【実施例】
【0023】
(鞍乗型車両)
図1は本発明の実施例の鞍乗型車両1を示している。なお、
図1では、説明の便宜上、鞍乗型車両1の車体フレーム211およびエンジンユニット11以外の部分を二点鎖線で示している。また、以下の実施例の説明において、前、後、左、右、上および下の方向は、鞍乗型車両1を運転する運転者を基準とする。
【0024】
図1において、鞍乗型車両1は自動二輪車である。鞍乗型車両1の車体フレーム211は、ヘッドパイプ212、一対のメインフレーム213、一対のダウンチューブ214、一対のサイドフレーム215、および一対のピボットフレーム216を有している。ヘッドパイプ212は、鞍乗型車両1の前部上側に配置されている。一対のメインフレーム213は、鞍乗型車両1の左部および右部にそれぞれ配置され、前端部がヘッドパイプ212の上部に接続され、後端側が下方に傾斜しつつ後方へ伸長している。一対のダウンチューブ214は、鞍乗型車両1の左部および右部にそれぞれ配置され、前端部がヘッドパイプ212の下部に接続され、後端側がメインフレーム213よりも大きく下方に傾斜しつつ後方へ伸長している。一対のサイドフレーム215は、鞍乗型車両1の左部および右部にそれぞれ配置され、前端部がダウンチューブ214の中間部にそれぞれ接続され、後端側が後方へ伸長している。一対のピボットフレーム216は、メインフレーム213の後端側にそれぞれ接合されている。
【0025】
また、ヘッドパイプ212には、ステアリングシャフト(図示せず)が挿入され、ステアリングシャフトにはブラケットを介してハンドル226およびフロントフォーク227がそれぞれ支持され、フロントフォーク227の下端側には前輪228が支持されている。一方、左右一対のピボットフレーム216間にはスイングアーム232の前端側が支持され、スイングアーム232の後端側には後輪233が支持されている。
【0026】
また、鞍乗型車両1の前輪228と後輪233との間にはエンジンユニット11が設けられている。エンジンユニット11は、主に、左側のメインフレーム213および左側のダウンチューブ214と、右側のメインフレーム213および右側のダウンチューブ214との間に配置され、これらのフレームに支持されている。また、エンジンユニット11の上方には燃料タンク241が設けられ、燃料タンク241の後方にはシート242が設けられている。
【0027】
(エンジンユニット)
図2はエンジンユニット11および車体フレーム211の一部を右方から見た状態を示し、
図3はエンジンユニット11および車体フレーム211の一部を左方から見た状態を示している。
図4はエンジンユニット11を右前方から見た状態を示している。
図5はエンジンユニット11および車体フレーム211の一部を前方から見た状態を示し、
図6は、ラジエータ装置37を取り除いたエンジンユニット11および車体フレーム211の一部を前方から見た状態を示している。
図7はエンジンユニット11の冷却系等を右後方から見た状態を示し、
図8はエンジンユニット11の冷却系等を左後方から見た状態を示している。
図9はエンジンユニット11の冷却系の模式的な回路図である。
【0028】
図2に示すように、エンジンユニット11は、エンジン12と、エンジン12の動力を後輪233へ伝達する駆動系の一部と、エンジン12の可動部を潤滑する潤滑系と、空気と燃料の混合気をエンジン12へ供給する吸気系(過給機113を含む)と、混合気の燃焼により発生する排気ガスをエンジン12から排出する排気系の一部と、エンジン12等を冷却する冷却系等を備えている。
【0029】
エンジン12は、本実施例においては水冷式並列2気筒の4サイクルガソリンエンジンである。エンジン12には、クランクシャフトを収容するクランクケース13が設けられ、クランクケース13の上方にはシリンダ14が設けられ、シリンダ14の上方にはシリンダヘッド15が設けられ、シリンダヘッド15の上方にはシリンダヘッドカバー16が設けられている。また、クランクケース13の下方にはオイルパン17が設けられている。また、エンジン12のシリンダ軸線はその上側が下側よりも前に位置するように傾斜している。また、エンジン12には、ピストンの運動により生じる振動を軽減するバランスシャフトが設けられている。バランスシャフトはクランクシャフトの前方に配置されている。具体的には、
図3に示すように、エンジン12のクランクケース13の前部にはバランサ室18が一体形成されている。バランサ室18はクランクケース13の一部を前方に拡張することにより形成され、バランサ室18の前部はクランクケース13の前壁部から前方に突出している。バランスシャフトはこのバランサ室18内に設けられている。
【0030】
また、
図2に示すように、一次減速機構、クラッチ、トランスミッション等の駆動系の一部は、エンジンユニット11の後部に配置されたトランスミッションケース21内に収容されている。また、潤滑系を構成するオイルポンプ、オイルフィルタ25およびオイルクーラ26のうち、オイルポンプはエンジンユニット11内に設けられ、オイルフィルタ25およびオイルクーラ26は
図6に示すようにクランクケース13の前部下側に設けられている。
【0031】
また、吸気系は、
図3、
図4または
図6に示すように、エアクリーナ111、過給機113、インタークーラ117、排風ダクト118およびサージタンク119等を備えている。エアクリーナ111は、外部から取り込まれた空気を濾過する装置であり、エンジン12の上方左側に配置されている。過給機113は、タービン部114、コンプレッサ部115およびベアリング部116を備えており、エンジン12からの排気ガスによりタービン部114を駆動し、この動力によりコンプレッサ部115を駆動し、エアクリーナ111を介して供給された空気をコンプレッサ部115により圧縮する装置である。過給機113はエンジン12の前方、具体的にはシリンダ14およびシリンダヘッド15の前方に配置されている。インタークーラ117は、過給機113のコンプレッサ部115の圧縮により高温となった空気を冷却する装置である。排風ダクト118は、インタークーラ117に当てた冷却風を外部へ排出するダクトである。インタークーラ117および排風ダクト118はエンジン12の上方右側に配置されている。サージタンク119は、インタークーラ117により冷却された空気の流れを整流する装置であり、エンジン12の上方後ろ側に配置されている。なお、吸気系を構成する部品として、シリンダヘッド15の後ろ上方には、エンジン12の吸気ポートへ供給される空気の量を調整する電子制御スロットル装置、およびエンジン12の吸気ポートへ燃料を噴射するインジェクタ等が設けられているが、これらの図示は省略している。
【0032】
また、エアクリーナ111と過給機113のコンプレッサ部115との間はエアインテーク配管125により接続されている。また、過給機113のコンプレッサ部115とインタークーラ117との間はエアアウトレット配管126により接続されている。
図6に示すように、エアインテーク配管125およびエアアウトレット配管126は、エンジン12の前方左側に配置されている。また、
図3に示すように、エアインテーク配管125およびエアアウトレット配管126は、鞍乗型車両1を左方から見た場合にエンジン12とラジエータ装置37との間を上下方向に伸長している。また、
図2に示すように、インタークーラ117とサージタンク119との間はコネクティング配管127により接続されている。なお、エアインテーク配管125、エアアウトレット配管126およびコネクティング配管127はそれぞれ、主にホースにより形成されている。
【0033】
また、
図6に示すように、排気系において、エキゾーストパイプ131は、エンジン12の排気ポートと過給機113のタービン部114とを接続する配管であり、エンジン12の前方に配置されている。本実施例において、エキゾーストパイプ131は、過給機113のタービン部114のハウジングと一体形成されている。また、過給機113のタービン部114にはマフラージョイントパイプ132の一端側が接続され、マフラージョイントパイプ132の他端側はマフラへ伸びている。
【0034】
(冷却構造)
また、鞍乗型車両1の冷却系(冷却構造)は、
図2および
図4ないし
図9に示すように、ウォータポンプ31、ウォータジャケット35(
図9参照)、ラジエータ装置37、および冷却水流制御ユニット61を備えている。なお、多数の部品が設けられたエンジンユニット11において冷却系の部品を容易に特定できるようにするために、
図2、
図5および
図6においては、エンジンユニット11の冷却系以外の部分を二点鎖線で示し、車体フレーム211を破線で示している。また、
図4、
図7および
図8においては、エンジンユニット11の冷却系以外の部分を二点鎖線で示している。また、
図5および
図6中の一点鎖線は鞍乗型車両1の左右方向中央をそれぞれ示している。
【0035】
ウォータポンプ31は、ウォータジャケット35へ冷却水を吐出する装置である。ウォータポンプ31は、
図2に示すようにクランクケース13の右部に取り付けられ、クランクシャフトの回転を利用して動作する。ウォータポンプ31は、
図8に示すように、冷却水をウォータジャケット35へ向けて吐出する第1のポンプ吐出口32と、冷却水をウォータポンプ31内へ流入させるポンプ流入口33を備えている。さらに、ウォータポンプ31は、
図7に示すように、冷却水をオイルクーラ26および過給機113のベアリング部116へ向けて吐出する第2のポンプ吐出口34を備えている。
【0036】
ウォータジャケット35(
図9参照)は、シリンダ14およびシリンダヘッド15を冷却水により冷却する機構である。ウォータジャケット35は、シリンダ14のシリンダボアの周囲や、シリンダヘッド15における吸気ポートおよび排気ポートの近傍等に設けられている。また、
図2に示すように、シリンダヘッド15の後部には、ウォータジャケット35を流通した後の冷却水をラジエータインレット配管71へ流出させる流出口36が形成されている。
【0037】
ラジエータ装置37は、走行風を受け、またはラジエータファン56を駆動し、冷却水の熱を大気に放出することによって冷却水を冷却する装置である。
図2に示すように、ラジエータ装置37はエンジン12の前方に配置されている。また、ラジエータ装置37は、
図5に示すように、上ラジエータ38および下ラジエータ46を備えている。上ラジエータ38および下ラジエータ46はそれぞれ横流れ式であり、各ラジエータ38、46内において冷却水を左右方向(本実施例では右から左)に流通させることにより冷却水を冷却する。また、ラジエータファン56は、
図8に示すように、上ラジエータ38の後面に取り付けられている。
【0038】
図5に示すように、上ラジエータ38は、熱交換を行うための多数の細管および放熱フィンを有するコア39と、コア39の右側に設けられた流入タンク40と、コア39の左側に設けられた流出タンク41とを備えている。
図7に示すように、上ラジエータ38において、流入タンク40の後面上部には、冷却水を流入タンク40内へ流入させるための上ラジエータ流入口42が形成されている。また、流入タンク40の後面において上ラジエータ流入口42の下側には、流入タンク40に流入した冷却水をバイパス配管72へ流出させるためのバイパス流出口43が形成されている。また、流入タンク40の下面には、流入タンク40に流入した冷却水を下ラジエータ46へ分配するための分配流出口44が形成されている。一方、
図8に示すように、上ラジエータ38の流出タンク41の下面には、冷却水を流出タンク41から流出させるための上ラジエータ流出口45が形成されている。
【0039】
また、下ラジエータ46も、上ラジエータ38と同様に、コア47、流入タンク48および流出タンク49を備えている。下ラジエータ46において、流入タンク48の右面には、
図7に示すように、冷却水を流入タンク48内へ流入させるための下ラジエータ流入口50が形成されている。また、流出タンク49の左面には、
図8に示すように、冷却水を流出タンク49から流出させるための下ラジエータ流出口51が形成されている。
【0040】
また、
図5に示すように、上ラジエータ38の分配流出口44と下ラジエータ46の下ラジエータ流入口50とはコネクティング配管52により接続されている。また、ラジエータ装置37により冷却された冷却水を冷却水流制御ユニット61へ導くラジエータアウトレット配管73の流入側は二股に分岐し、上方および下方にそれぞれ伸長している。上ラジエータ38の上ラジエータ流出口45は、ラジエータアウトレット配管73の流入側において上方に伸長した端部にコネクティング配管53を介して接続されている。また、下ラジエータ46の下ラジエータ流出口51は、ラジエータアウトレット配管73の流入側において下方に伸長した端部にコネクティング配管54を介して接続されている。なお、コネクティング配管52、53および54はそれぞれ、ホースにより形成してもよいし、パイプにより形成してもよいし、ホースとパイプとを組み合わせて形成してもよい。
【0041】
また、ラジエータ装置37はラジエータキャップ55を備えている。ラジエータキャップ55は、
図7に示すように、流入タンク40の上面に形成された冷却水の注水口に取り付けられている。この注水口は、鞍乗型車両1における冷却系において最も高い位置にある。ラジエータキャップ55は、冷却系内の圧力が高いときには冷却水を冷却水用リザーバタンクへ逃がし、冷却系内の圧力が低いときには冷却水用リザーバタンクから冷却水を戻す機能を有している。ラジエータキャップ55の内部には、冷却系内の圧力に応じて開閉する弁が設けられ、また、ラジエータキャップ55には配管を介して冷却水用リザーバタンクが接続されている。なお、冷却水用リザーバタンクについては図示を省略しているが、冷却水用リザーバタンクは、例えば下ラジエータ46とクランクケース13との間等に配置されている。
【0042】
図2において、冷却水流制御ユニット61は、エンジン12を冷却した後の冷却水の温度に応じてラジエータ装置37を流通させる冷却水の流量を制御し、冷却水の温度を適温に保つ機能を有している。冷却水流制御ユニット61は上ラジエータ38の右部の後方に配置されている。また、冷却水流制御ユニット61は、後述するバイパス配管72およびウォータポンプインレット配管74により支持されている。
【0043】
また、冷却水流制御ユニット61は、
図9に示すように、サーモスタットケース62およびサーモスタット67を備えている。サーモスタットケース62は、例えば耐熱性を有する樹脂材料または金属材料により箱状に形成されている。また、サーモスタットケース62には、ラジエータアウトレット配管73を流通した冷却水をサーモスタットケース62内へ流入させるための第1の冷却水流入口63と、バイパス配管72を流通した冷却水をサーモスタットケース62内へ流入させるための第2の冷却水流入口64とが形成されている。さらに、サーモスタットケース62には、過給機アウトレット配管76を流通した冷却水をサーモスタットケース62内へ流入させるための第3の冷却水流入口65が形成されている。さらに、サーモスタットケース62には、冷却水をサーモスタットケース62からウォータポンプインレット配管74へ流出させるための冷却水流出口66が形成されている。
【0044】
サーモスタット67はサーモスタットケース62内に収容されている。サーモスタット67は、主弁68および副弁69を備えている。主弁68は、第1の冷却水流入口63から冷却水流出口66へ向かって流通する冷却水の流量を変化させる。副弁69は、第2の冷却水流入口64から冷却水流出口66へ向かって流通する冷却水の流量を変化させる。
【0045】
これら冷却系を構成する各部品の配置の詳細および接続は次の通りである。すなわち、
図2に示すように、ウォータポンプ31は、クランクケース13の右側の側面において、クランクシャフトの軸心X1よりも前側に配置されている。具体的には、ウォータポンプ31は、当該ウォータポンプ31の駆動軸心がバランスシャフトの軸心X2と同軸となるように配置されている。
【0046】
また、
図9に示すように、ウォータポンプ31の第1のポンプ吐出口32とウォータジャケット35との間には、第1のポンプ吐出口32から吐出された冷却水をウォータジャケット35へ導く経路70が形成されている。この経路70はクランクケース13の内部等に形成されている。
【0047】
また、冷却水流制御ユニット61は、
図6に示すように、鞍乗型車両1の左右方向中央よりも右側に配置されている。具体的には、シリンダヘッド15の右前隅部の前方に配置されている。より具体的には、冷却水流制御ユニット61は、鞍乗型車両1を前方から見た場合に、車体フレーム211においてシリンダヘッド15の右前部に設けられたエンジンマウント部15A(
図2参照)に向かって下方に伸びる部分、すなわち右側のダウンチューブ214の下端側と重なり合っている。また、冷却水流制御ユニット61は、
図6に示すように、ウォータポンプ31よりも鞍乗型車両1の左右方向中央に近い位置に配置されている。また、
図5と
図6を比較して見るとわかる通り、冷却水流制御ユニット61は、ラジエータ装置37(ラジエータキャップ55を含む)の最も右側に位置する部分よりも鞍乗型車両1の左右方向中央に近い位置に配置されている。なお、
図5中の直線Qは、ラジエータ装置37の最も右側の部分の位置を示している。
【0048】
また、冷却水流制御ユニット61は、
図2に示すように、シリンダヘッドカバー16よりも低い位置に配置されている。具体的には、冷却水流制御ユニット61はシリンダヘッド15の前方に配置されている。また、冷却水流制御ユニット61はウォータポンプ31よりも高い位置に配置されている。また、冷却水流制御ユニット61は、鞍乗型車両1を右方から見た場合にエンジン12とラジエータ装置37との間に配置されている。
【0049】
また、
図2に示すように、ウォータジャケット35の流出口36と上ラジエータ38の上ラジエータ流入口42との間はラジエータインレット配管71により接続されている。ラジエータインレット配管71は、
図7に示すように、シリンダヘッド15の後部の左右方向中央付近から右方に伸長し、その後、
図2に示すように、シリンダヘッド15の右方およびシリンダヘッドカバー16の右方を順次通って前方へ伸長しつつ、右方へ僅かに傾斜し、上ラジエータ流入口42に至っている。また、ラジエータインレット配管71は、鞍乗型車両1を右方から見た場合に、
図2に示すように、右側のサイドフレーム215の下方において当該サイドフレーム215と隣接し、かつ当該サイドフレーム215に沿うように伸長している。
【0050】
また、
図5に示すように、上ラジエータ38の上ラジエータ流出口45と下ラジエータ46の下ラジエータ流出口51とは、ラジエータアウトレット配管73の流入側の上、下に分岐した2つの端部にコネクティング配管53、54を介してそれぞれ接続されている。そして、
図6に示すように、ラジエータアウトレット配管73の流出側の端部は冷却水流制御ユニット61のサーモスタットケース62に形成された第1の冷却水流入口63に接続されている。ラジエータアウトレット配管73は、
図5に示すように、上ラジエータ38と下ラジエータ46との間に配置されている。具体的には、ラジエータアウトレット配管73は、上ラジエータ38と下ラジエータ46との間の領域における左側の位置(上ラジエータ38の流出タンク41の下方辺り)から、鞍乗型車両1の左右方向中央を越え、上ラジエータ38と下ラジエータ46との間の領域における右側の位置(上ラジエータ38の流入タンク40の下方辺り)に至るまでを、水平かつ鞍乗型車両1の直進方向に対して垂直な方向に直線状に伸長している。その後、ラジエータアウトレット配管73は、
図6に示すように、湾曲して後方に伸長した後、さらに湾曲して上方に伸長し、上ラジエータ38の流入タンク40の後方に位置する第1の冷却水流入口63に至っている。また、ラジエータアウトレット配管73は、
図5に示すように、左右方向に互いに離れて配置された一対のブラケット57により上ラジエータ38および下ラジエータ46に固定されている。
【0051】
また、
図7および
図8に示すように、上ラジエータ38のバイパス流出口43とサーモスタットケース62の第2の冷却水流入口64との間はバイパス配管72により接続されている。バイパス配管72は、
図6に示すように、鞍乗型車両1の左右方向中央よりも右側に配置され、かつ、
図5と
図6とを比較し見るとわかる通り、ラジエータ装置37において最も右側に位置する部分よりも左側に配置され、かつ、
図2に示すように、鞍乗型車両1を右方から見た場合にエンジン12とラジエータ装置37との間に配置されている。
【0052】
また、
図7に示すように、サーモスタットケース62の冷却水流出口66とウォータポンプ31のポンプ流入口33との間はウォータポンプインレット配管74により接続されている。ウォータポンプインレット配管74は、
図6に示すように、鞍乗型車両1の左右方向中央よりも右側に配置され、かつ、
図5と
図6とを比較し見るとわかる通り、ラジエータ装置37において最も右側に位置する部分よりも左側に配置され、かつ、
図2に示すように、鞍乗型車両1を右方から見た場合にラジエータ装置37よりも後ろ側に配置されている。
【0053】
また、鞍乗型車両1の冷却系は、冷却水を用いて過給機113のベアリング部116を冷却する構造を備えている。ベアリング部116を冷却することにより、過給機113においてタービンホイールおよびコンプレッサインペラの回転シャフトを回転可能に支持するベアリングの潤滑油の温度上昇を抑えることができる。具体的には、
図7および
図8に示すように、ウォータポンプ31の第2のポンプ吐出口34とベアリング部116との間には、共用配管81、分流部80および過給機インレット配管75により冷却水経路が形成されている。分流部80は、共用配管81を流通する冷却水を過給機インレット配管75とオイルクーラインレット配管77とへ分流させる部品であり、例えばY字型の継手である。また、ベアリング部116と冷却水流制御ユニット61の第3の冷却水流入口65との間は過給機アウトレット配管76により接続されている。過給機インレット配管75および過給機アウトレット配管76はいずれもエンジン12とラジエータ装置37との間に配置されている。
【0054】
また、鞍乗型車両1の冷却系は、冷却水を用いてエンジンオイルを冷却する構造を備えている。具体的には、
図8に示すように、ウォータポンプ31の第2のポンプ吐出口34とオイルクーラ26との間には、共用配管81、分流部80およびオイルクーラインレット配管77により冷却水経路が形成されている。また、ラジエータインレット配管71において、上ラジエータ流入口42に近い部分には合流部79が設けられており、オイルクーラ26と合流部79との間がオイルクーラアウトレット配管78により接続されている。合流部79は、例えば、ラジエータインレット配管71の周壁の一部に形成された接続口である。なお、合流部79をT字型の継手を用いて形成してもよい。オイルクーラアウトレット配管78は、エンジン12とラジエータ装置37との間において、鞍乗型車両1の左右方向中央よりも右側(具体的には過給機113の右側)を上下方向に伸長している。
【0055】
ラジエータインレット配管71、バイパス配管72、ラジエータアウトレット配管73、ウォータポンプインレット配管74、過給機インレット配管75、過給機アウトレット配管76、オイルクーラインレット配管77およびオイルクーラアウトレット配管78はそれぞれ、パイプにより形成してもよいし、ホースにより形成してもよいし、パイプとホースとを組み合わせて形成してもよい。なお、バイパス配管72およびウォータポンプインレット配管74に、冷却水流制御ユニット61を支持する機能を持たせる場合には、これらの配管を例えば硬質な樹脂製のホース、または樹脂製もしくは金属製のパイプにより形成することで、冷却水制御ユニット61の支持の安定性を高めることができる。
【0056】
鞍乗型車両1の冷却系の動作は次の通りである。まず、冷却水の温度が所定の基準温度T1以下の状態(第1の状態)であるとき、冷却系は次のように動作する。すなわち、
図9において、冷却水流制御ユニット61のサーモスタット67は、サーモスタットケース62内の冷却水の温度が所定の基準温度T1以下のときに、主弁68を閉じ、かつ副弁69を開ける。これにより、サーモスタットケース62内において、第1の冷却水流入口63と冷却水流出口66との間の経路を遮断され、かつ第2の冷却水流入口64と冷却水流出口66との間の経路が接続される。例えば、エンジン12の暖機運転時にはこのような状態となる。
【0057】
この第1の状態において、ウォータポンプ31の第1のポンプ吐出口32から吐出された冷却水は、ウォータジャケット35を流通してエンジン12を冷却した後、ラジエータインレット配管71を流通し、上ラジエータ38の上ラジエータ流入口42から流入タンク40内に流入する。流入タンク40内において、冷却水は、上ラジエータ38のコア39および下ラジエータ46へは流れることができないが、バイパス流出口43からバイパス配管72へ流れることができる。流入タンク40内に流入した冷却水はバイパス流出口43から流出し、バイパス配管72を流通して、サーモスタットケース62の第2の冷却水流入口64からサーモスタットケース62内に流入する。ここで、バイパス流出口43に対応する位置Pは、冷却水の経路が、冷却水を上ラジエータ38のコア39および下ラジエータ46を介して冷却水流制御ユニット61へ導く経路と、冷却水を上ラジエータ38のコア39または下ラジエータ46を介さずに冷却水流制御ユニット61へ導く経路とに分岐する分岐位置である。
【0058】
サーモスタットケース62内に流入した冷却水は、サーモスタットケース62の冷却水流出口66から流出し、ウォータポンプインレット配管74を流通し、ポンプ流入口33を通ってウォータポンプ31へ戻る。
【0059】
次に、冷却水の温度が所定の基準温度T2(T2>T1)よりも高い状態(第2の状態)であるとき、冷却系は次のように動作する。すなわち、サーモスタット67は、サーモスタットケース62内の冷却水の温度が基準温度T2を超えたとき、主弁68を開け、かつ副弁69を閉じる。これにより、サーモスタットケース62内において、第1の冷却水流入口63と冷却水流出口66との間の経路が接続され、かつ第2の冷却水流入口64と冷却水流出口66との間の経路が遮断される。
【0060】
この第2の状態において、ウォータポンプ31から吐出された冷却水は、まず、第1の状態のときと同様に、ウォータジャケット35およびラジエータインレット配管71を順次流通し、上ラジエータ38の流入タンク40内に流入する。流入タンク40内において、冷却水は、バイパス流出口43からバイパス配管72へ流れることはできないが、上ラジエータ38のコア39および下ラジエータ46へは流れることができる。流入タンク40内に流入した冷却水は、上ラジエータ38のコア39へ向かう経路と、下ラジエータ46へ向かう経路とに分流する。上ラジエータ38のコア39へ向かう経路へ分流した冷却水は、コア39を流通し、コア39により冷却された後、流出タンク41内へ流入し、上ラジエータ流出口45から流出する。一方、下ラジエータ46へ向かう経路へ分流した冷却水は、コネクティング配管52、下ラジエータ46の流入タンク48内およびコア47を順次流通し、コア47により冷却された後、下ラジエータ46の流出タンク49内へ流入し、下ラジエータ流出口51から流出する。上ラジエータ流出口45および下ラジエータ流出口51からそれぞれ流出した冷却水は、コネクティング配管53、54をそれぞれ流通してラジエータアウトレット配管73に至り、ラジエータアウトレット配管73内で合流して、第1の冷却水流入口63を通ってサーモスタットケース62内へ流入する。その後のサーモスタットケース62内からウォータポンプ31へ戻る冷却水の流れは、第1の状態のときと同じである。
【0061】
次に、冷却水の温度が基準温度T1よりも高く、かつ基準温度T2以下の状態(第3の状態)であるとき、サーモスタット67は、主弁68および副弁69の双方を開ける。これにより、サーモスタットケース62内において、第1の冷却水流入口63と冷却水流出口66との間の経路が接続され、かつ、第2の冷却水流入口64と冷却水流出口66との間の経路が接続される。この第3の状態においては、上ラジエータ38の流入タンク40に流入した冷却水は、上ラジエータ38のコア39へ向かう経路、下ラジエータ46へ向かう経路、およびバイパス流出口43から流出する経路に分流する。分流した冷却水は第1の状態または第2の状態のときと同様にそれぞれの経路を流通してサーモスタットケース62内へ流入し、続いてウォータポンプ31へ戻る。
【0062】
また、サーモスタット67は、基準温度T1よりも高く基準温度T2以下の範囲内で変化する冷却水の温度に応じて主弁68および副弁69の開度を変化させる。これにより、上ラジエータ38のコア39および下ラジエータ46を流通する冷却水の流量と、バイパス配管72を流通する冷却水の流量との割合が冷却水の温度に応じて変化する。
【0063】
一方、上記第1の状態、第2の状態および第3の状態のいずれの状態においても、鞍乗型車両1の冷却系はさらに次のように動作する。すなわち、ウォータポンプ31の第2のポンプ吐出口34から吐出された冷却水は、共用配管81を流通して分流部80に至り、分流部80において過給機インレット配管75およびオイルクーラインレット配管77に分流する。過給機インレット配管75へ分流した冷却水は、過給機113のベアリング部116内を流通し、ベアリング部116を冷却する。その後、この冷却水は過給機アウトレット配管76、第3の冷却水流入口65、サーモスタットケース62内、冷却水流出口66およびウォータポンプインレット配管74を順次流通してウォータポンプ31へ戻る。一方、オイルクーラインレット配管77へ分流した冷却水は、オイルクーラ26に至り、エンジンオイルを冷却する。その後、この冷却水は、オイルクーラアウトレット配管78を流通し、ラジエータインレット配管71の合流部79に至り、ウォータジャケット35から上ラジエータ38の流入タンク40へ向かってラジエータインレット配管71内を流通する冷却水と合流する。
【0064】
以上説明した通り、本発明の実施例の鞍乗型車両1によれば、冷却水流制御ユニット61がシリンダヘッドカバー16よりも低い位置に配置されているので、エンジン12の上方に、燃料タンク241の配置に利用可能な空間を容易に形成することができる。これにより、燃料タンク241を大型化することができ、燃料タンク241の容量を拡大することができる。また、エンジン12の上方の空間を、エアクリーナ111、インタークーラ117またはサージタンク119の配置にも利用することができる。これにより、エアクリーナ111、インタークーラ117またはサージタンク119の容量を拡大することが容易になり、また、これらの部品の形状につき設計の自由度を高めることができる。
【0065】
また、冷却水流制御ユニット61がエンジン12とラジエータ装置37との間に配置されているので、鞍乗型車両1を外から見たときに冷却水流制御ユニット61を目立ち難くすることができる。したがって、鞍乗型車両1の外観のデザイン性を向上させることができる。
【0066】
また、冷却水流制御ユニット61がエンジン12とラジエータ装置37との間に配置されているので、冷却水流制御ユニット61またはこれに接続されるラジエータインレット配管71、バイパス配管72、ラジエータアウトレット配管73、ウォータポンプインレット配管74等の配管がエンジンユニット11から側方へ張り出すことを容易に防止することができる。したがって、エンジンユニット11の幅(左右方向の長さ)を小さくすることができ、鞍乗型車両の外観のデザイン性を向上させることができる。
【0067】
また、冷却水流制御ユニット61がエンジン12とラジエータ装置37との間に配置されているので、冷却水流制御ユニット61をラジエータ装置37に近づけることができる。これにより、冷却水流制御ユニット61とラジエータ装置37とを接続する配管を短くすることができ、当該配管を目立ち難くすることができる。具体的には、バイパス配管72およびラジエータアウトレット配管73を短くし、目立ち難くすることができる。したがって、鞍乗型車両1の外観のデザイン性を良くすることができる。
【0068】
また、本発明の実施例の鞍乗型車両1では、ウォータポンプ31がクランクケース13の右部に取り付けられ、冷却水流制御ユニット61が、鞍乗型車両1の左右方向においてウォータポンプ31と同じ側であり、シリンダヘッドカバー16よりも低く、かつエンジン12とラジエータ装置37との間の位置に配置されている。この構成により、ウォータポンプ31と冷却水流制御ユニット61とを互いに近づけることができる。これにより、冷却水流制御ユニット61とウォータポンプ31とを接続する配管、具体的にはウォータポンプインレット配管74を短くすることができ、当該配管を目立ち難くすることができる。したがって、鞍乗型車両の外観のデザイン性を良くすることができる。
【0069】
また、本発明の実施例の鞍乗型車両1によれば、冷却水流制御ユニット61がウォータポンプ31よりも鞍乗型車両1の左右方向中央に近い位置に配置されているので、冷却水流制御ユニット61をより目立ち難くすることができる。
【0070】
また、本発明の実施例の鞍乗型車両1において、冷却水流制御ユニット61は、鞍乗型車両1を前方から見た場合に、車体フレーム211において、シリンダヘッド15の右前部に設けられたエンジンマウント部15Aに向かって下方に伸びる部分(具体的には右側のダウンチューブ214の下端側)と重なり合う位置に配置されている。これにより、ラジエータ装置37と車体フレーム211との間のデッドスペースを、冷却水流制御ユニット61を配置するスペースとして有効利用することができる。
【0071】
また、本発明の実施例の鞍乗型車両1において、冷却水流制御ユニット61は、ラジエータ装置37において最も右側に位置する部分よりも鞍乗型車両1の左右方向中央に近い位置に配置されている。これにより、冷却水流制御ユニット61またはこれに接続される配管がエンジンユニット11の右方に張り出すことを防止することができ、エンジンユニット11の幅を小さくすることができる。また、冷却水流制御ユニット61をラジエータ装置37により隠して目立ち難くすることができる。
【0072】
また、本発明の実施例の鞍乗型車両1において、バイパス配管72は、鞍乗型車両1の左右方向中央よりも右側、ラジエータ装置37において最も右側に位置する部分よりも左側、かつ鞍乗型車両1を側方から見た場合にエンジン12とラジエータ装置37の前面との間に配置されている。さらに、ウォータポンプインレット配管74は、鞍乗型車両1の左右方向中央よりも右側、ラジエータ装置37において最も右側に位置する部分よりも左側、かつ鞍乗型車両1を側方から見た場合にラジエータ装置37よりも後ろ側に配置されている。すなわち、バイパス配管72、冷却水流制御ユニット61およびウォータポンプインレット配管74が鞍乗型車両1の左右方向中央よりも右側であってエンジン12とラジエータ装置37との間の領域に集約され、かつ当該領域の上部から下部に向かって整然と配列されている。これにより、バイパス配管72、冷却水流制御ユニット61およびウォータポンプインレット配管74を目立ち難くすることができる。また、バイパス配管72およびウォータポンプインレット配管74をそれぞれ短くすることができ、これらの配管を流れる冷却水の圧力損失を小さくすることができる。また、バイパス配管72、冷却水流制御ユニット61およびウォータポンプインレット配管74が他の部品と接触することを容易に回避することができる。
【0073】
また、バイパス配管72、冷却水流制御ユニット61およびウォータポンプインレット配管74が鞍乗型車両1の左右方向中央よりも右側であってエンジン12とラジエータ装置37との間の領域に集約されているので、鞍乗型車両1の左右方向中央よりも左側であってエンジン12とラジエータ装置37との間の領域を他の部品の配置のために開放することができる。これにより、吸気系を構成するエアインテーク配管125およびエアアウトレット配管126を、鞍乗型車両1の左右方向中央よりも左側において、鞍乗型車両1を側方から見た場合にエンジン12とラジエータとの間を上下方向に伸長するように配置することができる。したがって、エアインテーク配管125およびエアアウトレット配管126をそれぞれ目立ち難くすることができ、また、エアインテーク配管125およびエアアウトレット配管126をそれぞれ流れる空気の圧力損失を小さくすることができる。本発明の実施例の鞍乗型車両1によれば、過給機113の搭載により部品点数が増加した場合でも、各部品を効率良く配置することができ、したがって、小型でデザイン性の良い過給機付きの鞍乗型車両を容易に実現することができる。
【0074】
また、本発明の実施例の鞍乗型車両1において、冷却水流制御ユニット61は、バイパス配管72およびウォータポンプインレット配管74により支持されている。これにより、冷却水流制御ユニット61を支持するための専用のブラケットが不要になり、部品点数を削減することができる。また、ブラケットの車体フレーム211やエンジン12等への取付位置や取付方法を考慮する必要がないので、冷却水流制御ユニット61の配置自由度を高めることができる。
【0075】
また、本発明の実施例の鞍乗型車両1では、ウォータポンプ31および冷却水流制御ユニット61がシリンダヘッドカバー16よりも低い位置に配置され、冷却系を構成する配管71〜78等がエンジン12の上方またはそれよりも高い位置を通っていない。したがって、上述した特許文献1に記載された自動二輪車のように冷却水の注水口をエンジンの上方に配置する必要がない。よって、本発明の実施例の鞍乗型車両1によれば、注水口を上ラジエータ38の流入タンク40の上面に形成することができ、メンテナンス性を高めることができる。
【0076】
なお、上述した実施例では、ウォータポンプ31、冷却水流制御ユニット61、ラジエータインレット配管71、バイパス配管72およびウォータポンプインレット配管74等の冷却系の部品を鞍乗型車両1の右側に配置し、エアインテーク配管125およびエアアウトレット配管126等の吸気系の部品を鞍乗型車両1の左側に配置する場合を例にあげたが、これらの配置を左右逆にしてもよい。
【0077】
また、上述した実施例では、ラジエータのコアを介さずに冷却水を流通させるために、ラジエータインレット配管71から上ラジエータ38の流入タンク40を介してバイパス配管72へ冷却水を流す構成を採用したが、本発明はこれに限らない。例えば、ラジエータインレット配管71において上ラジエータ流入口42との接続部分に近い位置にバイパス配管72を直接接続し、ラジエータインレット配管71からバイパス配管72へ冷却水を直接流すようにしてもよい。この構成の場合、バイパス配管72がラジエータインレット配管71に直接接続された位置が、冷却水を上ラジエータ38のコア39および下ラジエータ46を介して冷却水流制御ユニット61へ導く経路と、冷却水を上ラジエータ38のコア39または下ラジエータ46を介さずに冷却水流制御ユニット61へ導く経路との分岐位置となる。
【0078】
また、上述した実施例では、上ラジエータ38と下ラジエータ46とを有するラジエータ装置37を採用した場合を例にあげたが、単一のラジエータを有するラジエータ装置を採用することもできる。また、冷却水流制御ユニット61におけるサーモスタットとして、副弁69を有していないサーモスタットを用いることもできる。
【0079】
また、上述した実施例では、エンジン12を車体フレーム211に支持するために、シリンダヘッド15に設けられたエンジンマウント部15Aをダウンチューブ214の下端部に接続する場合を例にあげたが、これに代え、シリンダ14にエンジンマウント部を設け、このエンジンマウント部にダウンチューブ214の下端部に接続してもよい。
【0080】
また、上述した実施例では、冷却水流制御ユニット61を、バイパス配管72およびウォータポンプインレット配管74により支持したが、冷却水流制御ユニット61を、ブラケット等を介して車体フレーム211等に支持してもよい。
【0081】
また、本発明は、過給機を備えていない鞍乗型車両にも適用することができる。また、エンジンの気筒数は限定されない。また、本発明は、自動二輪車に限らず、自動三輪車、バギー車等の他の種類の鞍乗型車両にも適用することができる。
【0082】
また、上述した実施例において、ラジエータ装置37が特許請求の範囲における「ラジエータ」の具体例である。また、ラジエータインレット配管71および上ラジエータ38の流入タンク40内において、上ラジエータ流入口42からバイパス流出口43までの部分により形成される経路が特許請求の範囲における「第1の経路」の具体例である。また、上ラジエータ38のコア39、上ラジエータ38の流出タンク41、下ラジエータ46、コネクティング配管52、53、54、およびラジエータアウトレット配管73により形成される経路が特許請求の範囲における「第2の経路」の具体例である。また、バイパス配管72により形成される経路が特許請求の範囲における「第3の経路」の具体例である。また、ウォータポンプインレット配管74により形成される経路が特許請求の範囲における「第4の経路」の具体例である。
【0083】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う鞍乗型車両もまた本発明の技術思想に含まれる。