(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
陰極、陽極、及び、前記陰極と前記陽極との間に設けられた発光層を含む量子ドット白色光ダイオードであって、前記発光層は、積層して設けられた青色光有機蛍光層、スペーサー層及び量子ドット発光層を含み、前記青色光有機蛍光層は、陰極側に近接するように設けられ、前記量子ドット発光層は、陽極側に近接するように設けられ、前記スペーサー層は、前記青色光有機蛍光層と前記量子ドット発光層との間に設けられ、前記量子ドット発光層の材料に量子ドットが含まれ、前記青色光有機蛍光層の材料に青色光有機蛍光材料が含まれ、前記スペーサー層の材料にスペーサー層材料が含まれ、前記スペーサー層材料の三重項励起子エネルギーは、前記青色光有機蛍光材料の三重項励起子エネルギーよりも大きく、且つ前記量子ドットの励起子エネルギーよりも大きい
ことを特徴とする量子ドット白色光ダイオード。
前記青色光有機蛍光層の材料には、第一主体材料、及び、前記第一主体材料にドープされた前記青色光有機蛍光材料が含まれ、前記第一主体材料の一重項励起子エネルギーは、前記青色光有機蛍光材料の一重項励起子エネルギーよりも大きく、且つ、前記第一主体材料の三重項励起子エネルギーは、前記青色光有機蛍光材料の三重項励起子エネルギーよりも大きい
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の量子ドット白色光ダイオード。
前記量子ドット発光層の材料には、前記量子ドット及び第二主体材料が含まれ、前記第二主体材料の一重項励起子エネルギー及び三重項励起子エネルギーは、共に前記量子ドットの励起子エネルギーよりも大きい
ことを特徴とする請求項7に記載の量子ドット白色光ダイオード。
前記第一主体材料は、第二バイポーラ性材料、第二n型半導体材料、及び、第二n型半導体材料と第二p型半導体材料とからなる混合材料のうちの1つから選択され、前記第二主体材料は、第三バイポーラ性材料、第三p型半導体材料、及び、第三n型半導体材料と第三p型半導体材料とからなる混合材料のうちの1つから選択される
ことを特徴とする請求項9に記載の量子ドット白色光ダイオード。
青色光有機蛍光材料の三重項励起子エネルギーが2.38eVよりも大きい場合、前記量子ドットは、黄色光量子ドットであり、或いは、前記量子ドットは、赤色光量子ドットと緑色光量子ドットとからなる混合量子ドットであり、或いは、前記量子ドットは、赤色光量子ドット、黄色光量子ドット及び緑色光量子ドットを含む混合量子ドットであり、前記黄色光量子ドットの発光スペクトルの半波幅は、70nmよりも大きい
ことを特徴とする請求項1に記載の量子ドット白色光ダイオード。
青色光有機蛍光材料の三重項励起子が2.25eV〜2.38eVである場合、前記量子ドットは、黄色光量子ドットであり、或いは、前記量子ドットは、赤色光量子ドットと黄色光量子ドットとからなる混合量子ドットであり、前記黄色光量子ドットの発光スペクトルの半波幅は、70nmよりも大きい
ことを特徴とする請求項1に記載の量子ドット白色光ダイオード。
前記量子ドット発光層は、積層して設けられた赤色光量子ドット薄膜層及び緑色光量子ドット薄膜層であり、前記赤色光量子ドット薄膜層及び緑色光量子ドット薄膜層の厚さは、共に5〜15nmであり、或いは、
前記量子ドット発光層は、赤色光量子ドットと緑色光量子ドットとが混合して形成された単一な混合膜層であり、前記単一な混合膜層の厚さは、10〜30nmであり、或いは、
前記量子ドットは、黄色光量子ドットであり、前記量子ドット発光層における厚さは、5〜50nmであり、或いは
前記量子ドットは、赤色光量子ドット、黄色光量子ドット及び緑色光量子ドットを含む混合量子ドットであり、前記量子ドット発光層における厚さは、15〜50nmであり、或いは
前記量子ドット発光層は、積層して設けられた赤色光量子ドット薄膜層、黄色光量子ドット薄膜層及び緑色光量子ドット薄膜層であり、前記赤色光量子ドット薄膜層、黄色光量子ドット薄膜層及び緑色光量子ドット薄膜層の厚さは、共に5〜15nmである
ことを特徴とする請求項13に記載の量子ドット白色光ダイオード。
陰極、陽極、及び、前記陰極と前記陽極との間に設けられた発光層を含む量子ドット白色光ダイオードであって、前記発光層は、積層して設けられた青色光有機蛍光層及び量子ドット発光層を含み、前記青色光有機蛍光層の材料には、第一p型半導体材料と第一n型半導体材料とが混合して形成された第一主体材料、及び、前記第一主体材料にドープされた青色光有機蛍光材料が含まれ、前記第一主体材料の一重項励起子エネルギーは、前記青色光有機蛍光材料の一重項励起子エネルギーよりも大きく、且つ、前記第一主体材料の三重項励起子エネルギーは、前記青色光有機蛍光材料の三重項励起子エネルギーよりも大きい
ことを特徴とする量子ドット白色光ダイオード。
前記陰極と前記発光層との間に電子輸送層が更に設けられ、前記青色光有機蛍光層は、前記電子輸送層側に近接するように設けられ、前記電子輸送層の材料と前記青色光有機蛍光層の材料とで、第一n型半導体材料のうちの少なくとも1つが同じである
ことを特徴とする請求項17〜18の何れか一項に記載の量子ドット白色光ダイオード。
前記陽極と前記発光層との間に正孔輸送層が更に設けられ、前記青色光有機蛍光層は、前記正孔輸送層側に近接するように設けられ、前記正孔輸送層の材料と前記青色光有機蛍光層の材料とで、第一p型半導体材料のうちの少なくとも1つが同じである
ことを特徴とする請求項17〜18の何れか一項に記載の量子ドット白色光ダイオード。
前記青色光有機蛍光層は、陰極側に近接するように設けられ、前記量子ドット発光層は、陽極側に近接するように設けられ、前記第二主体材料は、第一バイポーラ性材料、第二n型半導体材料、第二p型半導体材料、及び、第二n型半導体材料と第二p型半導体材料とからなる混合材料のうちの1つから選択され、或いは、
前記青色光有機蛍光層は、陰極側に近接するように設けられ、前記量子ドット発光層は、陽極側に近接するように設けられ、前記第二主体材料は、第一バイポーラ性材料、第二n型半導体材料、第二p型半導体材料、及び、第二n型半導体材料と第二p型半導体材料とからなる混合材料のうちの1つから選択される
ことを特徴とする請求項21に記載の量子ドット白色光ダイオード。
青色光有機蛍光材料の三重項励起子エネルギーが2.38eVよりも大きい場合、前記量子ドットは、黄色光量子ドットであり、或いは、前記量子ドットは、赤色光量子ドットと緑色光量子ドットとからなる混合量子ドットであり、或いは、前記量子ドットは、赤色光量子ドット、黄色光量子ドット及び緑色光量子ドットを含む混合量子ドットであり、前記黄色光量子ドットの発光スペクトルの半波幅は、70nmよりも大きい
ことを特徴とする請求項17に記載の量子ドット白色光ダイオード。
青色光有機蛍光材料の三重項励起子が2.25eV〜2.38eVである場合、前記量子ドットは、黄色光量子ドットであり、或いは、前記量子ドットは、赤色光量子ドットと黄色光量子ドットとからなる混合量子ドットであり、前記黄色光量子ドットの発光スペクトルの半波幅は、70nmよりも大きい
ことを特徴とする請求項17に記載の量子ドット白色光ダイオード。
前記量子ドット発光層は、積層して設けられた赤色光量子ドット薄膜層及び緑色光量子ドット薄膜層であり、前記赤色光量子ドット薄膜層及び緑色光量子ドット薄膜層の厚さは、共に5〜15nmであり、或いは、
前記量子ドット発光層は、赤色光量子ドットと緑色光量子ドットとが混合して形成された単一な混合膜層であり、前記単一な混合膜層の厚さは、10〜30nmであり、或いは、
前記量子ドットは、黄色光量子ドットであり、前記量子ドット発光層における厚さは、5〜50nmであり、或いは、
前記量子ドットは、赤色光量子ドット、黄色光量子ドット及び緑色光量子ドットを含む混合量子ドットであり、前記量子ドット発光層における厚さは、15〜50nmであり、或いは、
前記量子ドット発光層は、積層して設けられた赤色光量子ドット薄膜層、黄色光量子ドット薄膜層及び緑色光量子ドット薄膜層であり、前記赤色光量子ドット薄膜層、黄色光量子ドット薄膜層及び緑色光量子ドット薄膜層の厚さは、共に5〜15nmである
ことを特徴とする請求項24に記載の量子ドット白色光ダイオード。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、量子ドット白色光ダイオードを提供しており、本開示の目的、技術案及び効果をより明白にするため、以下、本発明を更に詳しく説明する。ここに記載の具体的な実施例は、本開示を解釈するためだけであり、本開示を限定するためのものではないことを理解されたい。
【0015】
量子ドット発光ダイオードは、複数の形態があり、且つ前記量子ドット発光ダイオードは、正置構造及び転置構造に分けられており、前記転置構造の量子ドット白色光ダイオードは、下から上に向かって積層して設けられた基板、陰極、電子輸送層、青色光有機蛍光層、量子ドット発光層、スペーサー層、正孔輸送層及び陽極を含んでもよい。本開示の具体的な実施形態では、主に
図1に示すような正置構造の量子ドット白色光ダイオードを実施例として紹介する。具体的には、
図1に示すように、前記正置構造の量子ドット白色光ダイオードは、下から上に向かって積層して設けられた基板10、陽極20、正孔輸送層30、青色光有機蛍光層40、スペーサー層50、量子ドット発光層60、電子輸送層70及び陰極80を含み、前記量子ドット発光層の材料に量子ドットが含まれ、前記青色光有機蛍光層の材料に青色光有機蛍光材料が含まれ、前記スペーサー層の材料にスペーサー層材料が含まれ、前記スペーサー層材料の三重項励起子エネルギーは、前記青色光有機蛍光材料の三重項励起子エネルギーよりも大きく、且つ前記量子ドットの励起子エネルギーよりも大きい。
【0016】
本実施例は、青色光有機蛍光層と量子ドット発光層との間に、電子及び正孔の両方の移動能力を持つスペーサー層を設けることで、量子ドット白色光ダイオードの発光効率を効果的に向上させることができる。上記の効果の実現メカニズムは、具体的には、以下の通りである。
【0017】
本実施例における前記青色光有機蛍光層及び量子ドット発光層が安定して発光できることを保証するために、前記スペーサー層は、陰極から注入された電子を青色光有機蛍光層に輸送するだけでなく、陽極から注入された正孔を量子ドット発光層に輸送する必要があり、従って、前記スペーサー層材料は、電子及び正孔の両方の移動能力を持つ材料である。一方で、青色光有機蛍光層の三重項励起子及び量子ドット発光層内の量子ドットの励起子がスペーサー層によって消光されることを避けるために、前記スペーサー層材料の三重項励起子エネルギーは、青色光有機蛍光層内の青色光有機蛍光材料の三重項励起子エネルギーよりも大きく、且つ量子ドット発光層内の量子ドットの励起子エネルギーよりも大きくされるべきである。本実施例におけるスペーサー層は、青色光有機蛍光層内の一重項励起子が量子ドットへ転移することを防止可能で、一重項励起子が完全に青色光の生成に使用されるようにすることができるとともに、前記スペーサー層は、青色光有機発光層内の三重項励起子を量子ドット発光層に拡散させ、量子ドットを増感して発光させることができるため、量子ドット白色光ダイオードの発光効率が効果的に向上される。
【0018】
説明しておきたいのは、正置構造の量子ドット白色光ダイオードは、下から上に向かって積層して設けられた基板、陽極、正孔輸送層、量子ドット発光層、スペーサー層、青色光有機蛍光層、電子輸送層及び陰極を含み、前記スペーサー層材料は、電子及び正孔の両方の移動能力を持つ材料であり、前記スペーサー層材料の三重項励起子エネルギーは、青色光有機蛍光層内の青色光有機蛍光材料の三重項励起子エネルギーよりも大きく、且つ量子ドット発光層内の量子ドットの励起子エネルギーよりも大きくてもよい。この構造の量子ドット白色光ダイオードは、同様に、その発光効率を向上させることができ、上記の効果の実現メカニズムは、上記の実施例と同じである。
【0019】
一部の実施形態において、一重項励起子は、一般に、Forsterエネルギー転移の方式で励起子エネルギーを伝達し、その有効作用半径が、通常3〜5nmであるのに対して、三重項励起子は、その寿命が長いため、その励起子拡散長が100nmに至る。本実施例は、スペーサー層の厚さを3〜100nmに設定することで、スペーサー層によって、青色光有機蛍光層内の一重項励起子が量子ドット発光層に転移することを防止可能で、その三重項励起子を量子ドット発光層に拡散させて量子ドット発光を増感することを容易にしており、スペーサー層の厚さを3〜100nmに設定することで、量子ドット白色光ダイオードの量子効率を効果的に向上させることができる。
【0020】
更に、前記スペーサー層の厚さは、3〜10nmであることが好ましく、この厚さ範囲内では、前記スペーサー層は、同様に、青色光有機蛍光層の材料の一重項励起子が量子ドット発光層に転移することを効果的に防止可能で、前記青色光有機蛍光層の材料の三重項励起子が量子ドット発光層に拡散して量子ドット発光を増感することにより有利であり、量子ドット白色光ダイオードの発光効率を更に向上させることができる。
【0021】
一部の実施形態において、青色光有機蛍光層と量子ドット発光層との間での電子及び正孔の動きが影響を受けないことを保証するために、前記スペーサー層材料は、電子及び正孔の両方の移動能力を持つ第一バイポーラ性材料である。一部の実施形態において、前記第一バイポーラ性材料は、CBP及びNPBのうちの少なくとも1つを含むが、これに限定されない。一部の実施形態において、前記第一バイポーラ性材料は、1つの成分を含み、例えばCBP及びNPBのうちの1つであり、一部の実施形態において、前記第一バイポーラ性材料は、2つの成分を含み、例えばCBP及びNPBである。一部の具体的な実施形態において、前記第一バイポーラ性材料はCBPであり、CBPの正孔移動度と電子移動度とが近く、それぞれ10
−3cm
2V
−1S
−1、10
−4cm
2V
−1S
−1であり、正孔と電子との移動度が近いことにより、電荷の輸送及びバランスを保証し、発光層における電荷の蓄積を低減させることができ、量子ドット発光ダイオードの発光効率を向上させてスペクトルの安定性を維持することに有利であり、さらに重要なことに、前記CBPの三重項励起子エネルギーT
1は、2.56eVであり、赤、黄、緑の量子ドットの励起子エネルギー及び一般的な青色光有機蛍光材料の三重項励起子エネルギーよりも高い。
【0022】
一部の実施形態において、青色光有機蛍光層と量子ドット発光層との間での電子及び正孔の動きが影響を受けないことを保証するために、前記スペーサー層材料は、第一n型半導体材料と第一p型半導体材料とからなる混合材料である。一部の実施形態において、前記第一n型半導体材料は、TPBi(T
1=2.75eV)、Bepp2(T
1=2.60eV)、BTPS(T
1=2.79eV)及びTmPyPb(T
1=2.78eV)のうちの少なくとも1つを含む。一部の実施形態において、前記第一n型半導体材料は、1つの成分を含み、例えばTPBi、Bepp2、BTPS及びTmPyPbのうちの1つであり、一部の形態において、前記第一n型半導体材料は、2つの成分を含み、例えばTPBiとBepp2、Bepp2とBTPS、BTPSとTmPyPbであり、一部の実施形態において、前記第一n型半導体材料は、3つの成分を含み、例えばTPBiとBepp2とBTPS、Bepp2とBTPSとTmPyPb、TPBiとBepp2とTmPyPbであり、一部の実施形態において、前記第一n型半導体材料は、4つの成分を含み、例えばTPBi、Bepp2、BTPS及びTmPyPbである。
【0023】
一部の実施形態において、前記第一p型半導体材料は、TAPC(T
1=2.98eV)、mCP(T
1=2.91eV)及びTCTA(T
1=2.76eV)のうちの少なくとも1つを含む。一部の実施形態において、前記第一p型半導体材料は、1つの成分を含み、例えばTAPC、mCP及びTCTAのうちの1つであり、一部の実施形態において、前記第一p型半導体材料は、2つの成分を含み、例えばTAPCとmCP、TAPCとTCTA、mCPとTCTAであり、一部の実施形態において、前記第一p型半導体材料は、3つの成分を含み、例えばTAPC、mCP及びTCTAである。前記T
1は、半導体材料の三重項励起子エネルギーを指す。例として、前記第一n型半導体材料と第一p型半導体材料とからなる混合材料は、TCTA:TPBi、TCTA:TmPyPb、及び、mCP:TmPyPbのうちの1つであってもよいが、これに限定されない。
【0024】
一部の実施形態において、前記青色光有機蛍光層は、第一主体材料、及び、前記第一主体材料にドープされた前記青色光有機蛍光材料を含み、前記第一主体材料は、第二バイポーラ性材料、第二n型半導体材料、第二p型半導体材料、及び、第二n型半導体材料と第二p型半導体材料とからなる混合材料のうちの1つである。前記青色光有機蛍光材料の一重項励起子及び三重項励起子が第一主体材料によって消光されることを防止するために、前記第一主体材料の一重項励起子エネルギーは、前記青色光有機蛍光材料の一重項励起子エネルギーよりも大きく、且つ、前記第一主体材料の三重項励起子エネルギーは、前記青色光有機蛍光材料の三重項励起子エネルギーよりも大きい。
【0025】
一部の実施形態において、前記青色光有機蛍光層内の第一主体材料は、第二バイポーラ性材料であり、前記第二バイポーラ性材料は、CBP及びNPBのうちの少なくとも1つを含むが、これに限定されない。一部の実施形態において、前記第二バイポーラ性材料は、1つの成分を含み、例えばCBP及びNPBのうちの1つであり、一部の実施形態において、前記第二バイポーラ性材料は、2つの成分を含み、例えばCBP及びNPBである。前記第二バイポーラ性材料電荷の輸送及びバランスを保証し、発光層における電荷の累積を低減させることができ、量子ドット白色光ダイオードの発光効率を向上させ、効率のロールオフを減少し、スペクトルの安定性を維持することに有利であり、これは、白色光ダイオードにとって極めて重要である。
【0026】
一部の実施形態において、前記青色光有機蛍光層内の第一主体材料は、第二n型半導体材料と第二p型半導体材料とからなる混合材料であり、前記第二n型半導体材料には、TPBi、Bepp2、BTPS及びTmPyPbのうちの少なくとも1つが含まれる。一部の実施形態において、前記第二n型半導体材料は、1つの成分を含み、例えばTPBi、Bepp2、BTPS及びTmPyPbのうちの1つであり、一部の形態において、前記第二n型半導体材料は、2つの成分を含み、例えばTPBi及びBepp2、Bepp2及びBTPS、BTPS及びTmPyPbであり、一部の実施形態において、前記第二n型半導体材料は、3つの成分を含み、例えばTPBiとBepp2とBTPS、Bepp2とBTPSとTmPyPb、TPBiとBepp2とTmPyPbであり、一部の実施形態において、前記第二n型半導体材料は、4つの成分を含み、例えばTPBi、Bepp2、BTPS及びTmPyPbである。前記第二p型半導体材料は、TAPC、mCP及びTCTAのうちの少なくとも1つを含む。一部の実施形態において、前記第二p型半導体材料は、1つの成分を含み、例えばTAPC、mCP及びTCTAのうちの1つであり、一部の実施形態において、前記第二p型半導体材料は、2つの成分を含み、例えばTAPC及びmCP、TAPC及びTCTA、mCP及びTCTAであり、一部の実施形態において、前記第二p型半導体材料は、3つの成分を含み、例えばTAPC、mCP及びTCTAである。前記T
1は、半導体材料の三重項励起子エネルギーを指す。例として、前記第二n型半導体材料と第二p型半導体材料とからなる混合材料は、TCTA:TPBi、TCTA:TmPyPb、及び、mCP:TmPyPbのうちの1つであってもよいが、これに限定されない。前記第二n型半導体材料と第二p型半導体材料とからなる混合材料は、同様に、電荷の輸送及びバランスを保証し、発光層における電荷の累積を低減させることができ、量子ドット白色光ダイオードの発光効率を向上させ、効率のロールオフを減少し、スペクトルの安定性を維持することに有利であり、これは、白色光ダイオードにとって極めて重要である。
【0027】
一部の実施形態において、前記青色光有機蛍光材料は、4P−NPD、Cz−2pbb、POTA及びDADBT等のうちの少なくとも1つを含むが、これに限定されない。一部の実施形態において、前記青色光有機蛍光材料は、1つの成分を含み、例えば4P−NPD、Cz−2pbb、POTA及びDADBTのうちの1つであり、一部の実施形態において、前記青色光有機蛍光材料は、2つの成分を含み、例えば4P−NPD及びCz−2pbb、Cz−2pbb及びPOTA、POTA及びDADBT、Cz−2pbb及びDADBTであり、一部の実施形態において、前記青色光有機蛍光材料は、3つの成分を含み、例えば4P−NPDとCz−2pbbとPOTA、4P−NPDとCz−2pbbとDADBT、Cz−2pbbとPOTAとDADBTであり、一部の実施形態において、前記青色光有機蛍光材料は、4つの成分を含み、例えば4P−NPD、Cz−2pbb、POTA及びDADBTである。前記青色光有機蛍光層において、前記青色光有機蛍光材料は、電子及び正孔を捕獲して励起子を形成することでき、第一主体材料から転移してきた励起子を受け取ることもできる。
【0028】
一部の実施形態において、前記青色光有機蛍光層の厚さは、10〜50nmである。
【0029】
一部の実施形態において、前記青色光有機蛍光層は、青色光有機蛍光材料単体で形成された発光層であってもよい。本実施例において、前記青色光有機蛍光層の厚さは、5〜30nmである。
【0030】
一部の実施形態において、前記量子ドット発光層の材料が前記量子ドット及び第二主体材料を含む場合、量子ドット励起子が第二主体材料によって消光されることを防止するために、前記第二主体材料の一重項励起子エネルギー及び三重項励起子エネルギーは、共に前記量子ドットの励起子エネルギーよりも大きい。本実施例において、前記量子ドット発光層の発光メカニズムは、以下の3つを含む。1つは、電子、正孔が、それぞれ陰極及び陽極から量子ドット発光層に輸送されて発光再結合して光子放出することであり、2つは、青色光有機蛍光層の材料の三重項励起子が量子ドット発光層に拡散して、Dexterエネルギー転移の方式で三重項励起子が量子ドットに伝達され、量子ドットを励起して光子を放出させることであり、3つは、電子、正孔がそれぞれ陰極及び陽極から第二主体材料に輸送されて一重項及び三重項励起子を形成して、前記第二主体材料に形成された一重項及び三重項励起子がそれぞれForster及びDexterエネルギー転移で量子ドットに伝達され、量子ドット発光層内で発光再結合して光子を放出することである。
【0031】
本実施例において、前記第二主体材料は、第三バイポーラ性材料、第三n型半導体材料、第三p型半導体材料、及び、第三n型半導体材料と第三p型半導体材料とからなる混合材料のうちの1つであるが、これに限定されない。
【0032】
一部の実施形態において、前記第三バイポーラ性材料は、CBP及びNPBのうちの少なくとも1つを含むが、これに限定されない。一部の実施形態において、前記第三バイポーラ性材料は、1つの成分を含み、例えばCBP及びNPBのうちの1つであり、一部の実施形態において、前記第三バイポーラ性材料は、2つの成分を含み、例えばCBP及びNPBである。
【0033】
前記第三n型半導体材料は、TPBi、Bepp2、BTPS及びTmPyPbのうちの少なくとも1つを含むが、これに限定されない。一部の実施形態において、前記第三n型半導体材料は、1つの成分を含み、例えばTPBi、Bepp2、BTPS及びTmPyPbのうちの1つであり、一部の形態において、前記第三n型半導体材料は、2つの成分を含み、例えばTPBi及びBepp2、Bepp2及びBTPS、BTPS及びTmPyPbであり、一部の実施形態において、前記第三n型半導体材料は、3つの成分を含み、例えばTPBiとBepp2とBTPS、Bepp2とBTPSとTmPyPb、TPBiとBepp2とTmPyPbであり、一部の実施形態において、前記第三n型半導体材料は、4つの成分を含み、例えばTPBi、Bepp2、BTPS及びTmPyPbである。
【0034】
一部の実施形態において、前記第三p型半導体材料は、TAPC、mCP及びTCTAのうちの少なくとも1つを含むが、これに限定されない。一部の実施形態において、前記第三p型半導体材料は、1つの成分を含み、例えばTAPC、mCP及びTCTAのうちの1つであり、一部の実施形態において、前記第三p型半導体材料は、2つの成分を含み、例えばTAPC及びmCP、TAPC及びTCTA、mCP及びTCTAであり、一部の実施形態において、前記第三p型半導体材料は、3つの成分を含み、例えばTAPC、mCP及びTCTAである。
【0035】
一部の実施形態において、前記量子ドット発光層の材料は量子ドットであり、そうなると、本実施例において、前記量子ドット発光層の発光メカニズムは、以下の2つを含む。1つは、電子、正孔が、それぞれ陰極及び陽極から量子ドット発光層に輸送されて発光再結合して光子放出することであり、2つは、青色光有機蛍光層の材料の三重項励起子が量子ドット発光層に拡散して、Dexterエネルギー転移の方式で三重項励起子が量子ドットに伝達され、量子ドットを励起して光子を放出させることである。
【0036】
一部の実施形態において、前記青色光有機蛍光層は、陽極側に近接するように設けられ、前記量子ドット発光層は、陰極側に近接するように設けられ、前記有機青色光蛍光層の材料は、第一主体材料、及び、前記第一主体材料にドープされた青色光有機蛍光材料を含み、前記量子ドット発光層の材料は、量子ドット及び第二主体材料を含み、前記スペーサー層材料が第一バイポーラ性材料、又は、第一n型半導体材料と第一p型半導体材料とからなる混合材料である場合、前記第一主体材料は、第二バイポーラ性材料、第二p型半導体材料、及び、第二n型半導体材料と第二p型半導体材料とからなる混合材料のうちの1つから選択され、前記第二主体材料は、第三バイポーラ性材料、第三n型半導体材料、及び、第三n型半導体材料と第三p型半導体材料とからなる混合材料のうちの1つから選択される。
【0037】
一部の実施形態において、前記スペーサー層材料が第一バイポーラ性材料、又は、第一n型半導体材料と第一p型半導体材料とからなる混合材料である場合、前記第一主体材料は、第二p型半導体材料であり、前記第二主体材料は、第三n型半導体材料である。
【0038】
一部の実施形態において、前記スペーサー層材料が第一バイポーラ性材料、又は、第一n型半導体材料と第一p型半導体材料とからなる混合材料のうちの1つである場合、前記第一主体材料は、第二n型半導体材料と第二p型半導体材料とからなる混合材料であり、前記第二主体材料は、第三n型半導体材料である。この際、第一主体材料により、電子及び正孔が青色光有機蛍光層全体に分布されることを保証し、十分な青色光発光を得ることができ、且つ三重項励起子消滅の確率の低減に有利である。一方、三重項励起子が均一に分散されることは、その量子ドット層への拡散に有利であり、量子ドットの発光が保証される。
【0039】
一部の実施形態において、前記スペーサー層材料が第一バイポーラ性材料、又は、第一n型半導体材料と第一p型半導体材料とからなる混合材料である場合、前記第一主体材料は、第二p型半導体材料であり、前記第二主体材料は、第三n型半導体材料と第三p型半導体材料とからなる混合材料である。この際、第二主体材料は、第三n型半導体材料と第三p型半導体材料とからなる混合材料であり、優れた電子及び正孔の両方の移動能力を持っており、量子ドット発光層のインピーダンスを効果的に低減させ、励起子が均一に量子ドット発光層に分布されることを可能にし、励起子消滅の可能性を低減させ、量子ドット発光の安定性を向上させることができる。
【0040】
一部の実施形態において、前記スペーサー層材料が第一n型半導体材料と第一p型半導体材料とからなる混合材料である場合、前記第一主体材料は、第二n型半導体材料と第二p型半導体材料とからなる混合材料であり、前記第二主体材料は、第三n型半導体材料と第三p型半導体材料とからなる混合材料である。第一主体材料及び第二主体材料は、p型半導体材料及びn型半導体材料の両方の半導体特性を持ち、即ち、良好な電子及び正孔の両方の移動能力をもっているため、発光層全体のインピーダンスを低減させ、陽極側から輸送してきた正孔が障害なく量子ドット発光層へ動けるのを保証するとともに、量子ドット発光層から動いてきた電子が障害なく青色光有機蛍光層を通過できるのを保証し、電荷キャリアが均一に発光層全体に分布されることを可能にし、励起子消滅の確率を低減させ、デバイスの効率及び安定性を向上させることに有利である。
【0041】
一部の実施形態において、前記スペーサー層材料が第一バイポーラ性材料である場合、前記第一主体材料は、第二バイポーラ性材料であり、前記第二主体材料は、第三バイポーラ性材料である。名前が示すように、バイポーラ性材料は、同様に、優れた電子及び正孔の移動能力を持っており、発光層全体のインピーダンスを低減させ、励起子が均一に発光層全体に分散されるようにし、デバイスの効率及び安定性を向上させることができる。更に、バイポーラ性材料の使用は、デバイスの構造及び製作過程の簡素化に有利である。
【0042】
一部の実施形態において、前記青色光有機蛍光層は、陰極側に近接するように設けられ、前記量子ドット発光層は、陽極側に近接するように設けられ、前記有機青色光蛍光層の材料は、第一主体材料、及び、前記第一主体材料にドープされた青色光有機蛍光材料を含み、前記量子ドット発光層の材料は、量子ドット及び第二主体材料を含み、前記スペーサー層材料が第一バイポーラ性材料、又は、第一n型半導体材料と第一p型半導体材料とからなる混合材料である場合、前記第一主体材料は、第二バイポーラ性材料、第二n型半導体材料、及び、第二n型半導体材料と第二p型半導体材料とからなる混合材料のうちの1つから選択され、前記第二主体材料は、第三バイポーラ性材料、第三p型半導体材料、及び、第三n型半導体材料と第三p型半導体材料とからなる混合材料のうちの1つから選択される。
【0043】
一部の実施形態において、前記スペーサー層材料が第一バイポーラ性材料、又は、第一n型半導体材料と第一p型半導体材料とからなる混合材料である場合、前記第一主体材料は、第二n型半導体材料であり、前記第二主体材料は、第三p型半導体材料である。
【0044】
一部の実施形態において、前記スペーサー層材料が第一バイポーラ性材料、又は、第一n型半導体材料と第一p型半導体材料とからなる混合材料である場合、前記第一主体材料は、第二n型半導体材料と第二p型半導体材料とからなる混合材料であり、前記第二主体材料は、第三p型半導体材料である。この際、第一主体材料が第二n型半導体材料と第二p型半導体材料とからなる混合材料であることは、電子及び正孔が青色光有機蛍光層全体に分布されることを保証し、十分な青色光発光を得ることができ、且つ三重項励起子消滅の確率の低減に有利である。一方、三重項励起子が均一に分散されることは、その量子ドット層への拡散に有利であり、量子ドットの発光が保証される。
【0045】
一部の実施形態において、前記スペーサー層材料が第一バイポーラ性材料、又は、第一n型半導体材料と第一p型半導体材料とからなる混合材料である場合、前記第一主体材料は、第二n型半導体材料であり、前記第二主体材料は、第三n型半導体材料と第三p型半導体材料とからなる混合材料である。この際、前記第二主体材料は、第三n型半導体材料と第三p型半導体材料とからなる混合材料であり、優れた電子及び正孔の両方の移動能力を持っており、量子ドット発光層のインピーダンスを効果的に低減させ、励起子が量子ドット発光層に均一に分布されることを可能にし、励起子消滅の可能性を低減させ、量子ドット発光の安定性を向上させることができる。
【0046】
一部の実施形態において、前記スペーサー層材料が第一n型半導体材料と第一p型半導体材料とからなる混合材料である場合、前記第一主体材料は、第二n型半導体材料と第二p型半導体材料とからなる混合材料であり、前記第二主体材料は、第三n型半導体材料と第三p型半導体材料とからなる混合材料である。第一主体材料及び第二主体材料は、p型半導体材料及びn型半導体材料の両方の半導体特性を持ち、即ち、良好な電子及び正孔の両方の移動能力をもっているため、発光層全体のインピーダンスを低減させ、陽極側から輸送してきた正孔が障害なく青色光有機蛍光層へ動けるのを保証するとともに、有機蛍光層から動いてきた電子が障害なく量子ドット発光層を通過できるのを保証し、電荷キャリアが均一に発光層全体に分布されることを可能し、励起子消滅の確率を低減させ、デバイスの効率及び安定性を向上させることに有利である。
【0047】
一部の実施形態において、前記スペーサー層材料が第一バイポーラ性材料である場合、前記第一主体材料は、第二バイポーラ性材料であり、前記第二主体材料は、いずれも第三バイポーラ性材料である。バイポーラ性材料は、優れた電子及び正孔の移動能力を持っており、発光層全体のインピーダンスを低減させ、励起子が均一に発光層全体に分散されるようにし、デバイスの効率及び安定性を向上させることができる。更に、バイポーラ性材料の使用は、デバイスの構造及び製作過程の簡素化に有利である。
【0048】
一部の実施形態において、青色光有機蛍光材料の三重項励起子エネルギーが消光されることを防止するために、前記青色光有機蛍光材料の三重項励起子エネルギーは、量子ドット発光層内の量子ドットのエネルギーよりも大きくされるべきである。従って、前記発光層において、青色光有機蛍光材料の三重項励起子エネルギーの大きさによっては、前記量子ドットの選択も異なる。前記青色光有機蛍光材料の三重項励起子エネルギーが2.38eVよりも大きい場合、前記量子ドットは、黄色光量子ドットであり、或いは、前記量子ドットは、赤色光量子ドットと緑色光量子ドットとからなる混合量子ドットであり、或いは、前記量子ドットは、赤色光量子ドット、黄色光量子ドット及び緑色光量子ドットを含む混合量子ドットであり、前記黄色光量子ドットの発光スペクトルの半波幅は、70nmよりも大きい。
【0049】
例として、前記青色光有機蛍光材料がCz−2pbb(T
1=2.46eV)又はPOTA(T
1=2.44eV)のうちの1つである場合、前記黄色光量子ドットは、CuInS/ZnS、ZnCuInS/ZnS、AgInS/ZnS及びInP/ZnS等のうちの少なくとも1つを含むが、これに限定されない。前記の赤、緑の量子ドットは、CdSe/ZnS、CdSe/CdS、CdSe/CdS/ZnS、CuInS/ZnS、ZnCuInS/ZnS、AgInS/ZnS及びInP/ZnSのうちの少なくとも1つから独立して選択されてもよいが、これに限定されない。一部の実施形態において、前記黄色光量子ドットは、1つの成分を含み、例えばCuInS/ZnS、ZnCuInS/ZnS、AgInS/ZnS、及び、InP/ZnSのうちの1つであり、一部の実施形態において、前記黄色光量子ドットは、2つの成分を含み、例えばCuInS/ZnS及びZnCuInS/ZnS、ZnCuInS/ZnS及びAgInS/ZnS、AgInS/ZnS及びInP/ZnSであり、一部の実施形態において、前記黄色光量子ドットは、3つの成分を含み、例えばCuInS/ZnSとZnCuInS/ZnSとAgInS/ZnS、ZnCuInS/ZnSとAgInS/ZnSとInP/ZnS、CuInS/ZnSとZnCuInS/ZnSとInP/ZnSであり、一部の実施形態において、前記黄色光量子ドットは、4つの成分を含み、例えばCuInS/ZnS、ZnCuInS/ZnS、AgInS/ZnS及びInP/ZnSである。
【0050】
一部の実施形態において、前記赤色光量子ドット又は緑色光量子ドットは、1つの成分を含み、例えばCdSe/ZnS、CdSe/CdS、CdSe/CdS/ZnS、CuInS/ZnS、ZnCuInS/ZnS、AgInS/ZnS及びInP/ZnSのうちの1つであり、一部の実施形態において、前記赤色光量子ドット又は緑色光量子ドットは、2つの成分を含み、例えばCdSe/ZnS及びCdSe/CdS、CdSe/CdS/ZnS及びCuInS/ZnS、ZnCuInS/ZnS及びAgInS/ZnS、AgInS/ZnS及びInP/ZnSであり、一部の実施形態において、前記赤色光量子ドット又は緑色光量子ドットは、3つの成分を含み、例えばCdSe/ZnSとCdSe/CdSとCdSe/CdS/ZnS、CdSe/CdSとCdSe/CdS/ZnSとCuInS/ZnS、CuInS/ZnSとZnCuInS/ZnSとAgInS/ZnSであり、一部の実施形態において、前記赤色光量子ドット又は緑色光量子ドットは、4つの成分を含み、例えばCdSe/ZnSとCdSe/CdSとCdSe/CdS/ZnSとCuInS/ZnS、CuInS/ZnSとZnCuInS/ZnSとAgInS/ZnSとInP/ZnSである。
【0051】
一部の実施形態において、青色光有機蛍光材料の三重項励起子エネルギーが2.38eVよりも大きい場合、前記量子ドット発光層は、積層して設けられた赤色光量子ドット薄膜層及び緑色光量子ドット薄膜層であり、前記赤色光量子ドット薄膜層及び緑色光量子ドット薄膜層の厚さは、共に5〜15nmである。
【0052】
一部の実施形態において、青色光有機蛍光層の材料の三重項励起子エネルギーが2.38eVよりも大きい場合、前記量子ドット発光層は、赤色光量子ドットと緑色光量子ドットとが混合して形成された単一な混合膜層であり、前記単一な混合膜層の厚さは、10〜30nmである。
【0053】
一部の実施形態において、青色光有機蛍光層の材料の三重項励起子エネルギーが2.38eVよりも大きい場合、前記量子ドットは、黄色光量子ドットであり、前記量子ドット発光層における厚さは、5〜50nmである。
【0054】
一部の実施形態において、青色光有機蛍光層の材料の三重項励起子エネルギーが2.38eVよりも大きい場合、前記量子ドットは、赤色光量子ドット、黄色光量子ドット及び緑色光量子ドットを含む混合量子ドットであり、前記量子ドット発光層における厚さは、15〜50nmである。
【0055】
一部の実施形態において、青色光有機蛍光層の材料の三重項励起子エネルギーが2.38eVよりも大きい場合、前記量子ドット発光層は、積層して設けられた赤色光量子ドット薄膜層、黄色光量子ドット薄膜層及び緑色光量子ドット薄膜層であり、前記赤色光量子ドット薄膜層、黄色光量子ドット薄膜層及び緑色光量子ドット薄膜層の厚さは、共に5〜15nmである。
【0056】
一部の実施形態において、青色光有機蛍光層の材料の三重項励起子エネルギーが2.25eV〜2.38eVである場合、前記量子ドットは、黄色光量子ドットであり、或いは、前記量子ドットは、赤色光量子ドットと黄色光量子ドットとからなる混合量子ドットであり、前記黄色光量子ドットの発光スペクトルの半波幅は、70nmよりも大きく、前記赤色光量子ドット発光スペクトルの半波幅は、限定されない。前記量子ドットが黄色光量子ドットである場合、前記量子ドット発光層の厚さは、5〜50nmである。前記量子ドットは、赤色光量子ドットと黄色光量子ドットとが混合して形成された単一な混合膜層であり、前記単一な混合膜層の厚さは、10〜50nmであり、前記量子ドット発光層は、積層して設けられた赤色光量子ドット薄膜層及び黄色光量子ドット薄膜層であり、前記赤色光量子ドット薄膜層及び黄色光量子ドット薄膜層の厚さは、共に5〜15nmである。
【0057】
例として、青色光有機蛍光層の材料が4P−NPD(T
1=2.3eV)又はDADBT(T
1=2.38eV)である場合、前記赤色光量子ドットは、CdSe/ZnS、CdSe/CdS、CdSe/CdS/ZnS、CuInS/ZnS、ZnCuInS/ZnS、AgInS/ZnS、及び、InP/ZnSのうちの少なくとも1つを含むが、これに限定されない。前記黄色光量子ドットは、CuInS/ZnS、ZnCuInS/ZnS、AgInS/ZnS、及び、InP/ZnSのうちの少なくとも1つを含むが、これに限定されない。
【0058】
一部の実施形態において、前記基板は、ガラス等の剛性材質の基板であってもよいし、PETやPI等の可撓性材質の基板であってもよい。
【0059】
一部の実施形態において、前記陽極は、インジウムドープ酸化スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)等のうちの1つ又は複数から選択されてもよい。
【0060】
一部の実施形態において、前記正孔輸送層の材料は、良好な正孔輸送性能を持つ材料から選択されてもよく、例えば、p型のTAPC、mCP、TFB、PVK、Poly−TPD、PFB、TCTA、CBP、TPD及びNPB等のうちの1つ又は複数から選択されてもよいが、これらに限定されない。
【0061】
一部の実施形態において、前記電子輸送層の材料は、良好な電子輸送性能を持つ材料から選択されてもよく、例えば、n型のTPBi、Bepp2、BTPS、TmPyPb、ZnO、TiO
2、Fe
2O
3、SnO
2、Ta
2O
3、AlZnO、ZnSnO及びInSnO等のうちの1つ又は複数から選択されてもよいが、これらに限定されない。
【0062】
一部の実施形態において、前記陰極は、アルミニウム(Al)電極、銀(Ag)電極及び金(Au)電極等のうちの1つから選択されてもよい。
【0063】
説明しておきたいのは、本開示に係る量子ドット白色光ダイオードは、陽極と正孔輸送層との間に設けられた正孔注入層、陰極と電子輸送層との間に設けれた電子注入層といった機能層のうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0064】
本開示は、
図1に示すような正置構造の量子ドット白色光ダイオードの作製方法の実施例を更に提供している。この作製方法は、具体的に、
基板を用意し、前記基板上に陽極を形成するステップと、
前記陽極上に正孔輸送層を作製するステップと、
前記正孔輸送層上に青色光有機蛍光層を作製するステップと、
前記青色光有機蛍光層上にスペーサー層を作製するステップと、
前記スペーサー層上に量子ドット発光層を作製するステップと、
前記量子ドット発光層上に電子輸送層を作製するステップと、
前記電子輸送層上に陰極を作製して、前記量子ドット白色光ダイオードを得るステップと、を含み、
前記スペーサー層材料は、電子及び正孔の両方の移動能力を持つ材料であり、前記スペーサー層材料の三重項励起子エネルギーは、青色光有機蛍光層内の青色光有機蛍光材料の三重項励起子エネルギーよりも大きく、且つ量子ドット発光層内の量子ドットの励起子エネルギーよりも大きい。
【0065】
本開示において、各層の作製方法は、化学的方法又は物理的方法であってもよく、化学的方法は、化学気相堆積法、連続イオン層吸着反応法、陽極酸化法、電解析出法、共沈法のうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。物理的方法は、溶液法(如スピンコート法、印刷法、ブレードコート法、ディッププル法、ディッピング法、スプレー法、ロールコート法、キャスト法、スロットコート法やストリップコート法等)、蒸着法(如熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、マグネトロンススパッタ法又はマルチアークイオンコーティング法等)、堆積法(如物理気相堆積法、原子層堆積法、パルスレーザー堆積法等)のうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。
【0066】
一部の実施形態において、正置構造の量子ドット白色光ダイオードを更に提供しており、
図2に示すように、この量子ドット白色光ダイオードは、下から上に向かって積層して設けられた基板10、陽極20、正孔輸送層30、青色光有機蛍光層40、量子ドット発光層50、電子輸送層60及び陰極70を含み、前記青色光有機蛍光層の材料には、第一p型半導体材料と第一n型半導体材料とが混合して形成された第一主体材料、及び、前記第一主体材料にドープされた青色光有機蛍光材料が含まれ、前記第一主体材料の一重項励起子エネルギーは、前記青色光有機蛍光材料の一重項励起子エネルギーよりも大きく、且つ、前記第一主体材料の三重項励起子エネルギーは、前記青色光有機蛍光材料の三重項励起子エネルギーよりも大きい。
【0067】
本実施例における青色光有機蛍光層の材料には、第一p型半導体材料と第一n型半導体材料とが混合して形成された第一主体材料、及び、前記第一主体材料にドープされた青色光有機蛍光材料が含まれ、このような材料からなる青色光有機蛍光層は、量子ドット白色光ダイオードの発光効率を効果的に向上させることができる。上記の効果の実現メカニズムは、具体的に、以下の通りである。
【0068】
1、前記青色光有機蛍光層内の青色光有機蛍光材料が前記第一主体材料にドープされているため、前記青色光有機蛍光材料の一重項及び三重項励起子が前記第一主体材料に分布されることが可能になり、これは、励起子消滅効果の軽減に有利であり、大きな電流密度又は高い明度の場合に量子ドット白色光ダイオードが安定して白色光を放出可能であることを保証できる。
【0069】
2、前記第一主体材料の一重項励起子エネルギーは、前記青色光有機蛍光材料の一重項励起子エネルギーよりも大きく、且つ、前記第一主体材料の三重項励起子エネルギーは、前記青色光有機蛍光材料の三重項励起子エネルギーよりも大きいため、前記第一主体材料に形成された一重項励起子がForsterエネルギー転移で青色光有機蛍光材料に伝達され、青色光有機蛍光材料内で発光再結合して青色光を放出することが可能になる一方で、前記第一主体材料及び青色光有機蛍光材料の三重項励起子が量子ドット発光層に拡散してDexterエネルギー転移の方式で三重項励起子エネルギーを量子ドットに伝達して、量子ドットを励起して光子を放出させることが可能になり、これによって、量子ドット白色光ダイオードの発光効率が向上される。
【0070】
説明しておきたいのは、前記正置構造の量子ドット白色光ダイオードは、下から上に向かって積層して設けられた基板、陽極、正孔輸送層、量子ドット発光層、青色光有機蛍光層、電子輸送層及び陰極を含み、前記青色光有機蛍光層の材料には、第一p型半導体材料と第一n型半導体材料とが混合して形成された第一主体材料、及び、前記第一主体材料にドープされた青色光有機蛍光材料が含まれ、前記第一主体材料の一重項励起子エネルギーは、前記青色光有機蛍光材料の一重項励起子エネルギーよりも大きく、且つ、前記第一主体材料の三重項励起子エネルギーは、前記青色光有機蛍光材料の三重項励起子エネルギーよりも大きくてもよい。この構造の量子ドット白色光ダイオードは、同様に、その発光効率を向上させることができ、上記の効果の実現メカニズムは、上記の実施例と同じである。
【0071】
一部の実施形態において、前記青色光有機蛍光層において、前記青色光有機蛍光材料のドープ濃度は、0.5〜3%である。一重項励起子は、寿命が極めて短いため、その励起子拡散長が1nm未満であり、一重項励起子は、一般に、Forsterエネルギー転移の方式で励起子エネルギーを伝達し、その有効作用半径が、通常3〜5nmであるのに対して、三重項励起子は、その寿命が長いため、その励起子拡散長が100nmに至り、三重項励起子は、一般に、Dexterエネルギー転移の方式で励起子エネルギーを伝達し、その有効作用半径が1nm以内である。本実施例は、前記青色光有機蛍光材料のドープ濃度を0.5〜3%に設定することで、前記青色光有機蛍光層には、量子ドット発光層に近接する3〜5nm範囲内で一重項励起子に占められる比率が明らかに減少するため、青色光有機蛍光材料の一重項励起子が量子ドット発光層に転移する確率が効果的に低減され、前記青色光有機蛍光材料の一重項励起子が青色光有機蛍光層内で発光再結合して青色光を放出することが可能になる。
【0072】
Dexterエネルギー転移の有効作用半径が1nm以内であるため、青色光有機蛍光材料のドープ濃度が0.5〜3%であるという条件の下で、前記第一主体材料の三重項励起子は、1nmの範囲内で、エネルギーを転移可能な青色光有機蛍光材料を見つけることができない。従って、本実施例は、第一主体材料が三重項励起子青色光有機蛍光材料に伝達して非発光再結合の方式で基底状態に戻り、エネルギー損失を引き起こすことを効果的に防止することもできる。
【0073】
一部の実施形態において、前記青色光有機蛍光層の厚さは、10〜40nmであり、この厚さ範囲内では、前記青色光有機蛍光層内の第一主体材料及び青色光有機蛍光材料の三重項励起子は、いずれも、量子ドット発光層に拡散してDexterエネルギー転移の方式で三重項励起子エネルギーを量子ドットに伝達し、量子ドットを励起して光子を放出させることができる。
【0074】
一部の実施形態において、前記青色光有機蛍光層内の第一主体材料は、正孔輸送能力を持つ第一p型半導体材料と、電子輸送能力を持つ第一n型半導体材料からなる混合材料であり、つまり、前記第一主体材料は、電子及び正孔の両方の移動能力を持っており、従って、前記第一主体材料は、電荷の輸送及びバランスを保証し、発光層における電荷の累積を低減させることもでき、量子ドット白色光ダイオードの発光効率を向上させ、効率のロールオフを減少し、スペクトルの安定性を維持することに有利であり、これは、白色光ダイオードにとって極めて重要である。
【0075】
一部の実施形態において、前記陰極と前記発光層との間に電子輸送層が設けられ、且つ前記青色光有機蛍光層が前記電子輸送層側に近接するように設けられている場合、前記電子輸送層の材料と前記青色光有機蛍光層の材料とで、第一n型半導体材料のうちの少なくとも1つが同じである。前記電子輸送層内の材料と前記青色光有機蛍光層の材料とで、第一n型半導体材料のうちの少なくとも1つが同じであるため、前記電子輸送層から送出された電子が前記青色光有機蛍光層に輸送される時に界面障壁が存在せず、前記電子が障害なく電子輸送層から青色光有機蛍光層に迅速に輸送されることが可能になり、これによって、励起子再結合効率が向上される。
【0076】
一部の実施形態において、前記陽極と前記発光層との間に正孔輸送層が設けられ、且つ前記青色光有機蛍光層が前記正孔輸送層側に近接するように設けられている場合、前記正孔輸送層の材料と前記青色光有機蛍光層の材料とで、第一p型半導体材料のうちの少なくとも1つが同じである。前記正孔輸送層内の材料と前記青色光有機蛍光層の材料とで、第一p型半導体材料のうちの少なくとも1つが同じであるため、正孔輸送層から送出された正孔が前記青色光有機蛍光層に輸送される時に界面障壁が存在せず、前記正孔が障害なく電子輸送層から青色光有機蛍光層に迅速に輸送されることが可能になり、これによって、励起子再結合効率が向上される。
【0077】
一部の実施形態において、前記量子ドット発光層の材料には、前記量子ドット及び第二主体材料が含まれ、量子ドット励起子が第二主体材料によって消光されることを防止するために、前記第二主体材料の一重項励起子エネルギー及び三重項励起子エネルギーは、共に前記量子ドットの励起子エネルギーよりも大きい。本実施例において、前記量子ドット発光層の発光メカニズムは、以下の3つを含む。1つは、電子、正孔が、それぞれ陰極及び陽極から量子ドット発光層に輸送されて発光再結合して光子放出することであり、2つは、青色光有機蛍光層の材料の三重項励起子が量子ドット発光層に拡散してDexterエネルギー転移の方式で三重項励起子を量子ドットに伝達し、量子ドットを励起して光子を放出させることであり、3つは、電子、正孔がそれぞれ陰極及び陽極から第二主体材料に輸送されて一重項及び三重項励起子を形成して、前記第二主体材料に形成された一重項及び三重項励起子がそれぞれForster及びDexterエネルギー転移で量子ドットに伝達され、量子ドット発光層内で発光再結合して光子を放出することである。
【0078】
本実施例において、前記第二主体材料は、第一バイポーラ性材料、第二n型半導体材料、第二p型半導体材料、及び、第二n型半導体材料と第二p型半導体材料とからなる混合材料のうちの1つであるが、これに限定されない。一部の実施形態において、前記第一バイポーラ性材料は、CBP及びNPBのうちの少なくとも1つを含むが、これに限定されない。前記第二n型半導体材料は、TPBi、Bepp2、BTPS及びTmPyPbのうちの少なくとも1つを含むが、これに限定されない。前記第二p型半導体材料は、TAPC、mCP及びTCTAのうちの少なくとも1つを含むが、これに限定されない。
【0079】
一部の実施形態において、前記量子ドット発光層の材料は、量子ドットである、そうなると、本実施例において、前記量子ドット発光層の発光メカニズムは、以下の2つを含む。1つは、電子、正孔が、それぞれ陰極及び陽極から量子ドット発光層に輸送されて発光再結合して光子放出することであり、2つは、青色光有機蛍光層の材料の三重項励起子が量子ドット発光層に拡散して、Dexterエネルギー転移の方式で三重項励起子が量子ドットに伝達され、量子ドットを励起して光子を放出させることである。
【0080】
一部の実施形態において、前記青色光有機蛍光層は、陽極側に近接するように設けられ、前記量子ドット発光層は、陰極側に近接するように設けられ、前記量子ドット発光層の材料は、量子ドット及び第二主体材料を含み、前記第二主体材料は、第一バイポーラ性材料、第二n型半導体材料、第二p型半導体材料、及び、第二n型半導体材料と第二p型半導体材料とからなる混合材料のうちの1つから選択される。
【0081】
一部の実施形態において、前記第二主体材料は、第二n型半導体材料と第二p型半導体材料とからなる混合材料である。第二n型半導体材料と第二p型半導体材料とからなる混合材料の使用により、良好な電子及び正孔の両方の移動能力を持っており、発光層のインピーダンスを低減させ、陰極側から輸送してきた電子が障害なく青色光有機蛍光層へ動けるのを保証するとともに、青色光有機蛍光層から動いてきた正孔が障害なく量子ドット発光層を通過できるのを保証し、電荷キャリアが均一に発光層全体に分布されることを可能にし、励起子消滅の確率を低減させ、デバイスの効率及び安定性を向上させることに有利である。
【0082】
一部の実施形態において、前記第二主体材料は、第一バイポーラ性材料である。第一バイポーラ性材料は、同様に、優れた電子及び正孔の移動能力を持っており、上述した第二n型半導体及び第二p型半導体混合材料と同じ役割を果たすことができる。
【0083】
一部の実施形態において、前記青色光有機蛍光層は、陰極側に近接するように設けられ、前記量子ドット発光層は、陽極側に近接するように設けられ、前記量子ドット発光層の材料は、量子ドット及び第二主体材料を含み、前記第二主体材料は、第一バイポーラ性材料、第二n型半導体材料、第二p型半導体材料、及び、第二n型半導体材料と第二p型半導体材料とからなる混合材料のうちの1つから選択される。
【0084】
一部の実施形態において、前記第二主体材料は、第二n型半導体材料と第二p型半導体材料とからなる混合材料である。第二n型半導体材料と第二p型半導体材料とからなる混合材料の使用により、良好な電子及び正孔の両方の移動能力を持っており、発光層のインピーダンスを低減させ、陰極側から輸送してきた電子が障害なく青色光有機蛍光層へ動けるのを保証するとともに、青色光有機蛍光層から動いてきた正孔が障害なく量子ドット発光層を通過できるのを保証し、電荷キャリアが均一に発光層全体に分布されることを可能にし、励起子消滅の確率を低減させ、デバイスの効率及び安定性を向上させることに有利である。
【0085】
一部の実施形態において、前記第二主体材料は、第一バイポーラ性材料である。同じ理由につき、第一バイポーラ性材料は、同様に、優れた電子及び正孔の移動能力を持っており、上述第二n型半導体及び第二p型半導体混合材料と同じ役割を果たすことができる。
【0086】
一部の実施形態において、本発明は、
図2に示すような正置構造の量子ドット白色光ダイオードの作製方法の実施例を更に提供している。この作製方法は、具体的に、
基板を用意し、前記基板上に陽極を形成するステップと、
前記陽極上に正孔輸送層を作製するステップと、
前記正孔輸送層上に青色光有機蛍光層を作製するステップと、
前記青色光有機蛍光層上にスペーサー層を作製するステップと、
前記スペーサー層上に量子ドット発光層を作製するステップと、
前記量子ドット発光層上に電子輸送層を作製するステップと、
前記電子輸送層上に陰極を作製して、前記量子ドット白色光ダイオードを得るステップと、を含み、
前記スペーサー層材料は、電子及び正孔の両方の移動能力を持つ材料であり、前記スペーサー層材料の三重項励起子エネルギーは、青色光有機蛍光層内の青色光有機蛍光材料の三重項励起子エネルギーよりも大きく、且つ量子ドット発光層内の量子ドットの励起子エネルギーよりも大きい。
【0087】
以下、実施例により、本開示を詳しく説明する。
【0088】
実施例1
TCTA:TmPyPb混合材料をスペーサー層材料とし、
図3に示すように、量子ドット白色光ダイオードは、下から上へ順次に、ITO陽極101、正孔注入層102、正孔輸送層103、量子ドット発光層104、スペーサー層105、青色光有機蛍光層106、電子輸送層107、電子注入層108及び陰極109を含み、その具体的な作製は、
パターン化されたITOガラス上に、溶液法により、厚さ30nmのPEDOT:PSSを堆積して正孔注入層とするステップと、
PEDOT:PSS上に、溶液法により、厚さ30nmのTFBを堆積して正孔輸送層とするステップと、
TFB上に、溶液法により、厚さ15nmの混合された赤と緑の量子ドットを堆積して量子ドット発光層とするステップと、
量子ドット発光層上に、蒸着法により、厚さ8nmのTCTA:TmPyPb混合材料を共蒸着して堆積し、スペーサー層とするステップと、
スペーサー層上に、蒸着法により、厚さ15nmのPOTA及びTCTA:TmPyPbを共蒸着して堆積し、青色光有機蛍光層とするステップと、
青色光有機蛍光層上に、蒸着法により、厚さ30nmのTmPyPbを堆積して電子輸送層とするステップと、
TmPyPb上に、蒸着法により、厚さ1nmのLiFを堆積して電子注入層とするステップと、
LiF上に、蒸着法により、厚さ100nmのAlを堆積して陰極とするステップと、を含む。
【0089】
実施例2
CBPをスペーサー層材料とし、量子ドット白色光ダイオードは、下から上へ順次に、ITO陽極、正孔注入層、正孔輸送層、量子ドット発光層、スペーサー層、青色光有機蛍光層、電子輸送層、電子注入層及び陰極を含み、その具体的な作製は、
パターン化されたITOガラス上に、溶液法により、厚さ30nmのPEDOT:PSSを堆積して正孔注入層とするステップと、
PEDOT:PSS上に、溶液法により、厚さ30nmのTFBを堆積して正孔輸送層とするステップと、
TFB上に、溶液法により、厚さ20nmのCBP:赤と緑の量子ドット混合材料を堆積して量子ドット発光層とするステップと、
量子ドット発光層上に、蒸着法により、厚さ8nmのCBPを堆積してスペーサー層とするステップと、
スペーサー層上、蒸着法により、厚さ15nmのPOTA及びCBPを堆積して青色光有機蛍光層とするステップと、
青色光有機蛍光層上に、蒸着法により、厚さ30nmのTmPyPbを堆積して電子輸送層とするステップと、
TmPyPb上に、蒸着法により、厚さ1nmのLiFを堆積して電子注入層とするステップと、
LiF上に、蒸着法により、厚さ100nmのAlを堆積して陰極とするステップと、を含む。
【0090】
実施例3
以CTA:TPBi混合材料をスペーサー層材料とし、
図4に示すように、量子ドット白色光ダイオードは、下から上へ順次に、ITO陽極201、正孔注入層202、正孔輸送層203、青色光有機蛍光層204、量子ドット発光層205、スペーサー層206、電子輸送層207、電子注入層208及び陰極209を含み、その具体的な作製は、
パターン化されたITOガラス上に、溶液法により、厚さ30nmのPEDOT:PSSを堆積して正孔注入層とするステップと、
PEDOT:PSS上に、溶液法により、厚さ30nmのTFBを堆積して正孔輸送層とするステップと、
TFB上に、蒸着法により、厚さ15nmのPOTA及びTCTA:TmPyPbを共蒸着して堆積し、青色光有機蛍光層とするステップと、
青色光有機蛍光層上に、溶液法により、積層された赤、緑の量子ドット薄膜を順次に堆積して量子ドット発光層とするステップであって、赤色光量子ドット薄膜の厚さが5nm、緑色光量子ドット薄膜の厚さが10nmであるステップと、
量子ドット発光層上に、蒸着法により、厚さ8nmのTCTA:TPBi混合材料を共蒸着して堆積し、スペーサー層とするステップと、
スペーサー層上、蒸着法により、厚さ30nmのTmPyPbを堆積して電子輸送層とするステップと、
TmPyPb上に、蒸着法により、厚さ1nmのLiFを堆積して電子注入層とするステップと、
LiF上に、蒸着法により、厚さ100nmのAlを堆積して陰極とするステップと、を含む。
【0091】
実施例4
NPBをスペーサー層材料とし、量子ドット白色光ダイオードは、下から上へ順次に、ITO陽極、正孔注入層、正孔輸送層、青色光有機蛍光層、量子ドット発光層、スペーサー層、電子輸送層、電子注入層及び陰極を含み、その具体的な作製は、
パターン化されたITOガラス上に、溶液法により、厚さ30nmのPEDOT:PSSを堆積して正孔注入層とするステップと、
PEDOT:PSS上に、溶液法により、厚さ30nmのTFBを堆積して正孔輸送層とするステップと、
TFB上に、蒸着法により、厚さ15nmのCz−2pbbを堆積して青色光有機蛍光層とするステップと、
青色光有機蛍光層上に、溶液法により、積層された赤、緑の量子ドット薄膜を順次に堆積して量子ドット発光層とするステップであって、赤色光量子ドット薄膜の厚さが5nm、緑色光量子ドット薄膜の厚さが10nmであるステップと、
量子ドット発光層上に、蒸着法により、厚さ8nmのNPBを堆積してスペーサー層とするステップと、
スペーサー層上、蒸着法により、厚さ30nmのTmPyPbを堆積して電子輸送層とするステップと、
TmPyPb上に、蒸着法により、厚さ1nmのLiFを堆積して電子注入層とするステップと、
LiF上に、蒸着法により、厚さ100nmのAlを堆積して陰極とするステップと、を含む。
【0092】
実施例5
図5に示すように、量子ドット白色光ダイオードは、下から上へ順次に、ITO陽極101、正孔注入層102、正孔輸送層103、量子ドット発光層104、青色光有機蛍光層105、電子輸送層106、電子注入層107及び陰極108を含み、前記青色光有機蛍光層の材料には、重量比1:1のTCTA:TmPyPbとなる主体材料、及び、前記主体材料にドープされた有機蛍光材料であるPOTAが含まれ、前記POTAのドープ濃度は、2%である。前記量子ドット白色光ダイオードの作製方法は、
パターン化されたITOガラス上に、溶液法により、厚さ30nmのPEDOT:PSSを堆積して正孔注入層とするステップと、
PEDOT:PSS上に、溶液法により、厚さ30nmのTFBを堆積して正孔輸送層とするステップと、
TFB上に、溶液法により、厚さ15nmの混合された赤と緑の量子ドットを堆積して量子ドット発光層とするステップと、
量子ドット発光層上に、蒸着法により、厚さ25nmのPOTA(2%)−dopedTCTA:TmPyPb(1:1)を共蒸着して堆積し、青色光有機蛍光層とするステップと、
青色光有機蛍光層上に、蒸着法により、厚さ30nmのTmPyPbを堆積して電子輸送層とするステップと、
TmPyPb上に、蒸着法により、厚さ1nmのLiFを堆積して電子注入層とするステップと、
LiF上に、蒸着法により、厚さ100nmのAlを堆積して陰極とするステップと、を含む。
【0093】
実施例6
図6に示すように、量子ドット白色光ダイオードは、下から上へ順次に、ITO陽極201、正孔注入層202、正孔輸送層203、青色光有機蛍光層204、量子ドット発光層205、電子輸送層206、電子注入層207及び陰極208を含み、前記青色光有機蛍光層の材料には、重量比1:1のTCTA:TPBiとなる主体材料、及び、前記主体材料にドープされた有機蛍光材料である4P−NPDが含まれ、前記4P−NPDのドープ濃度は、1%である。前記量子ドット白色光ダイオードの作製方法は、
パターン化されたITOガラス上に、溶液法により、厚さ30nmのPEDOT:PSSを堆積して正孔注入層とするステップと、
PEDOT:PSS上に、溶液法により、厚さ30nmのTCTAを堆積して正孔輸送層とするステップと、
TFB上に、蒸着法により、厚さ25nmの4P−NPD(1%)−dopedTCTA:TPBi(1:1)共蒸着して堆積し、青色光有機蛍光層とするステップと、
青色光有機蛍光層上に、溶液法により、厚さ20nmのCBP:赤と緑の量子ドットの混合物を堆積して量子ドット発光層とするステップと、
量子ドット発光層上に、蒸着法により、厚さ30nmのTmPyPbを堆積して電子輸送層とするステップと、
TmPyPb上に、蒸着法により、厚さ1nmのLiFを堆積して電子注入層とするステップと、
LiF上に、蒸着法により、厚さ100nmのAlを堆積して陰極とするステップと、を含む。
【0094】
実施例7
量子ドット白色光ダイオードは、下から上へ順次に、ITO陽極、正孔注入層、正孔輸送層、青色光有機蛍光層、量子ドット発光層、電子輸送層、電子注入層及び陰極を含み、前記青色光有機蛍光層の材料には、重量比1:1のmCP:TmPyPbとなる主体材料、及び、前記主体材料にドープされた有機蛍光材料であるDADBTが含まれ、前記DADBTのドープ濃度は、3%である。前記量子ドット白色光ダイオードの作製方法は、
パターン化されたITOガラス上に、溶液法により、厚さ30nmのPEDOT:PSSを堆積して正孔注入層とするステップと、
PEDOT:PSS上に、溶液法により、厚さ30nmのTFBを堆積して正孔輸送層とするステップと、
TFB上に、溶液法により、赤色光量子ドット薄膜、緑色光量子ドット薄膜を順次に堆積して量子ドット発光層とするステップであって、赤色光量子ドット薄膜の厚さが5nm、緑色光量子ドット薄膜の厚さが10nmであるステップと、
量子ドット発光層上に、蒸着法により、厚さ25nmのDADBT(3%)−dopedmCP:TmPyPb(1:1)を共蒸着して堆積し、青色光有機蛍光層とするステップと、
量子ドット発光層上に、蒸着法により、厚さ30nmのTmPyPbを堆積して電子輸送層とするステップと、
TmPyPb上に、蒸着法により、厚さ1nmのLiFを堆積して電子注入層とするステップと、
LiF上に、蒸着法により、厚さ100nmのAlを堆積して陰極とするステップと、を含む。
【0095】
以上を纏めて、本開示は、量子ドット白色光ダイオードを提供しており、前記発光層の青色光有機蛍光層と量子ドット発光層との間に、電子及び正孔の移動能力を持つスペーサー層を設けることで、前記スペーサー層は、青色光有機蛍光層の材料の一重項励起子が量子ドットへ転移することを防止可能で、一重項励起子が完全に青色光の生成に使用されるようにすることができるとともに、前記スペーサー層は、青色光有機発光層内の三重項励起子を量子ドット発光層に拡散させて量子ドット発光を増感することもでき、これによって、量子ドット白色光ダイオードの発光効率が効果的に向上される。本開示は、量子ドット白色光ダイオードを更に提供しており、青色光有機蛍光材料を、第一p型半導体材料と第一n型半導体材料とが混合して形成された第一主体材料に均一にドープすることで、前記第一主体材料内の一重項励起子が、Forsterエネルギー転移で青色光有機蛍光材料に伝達されて発光再結合して青色光放出することが可能になり、前記第一主体材料及び青色光有機蛍光材料の三重項励起子が、量子ドット発光層に拡散してDexterエネルギー転移で量子ドットに伝達され、量子ドットを励起して光子を放出させることが可能なり、これによって、量子ドット白色光ダイオードの発光効率が効果的に向上される。
【0096】
本開示の応用は、上記の例に限定されず、当業者にとって、上記の説明に従って改良又は変更可能であり、これらの改良及び変更の全ては、本開示の添付の特許請求の範囲の保護範囲に含まれるべきであることを理解されたい。