(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上面と、底面と、前記上面と前記底面との間に延在する側面と、を備えるミッドソールであって、電気粘性(ER)流体ハウジングと前足部プレートとをさらに備えるミッドソールを備え、
前記ER流体ハウジングが、前記ミッドソールの少なくとも前足部領域において前記上面と前記底面との間に位置し、
前記ER流体ハウジングが、本体と複数のチャンバとを備え、
前記チャンバの各々が、電気粘性流体を含み、前記チャンバ内の前記電気粘性流体の体積の変化に応じて前記本体から外方への伸長度を変えるように構成されており、
前記本体が、前記チャンバ間の流れを許可する伝達チャネルを備え、
前記伝達チャネルが、前記伝達チャネルの電界生成部分の内部に沿って延在する、対向する第1および第2の電極を備え、
前記前足部プレートが、前記チャンバの上に位置決めされている、
物品であって、
前記ミッドソールが後部プレートを備え、
前記後部プレートが、前記前足部プレートの後方に位置決めされており、
当該物品は、前記後部プレートに対する前記前足部プレートの回転角度を測定するように構成された回転センサをさらに備える、
物品。
コントローラが、プロセッサとメモリとを含み、前記メモリが、前記メモリに記憶された命令を備え、前記記憶された命令が、前記回転センサから受信した1つ以上の信号に少なくとも部分的に基づいて前記電極にわたる電圧を設定することを含むステップを前記プロセッサに行わせるように前記プロセッサによって実行可能である、請求項1に記載の物品。
前記記憶された命令が、前記回転センサから受信した1つ以上の信号と、前記チャンバ内の圧力に対応する1つ以上の信号と、に少なくとも部分的に基づいて前記電極にわたる電圧を設定することを含むステップを前記プロセッサに行わせるように前記プロセッサによって実行可能である、請求項4に記載の物品。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明および図面の全体を通じて、同様の要素は、共通の数字指示子および異なる付加文字(例えば、
図2のチャンバ52a〜52c)を用いて識別されることがある。このような方式で識別された要素はまた、付加文字のない数字指示子のみを用いて集合的(例えば、外側チャンバ52(lateral chambers 52))または包括的(例えば、外側チャンバ52(a lateral chamber 52))に識別され得る。
【0009】
図1Aは、ER流体ハウジング10の後方外側上面斜視図である。ハウジング10は、本体11と、2つの流体チャンバ12および13と、を含む。チャンバ12および13は、本体11の上部側から上方に延在する可撓性輪郭壁14および15によってそれぞれ境されている。以下にさらに詳述するとおり、本体11内のチャネルが、チャンバ12および13を接続する。チャンバ12および13ならびに接続チャネルは、充填および脱気後に封止される非図示の湯口を用いてER流体で充填され得る。
【0010】
ハウジング10は、ソール構造と、支持プレートの下に配置されたチャンバ12および13と、に組み込まれ得る。チャンバ12および13は、チャンバ内のER流体の容積の変化に応じて、本体11から外方への伸長度を変えるように構成される。特に、ソール構造の形状を調整することが望ましい場合には、ER流体が、チャンバ12と13との間を流れるようにされ得る。チャンバ13からチャンバ12への流れは、本体11に対するチャンバ13の中央領域19の高さを減少させると同時に、チャンバ12の中央領域18の高さを増加し得る。反対方向の流れは、反対の効果をもたらす。中央部分18および19が所望の高さを実現すると、接続チャネル内の電極に通電することにより、それ以上の高さの変化を止めることができる。それらの電極に通電すると、そのチャネル内のER流体の粘度が増し、チャンバ12と13との間のER流体のさらなる流れを防ぐ。細長い開口25および丸い開口31は、本体11を貫通して延在する。
【0011】
図1Bは、ハウジング10の上面図である。チャンバ12および13を接続するチャネル20の位置は、小さな点の破線で示されている。一対の対向する電極は、チャネル20内の底部側および上部側上に位置決めされ、
図1Bに示す部分21に沿って大きな点の破線で延在する。電気リード26および27の各々は、これらの電極のうちの1つに接続されている。
図1Cは、
図1Bに示す平面の部分概略断面図であり、ER流体で充填した後のハウジング10を示す。灰色の陰影が、ER流体を含む領域を示すために
図1Cおよび他の図で使用される。
図1Cに示すとおり、チャンバ12および13は、壁14および15の折り目によって作られた蛇腹形状を有する。
図1Dは、
図1Cに示す領域の拡大図である。
図1Dは、部分21に沿ってチャネル20の上部壁および底部壁をそれぞれ覆うチャネル20ならびに電極22および23のさらなる詳細を示す。一部の例で、チャネル20は、1ミリメートル(mm)の電極間最大高さh、2mmの平均幅(w)、およびチャンバ12と13との間の流れ経路に沿って少なくとも200mmの長さを有し得る。
【0012】
ハウジング10およびチャンバ12および13の例示的な材料は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む。電極22および23の例示的な材料は、1010ニッケルでめっきされた厚さ.05mmの冷間圧延鋼を含む。ハウジング10および他の種類の同様のハウジングのさらなる詳細が、米国仮特許出願第62/552,548号(2017年8月31日に出願された「Footwear Including an Incline Adjuster(傾斜アジャスタを含む履物)」と題する)に記載されており、同出願の全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0013】
図2Aは、ER流体ハウジング50の外側上面斜視図である。
図2Bは、ハウジング50の上面図である。ハウジング50は、本体51と6つの流体チャンバとを含む。チャンバ52a〜52cがハウジング50の一方の側上に位置し、チャンバ53a〜53cが反対側上に位置する。チャンバ52a〜52cおよび53a〜53cは、本体51の上部側から上方に延在する可撓性輪郭壁54a〜54cおよび55a〜55cによってそれぞれ境されている。チャンバ52a〜52cおよび53a〜53cは、チャネル60.1〜60.5によって接続されており、これらのチャネルは、本体51内に位置し、
図2Bに小さな点の破線で示されている。対向する電極は、チャネル60.3内の底部側および上部側上に位置決めされ、
図2Bに示す部分61に沿って大きな点の破線で延在する。チャンバ52a〜52c、チャンバ53a〜53c、およびチャネル60.1〜60.5は、充填後に封止され得る非図示の湯口を用いてER流体で充填され得る。
【0014】
ハウジング50は、履物品の構成要素としても使用され得る。ハウジング50は、特に、ソール構造と、支持プレートの下に配置されたチャンバ52a〜52cおよび53a〜53cと、に組み込まれ得る。チャンバ52a〜52cおよび53a〜53cは、チャンバ内のER流体の容積の変化に応じて、本体51から外方への伸長度を変えるように構成されている。ER流体は、特に、ソール構造の形状を調整するために、一方の側上のチャンバ(例えば、チャンバ53a〜53c)から他方の側上のチャンバ(例えば、チャンバ52a〜52c)に流れるようにされ得る。チャンバ53a〜53cからチャンバ52a〜52cへの流れは、チャンバ53a〜53cの中央領域59a〜59cの高さを本体51に対してそれぞれ減少すると同時に、チャンバ52a〜52cの中央領域58a〜58cの高さをそれぞれ増加し得る。反対方向の流れは、反対の効果をもたらす。高さの変更は、ER流体のさらなる流れを防ぐために、チャネル60.3内の電極に通電することによって止めることができる。
【0015】
図2C〜
図2Eは、
図2Bに示す平面の部分概略断面図であり、ER流体で充填した後のハウジング50を示す。
図2Eは、
図2Cおよび
図2Dに対して拡大されている。チャンバ53aおよび53bの構造は、チャンバ53cの構造と同様だが、チャンバ53aの直径がわずかに小さい。チャンバ52aの構造は、チャンバ52bおよび52cの構造と同様である。チャネル60.1、60.4、および60.5の構造は、チャネル60.2および60.3の構造と同様であるが、チャネル60.1、60.2、60.4、および60.5は電極を欠いている。
図2Cおよび
図2Dからわかるとおり、チャンバ52a〜52cおよび53a〜53cは、壁54a〜54cおよび55a〜55cの折り目によって作られた蛇腹形状を有する。
図2Eは、部分61に沿ってチャネル60.3の上部壁および底部壁をそれぞれ覆うチャネル60.3ならびに電極62および63のさらなる詳細を示す。一部の例で、チャネル60.3は、1mmの電極間最大高さh、2mmの平均幅w、およびチャンバ52cと53cとの間の流れ経路に沿って少なくとも270mmの長さを有し得る。チャネル60.1、60.2、60.4、および60.5の最大高さh(上部壁と底部壁との間)および平均幅wは、それぞれ、チャネル60.3の最大高さおよび平均幅と同じ寸法を有し得る。
【0016】
ハウジング50およびチャンバ52a〜52cおよび53a〜53cの例示的な材料は、TPUを含む。電極62および63の例示的な材料は、1010ニッケルでめっきされた厚さ.05mmの冷間圧延鋼を含む。ハウジング50および他の種類の同様のハウジングのさらなる詳細が、米国仮特許出願第62/552,551号(2017年8月31日に出願された「Incline Adjuster With Multiple Discrete Chambers(複数の個別チャンバを有する傾斜アジャスタ)」と題する)に記載されており、同出願の全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0017】
ハウジング10またはハウジング50内で用いられ得るER流体の一例が、ERF Produktion Wurzberg GmbHから「RheOil4.0」という名前で販売されている。ハウジング10および50は、米国仮特許出願第62/552,555号(2017年8月31日に出願された「Degassing Electrorheological Fluid(電気粘性流体の脱気)」と題する)に記載されているような動作を用いて充填及び脱気され得る。なお、同出願は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0018】
上述のとおり、ハウジング10およびハウジング50などのER流体ハウジングは、履物品に組み込まれ得、履物のソール構造の形状を制御する目的で使用され得る。ERハウジングを製作するには、従来の履物を製造する施設で通常は利用できない装置および技能が必要である。ER流体ハウジングをソール構造内に組み込むにも、従来の履物を製作する際に通常は必要とされない技能が必要であり得る。さらに、ER流体ハウジングは、損傷を避けるために特別な取り扱いを必要とし得る。例えば、ER流体ハウジング本体にかかる曲げ力が強すぎると、電極が損傷する可能性がある。別の例として、取り扱いが不適切だと、チャンバ壁が裂損したり、ER流体が漏出したりし得る。このような種類などの損傷により、ER流体ハウジングが動作不能になる可能性がある。
【0019】
これらなどの理由から、ER流体ハウジングを履物工場に提供する前に、ER流体ハウジングを保護構造内に取り囲むことには利点がある。また、その構造が従来の履物構成要素と同様のサイズおよび形状を有し、従来の構成要素で使用される技法と同様の技法を用いて靴に組み込むことができれば、それも利点があるであろう。これらなどの理由から、ER流体ハウジングがミッドソールに組み込まれ得る。そのミッドソールはその後、履物工場に提供され得、従来の靴の組立技法を用いて靴に組み込まれ得る。ミッドソールおよびミッドソール内の他の構成要素は、ER流体ハウジングを損傷から保護し得る。
【0020】
図3Aは、ミッドソール100の内側側面図である。ミッドソール100は、左足用靴を含む1足のうちの右足靴用ミッドソールである。この1足のうちの左足用靴ミッドソールは、ミッドソール100の鏡像であり得る。以下にさらに詳述するとおり、ミッドソール100は、前足部領域101に位置するER流体ハウジング10を含む。
図3Bおよび
図3Cは、それぞれミッドソール100の上面図および底面図である。ミッドソール100は、ミッドソールシェル102を備える。シェル102は、上面103と、底面105と、上面103と底面105との間に延在する側面104と、を備える。
図3Bおよび
図3Cからわかるとおり、側面104は、足底面における履物ソール構造の形状に対応する形状を有する。ミッドソール100が、アッパーと接地面とを有する靴に組み込まれた後に、上面103は、着用者の足を受容するように構成されているアッパーの内部領域の方を向き、底面105は接地面の方を向く。コントローラ110は、ワイヤハーネス111によってミッドソール100内のER流体ハウジングに接続されている。以下にさらに詳述するとおり、コントローラ110は、ER流体ハウジングの電極に印加された電圧を制御する目的で使用され得る電子機器を含む。コントローラ110は、靴に組み込まれると、靴の追加ソール構造内に配置され得る。
【0021】
図3Dは、ミッドソール100の部分断面内側側面図である。
図3Dでは、シェル102が、
図3Bに示す平面の断面で示されているが、ミッドソール100の他の構成要素は断面で示されていない。換言すれば、
図3Dは、シェル102の内側を剥がしたミッドソール100の側面図に類似している。
図3Eは、前足部領域101を含む
図3Dの一部分の拡大図である。
図3Fは、
図3Bに示す平面の拡大断面図である。
【0022】
ER流体ハウジング10は、底面105の一部分の上方にありかつ上面103の一部分の下方にある、シェル102内に収容され、側面104の一部分によって囲まれている。シェル102は、内部キャビティ113を備える。シェル102の基部は、底面105を形成する外面と、キャビティ113の底部境界を形成する内面116と、を有する。シェル102のリムは、側面104を形成する外面と、キャビティ113の側壁を形成する内面117と、を有する。シェル102のカバーは、上面103を形成する外面と、キャビティ113の上部境界を形成する内面118と、を有する。
【0023】
また、底部前足部プレート121および上部前足部プレート122は、キャビティ113内に位置する。比較的硬いポリマーまたはポリマー複合体から形成され得るプレート121は、ミッドソール100の前足部領域を硬化させ、ER流体ハウジング10に安定した基部を提供するのに役立つ。プレート122は、プレート121と概ね整列しており、比較的硬いポリマーまたはポリマー複合体からも形成され得る。支点要素123は、硬質ゴム、またはミッドソール100を組み込んだ靴の着用者が走ったときに生じる荷重下で一般に非圧縮性である1つ以上の他の材料から形成され得る。支点要素123は、底部前足部プレート121の上面に取り付けられ、細長い開口25を通って上方に延在し、上部前足部プレート122の下側に接触する。上部前足部プレート122は、チャンバ12および13によって、かつ支点要素123によって支持される、安定しかつ比較的変形しにくい領域を提供する。2つの力感知抵抗器(FSR)126および127は、本体11とプレート121の上面との間に位置決めされている。
図3Eで視認できるFSR126は、チャンバ13の下に位置決めされている。
図3Eでは視認できないが後続の図には示されているFSR127は、チャンバ12の下に位置する。
【0024】
ミッドソール100はまた、上部前足部プレート122の後方に延在する後部プレート130を含む。後部プレート130は、ミッドソール100の踵領域まで延在する。ミッドソール100が、靴への組み込み後に使用されると、以下にさらに詳述するとおり、ER流体がチャンバ12と13との間で伝達されるにつれて、上部前足部プレート122が後部プレート130に対して回転する。磁気回転センサ131は、上部前足部プレート122に固定された前方部分131aと、後部プレート130に固定された後方部分131bと、を含む。センサ131からの信号出力は、プレート122と130との間の相対回転角度の大きさを示す。以下にさらに詳述するとおり、センサ131からの信号は、コントローラ110によって受信および使用され、ER流体ハウジング10内の電極22と23とにわたって設定される電圧を判定する。ワイヤハーネス111は、センサ131の後方部分131b、FSR126および127、ならびに本体11から出ているリード26および27に接続されたワイヤを含む。ワイヤハーネス111は、キャビティ113から、シェル102の開口135を通ってミッドソール100の外部まで延在する。
【0025】
図3Fからわかるとおり、支持キャップ138および139が、チャンバ12および13の中央領域上にそれぞれ配置され得る。支持キャップ138および139を形成し得る材料の例は、限定されるものではないが、ポリカーボネート(PC)、PCとアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)とのブレンド、またはアセタールホモポリマーを含む。上部前足部プレート122の下側は、支持キャップ138および139の上面に当接する丸い突出部140および141を含み得る。
【0026】
シェル102を形成し得る材料の例は、限定されるものではないが、可撓性の熱可塑性ポリウレタンまたは他の可撓性および弾性ポリマーを含む。底部およびリムを備えるシェル102の主要部分は、単一片として成形され得、シェル102のカバーは、別片として成形され得る。すべての構成要素がシェル102の主要部分内に配置された後、シェル102のカバーが、RF溶接、化学接着剤、または他の工程を用いて主要部分のアッパー縁に接着接合され得る。
【0027】
図4A〜
図4Fは、ミッドソール100の組立体を示す。
図4Aは、シェル102の主要部分145の上面図である。シェル102底部の内面116およびシェル102リムの内面117が、主要部分145内に前足部ポケット146および中足部/踵ポケット147を画定する。内面116および117はまた、組み立てたミッドソール100内のキャビティ113の底部および側部境界を画定する。
【0028】
図4Bでは、底部前足部プレート121が、ポケット146内に配置されている。プレート121の底部側は、ポケット146内の内面116の一部分に接着接合され得る。FSR126および127ならびに支点要素123は、プレート121の上部側上の適所に接着されている。FSR126および127からのワイヤは、開口135を通って配線されている。
【0029】
図4Cでは、ER流体ハウジング10が、上部前足部プレート121ならびにFSR126および127の上の適所に置かれている。プレート121の上部上の丸い突出部149は、対応する丸い開口31内に嵌合している。本体11の底部の部分は、プレート121の上部の部分に接着接合され得る。リード26および27に取り付けられたワイヤは、開口135を通って配線されている。支持キャップ138および支持キャップ139は、チャンバ12および13の中央領域上に置かれている。支持キャップ138および139は、接着剤を用いてチャンバ12および13に少なくとも部分的に固定され得る。
【0030】
図4Dでは、後部プレート130が、ポケット147内の適所に置かれている。後部プレート130の底部の少なくとも一部分は、ポケット147内に位置する内面116の一部分に接着接合され得る。磁気センサ構成要素131bからのワイヤは、開口135を通って配線されている。
【0031】
図4Eでは、上部前足部プレート122が、ER流体ハウジング10ならびに支持キャップ138および139の上の適所に置かれている。
【0032】
図4Fでは、カバー153が、上部前足部プレート122および後部プレート130の配置されている。プレート122の上部の少なくとも部分および/またはプレート130の上部の少なくとも部分は、カバー153の底部に接着接合され得る。カバー153の周辺部は、シェル102リムの上部またはその近傍で主要部分145のアッパーの縁に接合されている。組み立て中において開口135を通過したワイヤは、コントローラ110に接続され得、束ねられてハーネス111になり得る。
【0033】
図5A〜
図5Cは、ミッドソール100を靴に組み込み得る方法の一例を示す。
図5Aでは、アッパー161が、非図示の最後部上に配置されている。アッパー161は、踵領域に電池組立体163を備え得る。電池組立体163は、電池と、関連電力制御電子機器と、を含み得る。その動作については後述する。アッパー161の底部は開口している。ミッドソール100は、アッパー161の開口底部を貫通し、上面103が最後部の底面に接触するように配置されている。ミッドソール100を配置した後、アッパー161の底縁162がミッドソール100を越えて延在する。
【0034】
図5Bでは、縁162が底面105の上で内方に引っ張られ、縁162に隣接したアッパー161の部分が底面105の部分に接合されている。
【0035】
図5Cでは、追加ソール構造164が、追加ソール構造164の上部を、底面105の露出部分に、かつ/または、底面105に以前に接合されたアッパー161の部分に接合することによって取り付けられている。追加ソール構造164は、アウトソール、追加ミッドソール、クリートプレート、および/または他の従来のソール構造を備え得る。追加ソール構造164内のポケットは、コントローラ110を受容する。追加ソール構造164を取り付ける前に、電池パック163からのワイヤがコントローラ110に取り付けられ得る。
【0036】
図5A〜
図5Cは、ミッドソール100を履物品に組み込み得る方式の一例を示すに過ぎない。ただの一例として、アッパーは、別個のソール構造に接合されているラスティング要素を含み得、ミッドソール100は、そのラスティング要素の上方にあるアッパー内に配置され得る。
【0037】
ミッドソール100などのミッドソールは、前足部領域の剪断力に対する追加の抵抗力を提供するようにさらに改造され得る。例えば、支点要素123の上縁は、拡大されて丸みが加えられ得、上部前足部プレート122の底部に形成された対応溝内に載置され得る。任意選択的に、追加支点要素は、中央後方領域の底部前足部プレート121の上部から、本体11の後方中央領域に形成された追加のアパチャーを通って、上部前足部プレート122の底部まで延在し得る。この追加支点要素の上縁は、同様に拡大されて丸みが加えられ得、上部前足部プレート122の底部に形成された対応溝内に載置され得る。別の例として、支点要素は、ヒンジに類似した2ピース構造を有し得、支点要素の底部分は、支点要素の上部分に回動可能に結合され、支点要素の底部分および上部分は、底部および上部前足部プレートにそれぞれ結合され、回動軸は、前後方向に整列される。
【0038】
前足部剪断力に対する追加の抵抗力を提供するように改造されたミッドソールは、上述のもの以外の技法を用いて靴に組み込まれ得る。例えば、アッパーは、かかるミッドソールの上面が取り付けられ得る別個のラスティング要素を含み得る。続いて、そのミッドソールがそのラスティング要素に取り付けられた後、そのミッドソールの側部が完成靴内で露出している状態で、追加ソール構造が取り付けられ得る。
【0039】
図6Aは、ミッドソール300の内側側面図である。ミッドソール300は、左足用靴を含む1足のうちの右足靴用ミッドソールである。この1足のうちの左足用靴ミッドソールは、ミッドソール300の鏡像であり得る。以下にさらに詳述するとおり、ミッドソール300は、ER流体ハウジング50を含む。
図6Bおよび
図6Cは、それぞれミッドソール300の上面図および底面図である。ミッドソール300は、ミッドソールシェル302を含む。シェル302は、上面303と、底面305と、上面303と底面305との間に延在する側面304と、を備える。
図6Bおよび
図6Cからわかるとおり、かつミッドソール100の側面104と同様に、側面304は、足底面における履物ソール構造の形状に対応する形状を有する。ミッドソール300が、アッパーと接地面とを有する靴に組み込まれた後に、上面303はアッパーの内部領域の方を向き、底面305は接地面の方を向く。コントローラ310は、ワイヤハーネス311によってミッドソール300内のER流体ハウジングに接続されている。コントローラ310は、ER流体ハウジングの電極に印加された電圧を制御する目的で使用され得る電子機器を含む。コントローラ310は、靴に組み込まれると、靴の追加ソール構造内に配置され得る。
【0040】
図6Dは、ミッドソール300の部分断面内側側面図である。
図6Dでは、シェル302が、
図6Bに示す平面の断面で示されているが、ミッドソール300の他の構成要素は断面で示されていない。換言すれば、
図6Dは、シェル302の内側を剥がしたミッドソール300の側面図に類似している。
図6Eは、前足部領域301を含む
図6Dの一部分の拡大図である。
図6Fは、
図6Bに示す平面の拡大断面図である。
【0041】
ER流体ハウジング50は、底面305の上方にありかつ上面303の下方にある、シェル302内に収容され、側面304によって囲まれている。シェル302は、内部キャビティ313を備える。シェル302の基部は、底面305を形成する外面と、キャビティ313の底部境界を形成する内面316と、を有する。シェル302のリムは、側面304を形成する外面と、キャビティ313の側壁を形成する内面317と、を有する。シェル302のカバーは、上面303を形成する外面と、キャビティ313の上部境界を形成する内面318と、を有する。
【0042】
また、底部前足部プレート321および上部前足部プレート322は、キャビティ313内に位置する。比較的硬いポリマーまたはポリマー複合体から形成され得るプレート321は、ミッドソール300の前足部領域を硬化させ、チャンバ52および53を含むER流体ハウジング50の部分に安定した基部を提供するのに役立つ。プレート322は、プレート321と概ね整列しており、比較的硬いポリマーまたはポリマー複合体からも形成され得る。上部前足部プレート322は、チャンバ52および53によって支持される安定しかつ比較的変形しにくい領域を提供する。6つのFSR326a、326b、326c、327a、327b、および327cが、本体51とプレート321の上面との間に位置決めされている。FSR326a〜326cは、チャンバ53a〜53cの下にそれぞれ位置決めされている。FSR327a〜327cは、チャンバ52a〜52cの下にそれぞれ位置決めされている。
【0043】
チャンバ53a〜53cは、支持キャップ339a〜339cによってそれぞれ覆われている。チャンバ52a〜52cは、支持キャップ338a〜338cによってそれぞれ覆われている。支持キャップ339の各々は、対応するチャンバ53の上部に載置されている。支持キャップ338の各々は、その対応するチャンバ52の外側壁54の一部分と、その対応するチャンバ52の上部の凹部内へと下方に延在する部分と、の上に延在するスカートを含む。支持キャップ338および339は、支持キャップ138および139に関して上述したものと同様の材料から形成され得る。支持キャップ338および339は、上部前足部プレート322の下側に当接する丸い上面を有し得る。
【0044】
ミッドソール300はまた、上部前足部プレート322の後方に延在する後部プレート330を含む。後部プレート330は、ミッドソール300の踵領域まで延在する。
図6Dに示すとおり、追加スペーサ要素391は、プレート330の下側と本体51の上面との間の空間を充填し得る。スペーサ要素391を形成し得る材料の例は、圧縮EVA(エチレン酢酸ビニル)発泡体を含むが、これに限定されない。追加および/または代替として、プレート330の下側は下方に延在して、プレート330の底部と本体51の上部との間の空間をなくす。
【0045】
ミッドソール300が、靴への組み込み後に使用されると、以下にさらに詳述するとおり、ER流体がチャンバ52と53との間で伝達されるにつれて、上部前足部プレート322が後部プレート330に対して回転する。磁気回転センサ331は、上部前足部プレート322に固定された前方部分331aと、後部プレート330に固定された後方部分331bと、を含む。センサ331からの信号出力は、プレート322と330との間の相対回転角度の大きさを示す。以下にさらに詳述するとおり、センサ331からの信号は、コントローラ310によって受信および使用され、ER流体ハウジング50内の電極62と63とにわたって設定される電圧を判定する。ワイヤハーネス311は、センサ331の後方部分331bと、FSR326および327と、本体51から出ており、電極62および63への電気接続を提供する非図示のリードと、に接続されたワイヤを含む。ワイヤハーネス311は、キャビティ313から、シェル302の開口335(
図7Aおよび
図7Bに図示)を通って、ミッドソール300の外部まで延在する。
【0046】
シェル302は、シェル102について上述したような材料から形成され得る。底部およびリムを備えるシェル302の主要部分は、単一片として成形され得、シェル302のカバーは、別片として成形され得る。すべての構成要素がシェル302の主要部分内に配置された後、シェル302のカバーが、RF溶接、化学接着剤、または他の工程を用いて主要部分のアッパー縁に接着接合され得る。
【0047】
図7A〜
図7Fは、ミッドソール300の組立体を示す。
図7Aは、シェル302の主要部分345の上面図である。シェル302底部の内面316およびシェル302リムの内面317が、主要部分345内に前足部ポケット346および中足部/踵ポケット347を画定する。内面316および317はまた、組み立てたミッドソール300内のキャビティ313の底部および側部境界を画定する。
【0048】
図7Bでは、底部前足部プレート321が、ポケット346内に配置されている。プレート321の底部側は、ポケット346内の内面316の一部分に接着接合され得る。FSR326および327は、プレート321の上部側上の適所に接着されている。FSR326および327からのワイヤは、開口335を通って配線されている。
【0049】
図7Cでは、ER流体ハウジング500が、上部前足部プレート321ならびにFSR326および327の上の適所に置かれている。本体51の底部の部分は、プレート321の上部の部分に接着接合され得る。踵領域で本体51の下側上の電極リード(非図示)に取り付けられたワイヤは、開口335を通って配線されている。支持キャップ338および支持キャップ339は、チャンバ52および53上に置かれている。支持キャップ338および339は、接着剤を用いてチャンバ52および53に少なくとも部分的に固定され得る。
【0050】
図7Dでは、上部前足部プレート322が、ER流体ハウジング50の前足部分の上の適所に置かれれている。
【0051】
図7Eでは、後部プレート330が、ポケット347内の適所に置かれている。プレート330を適所に置いている間に、磁気センサ構成要素331bからのワイヤは、本体51の踵領域の下に、開口135を通って配線される。
【0052】
図7Fでは、カバー353が、上部前足部プレート322および後部プレート330の配置されている。プレート322の上部の少なくとも部分および/またはプレート330の上部の少なくとも部分は、カバー353の底部に接着接合され得る。カバー353の周辺部は、シェル302リムの上部またはその近傍で主要部分345のアッパーの縁に接合されている。組み立て中において開口335を通過したワイヤは、コントローラ310に接続され得、束ねられてハーネス311になり得る。
【0053】
ミッドソール300は、例えば、ミッドソール100および
図5A〜
図5に関して上述したような方法を用いて靴に組み込まれ得る。ミッドソール300は、ラスティング要素の上方にあるアッパーの内側にも配置され得る。
【0054】
図8は、ミッドソール110および電池パック163の電気システム構成要素を示すブロック図である。
図8のブロックへの/からの個々の線は、信号(例えば、データおよび/または電力)の流れ経路を表し、必ずしも個々の導体を表すことを意図していない。電池パック163は、再充電可能なリチウムイオン電池501、電池コネクタ502、およびリチウムイオン電池保護IC(集積回路)503を含む。保護IC503は、異常な充電および放電状態を検出し、電池501の充電を制御し、その他の従来の電池保護回路動作を行う。電池パック163は、コントローラ110と通信するための、かつ電池501を充電するためのUSB(ユニバーサルシリアルバス)ポート508も含む。電力経路制御ユニット509は、電力がUSBポート508または電池501からコントローラ110に供給されるかどうかを制御する。オン/オフ(O/O)ボタン506は、コントローラ110および電池パック163をアクティブ化または非アクティブ化する。LED(発光ダイオード)507は、電気システムがオンかオフかを示す。電池パック163の上記の個々の要素は、本明細書中に記載の新規かつ進歩的な方式で組み合わされかつ用いられる、従来の市販の構成要素であってもよい。
【0055】
コントローラ110は、PCB530上に収容された構成要素と、DC−高電圧DCコンバータ520と、を含む。コンバータ520は、低電圧のDC電気信号をハウジング10内の電極に印加される高電圧(例えば、5000V)のDC信号に変換する。PCB530の構成要素およびコンバータ520は、単一のPCB上に含まれ得、または、なんらかの他の方法でパッケージ化され得る。コントローラ110は、プロセッサ510、メモリ511、慣性計測ユニット(IMU)513、および低エネルギー無線通信モジュール512(例えば、BLUETOOTH(登録商標)通信モジュール)を含む。メモリ511は、プロセッサ510によって実行され得る命令を記憶し、かつ他のデータを記憶し得る。プロセッサ510は、メモリ511によって保存されかつ/またはプロセッサ510に記憶された命令を実行し、その実行により、コントローラ110が本明細書中で記載されたような動作が行われる。本明細書中で用いるような命令は、ハードコードされた命令および/またはプログラム可能な命令を含み得る。
【0056】
IMU513は、ジャイロスコープおよび加速度計および/または磁力計を含み得る。IMU513によって出力されたデータは、ミッドソール100が組み込まれた靴、つまりその靴を履いている足の向きおよびモーションの変化を検出するために、プロセッサ510によって使用され得る。プロセッサ510は、かかる情報を用いて、靴のソール構造の一部分の傾斜が変化すべき時期を判定し得る。無線通信モジュール512は、ASIC(特定用途向け集積回路)を含み得、プログラミングおよび他の命令をプロセッサ510に通信するのみならず、メモリ511またはプロセッサ510によって記憶され得るデータをダウンロードするために、用いられ得る。
【0057】
コントローラ110は、低ドロップアウト電圧レギュレータ(LDO)514およびブーストレギュレータ/コンバータ515を含む。LDO514は、電池パック163から電力を受信し、定電圧をプロセッサ510、メモリ511、無線通信モジュール512、およびIMU513に出力する。ブーストレギュレータ/コンバータ515は、電池パック163からの電圧を、コンバータ520に許容入力電圧を提供するレベル(例えば5ボルト)までブーストする。コンバータ520は、次いで、その電圧をはるかに高いレベル(例えば5000ボルト)まで増加させ、その高電圧をER流体ハウジング10内の電極にわたって供給する。ブーストレギュレータ/コンバータ515およびコンバータ520は、プロセッサ510からの信号によって有効化/無効化される。コントローラ110は、FSR126および127、ならびに磁気回転センサ(MRS)131の構成要素131bからの信号をさらに受信する。FSR126および127からの信号に基づいて、プロセッサ510は、着用者の足からチャンバ14および15にかかる力が、チャンバ15内の圧力よりも高い圧力をチャンバ14内で生成しているか、またはその反対かを判定する。MRS131からの信号に基づいて、プロセッサ510は、後部プレート130に対する上部前足部プレート122の回転が所望の値かどうかを判定する。
【0058】
コントローラ110の上記の個々の要素は、本明細書中で記載の新規かつ進歩的な方式で組み合わされかつ用いられる、従来の市販されている構成要素であり得る。さらに、コントローラ110は、メモリ511および/またはプロセッサ510に記憶された命令によって後部プレート130に対する上部前足部プレート122の回転角度を調整するようにチャンバ15および14の間の流体の伝達を制御することに関して本明細書に記載の新規かつ進歩的な動作を行うように物理的に構成されている。
【0059】
ミッドソール300のコントローラ310は、コントローラ110と実質的に同様であり得、コントローラ110について上述したのと同じ方式で電池パック163などの電池パックと組み合わせられ得る。コントローラ310では、コンバータ520と同様のDC−HV DCコンバータからのリードが、ハウジング50の電極リードに接続されている。コントローラ510のプロセッサは、FSR326および327、ならびにMRS331の構成要素331bに接続されている。コントローラ310は、メモリ511と同様のメモリおよび/またはプロセッサ510と同様のプロセッサに記憶された命令により、後部プレート330に対する上部前足部プレート322の回転角度を調整するようにチャンバ52と53との間の流体の伝達を制御することに関して、本明細書に記載の新規かつ進歩的な動作を行うように物理的に構成されている。
【0060】
相対回転角度は、様々な方式で定義され得る。一例として、上部前足部プレートと後部プレートとの間の相対回転角度αは、足底面において、上部前足部プレートと後部プレートとの間の界面付近に位置する2本線間の角度と定義され得る。それらの線を
図9Aおよび
図9Cに示す。1本の線は、上部前足部プレート122の内側縁から、上部前足部プレート122の最後方縁における上部前足部プレート122の外側縁まで延在する。別の線は、上部後部プレート130の内側縁から、後部プレート130の最前方縁における後部プレート130の外側縁まで延在する。
図9Aでは、相対回転角度αが外側上で測定されると0度の値を有する。
図9Bは、α=0°の場合の
図3Fのミッドソール100の断面図であって、
図3Bに示す平面を通る断面図を示す。
図9Cでは、相対回転角度αが7度の値を有する。
図9Dは、α=7°の場合の
図3Fのミッドソール100の断面図であって、
図3Bに示す平面を通る断面図を示す。相対回転角度αは、プレート122と130との間の界面における上部前足部プレート122の上部外側縁が、プレート122と130との間の界面における後部プレート130の上部外側縁より上である構成に正の値が対応するようにさらに定義され得る。負の値は、
図9Eに示すような構成、つまり、(プレート122と130との間の界面における)上部前足部プレート122の上部外側縁が、(プレート122と130との間の界面における)後部プレート130の上部外側縁の下にある構成に対応し得る。
【0061】
図10Aは、ミッドソール300に対する相対回転角度αの値が0度である様子を示す。
図10Bは、α=0°の場合の
図6Fのミッドソール300の断面図であって、
図6Fに示す平面を通る断面図を示す。
図10Cは、ミッドソール300に対する相対回転角度αの値が7度である様子を示す。
図10Dは、α=7°の場合の
図6Fのミッドソール300の断面図であって、
図6Bに示す平面を通る断面図を示す。
【0062】
図11A〜
図11Cは、ミッドソール100を組み込んだ靴の着用者が走っているときにコントローラ110によって行われ得る動作の一例を示すフローチャートである。ステップ701で、コントローラ110は、相対回転角度αに対して新しい目標値(α
T)があるかどうかを判定する。コントローラ110は、前足部の傾斜を増加させることが望ましい位置(例えば、トラックのカーブ)に靴があると判定したとき、または前足部の傾斜を減少させることが望ましい位置(例えば、トラックの直線部分)に靴があると判定したときに、新しい目標値α
Tを計算または受信し得る。コントローラ110は、(例えば、IMU513からのデータを用いて)靴着用者によって実施された歩数に基づいて、GPSデータに基づいて、(例えば、スマートフォンまたは他のデバイス内の送信機を用いて無線通信モジュール512と通信することによって)靴着用者または第3者によって開始された無線信号の受信に基づいて、または他の何らかの方式で、靴の位置を判定し得る。新しいα
Tがない場合、コントローラ110はステップ701を繰り返す。
【0063】
新しいα
Tがある場合、コントローラ110はステップ704に進み、相対回転角度αの電流値(α
C)とα
Tとの差の大きさが誤差値Eより小さいかどうかを判定する。誤差値Eは、可変値(例えば、α
Tのパーセンテージ)、一定値(例えば、0.5°)、または別の値であり得る。コントローラ110は、磁気回転センサ131から受信した1つ以上の信号からα
Cを判定する。
【0064】
α
Tとα
Cとの差の大きさがEより小さい場合、コントローラ110はステップ701に戻る。そうでない場合、コントローラ110はステップ706に進む。ステップ706で、コントローラ110は、α
Tがα
Cより大きいか、またはα
Tがα
Cより小さいかどうかを判定する。α
Tがα
Cより大きい場合、コントローラ110はステップ709に進む(
図11B)。ステップ709で、コントローラ110は、2つの条件が満たされているかどうかを判定する。まず、コントローラ110は、ΔP
M−Lの値が0より大きいかどうかを判定する。ΔP
M−Lは、内側チャンバ13内の圧力と外側チャンバ12内の圧力との差を表す。内側チャンバ13内の圧力が外側チャンバ12内の圧力よりも高い場合には、電極22と23とにわたる電圧が流れ可能レベル(V
FE)に設定されていれば、ER流体がチャンバ13からチャンバ12に流れる。コントローラ110は、FSR127および126からの1つ以上の信号に基づいて、着用者の足の下向きの力によって生成されるチャンバ12および13内の圧力を判定する。
【0065】
ステップ709でコントローラ110によって判定される第2の条件は、α
Tとα
Cとの差の大きさがE以上であるかどうかである。ステップ709における両方の条件が満たされる場合、すなわち、ΔP
M−L>0であり、かつ|α
T−α
C|≧Eである場合、コントローラ110はステップ711に進み、電極22と23とにわたる電圧VをV
FEに設定する。その後、コントローラ110はステップ709に戻る。
【0066】
ステップ709でいずれの条件も満たされない場合、すなわち、ΔP
M−L≦0または|α
T−α
C|<Eの場合、コントローラ110はステップ714に進む。ステップ714で、コントローラ714は、電極22と23とにわたる電圧を流れ阻止レベルV
FIに設定する。その後、コントローラ110はステップ716に進み、|α
T−α
C|<E、つまり角度αが所望の値に達したかどうかを判定する。|α
T−α
C|<Eの場合、コントローラ110はステップ701に戻る(
図11A)。そうでない場合、コントローラ110はステップ709に戻る。
【0067】
ステップ706(
図11A)で、α
Tがα
Cより小さいとコントローラ110が判定した場合、コントローラ110はステップ719に進む(
図11C)。ステップ719で、コントローラ110は、2つの条件が満たされているかどうかを判定する。まず、コントローラ110は、ΔP
L−Mの値が0より大きいかどうかを判定する。ΔP
L−Mは、外側チャンバ12内の圧力と内側チャンバ13内の圧力との差を表す。外側チャンバ12内の圧力が内側チャンバ13内の圧力よりも高い場合には、電極22と23とにわたる電圧がV
FEに設定されていれば、ER流体がチャンバ12からチャンバ13に流れる。
【0068】
ステップ719でコントローラ110によって判定される第2の条件は、α
Tとα
Cとの差の大きさがE以上であるかどうかである。ステップ719における両方の条件が満たされる場合、すなわち、ΔP
L−M>0であり、かつ|α
T−α
C|≧Eである場合、コントローラ110はステップ722に進み、電極22と23とにわたる電圧VをV
FEに設定する。その後、コントローラ110はステップ719に戻る。
【0069】
ステップ719でいずれの条件も満たされない場合、すなわち、ΔP
L−M≦0または|α
T−α
C|<Eの場合、コントローラ110はステップ724に進む。ステップ724で、コントローラ714は、電極22と23とにわたる電圧をV
FIに設定する。その後、コントローラ110はステップ726に進み、|α
T−α
C|<Eであるかどうかを判定する。|α
T−α
C|<Eの場合、コントローラ110はステップ701に戻る(
図11A)。そうでない場合、コントローラ110はステップ719に戻る。
【0070】
コントローラ310は、ミッドソール300を組み込んだ靴の着用者による走りに関して、
図11A〜11Cの動作と同様の動作を行い得る。かかる靴で、コントローラ310は、磁気回転センサ331からの1つ以上の信号に基づいてα
Cの値を判定し、FSR338および339からの1つ以上の信号に基づいてΔP
M−LおよびΔP
L−Mの値を判定する。内側FSR326a、326b、および326cからの値の和は、内側圧力P
Mの値として使用され得、外側FSR327a、327b、および327cからの値の和は、外側圧力P
Lの値として使用され得る。
【0071】
磁気回転センサ131または磁気回転センサ331として使用され得るセンサの一例は、部品番号AS5055Aでオーストリア・マイクロ・システムズAGより提供されている低電力磁気回転位置センサである。
【0072】
組み込まれたER流体ハウジングを有する一部のミッドソールは、EVA発泡体または他の種類の発泡体から形成された1つ以上の緩衝要素を含み得る。ミッドソール300と関連付けて一例を先に記載しており、そこでは要素391が発泡体から形成され得る。別の例を
図12A〜
図12Cに示す。
図12Aは、ミッドソール900の内側側面図である。
図12Bは、ミッドソール900の上面図である。
図12Cは、
図3Dおよび
図6Dと同様、シェル902の内側が取り外されたミッドソール900の部分断面内側側面図である。ミッドソール100の要素と同じであるミッドソール900の要素は、接続ミッドソール100で使用される参照番号と同じ参照番号を有する。
図12Cでは、EVA発泡体要素995も断面で示されている。発泡体要素995は、後部プレート330の下に載置され得、コントローラ110を受容するポケット994を含み得る。
【0073】
組み込まれたER流体ハウジングを有するミッドソールは、下部前足部プレートを欠き得る。かかるミッドソールは、硬化した前足部領域を有し、かつ/または、ミッドソールの底面と追加ソール構造の前足部領域との間に配置された個別プレートを含み得る追加ソール構造に組み込まれるように構成され得る。FSRは、組み立て中においてミッドソールキャビティの底面またはおよびER流体ハウジングの底面に粘着し得る。
図13は、下部前足部プレートを欠いているが、それ以外はミッドソール100と同じであるソール構造100’の部分断面内側側面図である。
図14は、下部前足部プレートを欠いているが、それ以外はミッドソール300と同じであるソール構造300’の部分断面内側側面図である。
【0074】
組み込まれたER流体ハウジングを有するミッドソールは、後部プレートを欠くこと、および/または設置時に靴の全長に延在しないことがある。一部のかかるミッドソールでは、磁気センサ構成要素(構成要素131aおよび331aと同様)が、ミッドソールの後縁で露出し得、ミッドソールが靴内に設置されたときに、靴の追加ソール構造構成要素に取り付けられた別の磁気センサ構成要素(構成要素131bおよび331bと同様)と接続し得る。
【0075】
組み込まれたER流体ハウジングを有するミッドソールは、磁気回転センサを欠き得る。組み込まれたER流体ハウジングを有するミッドソールは、磁気回転センサ以外の種類の回転センサを有し得る。
【0076】
上部前足部プレートは、組み込まれたER流体ハウジングを有するミッドソールに埋め込まれ得、上部前足部プレートの上面の一部または全部が露出し、ミッドソール上面の一部分を形成する。底部前足部プレートは、組み込まれたER流体ハウジングを有するミッドソールに埋め込まれ得、底部前足部プレートの底面の一部または全部が露出し、ミッドソール底面の一部分を形成する。後部プレートは、組み込まれたER流体ハウジングを有するミッドソールに埋め込まれ得、後部プレートの上面の一部または全部が露出し、ミッドソール上面の一部分を形成する。
【0077】
誤解を避けるために、本出願は、以下の番号付き段落(「Para.」)に記載された主題を含む。
1. 上面と、底面と、上面と底面との間に延在する側面と、を備えるミッドソールであって、電気粘性(ER)流体ハウジングと前足部プレートとをさらに備えるミッドソールを備え、ER流体ハウジングが、ミッドソールの少なくとも前足部領域において上面と底面との間に位置し、ER流体ハウジングが、本体と複数のチャンバとを備え、チャンバの各々が、電気粘性流体を含み、チャンバ内の電気粘性流体の体積の変化に応じて本体から外方への伸長度を変えるように構成されており、本体が、チャンバ間の流れを許可する伝達チャネルを備え、伝達チャネルが、伝達チャネルの電界生成部分の内部に沿って延在する、対向する第1および第2の電極を備え、前足部プレートが、チャンバの上に位置決めされている、物品。
2. ミッドソールがシェルを備え、シェルが、基部と、基部から上方に延在するリムと、基部の内面によって、かつリムの内面の少なくとも一部分によって、少なくとも部分的に画定される前足部領域キャビティと、を備え、リムが、履物品の少なくとも前足部セクションに対応する形状を有し、基部の底面が、1つ以上の追加ソール構造構成要素に取り付けられているか、または取り付けられるように構成されており、ER流体ハウジングが、前足部領域キャビティ内に位置する、段落1に記載の物品。
3. ミッドソールが後部プレートを備え、後部プレートが、前足部プレートの後方に位置決めされている、段落1または段落2に記載の物品。
4. 後部プレートが、ミッドソールの中足部領域および踵領域を貫通して延在する、段落3に記載の物品。
5. 後部プレートに対する前足部プレートの回転角度を測定するように構成された回転センサをさらに備える、段落3または段落4に記載の物品。
6. コントローラが、プロセッサとメモリとを含み、メモリが、前記メモリに記憶された命令を備え、記憶された命令が、回転センサから受信した1つ以上の信号に少なくとも部分的に基づいて電極にわたる電圧を設定することを含むステップをプロセッサに行わせるようにプロセッサによって実行可能である、段落5に記載の物品。
7. 記憶された命令が、回転センサから受信した1つ以上の信号と、チャンバ内の圧力に対応する1つ以上の信号と、に少なくとも部分的に基づいて電極にわたる電圧を設定することを含むステップをプロセッサに行わせるようにプロセッサによって実行可能である、段落6に記載の物品。
8. コントローラが、プロセッサとメモリとを含み、メモリが、前記メモリに記憶された命令を備え、記憶された命令が、(a)前足部プレートと後部プレートとの間の相対角度が目標値を有するべきであるという合図を受信することと(b)回転センサからの1つ以上の信号に基づいて、相対角度が誤差値より大きく目標値と異なる値を有すると判定することと、(c)相対角度が誤差値より大きく目標値と異なる値を有すると判定したことを受けて、第1電極と第2の電極とにわたる電圧を、伝達チャネルを通る電気粘性流体の流れを許可する流れ可能レベルに設定することと、(d)(c)に続いて、回転センサからの1つ以上の追加信号に少なくとも部分的に基づいて、相対角度が誤差値より小さく目標値と異なる値を有すると判定することと、(e)相対角度が誤差値より小さく目標値と異なる値を有すると判定したことを受けて、第1電極と第2の電極とにわたる電圧を、伝達チャネルを通る電気粘性流体の流れを遮断する流れ阻止レベルに設定することと、を含むステップをプロセッサに行わせるようにプロセッサによって実行可能である、段落5に記載の物品。
9. 第2の前足部プレートをさらに備え、第2の前足部プレートが、本体の下に位置決めされている、段落1〜段落8のいずれかに記載の物品。
10. ER流体ハウジングが、ミッドソールの前足部領域に閉じ込められている、段落1〜段落9のいずれかに記載の物品。
11. ミッドソールが後部プレートを備え、後部プレートが、ミッドソールの中足部領域および踵領域を貫通して延在する、段落10に記載の物品。
12. ミッドソールが、ミッドソールの前足部領域、中足部領域および踵領域を貫通して延在するシェルを備え、シェルが、基部と、基部から上方に延在するリムと、基部の内面によって、かつリムの内面の少なくとも一部分によって、少なくとも部分的に画定される前足部領域キャビティと、を備え、リムが、履物品の少なくとも前足部セクションに対応する形状を有し、基部の底面が、ミッドソールの底面を形成し、1つ以上の追加ソール構造構成要素に取り付けられているか、または取り付けられるように構成されており、ER流体ハウジングが、前足部領域キャビティ内に位置する、段落11に記載の物品。
13. シェルが、前足部プレートおよび後部プレートの上方に位置するカバーを備え、シェルが、リムに取り付けられている、段落12に記載の物品。
14. 本体が、ミッドソールの前足部領域を越えて延在する、段落1に記載の物品。
15. ミッドソールが後部プレートを備え、後部プレートが、ミッドソールの中足部領域および踵領域を貫通して延在する、段落14に記載の物品。
16. ミッドソールが、ミッドソールの前足部領域、中足部領域および踵領域を貫通して延在するシェルを備え、シェルが、基部と、基部から上方に延在するリムと、基部の内面によって、かつリムの内面の少なくとも一部分によって、少なくとも部分的に画定されるキャビティと、を備え、リムが、履物品の少なくともソール構造に対応する形状を有し、基部の底面が、ミッドソールの底面を形成し、1つ以上の追加ソール構造構成要素に取り付けられているか、または取り付けられるように構成されており、ER流体ハウジングが、キャビティ内に位置する、段落15に記載の物品。
17. ミッドソールが履物品に組み込まれていない、段落1〜段落16のいずれかに記載の物品。
18. ミッドソールが、アッパーおよび追加ソール構造を有する履物品に組み込まれている、段落1〜段落16のいずれかに記載の物品。
19. 段落1〜段落18のいずれか1つに記載のミッドソールを受容することと、ミッドソールをアッパーに取り付けることと、追加ソール構造をミッドソールに取り付けることと、を含む方法。
20. 段落1〜段落18のいずれか1つに記載のミッドソールを受容することと、ミッドソールを履物品に組み込むことと、を含む方法。
21. 段落1〜段落18のいずれか1つに記載のミッドソールを受容することと、ミッドソールをアッパーおよび追加ソール構造と組み合わせて履物品にすることと、を含む方法。
【0078】
先の内容は、例示および説明の目的で提示されている。先の内容は、網羅的なものであると意図されるものではなく、または本発明の実施形態を、開示された正確な形態に制限することを意図されるものでもなく、改変および変更は、上記の教示を鑑みて可能であり、または様々な実施形態の実施から取得可能であり得る。本明細書中で論じられた例は、様々な実施形態の原理および性質ならびにそれらの実際の適用を説明して、当業者が本発明を様々な実施形態で、また、考慮される特定の用途に適するような様々な改変を用いて利用することを可能にするために、選択および記載された。本明細書中で記載された例の特徴のあらゆる組み合わせ、部分的組み合わせおよび置換は、本発明の範囲内にある。