【課題を解決するための手段】
【0005】
このような背景から、ここに提示されたアプローチは、車両の制御装置で実行可能な少なくとも1つのアプリケーションのアプリケーションデータ提供方法、この方法を使用する制御装置、制御装置の較正方法、この方法を使用する評価装置、および最後に、主請求項にかかる対応したコンピュータプログラムを提示する。従属請求項で実施される手段は、独立請求項に記載された装置の展開形態および改善形態を可能にする。
【0006】
ここで提示するアプローチは、マイクロプロセッサにおいて、例えば運転者支援システムの制御装置に使用されるように、PMD(PMD=Process Measurement Daemon)または仮想メモリ内で実行可能なその他の通信アプリケーションを使用して、制御装置外部の計測用コンピュータと通信できるという見識に基づく。これにより、仮想メモリ管理部の実際のメモリマッピングからは独立して、マイクロプロセッサの異なって割り当てられた記憶領域から測定データや較正データを容易に読み出すことができる。
【0007】
とりわけ、ここで提示するアプローチは、新型オペレーティングシステムおよびメモリ仮想化機能を備えたマイクロプロセッサ上で、XCP(expendable current probe)を備えた測定および較正インターフェースをどのように使用できるかを説明している。この方法は、自律走行などの運転者支援制御装置には不可欠である。特に、ここで提示されたアプローチは、例えば、POSIX互換オペレーティングシステム(Portable Operating System Interface)でのXCP測定インターフェースの実装を可能にする。
【0008】
これは、運転者支援制御装置において、対応するPCツールを含む既に確立された測定プロトコルをさらに使用できるという利点を有する。このように、メモリ仮想化機能を備えた新しいマイクロプロセッサに基づくシステムは、確立された測定ツールを用いて引き続き分析および較正することができる。したがって、制御装置の技術変化が広範囲に及んでいることを鑑みると、計測技術分野での適合の負担を最小限に減らすことができる。
【0009】
車両の制御装置で実行可能な少なくとも1つのアプリケーションのアプリケーションデータ提供方法が提示され、制御装置は、仮想メモリ管理部を有するオペレーティングシステムを実行するためのコンポーネントを含み、この方法は、以下の、
− 第1の仮想メモリのアプリケーションアドレス空間を読み出すステップであって、アプリケーションアドレス空間がアプリケーションのプロセスに対応付けられ、アプリケーションデータによって占有されている制御装置の物理メモリの領域をマッピングするステップと、
− 通信インターフェースを介してアプリケーションデータを提供するために、さらなる仮想メモリのアプリケーションアドレス空間を、外部評価装置の通信インターフェースを介したデータ交換のための通信アプリケーションのプロセスに対応付けられている、仮想アドレス空間に挿入するステップと
を含む。
【0010】
アプリケーションデータは、例えば、測定データや較正データであってもよい。アプリケーションデータは、アプリケーションのプロセスによって使用および/または作成されたものであってもよい。制御装置は、例えばエンジン制御装置、または運転者支援機能を制御する装置と理解できる。アプリケーションは、コンピュータプログラムまたはソフトウェアと理解できる。例えば、アプリケーションは、スレーブとして動作するプログラムのインスタンスと理解できる。特に、アプリケーションは、仮想プロセス領域内で実行可能である。コンポーネントは、例えば、マイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラ、または揮発性もしくは不揮発性メモリであってよい。オペレーティングシステムは、特に、POSIX準拠のオペレーティングシステム、特に、例えばLinuxやQNXなどのリアルタイムオペレーティングシステムであってよい。仮想メモリ管理部は、アプリケーションによって生成されたメモリアドレスが、メモリバスに直接アクセスするのではなく、メモリ管理ユニットにアクセスする仮想アドレス空間を形成するメモリ管理部の一種であると理解できる。仮想メモリ管理部は、仮想アドレスを実際に存在する物理メモリのアドレスにマッピングする。この意味で、仮想アドレス空間は、オペレーティングシステムがプロセスに割り当てる物理メモリから独立したアドレス空間であると理解できる。したがって、アプリケーションアドレス空間は、オペレーティングシステムによってアプリケーションのプロセスに割り当てられた仮想アドレス空間であり、他方で、物理メモリの特定のアドレス空間を参照するものと理解できる。アプリケーションのアプリケーションアドレス空間および/または通信アプリケーションの仮想アドレス空間は、物理メモリのメモリ部を参照する指数の形態でのデータを含むことができる。
【0011】
物理メモリは、フラッシュメモリやRAMメモリなどの形態の揮発性メモリや不揮発性メモリであると理解できる。物理メモリは、例えば、制御装置のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラに組み込まれていてもよいし、外部メモリとして実現されていてもよい。通信アプリケーションは、特に、コード分析のためのプログラミングツール、例えば、プロセス測定デーモン、いわゆるPMD、または類似のものであると理解できる。通信インターフェースは、例えば、XCPプロトコルまたはその他の適切なネットワークプロトコルを介して、測定および較正データを交換するための測定および較正インターフェースであると理解できる。通信インターフェースは、ハードウェア側では、無線インターフェースまたは有線インターフェース、例えばイーサネット(登録商標、以下同じ。)インターフェースとして構成することができる。制御装置外部の評価装置は、例えば、ラップトップまたはPCの形態で制御装置に結合可能な測定および較正コンピュータであると理解できる。通信インターフェースは、トランスポート層とは分かれたプロトコル層を有することができるため、例えば、CANバスに基づくトランスポート層を使用できる。
【0012】
一実施形態によれば、提供するステップにおいて、通信インターフェースとしてのXCPインターフェースを介してアプリケーションデータを提供することができる。XCPインターフェースは、Universal Measurement and Calibration Protocolとも呼ばれる、制御装置較正のための標準化された測定および較正プロトコルを介してデータ交換を行うためのインターフェースであると理解できる。これにより、方法の普遍的な適用性が保証される。
【0013】
通信アプリケーションのプロセスは、メモリ管理部のハードウェアユニットを介さずに、読み出すステップと挿入するステップとを実行するように構成できる。したがって、制御装置はいわゆるMMU(Memory Management Unit)を使用せずに実施することができる。
【0014】
その他の実施形態によれば、読み出すステップにおいて、アプリケーションデータの少なくとも1つの物理アドレスおよび/または仮想アドレスをアプリケーションアドレス空間として読み出すことができる。物理アドレスは、物理メモリの占有領域の位置であると理解できる。仮想アドレスは、物理アドレスを参照する仮想メモリの領域であると理解できる。本実施形態では、アプリケーションアドレス空間の効率的かつ確実な決定が保証される。
【0015】
さらに、挿入するステップにおいて、制御装置のPOSIXに基づくオペレーティングシステムを使用して、アプリケーションアドレス空間を仮想アドレス空間に挿入することができる。POSIXに基づくオペレーティングシステムは、大部分がPOSIXに準拠しているか、互換性の強化によってPOSIXに準拠したオペレーティングシステムであると理解できる。この実施形態により、高効率なメモリ管理を実現することができる。
【0016】
さらなる実施形態によれば、アプリケーションに対応付けられたプロセスの所定のイベントに応答して、アプリケーションアドレス空間を読み出すことができる。例えば、読み出すステップは、アプリケーションに対応付けられたプロセスの開始または終了に応答して実行できる。このようにして、例えば常に最新のデータを、通信インターフェースを介して読み出すことができる。
【0017】
読み出すステップにおいて、制御装置上で実行可能な第2のアプリケーションのプロセスに対応付けられており、第2のアプリケーションの第2のアプリケーションデータが占有する物理メモリの領域を表す第2の仮想メモリの第2の仮想アプリケーションアドレス空間を読み出すことができる。したがって、通信インターフェースを介して第2のアプリケーションデータを提供するために、挿入するステップにおいて、第2のアプリケーションアドレス空間を仮想アドレス空間に挿入することができる。第2のアプリケーションデータは、第2のアプリケーションプロセスによって使用および/または作成することができる。通信アプリケーションのプロセスによって複数のアプリケーションの複数の仮想メモリにアクセスできることで、通信インターフェースを介して制御装置の複数の異なるアプリケーションのデータを共通で読み込んで較正することができる。
【0018】
ここで提示するアプローチはまた、ここで提示する方法の変形例のステップを適切な装置で実行、駆動制御、または実現するように構成された制御装置を生成する。また、制御装置の形態による本発明のこの実施形態の変形例は、本発明の根拠となる課題を迅速かつ効率的に解決することができる。
【0019】
このために、制御装置は、信号またはデータを処理するための少なくとも1つの演算装置、信号またはデータを保存するための少なくとも1つの記憶ユニット、センサからのセンサ信号を読み込むか、アクチュエータに制御信号を出力するセンサまたはアクチュエータへの少なくとも1つのインターフェース、および/または通信プロトコルに埋め込まれたデータを読み込むか、出力するための少なくとも1つの通信インターフェースを有することができる。演算ユニットは、例えば、シグナルプロセッサ、マイクロコントローラなどであってもよく、記憶ユニットは、フラッシュメモリ、EPROM(erasable,programmable read−only memory)、または磁気記憶ユニットであってよい。通信インターフェースは、無線および/または有線でデータを読み取るかまたは出力するように構成されていてもよく、有線によるデータを読み取るか、または出力することができる通信インターフェースは、例えば、電気的または光学的に、対応するデータ伝送ラインからこのデータを読み取るか、または対応するデータ伝送ラインに出力することができる。
【0020】
制御装置は、ここでは、センサ信号を処理し、それに応じて制御信号および/またはデータ信号を出力する電気装置であると理解できる。制御装置は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアベースによって構成できるインターフェースを有していてもよい。ハードウェアによる構成の場合、インターフェースは、例えば、制御装置の各種機能を含む、いわゆるシステムASIC(Application Specific Integrated Circuit)の一部とすることができる。しかし、インターフェースがそれ自身の集積回路であるか、または少なくとも部分的にディスクリート構成要素からなることも可能である。ソフトウェアによる構成の場合、インターフェースは、例えば、他のソフトウェアモジュールと並んでマイクロコントローラ上に存在するソフトウェアモジュールであり得る。
【0021】
有利な形態では、制御装置は車両制御を行う。このために、制御装置は、加速度センサ信号、圧力センサ信号、操舵角センサ信号、または環境センサ信号のようなセンサ信号にアクセスすることができる。駆動制御は、制動アクチュエータや操舵アクチュエータなどのアクチュエータや、車両のエンジン制御装置を介して行われる。
【0022】
一実施形態によれば、制御装置は、少なくともマイクロプロセッサ、物理メモリ、アプリケーションに対応付けられた第1の仮想メモリ、および通信アプリケーションに対応付けられた第2の仮想メモリをユニットとして有することができる。これにより、比較的安価な製造コストと小さなスペースで、高い演算能力を有する制御装置を実現できる。
【0023】
また、ここで提示されたアプローチは、上記の一実施形態にかかる方法で提供されるアプリケーションデータを使用した制御装置の較正方法を生成し、この方法は、以下の、
− 通信アプリケーションを使用して通信インターフェースを介してアプリケーションデータを読み取るステップと、
− アプリケーションデータを使用して制御装置の少なくとも1つのパラメータを調整するための較正情報を生成するステップと、
− 制御装置を較正するために、通信インターフェースに較正情報を出力するステップと
を含む。
【0024】
較正情報は、例えば、A2Lファイルのような制御装置内の値の記述ファイル、または測定または調整動作を実行するのに適した他の情報であると理解できる。
【0025】
上述した方法は、例えば、ソフトウェアまたはハードウェアで、またはソフトウェアとハードウェアとの混合形態で、例えば制御装置に実装することができる。
【0026】
ここで提示されたアプローチはまた、上記の実施形態にかかる方法を実行および/または駆動制御するために構成されたユニットを有する評価装置を作成する。評価装置は、制御装置または車両外部のコンピュータであると理解できる。
【0027】
有利なのは、コンピュータプログラム製品またはプログラムコードを有するコンピュータプログラムであって、機械可読媒体または半導体メモリ、ハードディスクメモリまたは光メモリなどの記憶媒体に保存でき、特に、プログラム製品またはプログラムがコンピュータまたは装置上で実行される場合に、上記のいずれかの実施形態に記載の方法のステップを実行、実現および/または駆動制御するために使用されるものである。
【0028】
本発明の実施例を図面に示し、以下の説明で詳述する。