(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フッ素化ポリマー支持体が、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレン−プロピレンコポリマー(FEP)、ペルフルオロアルコキシビニルポリマー(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、及びこれらの任意の組合せから選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の多孔質膜。
【発明の概要】
【0003】
[0003]本発明は、多孔質フッ素化ポリマー支持体、及び第1のコポリマーを含むコーティングを含む多孔質膜であって、
第1のコポリマーが、重合したモノマー単位A及びB、並びに任意選択で重合したモノマー単位Cを含み、
Aが、テトラフルオロエチレン以外のハロゲン化ビニルモノマー、ハロゲン化アルキルビニルエーテル、又は式C
nH
2n(式中、nは1〜6である)のアルケンであり、Bが、ペルフルオロ(アルキルビニル)エーテル化合物、ペルフルオロアルキルビニル化合物、又はペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテル化合物であり、各化合物は、1つ若しくは複数のスルホン酸基若しくはその塩、1つ若しくは複数のスルホニルフルオリド基、1つ若しくは複数のスルホンアミド基、又は1つ若しくは複数のスルホン酸エステル基を有し、Cがフッ化ビニリデンであり、
Cが存在する場合、Cは、A、B及びCの合計の約30mol%以下の範囲で存在し、
第1のコポリマーが、スルホン酸基又はその塩当たり約1200〜約3000の当量を有する、
多孔質膜を提供する。
【0004】
[0004]本発明は、多孔質フッ素化ポリマー支持体、及び第1のコポリマーを含むコーティングを含む多孔質膜を調製する方法であって、
第1のコポリマーが、重合したモノマー単位A及びB、並びに任意選択で重合したモノマー単位Cを含み、Aが、テトラフルオロエチレン以外のハロゲン化ビニルモノマー、ハロゲン化アルキルビニルエーテル、又は式C
nH
2n(式中、nは1〜6である)のアルケンであり、Bが、ペルフルオロ(アルキルビニル)エーテル化合物、ペルフルオロアルキルビニル化合物、又はペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテル化合物であり、各化合物は、1つ若しくは複数のスルホン酸基若しくはその塩、1つ若しくは複数のスルホニルフルオリド基、1つ若しくは複数のスルホンアミド基、又は1つ若しくは複数のスルホン酸エステル基を有し、Cがフッ化ビニリデンであり、
Cが存在する場合、Cは約30mol%以下の範囲で存在し、
第1のコポリマーが、スルホン酸基当たり約1200〜約3000の当量を有し、方法が、
多孔質フッ素化ポリマー支持体を用意するステップと、
多孔質フッ素化ポリマー支持体を第1のコポリマーで被覆するステップと、
Bが、1つ若しくは複数のスルホニルフルオリド基又はスルホン酸エステル基を有する、ペルフルオロ(アルキルビニル)エーテルである場合、1つ若しくは複数のスルホニルフルオリド基又はスルホン酸エステル基をアルカリで加水分解するステップと
を含む、方法をさらに提供する。
【0005】
[0005]本発明は、これらの多孔質膜の使用によって、流体を処理又はろ過する方法をさらに提供する。
【0006】
[0006]多孔質膜の実施形態の利点は、150℃〜200℃の範囲の温度での熱濃硫酸で、膜は長期間安定性を有することである。
【0007】
[0007]一実施形態によれば、本発明は、多孔質フッ素化ポリマー支持体、及び第1のコポリマーを含むコーティングを含む多孔質膜であって、
第1のコポリマーが重合したモノマーA及びB、並びに任意選択で重合したモノマーCを含み、
Aが、テトラフルオロエチレン以外のハロゲン化ビニルモノマー、ハロゲン化アルキルビニルエーテル、又は式C
nH
2n(式中、nは1〜6である)のアルケンであり、
Bが、ペルフルオロ(アルキルビニル)エーテル化合物、ペルフルオロアルキルビニル化合物、又はペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテル化合物であり、各化合物は、1つ若しくは複数のスルホン酸基若しくはその塩、1つ若しくは複数のスルホニルフルオリド基、1つ若しくは複数のスルホンアミド基、又は1つ若しくは複数のスルホン酸エステル基を有し、Cがフッ化ビニリデンであり、
Cが存在する場合、Cは、A、B及びCの合計の約30mol%以下の範囲で存在し、
第1のコポリマーが、スルホン酸基又はその塩当たり約1200〜約3000の当量を有する、
多孔質膜を提供する。
【0008】
[0008]本発明は、多孔質フッ素化ポリマー支持体、及び第1のコポリマーを含むコーティングを含む多孔質膜を調製する方法であって、
第1のコポリマーが、重合したモノマー単位A及びB、並びに任意選択で重合したモノマー単位Cを含み、Aが、テトラフルオロエチレン以外のハロゲン化ビニルモノマー、ハロゲン化アルキルビニルエーテル、又はnが1〜6である式C
nH
2nのアルケンであり、Bが、ペルフルオロ(アルキルビニル)エーテル化合物、ペルフルオロアルキルビニル化合物、又はペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテル化合物であり、各化合物は、1つ若しくは複数のスルホン酸基若しくはその塩、1つ若しくは複数のスルホニルフルオリド基、1つ若しくは複数のスルホンアミド基、又は1つ若しくは複数のスルホン酸エステル基を有し、Cがフッ化ビニリデンであり、
Cが存在する場合、Cは約30mol%以下の範囲で存在し、
第1のコポリマーが、スルホン酸基当たり約1200〜約3000の当量を有し、方法が、
多孔質フッ素化ポリマー支持体を用意するステップと、
多孔質フッ素化ポリマー支持体を第1のコポリマーで被覆するステップと、
Bが、1つ若しくは複数のスルホニルフルオリド基又はスルホン酸エステル基を有する、ペルフルオロ(アルキルビニル)エーテルである場合、1つ若しくは複数のスルホニルフルオリド基又はスルホン酸エステル基をアルカリで加水分解するステップと
を含む、方法をさらに提供する。
【0009】
[0009]一実施形態によれば、Aは、クロロトリフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、H
2C=CHCF
3、H
2C=CFCF
3、CHF=CHCF
3、H
2C=CFCl、H
2C=CFBr、CF
2=CFOCF
3、CF
2=CFOC
3F
7、CF
2=CFOC
2H
4C
6F
13、CH
2=CHOC
2H
4C
6F
13、CF
2=CFOC
2H
4Br、エチレン、プロピレン、及びこれらの任意の組合せから選択される。特定の実施形態では、Aはクロロトリフルオロエチレンである。
【0010】
[0010]上記実施形態のいずれかによれば、Bは、CF
2=CFOCF
2CF(CF
3)OC
2F
4SO
2F、CF
2=CFOCF
2CF(CF
3)OC
2F
4SO
3H、CF
2=CFOC
2F
4SO
2F、CF
2=CFOC
2F
4SO
3H、CF
2=CFC
2F
4SO
2F、CF
2=CFC
2F
4SO
3H、CF
2=CFOC
4F
8SO
2F、CF
2=CFOC
4F
8SO
3H、及びこれらの任意の組合せから選択される。特定の実施形態では、BはCF
2=CFOCF
2CF(CF
3)OC
2F
4SO
2Fである。別の実施形態では、BはCF
2=CFOCF
2CF(CF
3)OC
2F
4SO
3Hである。
【0011】
[0011]上記実施形態のいずれかによれば、Cが存在する場合、Cは、A、B及びCの合計の約30mol%以下、約20mol%以下、約10mol%以下、約5〜約30mol%、約5〜約20mol%、約10〜約30mol%、約10〜約20mol%、約2〜10mol%、又は約1〜約5mol%の量で存在することができる。本発明の実施形態によれば、Cが本明細書で記述のように低量で存在する場合、多孔質膜は熱アルカリ酸化溶液により安定であり、例えば、熱アルカリ酸化溶液に曝露された場合、重量損失は著しく少ない。熱アルカリ酸化溶液は当該技術分野で公知であり、例えば米国特許第5,928,792号、実施例13を参照されたい。
【0012】
[0012]コポリマーは、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーであり得る。
【0013】
[0013]上記実施形態のいずれかによれば、多孔質膜は任意の好適な多孔質フルオロポリマー支持体、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PFA(ペルフルオロアルコキシビニルポリマー)、PMA(ペルフルオロアルコキシビニルポリマー)、PVF(ポリフッ化ビニル)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、FEP(フッ素化エチレンプロピレンポリマー)、ETFE(ポリエチレンテトラフルオロエチレン)、ECTFE(ポリエチレン−クロロトリフルオロエチレン)、PFPE(ペルフルオロポリエーテル)、FKM(ポリクロロトリフルオロチレン−フッ化ビニリデン)(poly chlorotrifluorothylene−vinylidene fluoride)及びペルフルオロポリオキセタンから製造された支持体を含む。多孔質支持体は、好ましくはPTFE、FEP、PFA又はPCTFEであり、最も好ましくはPTFEである。多孔質支持体は任意の好適な孔径、例えば、約2nm〜約10ミクロンを有することができる。
【0014】
[0014]コポリマーは任意の好適な分子量、例えば、一実施形態では、約10kDa〜約1000kDa、20kDa〜約600kDa、好ましくは約75kDa〜約500kDa、より好ましくは約100kDa〜約500kDaの数又は重量(Mn又はMw)平均分子量であり得る。
【0015】
[0015]コポリマーは任意の好適な方法によって、例えば、ラジカル重合によって調製することができる。任意の好適なラジカル開始剤を使用することができる。好適なラジカル開始剤の例としては、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(ACPA)、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエート、t−アミルペルベンゾエート、t−ブチルペルオクトエート、t−アミルペルオクトエート、t−ブチルペルオキシピバレート、ジ−tert−ブチルペルオキシド、t−ブチルシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、t−アミルヒドロペルオキシド、過酸化ジベンゾイル、アンモニウムペルスフェート(ammonium persufate)、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、メチルエチルケトンペルオキシド及びペルフルオロ−3−エチル−2,4−ジメチル−3−ペンチル安定ラジカルが挙げられる。
【0016】
[0016]重合は、塊状で、すなわち溶媒の非存在下、又は好ましくは溶媒の下で行うことができる。重合を行うのに好適な溶媒の例としては、水、炭酸ジメチル、アセトニトリル、酢酸メチル、芳香族炭化水素、例えば、ベンゼン、トルエン、及びキシレン、脂肪族炭化水素、例えば、n−ペンタン、ヘキサン、及びヘプタン、脂環式炭化水素(alicylic hydrocarbon)、例えば、シクロヘキサン、並びにハロゲン化溶媒、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、メトキシノナフルオロブタン(ノベック(Novec)(登録商標)7100)、及びFC75(ペルフルオロ(ブチルテトラヒドロフラン))並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0017】
[0017]重合は任意の好適な温度、例えば、−20〜+100℃又はそれより高温、好ましくは10℃〜80℃、特に45℃〜80℃で実行することができる。
【0018】
[0018]ポリマーは好適な技法、例えば、非溶媒による沈殿又は凝集によって分離され得る。
【0019】
[0019]「SPM」は、120℃〜180℃の温度での熱硫酸過酸化水素混合物(体積で70:30、75:25又は80:20のH
2SO
4(96%):H
2O
2(30%))を意味する。
【0020】
[0020]本発明の一実施形態によれば、多孔質膜は、1nm〜100nmの間、100nm〜1000nmの間の直径の孔、又は1μm〜10μmの間の直径の孔を有する。
【0021】
[0021]多孔質膜は、PTFE多孔質支持体のシートをイソプロパノールで濡らし、次にスルホン酸又はスルホネート形態にあるポリマーの0.1wt%〜10wt%溶液で支持体を被覆することによって、調製することができる。被覆時間は、1秒〜1時間の間の範囲である。支持体を浸漬した後、支持体を60℃〜160℃で乾燥する。乾燥時間は、10分〜96時間の間の範囲である。代わりに、多孔質膜は、スルホニルフルオリド形態にあるポリマーの0.1wt%〜10wt%溶液でPTFE多孔質支持体のシートを被覆することによって、調製することができる。被覆時間は、1秒〜1時間の間の範囲である。支持体を浸漬した後、支持体を60℃〜160℃で乾燥する。乾燥時間は、10分〜96時間の間の範囲である。被覆多孔質支持体を、次に塩基溶液に浸漬して、スルホニルフルオリド基をスルホネート基に加水分解することができる。続いて、スルホネート基は任意選択で、酸性溶液、例えば、5%HClに浸漬することによって、スルホン酸基に変換することができる。
【0022】
[0022]表面張力の観点からの表面改質の変化は、臨界湿潤表面張力(CWST)を測定することによって測定することができる。この方法は、ある特定の組成の一連の溶液に依拠する。各溶液は、固有の表面張力を有する。溶液の表面張力は、小さな非等価な増分では、25〜92dyne/cmの範囲である。膜の表面張力を測定するために、膜を白色光テーブルの上部に配置し、ある特定の表面張力の溶液の一滴を膜表面に適用し、一滴が膜に浸透して明るい白になるのにかかる時間を、光が膜を通過する指標として記録する。一滴が膜に浸透するのにかかる時間が≦10秒である場合、瞬間湿潤と考えられる。時間が>10秒の場合、その溶液は膜を部分的に濡らすと考えられる。
【0023】
[0023]本発明の実施形態による多孔質膜は、例えば、エレクトロニクス産業用流体のろ過(例えば、マイクロエレクトロニクス産業でのフォトレジスト流体、熱硫酸及び熱SPMのろ過)、並びに例えばイオン交換膜として、イオン性材料を含有する流体処理用の流体のろ過を含む、様々な用途で使用することができる。
【0024】
[0024]本発明の実施形態によれば、多孔質膜は、平面状、フラットシート状、プリーツ状、管状、スパイラル状、及び中空繊維状を含む、様々な構造を有することができる。
【0025】
[0025]本発明の実施形態による多孔質膜は、少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を含み、入口と出口の間に少なくとも1つの流体流路を規定するハウジングに典型的には配置され、少なくとも1枚の本発明の膜、又は少なくとも1枚の本発明の膜を含むフィルターは、流体流路を横切って存在して、フィルター装置又はフィルターモジュールを提供する。一実施形態では、入口及び第1の出口を含み、入口と第1の出口の間に第1の流体流路を規定するハウジング;並びに、少なくとも1枚の本発明の膜、又は少なくとも1枚の本発明の膜を含むフィルターが、第1の流体流路を横切ってハウジングに配置される、少なくとも1枚の本発明の膜、又は少なくとも1枚の本発明の膜を含むフィルターを含む、フィルター装置が提供される。
【0026】
[0026]好ましくは、クロスフロー用途に対して、少なくとも1枚の本発明の多孔質膜又は少なくとも1枚の本発明の膜を含むフィルターは、少なくとも1つの入口及び少なくとも2つの出口を含み、入口と第1の出口の間に第1の流体流路、及び入口と第2の出口の間に第2の流体流路を少なくとも規定するハウジングに配置され、本発明の膜又は少なくとも1枚の本発明の膜を含むフィルターは、第1の流体流路を横切って存在して、フィルター装置又はフィルターモジュールを提供する。例示的実施形態では、フィルター装置はクロスフローフィルターモジュールを含み、ハウジングは、入口、濃縮液出口を含む第1の出口、及び透過液出口を含む第2の出口を含み、入口と第1の出口の間に第1の流体流路、及び入口と第2の出口の間に第2の流体流路を規定し、少なくとも1枚の本発明の膜又は少なくとも1枚の本発明の膜を含むフィルターは、第1の流体流路を横切って配置される。
【0027】
[0027]フィルター装置又はモジュールは、滅菌可能である。好適な形状で、入口及び1つ又は複数の出口を提供する、任意のハウジングを用いることができる。
【0028】
[0028]ハウジングは、処理される流体と適合性がある、任意の不浸透性熱可塑性材料を含む、任意の好適な剛性の不浸透性材料から作製することができる。例えば、ハウジングは、金属、例えば、ステンレス鋼、又はポリマー、例えば、透明若しくは半透明のポリマー、例えば、アクリル、ポリプロピレン、ポリスチレン、又はポリカーボネート樹脂から作製することができる。
【0029】
[0029]本発明は、流体をろ過又は処理する方法であって、上述の多孔質膜を通して流体を通過させるステップを含む、方法をさらに提供する。
【0030】
[0030]以下の実施例は本発明をさらに説明するが、当然ながら、本発明の範囲を制限すると決して解釈されるべきではない。
【0031】
実施例1〜16
[0031]これらの実施例は、本発明の一実施形態による、フリーラジカル開始共重合によってコポリマーを調製する方法を説明している。
【0032】
[0032]異なるモノマーによるPFSVEのラジカル共重合を、破裂板、ブルドン圧力計、並びに入口弁及び出口弁を装備したHastelloy Parr製オートクレーブ(50mL、100mL又は300mL)にて実行した。電子機器が、オートクレーブの加熱及び撹拌の両方を制御し調整した。容器を閉じて、窒素を用いる30バールの圧力2分間、及び10×10
−3ミリバールの真空15分間によって3回パージした。ラジカル開始剤、PFSVE、及び溶媒(適用可能な場合)を、入口弁にしっかりと接続された漏斗を介して導入した。オートクレーブを−90℃で凍結し、ガス(例えば、クロロトリフルオロエチレン、CTFE)を二重秤量によって移した。次に、オートクレーブを必要な温度に加熱した。18時間撹拌した後、オートクレーブを室温に冷却した。未反応モノマーを除去するためにガスを抜いた後、オートクレーブを開いた。反応混合物を、真空炉(10ミリバール)に80℃で48時間入れた。反応の収率は重量測定で決定した(得られたコポリマーの質量/オートクレーブ内へ移されたモノマーの質量)。
【0033】
[0033]表1及び表2は、元素分析又は
19F NMRから計算した、実施した重合の試薬及び得られた生成物の組成を記載している。
【0038】
[0034]上で使用した略語は以下の通りである。
VDF:フッ化ビニリデン
CTFE:クロロトリフルオロエチレン
HFP:ヘキサフルオロプロピレン
TrFE:トリフルオロエチレン
PMVE:ペルフルオロメチルビニルエーテル
PFSVE:ペルフルオロ(4−メチル−3,6−ジオキサオクト−7−エン)スルホニルフルオリド
PPFR:ペルフルオロ−3−エチル−2,4−ジメチル−3−ペンチル安定ラジカル
APS:過硫酸アンモニウム
KPS:過硫酸カリウム
DMC:炭酸ジメチル
T121:tert−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート
P16S:tert−ブチルシクロヘキシルペルオキシジカーボネート
【0039】
実施例17〜30
[0035]これらの実施例は、熱濃硫酸に曝露した場合の、本発明の一実施形態による膜の表面処理剤の安定性を説明している。
【0040】
[0036]Pall Corporationによって製造された、<10nmと格付けされた孔径を有する1枚のPTFE膜を、実施例1〜10、12〜14、1C、又は2Cのポリマーの溶液に60秒間沈め、溶液から取り出した。試料は、60℃で15分間乾燥した。次に試料を、IPA/水が50/50での、水酸化カリウムの0.1M溶液に1時間沈めた。次に試料をIPA/水 60/40に15分間沈め、次に水に1時間、3回浸漬した。試料は、60℃で20分間乾燥した。既知の表面張力の溶液を滴下することによってCWSTを測定し、試料を完全に濡らす最も高い表面張力を記録した。新しい試料をイソプロパノールに5分間、次に水に10分間、再度水に1時間浸した。試料を終夜水に沈めて放置した。試料を150℃で2時間濃硫酸に沈めた。試料を酸から取り出し、各回少なくとも1時間、水に数回沈めた。試料を60℃で20分間乾燥した。既知の表面張力の溶液を滴下することによってCWSTを測定し、試料を完全に濡らす最も高い表面張力を記録した。
【0041】
[0037]以下の表3に記載する結果は、被覆膜は未処理膜より高いCWST値を有し、被覆膜は熱濃硫酸に安定であることを示している。
【0043】
実施例32〜40
[0038]これらの実施例は、本発明の膜を調製する別の方法、及び熱濃硫酸での表面処理剤の安定性を説明している。
【0044】
[0039]水:IPAが1:1での水酸化テトラメチルアンモニウムの12%溶液を、ノベック(登録商標)72DE:ノベック(登録商標)7100が6:1での実施例2、6、7及び2Cのポリマーの1%溶液に添加した。10当量の塩基を添加し、溶液を時々振り混ぜながら約8時間撹拌させた。水(約0.5〜1体積)を添加し、生成物をろ過によって収集し、水で洗浄し乾燥した。
【0045】
[0040]水:IPAが1:1での水酸化テトラメチルアンモニウムの12%溶液を、1.9当量の塩基を使用して、ノベック(登録商標)72DE:ノベック(登録商標)7100が6:1での実施例1、3〜5及び8のポリマーの1%溶液に添加した。溶液を時々振り混ぜながら約8時間撹拌させた。次に溶媒の約2/3を、ロータリーエバポレータにて除去した。試料を約3体積の水で抽出し、ロータリーエバポレータにて溶媒を除去することによって、結果として得られる生成物を回収した。
【0046】
[0041]Pall Corporationによって製造された、<10nmと格付けされた1枚のPTFE膜を、加水分解されたポリマー溶液に60秒間沈め、溶液から取り出した。試料を60℃で15分間乾燥し、秤量した。既知の表面張力の溶液を滴下することによってCWSTを測定し、試料を完全に濡らす最も高い表面張力を記録した。新しい試料をイソプロパノールに5分間、次に水に10分間、再度水に1時間浸した。試料を終夜水に沈めて放置した。試料を150℃で2時間濃硫酸に沈めた。試料を酸から取り出し、各回少なくとも1時間、水に数回沈めた。試料を60℃で20分間乾燥した。既知の表面張力の溶液を滴下することによってCWSTを測定し、試料を完全に濡らす最も高い表面張力を記録した。表4に記載する結果は、被覆膜は未処理膜より高いCWST値を有し、被覆膜は熱濃硫酸に安定であることを示している。
【0048】
実施例41〜47
[0042]これらの実施例は、コポリマーの分子量がより高い場合、PTFE膜によるコポリマーの取り込みがより高いことを説明している。
【0049】
[0043]数枚のPTFE精密ろ過膜を、実施例3〜7又は2Cのポリマーの2%wt/vol溶液に60秒間沈め、溶液から取り出した。試料を60℃で15分間乾燥した。次に試料を、IPA/水が50/50での水酸化カリウムの0.1M溶液に1時間沈めた。次に試料を、IPA/水 60/40に15分間沈め、次に水に1時間、3回浸漬した。試料を60℃で20分間乾燥した。次に試料をIPA浴槽に75℃で終夜置いた。試料を60℃で20分間乾燥し、秤量した。結果を表5に記載し、試料がより高い分子量を有すると、ポリマーの取り込みがより高いことを示している。
【0051】
実施例48〜57
[0044]これらの実施例は、より高い当量を有するコポリマーは、本発明の実施形態によってコポリマーで被覆されたPTFE膜が、熱イソプロパノールでの洗浄に供された場合、より大量に保持されることを説明している。
【0052】
[0045]数枚のPTFE精密ろ過膜を実施例1〜5、8、2C〜4C又はナフィオン(Nafion)(登録商標)D521のポリマーの2%wt/vol溶液に60秒間沈め、溶液から取り出した。試料を60℃で15分間乾燥した。次に試料を、IPA/水が50/50での水酸化カリウムの0.1M溶液に1時間沈めた。次に試料を、IPA/水 60/40に15分間沈め、次に水に1時間、3回浸漬した。試料をIPA/H2O 70/30に短時間沈め、水ですすぎ、次に5%HClに2時間沈めた。水で十分すすいだ後、試料を60℃で20分間乾燥し、秤量した。ナフィオン(登録商標)で被覆された試料は、HClで処理しなかった。次に試料をIPA浴槽に75℃で終夜置いた。試料を60℃で20分間乾燥し、秤量した。示されたほとんどのデータは、2又はそれ以上の実験の平均である。表6に記載する結果は、コポリマーの保持力、例えば、1300又はそれ以上の当量を有して保持された割合は、より低い当量を有する試料の保持力より大きいことを示している。
【0054】
実施例58〜71
[0046]これらの実施例は、本発明の実施形態によってコポリマーで被覆されたPTFE膜が、アルカリ酸化溶液での洗浄に供された場合、より低いフッ化ビニリデン(VDF)含量を有するコポリマーは、より大量に保持されることを説明している。
【0055】
[0047]Pall Corporationによって製造された、<10nmと格付けされた1枚のPTFE膜を、実施例2、3、5〜13、1C、3C又は4Cのポリマーの溶液に60秒間沈め、溶液から取り出した。試料は、60℃で15分間乾燥した。次に試料を、IPA/水が50/50での、水酸化カリウムの0.1M溶液に1時間沈めた。次に試料をIPA/水 60/40に15分間沈め、次に水に1時間、3回浸漬した。試料を60℃で20分間乾燥し、秤量した。新しい試料をイソプロパノールに5分間、次に水に10分間、再度水に1時間浸した。試料を終夜水に沈めて放置した。試料を熱アルカリ酸化溶液に沈めた。試料を溶液から取り出し、次に各回少なくとも1時間、試料を水に数回沈めた。試料を60℃で20分間乾燥し、再秤量した。表7に記載の結果は、より小さなVDF含量を有するコポリマーは、より大きなVDF含量を有する試料より安定であり、より少ない重量を失っていることを示している。
【0057】
[0048]本明細書で引用される刊行物、特許出願、及び特許を含むすべての参考文献は、各参考文献が個々にかつ特別に参照により組み込まれると示され、本明細書にその全体が記載されるのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0058】
[0049]「1つの(a)」「1つの(an)」「その(the)」「少なくとも1つの(at least one」という用語、及び本発明を記述する文脈での(特に以下の特許請求の範囲の文脈での)類似した指示語の使用は、本明細書で特に示されない限り、又は文脈によって明確に否定されない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈すべきである。1つ又は複数の項目のリストが続く「少なくとも1つの」という用語(例えば、「A及びBの少なくとも1つ」)の使用は、本明細書で特に示されない限り、又は文脈によって明確に否定されない限り、列挙された項目から選択される1つの項目(A若しくはB)又は列挙された項目の2つ若しくはそれ以上の任意の組合せ(A及びB)を意味すると解釈すべきである。「含む(comprising)」、「有する」、「含む(including)」、及び「含有する」という用語は、特に明記されない限り、非制限的用語(すなわち、「含むが、限定はされない」を意味する)と解釈すべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書で特に示されない限り、単に範囲内に含まれる各個別の値に個々に言及する略記法として役割を果たす意図であり、各個別の値は、あたかも本明細書で個々に列挙されているように本明細書へ組み込まれる。本明細書で記述されるすべての方法は、本明細書で特に示されない限り、又は文脈によって明確に否定されない限り、任意の好適な順序で実施することができる。本明細書で提供される任意及びすべての例、又は例示的な言語(例えば、「例えば(such as)」)は、単に本発明をより明らかにする意図であり、特に主張しない限り、本発明の範囲に限界を与えない。本明細書における言語は、権利を主張しないいずれの要素も本発明の実施に必須であると示しているとは、解釈すべきではない。
[0050]本発明の好ましい実施形態は、本発明を実行するのに発明者が知る最良の形態を含めて、本明細書に記述されている。それらの好ましい実施形態の変化は、前の記述を読めば、当業者にとって明白になり得る。発明者らは、当業者がこうした変化を適宜用いることを期待し、発明者らは、本発明が本明細書で特に記述された以外の方法で実施されることを意図している。その結果、本発明は、準拠法によって許可されている本明細書に添付の特許請求の範囲に列挙された主題の、すべての変更及び等価物を含む。そのうえ、本明細書で特に示されない限り、又は文脈によって明確に否定されない限り、可能なすべての変化における上記要素の任意の組合せは、本発明によって包含される。