(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る筒状リールシートとそれを備えた釣竿について
図1乃至
図13を参酌しつつ説明する。本実施形態における筒状リールシート1は、釣竿にスピニングリールを固定するためのものである。該筒状リールシート1は、いわゆるパイプシートと称される全体として筒状のものであって釣竿の竿本体2(ブランク)に外装されて所定位置に移動不能に固定される。即ち、竿本体2が筒状リールシート1を挿通しており、竿本体2の外周面の所定位置に接着等により固定される。
【0016】
尚、筒状リールシート1においてスピニングリールが装着される側をリール装着側とし、リール装着側とは径方向反対側(180度反対側)を反リール装着側とする。通常の使用状態においてスピニングリールは下側を向く。そのため、
図1等では、使用状態に即して、リール脚3の裏面を支持するためのリール脚支持面11が下側を向くように図示している。また、竿先側を前側と、竿尻側を後側とし、反リール装着側から見たとき、竿本体2の軸線方向(中心軸の方向)と直交する方向を左右方向とする。
【0017】
リール脚3は、図示しないリール本体から一本脚状に延びる脚主部4と、該脚主部4の先端部である足首部4aから前後両側に延びる取付脚部5とを備えて、全体としてT字状に形成されている。従って、リール脚3は、前後一対の脚先部5a,5bを有している。
【0018】
筒状リールシート1は、
図1及び
図2に示しているように、竿本体2に移動不能に外装され、リール脚3の一方の脚先部5aを固定するための固定フード部12が形成された筒状のリールシート本体7と、該リールシート本体7に外装され、リール脚3の他方の脚先部5bを固定するための筒状の可動フード8と、該可動フード8を軸線方向に移動させると共に所望の位置に固定するための固定ナット9とを備えている。筒状リールシート1の外周面は、
図1に示すような正面視において、反リール装着側に山型に膨出した形状となっており、反リール装着側の外周面の膨出形状のピーク部P(頂上部)は、リール脚3の足首部4aの中心線4bよりも若干固定ナット9側に位置している。反リール装着側の外周面は、ピーク部Pから固定ナット9側即ち軸線方向の他端部側に向けてなだらかにリール装着側に下降していき、リールシート本体7から可動フード8へと連続して下降していく。反リール装着側の外周面は、ピーク部Pから軸線方向の他端部側に向けても徐々にリール装着側に下降していく形状となっている。
【0019】
また、筒状リールシート1の外周面は、
図2に示すような反リール装着側から見た平面視において、軸線方向の他端部側から一端部側に向けて、可動フード8においては徐々に幅広となり、リールシート本体7においては一旦徐々に幅狭となった後、逆に固定フード部12に向けて徐々に幅広となり、固定フード部12からリールシート本体7の軸線方向の一端部7aまで徐々に幅狭となっている。
【0020】
リールシート本体7は、一部材から構成される。リールシート本体7の材質は、合成樹脂や金属等であってよいが、特には硬質の合成樹脂から射出成形により形成された樹脂成形品であることが好ましい。その合成樹脂は種々のものであってよいが、繊維強化樹脂が好ましく、特に、長さが1mm以下の短繊維を強化繊維とした繊維強化樹脂が好ましい。また、その繊維としてはカーボン繊維が好ましい。
【0021】
図7〜
図9にリールシート本体7を単体の状態で示している。リールシート本体7には竿本体2が挿通する竿挿通孔10が形成され、リール装着側にはリール脚3の裏面を支持するためのリール脚支持面11が形成され、軸線方向の一端部7a側にはリール脚3の一方の脚先部5aを固定するための固定フード部12が形成され、軸線方向の他端部7b側の外周面には雄ネジ部13が形成されている。リール脚3の裏面とは、リール脚3の取付脚部5の裏面である。固定フード部12はリール装着側に形成されていて、軸線方向の他端部7b側に開口する開口部を有している。該固定フード部12にリール脚3の一方の脚先部5aが挿入される。リールシート本体7の雄ネジ部13に固定ナット9が螺着され、該固定ナット9の軸線方向の一端部側に可動フード8が位置する。リールシート本体7には、雄ネジ部13を部分的に切り欠くようにして軸線方向に直線状に延びるガイド溝14が形成されている。該ガイド溝14の数や配置は任意であるが、例えば、左右両側部に互いに対称関係で配置される。可動フード8は、リールシート本体7のガイド溝14に案内されながら軸線方向にスライド移動する。
【0022】
図7のようにリールシート本体7の正面視において、反リール装着側の外周面は中央部において径方向外側(反リール装着側)に向けて山型に膨出した形状となっており、反リール装着側の外周面はピーク部Pから軸線方向の一端部7aまで徐々にリール装着側に下降していく。また、
図8のようにリール装着側から見た底面視において、リールシート本体7は、中央部において幅狭に括れた形状となっていて、最も括れた括れ部Qは反リール装着側の外周面のピーク部Pよりも後側に位置している。その括れ部Qから固定フード部12の開口部まで徐々に幅広となり、その後、固定フード部12から軸線方向の一端部7aまで徐々に幅狭となっている。このようにリールシート本体7は、固定フード部12から軸線方向の一端部7aに向けて徐々に縮径した先細り形状となっている。
【0023】
リールシート本体7のリール装着側には反リール装着側に向けて凹んだ凹部15が形成されている。該凹部15は、リール装着側に開口すると共に、左右両側面(両サイド)にも開口しており、従って、凹部15はリール装着側、反リール装着側及び左右両側面の四方のうち三方に開口した形状となっている。凹部15は竿挿通孔10を反リール装着側に越えて深く形成されている。凹部15を左右両側方から見たときの側方開口形状は、前後両側から中央部に向けて徐々に深くなる逆三角形状となっており、この逆三角形状である側方開口形状における谷底部Rは、竿挿通孔10よりも反リール装着側に位置している。また、逆三角形状である側方開口形状における谷底部Rは、反リール装着側の外周面のピーク部Pよりも軸線方向の他端部7b側に位置している。そして、凹部15の側方開口形状は、固定フード部12の開口縁部と連続している。また、凹部15は、軸線方向と直交する方向に切断した横断面視においては、
図6のように左右方向の中央部が最も深くなっている。
【0024】
このようにリールシート本体7のリール装着側に凹部15が形成されることにより、リールシート本体7は、軸線方向の一端部7a側に位置する第一筒部21と、軸線方向の他端部7b側に位置する第二筒部22と、第一筒部21と第二筒部22とを反リール装着側において軸線方向に連結するブリッジ部23とから構成される。また、リールシート本体7のリール装着側に凹部15が形成されることによって、竿挿通孔10は前後に分断された状態にある。従って、第一筒部21と第二筒部22にそれぞれ竿挿通孔10が分かれて形成されているが、それらの竿挿通孔10は互いに同軸上にある。
【0025】
第一筒部21の竿挿通孔10は、凹部15とは反対側の端部を除いて径一定であって、凹部15とは反対側の端部は段差部を介して一段大径とされている。第一筒部21の竿挿通孔10の凹部15側の開口縁部は、全周に亘って軸線方向に対して直交する平面となっている。第一筒部21の竿挿通孔10の凹部15とは反対側の開口縁部は、軸線方向に対して直交せずに傾斜しており、反リール装着側からリール装着側に向けて軸線方向に延びる傾斜面となっている。即ち、リールシート本体7の第一筒部21側の端面である軸線方向の一端面は、軸線方向に対して傾斜した傾斜面となっている。第二筒部22の竿挿通孔10は全長に亘って径一定である。第二筒部22の竿挿通孔10の凹部15側の開口縁部は全周に亘って軸線方向に対して直交する平面となっており、また、第二筒部22の竿挿通孔10の凹部15とは反対側の開口縁部も全周に亘って軸線方向に対して直交する平面となっている。即ち、リールシート本体7の第二筒部22側の端面である軸線方向の他端面は、軸線方向に対して直交した平面となっている。
【0026】
また、リール脚支持面11も凹部15によって前後に分断された状態にあり、従って、第一筒部21と第二筒部22にそれぞれ分かれてリール脚支持面11が形成されているが、互いの高さは同一とされている。このように第一筒部21には竿挿通孔10と固定フード部12が形成され、第二筒部22には竿挿通孔10と雄ネジ部13が形成されている。
【0027】
ブリッジ部23は、
図9に示すように、軸線方向に沿って切断した縦断面視において、径方向外側、即ち、反リール装着側に向けて湾曲した湾曲形状となっている。縦断面視において、ブリッジ部23の外面23aは外側凸の湾曲形状となっており、ブリッジ部23の内面23bも外面23aの形状に対応して外側凸の湾曲形状となっている。ブリッジの内面23bは軸線方向の全長に亘って竿挿通孔10よりも径方向外側に位置している。
【0028】
また、
図6のように、ブリッジ部23は、軸線方向と直交する方向に切断した横断面視において、径方向外側に湾曲した湾曲形状となっている。即ち、横断面視において、ブリッジ部23の外面23a及び内面23bは何れも外側凸に湾曲しており、従って、ブリッジ部23は、その外面23a及び内面23bは何れも径方向外側に湾曲した、外側凸の横断面形状を有している。そして、ブリッジ部23の軸線方向の両端部ではなく中途部における肉厚は、薄肉であって、少なくとも、第一筒部21の反リール装着側の部分よりも薄肉であり、従って、ブリッジ部23は、外側凸の薄肉湾曲の横断面形状を有している。また、ブリッジ部23の内面23bは、竿挿通孔10よりも径方向外側に位置していることから、
図6にも示されているように、竿本体2に装着された状態において、竿本体2に対してブリッジ部23の内面23bは径方向外側に離間している。
【0029】
更に、ブリッジ部23の左右両側縁部24(周方向両端部)は、ブリッジ部23の全長の大部分において竿挿通孔10よりも反リール装着側に位置していて、竿本体2への装着状態では竿本体2よりも反リール装着側に位置している。ブリッジ部23の両側縁部24は、凹部15の側方開口形状における谷底部Rにおいて最も反リール装着側にあり、そこから両側縁部24は第一筒部21側及び第二筒部22側に向けて徐々にリール装着側に延びていく。ブリッジ部23の第一筒部21側の端部における両側縁部24は、反リール装着側の半周分を越えてリール装着側に延びている。即ち、ブリッジ部23の第一筒部21側の端部における両側縁部24は、竿挿通孔10の中心線10aよりもリール装着側に延びており、しかも、その両側縁部24は、第一筒部21における竿挿通孔10の凹部15側の開口部に対して径方向外側に離間している。更に、ブリッジ部23の両側縁部24は第一筒部21側の端部から固定フード部12の開口縁部の左右両端部へと連続してつながっている。一方、ブリッジ部23の第二筒部22側の端部における両側縁部24は、反リール装着側の半周分を越えて延びてはおらず、竿挿通孔10の中心線10aよりも反リール装着側の位置で留まっている。
【0030】
<可動フード8>
可動フード8は、全体として筒状であって、リールシート本体7の第二筒部22に外装されていて、リールシート本体7に対して軸線方向にスライド移動可能であって回転不能となっている。可動フード8の内周面には内側に向かって図示しないガイド突起が突設されていて、該ガイド突起がリールシート本体7のガイド溝14に係合することで、可動フード8はガイド溝14に案内されながら軸線方向の前後にスライド移動できる。
【0031】
可動フード8の一端部、それは固定ナット9とは反対側の端部であって反ナット側の端部と称することにする。尚、可動フード8の他端部は固定ナット9側であるためナット側の端部と称することにする。可動フード8の反ナット側の端部にはリール脚3の他方の脚先部5bが挿入されるフード部30が形成されている。該フード部30は、可動フード8の反ナット側の端部における全周のうちの一部が径方向外側に局部的に膨出したものであって、フード部30とリールシート本体7との間にリール脚3の他方の脚先部5bが挿入される。可動フード8のフード部30は、リールシート本体7の固定フード部12と前後に対向しており、固定フード部12と共にリール脚3の取付脚部5を前後に狭持してリール脚3を固定する。また、可動フード8のナット側の端部内周面には係合突条31が周設されている。
【0032】
可動フード8の反ナット側の端部の直径はナット側の端部の直径よりも大きく、可動フード8は、ナット側から反ナット側に向けて徐々に拡径している。また、可動フード8の一端面、即ち、フード部30側の端面(反ナット側の端面)は、軸線方向に対して直交しておらず、軸線方向に対して傾斜しており、反リール装着側がリール装着側よりも反ナット側に延びている。尚、可動フード8の外周面はリールシート本体7の外周面と段差なく連続している。
【0033】
可動フード8は、種々の材質から構成でき、ステンレスやアルミニウム合金等の金属製やABS等の硬質な合成樹脂製、あるいは、カーボン繊維等を強化繊維とする繊維強化樹脂製とすることができ、リールシート本体7と同様に短繊維からなる繊維強化樹脂製とすることもできる。
【0034】
<固定ナット9>
固定ナット9は、筒状であってその内周面に、リールシート本体7の雄ネジ部13に螺合する雌ネジ部40を有している。固定ナット9の構成も種々であってよく、一部材から構成されていてもよいが、本実施形態では複数の部材から構成されている。具体的には、固定ナット9は、三つの部材からなり、互いに一体となって回転する。
【0035】
詳細には、固定ナット9は、内側から順に、内筒体41と、中間筒体42と、外筒体43とから構成されている。内筒体41の内周面に雌ネジ部40が形成されており、この内筒体41は合成樹脂製とされることが好ましい。内筒体41が合成樹脂製であると、雌ネジ部40の形成が容易であり、低コストで済み、また、リールシート本体7の雄ネジ部13との摺動特性も良好なものとなって操作性が良い。
【0036】
中間筒体42は、内筒体41の外側に装着固定されると共に、内筒体41の反フード側(可動フード8とは反対側)の端面の露出を防止すべくその端面を軸線方向外側から覆うように構成されている。この中間筒体42は、アルミニウム合金等の金属製とされることが好ましい。中間筒体42が金属製であると、装飾性に優れていて高級感が出る。
【0037】
尚、内筒体41は中間筒体42からフード側(可動フード8に近い側)に所定長さ露出していて、その露出部分の外周面には周溝44が形成されている。該周溝44に可動フード8の係合突条31が係合していて、可動フード8と固定ナット9は互いに相対回転可能に係止されている。従って、固定ナット9が回転しても可動フード8は回転せずに前後にスライドする。また、内筒体41の露出部分の外周面であって周溝44の反フード側には環状突条45が周設されており、該環状突条45が中間筒体42と可動フード8との間に位置している。従って、可動フード8のナット側の端面は内筒体41の環状突条45の側面と摺動する。
【0038】
外筒体43は、中間筒体42の外側に装着固定されており、この外筒体43は、ゴム製、特に合成ゴム製とされることが好ましい。外筒体43がゴム製であると、滑りにくく操作性に優れる。このように固定ナット9が三つの部材からなる三層構造とされることで、操作性と装飾性の両立を図ることができる。
【0039】
<竿本体2への装着状態>
筒状リールシート1は、竿本体2の所定位置に接着等により固定される。筒状リールシート1の前後の向きは何れであってもよく、固定ナット9が前側即ち竿先側を向く装着態様であってもよいし、固定ナット9が後側即ち竿尻側を向く装着態様であってもよい。本実施形態では、固定ナット9が前側に位置する態様について説明する。
【0040】
リールシート本体7の竿挿通孔10を竿本体2が挿通する。竿本体2は、種々の構成であってよいが、本実施形態では、竿尻部が局所的に拡径されてリアグリップ部50が一体的に形成されたリアグリップ竿体51を備えた構成である。即ち、竿本体2は、リアグリップ竿体51とその前側に位置するメイン竿体52とを備えた構成であり、リアグリップ竿体51の前部とメイン竿体52の後部とが接合一体化されて構成されている。尚、釣竿の種類も任意であって、並継ぎ竿や振出竿等であってよい。例えば、ワンピースロッドの場合にはメイン竿体52は穂先まで連続した一本構造である。ツーピースロッドの場合には、釣竿は穂先側の一番竿と元側の二番竿とから構成され、元側の二番竿に筒状リールシート1を備えることになる。ツーピースロッドの場合、メイン竿体52は穂先側の竿体と元側の竿体の二本構造となり、穂先側の竿体と元側の竿体は着脱自在に構成される。そして、元側の竿体の後部がリアグリップ竿体51の前部に接合一体化されて互いに不離一体の構成とされて二番竿を構成する。即ち、二番竿は、元側の竿体とリアグリップ竿体51からなる。何れにしても、本実施形態ではリアグリップ竿体51を備えた構成であって、竿本体2はリアグリップ竿体51とメイン竿体52とを備えていて、リアグリップ竿体51の前部がメイン竿体52の後部と不離一体に接合一体化されて構成されている。そして、リアグリップ竿体51に筒状リールシート1が装着されており、より具体的には、リアグリップ竿体51の前部に筒状リールシート1が装着されている。
【0041】
また、本実施形態では、リアグリップ竿体51の前部の内側に筒状のスペーサ53を介在させ、そのスペーサ53の内側にメイン竿体52の後部を挿入している。即ち、リアグリップ竿体51とメイン竿体52との間にはスペーサ53が介装されていて、スペーサ53を介してリアグリップ竿体51の前部の内側にメイン竿体52の後部が挿入されて接着固定されている。但し、スペーサ53を介さずに直接リアグリップ竿体51とメイン竿体52とが接合一体化されていてもよい。また、竿本体2の構成は種々変更可能である。
【0042】
リールシート本体7は竿本体2に直接接着されてもよいが、本実施形態では筒状のスペーサ60を介して接着固定されている。即ち、竿本体2の外周面にスペーサ60が接着固定され、該スペーサ60の外周面にリールシート本体7が接着固定されている。このようにスペーサ60を介してリールシート本体7を竿本体2に接着固定する構成とすることにより、肉厚の異なるスペーサ60を種々準備しておけば、リールシート本体7を共用化でき、種々の直径の竿本体2に同一のリールシート本体7を装着できる。スペーサ60の材質は任意であるが、本実施形態のように外部に露出しない構成の場合には合成樹脂が好ましく、軽量化できると共に製造も容易で低コストで済む。竿挿通孔10は第一筒部21と第二筒部22にそれぞれ形成されているが、本実施形態では、第一筒部21の竿挿通孔10と第二筒部22の竿挿通孔10にそれぞれスペーサ60が介装されている。
【0043】
また、第一筒部21の竿挿通孔10の凹部15側の開口部にはフランジ付きの口筒体61が竿本体2との間に装着され、第二筒部22の竿挿通孔10の凹部15側の開口部にも同様にフランジ付きの口筒体61が装着されている。口筒体61は竿本体2の外周面に接着固定される。該口筒体61はフランジ部61aを除いてリールシート本体7の内側に位置していて、そのフランジ部61aは竿挿通孔10の開口縁部に当接している。該口筒体61は金属製とすることが好ましく、内部のスペーサ60の端面の露出を防止できて意匠性を向上させることができる。また、口筒体61にフランジ部61aを設けてそのフランジ部61aが竿挿通孔10の開口縁部に当接する構成とすることで、意匠性が更に向上すると共に接着剤のはみ出しも防止できる。
【0044】
一方、第一筒部21の竿挿通孔10の凹部15とは反対側の開口部にはスペーサ60よりも厚肉とされた口筒体62が竿本体2との間に装着されている。該口筒体62は竿本体2の外周面に接着固定される。該口筒体62を設けることで、内部のスペーサ60の後端面の露出を防止できる。該口筒体62はその前部がリールシート本体7の内側に位置し、その後部はリールシート本体7から露出している。そして、口筒体62よりも後側にはEVAやコルク等からなる別途のグリップ体は設けられておらず、口筒体62よりも後側の領域は竿本体2が露出している。即ち、リールシート本体7の後側には口筒体62がその後部を露出する態様で設けられ、更に口筒体62の後側には竿本体2が露出する構成とされている。リールシート本体7の後部外周面から口筒体62の外周面、竿本体2の外周面へと、段階的且つスムーズに縮径していく構成となっているので、リールシート本体7の後側に別途のグリップ体を設けなくても違和感なく把持することができてグリップ性に優れている。尚、この口筒体62も金属製とされることが好ましく、意匠性に優れる。
【0045】
リールシート本体7の前側にも口筒体63が装着されている。該口筒体63は、リールシート本体7の前端面とスペーサ53の前端面の露出を防止すべくそれらを前側から覆い隠しており、竿本体2の外周面に接着固定される。また、上述のように、リアグリップ竿体51の内側にスペーサ53を介してメイン竿体52を挿入固定しているので、リアグリップ竿体51の前端面とスペーサ53の前端面を覆うように、口筒体63は段差部63bを介して小径部63aを前部に備えている。即ち、口筒体63は後側に大径部63cを備え前側には小径部63aを備えた構成であって、口筒体63の大径部63cはリアグリップ竿体51の径方向外側であって且つ固定ナット9の径方向内側に位置し、即ち、口筒体63の大径部63cはリアグリップ竿体51と固定ナット9との間に介在している。尚、口筒体63はリアグリップ竿体51には不離一体に固定されており、固定ナット9は口筒体63に対しては回転可能である。口筒体63の段差部63bがリアグリップ竿体51の前端面とスペーサ53の前端面を前側から覆っている。口筒体63の小径部63aの内周面はスペーサ53の内周面と面一であって小径部63aの内径はスペーサ53の内径と同一径となっており、スペーサ53の内周面と共に口筒体63の小径部63aの内周面はメイン竿体52の外周面に接着される。尚、この前側の口筒体63も金属製とされることが好ましく、意匠性に優れる。
【0046】
このように筒状リールシート1が竿本体2に装着された状態においては、リールシート本体7の第一筒部21と第二筒部22との間において、竿本体2が全周に亘って露出している。
図6のようにブリッジ部23の内面23bはその軸線方向の全長に亘って竿本体2の外周面から離間しており、従って、第一筒部21と第二筒部22との間において、両口筒体61間の竿本体2の領域の全長がブリッジ部23から離間しており、その竿本体2の全周が露出している。
【0047】
かかる筒状リールシート1が装着された釣竿は種々の魚種の釣りに適用できるものであるが、一例としてソルトのライトゲームに適用したロッドについて説明すると、本実施形態のように固定ナット9が前側に位置する使用態様は、特に、ルアーを用いたアジ釣りに好適である。ルアーを用いたアジ釣りにおいてはキャスト後にロッドを上下に振ってさびきながらアジのアタリをとる。このようにロッドを上下に振る動作は手首を曲げる動作を伴うが、このような動作を行う釣りにおいては、固定ナット9が前側に位置する使用態様が好ましい。
【0048】
ロッドを上下に振る動作を頻繁に行う釣りにおいては、筒状リールシート1を横から把持するのではなく、
図10及び
図11に示すように筒状リールシート1を上から把持することが好ましい。筒状リールシート1を上から即ち反リール装着側から把持するとロッドを上下に振りやすく、
図12のように手首を曲げてロッドを大きく上方に振り上げることも容易になる。このように筒状リールシート1を上から把持する場合においては、リールシート本体7の後部が後側に向けて徐々に縮径していて竿本体2の外周面にスムーズに繋がっていく形状となっていることが好適であって、筒状リールシート1を把持した際のフィット感に優れる上にロッドを上下に揺動させることもスムーズに行える。また、リールシート本体7の直ぐ後側に、EVAやコルクからなる別途のグリップ体を備えていないので、軽量化も可能となる。しかも、それらのグリップ体の形状ではなくリールシート本体7の後部形状によって後側に向けての縮径形状を構成しているので、把持した際のダイレクト感に優れていて、竿本体2やリール脚3からの振動伝達特性も優れている。
【0049】
また、リールシート本体7の反リール装着側が径方向外側に膨出した形状となっているので、上から把持した際に膨出部分が手の平に当接し、フィット感に優れている。更に、リールシート本体7のリール装着側に凹部15が形成されていて両サイドにも開口した形状となっているので、筒状リールシート1を上から把持した際に把持しやすく、また親指が自然と竿本体2やリール脚3に触れることになってアタリ等を把握しやすい。
【0050】
そして、ブリッジ部23の外面23a及び内面23bの何れもが外側に湾曲した形状となっていてブリッジ部23が外側凸の薄肉の横断面形状となっているので、リールシート本体7が極めて軽量となるうえに、薄肉であっても湾曲の横断面形状であるので十分な十分な強度を確保することができる。そして、薄肉となったブリッジ部23から手の平に振動が高感度で伝わる。しかも、第一筒部21と第二筒部22との間において露出している竿本体2にも直接指で触れることができるため、竿本体2からも振動が手に高感度に伝達されることになる。このようにリールシート本体7のリール装着側に凹部15が形成されているうえにブリッジ部23の横断面形状が外側凸の薄肉湾曲形状となっているので、強度を確保しつつ軽量化することができ、しかも、ブリッジ部23の薄肉湾曲形状によって振動の減衰が抑制されて手に高感度に振動が伝達されることになる。
【0051】
また、ブリッジ部23の第一筒部21側の端部における両側縁部24が反リール装着側の半周分を越えてリール装着側に延びているので、ブリッジ部23と第一筒部21との境界部分における強度が十分に確保される。また、ブリッジ部23の第一筒部21側の端部における両側縁部24が竿本体2から径方向外側に離間していて、第一筒部21側の端部においてもブリッジ部23は薄肉であり、強度と薄肉化の両立が達成される。しかも、ブリッジ部23の第一筒部21側の端部における両側縁部24が固定フード部12の開口縁部の左右両端部と連続しているので、特に強度が求められる固定フード部12の開口縁部においても強度を容易に確保できる。
【0052】
尚、本実施形態では固定ナット9が前側に位置する使用態様であったが、
図13のように固定ナット9が後側に位置する使用態様であってもよい。このように筒状リールシート1は固定ナット9が前側に位置する装着態様でも後側に位置する装着態様でもよく、何れの装着態様でも使用可能であって汎用性に優れている。固定ナット9が後側に位置する使用態様では、例えばリールを巻きながら行う釣り、即ち、リトリーブ中心の釣りに適しており、筒状リールシート1を上からではなく横から把持するとリールを巻きやすい。例えばルアーのメバル釣りに適している。尚、両軸リールを装着する筒状リールシート1であってもよい。