特許第6965408号(P6965408)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6965408
(24)【登録日】2021年10月22日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】レンズモジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20211028BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20211028BHJP
【FI】
   G02B7/02 Z
   G03B30/00
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2020-111016(P2020-111016)
(22)【出願日】2020年6月28日
(65)【公開番号】特開2021-9371(P2021-9371A)
(43)【公開日】2021年1月28日
【審査請求日】2020年6月28日
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/093918
(32)【優先日】2019年6月28日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519312957
【氏名又は名称】エーエーシー オプティックス ソリューションズ ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】▲韋▼ ▲傳▼冬
【審査官】 三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−330121(JP,A)
【文献】 特開2011−145522(JP,A)
【文献】 特開2008−233387(JP,A)
【文献】 特開2005−010371(JP,A)
【文献】 特開2012−155337(JP,A)
【文献】 特開2011−215183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡筒と、前記鏡筒内に収容されるレンズ群とを含むレンズモジュールであって、
前記鏡筒は、筒型本体と、把持ボスとを含み、前記筒型本体は、前記筒型本体の中心軸に近接する内壁と、前記内壁に対向して設けられる外壁とを含み、前記把持ボスは、環状構造であり、かつ、前記外壁に嵌設され、前記把持ボスの前記外壁から離れる側には、第1切り欠きが設けられ、前記第1切り欠きは、第1凹面と、第2平面と、第3平面とを含み、前記第1凹面は、前記第2平面と前記第3平面との間に設けられ、前記第2平面と前記第3平面とは、面一であり、かつ、前記第1凹面は、前記第2平面および前記第3平面から前記中心軸に近接する方向に凹んでおり、ゲートは、前記第1凹面に設けられており
前記鏡筒は、前記把持ボスの像側に設けられる底部ボスをさらに含み、かつ、前記底部ボスと前記把持ボスとは、隣接して設けられており、前記底部ボスは、環状構造であり、前記底部ボスの前記外壁から離れる側の面は、前記把持ボスの前記外壁から離れる側の面よりも前記外壁に近接し
前記底部ボスの前記外壁から離れる側には、第2切り欠きが設けられており、前記第2切り欠きは、前記第1切り欠きの位置に対応し、かつ、前記第2切り欠きは、前記第1凹面よりも前記外壁に近接することを特徴とするレンズモジュール。
【請求項2】
前記第1切り欠きの数は、複数個であることを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【請求項3】
前記第1切り欠きの数は、4個であることを特徴とする請求項2に記載のレンズモジュール。
【請求項4】
前記第1凹面は、前記外壁の前記中心軸から離れる外側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【請求項5】
前記第1凹面は、平面であることを特徴とする請求項4に記載のレンズモジュール。
【請求項6】
前記鏡筒の半径方向において、前記外壁から外方に向かって前記第1凹面までの距離は、0.05mmであることを特徴とする請求項5に記載のレンズモジュール。
【請求項7】
前記ゲートは、1個の前記第1切り欠きに設けられていることを特徴とする請求項2に記載のレンズモジュール。
【請求項8】
前記第2切り欠きは、平面である、ことを特徴とする請求項に記載のレンズモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像レンズの技術分野に関し、特にレンズモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、科学技術の発展に伴い、電子機器のインテリジェント化が進み、デジタルカメラの他に、タブレットPC、携帯電話などの携帯型電子機器にもレンズモジュールが搭載されている。従来技術では、レンズモジュールは、一般的に、鏡筒と、鏡筒内に収容されるレンズなどを含む。
【0003】
従来技術では、レンズモジュールの鏡筒は、一般に射出成形プロセスで製作されており、具体的には、可塑化された溶融状態のプラスチックを金型のゲートから金型のキャビティ内に注入し、硬化成形した後、成形された鏡筒を金型から取り出す。鏡筒を取り出す前に、ゲートでの余分なプラスチックが破断して鏡筒の外側面に突出する可能性があり、それによって鏡筒の外側面に余分な均一ではない突起を形成して、鏡筒の外部清浄度および生産性に深刻な影響を与える。
【0004】
よって、新たなレンズモジュールを提供することが必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記技術課題を解決できるレンズモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の技術手段は、下記の通りである。
【0007】
鏡筒と、前記鏡筒内に収容されるレンズ群とを含むレンズモジュールであって、前記鏡筒は、筒型本体と、把持ボスとを含み、前記筒型本体は、前記筒型本体の中心軸に近接する内壁と、前記内壁に対向して設けられる外壁とを含み、前記把持ボスは、環状構造であり、かつ、前記外壁に嵌設され、前記把持ボスの前記外壁から離れる側には、第1切り欠きが設けられ、前記第1切り欠きは、第1凹面と、第2平面と、第3平面とを含み、前記第1凹面は、前記第2平面と前記第3平面との間に設けられ、前記第2平面と前記第3平面とは、面一であり、かつ、前記第1凹面は、前記第2平面および前記第3平面から前記中心軸に近接する方向に凹んでおり、ゲートは、前記第1凹面に設けられており、
前記鏡筒は、前記把持ボスの像側に設けられる底部ボスをさらに含み、かつ、前記底部ボスと前記把持ボスとは、隣接して設けられており、前記底部ボスは、環状構造であり、前記底部ボスの前記外壁から離れる側の面は、前記把持ボスの前記外壁から離れる側の面よりも前記外壁に近接し、
前記底部ボスの前記外壁から離れる側には、第2切り欠きが設けられており、前記第2切り欠きは、前記第1切り欠きの位置に対応し、かつ、前記第2切り欠きは、前記第1凹面よりも前記外壁に近接する、ことを特徴とするレンズモジュール。
【0008】
好ましくは、前記第1切り欠きの数は、複数個である。
【0009】
好ましくは、前記第1切り欠きの数は、4個である。
【0010】
好ましくは、前記第1凹面は、前記外壁の前記中心軸から離れる外側に設けられている。
【0011】
好ましくは、前記第1凹面は、平面である。
【0012】
好ましくは、前記鏡筒の半径方向において、前記外壁から外方に向かって前記第1凹面までの距離は、0.05mmである。
【0013】
好ましくは、前記ゲートは、1個の前記第1切り欠きに設けられている。
【0016】
さらに、前記第2切り欠きは、平面である。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以下の有益な効果を有する。本発明のレンズモジュールの鏡筒では、筒型本体の外壁に1周分の把持ボスが設けられ、把持ボスの外壁から離れる側の任意の位置に第1切り欠きが設けられ、ゲートが第1凹面に設けられることにより、鏡筒を金型内で硬化成形した後、ゲートでのプラスチックが破断したときに余分な均一でなはい突起が少しあっても、当該均一ではない突起が第1切り欠き内に隠れ、第1切り欠きから突出せず、すなわち、第2平面および第3平面から突出しないので、第2平面および第3平面を用いて鏡筒を把持するとき、ゲート残留の影響を受けないため、鏡筒の外部清浄度および生産性に影響を与えない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施例の鏡筒の全体構成の模式図である。
図2】本発明の一実施例の鏡筒の側視図である。
図3】本発明の一実施例の鏡筒の平面図である。
図4】本発明の別の実施例の鏡筒の全体構成の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面および実施形態を参照しながら本発明をさらに説明する。
【0020】
なお、本発明の実施例での全ての方向性指示(例えば、上、下、左、右、前、後…)は、ある特定の姿勢(図に示すように)における各部材間の相対的な位置関係、運動状況等を説明するためのものであり、上記特定の姿勢が変化すると、それに伴って上記方向性指示も変化する。
【0021】
また、本明細書において「第1」、「第2」等に関する説明は、単に説明するためのものであり、その相対的な重要性を示すまたは示唆する、あるいは示される技術的特徴の数を暗黙的に示すと理解すべきではない。これにより、「第1」、「第2」が限定された特徴は、少なくとも1つの前記特徴を明示的または暗黙的に含むことができる。また、各実施例同士の技術的解決手段が、相互に結合可能であるが、当業者であれば実現できるものでなければならず、技術的解決手段の結合が相互に矛盾し、又は実現できない場合にはそのような技術的解決手段の組み合わせが存在せず、本発明が請求する保護の範囲内に含まれないことを理解すべきである。
【0022】
図1を参照すると、本発明は、鏡筒10と、鏡筒10内に収容されるレンズ群とを含むレンズモジュールを提供する。当該鏡筒10は、両端が開口する筒型構造である。
【0023】
鏡筒10は、筒型本体110と把持ボス120とを含み、筒型本体110は、中心軸を有する。筒型本体110は、中心軸に近接する内壁と、内壁に対向して設けられる外壁とを含み、把持ボス120は、環状構造であり、かつ、外壁に嵌設されており、鏡筒10は基本的に射出成形を採用しているため、把持ボス120と筒型本体110は、一体成形されており、把持ボス120は、外壁から、中心軸から離れる方向に突起して形成されているとみなすことができる。把持ボス120は、外壁から離れる外側面122を含み、外側面122には、第1切り欠き130が設けられている。
【0024】
本実施形態の第1切り欠き130は、第1凹面132と、第2平面134と、第3平面136とを含み、第1凹面132は、第2平面134と第3平面136との間に設けられ、第2平面134と第3平面136とは、面一であり、かつ、第1凹面132は、第2平面134および第3平面136から中心軸に近接する方向に凹んでおり、ゲートは、第1凹面132に設けられている。
【0025】
本実施形態の鏡筒10では、筒型本体110の外壁に1周分の把持ボス120が設けられ、把持ボス120の外側面122の任意の位置に第1切り欠き130が設けられ、第1切り欠き130における第1凹面132の凹み度合いがより深いので、ゲートが第1凹面132に設けられることにより、鏡筒10を金型内で硬化成形した後、ゲートでのプラスチックが破断したときに余分な均一ではない突起が少しあっても、当該均一ではない突起が第1切り欠き130内に隠れ、第1切り欠き130から突出せず、すなわち、第2平面134および第3平面136から突出しないので、第2平面134および第3平面136を用いて鏡筒10を把持するとき、ゲート残留の影響を受けないため、鏡筒10の外部清浄度および生産性に影響を与えない。
【0026】
第1切り欠き130の数は、複数個であってもよく、複数個の第1切り欠き130は、把持ボス120上に均等に設けられている。鏡筒10の射出成形時、第1切り欠き130ごとに1つのゲートがそれぞれ設けられることができ、溶融状態のプラスチックが複数のゲートから同時に金型のキャビティ内に注入されることができるため、鏡筒の形状や大きさに応じて成形性能を最適化する。当然ながら、ゲートを1個の第1切り欠き130に設けてもよい。
【0027】
一実施例では、第1切り欠き130の数は、4個であり、4個の第1切り欠き130は、把持ボス120の周辺に沿って均等に設けられ、ゲートは、1個の第1切り欠き130に設けられている。本実施例の鏡筒10は、成形性能に優れている。
【0028】
第1切り欠き130は、筒型本体110の中心軸と平行な方向、すなわち、筒型本体の軸方向に把持ボス120を貫通し、第1切り欠きは、貫通溝構造であり、当該構造により、金型の設置が容易となる。他の実施例では、第1切り欠き130は、把持ボス120を貫通することではなく、単に把持ボス120の外側面122に1つの凹部を掘るだけでよいことが理解されるべきである。
【0029】
具体的には、第2平面134の第1凹面132から離れる端が、外側面122に接続され、第3平面136の第1凹面132から離れる端が、外側面122に接続され、第1凹面132が、外壁の鏡筒10の中心軸から離れる外側に設けられている。第1切り欠き130では、把持ボス120も外壁に突出しており、鏡筒10の射出成形後、当該突出する部分により、把持ツールの把持が容易となる。
【0030】
一実施例では、第1凹面132は、平面であり、第1凹面132、第2平面134および第3平面136は、互いに平行であり、第1凹面132は、第2平面134および第3平面136よりも外壁に近接して設けられている。第1凹面132と第2平面134との間の距離は、0.05mmである。また、鏡筒10の半径方向において、外壁から外方に向かって第1凹面132までの距離は、0.05mmである。別の実施例では、第1凹面132は、平面であり、第1凹面132と第2平面134との間には、夾角があり、すなわち、第1凹面132は、第2平面134に対して傾斜してもよい。
【0031】
他の実施例では、第1凹面132は、曲面であってもよい。
【0032】
さらに、鏡筒10は、底部ボス140をさらに含み、底部ボス140は、把持ボス120の像側に位置し、且つ把持ボス120に隣接して設けられており、底部ボス140の外壁から離れる側の面は、把持ボス120の外壁から離れる側の面よりも外壁に近接する。つまり、筒型本体110の径方向の外向きの方向において、把持ボス120は、底部ボス140よりも高く、鏡筒10の金型内での注塑完成後、把持ツールは、把持ボス120を把持することができ、把持ツールの末端は、底部ボス140に当たることはないので、把持ツールの把持が容易となると共に、把持ツールが筒型本体110の外壁に直接接触することを回避でき、把持ツールが外壁に傷つけることを防止できる。
【0033】
一実施例では、底部ボス140は、環状構造であり、且つ底部ボス140と把持ボス120とは、平行に設けられ、底部ボス140の外壁から離れる側の面は、第1凹面132よりも外壁に近接し、すなわち、底部ボス140の外径は、対向する2つの第1凹面132間の距離よりも小さく、筒型本体110の径方向において、底部ボス140は、第1切り欠き130よりも低い。このようにすれば、鏡筒10を金型内で成形した後、超音波でゲートを振り落とし易い。
【0034】
別の実施例の鏡筒20では、底部ボス140は、環状構造であり、且つ底部ボス140の外壁から離れる側には、第2切り欠き142が設けられており、第2切り欠き142は、第1切り欠き130の位置に対応し、且つ第2切り欠き142は、第1凹面132よりも外壁に近接する。このようにすれば、鏡筒10を金型内で成形した後、超音波でゲートを振り落とし易い。
【0035】
さらに、把持ボス120は、外側面122に接続される第1接続面124および第2接続面126をさらに含み、第1接続面124および第2接続面126はいずれも、光軸に垂直であり、第1接続面124は、物体側に近接し、第2接続面126は、像側に近接する。
【0036】
当該鏡筒10には、さらに、ねじ部150が設けられており、ねじ部150は、鏡筒10の像側に近接して設けられ、ねじ部150は、鏡筒10と外部部材とを接続するために使用されることができる。
【0037】
上述したのは、本発明の実施形態に過ぎない。ここで、注意すべきことは、当業者であれば、本発明の創造的発想から逸脱しない限り、改良をなすことも可能であり、これらの改良が何れも本発明の保護範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4