(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
差動信号を伝送する一対の内導体に接続される一対のシグナルコンタクト部材を備えるプラグコネクタの前記一対のシグナルコンタクト部材に接続される導電性の一対のコンタクト部材と、
前記一対のコンタクト部材を覆った状態で前記プラグコネクタのグランドコンタクト部材に接続される導電性のシェル部と、
前記一対のコンタクト部材の各々と前記シェル部とを絶縁する絶縁部材と、を含む端子を複数備え、
前記複数の端子を二列に分けて収容する収容部が形成されたハウジングを有し、
前記二列のうち一方の列に配置される端子と他方の列に配置される端子とは、前記一方の列と前記他方の列とを隔てる壁に対して互いに対称になる向きで配置される
ことを特徴とするリセプタクルコネクタ。
前記突出部のうち前記グランドパターンに対向して接続される面と反対側の面の前記基板の主面からの高さは、前記コンタクト部材の前記接続部のうち前記シグナルパターンに対向して接続される面と反対側の面の前記基板の主面からの高さよりも高い
ことを特徴とする請求項3に記載のリセプタクルコネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するリセプタクルコネクタの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
<1.リセプタクルコネクタの概略>
実施形態に係るリセプタクルコネクタ1の概略について、
図1〜
図3を参照して説明する。実施形態に係るリセプタクルコネクタ1は、
図1に示すように、印刷配線基板などの基板3の主面3a上に実装され、複数のケーブル部4の先端が接続されるプラグコネクタ2と連結される。
【0012】
以下において、説明の便宜上、リセプタクルコネクタ1に対してプラグコネクタ2を差し込む方向(Z軸負方向)を「下方向」とし、その逆方向(Z軸正方向)を「上方向」とする。また、リセプタクルコネクタ1の長手方向(X軸方向)を「左右方向」とし、「上下方向」と「左右方向」の双方に直交する方向(Y軸方向)を「前後方向」とする。
【0013】
図2に示すように、プラグコネクタ2は、複数の端子30と、複数の端子30を保持する絶縁性のハウジング40とを備える。ハウジング40には、複数の端子30を二列に分けて収容する複数の収容部42が設けられている。複数の端子30は、ハウジング40から下端が露出するように、互いに異なる収容部42に圧入される。
【0014】
各端子30は、
図3に示すように、差動信号を伝送するケーブル部4の一対の内導体5aが接続される一対のシグナルコンタクト部材31を備える。ケーブル部4は、一対の同軸ケーブル5を含んでいる。一対の同軸ケーブル5のうち一方の同軸ケーブル5の内導体5aによって差動信号のうち一方の信号が伝送され、他方の同軸ケーブル5の内導体5aによって差動信号のうち他方の信号が伝送される。なお、図面において、同軸ケーブル5は、便宜上、一部のみを示しており、残りの部分との境界を切断面として示している。
【0015】
また、
図2に示すように、リセプタクルコネクタ1は、複数の端子10と、複数の端子10を保持する絶縁性のハウジング20とを備える。ハウジング20には、複数の端子10を二列に分けて収容する複数の収容部22が設けられている。複数の端子10は、ハウジング20の下方から、互いに異なる収容部22に圧入される。
【0016】
図3に示すように、各端子10は、導電性の一対のコンタクト部材11と、絶縁性の絶縁部材12と、導電性のシェル部13とを備える。一対のコンタクト部材11は、プラグコネクタ2の一対のシグナルコンタクト部材31に接続される。絶縁部材12は、一対のコンタクト部材11と導電性のシェル部13との絶縁を保った状態で、一対のコンタクト部材11を保持する。導電性のシェル部13は、絶縁部材12を介して一対のコンタクト部材11を覆った状態でプラグコネクタ2のシェル部33(グランドコンタクト部材の一例)に接続される。
【0017】
リセプタクルコネクタ1の一対のコンタクト部材11は、シェル部13に覆われているため、一対のコンタクト部材11から放射される電磁波がシェル部13でシールドされる。これにより、例えば、端子10間のクロストークによる影響を抑制することができ、また、端子10から端子10外のその他の導体への影響を抑制することができる。また、リセプタクルコネクタ1とプラグコネクタ2との連結時には、シェル部13とシェル部33の一部との間に一対のコンタクト部材11が位置しているため、一対のコンタクト部材11から放射される電磁波がシェル部33によってもシールドされる。これによっても、端子10間のクロストークによる影響等を抑制することができる。
【0018】
以下、実施形態に係るリセプタクルコネクタ1およびプラグコネクタ2の具体的構成について、さらに詳細に説明する。なお、以下においては、プラグコネクタ2の構成、リセプタクルコネクタ1の構成、および、プラグコネクタ2とリセプタクルコネクタ1との連結状態について順に説明する。
【0019】
<2.プラグコネクタ2の構成>
プラグコネクタ2は、上述したように、複数の端子30と、これら複数の端子30を収容する絶縁性のハウジング40とを備える。ハウジング40は、
図4に示すように、複数の端子30を二列に分けて収容する複数の収容部42が形成された本体部41と、本体部41の左右の各端部に連続し下方に突出する突出部44と、本体部41の左右の各端部から左右方向と前後方向に沿って突出する一対の突出部45とを備える。一対の突出部45のうちの一方の突出部45と他方の突出部45とは間隔を空けて前後方向で対向する。
【0020】
各収容部42の上方は開口しており、上方から複数の端子30を複数の収容部42に挿入することができる。
図5に示すように、一方の列の収容部42に収容される端子30と他方の列の収容部42に収容される端子30とは、左右に延伸し且つ一方の列の収容部42と他方の列の収容部42とを隔てる仕切壁43に対して互いに対称になる向きで配置される。一方の列の複数の収容部42に収容された複数の端子30の同軸ケーブル5は、ハウジング40の長手方向である左右方向に一列に配列される。同様に、他方の列の複数の収容部42に収容された複数の端子30の同軸ケーブル5は、ハウジング40の長手方向である左右方向に一列に配列される。
【0021】
なお、上述したプラグコネクタ2のハウジング40は、一方の列の収容部42と他方の列の収容部42とを左右方向で交互に配置した千鳥配列を有する構成であるが、ハウジング40の配列は、
図4および
図5に示す配列に限定されない。例えば、プラグコネクタ2のハウジング40における複数の収容部42の配列は、一方の列の収容部42と他方の列の収容部42とを左右方向に所定ピッチで且つ前後方向に並行に配列した並列配列であってもよい。また、ハウジング40は、一つの収容部42のみ、一列の収容部42のみ、または、三列以上の収容部42が形成される構成であってもよい。
【0022】
図4に示すように、各突出部44には、上下方向に延伸する導電性の係合部46がインサート成形または圧入によって取り付けられている。かかる係合部46は、突出部44のうち本体部41の端部と対向する方向とは逆方向に露出しており、中途部に突起47が形成される。また、係合部46の上端部には、左右方向に移動可能な操作部48が形成されており、かかる操作部48を本体部41へ向かう方向へ移動させることで、突起47を本体部41へ向かう方向へ移動させることができる。
【0023】
図6に示すように、端子30は、一対の同軸ケーブル5を有するケーブル部4の一端に接続される。同軸ケーブル5は、例えば、携帯電話機やサーバ等の電子装置に用いられる極細の同軸ケーブルである。これら一対の同軸ケーブル5に含まれる一対の内導体5aは、差動信号が伝送される信号線である。すなわち、一対の内導体5aのうち一方の内導体5aに伝送される信号と他方の内導体5aに伝送される信号とは位相が180度異なる。かかる差動信号は、例えば、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)方式の差動信号である。
【0024】
同軸ケーブル5は、内導体5a、誘電体5b、外導体5cおよび外周被覆材5dが順に積層されて構成される。同軸ケーブル5は、
図8に示すように、先端側から内導体5a、誘電体5b、外導体5cが順次露出した状態で端子30の内部に配置されている。なお、ケーブル部4は、
図6に示すように、一対の同軸ケーブル5で構成されているが、ケーブル部4は、ツインナックスケーブルなどのシールドペア線であってもよい。シールドペア線は、一対の内導体を含み、かかる一対の内導体が誘電体を介して同じ外導体に覆われる。
【0025】
端子30における一対のシグナルコンタクト部材31は、上下方向に延伸しており、絶縁性のハウジング32に保持される。そして、
図8に示すように、一対のシグナルコンタクト部材31の先端部31aは、一対の内導体5aに接続され、一対のシグナルコンタクト部材31および一対の内導体5aの露出した部分は、シェル部33によって覆われる。
【0026】
したがって、一対の内導体5aおよび一対のシグナルコンタクト部材31から放射される電磁波がシェル部33でシールドされ、一対の内導体5aおよび一対のシグナルコンタクト部材31からの電磁波の放射による端子30外への影響が抑制される。
【0027】
端子30には、シグナルコンタクト部材31の他端部31bに対向する位置に、リセプタクルコネクタ1のコンタクト部材11が挿入される内部空間35が形成される。また、シェル部33の下端部には、内部空間35に通じる開口34が設けられている。これにより、リセプタクルコネクタ1のコンタクト部材11を、端子30の内部空間35に下方から進入させ、シェル部33に覆われた状態のシグナルコンタクト部材31にコンタクト部材11を接触させることができる。
【0028】
なお、シグナルコンタクト部材31は、側面視においてクランク状に形成されており、例えば、一つの金属板に打抜き折曲げ加工を施すことによって形成される。また、シェル部33は、角筒状に形成されており、例えば、一つの金属板に打抜き折曲げ加工を施すことによって形成される。かかるシェル部33は、
図8に示すように、上下方向の中途部に開口36を有しており、かかる開口36を介してシグナルコンタクト部材31と内導体5aとの接触状態を目視することが可能である。
【0029】
<3.リセプタクルコネクタ1の構成>
リセプタクルコネクタ1は、上述したように、複数の端子10と、これら複数の端子10を収容する絶縁性のハウジング20とを備える。
【0030】
ハウジング20は、
図9に示すように、複数の端子10を二列に分けて収容する複数の収容部22が形成された本体部21と、本体部21の左右両端に連続し上方に突出する突出部24とを備える。各収容部22の上方は開口しており、複数の端子10は、下方から複数の収容部22に圧入される。なお、端子10は、ハウジング20にインサート成形によって挿入することもできる。
【0031】
図10に示すように、一方の列の収容部22に収容される端子10と他方の列の収容部22に収容される端子10とは、左右方向に延伸し且つ一方の列の収容部22と他方の列の収容部22とを隔てる仕切壁23に対して互いに対称になる向きで配置される。
【0032】
なお、上述したリセプタクルコネクタ1のハウジング20は、一方の列の収容部22と他方の列の収容部22とを左右方向で交互に配置した千鳥配列を有する構成であるが、ハウジング20の配列は、
図9および
図10に示す配列に限定されない。例えば、リセプタクルコネクタ1のハウジング20における複数の収容部22の配列は、一方の列の収容部22と他方の列の収容部22とを左右方向に所定ピッチで且つ前後方向に並行に配列した並列配列であってもよい。また、ハウジング20は、一つの収容部22のみ、一列の収容部22のみ、または、三列以上の収容部22が形成される構成であってもよい。
【0033】
また、突出部24は、上面視でU字状に形成されており、また、上下方向に延伸する導電性のホールドダウン26がインサート成形または圧入によって取り付けられている。かかるホールドダウン26は、
図9に示すように、本体部21の端部と対向する向きに露出しており、上下方向における中途部に開口27が形成されている。また、
図10に示すように、本体部21と突出部24との間には、プラグコネクタ2の突出部44(
図4参照)が挿入される空間25が形成されている。
【0034】
リセプタクルコネクタ1にプラグコネクタ2を連結する際に、プラグコネクタ2の突出部44(
図4参照)がリセプタクルコネクタ1に形成された空間25に挿入される。このとき、リセプタクルコネクタ1の突出部24は、プラグコネクタ2の突出部44を空間25へ挿入させるためのガイドとして機能する。そして、プラグコネクタ2の係合部46(
図4参照)に形成された突起47(
図4参照)がリセプタクルコネクタ1のホールドダウン26に形成された開口27に挿入される。これにより、リセプタクルコネクタ1にプラグコネクタ2が係止されて連結された状態になる。
【0035】
また、リセプタクルコネクタ1にプラグコネクタ2が連結された状態で、プラグコネクタ2に形成された左右の操作部48(
図4参照)を互いに近づく方向に移動させることで、突起47が開口27から離れる。この状態で、プラグコネクタ2を上方へ移動させることで、リセプタクルコネクタ1とプラグコネクタ2との連結を解除することができる。
【0036】
また、リセプタクルコネクタ1にプラグコネクタ2を連結する際に、プラグコネクタ2の端子30がリセプタクルコネクタ1の端子10に挿入される。これにより、リセプタクルコネクタ1とプラグコネクタ2とが電気的に接続される。
【0037】
図11〜
図15に示すように、リセプタクルコネクタ1の端子10は、導電性の一対のコンタクト部材11と、一対のコンタクト部材11を覆った状態でプラグコネクタ2のシェル部33に接続される導電性のシェル部13と、コンタクト部材11とシェル部13とを絶縁する絶縁部材12とを備える。コンタクト部材11は、側面視でL字状に形成されており、例えば、一つの金属板に打抜き折曲げ加工を施すことによって形成される。また、シェル部13は、例えば、一つの金属板に打抜き折曲げ加工を施すことによって形成される。
【0038】
図16に示すように、リセプタクルコネクタ1にプラグコネクタ2が連結された状態において、コンタクト部材11は、プラグコネクタ2のシグナルコンタクト部材31に接続され、シェル部13は、プラグコネクタ2のシェル部33に接続される。シェル部13の内周にシェル部33の外周が接触することで、シェル部13とシェル部33とが接続される。
【0039】
図14および
図16に示すように、コンタクト部材11は、上下方向に延伸しシグナルコンタクト部材31に接触する接触部11aを備える。また、シェル部13は、コンタクト部材11のうち接触部11aを覆う角筒状の本体部13aを備える。このように、接触部11aは、本体部13aに覆われることから、差動信号を伝送するコンタクト部材11の接触部11aから放射される電磁波がシェル部13でシールドされ、電磁波の放射による端子10外への影響が抑制される。
【0040】
また、コンタクト部材11は、シェル部13の外部に露出し且つ基板3の主面3a(
図1参照)に形成されたシグナルパターン6(
図11参照)に接続される接続部11bを備える。また、シェル部13は、本体部13aから基板3の主面3a(
図1参照)に沿って延伸し且つ基板3の主面3aに形成されたグランドパターン7(
図11参照)に接続される一対の突出部13bを備える。
【0041】
一対の突出部13bは、
図15に示すように、一対のコンタクト部材11のうち接続部11bを左右方向で挟む位置に形成され、一対のコンタクト部材11の接続部11bが左右方向で一対の突出部13bの一方と他方とで覆われる。これにより、一対のコンタクト部材11のうち接続部11bから左右方向に放射される電磁波が一対の突出部13bによってシールドされ、電磁波の放射による端子10外への影響が抑制される。
【0042】
また、
図17に示すように、複数の端子10が二列に配列されている。
図17においては、説明を分かり易くするために、17つの端子10のうち4つの端子10のみを示し、かかる4つの端子10を区別するために10a〜10dの4つの符号を付している。また、
図17においては、ハウジング20の本体部21を仮想線で示している。
【0043】
図17に示すように、前列において隣接する二つの端子10a,10bは、それぞれ一対の突出部13bを有している。隣接する二つの端子10a,10bの一対の接続部11b同士は、端子10aの突出部13bと端子10bの突出部13bを介して左右方向に隣接する。すなわち、端子10aにおける一対の接続部11bと端子10bにおける一対の接続部11bとは、2つの突出部13bを介して左右方向に隣接する。
【0044】
したがって、端子10aにおける一対の接続部11bからX軸正方向に放射される電磁波が、端子10bにおける一対の接続部11bへ影響することをより効果的に抑制することができる。同様に、端子10bにおける一対の接続部11bからX軸負方向に放射される電磁波が、端子10aにおける一対の接続部11bへ影響することをより効果的に抑制することができる。このことは、端子10cと端子10dとの関係でも同様である。このように、端子10間のクロストークによる影響を抑制することができる。
【0045】
また、前列の端子10a,10bの接続部11bと、後列の端子10c,10dの接続部11bとは、Y軸方向において、互いに離れる方向に延伸する。したがって、前列の端子10a,10bの接続部11bと、後列の端子10c,10dの接続部11bとを遠ざけることができ、前列の端子10a,10bの接続部11bと後列の端子10c,10dの接続部11bとの間の電磁波の影響を抑制することができる。したがって、前列の端子10a,10bの接続部11bと後列の端子10c,10dの接続部11bとの間のクロストークによる影響をより抑制することができる。
【0046】
また、コンタクト部材11の接続部11bは、
図11に示すように、シェル部13の外部に露出して基板3の主面3aに形成されたシグナルパターン6に接続されるため、接続不良を目視で確認することができ、接続不良がある場合に、手作業などによって半田付けを行うことができる。なお、コンタクト部材11の接続部11bは、シェル部13の外部に露出しない構成であってもよい。
【0047】
リセプタクルコネクタ1において、隣接する二つの端子10の少なくとも一方の端子10のシェル部13から突出部13bが突出していればよく、端子10は
図11〜
図15に示す構成に限定されない。例えば、
図18に示す端子10Aのように、左右の一方に突出部13bを設けた構成であってもよい。
図18に示す端子10Aは、端子10の一対の突出部13bのうち他方の突出部13bを設けない構成であり、その他の構成は端子10と同じである。
【0048】
図18に示すリセプタクルコネクタ1において、隣接する二つの端子10Aのうち一方の端子10Aの接続部11bと他方の端子10Aの接続部11bとは、一つの突出部13bを介して左右方向に隣接する。そのため、一方の端子10Aの接続部11bから左右方向に放射される電磁波が、他方の端子10Aの接続部11bへ影響することを抑制することができる。
【0049】
また、リセプタクルコネクタ1は、
図19に示すように、各列において端子10と端子10Bとを交互に配列した構成であってもよい。端子10Bは、端子10の一対の突出部13bを共に設けない構成であり、その他の構成は端子10と同じである。
【0050】
図19に示すリセプタクルコネクタ1において、隣接する二つの端子10,10Bのうち一方の端子10の接続部11bと他方の端子10Bの接続部11bとは、端子10の一つの突出部13bを介して左右方向に隣接する。そのため、端子10の接続部11bから左右方向に放射される電磁波が、端子10Bの接続部11bへ影響することを抑制することができる。このことは、端子10Bの接続部11bから端子10の接続部11bへの電磁波の影響も同様である。
【0051】
また、一対の突出部13bは、基板3の主面3aに形成されたグランドパターン7(
図11参照)に半田付けなどによって接続される。これにより、一対の突出部13bの接地を強化することができ、一対の突出部13bのシールド機能を強化することができる。そのため、電磁波の放射による端子10B外への影響がより効果的に抑制される。
【0052】
なお、
図14に示す例では、接続部11bの先端位置と突出部13bの先端位置とを前後方向で同じ位置にしたが、接続部11bの先端位置よりも突出部13bの先端位置を前方(本体部13aから遠ざかる方向)になるようにしてもよい。また、
図14に示す例では、接続部11bと突出部13bとが平行に延伸しているが、一対の突出部13bの先端が互いに近づくように一対の突出部13bを形成してもよい。
【0053】
図14に示すように、突出部13bの高さHgは、接続部11bの高さHsよりも高い。突出部13bの高さHgとは、突出部13bのうち基板3に形成されたグランドパターン7(
図11参照)に対向してグランドパターン7に接続される面61と反対側の面62の基板3の主面3aからの高さである。また、接続部11bの高さHsは、接続部11bのうちシグナルパターン6(
図11参照)に対向してグランドパターン7に接続される面51と反対側の面52の基板3の主面3aからの高さである。
【0054】
このように、突出部13bの高さHgは、接続部11bの高さHsよりも高い。そのため、Hg≦Hsである場合に比べ、接続部11bから左右方向に放射される電磁波の一対の突出部13bによるシールド性能を向上させることができ、電磁波の放射による端子10外への影響をより効果的に抑制することができる。
【0055】
なお、コンタクト部材11とシェル部13が同一の厚さの金属板によって形成される場合、コンタクト部材11の接続部11bは金属板の厚み方向を上下方向とし、シェル部13の突出部13bは金属板の面方向を上下方向とすることができる。これにより、突出部13bの高さHgを容易に変更することができる。
【0056】
<4.リセプタクルコネクタ1の他の構成>
以下、リセプタクルコネクタ1の他のいくつかの構成例を
図20〜
図23を参照して上述したリセプタクルコネクタ1と異なる点を主として説明する。
【0057】
図20に示すリセプタクルコネクタ1の各端子10は、
図23に示すように、プラグコネクタ2の端子30が2つ接続されるように構成されており、
図20に示すように、ハウジング20に形成された収容部22に収容される。なお、
図20に示すハウジング20における複数の収容部22の配列は、並列配列であるが、千鳥配列であってもよい。また、ハウジング20は、一つの収容部22のみ、一列の収容部22のみ、または、三列以上の収容部22が形成される構成であってもよい。
【0058】
図21に示すように、端子10は、一対のコンタクト部材11と絶縁部材12とを含む一方の組14aと、一対のコンタクト部材11と絶縁部材12とを含む他方の組14bとが間隔を空けて、一つのシェル部13に収容される構成を有する。
【0059】
シェル部13は、筒状の本体部13aと、二対の突出部13bとを備える。本体部13aは、上面視U字状に形成された2つの保持部13c,13dと、2つの保持部13c,13dを連結する一対の連結部13eとを備える。そして、一方の組14aの絶縁部材12は、シェル部13の保持部13cによって覆われ、他方の組14bの絶縁部材12は、シェル部13の一方の保持部13dによって覆われる。
【0060】
したがって、一方の組14aの絶縁部材12で保持されている一対のコンタクト部材11の接触部11a(
図14参照)と、他方の組14bの絶縁部材12で保持されている一対のコンタクト部材11の接触部11aとが一つのシェル部13によって覆われる。そのため、例えば、端子10間のクロストークによる影響を抑制することができ、また、端子10から端子10外のその他の導体への影響を抑制することができる。
【0061】
また、二対の突出部13bのうち一方の一対の突出部13bは、一方の組14aの一対のコンタクト部材11の接続部11bを挟むように形成され、他方の一対の突出部13bは、他方の組14bの一対のコンタクト部材11の接続部11bを挟むように形成される。
【0062】
これにより、コンタクト部材11の接続部11bから左右方向に放射される電磁波が一対の突出部13bによってシールドされ、電磁波の放射による端子10外への影響が抑制される。また、一方の組14aの一対の接続部11bと他方の組14bの一対の接続部11bとの間のクロストークの影響を抑制することができる。
【0063】
なお、
図21に示す端子10は、一方の組14aの一対のコンタクト部材11と他方の組14bの一対のコンタクト部材11とが、シェル部13を介さずに対向する構成であるが、端子10は、
図21に示す例に限定されない。
【0064】
例えば、端子10は、一対の連結部13e間にシェル部13とは別体の導電部材を配置することで、一方の組14aの一対のコンタクト部材11と他方の組14bの一対のコンタクト部材11との間のクロストークによる影響を抑制する構成であってもよい。
【0065】
また、端子10は、
図24に示すように、一対の連結部13eから前後方向に突出する一対の突出部13fを形成する構成であってもよい。かかる一対の突出部13fは、一方の組14aの一対のコンタクト部材11と他方の組14bの一対のコンタクト部材11との間に配置される。そのため、一方の組14aの一対の接続部11bと他方の組14bの一対の接続部11bとの間のクロストークの影響を抑制することができる。
【0066】
また、上述した例では、グランドコンタクト部材として角筒状のシェル部33がプラグコネクタ2に設けられる構成であるが、プラグコネクタ2のグランドコンタクト部材は、シェル部33でなくてもよく、リセプタクルコネクタ1のシェル部13に接続できる構成であればよい。すなわち、シェル部33は、角筒状でなくてもよく、また、シグナルコンタクト部材31を覆う構成でなくてもよい。
【0067】
以上のように、実施形態に係るリセプタクルコネクタ1は、差動信号を伝送する一対の内導体5aに接続されるプラグコネクタ2の一対のシグナルコンタクト部材31に接続される導電性の一対のコンタクト部材11を備える。また、リセプタクルコネクタ1は、一対のコンタクト部材11を覆った状態でプラグコネクタ2のシェル部33(グランドコンタクト部材の一例)に接続される導電性のシェル部13と、一対のコンタクト部材11の各々とシェル部13とを絶縁する絶縁部材12とを備える。これにより、一対のコンタクト部材11から放射される電磁波がシェル部13でシールドされる。したがって、端子10間のクロストークによる影響を抑制することができ、また、端子10から端子10外のその他の導体への影響を抑制することができる。
【0068】
また、リセプタクルコネクタ1において、一対のコンタクト部材11の各々は、シェル部13の外部に露出し且つ基板3の主面3aに形成されたシグナルパターン6に接続される接続部11bを有する。また、シェル部13は、基板3の主面3aに沿って延伸し一対のコンタクト部材11のうち接続部11bを挟む一対の突出部13bを備える。これにより、一対のコンタクト部材11のうち接続部11bから左右方向に放射される電磁波が一対の突出部13bによってシールドされることから、電磁波の放射による端子10外への影響を抑制することができる。
【0069】
また、突出部13bは、基板3の主面3aに形成されたグランドパターン7に接続される。これにより、突出部13bのシールド機能が強化されることから、コンタクト部材11の接続部11bから左右方向に放射される電磁波の放射による端子10外への影響を抑制することができる。
【0070】
また、突出部13bのうちグランドパターン7に対向して接続される面61と反対側の面62の基板3の主面3aからの高さHgは、コンタクト部材11の接続部11bのうちシグナルパターン6に対向して接続される面51と反対側の面52の基板3の主面3aからの高さHsよりも高い。これにより、接続部11bから左右方向に放射される電磁波の突出部13bによるシールド性能を向上させることができ、電磁波の放射による端子10外への影響をより効果的に抑制することができる。
【0071】
また、リセプタクルコネクタ1は、一対のコンタクト部材11、シェル部13および絶縁部材12を含む端子10を、一列に配列された状態で複数備える。一対のコンタクト部材11の各々は、シェル部13の外部に露出し且つ基板3の主面3aに形成されたシグナルパターン6に接続される接続部11bを有する。一対のコンタクト部材11の各々は、シェル部13の外部に露出し且つ基板3の主面3aに形成されたシグナルパターン6に接続される接続部11bを有する。複数の端子10のうち隣接する二つの端子10の少なくとも一方の端子10のシェル部13は、基板3の主面3aに沿って延伸し、且つ一方の端子10の一対のコンタクト部材11における接続部11bと他方の端子10の一対のコンタクト部材11における接続部11bとの間に配置される突出部13bを備える。これにより、隣接する端子10間のクロストークによる影響を抑制することができる。
【0072】
また、リセプタクルコネクタ1は、一対のコンタクト部材11、シェル部13および絶縁部材12を含む端子10を複数備え、複数の端子10を二列に分けて収容する収容部22が形成されたハウジング20を有する。二列のうち一方の列に配置される端子10と他方の列に配置される端子10とは、一方の列と他方の列とを隔てる仕切壁23に対して互いに対称になる向きで配置される。これにより、一方の列の端子10の接続部11bと、他方の列の端子10の接続部11bとを遠ざけることができ、一方の列の端子10の接続部11bと、他方の列の端子10の接続部11bとの間の電磁波の影響を抑制することができる。また、コンタクト部材11およびシェル部13の配置についての設計を容易に行うことができ、さらに、リセプタクルコネクタ1の前後方向の向きを気にすることなく、基板3に実装することができる。同様に、リセプタクルコネクタ1の前後方向の向きを気にすることなく、プラグコネクタ2をリセプタクルコネクタ1に実装することができる。
【0073】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。