特許第6965406号(P6965406)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6965406空調制御装置、空調制御方法及び空調制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6965406
(24)【登録日】2021年10月22日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】空調制御装置、空調制御方法及び空調制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/46 20180101AFI20211028BHJP
   H05B 47/18 20200101ALI20211028BHJP
   F24F 11/74 20180101ALI20211028BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20211028BHJP
【FI】
   F24F11/46
   H05B47/18
   F24F11/74
   F24F11/64
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-103850(P2020-103850)
(22)【出願日】2020年6月16日
(62)【分割の表示】特願2016-87301(P2016-87301)の分割
【原出願日】2016年4月25日
(65)【公開番号】特開2020-165650(P2020-165650A)
(43)【公開日】2020年10月8日
【審査請求日】2020年6月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 ウェン
(72)【発明者】
【氏名】湯川 敦司
【審査官】 佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−190666(JP,A)
【文献】 特開2009−250589(JP,A)
【文献】 特開2014−238215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/46
F24F 11/64
F24F 11/74
H05B 47/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる位置にある複数の送風装置を制御する空調制御装置であって、
画像より検出された人の位置の履歴に基づいて所定位置の混雑度を予測する予測部と、
前記人が到達する前に前記所定位置の混雑度を予測した結果に基づいて、前記送風装置の位置より選択された、前記所定位置に近い前記送風装置の風量を制御する空調制御部と、
を備える空調制御装置。
【請求項2】
異なる位置にある複数の送風装置を制御する空調制御装置であって、
前記複数の送風装置の位置情報を記憶するメモリと、
画像より検出された人の位置の履歴に基づいて所定位置の混雑度を予測する予測部と、
前記人が到達する前に前記所定位置の混雑度を予測した結果に基づいて、前記送風装置の位置情報より選択された、前記所定位置に近い前記送風装置の風量を制御する空調制御部と、
を備える空調制御装置。
【請求項3】
異なる位置にある複数の送風装置を制御する空調制御装置が実行する空調制御方法であって、
画像より検出された人の位置の履歴に基づいて所定位置の混雑度を予測する予測ステップと、
前記人が到達する前に前記所定位置の混雑度を予測した結果に基づいて、前記送風装置の位置より選択された、前記所定位置に近い前記送風装置の風量を制御する空調制御ステップと、
を含む空調制御方法。
【請求項4】
異なる位置にある複数の送風装置を制御する空調制御装置が実行する空調制御方法であって、
前記複数の送風装置の位置情報をメモリから取得する取得ステップと、
画像より検出された人の位置の履歴に基づいて所定位置の混雑度を予測する予測ステップと、
前記人が到達する前に前記所定位置の混雑度を予測した結果に基づいて、前記送風装置の位置情報より選択された、前記所定位置に近い前記送風装置の風量を制御する空調制御ステップと、
を含む空調制御方法。
【請求項5】
コンピュータに、
画像より検出された人の位置の履歴に基づいて所定位置の混雑度を予測する予測手順と、
前記人が到達する前に前記所定位置の混雑度を予測した結果に基づいて、異なる位置にある複数の送風装置の位置より選択された、前記所定位置に近い前記送風装置の風量を制御する空調制御手順と、
を実行させるための空調制御プログラム。
【請求項6】
コンピュータに、
異なる位置にある複数の送風装置の位置情報をメモリから取得する取得手順と、
画像より検出された人の位置の履歴に基づいて所定位置の混雑度を予測する予測手順と、
前記人が到達する前に前記所定位置の混雑度を予測した結果に基づいて、前記送風装置の位置情報より選択された、前記所定位置に近い前記送風装置の風量を制御する空調制御手順と、
を実行させるための空調制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空調制御装置、空調制御方法及び空調制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
空調制御装置は、複合商業施設等における室内の広い空間を空調するため、室内の壁から室内の空間に冷風を送る場合がある。室内の広い空間を空調するには、多くのエネルギーが必要である。しかしながら、空調制御装置は、空調効率を向上させることができない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−37109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、空調効率を向上させることができる空調制御装置、空調制御方法及び空調制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の空調制御装置は、異なる位置にある複数の送風装置を制御する空調制御装置であって、予測部と、空調制御部とを持つ。予測部は、画像より検出された人の位置の履歴に基づいて所定位置の混雑度を予測する。空調制御部は、人が到達する前に所定位置の混雑度を予測した結果に基づいて、送風装置の位置より選択された、所定位置に近い送風装置の風量を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態について、空調制御システムの構成の例を示す図。
図2】第1実施形態について、室内における送風装置及び撮像装置の位置の例を示す図。
図3】第1実施形態について、画像情報に基づく画像における送風装置の位置を示す座標の例を示す図。
図4】第1実施形態について、送風装置座標情報の例を示す図。
図5】第1実施形態について、画像情報に基づく画像における人の位置を示す座標の例を示す図。
図6】第2実施形態について、空調制御システムの構成の例を示す図。
図7】第2実施形態について、人の混雑度の予測結果の例を示す図。
図8】第3実施形態について、空調制御システムの構成の例を示す図。
図9】第3実施形態について、送風装置の周囲に人を誘導した結果の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の空調制御装置、空調制御方法及び空調制御プログラムを、図面を参照して説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、空調制御システム1aの構成の例を示す図である。空調制御システム1aは、建物の室内の空間における空調を制御するためのシステムである。空調制御システム1aは、送風装置10−1〜10−M(MはNより大きい整数。Nは1以上の整数。)と、風量制御装置20−1〜20−Mと、中継装置30と、バス40と、撮像装置50と、空調制御装置60aとを備える。
【0009】
以下、送風装置10−1〜10−Mに共通する事項については、符号の一部を省略して「送風装置10」と表記する。以下、風量制御装置20−1〜20−Mに共通する事項については、符号の一部を省略して「風量制御装置20」と表記する。
【0010】
図2は、室内における送風装置10及び撮像装置50の位置の例を示す図である。建物の形状は、例えば、直方体である。以下、Nは、一例として16である。送風装置10−1〜10−16は、例えば、室内の床100に行列状(メッシュ状)に設置される。以下、Mは、一例として20である。送風装置10−17〜10−20は、例えば、室内の壁110に設置される。
【0011】
図1に示す送風装置10は、風量制御装置20による制御に応じて、冷風又は温風を室内に送る。送風装置10は、例えば、電動バルブである。送風装置10は、風量制御装置20による制御に応じて、設置された室内の床100から室内の空間に冷風又は温風を送る。すなわち、送風装置10は、設置された位置から鉛直方向の上向きに冷風又は温風を送る。
【0012】
風量制御装置20は、情報処理装置である。風量制御装置20は、中継装置30を介して、空調制御装置60aと通信する。風量制御装置20は、空調制御装置60aによる制御に応じて、可変風量(VAV: Variable Air Volume)制御を実行する。すなわち、風量制御装置20は、空調制御装置60aによる制御に応じて、送風装置10が室内の空間に送る風の量を制御する。
【0013】
中継装置30(ゲートウェイ装置)は、バス40を介して、空調制御装置60aと通信する。中継装置30は、空調制御装置60a及び風量制御装置20の間の信号を中継する。
【0014】
バス40は、光ファイバ又は同軸ケーブルなどの通信回線である。バス40は、中継装置30と撮像装置50と空調制御装置60aとの間の信号を中継する。
【0015】
撮像装置50(撮像部)は、図2に示すように室内の壁110に設置される。撮像装置50は、室内の天井に設置されてもよい。撮像装置50は、光学系と、撮像素子と、通信部とを備える。光学系は、例えば、魚眼レンズである。撮像装置50の撮像方向及び撮像範囲(画角)は固定でもよい。撮像装置50は、送風装置10が設置されている床100の全体を、送風装置10が動作する前(稼働前)に撮像する。
【0016】
撮像装置50は、送風装置10が設置されている床100の全体の撮像が完了した場合、撮像装置50が設置されている室内の空間を所定周期で撮像する。所定周期は、例えば、30分の1秒である。撮像装置50は、例えば、図2に示す床100の全体を所定周期で撮像する。撮像装置50は、床100の上にいる人を、床100と共に撮像する。床100の上にいる人は、移動してもよい。床100の上にいる人は、複数でもよい。なお、撮像装置50は、送風装置10が動作していない場合でも、室内を所定周期で撮像してよい。
【0017】
撮像装置50は、撮像装置50が撮像した室内の画像を表す情報(以下、「画像情報」という。)を、バス40を介して空調制御装置60aに送信する。画像情報は、例えば、動画情報である。動画情報は、撮像時刻が異なる複数の静止画情報(写真データ)を含む。
【0018】
空調制御装置60aは、サーバ装置等の情報処理装置である。空調制御装置60aは、室内の空調を制御する。空調制御装置60aは、画像処理部61と、メモリ62と、空調制御部63とを備える。画像処理部61と空調制御部63とのうち一部又は全部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが、記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部である。画像処理部61と空調制御部63との一部又は全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。
【0019】
画像処理部61は、画像情報を撮像装置50から取得する。画像処理部61は、画像情報をメモリ62に記憶させる。画像処理部61は、取得した画像情報に基づく画像における送風装置10の位置を、画像認識によって検出する。画像処理部61は、取得した画像情報に基づく画像における送風装置10の位置を示す座標を、画像認識による検出結果に基づいて決定する。
【0020】
図3は、画像情報に基づく画像における送風装置10の位置を示す座標の例を示す図である。画像情報に基づく画像は、送風装置10が設置されている床100の全体の画像を含む。図3では、画像における送風装置10−1の位置を示す座標は、(X1,Y1)である。画像における送風装置10−16の位置を示す座標は、(X16,Y16)である。以下、画像情報に基づく画像における送風装置10の位置を示す座標を表す情報を「送風装置座標情報」という。
【0021】
図4は、送風装置座標情報の例を示す図である。画像処理部61は、画像情報に基づく画像における送風装置10の位置を示す座標に基づいて、送風装置座標情報を生成する。すなわち、画像処理部61は、画像情報に基づく画像における送風装置10の位置を、画像情報に基づく画像においてマーキングする。図4では、画像における送風装置10−1の位置を示す座標は、(X1,Y1)である。画像における送風装置10−2の位置を示す座標は、(X2,Y2)である。画像における送風装置10−16の位置を示す座標は、(X16,Y16)である。なお、送風装置座標情報は、管理者等によって予め定められてもよい。
【0022】
図1に示す画像処理部61は、送風装置10が動作する前(稼働前)に撮像された画像を、画像情報に基づいて生成する。すなわち、画像処理部61は、床100の上に人がいない状態で撮像された画像を、画像情報に基づいて生成する。画像処理部61は、送風装置10が動作している場合に撮像された画像を、画像情報に基づいて生成する。すなわち、画像処理部61は、床100の上に人がいる状態で撮像された画像を、画像情報に基づいて生成する。
【0023】
画像処理部61は、送風装置10が動作する前(稼働前)に撮像された画像と、送風装置10が動作している場合に撮像された画像とを照合する。画像処理部61は、送風装置10が動作する前に撮像された画像と、送風装置10が動作している場合に撮像された画像との差分を検出する。すなわち、画像処理部61は、床100の上に人がいない状態で撮像された画像と、床100の上に人がいる状態で撮像された画像との差分を検出する。例えば、画像処理部61は、取得した画像情報に基づく画像における差分の位置に基づいて、取得した画像情報に基づく画像における人の位置と決定する。
【0024】
画像処理部61は、取得した画像情報に基づく画像における人の位置を、画像認識によって検出してもよい。すなわち、画像処理部61は、人の外観を画像認識によって検出した結果に基づいて、取得した画像情報に基づく画像における人の位置を決定してもよい。
【0025】
図5は、画像情報に基づく画像における人の位置を示す座標の例を示す図である。画像における人の位置を示す座標は、例えば、画像における人の足元の位置を示す座標である。図5では、画像における人120の位置を示す座標は、(X1,Y1)である。
【0026】
図5では、画像における人130の位置を示す座標は、(Xi,Yi)(iは1以上の整数)である。図5では、座標値Xiは、一例として、座標値X11及びX15の間の値である。座標値Xiは、一例として、座標値X12及びX16の間の値である。座標値Yiは、一例として、座標値Y11及びX12の間の値である。以下、人の位置を示す座標を表す情報を「人座標情報」という。
【0027】
図1に示すメモリ62は、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性の記憶媒体(非一時的な記録媒体)を有する。メモリ62は、例えば、RAMやレジスタなどの揮発性の記憶媒体を有していてもよい。
【0028】
メモリ62は、送風装置座標情報と座標情報と画像情報とを記憶する。メモリ62は、送風装置座標情報と人座標情報と画像情報とを、撮像時刻ごとに記憶してもよい。メモリ62は、ソフトウェア機能部が動作するためのプログラムを記憶してもよい。メモリ62は、クラウドコンピューティング技術によって、複数の装置の記憶部に分散して情報を記憶してもよい。
【0029】
空調制御部63は、送風装置座標情報と人座標情報とを、メモリ62から取得する。空調制御部63は、送風装置座標情報と人座標情報とに基づいて、送風装置10を選択する。例えば、空調制御部63は、画像における人の位置を示す座標と、画像における送風装置10の位置を示す座標とを比較する。空調制御部63は、画像における人の位置を示す座標から閾値以内の座標に対応付けられた送風装置10を選択する。すなわち、空調制御部63は、室内にいる人の位置に近い送風装置10を選択する。座標に関する閾値は、管理者等によって予め定められる。
【0030】
図5では、空調制御部63は、人座標情報に基づいて、画像における人120の位置を示す座標(X1,Y1)を取得する。空調制御部63は、送風装置座標情報と人座標情報とに基づいて、画像における人120の位置を示す座標(X1,Y1)と同じ座標(X1,Y1)に対応付けられた送風装置10−1を選択する。
【0031】
図5では、空調制御部63は、人座標情報に基づいて、画像における人130の位置を示す座標(Xi,Yi)を取得する。空調制御部63は、画像における人130の位置に近い複数の送風装置10を選択してもよい。
【0032】
例えば、空調制御部63は、送風装置座標情報と人座標情報とに基づいて、画像における人130の位置を示す座標(Xi,Yi)から閾値以内の座標(X12,Y12)に対応付けられた送風装置10−12を選択する。空調制御部63は、図2に示す送風装置10−12に予め対応付けられた送風装置10−19を更に選択してもよい。
【0033】
例えば、空調制御部63は、送風装置座標情報と人座標情報とに基づいて、画像における人130の位置を示す座標(Xi,Yi)から閾値以内の座標(X11,Y11)に対応付けられた送風装置10−11を選択する。例えば、空調制御部63は、送風装置座標情報と人座標情報とに基づいて、画像における人130の位置を示す座標(Xi,Yi)から閾値以内の座標(X15,Y15)に対応付けられた送風装置10−15を選択する。
【0034】
例えば、空調制御部63は、送風装置座標情報と人座標情報とに基づいて、画像における人130の位置を示す座標(Xi,Yi)から閾値以内の座標(X16,Y16)に対応付けられた送風装置10−16を選択する。空調制御部63は、図2に示す送風装置10−16に予め対応付けられた送風装置10−20を更に選択してもよい。
【0035】
空調制御部63は、風量制御装置20に制御信号を送信することによって、選択した送風装置10から冷風又は温風を室内の空間に送る。空調制御部63は、室内の温度が第1温度閾値以上である(室内の温度が高い)場合、選択した送風装置10から冷風を室内の空間に送る。空調制御部63は、室内の温度が第2温度閾値未満である(室内の温度が低い)場合、選択した送風装置10から温風を室内の空間に送る。第1温度閾値及び第2温度閾値は、管理者等によって予め定められる。
【0036】
空調制御部63は、選択した送風装置10が室内の空間に送る冷風又は温風の量を決定する。空調制御部63は、送風装置10の周囲における人の数を検出してもよい。空調制御部63は、選択した送風装置10の周囲における人の混雑度に応じて、冷風又は温風の量を決定してもよい。
【0037】
例えば、空調制御部63は、曜日に応じて、冷風又は温風の量を決定してもよい。例えば、空調制御部63は、時間帯に応じて、冷風又は温風の量を決定してもよい。例えば、空調制御部63は、天気(日射量)に応じて、冷風又は温風の量を決定してもよい。例えば、空調制御部63は、選択した送風装置10の周囲における人の混雑度が閾値以上である場合、冷風又は温風の量を増加させてもよい。
【0038】
以上のように、第1の実施形態の空調制御装置60aは、画像処理部61と、空調制御部63とを持つ。画像処理部61は、画像における人の位置を検出する。空調制御部63は、画像における送風装置10の位置と画像における人の位置とに基づいて、人の位置に近い送風装置10の風量を制御する。これによって、第1の実施形態の空調制御装置60aは、空調効率を向上させることができる。
【0039】
第1の実施形態の空調制御装置60aは、送風装置10が床100に設置されているので、室内が広い空間であっても、室内の特定の位置に風を届けることができる。第1の実施形態の空調制御装置60aは、温度センサや人感センサなどを増やすことなく、画像情報に基づいて空調効率を向上させることができる。第1の実施形態の空調制御装置60aは、設備投資を抑えることができる。
【0040】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、空調制御装置が予測部を備える点が、第1の実施形態と相違する。第2の実施形態では、第1の実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0041】
図6は、空調制御システム1bの構成の例を示す図である。空調制御システム1bは、建物の室内の空間における空調を制御するためのシステムである。空調制御システム1bは、送風装置10−1〜10−Mと、風量制御装置20−1〜20−Mと、中継装置30と、バス40と、撮像装置50と、空調制御装置60bとを備える。
【0042】
空調制御装置60bは、サーバ装置等の情報処理装置である。空調制御装置60bは、室内の空調を制御する。空調制御装置60bは、画像処理部61と、メモリ62と、空調制御部63と、予測部64とを備える。予測部64は、例えば、CPU等のプロセッサが、記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部である。予測部64は、LSIやASIC等のハードウェア機能部であってもよい。
【0043】
予測部64は、人座標情報の履歴をメモリ62から取得する。予測部64は、床100の上を移動する人の動線を、人座標情報の履歴に基づいて予測する。予測部64は、床100の上を移動する人の動線を、曜日ごとに予測してもよい。予測部64は、床100の上を移動する人の動線を、時間帯ごとに予測してもよい。予測部64は、床100の上を移動する人の動線を、天気(日射量)ごとに予測してもよい。予測部64は、床100の上を移動する人の動線の予測結果を表す情報を、空調制御部63に送信する。なお、予測部64は、予測した動線の位置と室内の壁の位置とが一致した場合には、予測した動線の位置を変更してもよい。
【0044】
予測部64は、床100の上を移動する人の動線の予測結果に基づいて、室内における人の混雑度を、室内の空間における局所的な領域ごとに予測してもよい。予測部64は、室内における人の混雑度の予測結果を表す情報を、空調制御部63に送信してもよい。
【0045】
図7は、人の混雑度の予測結果の例を示す図である。横軸は時間を示す。縦軸は、送風装置10の周囲における人数(混雑度)を、送風装置10の位置ごとに示す。図7の縦軸について、ドット200−1は、送風装置10−1の周囲の人の数を示す。図7の縦軸について、ドット200−16は、送風装置10−16の周囲の人の数を示す。
【0046】
時刻t0において、送風装置10−1の周囲の人の数は1である。時刻t0において、送風装置10−16の周囲の人の数は3である。時刻t1において、送風装置10−1の周囲の人の数は1である。時刻t1において、送風装置10−16の周囲の人の数は2である。
【0047】
図7では、時刻t0からt1までの間に送風装置10−1の周囲の人の数が変化していないので、予測部64は、時刻t2において送風装置10−1の周囲の人の数は1であると予測してもよい。図7では、時刻t0からt1までの間に送風装置10−16の周囲の人の数が減少しているので、予測部64は、時刻t2において送風装置10−16の周囲の人の数は1であると予測してもよい。
【0048】
空調制御部63は、床100の上を移動する人の混雑度の予測結果に基づいて、送風装置10を選択する。図7では、時刻t1において、空調制御部63は、一例として送風装置10−1及び10−16を選択する。時刻t1において、空調制御部63は、送風装置10−1及び10−16から冷風又は温風を室内に送る。空調制御部63は、室内にいる人が移動先に到達する前に、室内における人の混雑度の予測結果に応じて、移動先に近い送風装置10の冷風又は温風の量を決定してもよい。
【0049】
空調制御部63は、床100の上を移動する人の動線の予測結果と送風装置座標情報とに基づいて、送風装置10を選択してもよい。例えば、空調制御部63は、画像における人の位置を示す座標と、人の動線の予測結果を示す座標とを比較してもよい。空調制御部63は、人の動線の予測結果を示す座標に近い座標に対応付けられた送風装置10を選択してもよい。すなわち、空調制御部63は、室内にいる人の移動先に近い送風装置10を、室内にいる人が移動先に到達する前に選択してもよい。
【0050】
以上のように、第2の実施形態の空調制御装置60bは、予測部64を更に持つ。予測部64は、画像における人の位置の履歴に基づいて人の動線又は混雑度を予測する。第2の実施形態の空調制御部63は、人の動線又は混雑度の予測結果に基づいて送風装置10の風量を制御する。これによって、第2の実施形態の空調制御装置60bは、室内にいる人の移動先に近い送風装置10を、室内にいる人が移動先に到達する前に動作させることができる。
【0051】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、空調制御装置が誘導部を備える点が、第2の実施形態と相違する。第3の実施形態では、第2の実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0052】
図8は、空調制御システム1cの構成の例を示す図である。空調制御システム1cは、建物の室内の空間における空調を制御するためのシステムである。空調制御システム1cは、送風装置10−1〜10−Mと、風量制御装置20−1〜20−Mと、中継装置30−1〜30−2と、バス40と、撮像装置50と、空調制御装置60cと、照明制御装置70−1〜70−Mと、照明装置80−1〜80−Mとを備える。
【0053】
以下、中継装置30−1〜30−2に共通する事項については、符号の一部を省略して「中継装置30」と表記する。以下、照明制御装置70−1〜70−Mに共通する事項については、符号の一部を省略して「照明制御装置70」と表記する。以下、照明装置80−1〜80−Mに共通する事項については、符号の一部を省略して「照明装置80」と表記する。
【0054】
中継装置30(ゲートウェイ装置)は、バス40を介して、空調制御装置60cと通信する。中継装置30−1は、空調制御装置60c及び風量制御装置20の間の信号を中継する。中継装置30−2は、空調制御装置60c及び照明制御装置70の間の信号を中継する。
【0055】
空調制御装置60cは、サーバ装置等の情報処理装置である。空調制御装置60cは、室内の空調を制御する。空調制御装置60cは、画像処理部61と、メモリ62と、空調制御部63と、誘導部65とを備える。空調制御装置60cは、予測部64を更に備えてもよい。メモリ62は、送風装置10に対応付けられた照明装置80を表す識別情報を更に記憶する。
【0056】
誘導部65は、例えば、CPU等のプロセッサが、記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部である。誘導部65は、LSIやASIC等のハードウェア機能部であってもよい。
【0057】
誘導部65(指示部)は、風量を制御する対象の送風装置10の位置に光を照射するよう、照明制御装置70を介して照明装置80に指示を与える。これによって、誘導部65は、室内における特定の位置に人を誘導することができる。例えば、誘導部65は、照明制御装置70の発光を制御することによって、空調制御部63が選択した送風装置10の位置に人を誘導する。例えば、誘導部65は、送風装置10に対応付けられた照明装置80を表す識別情報を、メモリ62から取得する。誘導部65は、空調制御部63が選択した送風装置10に対応付けられた照明装置80を表す識別情報を、中継装置30−2を介して照明制御装置70に送信する。
【0058】
照明制御装置70は、情報処理装置である。照明制御装置70は、空調制御部63が選択した送風装置10に対応付けられた照明装置80を表す識別情報を、誘導部65から取得する。照明制御装置70は、取得した識別情報が割り当てられた照明装置80を発光させる。
【0059】
照明装置80は、例えば、蛍光灯、LED(Light Emitting Diode)照明装置である。照明装置80は、例えば、室内の天井に設置される。照明装置80は、照明制御装置70による制御に応じて、空調制御部63が選択した送風装置10の周囲に光を照射する。
【0060】
照明装置80は、室内の温度が第1温度閾値以上である場合、波長の短い可視光を送風装置10の周囲に照射してもよい。波長の短い青などの可視光を見た人は、室温を涼しく感じることができる。照明装置80は、室内の温度が第2温度閾値未満である場合、波長の長い可視光を送風装置10の周囲に照射してもよい。波長の短い赤などの可視光を見た人は、室温を暖かく感じることができる。照明装置80は、選択した送風装置10の周囲におけるプロジェクションマッピングによる照明効果を演出してもよい。照明装置80は、選択した送風装置10の周囲に光を照射することによって、選択した送風装置10の周囲に人を誘導することができる。
【0061】
図9は、送風装置10の周囲に人を誘導した結果の例を示す図である。横軸は時間を示す。縦軸は、送風装置10の周囲における人数(混雑度)を、送風装置10の位置ごとに示す。図9の縦軸について、ドット200−1は、送風装置10−1の周囲の人の数を示す。図9の縦軸について、ドット200−16は、送風装置10−16の周囲の人の数を示す。時刻t0において、送風装置10−1の周囲の人の数は1である。時刻t0において、送風装置10−16の周囲の人の数は3である。
【0062】
図9では、時刻t0において、広い室内に人が分散している。例えば、時刻t0において、送風装置10−1の周囲にいる人の数は1である。例えば、時刻t0において、送風装置10−16の周囲にいる人の数は3である。誘導部65は、誘導先の送風装置10を選択する。図9では、時刻t0において、誘導部65は、誘導先として送風装置10−1を選択する。時刻t0において、照明装置80は、誘導部65が選択した送風装置10−1の周囲に光を照射する。
【0063】
送風装置10−16の周囲にいる複数の人は、送風装置10−1の周囲に光が照射されていることによって、送風装置10−1の周囲に誘導される。図9では、時刻t1において、送風装置10−1の周囲の人の数は1である。時刻t1において、送風装置10−16の周囲の人の数は2である。時刻t2において、送風装置10−1の周囲の人の数は1である。時刻t2において、送風装置10−16の周囲の人の数は1である。
【0064】
室内の人が送風装置10−1の位置に誘導された結果、時刻t3において、送風装置10−1の周囲の人の数は4である。空調制御部63は、送風装置10−1の周囲の混雑度が局所的に高いので、送風装置10−1から冷風又は温風を室内に送る。室内の人が誘導された結果、時刻t3において、送風装置10−16の周囲の人の数は0である。空調制御部63は、送風装置10−16の周囲の混雑度が低いので、送風装置10−16の送風動作を停止させてもよい。
【0065】
以上のように、第3の実施形態の空調制御装置60cは、誘導部65を更に持つ。誘導部65は、風量を制御する対象の送風装置10の位置に光を照射するよう照明装置80に指示を与える。これによって、第3の実施形態の空調制御装置60cは、広い室内で人の位置が分散している場合でも、選択した送風装置10の位置に人を誘導して、空調効率を向上させることができる。
【0066】
例えば、誘導部65は、広い室内で複数の人の位置が分散している場合、分散している複数の人を誘導する先として定められた送風装置10の位置(局所)における照明効果を、照明装置80が照射した光を用いて演出する。照明効果は、例えば、プロジェクションマッピングによる効果、人が室温を寒く感じることができる青い色の光を用いた照明の効果、人が室温を暖かく感じることができる赤い色の光を用いた照明の効果である。これによって、第3の実施形態の誘導部65は、広い室内に複数の人が分散しているために冷房効率が高くない場合には、集まって欲しい位置に人を意図的に誘導するように、局所の照明効果を演出することができる。
【0067】
以上述べた少なくともひとつの実施形態によれば、画像における送風装置の位置と画像における人の位置とに基づいて、人の位置に近い送風装置の風量を制御する空調制御部を持つことにより、空調効率を向上させることができる。
【0068】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0069】
1a〜1c…空調制御システム、10…送風装置、20…風量制御装置、30…中継装置、40…バス、50…撮像装置、60a〜60c…空調制御装置、61…画像処理部、62…メモリ、63…空調制御部、64…予測部、65…誘導部、70…照明制御装置、80…照明装置、100…床、110…壁、120…人、130…人、200…ドット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9