(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記配信先は、血液浄化装置の監視又は管理を行わない人物に携帯された端末装置又は血液浄化装置の監視又は管理を行わない事業者に設置された端末装置の少なくとも一方を含む、
ことを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の情報配信装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、血液浄化治療は、一般的に4時間から5時間程度と長時間要するものであり、治療日の患者の体調や、他の患者の人数などにより、血液浄化治療開始予定時間が遅れたり、血液浄化治療が長引いたりするため、患者が血液浄化治療から解放され、自由行動を開始できる自由行動開始時刻(例えば、病院を退出する退出時刻)が、予測どおりにならないことがある。そのため、予約していた帰宅用のタクシー会社の運転手を、長時間待たせることがある。
【0006】
そこで、本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであり、治療施設を患者が退出する退出時刻、又は治療施設を退出した後の立ち寄り先に患者が到着する立寄時刻などの自由行動開始時刻を、自由行動に関与する事業者又は人物に配信できる情報配信装置、その制御方法及びプログラム、並びに血液浄化治療システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る1つの態様は、治療施設で患者が受ける血液浄化治療が終了する治療終了時刻を取得する終了時刻取得部と、前記終了時刻取得部が取得した治療終了時刻と、前記患者に固有の情報である患者情報とに基づいて、前記治療施設を患者が退出する退出時刻、又は前記治療施設を退出した後の立ち寄り先に患者が到着する立寄時刻を演算する演算部と、指定された配信先に対して、前記退出時刻又は前記立寄時刻よりも前に、前記退出時刻又は前記立寄時刻を含む通知情報を配信する配信部と、を備えるものである。
(2)上記(1)の態様において、前記患者情報は、前記患者の血液浄化治療終了時刻直後の患者ルーチンを実行する患者ルーチン実行時間を含んでもよい。
(3)上記(1)又は(2)の態様において、前記患者情報は、要支援度又は要介護度を含んでもよい。
(4)上記(1)から(3)までのいずれか1つの態様において、前記通知情報は、前記患者情報の少なくとも一部を含んでもよい。
(5)上記(1)から(4)までのいずれか1つの態様において、前記通知情報は、前記患者からのメッセージを含んでもよい。
(6)上記(1)から(5)までのいずれか1つの態様において、前記配信先は、血液浄化装置の監視又は管理を行わない人物に携帯された端末装置又は血液浄化装置の監視又は管理を行わない事業者に設置された端末装置の少なくとも一方を含んでもよい。
(7)上記(1)から(6)までのいずれか1つの態様において、前記情報配信装置は、前記患者に対する処方箋を取得する処方箋取得部を更に備え、前記配信先は、薬局又は調剤所であり、前記配信部は、前記取得した処方箋を、前記薬局又は前記調剤所に配信してもよい。
(8)上記(1)から(7)までのいずれか1つの態様において、前記配信先は、血液浄化を実施する曜日、時間帯に応じて選択可能であってもよい。
(9)上記(1)から(8)までのいずれか1つの態様において、前記配信先は、血液浄化装置の設置場所に応じて選択可能であってもよい。
(10)本発明に係る別の1つの態様は、情報配信装置の制御方法であって、治療施設で患者が受ける血液浄化治療が終了する治療終了時刻を取得する終了時刻取得ステップと、前記取得した治療終了時刻と、前記患者に固有の患者情報とに基づいて、前記治療施設を患者が退出する退出時刻、又は前記治療施設を退出した後の立ち寄り先に患者が到着する立寄時刻を演算する演算ステップと、指定された配信先に対して、前記退出時刻又は前記立寄時刻よりも前に、前記退出時刻又は前記立寄時刻を含む通知情報を配信する配信ステップと、を含むものである。
(11)本発明に係る更に別の1つの態様は、コンピュータに、治療施設で患者が受ける血液浄化治療が終了する治療終了時刻を取得する終了時刻取得機能と、前記取得した治療終了時刻と、前記患者に固有の患者情報とに基づいて、前記治療施設を患者が退出する退出時刻、又は前記治療施設を退出した後の立ち寄り先に患者が到着する立寄時刻を演算する演算機能と、指定された配信先に対して、前記退出時刻又は前記立寄時刻よりも前に、前記退出時刻又は前記立寄時刻を含む通知情報を配信する配信機能と、を実現させるものである。
(12)本発明に係る更に別の1つの態様は、血液浄化治療システムであって、請求項1から9までのいずれか1項に記載の情報配信装置と、患者に対して血液浄化治療を行うとともに、前記情報配信装置とLANを介して接続される血液浄化装置と、前記LANに接続される外部ネットワークを介して前記情報配信装置と接続される端末装置と、を含み、前記情報配信装置は、前記外部ネットワークを介して、前記通知情報を前記端末装置に配信するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、治療施設を患者が退出する退出時刻、又は治療施設を退出した後の立ち寄り先に患者が到着する立寄時刻などの自由行動開始時刻を、自由行動に関与する事業者又は人物に配信できる情報配信装置、その制御方法及びプログラム、並びに血液浄化治療システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本明細書の実施形態においては、全体を通じて、同一の部材には同一の符号を付している。
【0011】
まず、実施形態の血液浄化治療システム100について説明する。
図1は、実施形態の血液浄化治療システム100を示す概略図である。
図2は、血液浄化治療システム100における各装置の構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、血液浄化治療システム100は、治療施設(例えば、病院)の透析室に設置され、患者Pに対して透析治療などを行う血液浄化装置10と、病院のLocal Area Network(院内LAN)を介して血液浄化装置10に接続された中央監視装置20と、院内LANにルータを介して接続された、インターネット、公衆回線などの外部ネットワーク内の端末装置30と、で構成される。なお、院内LANには、電子カルテ、会計システムなど他の院内システムや院内端末40が接続されていてもよい。
【0013】
本実施形態における血液浄化装置10は、例えば、患者に対する透析治療を行う透析装置10Aとするが、血液浄化装置10は、血液透析(HD)だけでなく、血液濾過(HF)、血液透析濾過(HDF)、血漿交換、血漿吸着などの治療を行うものであってもよい。
【0014】
この透析装置10Aは、患者Pから血液を採血及び返血する体外血液回路、中空糸型透析器であるダイアライザ、透析液を作製する溶解装置、透析液を供給する透析液供給装置、及び操作画面を表示する表示装置、制御装置などを備えている。制御装置は、演算部11となるCPU、各種データ、ファイル、プログラム(ソフトウェア)などを記憶する記憶部12、データを送信する送信部13、データを受信する受信部14、操作画面などを表示する表示部15、操作画面上でタッチ入力可能な入力部16などを有し、記憶部12に記憶されたプログラムを読み出して、演算部11で実行することにより、これらの各装置を統括制御する(
図2参照)。
【0015】
また、透析装置10Aは、除水量などの(透析)治療条件を、医師又は看護師(医療従事者)の直接入力により入力部16で設定するか、あるいは、医療従事者があらかじめ院内端末40で入力したものを、中央監視装置20から受信することで、取り込み設定することができる。なお、透析装置10Aは、中央監視装置20から後述する各種情報を、所定のタイミングで受信し、取り込むことができ、逆に中央監視装置20に各種情報を送信し、引き渡すこともできる。
【0016】
治療条件が設定されると、透析装置10Aの演算部11は、目標除水量や実除水量などに基づいて、リアルタイムで治療終了予定時刻T0を演算し、操作画面に通知したり、中央監視装置20に通知したりできる。また、透析治療が終了したときは、治療終了時刻T1として、通知する。なお、演算部11は、治療終了予定時刻T0を、デフォルト値(例えば、開始時刻から4時間後の時刻)で中央監視装置20に通知してもよい。
【0017】
つぎに、中央監視装置20は、演算部21となるCPU、記憶部22、配信部23を有するパソコン(コンピュータ)で構成されている。中央監視装置20は、記憶部22に記憶されたプログラムを読み出して、演算部21で各ステップを実行することにより、各種情報やデータを送信又は配信する。なお、この中央監視装置20は、透析装置10Aなどからのデータを受信する受信部24や、操作画面などを表示する表示部25や、マウス・キーボードなどの入力部26も有しているが、基本的にファイルサーバとして利用されるものである(
図2参照)。
【0018】
記憶部22には、月日、曜日、時間帯(例えば、午前/午後)などの時間情報と、氏名、性別、年齢、身長、体重、血液型、透析日、要支援度又は要介護度、後述する患者ルーチン及び患者ルーチン実行時間Trなどの患者情報PIと、ダイアライザ、抗凝固剤、透析液などの種類、体重、血流量などの透析情報(透析条件)と、患者Pと透析装置10Aとを関連付けるベッド番号などが記憶されている。
【0019】
また、病院内に電子カルテが導入されている場合には、中央監視装置20は、患者情報PIの他、注射、処方、看護記録、医師所見、既往歴、血液検査結果などの治療情報、親族情報、保険情報を、手動又は自動により取り込むことができる。また、中央監視装置20は、これら以外にも、透析治療中の除水量、血流量、静脈圧、バイタルデータなどの各種データを、透析装置10Aから取得して記憶部22に記憶することができる。
【0020】
ここで、中央監視装置20は、本実施形態の血液浄化治療システム100において、1又は複数の端末装置30に各種情報を通知情報INFとして配信する情報配信装置20Aとしても機能する。この場合、情報配信装置20Aは、演算部21、記憶部22、配信部23、受信部24を有することになる(
図2参照)。
【0021】
演算部21は、治療終了予定時刻T0又は治療終了時刻T1と、患者Pに固有の情報である患者情報PIとに基づいて、患者Pが血液浄化治療から解放され、自由行動を開始できる自由行動開始時刻Taを演算する。具体的には、治療終了予定時刻T0又は治療終了時刻T1に、患者情報PI(後述の患者ルーチン実行時間Tr)を加算することによって、自由行動開始時刻Taを演算する。なお、この自由行動には、主として、自家用又は公共用移動手段による移動行為が含まれるが、徒歩による移動行為であってもよい。例えば、治療施設を退出する場合は、自由行動開始時刻Taとしての退出時刻Taを演算され、治療施設を退出した後の立ち寄り先として調剤薬局で処方薬を受け取る場合は、自由行動開始時刻Taとしての立寄時刻Taが演算される。そして、治療施設(病院前)にタクシーを呼ぶ場合は、退出時刻Taが迎車時刻となり、治療施設を退出した後の立ち寄り先にタクシーを呼ぶ場合は、立寄時刻Taが迎車時刻がとなる。このように、自由行動に応じて、退出時刻Taを演算する場合も、立寄時刻Taを演算する場合もある。
【0022】
配信部23は、携帯電話番号を利用したショート・メッセージ・サービス(SMS)、メール、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を利用したもの、ウェブサーバ(ホームページ)へのアップロードなどにより、通知情報INFを端末装置30,30Aに配信するが、配信リクエストが情報配信装置20A側により開始されるプッシュ通知で配信するものが好ましい。
【0023】
配信部23が通知する通知情報INFには、少なくとも上述の自由行動開始時刻Taが含まれ、必要に応じて、例えば、患者Pからのメッセージや要支援度又は要介護度などの患者情報PIが含まれてもよい。通知情報INFを配信する配信先に薬局又は調剤所が含まれる場合には、処方箋PRが含まれることもある。
【0024】
また、配信部23による通知情報INFの配信先については、後述するが、透析装置10A(血液浄化装置10)の監視又は管理を行わない端末装置30が挙げられる。配信先は、血液浄化を実施する曜日、時間帯に応じて手動又は自動により選択可能であり、さらに、透析装置10Aの設置場所に応じても、手動又は自動により選択可能である。
【0025】
情報配信装置20Aは、上述のほか、終了時刻取得部21a及び処方箋取得部21bも有している。これらの終了時刻取得部21a及び処方箋取得部21bは、演算部21の機能の一部として実現される。
【0026】
終了時刻取得部21aは、透析装置10Aから治療終了時刻T1を取得するが、透析装置10Aが治療終了予定時刻T0を演算する場合は、治療終了予定時刻T0を取得するようにしてもよい。処方箋取得部21bは、電子カルテなどから患者Pに対する処方箋(処方箋データ)PRを取得する。
【0027】
情報配信装置20Aからの通知情報INFの配信先となる端末装置30は、患者Pに関与する旅客自動車運送事業者(タクシー会社)や介護事業者などの事務所に設置されたパソコン(あるいは、タブレット)や、タクシー会社に従事する運転手や介護事業者に従事する介護士が携帯している携帯端末装置30A(例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット、ハンディ型専用端末など)である。これらの端末装置30は、通常、透析装置10Aが設置された病院とは異なる事業者などの建物に設置されているが、移動可能な携帯型の端末装置30Aであれば、患者Pの送迎時などに、病院内に位置していることもある。また、上記の配信先以外に、病院内の医療従事者が携帯している携帯型の端末装置30Aに、配信するようにしてもよい。
【0028】
この端末装置30,30Aは、情報配信装置20Aなどと同様に、演算部31、記憶部32、送信部33、受信部34、表示部35、入力部36などを有しているが、少なくとも受信した通知情報INFを表示することができればよい(
図2参照)。
【0029】
最後に、院内端末40は、各種プログラムを実行することで、各種のデータを入力したり、中央監視装置20にデータを送受信したりするもので、情報配信装置20Aなどと同様に、演算部41、記憶部42、送信部43、受信部44、表示部45、入力部46などを有するパソコン又は携帯電話、スマートフォン、タブレットなどの携帯型端末であるとよい(
図2参照)。
【0030】
本実施形態の血液浄化治療システム100は、上述のような構成であるが、体重計50を更に備えてもよい。例えば、体重計50は、院内LANに接続され、診察券などの患者ICカードを読み取ることにより、患者Pを認識することができ、その体重を中央監視装置20に送信できるようなものがよい。
【0031】
ここで、ある患者Pが、透析(血液浄化)治療を受けるために、病院に来院し、治療後に帰宅する場合の流れについて簡単に説明する。
【0032】
まず、患者Pは、来院して受付を済ますと、私服から治療着に着替えを行う。ついで、患者Pは、体重計50による治療前の体重測定が行われ、その後、透析用ベッドに移動して、血圧計による血圧測定が行われる。このとき、医師による問診が必要に応じて行われる。
【0033】
その後、所定の血液回路及び透析液回路が形成された透析装置10Aに、患者Pが連結され、透析治療が開始される。なお、患者Pに対する透析治療の準備や透析装置10Aの設定は、事前に準備されている。
【0034】
除水量が目標除水量に達し、透析治療が終わると、体外血液回路に残った血液が患者Pの体内に戻される返血処理が行われる。
【0035】
返血処理が終わると、患者Pに対して止血処理が行われる。止血処理は、抜針した四肢の箇所からの血液が止まったことを医療従事者が確認して終える。これに前後して、血圧測定が行われる。
【0036】
そしてその後、治療後の体重測定が行われ、治療着から元の私服に着替える。なお、治療前後の体重、除水量、透析時間などの治療情報は、中央監視装置20で履歴として記録される。
【0037】
このうち透析治療の時間は、4時間から5時間程度であり、透析治療終了から治療後の体重測定までの治療後処置ルーチンの実行時間は、患者Pにより多少前後することもあるが、一般的に10分から20分程度である。
【0038】
透析治療及び治療後処置ルーチンの一連の治療が終わると、患者Pは、患者Pに固有の固有ルーチンを行い、最後に会計窓口などで医療費精算する。固有ルーチンは、一連の治療の後に、定型的に患者が行う行動であり、例えば、休憩、食事、談話などである。また、固有ルーチンの実行時間は、患者Pによって10分から2時間程度まで大きく異なっている。そして、患者ルーチンは、治療終了時刻T1以降の治療後処理ルーチンと、固有ルーチンとを合わせたものであり、この患者ルーチンを実行する実行時間を患者ルーチン実行時間Trという。
【0039】
透析治療及び患者ルーチンを完了することで、患者Pは、自由行動を開始できるようになるため、帰宅できるようになる。そして、患者Pは、帰宅する際に、タクシーに乗ったり、調剤薬局に立ち寄ったりする。
【0040】
つぎに、血液浄化治療システム100における、透析装置10A、情報配信装置20A、端末装置30,30Aの処理フローについて個別に説明する。
図3は、血液浄化治療システム100における各装置の処理フローを示すフロー図である。
【0041】
透析装置10AのステップS10では、透析装置10Aの演算部11が、除水量が目標除水量に達したか否かを検出して、透析治療が終了したか否かを判定する。
【0042】
透析治療が終了したと判定すると、ステップS11で、演算部11は、治療終了時刻T1を情報配信装置20Aに送信する。ただし、治療終了時刻T1は、自由行動開始時刻Taよりも前の事前時刻Tbとする。
【0043】
その後、ステップS12で、演算部11は、動作終了であるか否かを判定し、動作終了であると判定すると、透析装置10Aの動作を終了する。
【0044】
一方、情報配信装置20AのステップS20では、情報配信装置20Aの演算部21が、治療終了時刻T1の受信可の設定であるか否かを判定する。
【0045】
受信可の設定であると判定すると、ステップS21で、演算部21は、透析装置10Aから送信された治療終了時刻T1を終了時刻取得部21aで取得し、記憶部22に取り込み記憶するように動作させる。
【0046】
治療終了時刻T1を取得すると、ステップS22で、演算部21は、治療終了時刻T1の配信先に対する配信が必要であるか否か(配信要の設定であるか否か)を判定する。
【0047】
配信が必要である(配信要の設定である)と判定すると、ステップS23で、演算部21は、通知情報INFの配信の準備処理を行う。これと同時に、情報配信装置20Aの演算部21は、治療終了時刻T1と、患者Pに固有の情報である患者情報PI(患者ルーチン実行時間Tr)とに基づいて、自由行動開始時刻Taを演算する。具体的には、演算部21は、治療終了時刻T1に、患者情報PIの患者ルーチン実行時間Trを加算することによって、自由行動開始時刻Ta(退出時刻、立寄時刻など)を演算する。
【0048】
また、演算部21は、通知情報INFの配信先を選択する画面を院内端末40の表示部45に表示し、医療従事者は、患者Pからあらかじめ指示された配信先を選択する。ただし、配信先は、透析装置10Aで選択設定するように構成してもよい。
【0049】
その後、ステップS24で、演算部21は、自由行動開始時刻Taの演算直後又は設定された事前時刻Tbにおいて、選択された配信先に対して通知情報INF(自由行動開始時刻Taを含む)を配信するように動作させる。
【0050】
更にその後、ステップS25で、演算部21は、動作終了であるか否かを判定し、動作終了であると判定すると、情報配信装置20Aの動作を終了する。
【0051】
また、ステップS22に戻って、配信が不要である(配信不要の設定である)と判定すると、ステップS23及びステップS24を飛ばして、ステップS25に移行する。
【0052】
他方、端末装置30,30AのステップS30では、演算部31が、自由行動開始時刻Taの受信可の設定であるか否かを判定する。
【0053】
受信可の設定であると判定すると、ステップS31で、演算部31は、情報配信装置20Aが配信した通知情報INFを受信するように動作させる。
【0054】
端末装置30,30Aは、通知情報INFを受信すると、ステップS32で、演算部31は、表示部35の画面に表示したり、スピーカから発音したりして、端末装置30,30Aの作業者、所持又は携帯者に報知するように動作させる。
【0055】
更にその後、ステップS33で、演算部31は、動作終了であるか否かを判定し、動作終了であると判定すると、端末装置30,30Aの動作を終了する。
【0056】
ところで、治療終了時刻T1から自由行動開始時刻Taまでの時間差が、30分程度あれば、例えば、タクシーの迎車の準備や処方箋調剤であっても、一般的に間に合うと思われるが、15分程度に短くなると、病院や調剤薬局の立地条件、渋滞などの交通事情、調剤薬局の混雑状況によって、タクシーの迎車や処方箋調剤が間に合わないことがある。
【0057】
そこで、治療終了時刻T1に、通知情報INFを端末装置30,30Aに配信するのではなく、治療終了予定時刻T0を透析装置10A(あるいは、情報配信装置20A)の演算部11で演算し、自由行動開始時刻Taよりも、30分程度前の事前時刻Tbに通知情報INFを端末装置30,30Aに配信するように設定するとより好ましい。
【0058】
この場合、先のステップS10の上流ステップで、事前時刻Tbが経過したか否かを判定し、事前時刻Tbが経過していないときは、ステップS10に進み、事前時刻Tbが経過したときは、あらかじめ演算又は設定された治療終了予定時刻T0を、情報配信装置20Aに通知してから、ステップS10に進むようにするとよい。ただし、事前時刻Tbは、これに限らず、透析装置10A(又は病院)の設置場所や端末装置30,30A(事業者)の設置場所などに応じて適宜時間を選択できるようにするとよい。
【0059】
つぎに、患者Pの自由行動について、具体例を挙げて情報配信装置20Aの配信準備フローとともに説明する。
(自由行動例1)
まず、患者Pがタクシーで帰宅する場合について説明する。
図4は、タクシーで移動する自由行動を含む場合の配信準備フローを示すフロー図である。
【0060】
患者Pが病院で受付を済ませると、ステップS40で、情報配信装置20Aの演算部21は、記憶部22から患者Pに固有の情報である患者情報PIを取得する。このとき、患者情報PIに、移動行為(車両移動)に関連する要介護度(ステップS41)や患者Pからのメッセージ(ステップS42)が含まれていれば、通知情報INFに含める準備を行う。なお、患者からのメッセージは、透析装置10Aの入力部16、情報配信装置20Aの入力部26、院内端末40の入力部36などで、患者又は医療従事者により入力される。
【0061】
つづいて、ステップS43で、演算部21は、透析治療が終了したタイミングで透析装置10Aから送信され、ステップS21で受信した患者Pの治療終了時刻T1と、患者情報PIの患者ルーチン実行時間Trとに基づいて、自由行動開始時刻である病院の退出時刻Taあるいは迎車時刻Taを演算する。具体的には、演算部21は、治療終了時刻T1に、患者情報PIの患者ルーチン実行時間Trを加算することによって、病院の退出時刻Taあるいは迎車時刻Taを演算する。
【0062】
情報配信装置20Aで退出時刻Taが演算されると、ステップS44で、演算部21は、退出時刻Taを基準に、配信先候補であるタクシー会社を決定する。具体的には、演算部21は、複数のタクシー会社から、退出時刻Taの時間帯に対応可能なタクシー会社をいくつか自動的に選択する。このとき、タクシー会社は、病院に近い順などで、透析装置10Aの表示部15、院内端末40の表示部45、又は情報配信装置20Aの表示部25に表示されるようにしてもよい。なお、患者Pによっては、特定のタクシー会社のみが選択可能になるようにしてもよい。
【0063】
そして、情報配信装置20Aは、例えば表示部15、表示部25、又は表示部45によって患者に配信先候補であるタクシー会社を提示した上で、患者Pの指示に従って選択されたタクシー会社を、配信先に設定する。なお、患者の指示に従ってタクシー会社を配信先として設定するのではなく、演算部21が、退出時刻Taを基準に配信先であるタクシー会社を決定しても良い。この場合、情報配信装置20Aは、演算部21が決定したタクシー会社を患者から確認又は許可を受けたことを条件に、配信先であるタクシー会社を決定することが望ましい。
【0064】
ステップS45で、退出時刻Ta、要介護度、メッセージなどを通知情報INFとしてセットする。
【0065】
このようにして、情報配信装置20Aに、配信先、通知情報INF、退出時刻Taがセットされると、情報配信装置20Aは、通知情報INFを配信先である端末装置30,30Aに配信する。なお、事前時刻Tbに通知情報INFを配信する場合は、情報配信装置20Aに、通知情報INFを配信する事前時刻Tbを設定するとよい。
【0066】
この間、患者Pは、上述した透析治療及び患者ルーチンを行う。そして、退出時刻Taになって、病院の玄関を出ると、退出時刻Taは、あらかじめ、タクシー会社に配信されているため、到着しているタクシーにすぐに乗り込むことができ、患者Pはタクシーの到着を待つ必要がない。また、運転手は患者Pの到着を待つことなく、互いに時間を節約することができる。
【0067】
さらに、タクシー会社は、要介護度やメッセージを取得することにより、車椅子やストレッチャーのまま乗車できる福祉タクシー、あるいは、介護保険が適用される介護タクシーを手配することができる。なお、タクシーに替えて、親族に自家用車で迎えに来てもらう場合も、同様である。
【0068】
(自由行動例2)
つぎに、患者Pが調剤薬局に立ち寄りで処方薬を受け取る場合について説明する。
図5は、調剤薬局で処方薬を受け取る自由行動を含む場合の配信準備フローを示すフロー図である。
【0069】
患者Pが病院で受付を済ませると、ステップS50で、情報配信装置20Aは、記憶部22から患者Pに関する患者情報PIを取得する。このとき、患者情報PIに、患者Pからのメッセージが含まれていれば、通知情報INFに含める準備を行う(ステップS52)。また、患者Pが調剤薬局までタクシーで移動する場合は、上述と同じように処理する。
【0070】
つぎに、ステップS51で、情報配信装置20Aは、医師の処方箋PRを処方箋取得部21bで取得する。
【0071】
つづいて、ステップS53で、演算部21は、透析治療が終了したタイミングで透析装置10Aから送信され、ステップS21で受信した患者Pの治療終了時刻T1と、患者情報PIの患者ルーチン実行時間Trと、調剤薬局までの移動所要時間と、に基づいて、自由行動開始時刻である立寄時刻Taを演算する。なお、調剤薬局までの移動所要時間を、調剤薬局の余裕時間と考慮して、立寄時刻Taを上述した退出時刻Taとしてもよい。
【0072】
情報配信装置20Aで立寄自由行動開始時刻Taが演算されると、ステップS54で、演算部21は、複数の調剤薬局から、立寄時刻Taの時間帯に対応可能な調剤薬局をいくつか自動的に選択可能にする。このとき、調剤薬局は、病院に近い順などで透析装置10Aの表示部15(あるいは、院内端末40の表示部45又は情報配信装置20Aの表示部25)に表示するようにしてもよい。なお、患者Pによっては、掛かりつけの調剤薬局のみが選択可能になるようにしてもよい。
【0073】
そして、情報配信装置20Aは、患者Pの指示に従って選択された調剤薬局を、配信先に設定する。
【0074】
ステップS55で、立寄時刻Ta、処方箋PR、メッセージなどを通知情報INFとしてセットする。
【0075】
このようにして、情報配信装置20Aに配信先、通知情報INF、立寄時刻Taがセットされると、情報配信装置20Aは、通知情報INFを配信先の端末装置30,30Aに配信する。なお、事前時刻Tbに通知情報INFを配信する場合は、情報配信装置20Aに、通知情報INFを配信する事前時刻Tbを設定するとよい。
【0076】
この間、患者Pは、上述した透析治療及び患者ルーチンを行う。そして、治療が終了し、病院の玄関を出て、立寄時刻Taに調剤薬局に到着すると、処方箋PRは、あらかじめ、調剤薬局に配信されているため、調剤薬局は、処方箋PRに応じた処方薬などを事前に準備しておける。そして、患者Pが来局すると、調剤薬局は、処方箋PRの原本を確認して、処方薬をすぐに患者Pに引き渡すことができる。そのため、調剤薬局は患者Pを待たせることがない。
【0077】
ただし、上記患者Pの自由行動は、一例に過ぎず、上述の2つの自由行動例を加えたような、病院から門前の調剤薬局に徒歩で移動し、その後タクシーで移動して、帰宅するとか、調剤薬局から更に別の施設に移動するとか、病院からタクシーで自宅近隣の調剤薬局に移動し、その後徒歩で帰宅するとかであってもよい。これらの場合、通常、それぞれの送信先に応じた内容の通知情報INFが、それぞれほぼ同時刻に配信される。
【0078】
以上説明したとおり、本発明に係る実施形態の情報配信装置20Aは、治療施設で患者が受ける血液浄化治療が終了する治療終了時刻T1を取得する終了時刻取得部21aと、終了時刻取得部21aが取得した治療終了時刻T1と、患者Pに固有の情報である患者情報PIとに基づいて、前記治療施設を患者が退出する退出時刻Ta又は治療施設を退出した後の立ち寄り先に患者が到着する立寄時刻Taを演算する演算部21と、指定された配信先である端末装置30,30Aに対して、退出時刻Ta又は立寄時刻Taよりも前に、退出時刻Ta又は立寄時刻Taを含む通知情報INFを配信する配信部23と、を備える情報配信装置20Aである。これにより、血液浄化治療システム100において、患者Pの自由行動開始時刻Taを、自由行動に関与する事業者又は人物に配信することができる。
【0079】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0080】
(変形例)
上記実施形態では、中央監視装置20を、情報配信装置20Aとして機能させたが、中央監視装置20とは別に情報配信装置20Aを、院内LANに接続させてもよいし、あるいは、血液浄化装置10(透析装置10A)に、情報配信装置20Aの機能を付加してもよい。この場合、血液浄化装置10が中央監視装置を兼ねる。
【0081】
また、自由行動開始時刻Taの演算を、中央監視装置20の演算部21で行ったが、透析装置10Aの演算部21で行ってもよい。
【0082】
また、演算部21は、自由行動開始時刻Ta(退出時刻Ta、立寄時刻Ta)を演算するため、患者ルーチン実行時間Tr以外の患者情報PIを用いてもよい。例えば、患者が非定型の行動に費やす患者非ルーチン実行時間と、治療終了予定時刻T0又は治療終了時刻T1に基づいて、自由行動開始時刻Taを演算しても良い。この場合、非定型の行動は予め予測できない場合があるため、例えば、医療従事者が、患者に直接予定を確認した上で、入力部16、入力部26、又はその他の入力手段を介して患者非ルーチン実行時間を入力しても良い。さらに、演算部21は、自由行動開始時刻(退出時刻Ta、立寄時刻Ta)を演算するため、治療終了予定時刻T0又は治療終了時刻T1と患者情報PIに加えて、その他の情報を用いてもよい。例えば、公共交通機関の電車時刻のように、患者の意思で定まらない外的な情報が含まれる。
【0083】
上記実施形態では、血液浄化装置10は、治療施設としての病院に設置されるものとしたが、医師の管理の下で、在宅治療を行う場合には、患者Pの自宅、介護施設に設置されてもよい。この場合、血液浄化装置10は、中央監視装置20と、インターネット回線及びルータを介して接続されることになる。また、この場合の自由行動は、帰宅のために移動するというよりも、外出するために移動するという目的になり、迎車時刻Taなどを事業者又は人物に通知することになる。