(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された簡易トイレは、箱型簡易トイレのため、組立ての時間と手間を要する、広範な設置スペースを確保しなければならない、大型で保管スペースを必要とするため、緊急・災害時保管場所からの搬出・移動・組立が困難で現実的ではないなどの課題があった。
本発明は、設置スペースが必要なく、衛生的な簡易トイレを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)ヒト又は動物の排泄物を収容する簡易トイレであって、排泄物を収容する収容・保存容器と、収容・保存容器内又は収容・保存容器を覆うように配置され、袋状の柔軟性を有する素材で形成された袋部と、を備え、収容・保存容器の上端は、ヒト又は動物の排泄口近傍の体の形状に沿った曲線で形成され、袋部上端側は、収容・保存容器の上端より突出し、排泄物を収容するときには、袋部上端側を収容・保存容器の上端より下方に移動させ、収容・保存容器でヒト又は動物の排泄口を覆い、収容・保存容器の上端を、ヒト又は動物の排泄口近傍の体に密着させる簡易トイレ。
【0007】
(1)の構成によれば、ヒト又は動物の排泄物を収容する簡易トイレであって、排泄物を収容する収容・保存容器と、収容・保存容器内又は収容・保存容器を覆うように配置され、袋状の柔軟性を有する素材で形成された袋部と、を備える。
【0008】
また(1)の構成によれば、収容・保存容器の上端は、ヒト又は動物の排泄口近傍の体の形状に沿った曲線で形成され、袋部上端側は、収容・保存容器の上端より突出し、排泄物を収容するときには、袋部上端側を収容・保存容器の上端より下方に移動させ、収容・保存容器でヒト又は動物の排泄口を覆い、収容・保存容器の上端を、ヒト又は動物の排泄口近傍の体に密着させて使用する。
【0009】
また(1)の構成によれば、簡易トイレは一回使用毎に封緘・密閉することもできる。これにより、収容・保存用器開口部周辺に被収容物が付着、被収容物の漏出による感染症を防ぐことができる。
【0010】
したがって、設置スペースが必要なく、衛生的な簡易トイレを提供できる。
【0011】
さらに(1)の構成によれば、簡易トイレ本体は、飲食・食品業界等検便の義務づけられている業種の検体採取も可能で、国内だけでなく途上国等近隣に検査機関のない地域でも、検体を採取・収容して検査機関へ輸送することができる。
【0012】
(2)袋部は、複数枚重ねることが可能な請求項1に記載の簡易トイレ。
【0013】
(2)の構成によれば、収容・保存容器内又は収容・保存容器を覆うように配置され、袋状の柔軟性を有する素材で形成された袋部を、例えば、ねじる、寄せる、結ぶなどして、排泄物の漏出を防ぐことができる。
【0014】
また(2)の構成によれば、袋部は、収容・保存容器内又は収容・保存容器を覆うように複数枚配置することができる。これにより、簡易トイレの収容・保存容器の複数回の使用が可能となる。
【0015】
さらに(2)の構成によれば、簡易トイレを一回使用後に上端を結び、二回目使用時は結び目をほどいて内側に折り込むことで、二回目の使用時も清潔な折り返し部を排泄口近傍にあてることができる。
【0016】
また(2)の構成によれば、簡易トイレを一回使用後に袋部を取り出し、二回目以降使用時は、未使用の袋部を新たに設置して簡易トイレを使用することもできる。
【0017】
(3)袋部の内側に設けられた紙又は不織布で形成された拭き取り部を更に備え、
拭き取り部は、袋部の内側に設けられたまま、または取り外して尿道・肛門または汚れた部分の拭き取りに用いられる請求項1又は2に記載の簡易トイレ。
【0018】
(3)の構成によれば、袋部の内側に設けられた紙又は不織布で形成された拭き取り部であって、拭き取り部は、袋部の内側に設けられたまま、または取り外して尿道・肛門または汚れた部分の拭き取ることができる。
【0019】
(4)収容・保存容器には、上端から離れる方向に延び、使用者が把持可能な取手を備える請求項1から3のいずれかに記載の簡易トイレ。
【0020】
(4)の構成によれば、収容・保存容器に設けられた取手により、収容・保存容器の上端に密接させる排泄口近傍に手を近づけることなく、ヒトまたは動物の排泄物を収容することが可能である。これにより、どこにとびはねるかわからない自分以外のヒトまたは動物の排泄物を、手を汚すことなく収容することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、設置スペースが必要なく、衛生的な簡易トイレを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態に係る簡易トイレの構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る袋部上端を折り返した使用状態を示す図である。
図2は、本発明の実施形態に係る袋部を複数枚設置した際の袋部上端を折り返した使用 状態を示す図である。
図3は、本発明の実施形態に係る袋部を複数枚設置した際の使用状態を示す図である。
図4は、本発明の実施形態に係る袋部上端を結んだ使用状態を示す図である。
図5は、本発明の実施形態に係る収容・保存容器に取手を設けた使用状態を示す図である。
【0024】
簡易トイレ1は、ヒト又は動物の排泄物を収容する簡易トイレであって、排泄物を収容する収容・保存容器10と、収容・保存容器10内又は収容・保存容器10を覆うように配置され、袋状の柔軟性を有する素材で形成された袋部20と、袋部20に内蔵された内蔵袋部25と、拭きとり部30と、取手40と、を備える。
【0025】
収容・保存容器10は、上方が解放された器形状に形成され、おりたたみ線11と、太腿付け根用欠き込み12と、排泄口近傍用欠き込み13と、簡易トイレ使用
図15と、を備える。
【0026】
収容・保存容器10は、滑りにくい素材を用いる、または、収容・保存容器10の表面に滑り止めを設けることもできる。
【0027】
収容・保存容器10は、収容・保存容器10本体を二重構造にして耐水性を高めることもできる。
【0028】
収容・保存容器10は、底が有っても無くともよい。
【0029】
おりたたみ線11は、収容・保存容器10を折りたたむ際のガイド線である。おりたたみ線11に沿って折りたたむことで、収納スペースを削減し、携帯することもできる。
【0030】
太腿付け根用欠き込み12は、収容・保存容器10の上端において、ヒト又は動物の太腿付け根近傍の形状に沿うような曲線で形成されている。
【0031】
排泄口近傍用欠き込み13は、収容・保存容器10の上端において、ヒト又は動物の排泄口近傍の体の形状に沿った曲線で形成されている。
【0032】
太腿付け根用欠き込み12と、排泄口近傍用欠き込み13とはそれぞれ対向する他端側に同様の形状の欠き込みを有する。
【0033】
太腿付け根用欠き込み12と排泄口近傍用欠き込み13は、収容・保存容器10でヒト又は動物の排泄口を覆う際、収容・保存容器10をヒト又は動物の排泄口近傍の体に密着させて使用するために設けられている。
【0034】
太腿付け根用欠き込み12と排泄口近傍用欠き込み13を設けることで、特には女性が尿を排泄する際に、尿のとびだし、とびはねを防止することができる。これにより、ビニール袋のように開口部が自在に変形してしまうものよりも排泄物の収容が確実なものとなる。
【0035】
また、性別を問わず大便を排泄する際にも、体に沿った形状の欠き込みがあることで、収容・保存容器10への排泄物の収容をより確実なものとすることができる。
【0036】
簡易トイレ使用
図15は、簡易トイレ1の使用方法を示す図である。簡易トイレ使用
図15は、収容・保存容器10の側面、または袋部20の側面に設けられている。簡易トイレ使用
図15は、平易な構造特性をわかりやすく示す図であるため、別紙による説明書の添付が不要となる。これにより緊急時に複雑な説明書を読むことなく、簡易トイレ1を使用することができる。
【0037】
簡易トイレ使用
図15は、その簡単な図解だけで誰でも使用方法を理解できるため、識字率の低い地域においても簡易トイレ1の使用が可能となる。
【0038】
袋部20は、袋部折り返し部20Aと、袋部上端21と、を備える。
【0039】
袋部20は、収容・保存容器10内又は収容・保存容器10を覆うように配置され、袋状の柔軟性を有する素材で形成されている。
【0040】
袋部20は、収容・保存容器10を一回使用後に、袋部20を取り出し、未使用の袋部20を設置することもできる。また、袋部20は、複数枚重ねて使用してもよい。この場合、一番上に配置された袋部20に排泄物を収容し、その後、当該袋部20を抜出し、例えば、廃棄することで、再度、未使用の袋部20が現れ、引き続き同様の使用態様で簡易トイレ1を使用できる。
【0041】
また、収容・保存容器10を一回使用後に、袋部20を取り出し、未使用の袋部20を設置することで、収容・保存容器10を繰り返し使用することが可能となる。
【0042】
袋部20の上端側には、収容・保存容器10の上端より突出する袋部折り返し部20Aが形成されている。
【0043】
袋部上端21は、袋部20の上端開口部である。
【0044】
簡易トイレ1の使用時、排泄物を収容する際、袋部20の袋部折り返し部20Aを収容・保存容器10の上端より下方に移動させ、収容・保存容器10でヒト又は動物の排泄口を覆い、収容・保存容器10の上端を、ヒト又は動物の排泄口近傍の体に密着させる。これにより、収容・保存容器10を握った手を、袋部折り返し部20Aで覆うことで、手を汚さずに排泄することができる。
【0045】
簡易トイレ1の使用時、排泄の際、袋部折り返し部20Aの上端側を、収容・保存容器10の上端より下方に移動させることで、袋部上端21が排泄物で汚れないため、封緘・密閉時の排泄物のはみだし、漏出を防ぐことができる。
【0046】
簡易トイレ1からの排泄物漏出を防ぐため、袋部折り返し部20Aを例えば、ねじる、寄せる、結ぶなどすることもできる。なお、袋部折り返し部20Aには、袋部上端21を塞ぐファスナを設けてもよい。
【0047】
内蔵袋部25は、内蔵袋部折り返し部25Aと、内蔵袋部上端26と、を備える。
【0048】
図2に示すように、袋部20を複数枚重ねて使用する場合、例えば、袋部20の内部に内蔵袋部25を配置する。
【0049】
内蔵袋部25の上端側には、収容・保存容器10の上端より突出する内蔵袋部折り返し部25Aが形成されている。内蔵袋部折り返し部25Aは、例えば、ねじる、寄せる、結ぶなどして封緘・密閉することができる。
【0050】
内蔵袋部折り返し部25Aは、簡易トイレを一回使用後に上端を結び、二回目使用時は結び目をほどいて内側に折り込むことで、二回目の使用時も清潔な折り返し部を排泄口近傍にあてることができる。
【0051】
内蔵袋部上端26は、内蔵袋部折り返し部25Aの上端開口部である。
【0052】
簡易トイレ1を一回使用後に内蔵袋部25を取り出し、袋部20に排泄物を収容することもできる。
【0053】
拭きとり部30は、袋部折り返し部20Aの内側に設けられている。拭き取り部30は、袋部折り返し部20Aの内側に設けられたまま、または取り外して尿道・肛門または汚れた部分を拭き取ることが可能である。排泄後、収容・保存容器10を手に握ったまま、収容・保存容器10を排泄口後方へと移動することにより、袋部折り返し部20Aの内側に設けられた拭きとり部30で排泄口近傍を拭きとることができる。
【0054】
また、拭きとり部30は、袋部折り返し部20Aから剥離して使用することもできる。拭きとり部30の素材としては、紙・不織布等を用いることもできる。
【0055】
また、収容・保存容器10は、上端から離れる方向に延び、使用者が把持可能な取手40を備える。
【0056】
取手40により、排泄口近傍に手を近づけることなく、ヒトまたは動物の排泄物を収容することが可能である。これにより、どこにとびはねるかわからない自分以外のヒトまたは動物の排泄物を、手を汚すことなく収容・保存容器10または袋部20または内蔵袋部25に収容することができる。
【0057】
取手40により、ヒトまたは動物の散歩時等、排泄物を路上他公共の敷地などに放置することなく、収容・保存容器10または袋部20または内蔵袋部25に排泄物を収容して持ち帰ることができる。
【0058】
取手孔40Aは、取手40に形成されている。取手孔40Aに指をかけて持つことで、収容・保存容器10本体を安定して保持することができる。
【0059】
簡易トイレ1は、一回使用毎に封緘・密閉することもできる。これにより、収容・保存用器開口部周辺に被収容物が付着、被収容物の漏出による感染症を防ぐことができる。
【0060】
従来の簡易トイレは、不特定多数の人に、複数回使用される場合が多く、不衛生かつ感染症の恐れもあった。個人のプライバシーも損なわれるため、トイレに行く回数を控えるなど、健康面にも悪影響を及ぼしていた。
【0061】
本実施形態の簡易トイレ1は、小型で携帯・折りたたみ可能、組立ての時間・手間・設置スペースを必要とせず、更に、一回~複数回の使い切り容器とすることで、個人の尊厳を守り、排泄物を衛生的に収容、下水処理施設が崩壊した際にも土壌への埋設により緊急時のQOLの向上をはかることができる。
【0062】
また、簡易トイレ1は、自動車車内で使用することもできる。その際、自動車車内のポケットにコンパクトに収納することが可能で、緊急時・必要な際の組立・使用が簡便なものとなる。簡易トイレ1は、折り畳み可能とすることで、簡易トイレとしてだけではなく、ドライブ時の車酔いによる嘔吐袋としても利用することができる。
【0063】
簡易トイレ1は、飲食・食品業界等検便の義務づけられている業種の検体採取も可能である。飲食・食品業界等の業種では、月毎など頻繁な検便が義務づけられているが、便器内に排泄した排泄物は、便器内の水溜まり部に容易に落下しやすく、検体としての採取が困難であった。簡易トイレ1の使用で、排泄物の中核から、トイレ排水に触れていない、未酸化状態の検体採取が可能となる。