特許第6965407号(P6965407)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6965407
(24)【登録日】2021年10月22日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】撮像光学レンズ
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20211028BHJP
   G02B 13/18 20060101ALN20211028BHJP
【FI】
   G02B13/00
   !G02B13/18
【請求項の数】10
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2020-106908(P2020-106908)
(22)【出願日】2020年6月22日
(65)【公開番号】特開2021-96455(P2021-96455A)
(43)【公開日】2021年6月24日
【審査請求日】2020年6月22日
(31)【優先権主張番号】201911285724.4
(32)【優先日】2019年12月13日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520128543
【氏名又は名称】エーエーシー オプティクス (チャンジョウ)カンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】周 学▲鵬▼
【審査官】 堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第110161664(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第109828361(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2019/0227277(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第110376720(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第109828350(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2019/0004285(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2019/0025549(US,A1)
【文献】 特開2010−008505(JP,A)
【文献】 特開2015−114505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00−17/08
G02B 21/02−21/04
G02B 25/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像光学レンズであって、
物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、負の屈折力を有する第3レンズと、第4レンズと、第5レンズと、正の屈折力を有する第6レンズと、負の屈折力を有する第7レンズとによって構成され、
前記撮像光学レンズの焦点距離をf、前記第3レンズの焦点距離をf3、前記第1レンズのアッベ数をv1、前記第2レンズのアッベ数をv2、前記第1レンズの物体側面の曲率半径をR1、前記第1レンズの像側面の曲率半径をR2、前記第2レンズの物体側面の曲率半径をR3、前記第2レンズの像側面の曲率半径をR4としたときに、以下の条件式(1)〜(2)、(6)、(9)を満たすことを特徴とする撮像光学レンズ。
2.80≦v1/v2≦4.50 (1)
−10.00≦f3/f≦−3.00 (2)
−2.039≦(R1+R2)/(R1−R2)≦−1.919 (6)
6.808≦(R3+R4)/(R3−R4)≦10.094 (9)
【請求項2】
前記第5レンズの物体側面の曲率半径をR9、前記第5レンズの像側面の曲率半径をR10としたときに、以下の条件式(3)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
(R9+R10)/(R9−R10)≧5.00 (3)
【請求項3】
前記第7レンズの焦点距離をf7としたときに、以下の条件式(4)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
−1.00≦f7/f≦−0.50 (4)
【請求項4】
前記第1レンズの焦点距離をf1、前記第1レンズの軸上厚みをd1、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(5)(7)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
0.52≦f1/f≦1.66 (5)
0.08≦d1/TTL≦0.24 (7)
【請求項5】
前記第2レンズの焦点距離をf2、前記第2レンズの軸上厚みをd3、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(8)(10)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
−14.13≦f2/f≦−4.10 (8)
0.02≦d3/TTL≦0.06 (10)
【請求項6】
前記第3レンズの物体側面の曲率半径をR5、前記第3レンズの像側面の曲率半径をR6、前記第3レンズの軸上厚みをd5、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(11)〜(12)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
0.66≦(R5+R6)/(R5−R6)≦10.29 (11)
0.02≦d5/TTL≦0.06 (12)
【請求項7】
前記第4レンズの焦点距離をf4、前記第4レンズの物体側面の曲率半径をR7、前記第4レンズの像側面の曲率半径をR8、前記第4レンズの軸上厚みをd7、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(13)〜(15)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
−218.89≦f4/f≦24.99 (13)
−4.67≦(R7+R8)/(R7−R8)≦0.39 (14)
0.04≦d7/TTL≦0.14 (15)
【請求項8】
前記第5レンズの焦点距離をf5、前記第5レンズの軸上厚みをd9、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(16)〜(17)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
−10.13≦f5/f≦2493.58 (16)
0.02≦d9/TTL≦0.09 (17)
【請求項9】
前記第6レンズの焦点距離をf6、前記第6レンズの物体側面の曲率半径をR11、前記第6レンズの像側面の曲率半径をR12、前記第6レンズの軸上厚みをd11、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(18)〜(20)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
0.33≦f6/f≦1.92 (18)
−4.89≦(R11+R12)/(R11−R12)≦0.21 (19)
0.04≦d11/TTL≦0.15 (20)
【請求項10】
前記第7レンズの物体側面の曲率半径をR13、前記第7レンズの像側面の曲率半径をR14、前記第7レンズの軸上厚みをd13、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(21)〜(22)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
0.03≦(R13+R14)/(R13−R14)≦0.83 (21)
0.03≦d13/TTL≦0.11 (22)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学レンズ分野に関し、特にスマートフォン、デジタルカメラなどの携帯端末装置と、モニタ、PCレンズなどの撮像装置とに適用される撮像光学レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンの登場に伴い、小型化の撮像レンズに対する需要がますます高まっているが、撮像レンズの感光素子は、一般的に、感光結合素子(Charge Coupled Device、CCD)又は相補型金属酸化物半導体素子(Complementary Metal−OxideSemiconductor Sensor、CMOS Sensor)の2種類のみに大別される。また、半導体製造プロセスの技術の進歩により、感光素子の画素サイズが縮小可能であるとともに、現在の電子製品は、優れた機能および軽量化・薄型化・小型化の外観を発展の傾向とする。そのため、良好な結像品質を有する小型化の撮像レンズは、現在の市場において既に主流となっている。優れた結像品質を得るために、携帯電話のカメラに搭載された従来のレンズは、3枚式又は4枚式のレンズ構成を用いることが多い。また、技術の発展及びユーザの多様化のニーズの増加に伴い、感光素子の画素面積が縮小しつつあり且つ結像品質に対するシステムからの要求が高くなってきている場合には、5枚式、6枚式、7枚式のレンズ構成が徐々にレンズの設計に現れている。優れた光学特性、極薄且つ色収差が十分に補正される広角撮像レンズの需要が緊迫化している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、良好な光学性能を有するとともに、大口径、極薄化及び広角化の設計要求を満たす撮像光学レンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記技術問題を解決するために、本発明の実施形態は、撮像光学レンズを提供する。前記撮像光学レンズは、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、負の屈折力を有する第3レンズと、第4レンズと、第5レンズと、正の屈折力を有する第6レンズと、負の屈折力を有する第7レンズとによって構成され、
前記撮像光学レンズの焦点距離をf、前記第3レンズの焦点距離をf3、前記第1レンズのアッベ数をv1、前記第2レンズのアッベ数をv2、前記第1レンズの物体側面の曲率半径をR1、前記第1レンズの像側面の曲率半径をR2、前記第2レンズの物体側面の曲率半径をR3、前記第2レンズの像側面の曲率半径をR4としたときに、以下の条件式(1)〜(2)、(6)、(9)を満たす。
2.80≦v1/v2≦4.50 (1)
−10.00≦f3/f≦−3.00 (2)
−2.039≦(R1+R2)/(R1−R2)≦−1.919 (6)
6.808≦(R3+R4)/(R3−R4)≦10.094 (9)
【0005】
好ましくは、前記第5レンズの物体側面の曲率半径をR9、前記第5レンズの像側面の曲率半径をR10としたときに、以下の条件式(3)を満たす。
(R9+R10)/(R9−R10)≧5.00 (3)
【0006】
好ましくは、前記第7レンズの焦点距離をf7としたときに、以下の条件式(4)を満たす。
−1.00≦f7/f≦−0.50 (4)
【0007】
好ましくは、前記第1レンズの焦点距離をf1、前記第1レンズの軸上厚みをd1、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(5)(7)を満たす。
0.52≦f1/f≦1.66 (5)
0.08≦d1/TTL≦0.24 (7)
【0008】
好ましくは、前記第2レンズの焦点距離をf2、前記第2レンズの軸上厚みをd3、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(8)(10)を満たす。
−14.13≦f2/f≦−4.10 (8)
0.02≦d3/TTL≦0.06 (10)
【0009】
好ましくは、前記第3レンズの物体側面の曲率半径をR5、前記第3レンズの像側面の曲率半径をR6、前記第3レンズの軸上厚みをd5、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(11)〜(12)を満たす。
0.66≦(R5+R6)/(R5−R6)≦10.29 (11)
0.02≦d5/TTL≦0.06 (12)
【0010】
好ましくは、前記第4レンズの焦点距離をf4、前記第4レンズの物体側面の曲率半径をR7、前記第4レンズの像側面の曲率半径をR8、前記第4レンズの軸上厚みをd7、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(13)〜(15)を満たす。
−218.89≦f4/f≦24.99 (13)
−4.67≦(R7+R8)/(R7−R8)≦0.39 (14)
0.04≦d7/TTL≦0.14 (15)
【0011】
好ましくは、前記第5レンズの焦点距離をf5、前記第5レンズの軸上厚みをd9、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(16)〜(17)を満たす。
−10.13≦f5/f≦2493.58 (16)
0.02≦d9/TTL≦0.09 (17)
【0012】
好ましくは、前記第6レンズの焦点距離をf6、前記第6レンズの物体側面の曲率半径をR11、前記第6レンズの像側面の曲率半径をR12、前記第6レンズの軸上厚みをd11、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(18)〜(20)を満たす。
0.33≦f6/f≦1.92 (18)
−4.89≦(R11+R12)/(R11−R12)≦0.21 (19)
0.04≦d11/TTL≦0.15 (20)
【0013】
好ましくは、前記第7レンズの物体側面の曲率半径をR13、前記第7レンズの像側面の曲率半径をR14、前記第7レンズの軸上厚みをd13、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(21)〜(22)を満たす。
0.03≦(R13+R14)/(R13−R14)≦0.83 (21)
0.03≦d13/TTL≦0.11 (22)
【発明の効果】
【0014】
本発明は、下記の有利な作用効果を有する。本発明に係る撮像光学レンズは、優れた光学特性を有しつつ、大口径、広角化および極薄化の特性を持ち、特に高画素用のCCD、CMOSなどの撮像素子により構成された携帯電話の撮像レンズアセンブリとWEB撮像レンズに適用することができる。
【0015】
本発明の実施例における技術案が明瞭に説明されるように、以下では、実施例の記述に必要な図面を簡単に紹介する。明らかに、下記の図面が単に本発明の幾つかの実施例に係り、当業者にとって、進歩性に値する労働をせずにこれらの図面から他の図面を取得可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係る撮像光学レンズの構成を示す模式図である。
図2図1に示す撮像光学レンズの軸上色収差を示す模式図である。
図3図1に示す撮像光学レンズの倍率色収差を示す模式図である。
図4図1に示す撮像光学レンズの像面湾曲及び歪曲収差を示す模式図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る撮像光学レンズの構成を示す模式図である。
図6図5に示す撮像光学レンズの軸上色収差を示す模式図である。
図7図5に示す撮像光学レンズの倍率色収差を示す模式図である。
図8図5に示す撮像光学レンズの像面湾曲及び歪曲収差を示す模式図である。
図9】本発明の第3実施形態に係る撮像光学レンズの構成を示す模式図である。
図10図9に示す撮像光学レンズの軸上色収差を示す模式図である。
図11図9に示す撮像光学レンズの倍率色収差を示す模式図である。
図12図9に示す撮像光学レンズの像面湾曲及び歪曲収差を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の目的、解決手段およびメリットがより明瞭になるように、以下では、図面を参照しながら本発明の各実施形態を詳細に説明する。本発明の各実施形態において本発明をより良好に理解するために多くの技術的詳細を述べることは、当業者に理解され得る。しかし、これらの技術的詳細および以下の各実施形態に基づく様々な変更および修正がなくても、本発明が保護請求する技術案も実現できる。
【0018】
(第1実施形態)
図面を参照し、本発明は、撮像光学レンズ10を提供する。図1において、本発明の第1実施形態に係る撮像光学レンズ10が示されており、当該撮像光学レンズ10は、7枚のレンズを備える。具体的に、前記撮像光学レンズ10は、物体側から像側にかけて、順次に絞りS1、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5、第6レンズL6および第7レンズL7からなる。第7レンズL7と像面Siとの間に光学フィルタ(filter)GFなどの光学素子が設けられてもよい。
【0019】
第1レンズL1は、正の屈折力を有し、第2レンズL2は、負の屈折力を有し、第3レンズL3は、負の屈折力を有し、第6レンズL6は、正の屈折力を有し、第7レンズL7は、負の屈折力を有する。
【0020】
第1レンズL1は、ガラス材質であり、第2レンズL2は、プラスチック材質であり、第3レンズL3は、プラスチック材質であり、第4レンズL4は、プラスチック材質であり、第5レンズL5は、プラスチック材質であり、第6レンズL6は、プラスチック材質であり、第7レンズL7は、プラスチック材質である。
【0021】
本実施形態では、前記第1レンズL1のアッベ数をv1、前記第2レンズL2のアッベ数をv2として定義すると、条件式2.80≦v1/v2≦4.50を満たす。この条件式は、第1と第2レンズのアッベ数の比を規定するものである。この範囲内では、極薄化を図ることに一層有利であるとともに、収差の補正にも有利である。好ましくは、条件式2.84≦v1/v2≦4.35を満たす。
【0022】
撮像光学レンズ10全体の焦点距離をf、前記第3レンズL3の焦点距離をf3として定義すると、条件式−10.00≦f3/f≦−3.00を満たす。この条件式は、第3レンズの焦点距離と撮像光学レンズ全体の焦点距離の比を規定するものである。屈折力の合理的な配分により、システムが優れた結像品質及び低い敏感度を有する。好ましくは、条件式−9.98≦f3/f≦−3.03を満たす。
【0023】
前記第5レンズL5の物体側面の曲率半径をR9、前記第5レンズL5の像側面の曲率半径をR10として定義すると、条件式(R9+R10)/(R9−R10)≧5.00を満たす。この条件式は、第5レンズの形状を規定するものである。この条件式に規定された範囲内では、光線がレンズを通る偏向度合いを緩和可能であり、収差を効果的に低減できる。
【0024】
前記第7レンズL7の焦点距離をf7として定義すると、条件式−1.00≦f7/f≦−0.50を満たす。この条件式は、第7レンズの焦点距離と撮像光学レンズ全体の焦点距離の比を規定するものでる。屈折力の合理的な配分により、システムが優れた結像品質及び低い敏感度を有する。
【0025】
撮像光学レンズ10全体の焦点距離をf、前記第1レンズの焦点距離をf1として定義すると、条件式0.52≦f1/f≦1.66を満たす。上記条件式は、第1レンズL1の焦点距離と撮像光学レンズ全体の焦点距離の比を規定するものである。規定された範囲内では、第1レンズは、適切な正の屈折力を有し、システムの収差の低減に有利であるとともに、レンズの極薄化、広角化にも有利である。好ましくは、条件式0.84≦f1/f≦1.33を満たす。
【0026】
前記第1レンズL1の物体側面の曲率半径R1、前記第1レンズL1の像側面の曲率半径R2は、条件式−4.08≦(R1+R2)/(R1−R2)≦−1.28を満たす。第1レンズL1の形状を合理的に規定することにより、第1レンズL1によってシステムの球面収差を効果的に補正可能である。好ましくは、条件式−2.55≦(R1+R2)/(R1−R2)≦−1.60を満たす。
【0027】
前記第1レンズL1の軸上厚みd1、前記撮像光学レンズ10の光学長TTLは、条件式0.08≦d1/TTL≦0.24を満たす、条件式の範囲内では、極薄化を図ることに有利である。好ましくは、条件式0.13≦d1/TTL≦0.20を満たす。
【0028】
撮像光学レンズ10全体の焦点距離をf、前記第2レンズL2の焦点距離をf2として定義すると、条件式−14.13≦f2/f≦−4.10を満たす。第2レンズL2の負屈折力を合理的な範囲で規定することにより、光学システムの収差の補正に有利である。好ましくは、条件式−8.83≦f2/f≦−5.13を満たす。
【0029】
前記第2レンズL2の物体側面の曲率半径R3、前記第2レンズL2の像側面の曲率半径R4は、条件式3.40≦(R3+R4)/(R3−R4)≦15.14を満たす。この条件式は、第2レンズL2の形状を規定するものである。範囲内では、レンズの極薄広角化が進行するにつれて、軸上色収差の補正に有利になる。好ましくは、条件式5.45≦(R3+R4)/(R3−R4)≦12.11を満たす。
【0030】
前記第2レンズL2の軸上厚みd3、前記撮像光学レンズ10の光学長TTLは、条件式0.02≦d3/TTL≦0.06を満たす。条件式の範囲内では、極薄化を図ることに有利である。好ましくは、条件式0.03≦d3/TTL≦0.04を満たす。
【0031】
前記第3レンズL3の物体側面の曲率半径R5、第3レンズL3の像側面の曲率半径R6は、条件式0.66≦(R5+R6)/(R5−R6)≦10.29を満たす。この条件式は、第3レンズの形状を規定するものである。条件式で規定された範囲内では、光線がレンズを通る偏向度合いを緩和可能であり、収差を効果的に低減できる。好ましくは、条件式1.05≦(R5+R6)/(R5−R6)≦8.23を満たす。
【0032】
前記第3レンズL3の軸上厚みd5、前記撮像光学レンズ10の光学長TTLは、条件式0.02≦d5/TTL≦0.06を満たす。条件式の範囲内では、極薄化を図ることに有利である。好ましくは、条件式0.03≦d5/TTL≦0.05を満たす。
【0033】
撮像光学レンズ10全体の焦点距離をf、前記第4レンズの焦点距離をf4として定義すると、条件式−218.89≦f4/f≦24.99を満たす。この条件式は、第4レンズの焦点距離とシステムの焦点距離の比を規定するものである。条件式の範囲内では、光学システムの性能向上に有利である。好ましくは、条件式−136.81≦f4/f≦19.99を満たす。
【0034】
前記第4レンズL4の物体側面の曲率半径R7、第4レンズL4の像側面の曲率半径R8は、条件式−4.67≦(R7+R8)/(R7−R8)≦0.39を満たす。この条件式は、第4レンズL4の形状を規定するものである。範囲内では、極薄広角化が進行するにつれて、軸外画角の収差などの問題の補正に有利になる。好ましくは、条件式−2.92≦(R7+R8)/(R7−R8)≦0.31を満たす。
【0035】
前記第4レンズL4の軸上厚みd7、前記撮像光学レンズ10の光学長TTLは、条件式0.04≦d7/TTL≦0.14を満たす。条件式の範囲内では、極薄化を図ることに有利である。好ましくは、条件式0.07≦d7/TTL≦0.11を満たす。
【0036】
撮像光学レンズ10全体の焦点距離をf、前記第5レンズL5の焦点距離をf5として定義すると、条件式−10.13≦f5/f≦2493.58を満たす。第5レンズL5に対する限定により、効果的に撮像レンズの光線角度を緩やかにさせ、公差感度の低減に有利である。好ましくは、条件式−6.33≦f5/f≦1994.87を満たす。
【0037】
前記第5レンズL5の軸上厚みd9、前記撮像光学レンズ10の光学長TTLは、条件式0.02≦d9/TTL≦0.09を満たす。条件式の範囲内では、極薄化を図ることに有利である。好ましくは、条件式0.04≦d9/TTL≦0.07を満たす。
【0038】
撮像光学レンズ10全体の焦点距離をf、前記第6レンズL6の焦点距離をf6として定義すると、条件式0.33≦f6/f≦1.92を満たす。屈折力の合理的な配分により、システムが優れた結像品質及び低い感度を有する。好ましくは、条件式0.53≦f6/f≦1.54を満たす。
【0039】
前記第6レンズL6の物体側面の曲率半径R11、前記第6レンズL6の像側面の曲率半径R12は、条件式−4.89≦(R11+R12)/(R11−R12)≦0.21を満たす。この条件式は、第6レンズL6の形状を規定するものである。条件式の範囲内では、極薄広角化が進行するにつれて、軸外画角の収差などの問題の補正に有利になる。好ましくは、条件式−3.06≦(R11+R12)/(R11−R12)≦0.17を満たす。
【0040】
前記第6レンズL6の軸上厚みd11、前記撮像光学レンズ10の光学長TTLは、条件式0.04≦d11/TTL≦0.15を満たす。条件式の範囲内では、極薄化を図ることに有利である。好ましくは、条件式0.06≦d11/TTL≦0.12を満たす。
【0041】
前記第7レンズL7の物体側面の曲率半径をR13、第7レンズL7の像側面の曲率半径をR14として定義すると、条件式0.03≦(R13+R14)/(R13−R14)≦0.83を満たす。この条件式は、第7レンズL7の形状を規定するものである。条件式の範囲内では、極薄広角化が進行するにつれて、軸外画角の収差などの問題の補正に有利になる。好ましくは、条件式0.05≦(R13+R14)/(R13−R14)≦0.67を満たす。
【0042】
前記第7レンズL7の軸上厚みd13、前記撮像光学レンズ10の光学長TTLは、条件式0.03≦d13/TTL≦0.11を満たす。条件式の範囲内では、極薄化を図ることに有利である。好ましくは、条件式0.04≦d13/TTL≦0.09を満たす。
【0043】
本実施形態では、撮像光学レンズ10全体の像高IHは、条件式TTL/IH≦1.35を満たし、極薄化を図れる。
【0044】
本実施形態では、撮像光学レンズ10の絞り値Fnoは、1.59以下であり、大口径を有しつつ、結像性能に優れる。
【0045】
本実施形態では、撮像光学レンズ10の画角FOVは、82°以上であり、広角化を図れる。
【0046】
上記関係を満たすときに、撮像光学レンズ10は、良好な光学性能を有するとともに、大口径、広角化、極薄化の設計要求を満たすことができる。当該光学レンズ10の特性によれば、当該光学レンズ10は、特に高画素用のCCD、CMOSなどの撮像素子により構成された携帯電話の撮像レンズアセンブリとWEB撮像レンズに適用することができる。
【0047】
以下では、実例を用いて本発明の撮像光学レンズ10を説明する。各実例に記載された符号は、以下に示される。焦点距離、軸上距離、曲率半径、軸上厚み、変曲点位置、停留点位置の単位は、mmである。
【0048】
TTLは、光学長(第1レンズL1の物体側面から結像面までの軸上距離)であり、単位がmmである。
【0049】
好ましくは、高品質の結像需要が満足されるように、前記レンズの物体側面および/または像側面には、変曲点および/または停留点が更に設けられてもよい。具体的な実施可能技術案は、以下のようになる。
【0050】
表1、表2は、本発明の第1実施形態の撮像光学レンズ10の設計データを示す。
【0051】
【表1】
【0052】
ただし、各符号の意味は、以下のようになる。
S1:絞り
R:光学面の曲率半径、レンズの場合は中心曲率半径
R1:第1レンズL1の物体側面の曲率半径
R2:第1レンズL1の像側面の曲率半径
R3:第2レンズL2の物体側面の曲率半径
R4:第2レンズL2の像側面の曲率半径
R5:第3レンズL3の物体側面の曲率半径
R6:第3レンズL3の像側面の曲率半径
R7:第4レンズL4の物体側面の曲率半径
R8:第4レンズL4の像側面の曲率半径
R9:第5レンズL5の物体側面の曲率半径
R10:第5レンズL5の像側面の曲率半径
R11:第6レンズL6の物体側面の曲率半径
R12:第6レンズL6の像側面の曲率半径
R13:第7レンズL7の物体側面の曲率半径
R14:第7レンズL7の像側面の曲率半径
R15:光学フィルタGFの物体側面の曲率半径
R16:光学フィルタGFの像側面の曲率半径
d:レンズの軸上厚み、または、レンズ間の軸上距離
d0:絞りS1から第1レンズL1の物体側面までの軸上距離
d1:第1レンズL1の軸上厚み
d2:第1レンズL1の像側面から第2レンズL2の物体側面までの軸上距離
d3:第2レンズL2の軸上厚み
d4:第2レンズL2の像側面から第3レンズL3の物体側面までの軸上距離
d5:第3レンズL3の軸上厚み
d6:第3レンズL3の像側面から第4レンズL4の物体側面までの軸上距離
d7:第4レンズL4の軸上厚み
d8:第4レンズL4の像側面から第5レンズL5の物体側面までの軸上距離
d9:第5レンズL5の軸上厚み
d10:第5レンズL5の像側面から第6レンズL6の物体側面までの軸上距離
d11:第6レンズL6の軸上厚み
d12:第6レンズL6の像側面から第7レンズL7の物体側面までの軸上距離
d13:第7レンズL7の軸上厚み
d14:第7レンズL7の像側面から光学フィルタGFの物体側面までの軸上距離
d15:光学フィルタGFの軸上厚み
d16:光学フィルタGFの像側面から像面までの軸上距離
nd :d線の屈折率
nd1 :第1レンズL1のd線の屈折率
nd2 :第2レンズL2のd線の屈折率
nd3 :第3レンズL3のd線の屈折率
nd4 :第4レンズL4のd線の屈折率
nd5 :第5レンズL5のd線の屈折率
nd6:第6レンズL6のd線の屈折率
nd7:第7レンズL7のd線の屈折率
ndg : ガラス平板GFのd線の屈折率
vd :アッベ数
v1:第1レンズL1のアッベ数
v2:第2レンズL2のアッベ数
v3:第3レンズL3のアッベ数
v4:第4レンズL4のアッベ数
v5:第5レンズL5のアッベ数
v6:第6レンズL6のアッベ数
v7:第7レンズL7のアッベ数
vg:光学フィルタGFのアッベ数
【0053】
表2は、本発明の第1実施形態の撮像光学レンズ10における各レンズの非球面データを示す。
【0054】
【表2】
【0055】
ただし、kは、円錐係数であり、A4、A6、A8、A10、A12、A14、A16は、非球面係数である。
IH:像高
【0056】
y=(x/R)/[1+{1−(k+1)(x/R)}1/2]+A4x+A6x+A8x+A10x10+A12x12+A14x14+A16x16 (23)
【0057】
便利になるように、各レンズ面の非球面は、上記条件式(23)に示す非球面を採用する。しかし、本発明は、当該条件式(23)に示す非球面多項式の形態に限定されるものではない。
【0058】
表3、表4は、本発明の実施例の撮像光学レンズ10における各レンズの変曲点および停留点の設計データを示す。ここで、P1R1、P1R2は、それぞれ第1レンズL1の物体側面と像側面を示し、P2R1、P2R2は、それぞれ第2レンズL2の物体側面と像側面を示し、P3R1、P3R2は、それぞれ第3レンズL3の物体側面と像側面を示し、P4R1、P4R2は、それぞれ第4レンズL4の物体側面と像側面を示し、P5R1、P5R2は、それぞれ第5レンズL5の物体側面と像側面を示し、P6R1、P6R2は、それぞれ第6レンズL6の物体側面と像側面を示し、P7R1、P7R2は、それぞれ第7レンズL7の物体側面と像側面を示す。「変曲点位置」欄の対応するデータは、各レンズの表面に設置された変曲点から撮像光学レンズ10の光軸までの垂直距離である。「停留点位置」欄の対応するデータは、各レンズの表面に設置された停留点から撮像光学レンズ10の光軸までの垂直距離である。
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
図2図3は、それぞれ波長650nm、610nm、555nm、510nm、470nmおよび436nmの光が第1実施形態の撮像光学レンズ10を通った後の軸上色収差および倍率色収差を示す模式図である。図4は、波長555nmの光が第1実施形態の撮像光学レンズ10を通った後の像面湾曲および歪曲収差を示す模式図である。図4の像面湾曲Sがサジタル方向の像面湾曲であり、Tがタンジェンシャル方向の像面湾曲である。
【0062】
後の表13は、各実施例1、2、3における各種の数値と条件式で規定されたパラメータに対応する値を示す。
【0063】
表13に示すように、第1実施形態は、各条件式を満たす。
【0064】
本実施形態では、前記撮像光学レンズの入射瞳径が3.297mm、全視野の像高が4.636mmであり、対角線方向の画角が80.00°であり、広角且つ極薄であり、その軸上、軸外色収差が十分に補正されつつ、優れた光学特性を有する。
【0065】
(第2実施形態)
第2実施形態は、第1実施形態と基本的に同様であり、符号の意味も第1実施形態と同じであり、以下に相違点のみを挙げる。
【0066】
表5、表6は、本発明の第2実施形態の撮像光学レンズ20の設計データを示す。
【0067】
【表5】
【0068】
表6は、本発明の第2実施形態の撮像光学レンズ20における各レンズの非球面データを示す。
【0069】
【表6】
【0070】
表7、表8は、本発明の第2実施形態の撮像光学レンズ20における各レンズの変曲点および停留点の設計データを示す。
【0071】
【表7】
【0072】
【表8】
【0073】
図6図7は、それぞれ波長650nm、610nm、555nm、510nm、470nmおよび436nmの光が第2実施形態の撮像光学レンズ20を通った後の軸上色収差および倍率色収差を示す模式図である。図8は、波長555nmの光が第2実施形態の撮像光学レンズ20を通った後の像面湾曲および歪曲収差を示す模式図である。
【0074】
表13に示すように、第2実施形態は、各条件式を満たす。
【0075】
本実施形態では、前記撮像光学レンズの入射瞳径が3.296mm、全視野の像高が4.636mmであり、対角線方向の画角が80.00°であり、広角且つ極薄であり、その軸上、軸外色収差が十分に補正されつつ、優れた光学特性を有する。
【0076】
(第3実施形態)
第3実施形態は、第1実施形態と基本的に同様であり、符号の意味も第1実施形態と同じであり、以下に相違点のみを挙げる。
【0077】
表9、表10は、本発明の第3実施形態の撮像光学レンズ30の設計データを示す。
【0078】
【表9】
【0079】
表10は、本発明の第3実施形態の撮像光学レンズ30における各レンズの非球面データを示す。
【0080】
【表10】
【0081】
表11、表12は、本発明の第3実施形態の撮像光学レンズ30における各レンズの変曲点および停留点の設計データを示す。
【0082】
【表11】
【0083】
【表12】
【0084】
図10図11は、それぞれ波長650nm、610nm、555nm、510nm、470nmおよび436nmの光が第3実施形態の撮像光学レンズ30を通った後の軸上色収差および倍率色収差を示す模式図である。図12は、波長555nmの光が第3実施形態の撮像光学レンズ30を通った後の像面湾曲および歪曲収差を示す模式図である。
【0085】
下記の表13は、上記の条件式に応じて本実施形態において各条件式に対応する値を示している。明らかに、本実施形態の撮像光学システムは、上記の条件式を満足する。
【0086】
本実施形態では、前記撮像光学レンズの入射瞳径が3.301mm、全視野の像高が4.636mmであり、対角線方向の画角が80.00°であり、広角且つ極薄であり、その軸上、軸外色収差が十分に補正されつつ、優れた光学特性を有する。
【0087】
【表13】
【0088】
ただし、Fnoは、撮像光学レンズの絞りF値である。
【0089】
当業者であれば分かるように、上記各実施形態が本発明を実現するための具体的な実施形態であり、実際の応用において、本発明の精神と範囲から逸脱しない限り、形式及び細部に対して各種の変更を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12