(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
柄(持手)付きのうちわとしては、大小各サイズのものがあるが、扇面で十分な風量を送るためには該扇面の面積をかなりの大きさ(例えば縦横の各直径が20〜25cm程度)にする必要がある。又、扇面に柄(例えが長さが10〜15cm程度)を付けた物では、うちわの全体長さが30cm超となって、携帯に不便である。
【0003】
又、扇面に多数本の細幅骨材を放射状に配置した一般的な骨付きうちわでは、扇面が多数本の細幅骨材で補強されているので、扇いだときでも扇面の形状が比較的安定しているものの、扇面に細幅骨材があると該扇面を小さく折畳むことができないので、携帯に不便である。
【0004】
尚、従来から、折畳み式うちわとして扇子があるが、扇子の場合は、多数の細幅分割面を順次ジグザグに折畳んでコンパクトにすることができるものの、構造が非常に複雑で且つ製作コストが高く付くという問題があるほか、柄(持手)がないので使用時に持ちにくいという難点がある。
【0005】
ところで、本件出願人は、扇面を小さく折畳み得るようにした折畳み式柄付きうちわとして、特許文献1(特許第4866927号公報)に記載の特許を既に取得しているが、今回の本件出願は、後述するように上記特許文献1の折畳み式柄付きうちわの構成に強度面での改良を加えたものである。
【0006】
上記特許文献1の折畳み式柄付きうちわは、
図13〜
図15に示すように、比較的「腰」のある薄板材料製(例えば厚紙製)の扇面1の下縁中央部1aに合成樹脂製の柄2を連続させている一方、扇面1の下縁寄り所定位置に設けた折り線集中点3から所定角度間隔をもって合計6本の折り線31〜36をそれぞれ扇面1の外周縁に達する範囲に形成して、扇面1を合計6本の折り線(31〜36)で区画された6つの分割面11〜16に分割している。尚、6本の折り線31〜36は、扇面幅中央線N(
図13参照)を挟んだ左右対称位置に3本ずつ形成している。
【0007】
又、この折畳み式柄付きうちわでは、
図13及び
図14に示すように、扇面1における下部中央分割面12の表裏各面に、それぞれ扇面1に接合する位置と柄2に接合する位置との範囲で上下に折返し自在な挟持板5,5をそれぞれ設けている。この各挟持板5,5は、厚さが0.5〜1.0mm程度の薄板製で、
図13に示すように扇面接合側に折返した状態でそれぞれ各折り線31〜36の集中点(折り線集中点3)の周囲の所定面積範囲を被覆し得る面積を有している。
【0008】
この各挟持板5,5は、展張状態の扇面1の表裏各面に接合させた状態(
図13及び
図14の実線図示状態)でロック手段6により離間(外開き)不能にロックし得るようにしている。尚、このロック手段6は、
図13に示すように、長方形状のロック片64を横向き姿勢と縦向き姿勢(鎖線図示する符号64’の姿勢)との間で変位させることでロック状態とロック解除状態とに変化させることができる。
【0009】
そして、この特許文献1(
図13〜
図15)の折畳み式柄付きうちわは、使用時には、
図13及び
図14に示すように扇面1の折り線集中点3の周囲を表裏各側から各挟持板5,5で被覆しており、且つ両挟持板5,5がロック手段6で離間不能にロックされているので、各折り線31〜36に折り癖がついていても該各折り線31〜36が両挟持板5,5で被覆されている部分で折れ曲がるのを阻止できる一方、不使用時には、ロック手段6をロック解除して両挟持板5,5を下方に折返し(
図14に鎖線図示する符号5’,5’の状態)、
図15に示すように扇面1の各分割面11〜16を相互に重合状態で折畳むことで、うちわ全体を小さく折畳むことができる、という機能を有している。尚、扇面1を小さく折畳むには、
図13の使用状態から表裏の両挟持板5,5をそれぞれ下方に折返した状態で、各折り線31〜36をそれぞれ所定方向に折畳む(谷折り及び山折り)ことで、うちわ全体を
図15の状態に折畳むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上記した特許文献1(
図13〜
図15)の折畳み式柄付きうちわは、使用状態では、扇面1における折り線集中点3の周囲を表裏各側から各挟持板5,5で被覆し、両挟持板5,5をロック手段6でロックすることで、両挟持板5,5で扇面1の折り線集中点3周囲を表裏各側から挟持するようになっている。
【0012】
ところが、折り線集中点3の周囲を表裏各側から挟持している各挟持板5,5は、それぞれ1枚物の薄板材料製であるので撓み強度が比較的弱いものであり、柄2を持って扇面1を揺らした(扇いだ)ときに扇面1とともに両挟持板5,5も撓み易くなる(折り線挟持力が弱くなる)。従って、両挟持板5,5による扇面1の安定性を維持させにくくなるとともに、各折り線31〜36部分で折れ曲がり易くなる。つまり、使用時(扇ぐとき)に各挟持板5,5が撓むことで扇面1の形状が不安定になり易いという改善すべき点があった。
【0013】
そこで、本願発明は、柄付きで、扇面に複数の折り線を形成して扇面をコンパクトに折畳み得るようにし、さらに扇面の折り線集中点の周囲の表裏各側にそれぞれ挟持板を設けた折畳み式柄付きうちわにおいて、挟持板の構成を改良することで使用時(柄を持って扇面を揺らしたとき)に扇面の形状をより一層安定させ得るようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。
【0015】
[本願請求項1の発明]
本願請求項1の発明は、1枚物の薄板状で所定面積を有した扇面の下縁中央部に持手となる柄を下方突出状態で連続させた柄付きうちわを対象としている。
【0016】
そして、本願請求項1の折畳み式柄付きうちわでは、扇面の幅中央線上における扇面の下縁寄りの所定位置を折り線集中点とし、扇面の幅中央線を挟んだ左右位置に折り線集中点から所定角度間隔をもって3本ずつの折り線をそれぞれ扇面の外周縁に達する長さ範囲に形成して、合計6本の折り線で区画された6つの分割面を相互に重合状態で折畳み得るようにしている。尚、以下の説明では、扇面の幅中央線を単に扇面幅中央線という。
【0017】
このようにすると、各折り線(6本)により扇面幅中央線を中心にして扇面を幅方向に小さく折畳めるとともに、柄側も折り線集中点を中心にして扇面側に折り重ねることができるので、全体を非常に小さく折畳むことができる。尚、隣接する各折り線(6本)間のそれぞれの角度間隔は、扇面を幅方向に小さく折畳めるとともに、柄側も扇面側に折り重ね得るように設定されているが、具体的には以下に示す実施例のようにそれぞれ所定角度範囲内で変更可能に設定できるものである。
【0018】
又、本願請求項1の折畳み式柄付きうちわでは、扇面における柄基端部に連続する下部中央分割面の表裏各面に、それぞれ扇面に接合する位置と柄に接合する位置との範囲で折返し自在な挟持板をそれぞれ設けている。
【0019】
この各挟持板には、その長さ方向の所定位置に各挟持板を基部板と先部板とに区画する折り線を設けており、該各折り線部分を折返すことで基部板と先部板とを2枚重ね状態で接合させ得るようにしている。
【0020】
又、各挟持板の各先部板は、それぞれ折り線集中点の周囲の所定面積範囲を被覆し得る面積を有している。そして、基部板と先部板とを2枚重ねにした各挟持板を展張状態の扇面の表裏各面に接合させた状態では、各先部板が折り線集中点の表裏各側に対面する位置に位置されるように設定している。
【0021】
さらに、本願請求項1の折畳み式柄付きうちわには、前記基部板と前記先部板とを2枚重ねにした各挟持板を展張状態の扇面の表裏各面に接合させた状態で、各挟持板の各先部板を離間不能にロックするためのロック手段を有している。
【0022】
各挟持板及びロック手段は、扇面に6本の折り線(折り癖が付いている)がある関係で、使用時(扇面が平面状に展張している)に各折り線部分が折れ曲がり易くなるのを防止するためのものであって、次のような機能を有している。
【0023】
即ち、使用時(扇面展張状態)には、各挟持板の基部板と先部板とをそれぞれ折畳んで2枚重ね状態で接合させ、且つ各側の先部板をそれぞれ扇面の折り線集中点の周囲を被覆した状態で両先部板をロック手段で離間不能にロックしておくが、この状態では、各側の先部板で折り線集中点の周囲を表裏各側から挟持するので、各折り線(6本)に折り癖がついていても、該各折り線が両挟持板(先部板)で被覆されている部分で折り曲がるのを阻止できる。従って、各折り線部分がそれぞれ全長に亘って折れ曲がれなくなる。
【0024】
又、この使用状態では、各挟持板の基部板と先部板とが2枚重ね状態となっているので、各挟持板(特に基部側部分)の撓み強度が1枚の状態より強くなっている。従って、扇面に対する挟持力が増すことで、扇面をより一層強固(安定状態)に支持できる。
【0025】
本願請求項1の折畳み式柄付きうちわは、次のような機能を有している。
【0026】
まず、使用時には、上記のように扇面を平面状に展張させ、各挟持板(先部板)を扇面の表裏各面に接合させた状態でその両挟持板をロック手段でロックしておく。そして、この使用状態では、柄を持って扇面を揺らしても各折り線が不用意に折れ曲がることがないので、柄付きうちわとして通常の安定状態で使用できる。その場合、柄を持って扇ぐことができるので使い勝手がよい。
【0027】
他方、不使用時(携帯時)には、両挟持板のロック手段を解除すれば、扇面及び柄を折り線集中点を中心に小さく折畳むことができる(折畳み形態の詳細は後述の実施例で説明している)。この折畳み状態では、扇面が幅方向に折畳まれているとともに、柄が扇面側に折返されて重合しているので、柄付きうちわであっても左右及び上下にコンパクトになる。
【0028】
[本願請求項2の発明]
本願請求項2の発明は、上記請求項1の折畳み式柄付きうちわにおいて、各挟持板における先部板に撓み強度がある補強板を固着させていることを特徴としている。
【0029】
この挟持板先部板に固着させている補強板には、厚紙(例えば段ボール紙)や合成樹脂板等で、かなりの撓み強度を有した板材が使用される。そして、この補強板は、挟持板の先部板における表裏いずれかの面に接着剤で接着することによって固着させることができる。
【0030】
このように、各挟持板の先部板に補強板を固着させていると、挟持板先部板が一層撓みにくくなるので、各挟持板による扇面の折り線集中点付近に対する保持力を増強できる。
【発明の効果】
【0031】
[本願請求項1の発明の効果]
本願請求項1の折畳み式柄付きうちわでは、次のような効果がある。
【0032】
(1)使用時には、扇面を平面状に展張させ、各挟持板(先部板)をそれぞれ扇面の表裏各面に接合させた状態で両挟持板(先部板)をロック手段でロックしておくと、柄を持って扇面を揺らしても各折り線が不用意に折れ曲がることがないので、柄付きうちわとして安定状態で使用できる。その場合、柄を持って扇面を揺らす(扇ぐ)ことができるので使い勝手がよい。
【0033】
(2)各挟持板は、その長さ方向の所定位置に設けた折り線で基部板と先部板とを2枚重ね状態で接合させているので、例えば特許文献1のように1枚物の挟持板(例えば特許文献1の挟持板)より撓み強度が強くなる。従って、各挟持板による扇面への挟持力が増すことで、扇面をより一層強固に(安定状態で)支持できる。
【0034】
(3)不使用時(携帯時)には、両挟持板(先部板)のロック手段を解除すれば、扇面及び柄を折り線集中点を中心に小さく折畳むことができるので、柄付きうちわであっても左右及び上下にそれぞれコンパクトになり、携帯時に嵩張らない(例えば衣服のポケットに収容できる)。
【0035】
[本願請求項2の発明の効果]
本願請求項2の発明では、上記請求項1の折畳み式柄付きうちわにおいて、各挟持板における先部板に撓み強度がある補強板を固着させているので、扇面に接する挟持板先部板が一層撓みにくくなる。
【0036】
従って、この請求項2の折畳み式柄付きうちわでは、各補強板で扇面の折り線集中点付近を被覆する挟持板先部板を補強できるので、上記請求項1の効果に加えて、扇面をより一層安定状態で支持できるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0038】
添付の
図1〜
図12を参照して、本願実施例の折畳み式柄付きうちわを説明する。
【0039】
図1及び
図2には、この実施例の折畳み式柄付きうちわの展張状態(使用可能状態)を示しているが、この折畳み式柄付きうちわは、1枚物の薄板材料製で略円形状の扇面1と、該扇面1の下縁中央部1aに下向き突出状態で連続させた柄2と、後述するように扇面1の折り線集中点3の周囲の所定面積範囲を表裏各側から被覆し得る2枚の挟持板5,5と、両挟持板5,5の先部板(詳細は後述する)を扇面接合状態で離間不能にロックするためのロック手段6とを有して構成されている。
【0040】
図4には、この折畳み式柄付きうちわにおける、扇面1と、柄2と、両挟持板5,5を一連に設け且つロック手段6を予め取付けた状態の挟持板基材4とをそれぞれ分離状態で示しているが、まずこれらの部材(扇面1、柄2、挟持板基材4)の詳細について説明する。
【0041】
扇面1の材料としては、厚紙や合成樹脂シートのような比較的「腰」のある1枚物の薄板材料が使用されるが、この実施例では折畳み可能な厚さ(例えば0.5〜1mm程度の厚さ)の厚紙が使用されている。
【0042】
柄付きうちわの扇面1としての大きさは、一般的に縦横の各直径が20〜25cm程度のものが多く、本願実施例でも扇面1として一般的な大きさ(特に限定するものではないが、縦長さが約21cm程度で横長さが約24cm程度の大きさ)のものを使用している。
【0043】
扇面1には、
図1、
図4及び
図9に示すように、扇面幅中央線N上における扇面1の下縁寄りの所定位置を折り線集中点3とし、扇面1の扇面幅中央線Nを挟んで左右位置に該折り線集中点3から所定角度間隔をもって3本ずつ(合計6本)の折り線31〜36をそれぞれ扇面1の外周縁に達する長さ範囲に形成して、扇面1を各折り線31〜36で合計6つの分割面11〜16に区画している。
【0044】
折り線集中点3の位置は、
図1及び
図9に示すように、扇面1の上縁中央部1bから扇面の下縁中央部1aに接続される柄2の先端部2bまでの長さLの略1/2の位置に設定している。この場合、折り線集中点3から扇面1の上縁中央部1bまでの距離と、折り線集中点3から柄2の先端部2bまでの距離とが同等(長さMずつで、M=約16cm)になる。
【0045】
6本の折り線31〜36における隣接する2本の折り線間のそれぞれの角度間隔は、折り線集中点3を中心にして扇面1を幅方向及び上下方向に折畳み得るものであればよいが、この実施例ではそれぞれ次に示す角度間隔(
図4の扇面1における符号a〜fの各角度)に設定している。
【0046】
即ち、
図4の扇面1に示すように、折り線集中点3より上側に位置する4本の折り線31〜34においては、隣接する2本の折り線(31と32、31と33、32と34)の各角度(a,b,c)がそれぞれ36°であり、符号33の折り線と符号35の折り線との角度d、及び符号34の折り線と符号36の折り線との角度eがそれぞれ72°であり、残りの符号35の折り線と符号36の折り線との角度fが108°である。この場合、符号33の折り線と符号36の折り線、及び符号34の折り線と符号35の折り線とが、それぞれ一直線状になる。
【0047】
尚、この実施例で設定した隣接する2本の折り線間の上記各角度(a〜f)は、特に限定するものではなく、上記符号a〜cの各角度(36°)を例えば30°〜40°程度の範囲に変更しても(この場合は符号d〜fの各角度も変更される)、この柄付きうちわを折畳むのに支障はない。
【0048】
6本の各折り線31〜36の折り方向(山折りか谷折りか)は、
図1及び
図4の状態を表面側にした場合に、符号31と符号34の2本の折り線が山折り線で、符号32,33,35,36の4本の折り線が谷折り線である。そして、この各折り線31〜36は、それぞれ所定の折り側に折り癖がつけられている。
【0049】
上記の各折り線31〜36は、扇面1の扇面幅中央線Nを挟んで左右位置に3本ずつ設けているが、この実施例では、左右3本ずつの折り線は、上記扇面幅中央線Nを挟んだ左右対象位置に設けている。このように、左右3本ずつの折り線を扇面幅中央線Nを挟んだ左右対象位置に設けていると、この柄付きうちわを小さく折畳んだときに、
図11に示すように外形が左右対称形になるので見映えがよくなる。
【0050】
扇面1の折り線集中点3部分には、
図4に示すように、ロック手段6(後述する台部62とロック片63)を貫通させるための長方形状の挿通穴17が形成されている。この挿通穴17は、
図8(
図4のF−F拡大断面図)に示すように、ロック手段6を挿脱自在に挿通させ得る大きさを有している。
【0051】
柄2は、合成樹脂材料で成型したものである。柄付きうちわにおける柄2の長さは、一般的に10〜15cm程度のものが多く、本願実施例でも柄2の長さとして一般的な範囲のものを使用できる。因に、この実施例では、柄2の長さとして、扇面1の下端縁1aからの下方突出長さが約11cmとなるように設定している。
【0052】
柄2の上部2aは、特許請求の範囲中の柄基端部となるものである。そして、この柄の上部2aには、
図3及び
図7に示すように、扇面1の下縁部及び挟持板基材4の折返し部(後述する)を保持させるための所定深さの縦溝21が形成されている。この縦溝21は、表裏2枚の挟持片22,22の間に形成されていて、該縦溝21内に扇面1の下縁部及び挟持板基材4の折返し部を差込むことで、扇面1(及び挟持板基材4の折返し部)の下部に柄2の上部2aを結合させることができる。
【0053】
各挟持板5,5は、この実施例では、
図4に示すように1枚物の挟持板基材4の両側に対称状態で設けているが、この挟持板基材4について説明する。
【0054】
この挟持板基材4には、厚さが0.5〜1mm程度で比較的「腰」のある厚紙が使用されている。この挟持板基材4は、
図4に示すように、2つの挟持板5,5を上下対称形に位置させた状態で該各挟持板5,5をやや細幅(幅が3〜4cm程度)の連結部41で一体に連結して構成されている。
【0055】
各挟持板5,5は、それぞれ連結部41の一端に折り線43を介して連続する台形状の基部板5aと、該基部板5aに連続する四角形状の先部板5bとを有している。各挟持板5,5の基部板5aと先部板5bとの間には、該基部板5aと先部板5bとを2枚重ね状態で折畳むための折り線52が形成されている。
【0056】
各挟持板5,5の先部板5bは、略四角形状で、一辺が約10cm程度の大きさを有している。そして、この各挟持板5,5の各先部板5b,5bは、
図1〜
図3に示すように、扇面1の外面にあてがった状態で、上記折り線集中点3の周囲の所定面積範囲を被覆し得る面積を有している。
【0057】
挟持板基材4の連結部41の長さ方向中間部には、
図4に示すように、折り線42が形成されている。そして、この折り線42を谷折りすることで、
図3に示すように連結部41を2つ折り状態に折り重ねることができるようになっている。
【0058】
尚、この実施例では、各挟持板5,5を1枚物の挟持板基材4に一体的に設けているが、他の実施例では、各挟持板5,5を連結部41の折り線42部分で切り離した2枚のパーツで形成することもできる。
【0059】
各挟持板5,5の各先部板5b,5bには、それぞれかなりの撓み強度がある補強板50,50を固着させている。この各補強板50,50は、挟持板5の先部板5bと同形・同大きさの略四角形状で、厚紙や合成樹脂板等からなる適度の撓み強度を有した板材が使用できる。尚、この実施例では、補強板50として段ボール紙を用いている。
【0060】
この各補強板50,50は、各挟持板5,5の先部板5bにおける表裏いずれかの面に固着させればよいが、この実施例では、
図1〜
図3に示すように使用状態で挟持板先部板5bにおける扇面1に対面する側に接着剤を用いて接着させている。このように、この実施例の折畳み式柄付きうちわでは、補強板50付きの挟持板5として使用している。
【0061】
ロック手段6は、一方(
図4の上側)の挟持板5に設けたロック部材61と、他方(
図4の下側)の挟持板5に設けたロック受材65とを有している。
【0062】
ロック部材61は、
図4及び
図5(
図4のC−C拡大断面図)に示すように、一方の挟持板5(先部板5b)のほぼ中央部に固定した楕円形の固定板62に長方形状の台座63を設け、さらに該台座63に対して同じく長方形状のロック片64を回転自在に軸着させたものである。尚、各補強板50,50のほぼ中央部付近には、
図3、
図5、
図6に示すように、それぞれロック部材61を挿通させるための穴51,51が形成されている。
【0063】
ロック受材65は、
図4及び
図6(
図4のD−D拡大断面図)に示すように、他方の挟持板5(先部板5b)のほぼ中央部に固定した楕円形の固定板66に、ロック部材61を挿通させ得るとともにロック片64を係脱自在に係止させ得る長方形状の開口67を設けたものである。
【0064】
ロック部材61のロック片64(長方形状)は、台座63と同じ横向き状態(
図5に符号64で示す実線図示状態)では扇面1の挿通穴17(
図8)及びロック受材65の開口67(
図6)に対してそれぞれ挿通可能である一方、台座63に対して直交する縦向き状態(
図5に符号64’で示す鎖線図示状態)に回動させると、該ロック片64’の両端部をロック受材65の開口67の口縁に係止できる(ロックできる)ようになっている。尚、このロック片64は、
図1及び
図3において、実線図示する縦向き姿勢がロック状態で、横向き姿勢(
図1、
図3の符号64’)にするとロック解除状態となる。
【0065】
そして、このロック手段6は、
図3に拡大図示するように、各挟持板5,5の基部板5aと先部板5bを2つ折りし、各側の先部板5b,5bを各補強板50,50とともに扇面1の表裏各面にあてがった状態で、両先部板5b,5bを表裏各側から挟圧する機能をもつもので、その使用形態については後で詳述する。
【0066】
図4に示す3つの部材(扇面1、柄2、挟持板基材4)は、次のように組み立てることで
図1〜
図3に示す使用形態の柄付きうちわに完成させることができる。
【0067】
まず、
図4の挟持板基材4の連結部41を折り線42で谷折りして該連結部41を2つ折りし、その連結部41の2つ折り部分で扇面1の下縁中央部1aを挟み込み(
図3に示す3枚重ね部分Yとなる)、その状態で3枚重ね部分Yを柄2の上部に設けた両挟持片22,22間の縦溝21内に挿入させて、
図3に示すように3枚重ね部分Yを両挟持片22,22間に強固に固定する。尚、このとき、両挟持片22,22を表裏から適宜の締付手段で締め付けることで、該3枚重ね部分Yを柄2の基部に強固に固定される。尚、2つの挟持板5,5を連結部41の折り線43部分で分離して別体としたものでは、各挟持板5,5の先部板5bに連続する連続片部分(
図4の符号41a,41a部分)をそれぞれ扇面1の下部中央分割面12の表裏各面に接着すればよい。
【0068】
上記3枚重ね部分Y(
図3)を柄2の上部に固定した状態では、表裏各側の挟持板5,5は、基部板5aが連結部41に対して折り線43,43部分で折返し可能であり、且つ先部板5bが基部板5aに対して折り線52部分で折返し可能となっている。そして、基部板5aと連結部41間の各折り線43,43部分を外折りした状態で、基部板5aと先部板5b間の各折り線52,52部分を内折りすることで、
図3に示すように各挟持板5,5の基部板5aと先部板5bとを2枚重ね状態で折り畳むことができる。このとき、各基部板5a,5aと各先部板5b,5bとの間には、それぞれ補強板50,50が介在されている。
【0069】
この状態では、一方(
図3の左側)の挟持板5に設けているロック部材61(このときロック片64を台座63と同じ横向きにしている)が、扇面1の挿通穴17と他方(右側)の挟持板5に設けているロック受材65の開口67にそれぞれ挿通可能な位置にある。そして、
図3に示すように、ロック部材61のロック片64をロック解除姿勢である横向き状態(
図3の符号64’の状態)で、該ロック部材61(ロック片64’と台座63)を扇面1の挿通穴17とロック受材65の開口67に挿入した後、ロック片64を縦向きのロック姿勢(
図3の符号64の状態)にすることで、両挟持板5,5を離間不能にロックすることができる。このロック状態では、各挟持板5,5の中心付近を相互に近接する側に付勢しており、各挟持板5,5で折り線集中点3より上側にある4本の折り線31〜34部分を表裏各側から挟圧している。
【0070】
このロック手段6による両挟持板5,5のロック状態では、
図1〜
図3に示すように、うちわとして使用可能な状態となっているが、この使用可能状態での折畳み式柄付きうちわは、次のような機能を有する。
【0071】
まず、
図1〜
図3に示す使用可能状態では、各挟持板5,5の先部板5b,5bが扇面1の表裏各側から折り線集中点3の周囲を被覆し、且つ各先部板5b,5bが扇面1の各折り線(少なくとも上側4本の折り線31〜34)を表裏各側から挟圧しているので、各折り線31〜36に折り癖がついていても、該各折り線31〜36部分がそれぞれ全長に亘って折り曲がるのを阻止できる。従って、柄2を持って扇面1を揺らしても、各折り線31〜36が不用意に折れ曲がることがないので、柄付きうちわとして通常の安定状態で使用できる。
【0072】
又、各側の挟持板5,5は、基部板5aと先部板5bとが2枚重ね状態となっているので、各挟持板5,5全体の撓み強度が1枚の状態より強くなり、扇面1をより一層安定状態で支持できる。
【0073】
さらに、この実施例の折畳み式柄付きうちわでは、各挟持板5,5の先部板5b,5bにそれぞれ補強板50,50を固着させていることで、挟持板先部板5b,5bが一層撓みにくくなる。従って、各挟持板5,5による扇面1の折り線集中点3付近に対する保持力を一層増強できる。
【0074】
他方、この折畳み式柄付きうちわは、
図1の使用状態(扇面展張状態)から、
図9及び
図10の手順を経て
図11及び
図12のように小さく折畳むことができる。即ち、まず、
図1の状態からロック手段6のロックを解除した後、両挟持板5,5を
図2の符号5’,5’で示すように柄2側に折返すと、
図9に示すように扇面1の折り線集中点3部分が開放される。次に、折り線33及び折り線36部分を谷折りして
図10の状態とし、続いて
図10の符号32の折り線を山折りするとともに、符号31及び符号34の各折り線をそれぞれ谷折りすると、符号35の折り線も谷折りされて
図11及び
図12に示す折畳み状態となる。
【0075】
この
図11及び
図12に示す折畳み状態では、扇面1の各分割面11〜16が重合状態で折り重なっており、且つ柄2が扇面1側に折返されて重合しているので、柄付きうちわであっても左右及び上下にコンパクトになる。
【0076】
又、この折畳み状態では、扇面1の各分割面11〜16、補強板50を含む両挟持板5,5、及び柄2が、
図12に示すように折り重なっていて、厚さ方向に若干のボリュームができるが、この厚さ方向のボリュームは、携帯時にさほど問題にならない。尚、
図11及び
図12に示す折畳み状態で、その外側に輪ゴムを掛けておくと、各部分が不用意に平かないので携帯に便利である。
【解決手段】柄付きうちわにおいて、扇面1の下縁寄り位置に設けた折り線集中点3から扇面外周縁に達する6本の折り線31〜36を設けて、各折り線で区画された各分割面11〜16を相互に重合状態で折畳み得るようにし、扇面1の下部中央分割面12の表裏各面に折返し自在な挟持板5,5を設け、各挟持板5は基部板5aと先部板5bとを2枚重ね状態で接合させ得るようにし、基部板5aと先部板5bとを2枚重ねにした各挟持板5,5を扇面1の表裏各面に接合させた状態で、各挟持板5,5の各先部板5b,5bを離間不能にロックするためのロック手段6を有していることにより、上記課題を解決し得るようにしている。