(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年のハイブリッドカーや電気自動車においては、エンジン音が減少した分、これまで騒音と認識されていなかった周波数領域の音や、車外から侵入するロードノイズや風切り音までもが騒音と認識されるようになっている。
これに対し、上記特許文献1記載の吸音体(シート材)及び上記特許文献2記載の多層成形用シート(多層成形体)は、騒音抑制効果が十分であるとはいえない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、騒音抑制効果に優れるシート材、複合材、多層成形体及びシート材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、騒音抑制効果を高めるためには、通過する音と反射する音とのバランスが重要ではないかと考えた。
そして、少なくとも2種類の繊維糸(第1繊維糸及び第2繊維糸)を用い、これらの扁平率を所定の範囲とすると共に、これらを所定の配合割合で含有するものとすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
本発明は、(1)内装材又は外装材として用いられるシート材であって、断面における扁平率が0.25〜0.8の複数の第1繊維糸と、断面における扁平率が0〜0.2の複数の第2繊維糸と、を含有し、第1繊維糸と第2繊維糸との配合割合が、質量比で0.1〜2:1であるシート材に存する。
【0009】
本発明は、(2)第1繊維糸が、軟化点110℃〜200℃の熱可塑性繊維であり、第2繊維糸の軟化点が第1繊維糸よりも高く、第1繊維糸には扁平率が0.01以上異なるものが複数含まれ、第1繊維糸が熱プレスにより展延されたものである上記(1)記載のシート材に存する。
【0010】
本発明は、(3)第1繊維糸及び第2繊維糸の長手方向の長さが何れも10mm以上である上記(1)又は(2)に記載のシート材に存する。
【0011】
本発明は、(4)流れ抵抗値が100〜2700N・s/m
3であり、厚みが0.1〜4mmである上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載のシート材に存する。
【0012】
本発明は、(5)耐炎化繊維糸を更に含有し、第1繊維糸と耐炎化繊維糸との配合割合が、質量比で1:0.1〜0.3である上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載のシート材に存する。
【0013】
本発明は、(6)第1繊維糸よりも軟化点が高い熱可塑性樹脂であるバインダー樹脂を更に含有する不織布であり、第1繊維糸とバインダー樹脂との配合割合が、質量比で1:0.2〜0.7である上記(5)記載のシート材に存する。
【0014】
本発明は、(7)上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載のシート材と、該シート材に積層されたスパンボンド不織布と、を備え、シート材とスパンボンド不織布とが一体化されている複合材に存する。
【0015】
本発明は、(8)上記(7)記載の複合材と、スパンボンド不織布に積層されたシート状の多孔質材と、を備える多層成形体に存する。
【0016】
本発明は、(9)上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載のシート材と、該シート材に積層されたシート状の多孔質材と、を備える多層成形体に存する。
【0017】
本発明は、(10)上記(6)記載のシート材の製造方法であって、プレ第1繊維糸と、第2繊維糸と、耐炎化繊維糸とを混綿した第1中間体を得る第1ステップと、第1中間体を熱プレスにより押圧し、プレ第1繊維糸を展延させて第1繊維糸とした第2中間体を得る第2ステップと、該第2中間体に、バインダー樹脂を含む薬剤を浸透させる第3ステップと、を有し、熱プレスが第1繊維糸の軟化点に10〜80℃加えた温度条件で行われるシート材の製造方法に存する。
【発明の効果】
【0018】
本発明のシート材においては、断面の扁平率が上記範囲内の2種類の繊維糸を用いることにより、音が通過する隙間が適度に小さくなり、且つ、当該隙間が一様とはならないので、後述する吸音効果及び反響抑制効果が発揮され、その結果、騒音抑制効果が優れるものとなる。
すなわち、上記隙間が大きく、また、当該隙間が一様であると、音がシート材を通過し易いため、シート材の音源とは反対側での騒音が大きくなる。
一方で、上記隙間が狭すぎると、音がシート材に衝突し摩擦することにより熱エネルギーに変換されて音を吸収する効果(以下「吸音効果」という。)が発揮されるものの、音が反射して音同士が共鳴し易くなり、シート材の音源側での反響が大きくなるという欠点がある。
これに対し、音の一部がシート材を通過するものとし、且つ、音の一部が反射されるようにすることで、吸音効果を発揮すると共に、通過する音を極力抑えつつ、反響の大きさも抑制する効果(以下「反響抑制効果」という。)を発揮することができる。
なお、理由はこれに限定されない。
ちなみに、シート材を通過した音は、その後、衝突や反射を繰り返し、減衰するため、耳に届くまでには、ほぼ消音する。
このとき、第1繊維糸と第2繊維糸との配合割合を質量比で上記範囲内とすることが好ましい。
【0019】
本発明のシート材においては、第1繊維糸の軟化点を上記範囲内とし、第2繊維糸の軟化点を第1繊維糸の軟化点よりの軟化点も高くすることにより、両者の混合物に対し、熱プレスを施すことにより、第1繊維糸及び第2繊維糸の扁平率を上記範囲内とすることが可能である。
ここで、軟化点とは、温度の上昇によって軟化し、変形を始めるときの温度を意味する。
なお、本明細書において、軟化点は、示差走査熱量測定(DSC)で測定した値である。
また、この場合、扁平率の異なる第1繊維糸がより多く存在することになるので、反響抑制効果がより向上する。
【0020】
本発明のシート材においては、横方向の面積がより広がった(すなわち、扁平率がより大きい)熱可塑性の第1繊維糸に、扁平率が0.01以上異なるものが複数含まれているので、上記隙間がより一様とはならず、反射した音同士が共鳴し難くなる。
その結果、反響抑制効果をより向上させることができる。
【0021】
本発明のシート材においては、第1繊維糸及び第2繊維糸の長手方向の長さを上記範囲とすることにより、両者を十分に絡ませることができる。
これにより、シート材は、騒音抑制効果に優れると共に、強度にも優れるものとなる。
【0022】
本発明のシート材においては、流れ抵抗値及び厚みを上記範囲内とすることにより、軽量でありながら十分な騒音抑制効果を発揮できると共に、比較的狭小なスペースであって設置することが可能となる。
【0023】
本発明のシート材は、耐炎化繊維糸を更に含有することにより、騒音抑制効果がより向上する。
また、シート材自体の強度が向上すると共に、難燃効果や消臭効果も発揮することが可能となる。
このとき、第1繊維糸と耐炎化繊維糸との配合割合を質量比で上記範囲内とすることが好ましい。
【0024】
本発明のシート材は、バインダー樹脂を更に含有する不織布である場合、繊維糸(第1繊維糸及び第2繊維糸)の配向性がランダムとなっているので、ランダムでない場合(織物等)と比較して、騒音抑制効果が確実の優れるものとなる。
このとき、第1繊維糸とバインダー樹脂との配合割合を質量比で上記範囲内とすることが好ましい。
【0025】
本発明の複合材は、上述したシート材を備えるので、騒音抑制効果が優れる。
これに加え、複合材は、シート材に、スパンボンド不織布が一体化されているので、強度が向上すると共に騒音抑制効果も更に向上する。
【0026】
本発明の多層成形体は、上述したシート材を備えるので、騒音抑制効果が優れる。
これに加え、多層成形体は、シート材又は複合材に、シート状の多孔質材が積層されているので、騒音抑制効果が更に向上すると共に、断熱性及び難燃性にも優れるものとなる。
【0027】
本発明のシート材の製造方法においては、第1ステップ、第2ステップ及び第3ステップを有するので、上述したシート材を得ることができる。
かかるシート材は、上述したように、騒音抑制効果が優れるものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。
また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0030】
本発明に係るシート材は、例えば、車両の内装材又は外装材として用いられ、更に具体例としては、エンジン音等の騒音を吸収するために用いられる。
なお、車両には、自動車の他、鉄道車両、軍用車両、原動機付き自転車、軽車両、トロリーバス等が含まれる。
【0031】
図1は、本発明に係るシート材の一実施形態を示す概略断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係るシート材1は、シート状の不織布からなり、断面における扁平率が異なる複数の繊維糸の混合物と、耐炎化繊維糸と、バインダー樹脂とを含有している。
なお、繊維糸とは、いわゆるフィラメント(長繊維)やステーブル(短繊維)を意味する。
また、シート材1において、繊維糸は、熱可塑性を示す。
具体的には、上記混合物は、軟化点が低い繊維糸(以下「第1繊維糸」という。)と、それよりも軟化点が高い繊維糸(以下「第2繊維糸」という。)とを含有している。
すなわち、シート材1は、少なくとも、第1繊維糸及び第2繊維糸をそれぞれ複数含有している。
これにより、音の一部がシート材1を通過するものとし、且つ、音の一部が反射されることになるため、上述したように騒音抑制効果が優れるものとなる。
【0032】
シート材1において、繊維糸の長さは、第1繊維糸及び第2繊維糸の長手方向の長さが何れも10mm以上であり、10〜100mmであることが好ましい。すなわち、繊維糸は短繊維であることが好ましい。これにより、第1繊維糸及び第2繊維糸を十分に絡ませることができる。
繊維糸の長さが10mm未満であると、長さが上記範囲内にある場合と比較して、シート材1自体の強度が不十分となる恐れがあり、繊維糸の長さが100mmを超えると、長さが上記範囲内にある場合と比較して、繊維糸同士の間の隙間が大きくなり過ぎ、騒音抑制効果を十分に発揮できない場合がある。
【0033】
シート材1は、流れ抵抗値が100〜2700N・s/m
3であることが好ましく、100〜1000N・s/m
3であることがより好ましい。
流れ抵抗値が100N・s/m
3未満であると、流れ抵抗値が上記範囲内にある場合と比較して、通気量が多過ぎるため、吸音効果が不十分となる場合があり、流れ抵抗値が2700N・s/m
3を超えると、流れ抵抗値が上記範囲内にある場合と比較して、通気量が低過ぎるため、反響抑制効果が不十分となる場合がある。
【0034】
シート材1は、厚みが0.1〜4mmであることが好ましい。
厚みが0.1mm未満であると、厚みが上記範囲内にある場合と比較して、衝撃等によりシート材1自体が破損する恐れがあり、厚みが4mmを超えると、厚みが上記範囲内にある場合と比較して、スペースを要することになるため、設置場所が制限される恐れがある。
【0035】
シート材1は、目付量が50〜250g/
m2であることが好ましい。
目付量が50g/
m2未満であると、目付量が上記範囲内にある場合と比較して、衝撃等によりシート材1自体が破損する恐れがあり、目付量が250g/
m2を超えると、目付量が上記範囲内にある場合と比較して、重量が増大するため、設置場所が制限される恐れがある。
【0036】
シート材1は、シート状の不織布からなる。これにより、繊維糸の配向性がランダムとなるので、ランダムでない場合(織物等)と比較して、騒音抑制効果が確実の優れるものとなる。
当該不織布は、上述した混合物、耐炎化繊維糸及びバインダー樹脂を用い、乾式法、水流絡合法、スパンボンド法、メルトブロー法、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法、ステッチボンド法、スチームジェット法等の方法で製造することができる。これらの中でも、不織布は、ニードルパンチにより製造されたものであることが好ましい。この場合、意匠性及び強伸度が優れるため、特に車両用に適したものとなる。
【0037】
シート材1において、第1繊維糸の扁平率は、0.25〜0.8であり、0.3〜0.6であることが好ましい。
また、シート材1において、第1繊維糸には、扁平率0.25〜0.8の範囲内で扁平率の異なるものが複数含まれることが好ましい。すなわち、第1繊維糸は、扁平率が一定でないことが好ましい。この場合、反響抑制効果をより向上させることができる。
一方、第2繊維糸の扁平率は、0〜0.2であり、0.01〜0.2であることが好ましい。
なお、第2繊維糸には、扁平率0〜0.2の範囲内で扁平率の異なるものが含まれていても含まれていなくてもよい。
【0038】
ここで、本明細書において、「扁平率」とは、繊維糸の長さ方向に対して垂直な断面において、長半径をA、短半径をBとした場合に、
扁平率=(A−B)/A
で求められる値である。
すなわち、扁平率が0である場合は、円状であることを意味し、値が1に近付く程、潰れた扁平状になっていることを意味する。
かかる扁平率は、例えば、走査電子顕微鏡(SEM)でシート材1を撮影し、その画像に、繊維糸の長さ方向に対して垂直な断面が写っていれば、それに対し計測すればよい。
また、繊維糸の傾斜した側面が写っている場合は、3D解析等により、それを回転させて、繊維糸の長さ方向に対して垂直な断面に対し測定すればよい。
【0039】
シート材1において、第1繊維糸は、熱プレスによる展延により扁平状としたものであることが好ましい。
なお、「展延」とは薄く広げのばすことを意味する。
かかる熱プレスは、第1繊維糸の軟化点以上の温度に加熱した状態で施される。
なお、熱プレスの詳細については後述する。
【0040】
このとき、第1繊維糸は、軟化点が110〜200℃であることが好ましく、130〜200℃であることがより好ましい。
軟化点が110℃未満であると、軟化点が上記範囲内にある場合と比較して、熱プレスで展延させた場合に、軟化し過ぎて繊維糸間の隙間を封鎖し、反響抑制効果が不十分となる場合があり、軟化点が200℃を超えると、軟化点が上記範囲内にある場合と比較して、熱プレスで展延させる際に時間を要するという欠点がある。
【0041】
第1繊維糸の材質としては、軟化点が低い熱可塑性の繊維糸であれば特に限定されないが、例えば、ポリエステル繊維糸、ポリエチレン繊維糸、ポリプロピレン繊維糸、ポリアミド繊維糸、ウレタン繊維糸、アクリル繊維糸等が挙げられる。
これらの中でも、第1繊維糸は、軟化点及び汎用性の観点から、ポリプロピレン繊維糸からなるものであることが好ましい。
また、第1繊維糸は、1種類の繊維糸からなるものであってもよく、複数種類の繊維糸からなるサイドバイサイド型、芯鞘型、多層構造等の繊維糸であってもよい。
【0042】
第2繊維糸は、軟化点が第1繊維糸よりも高い。このため、第1繊維糸を軟化させる温度で熱プレスが施されたとしても、第2繊維糸は、軟化が抑制され、シート材の形態を、ある程度維持する機能を発揮する。
具体的には、第2繊維糸は、軟化点が、第1繊維糸よりも高いことを前提として、200〜300℃であることが好ましい。
軟化点が200℃未満であると、軟化点が上記範囲内にある場合と比較して、設置場所によっては熱によりシート材自体が軟化する恐れがあり、軟化点が300℃を超えると、軟化点が上記範囲内にある場合と比較して、所望の形状に変性させることが困難となる傾向にある。
【0043】
シート材1においては、第1繊維糸と、第2繊維糸との軟化点の温度差は、30℃以上であることが好ましい。
両者の温度差が上記範囲内であると、第1繊維糸を十分に軟化できると共に、第2繊維糸による形態維持性を担保することができる。
【0044】
第2繊維糸の材質としては、第1繊維糸よりも軟化点が高い熱可塑性の繊維糸であれば特に限定されないが、例えば、ポリエステル繊維糸、ポリプロピレン繊維糸、ポリアミド繊維糸、ウレタン繊維糸、アクリル繊維糸等が挙げられる。
また、第2繊維糸の材質は、第1繊維糸の材質と同一であっても異なっていてもよい。
なお、第2繊維糸の材質が、第1繊維糸の材質と同一である場合は、繊度を変えたり、助剤等で第2繊維糸の軟化点を上げる等すればよい。
これらの中でも、第2繊維糸は、第1繊維糸がポリプロピレン繊維糸からなる場合、ポリエステル繊維糸からなるものであることが好ましい。
【0045】
図2は、本実施形態に係るシート材において熱プレス前後の第1繊維糸の状態を説明するための説明図であり、
図3(a)及び、
図3(b)は、本実施形態に係るシート材(展延後)の電子顕微鏡写真である。
図2に示すように、熱プレスが施される前においては、断面が円状の展延されていない第1繊維糸11a(以下「プレ第1繊維糸」ともいう。)と、断面が円状の第2繊維糸12とが互いに絡まった状態となっている。すなわち、シート材1においては、プレ第1繊維糸11a及び第2繊維糸12が混在している。
そして、熱プレスが施された後においては、
図2並びに
図3の(a)及び(b)に示すように、プレ第1繊維糸11aが展延され、断面が扁平状の第1繊維糸11となる。
なお、第2繊維糸12は十分には展延されず、形態を維持している。
【0046】
このように、シート材1においては、熱プレスを施すことにより、第1繊維糸及び第2繊維糸の扁平率を同時に上記範囲内とすることが可能である。
また、熱プレス時の熱の伝わり方、押圧力の伝わり方が、各プレ第1繊維糸に対して一様ではないので、扁平率の異なる第1繊維糸が多く存在することになる。
このため、反響抑制効果がより向上する。
【0047】
シート材1において、第1繊維糸11と第2繊維糸12との配合割合は、質量比で0.1〜2:1であることが好ましく、0.1〜0.7:1であることがより好ましく、0.3〜0.7:1であることが更に好ましい。すなわち、1質量部の第2繊維糸12に対して、0.1〜2質量部の第1繊維糸が含まれていることが好ましい。
1質量部の第2繊維糸12に対する第1繊維糸11の配合割合が0.1質量部未満であると、配合割合が上記範囲内にある場合と比較して、騒音抑制効果が不十分となる場合があり、1質量部の第2繊維糸12に対する第1繊維糸11の配合割合が2質量部を超えると、配合割合が上記範囲内にある場合と比較して、第2繊維糸12による形態維持性が低下する恐れがある。
【0048】
シート材1は、耐炎化繊維糸を更に含有している(
図2並びに
図3の(a)及び(b)には示していない)。
このため、シート材1は、騒音抑制効果がより向上するだけでなく、難燃効果及び消臭効果も発揮することが可能となる。
耐炎化繊維糸の種類は、特に限定されず、例えば、炭化繊維糸等が挙げられる。
なお、かかる炭化繊維糸は、アクリル繊維糸を炭化して作ったPAN系であっても、ピッチを炭化して作ったピッチ系であっても、これらをリサイクルしたものであってもよい。
これらの中でも、耐炎化繊維糸が炭化繊維糸である場合、汎用性及び加工性の観点から、PAN系であることが好ましい。
【0049】
シート材1において、耐炎化繊維糸の長さは、10〜100mmであることが好ましい。
耐炎化繊維糸の長さが10mm未満であると、長さが上記範囲内にある場合と比較して、耐炎化繊維糸による難燃効果が十分に得られない場合があり、耐炎化繊維糸の長さが100mmを超えると、長さが上記範囲内にある場合と比較して、耐炎化繊維糸による騒音抑制効果の向上が認められない場合がある。
【0050】
シート材1において、第1繊維糸11と耐炎化繊維糸との配合割合は、質量比で1:0.1〜0.3であることが好ましい。
1質量部の第1繊維糸11に対する耐炎化繊維糸の配合割合が0.1質量部未満であると、配合割合が上記範囲内にある場合と比較して、耐炎化繊維糸を含有することによる効果が十分に発揮されない恐れがあり、1質量部の第1繊維糸11に対する耐炎化繊維糸の配合割合が0.3質量部を超えると、配合割合が上記範囲内にある場合と比較して、炭化素繊維糸の伸度が繊維糸よりも低いため成形性が低下する場合がある。
【0051】
シート材1は、バインダー樹脂を含有している。このため、シート材1においては、シート材自体の強度が向上する。
バインダー樹脂の種類は、特に限定されず、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリシリコーン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、メラミン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体、塩化ビニル・アクリル系共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体等の合成樹脂、スチレンブタジエンスチレンブロックコポリマー、スチレンイソプレンスチレンブロックコポリマー、水添スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、塩素化ポリエチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、α-オレフィンコポリマー ・アクリル系エラストマー等の熱可塑性エラストマー、スチレンブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、天然ゴム等のゴム系が挙げられる。
これらの中でも、バインダー樹脂の種類は、造膜性及び汎用性の観点から、ポリアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂又はウレタン系樹脂であることが好ましい。
【0052】
シート材1において、第1繊維糸11とバインダー樹脂との配合割合は、質量比で1:0.2〜0.7であることが好ましい。
1質量部の第1繊維糸11に対するバインダー樹脂の配合割合が0.2質量部未満であると、配合割合が上記範囲内にある場合と比較して、バインダー樹脂を含有することによる強度の向上が十分に発揮されない恐れがあり、1質量部の第1繊維糸11に対するバインダー樹脂の配合割合が0.7質量部を超えると、配合割合が上記範囲内にある場合と比較して、通気性が失われるため、反響抑制効果が不十分となる場合がある。
【0053】
シート材1は、更に助剤を含有していてもよい。
かかる助剤としては、充填剤、導電性付与剤、難燃剤、難燃助剤、顔料、染料、滑剤、撥水剤、可塑剤、熱安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、流動性改質剤、発泡剤、抗菌剤、制震剤、防臭剤、摺動性改質剤、帯電防止剤等が挙げられる。
これらの中でも、リン系、ハロゲン系、塩ビ等の難燃剤、フッ素系、シリコーン系、パラフィン等の撥水剤、カーボンブラック等の顔料を含むこと好ましい。
【0054】
次に、シート材1の製造方法について説明する。
図4は、本発明の係るシート材の製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。
図4に示すように、本実施形態に係るシート材1の製造方法は、第1ステップS1と、第2ステップS2と、第3ステップS3とを有する。
本実施形態に係るシート材1の製造方法においては、第1ステップS1、第2ステップS2及び第3ステップS3を順次行うことにより、上述したシート材1を得ることができる。
【0055】
第1ステップS1は、綿状のプレ第1繊維糸11aと、綿状の第2繊維糸12と、耐炎化繊維糸とを混綿した第1中間体を得るステップである。
第1ステップS1においては、上述した、プレ第1繊維糸11aと、第2繊維糸12と、耐炎化繊維糸とが上記配合割合となるように混綿する。
これにより、第1中間体が得られる。
【0056】
第2ステップS2は、第1中間体をロール式の熱プレスにより押圧し、プレ第1繊維糸11a、第2繊維糸12及び耐炎化繊維糸のうち、特に、プレ第1繊維糸11aを展延させて第1繊維糸とした第2中間体とするステップである。
このとき、熱プレスの条件は、第1繊維糸11の軟化点に10〜80℃加えた温度で行われる。これにより、プレ第1繊維糸11aの軟化が不十分となったり、軟化され過ぎて、絡まっていた第2繊維糸12から脱落するという事態が生じることを防止できる。
また、熱プレスの圧力は、シート材1の劣化を防止する観点から、10〜200kg/cmの条件で行うことが好ましい。
【0057】
第3ステップS3は、第2中間体に、バインダー樹脂を含む薬剤を浸透させ、必要に応じて乾燥させるステップである。このとき、薬剤には、バインダー樹脂の他、上述した助剤が含まれていてもよい。
こうして、シート材1が得られる。
なお、かかるシート材1は、側面視で直線状であるものに限定されず、熱プレスの際に金型等を利用して、曲線状、屈曲した形状等にしてもよい。
【0058】
次に、複合材について説明する。
図5は、本発明に係る複合材の一実施形態を示す概略断面図である。
図5に示すように、複合材2は、上述したシート材1と、該シート材1に積層された、スパンボンド法により得られる不織布(以下「スパンボンド不織布」という。)21とを備える。
そして、シート材1とスパンボンド不織布21とは、例えば、ニードルパンチにより一体化されている。
ニードルパンチで一体化することにより、強度及び騒音抑制効果がより向上し、用いるスパンボンド不織布を選択することにより、流れ抵抗値をコントロールすることが可能となる。
なお、一体化の方法は、ニードルパンチに限定されない。
【0059】
ここで、スパンボンド不織布21は、市販のものを適宜採用できる。
これらの中でも、スパンボンド不織布21は、強度及び汎用性の観点から、材質がポリエステル、ポリプロピレン、ウレタン又はポリアミドからなるものであることが好ましい。
【0060】
このとき、スパンボンド不織布21は、厚みが0.1〜0.5mmであることが好ましい。
また、スパンボンド不織布21は、目付量が10〜90g/m
2であることが好ましく、10〜70g/m
2であることがより好ましい。
スパンボンド不織布の目付量が10g/m
2であると、目付量が上記範囲内にある場合と比較して、接着性が不十分となる恐れがあり、90g/m
2を超えると、ニードルパンチで貼り合せる際、針が折れてしまう恐れがある。
【0061】
次に、多層成形体の第1実施形態について説明する。
図6は、本発明に係る多層成形体の第1実施形態を示す概略断面図である。
図6に示すように、多層成形体3aは、複合材2と、スパンボンド不織布21に積層されたシート状の多孔質材31とを備える。
すなわち、シート材1と、該シート材1に積層されたスパンボンド不織布21と、該スパンボンド不織布21のシート材1とは反対側の面に積層されたシート状の多孔質材31とを備える。
そして、複合材2と多孔質材31とは、熱プレスにより一体化されている。
これにより、騒音抑制効果が更に向上すると共に、断熱性及び難燃性にも優れるものとなる。
【0062】
ここで、多孔質材31としては、特に限定されないが、例えば、グラスウール、ロックウール、フェルト、発泡ポリウレタン、発泡ポリスチレン、発泡ポリオレフィン等が挙げられる。
これらの中でも、多孔質材31は、吸音性の観点から、グラスウールやフェルト等の不織布であることが好ましい。
【0063】
このとき、多孔質材31は、厚みが1〜50mmであることが好ましい。
多孔質材31は、目付量が40〜2000g/
m2であることが好ましい。
【0064】
次に、多層成形体の第2実施形態について説明する。
図7は、本発明に係る多層成形体の第2実施形態を示す概略断面図である。
図7に示すように、多層成形体3bは、シート材1と、シート材1に積層されたシート状の多孔質材31とを備える。
すなわち、第2実施形態に係る多層積層体3bは、スパンボンド不織布を含まないこと以外は、第1実施形態に係る多層積層体3aと同じである。
そして、シート材1と多孔質材31とは、熱プレスにより一体化されている。
これにより、騒音抑制効果が更に向上すると共に、断熱性及び難燃性にも優れるものとなる。
なお、多孔質材31については、上述したものと同じであるので、説明を省略する。
【0065】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0066】
例えば、本実施形態に係るシート材は、車両の内装材又は外装材として用いられているが、建築物や船舶の内装材又は外装材として用いることも可能である。
【0067】
本実施形態に係るシート材1は、軟化点が異なる繊維糸の混合物と、耐炎化繊維糸と、バインダー樹脂とを含有しているが、耐炎化繊維糸及びバインダー樹脂は必須ではない。
【0068】
本実施形態に係るシート材1においては、第2繊維糸として、熱可塑性の繊維糸を用いているが、これに限定されず、熱硬化性の繊維糸、無機繊維糸等を採用することも可能である。
なお、これらの軟化点は極めて高い。
【0069】
本実施形態に係るシート材1は、シート状の不織布からなっているが、織物や編物とすることも可能である。
【0070】
本実施形態に係るシート材1は、扁平率0.25〜0.8の第1繊維糸と、扁平率0〜0.2の第2繊維糸との混合物を含有しているが、これら以外に、熱可塑性の繊維糸、熱硬化性の繊維糸、無機繊維糸等を含んでいてもよい。なお、これらの扁平率は特に限定されない。
但し、この場合、全体に対する第1繊維糸及び第2繊維糸の含有割合は、少なくとも50質量%以上とすることが好ましい。
【0071】
本実施形態に係るシート材1においては、熱プレスにより展延した第1繊維糸を採用しているが、例えば、断面が扁平状となるように紡糸した第1繊維糸を採用することも可能である。
また、第2繊維糸12は、
図2では断面を円状としているが、扁平率0.2以下の範囲内であれば扁平状としてもよい。
【0072】
本実施形態に係るシート材1の製造方法においては、第1ステップS1、第2ステップS2、第3ステップS3の順で加工を行っているが、これに限定されない。
例えば、第1ステップS1、第3ステップS3、第2ステップS2の順で加工を行ってもよい。
【実施例】
【0073】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0074】
(実施例1〜11及び比較例1〜6)
ポリプロピレン繊維糸(6.6dtex×51mm、第1繊維)と、ポリエステル繊維糸(2.8dtex×51mm、第2繊維)とを用い、ニードルパンチ法により不織布とした。
そして、これに対し、ロール式の熱プレスを用い
て押圧することにより、サンプル(シート材)を得た。
なお、得られたサンプルの流れ抵抗値及び厚みも表1に示す。
また、表1中、「PP」はポリプロピレン繊維糸を意味し、「PET」はポリエステル繊維糸を意味する。
また、質量比(配合割合)は、「PP:PET」の比であり、流れ抵抗値の単位は「N・s/m
3」、厚みの単位は「mm」である。
【0075】
(表1)
【0076】
(
参考例1)
実施例8で得られたサンプルと、グラスウール(重量1000g/m
2)とを重ね、熱プレス(200℃、60秒)により一体化し、厚さ20mmのサンプル(多層成形体)を得た。
【0077】
(
参考例2)
実施例8で得られたサンプルと、発泡ポリウレタン(重量1000g/m
2)とを重ね、熱プレス(200℃、60秒)により一体化し、厚さ20mmのサンプル(多層成形体)を得た。
【0078】
(比較例7)
グラスウール(重量1000g/m
2)のみに対して、実施例9と同様に、熱プレス(200℃、60秒)を行い、厚さ20mmのサンプルを得た。
【0079】
(比較例8)
発泡ポリウレタン(重量350g/m
2)のみに対して、実施例9と同様に、熱プレス(200℃、60秒)を行い、厚さ20mmのサンプルを得た。
【0080】
(評価1:形態維持性)
実施例1〜13及び比較例1〜6で得られたサンプルに対し、平板の熱プレス機(装置)を用い、200℃、60秒の条件で加熱押圧した。そして、形態維持性として、加熱押圧後のサンプルの外観を目視にて評価した。
当該目視による評価は、「◎」、「〇」、「×」の3段階で行った。
なお、「◎」は溶融が認められず、形態が維持された状態、「〇」は一部に溶融が認められるものの形態が維持された状態、「×」は溶融し、形態が崩れた状態を意味する。
得られた結果を表2に示す。
【0081】
(評価2:騒音抑制効果)
騒音抑制効果を、いわゆる吸音率を測定することにより評価した。なお、騒音抑制効果は、上述したように、吸音効果及び反響抑制効果により発揮されるものである。
具体的には、実施例1〜13及び比較例1〜8で得られたサンプルに対し、垂直入射の吸音測定(JIS A1405−2、ISO 10534−2、ASTM E 1050)を行った。500〜4000Hz、1000〜5000Hz、及び、1〜10kHzの平均周波数周波数における吸音率をそれぞれ測定し、吸音率の向上の有無を確認した。
当該吸音率向上の有無の評価は、「◎」、「〇」、「×」の3段階で行った。
なお、「◎」は吸音率の向上が顕著に認められる状態、「〇」は吸音率の向上が認められる状態、「×」は吸音率の向上が認められない状態を意味する。得られた結果を表2に示す。
【0082】
【0083】
表2の結果から、扁平率が所定の範囲内であり、且つ、質量比が所定の範囲内である本発明の実施例のサンプルによれば、騒音抑制効果が向上することが分かった。
一方、本発明によらない比較例においては、騒音抑制効果が不十分となった。
この結果により、本発明のシート材は騒音抑制効果が優れる、ということが確認された。
【解決手段】本発明は、内装材又は外装材として用いられるシート材1であって、断面における扁平率が0.25〜0.8の複数の第1繊維糸11と、断面における扁平率が0〜0.2の複数の第2繊維糸12と、を含有し、第1繊維糸11と第2繊維糸12との配合割合が、質量比で0.1〜2:1であるシート材1、これを用いた複合材2、これらを用いた多層成形体3a,3b及びシート材1の製造方法である。