)は、デバイスの長さに沿った、すなわち、光が放出される方向に沿った側面図を示す。シードレーザ145と出力レーザ140との間に導光領域221aがある。シードレーザ145と導光領域221aとの間に間隙270、及び導光領域221aと出力レーザ140との間に間隙270がある。間隙は、デバイス全体にわたって、光が放出される方向に対して直交する方向に延び得る。間隙は、バッファ層206まで延びる。光は、間隙内の自由空間及び導光領域221aを通ってシードレーザ145と出力レーザ140との間で移動する。別の例では、間隙270は、例えば
図9(a)に示されるレベル0A成長ステップにおいて、Si−InPを使用して充填されてもよい。
【0093】
図8(f)は、別の例によるシードレーザ145及び出力レーザ140を備えるレーザ100の側面図を示す。レーザ100のこの構成は、
図3(d)に関連して説明したように、狭いパルスを出力するのに適している。
図8(f)の例では、シードレーザ145及び出力レーザ140は共にDFBレーザである。DBRレーザ又はリッジレーザを使用することもできることを理解されたい。レーザは、異なるタイプのものであってもよく、例えばシードレーザ145はDBRレーザであってよく、一方、出力レーザ140は、DFBレーザ又はリッジレーザであってもよいことも理解されたい。
図8(f)は、デバイスの長さに沿った、すなわち、光が放出される方向に沿った側を示す。シードレーザ145によって出力される光は、出力レーザ140に結合される。すなわち、
図8(e)の例とは対照的に、間に導光領域はない。シードレーザ145と出力レーザ140との間に間隙270がある。間隙は、デバイス全体にわたって、光が放出される方向に対して直交する方向に延び得る。間隙は、バッファ層206まで延びる。別の例では、間隙270は、例えば
図9(a)に示されるレベル0A成長ステップにおいて、Si−InPを使用して充填されてもよい。
【0094】
図示しない別の例では、シードレーザ145と出力レーザ140との間にVOAが配置される。VOAは、シードレーザ145及び出力レーザ140と共に、基板200上に、基板の表面に平行な平面内で横方向に集積され、その結果、シードレーザ145によって放出される光は、VOAに導かれ、VOAを通過した光は、出力レーザ140に導かれる。VOAは、
図10に関連して下記でさらに説明されるようなMZIスイッチを備えてもよい。
【0095】
図9(a)は、横方向接合を使用してモノリシックに集積されたDFBレーザ100を成長及び作製する方法のフローチャートを示す。この方法は、
図8(c)に示されるような導光領域110に結合されたDFBレーザ100、又は
図8(e)及び
図3(e)に関連して説明したようなシードレーザと出力レーザとを含むDFBレーザを作製するために使用することができる。また、この方法は、
図8(e)、
図7(a)、又は
図7(c)に関連して説明したような複数のDFBレーザを作製するために使用することができる。
図9(a)の方法は、複数のDBRレーザ(図示せず)を作製するために使用されてもよい。
【0096】
この方法では、これらのレーザは、基板、例えばSi−InP基板上にモノリシックに集積される。Si−InP基板は、すべての電流が横方向のn型コンタクトとp型コンタクトとの間に流れる横方向接合を作成するために使用される。
【0097】
ステップS301では、バッファ層206が成長され、その後に活性領域構造が続く。一実施形態では、バッファ層は、厚さ200nmである。一実施形態では、バッファ層は、半絶縁性InPである。活性領域構造は、以前の図に関連して説明したように、多重量子井戸(MQW)構造を含むことができる。このステップは、「0レベル成長」と称される。
【0098】
次いで、「0レベル作製」であるステップS302では、成長装置からサンプルが取り出される。これは、Si
3N
4又はSiO
2層であり得る誘電ハードマスクの堆積を含む。この誘電層の厚さは、成長される活性領域の厚さ、及びドライエッチング選択性に依存し得る。次に、フォトレジストがスピンコートされ、n型トレンチエリアが光リソグラフィによって画定される。現像後、レジスト内に画定されたパターンが、例えばCF
4又はCHF
3化学反応に基づくドライエッチングを通じて誘電層に転写される。次に、表面上の残りのレジストが、レジスト剥離溶液内で又はO
2プラズマ洗浄によって、除去される。次に、半導体ドライエッチングが実施される。Cl
2ベースの化学反応が、良質な垂直側壁を設けるために使用されてもよい。
【0099】
一例によれば、S302について上述の半導体ドライエッチングを使用して、
図8(d)に関連して説明したデバイスに従って、アレイ内の隣り合うレーザ間の分離トレンチを形成してもよい。
【0100】
別の例によれば、「0レベル作製」は、「0Aレベル成長」及び「0Aレベル作製」という2つのさらなるステップを含むことができる。「0Aレベル成長」は、半絶縁性InP層の成長を含む。成長後、誘電ハードマスク(上記のようにSi
3N
5又はSiO
2とすることができる)が堆積され、ハードマスクは、例えばステップS302のためのものと同じプロセスを使用してパターン形成される。半導体ドライエッチングをS302に従って再度実施し、レーザを含む領域など不必要な領域から半導体を除去する。
【0101】
次いで、サンプルは、ステップS303「1レベル過成長」のための準備ができている。誘電ハードマスクは、n型トレンチの外側の領域上に残される。これは、選択的エリア成長を提供することになる。n型層228は、n型トレンチ内で成長され、エッチングされた領域は平坦化される。n型層228は、例えばInPであってよい。
【0102】
ステップS304「1レベル作製」では、誘電ハードマスクが除去される。これは、サンプルをHF内に浸漬すること又はドライエッチングを含む。この時点で、ドライエッチングのための新しいハードマスクとして働くことになる新しい誘電層が堆積される。この場合も、この層の厚さは、成長される活性領域の厚さ、及びドライエッチング選択性に依存し得る。光リソグラフィによってp型トレンチ領域を画定するために、フォトレジストがスピンコートされ、現像される。例えばCHF
3又はCF
4化学反応に基づくドライエッチングによって、パターンが誘電層に転写される。次いで、レジストが以前のように除去される。次いで、p型トレンチ領域は、Cl
2化学反応に基づいてドライエッチングされる。
【0103】
ステップS305「2レベル過成長」は、エッチングされたp型トレンチ領域の上部にエピタキシャルp型層230を成長することを含む。p型層230は、例えばInPであってよい。以前の成長ステップで残された誘電層は、選択的領域エピタキシを可能にする。
【0104】
ステップS306「2レベル作製」は、浸漬又はドライエッチングによって誘電ハードマスクを除去することを含む。DFBレーザの場合、新しい誘電層が堆積され、そこに次いでレジストがスピンコートされ、回折格子パターンが電子ビームパターン形成される。次いで、これはドライエッチング又はウェットエッチングされて誘電領域になる。
【0105】
最後のステップでは、n型コンタクト及びp型コンタクトが、n型トレンチ及びp型トレンチの上部に、それぞれ光リソグラフィによって画定される。n型コンタクト及びp型コンタクトのための適切な金属が堆積され、リフトオフされ、アニールされる。
【0106】
同様のデバイスを2つの独立した工程で作製し、ダイシングし、次いで別のプラットフォーム上にフリップチップ実装し、位置合わせすることができる。例えば2つのInPベースのレーザを、共通のSiキャリア基板上にフリップチップ実装することができる。
【0107】
図9(b)は、DFBレーザを有する光デバイスのための、
図9(a)のステップ後のサンプルの構造を示す。
【0108】
ステップS301の後、サンプルは、基板200と、基板200の上にあり、そこに接触しているバッファ層206と、バッファ層206の上にあり、そこに接触している層232と、層232の上にあり、そこに接触している第1の導波路層210aと、第1の導波路層210aの上にあり、そこに接触しているMQW層212と、MQW層212の上にあり、そこに接触している第2の導波路層210bと、を備える。
【0109】
ステップS302の後、誘電ハードマスク214と、第2の導波路層210bと、MQW層212と、第1の導波路層210aとを備えるプラトーが、層232の一部の上にあり、そこに接触している。
【0110】
ステップS303の後、n型層228は、層232の上にあり、そこに接触しており、プラトーに隣接し、誘電ハードマスク214が除去されている。
【0111】
ステップS304の後で、n型層228の上にあり、そこに接触している誘電ハードマスク214と、第2の導波路層210b、MQW層212、及び第1の導波路層210aを備えるスタックと、を備えるプラトーがある。プラトーは、層232の一部の上にあり、そこに接触している。
【0112】
ステップS305の後で、n型層228と、第2の導波路層210b、MQW層212、及び第1の導波路層210aを備えるスタックと、p型層230とが、層232の上にあり、そこに接触している。n型層228は、スタックの一方の側に隣接し、p型層230は、スタックの反対側に隣接する。
【0113】
ステップS306の後で、回折格子が第2の導波路層210b上に形成されている。pコンタクト金属224がp型層230の上にあり、そこに接触している。nコンタクト金属226がn型層228の上にあり、そこに接触している。
【0114】
図7(a)及び
図7(b)に戻ると、各DFBレーザ100の出力は、出力導光領域110に注入され、出力導光領域は、MZIスイッチ90に接続されている。MZIスイッチ90の概略図が
図10に示される。MZIスイッチは、2つの入力及び2つの出力を有し得る。しかし、単一の入力及び/又は単一の出力が使用されてもよい。入力側では、入力は、共にエバネッセント結合され、次いで干渉計の2つのアームへ分割される。1つのアームは、位相変調器91を含む。位相変調器91は、位相を入力光に追加するように構成されており、追加される位相の量が制御され得る。位相変調器を通過した光は、位相変調器を通過しなかった光と干渉し、MZIの各出力での光の振幅は、相対的な位相シフトに依存する。位相変調器91の位相シフトを動的に調整することにより、パワー分割比が制御され得、各出力に移送されるパワーが制御され得る。
【0115】
単一の入力及び単一の出力が使用されるとき、MZIスイッチは、可変光アテネータ(VOA)として動作する。
図7(a)を参照すると、DFBレーザ100に接続されたMZIスイッチ90の目的は、(より高い振幅パルスをより低い振幅パルスに等しいものに減衰することによって)各レーザからのパルスの電力を等化するように構成されたVOAとして働くことである。
【0116】
図7(a)の遅延線干渉計33のような単一の入力及び2つの出力が使用されるとき、MZIスイッチ90bは、パワー分割比を制御する。遅延線干渉計33では、1つのアームが遅延要素8を含み、遅延要素8は、参照アーム内の導波路に比べて導波路のより長い区間であってよい遅延線によって実装される。遅延線は、典型的には長さ数cmである(例えば、InP上の500pの遅延のためには長さ約4.5cm、窒化シリコンベースの基板上では8cm)。オンチップ遅延線における伝播損失は、InP導波路では2dB/cm、Si
3N
4導波路では0.5dB/cmとなり得、InPでは10dB、Si
3N
4では4dBの追加の損失を引き起こす。したがって、この追加の損失を補償するために、MZIスイッチ90bは、参照アームに比べてより多くの光が遅延線干渉計のロングアーム内を通過するように、パワーを分割するように構成される。
【0117】
位相変調器91は、材料の屈折率が印加される電場に依存する電気光学変調器であってよい。屈折率の変化は、光路長の変化をもたらし、位相変調器によって加えられる位相シフトの変化をもたらす。異なる位相シフトをもたらすように、異なる電圧が位相変調器に印加される。説明したような位相変調器は、屈折率が電場強度に依存するLiNbO
3結晶などの結晶を含むことができ、電場は、LiNbO
3結晶周りに配置された電極に電圧を印加することによって印加され得る。
【0118】
代替として、位相変調器91は、光路長が温度に依存する熱光学変調器であってよく、温度は、例えば基板上に集積されたマイクロヒータにより変えられる。光路長の変化は、位相変調器によって加えられる位相シフトの変化をもたらす。
【0119】
代替として、位相変調器91は、圧電アクチュエータを使用することによって実装されてもよい。圧電アクチュエータを使用する位相変調は、光導波路上に堆積された圧電薄膜を必要とする。圧電薄膜は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)であってよい。電極は、基板上で、PZT薄膜及び光導波路周りに集積され得る。PZT薄膜周りの電極に対して電圧を印加したとき、電界がPZT膜にわたって誘導され、それを伸長させ、光導波路に圧力を加える。光導波路に対する圧力は、応力を誘導し、これは、有効屈折率の変化をもたらし得る。屈折率の変化は、光路長の変化をもたらし、これは、位相変調器によって加えられる位相シフトの変化をもたらす。
【0120】
位相変調器91に加えられる相対的な位相シフトは、MZIスイッチ90の位相変調器91に制御信号(電気光学的に若しくは圧電作動される位相変調器のための電圧、又は熱光学変調器のための電流)を印加するように構成されたコントローラ(図示せず)によって設定される。
【0121】
図11は、ポストプロセッサ502にさらに結合されるアナログ−デジタルコンバータ(ADC)501に結合された光検出器5の概略図を示す。ポストプロセッサ502の出力は、一様確率分布505を有する乱数のシーケンスである。
【0122】
一例によれば、光検出器5は、位相測定要素3又は33の出力から光を受けるように構成される。光検出器は、少なくともN×Rに等しい帯域幅を有し、ここでNは、ゲインスイッチレーザの数であり、Rは、各ゲインスイッチレーザの反復速度である。例えば、
図5(a)及び
図5(b)に関連して説明したものなど、R=5GHz及びN=2のとき、好適な光検出器は、典型的には20GHzを超える帯域幅を有するInPベースの光検出器であってよい。
【0123】
ADC501は、光検出器5によって出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。一例によれば、ADCは、10ビットコンバータであってよい。
【0124】
ADC501の出力は、一様分布でないため、乱数として直接使用され得ない。ポストプロセッサ502は、ADCからの生データを乱数に変換する。ポストプロセッサ502は、ADCの出力を乱数に変換するために、有限インパルス応答(FIR)フィルタリングを実装し得る。
【0125】
ポストプロセッサは、出力データのビットの数を削減し得る。例えば、ADCが10ビットデータを出力する場合、ポストプロセッサの出力は、8ビットデータストリームとなり得る。x(n)がADCによって出力されポストプロセッサに入力されるデータを示す場合、出力y(n)は、y(n)=[b
0x(n)+b
1x(n−1)+...+b
Mx(n−M)]mod2
8によって与えられ、ここで、b
i=M!/(i!(M−i)!)は2項係数であり、例えばM=7である。
【0126】
ポストプロセッサ502は、中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)であってよい。FPGAは、FIRフィルタリングをリアルタイムで実施し得る。フィルタリングの他に、ポストプロセッサは、代替として、ランダム性抽出アルゴリズムを実装することによってADC501の生出力を乱数に変換し得、このアルゴリズムは、一様分布を有する非常にランダムなデータのシーケンスを生成するために、完全にランダムであるとは限らないデータのシーケンスに適用され得る関数を含む。ランダム性抽出関数の例は、トレヴィザンの抽出器及びテプリッツ抽出器である。
【0127】
いくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例として提示されているにすぎず、本発明の範囲を限定することは意図されていない。実際、本明細書に記載の新規なデバイス及び方法は、様々な他の形態で実施され得、さらに、本明細書に記載のデバイス、方法、及び製品の形態における様々な省略、代替、及び変更は、本発明の精神から逸脱することなしになされ得る。添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物は、本発明の範囲及び精神に入るそのような形態又は修正を包含することが意図されている。