特許第6965762号(P6965762)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6965762
(24)【登録日】2021年10月25日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】給電管理サーバおよび給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20211028BHJP
   H02J 50/15 20160101ALI20211028BHJP
   H02J 50/20 20160101ALI20211028BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20211028BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
   H02J7/02 B
   H02J50/15
   H02J50/20
   H02J50/40
   H02J7/00 301D
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-5883(P2018-5883)
(22)【出願日】2018年1月17日
(65)【公開番号】特開2019-126199(P2019-126199A)
(43)【公開日】2019年7月25日
【審査請求日】2020年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100125689
【弁理士】
【氏名又は名称】大林 章
(74)【代理人】
【識別番号】100128598
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 聖一
(74)【代理人】
【識別番号】100121108
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 太朗
(72)【発明者】
【氏名】田中 伶奈
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 林太郎
(72)【発明者】
【氏名】上田 誠
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弓恵
【審査官】 辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−136109(JP,A)
【文献】 特開2012−249505(JP,A)
【文献】 特開2017−188995(JP,A)
【文献】 特開2011−135679(JP,A)
【文献】 特開2004−094607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00−7/12
7/34−7/36
H02J 50/00−50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電可能な蓄電受電装置を含む複数の受電装置の各々について給電の履歴を示す給電履歴情報を管理する管理部と、
前記蓄電受電装置を使用する使用者の行動の予定を示す予定情報に基づいて、前記蓄電受電装置で必要とされる電力量を推定する推定部と、
前記推定部の推定結果、前記給電履歴情報、および前記複数の受電装置に対する給電の優先順位に基づいて、給電スケジュールを生成するスケジュール部と、
を備える給電管理サーバであって、
前記予定情報は、時間帯ごとの前記使用者の行動を示しており、
前記推定部は、前記使用者の行動と前記行動に伴って使用する蓄電受電装置との関係を示す関係情報を参照し、前記予定情報に基づいて、前記関係情報を参照して得られた前記蓄電受電装置が使用される使用時間を特定し、特定した使用時間と消費電力とに基づいて、前記使用者の行動に伴って前記蓄電受電装置で必要とされる電力量を推定する、
給電管理サーバ
【請求項2】
前記予定情報は、複数のスケジュールアプリケーションに登録された予定を統合したものである、請求項1に記載の給電管理サーバ。
【請求項3】
前記複数の受電装置は、常時給電によって動作する常時受電装置、都度給電によって動作する都度受電装置を含み、
前記常時受電装置は、前記都度受電装置および前記蓄電受電装置より給電の優先順位が高い、請求項1または2に記載の給電管理サーバ。
【請求項4】
前記都度受電装置は前記蓄電受電装置より給電の優先順位が高い、請求項3に記載の給電管理サーバ。
【請求項5】
前記複数の受電装置には、前記蓄電受電装置が複数含まれており、
前記推定部は、前記複数の蓄電受電装置ごとに蓄電池の消費傾向を推定し、
前記スケジュール部は、推定した蓄電池の消費傾向に基づいて、前記複数の蓄電受電装置について給電の優先順位を決定する、
請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の給電管理サーバ。
【請求項6】
前記複数の受電装置は、給電エリアに位置する場合に給電が可能となり、
前記推定部は、前記複数の蓄電受電装置の各々について、前記給電エリア内から前記給電エリア外へ移動する直前の充電率と、前記給電エリア外から前記給電エリア内へ移動した直後の充電率とに基づいて蓄電池の消費傾向を推定する、請求項5に記載の給電管理サーバ。
【請求項7】
前記スケジュール部は、前記複数の受電装置の稼働状況に応じて、前記給電スケジュールを修正する請求項1乃至6のうちいずれか1項記載の給電管理サーバ。
【請求項8】
管理装置と、蓄電可能な蓄電受電装置を含む複数の受電装置と、前記複数の受電装置へ給電可能な給電装置とを備えた給電システムであって、
前記管理装置は、
前記複数の受電装置の各々について給電の履歴を示す給電履歴情報を管理する管理部と、
前記蓄電受電装置を使用する使用者の行動の予定を示す予定情報に基づいて、前記蓄電受電装置で必要とされる電力量を推定する推定部と、
前記推定部の推定結果、前記給電履歴情報、および前記複数の受電装置に対する給電の優先順位に基づいて、給電スケジュールを生成するスケジュール部と、
を備える、給電システムであって、
前記予定情報は、時間帯ごとの前記使用者の行動を示しており、
前記推定部は、前記使用者の行動と前記行動に伴って使用する蓄電受電装置との関係を示す関係情報を参照し、前記予定情報に基づいて、前記関係情報を参照して得られた前記蓄電受電装置が使用される使用時間を特定し、特定した使用時間と消費電力とに基づいて、前記使用者の行動に伴って前記蓄電受電装置で必要とされる電力量を推定する、
給電システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の装置に対して給電を効率的にスケジューリングする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ワイヤレス電力伝送によって装置に電力を伝送する技術が開発されている。特許文献1には、無線充電器を用いて複数の充電可能なデバイスを充電するシステムにおいて、充電可能なデバイスの属性に基づいて充電スケジュールを決定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2012−523813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、充電が必要になるのは各種のデバイスが使用者によって用いられるからである。しかしながら、従来のスケジューリングでは、充電可能なデバイスの属性を考慮した優先順位で充電のスケジュールを決定することができても、使用者が他のデバイスより優先して充電したデバイスを使用するとは限らず、必ずしも効率のよいものではなかった。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、使用者の行動との関係で給電を必要とする装置に効率よく給電することを解決課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明の好適な態様に係る管理装置は、蓄電可能な蓄電受電装置を含む複数の受電装置の各々について給電の履歴を示す給電履歴情報を管理する管理部と、前記蓄電受電装置を使用する使用者の行動の予定を示す予定情報に基づいて、前記蓄電受電装置で必要とされる電力量を推定する推定部と、前記推定部の推定結果、前記給電履歴情報、および前記複数の受電装置に対する給電の優先順位に基づいて、給電スケジュールを生成するスケジュール部と、を備える。
【0006】
本発明の好適な態様に係る給電システムは、管理装置と、蓄電可能な蓄電受電装置を含む複数の受電装置と、前記複数の受電装置へ給電可能な給電装置とを備えた給電システムであって、前記管理装置は、前記複数の受電装置の各々について給電の履歴を示す給電履歴情報を管理する管理部と、前記蓄電受電装置を使用する使用者の行動の予定を示す予定情報に基づいて、前記蓄電受電装置で必要とされる電力量を推定する推定部と、前記推定部の推定結果、前記給電履歴情報、および前記複数の受電装置に対する給電の優先順位に基づいて、給電スケジュールを生成するスケジュール部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、使用者の行動との関係で給電を必要とする装置に効率よく給電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る給電システムの構成を示すブロック図である。
図2】給電管理サーバの構成を示すブロック図である。
図3】制御装置がプログラムを実行することによって実現される機能を説明するためのブロック図である。
図4】使用者スケジュールテーブルの記憶内容の一例を示す説明図である。
図5】関係テーブルの記憶内容の一例を示す説明図である。
図6】消費電力テーブルの記憶内容の一例を示す説明図である。
図7】給電スケジュールテーブルの記憶内容の一例を示す説明図である。
図8】給電履歴テーブルの記憶内容の一例を示す説明図である。
図9】管理テーブルの内容の一例を示す説明図である。
図10】給電装置の構成を示すブロック図である。
図11】受電装置テーブルの内容の一例を示す説明図である。
図12】ビーム方向を説明するための説明図である。
図13】受電装置の構成を示すブロック図である。
図14】給電装置を介して受電装置識別情報を給電管理サーバに登録する動作を説明するためのフローチャートである。
図15】情報処理装置を介して給電管理サーバに受電装置識別情報を送信するシステムのブロック図である。
図16】給電管理サーバにおいて給電スケジュールを生成する動作を説明するためのフローチャートである。
図17】給電管理サーバにおいて給電スケジュールを修正する動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
<1.給電システムの構成>
図1は、本発明の実施形態に係る給電システム1の構成を示すブロック図である。給電システム1は、給電管理サーバ10と、インターネットまたはLANなどの通信網NETと、通信網NETを介して給電管理サーバ10と接続された給電装置20と、常時受電装置30a1、30a2…と、都度受電装置30b1、30b2…と、蓄電受電装置30c1、30c2…と、を備える。
【0010】
図1に示す給電システム1では、一つの給電装置20を例示するが、複数の給電装置20を備えてもよい。また、この例では、複数の常時受電装置30a1、30a2…を備えるが、個々の常時受電装置を区別する必要がない場合には、常時受電装置30aと総称する。同様に、個々の都度受電装置を区別する必要がない場合には、都度受電装置30bと総称し、個々の蓄電受電装置を区別する必要がない場合には、蓄電受電装置30cと総称する。
【0011】
常時受電装置30aとは常時給電によって動作する装置であり、例えば、冷蔵庫または時計などが該当する。都度受電装置30bとは動作時に給電を必要とし蓄電機能が無い装置であって、例えば、クーラーまたは電子レンジが該当する。蓄電受電装置30cは蓄電可能な装置であって、例えば、スマートフォンまたは電子カメラが該当する。なお、常時受電装置30a、都度受電装置30b、および蓄電受電装置30cを区別する必要がない場合、受電装置30と総称する。
【0012】
給電システム1は、ワイヤレスで電力を伝送する。給電装置20は、給電管理サーバ10の制御の下、一または複数の受電装置30に対して給電する。給電装置20における給電電力には上限がある。本実施形態では、複数の受電装置30に対して給電する場合、都度受電装置30bについては使用履歴に基づいて使用開始時間を予測し、蓄電受電装置30cについては使用者のスケジュールに基づいて使用開始時間を予測する。そして、使用開始時間に間に合うように給電をスケジューリングしている。
【0013】
<1−1:給電管理サーバ>
図1に示す給電管理サーバ10は、受電装置30への給電を管理する。給電装置20は所定範囲に位置する受電装置30へビームを照射することによって、受電装置30に給電する。給電装置20が照射するビームは、エネルギーを伝送でき且つ指向性を有するものであればよい。そのようなビームは、電磁波ビームと超音波ビームとを含む。さらに、電磁波ビームは、レーザービーム、赤外線ビーム、マイクロ波ビーム、および微弱電波ビームを含む。微弱電波ビームは指向性を有するGHz帯の電波である。以下、給電装置20が照射するビームとして赤外線ビームを例示して説明する。受電装置30は、赤外線ビームを電力に変換する受電モジュールを備える。以下の説明では、給電装置20が自宅のダイニングルームに設けられている場合を想定する。この場合、ダイニングルームが赤外線ビームの照射範囲となり、給電を受けることができる給電エリアとなる。
【0014】
図2は給電管理サーバ10の構成を示すブロック図である。給電管理サーバ10は、制御装置11、記憶装置12、および通信装置13を備える。給電管理サーバ10の各要素は、単体または複数のバスで相互に接続される。なお、本願における「装置」という用語は、回路、デバイスまたはユニット等の他の用語に読替えてもよい。また、給電管理サーバ10の各要素は、単数または複数の機器で構成され、給電管理サーバ10の一部の要素を省略してもよい。
【0015】
制御装置11は、給電管理サーバ10の全体を制御するプロセッサであり、例えば単数または複数のチップで構成される。制御装置11は、例えば、周辺装置とのインターフェース、演算装置およびレジスタ等を含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成される。なお、制御装置11の機能の一部または全部を、DSP(Digital Signal Processor)、ACIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで実現してもよい。制御装置11は、各種の処理を並列的または逐次的に実行する。
【0016】
記憶装置12は、制御装置11が読取可能な記録媒体であり、制御装置11が実行する複数のプログラム、制御装置11が使用する各種のデータ、使用者スケジュールテーブルTBLa1、関係テーブルTBLa2、消費電力テーブルTBLa3、給電スケジュールテーブルTBLa4、給電履歴テーブルTBLa5、管理テーブルTBLa6、および優先順位リストPLを記憶する。記憶装置12は、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(ErACable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically ErACable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)等の記憶回路の1種類以上で構成される。
【0017】
通信装置13は通信網NETを介して他の装置と通信する機器である。通信装置13は、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカードまたは通信モジュールとも表記される。具体的には、通信装置13は通信網NETを介して給電装置20との間で通信を実行する。
【0018】
図3に、制御装置11は記憶装置12に記憶されているプログラムを読み出して実行することによって実現される機能を示すブッロク図である。
同図に示すように制御装置11は、管理部11A、推定部11B、およびスケジュール部11Cとして機能する。管理部11A、推定部11B、およびスケジュール部11Cによって管理装置110が実現される。
【0019】
管理部11Aは、蓄電可能な蓄電受電装置30cを含む複数の受電装置30の各々について給電の履歴を示す給電履歴情報を管理する。具体的には、管理部11Aは、記憶装置12に記憶された給電履歴テーブルTBLa5に給電履歴情報を格納する。
【0020】
推定部11Bは、蓄電受電装置30cを使用する使用者の行動の予定を示す予定情報に基づいて、蓄電受電装置30cで必要とされる電力量を推定する。予定情報は時間帯ごとの使用者の行動を示しており、使用者スケジュールテーブルTBLa1に格納されている。
【0021】
スケジュール部11Cは、推定部11Bの推定結果、給電履歴情報、および複数の受電装置30に対する給電の優先順位に基づいて、給電スケジュールを生成する。
この管理装置110によれば、蓄電受電装置30cを使用する使用者の予定を考慮して、行動に伴って蓄電受電装置30cで消費される電力量を推定するので、いつまでにどれだけ給電すればよいかを特定することができる。この結果、使用者の行動との関係で給電を必要とする装置に効率よく給電することが可能となる。
【0022】
より具体的には、予定情報は時間帯ごとの使用者の行動を示しており、推定部11Bは、行動に伴って使用する蓄電受電装置30cとの関係を示す関係情報を参照し、予定情報に基づいて蓄電受電装置30cが使用される使用時間を特定し、特定した使用時間と消費電力とに基づいて、使用者の行動に伴って蓄電受電装置30cで必要とされる電力量を推定する。関係情報は関係テーブルTBLa2に格納される。この態様によれば、使用者の行動の予定から蓄電受電装置を使用する時間が特定できるので、使用開始前に使用中に消費される電力量を蓄電受電装置30cに蓄電するように給電スケジュールを生成することが可能となる。
【0023】
使用者スケジュールテーブルTBLa1には、使用者の行動と、使用者が行動を実行する時間帯とが対応付けられた予定情報が記憶されている。図4に使用者スケジュールテーブルTBLa1の記憶内容の一例を示す。この例では、12月20日の7時から8時までの時間帯に使用者は散歩するといった予定が記憶されている。予定情報は使用者のスマートフォンなどの情報処理装置から給電管理サーバ10に送信される。ここで、使用者スケジュールテーブルTBLa1に記憶される予定情報は、複数のスケジュールアプリケーションに登録された予定を統合したものであることが好ましい。例えば、会社では、ビジネスの予定を会社内のコンピュータで管理し、プライベートではスマートフォンで予定を管理し、さらに、趣味のサークルではクラウド上に設けられたスケジューラで予定を管理することがある。これらは、独立したスケジュールアプリケーンで予定を管理しているが、各スケジュールアプリケーンが管理する予定を給電管理サーバ10の予定情報と同期させてもよい。この場合、予定を統合して一元的に管理できるので、利便性が向上する。
【0024】
関係テーブルTBLa2には、使用者の行動と、使用者の行動で使用される受電装置30の受電装置識別情報とが対応付けられて記憶されている。受電装置識別情報とは受電装置30を一意に識別するための情報である。例えば、受電モジュールに一意に割り当てられた受電モジュール番号が受電装置識別情報に該当する。図5に関係テーブルTBLa2の記憶内容の一例を示す。
【0025】
受電装置識別情報「AC0001」がスマートフォンに対応し、受電装置識別情報「AC0002」がタブレット端末に対応する場合を想定する。図5に示す例では、「会社」と受電装置識別情報「AC0001」および受電装置識別情報「AC0002」とが対応付けられているので、使用者が会社に出勤する場合、スマートフォンとタブレット端末とが使用される。
関係テーブルTBLa2への記憶は、使用者がスマートフォンなどの情報処理装置を用いて、行動と使用される受電装置30との対応付けを給電管理サーバ10に送信すればよい。
【0026】
消費電力テーブルTBLa3には、受電装置識別情報と当該受電装置識別情報に対応する受電装置30の消費電力とが対応付けられて記憶される。図6に消費電力テーブルTBLa3の記憶内容の一例を示す。図6に示す例では、タブレット端末の受電装置識別情報「AC0002」と消費電力X2とが対応付けられているので、タブレット端末の消費電力は「X2」であることが分かる。
【0027】
給電スケジュールテーブルTBLa4には、将来の時間帯と給電の対象となる受電装置30の受電装置識別情報とが対応付けられて記憶されている。図7に給電スケジュールテーブルTBLa4の記憶内容の一例を示す。
給電履歴テーブルTBLa5には、過去の時間帯と給電された受電装置30の受電装置識別情報とが対応付けられて記憶されている。図8に給電履歴テーブルTBLa5の記憶内容の一例を示す。
【0028】
管理テーブルTBLa6には、受電装置識別情報、給電装置識別情報、および給電状態情報が対応付けられて記憶されている。図9に管理テーブルTBLa6の記憶内容の一例を示す。
受電装置識別情報とは、受電装置30を一意に識別する情報であり、例えば、受電モジュールに一意に割り当てられた受電モジュール番号が該当する。
給電装置識別情報とは、給電装置20を一意に識別する情報である。管理テーブルTBLa6に受電機識別情報と給電機識別情報とが対応付けられて記憶されることにより、受電装置30にどの給電装置20から給電するかを知ることができる。
【0029】
また、管理テーブルTBLa6において受電装置識別情報に対応する給電装置識別情報が無い場合には、受電装置識別情報に対応する受電装置30は給電エリア外に位置することを意味する。例えば、図9に示す受電装置識別情報「AS0101」には給電装置識別情報が対応付けられていないので、受電装置識別情報「AS0101」に対応する受電装置30は、給電可能な状態に無いことが分かる。
【0030】
給電状態情報は、受電装置30における給電の状態を示している。給電状態には、給電装置20から受電装置30に向けてビームを照射して給電している「給電中」、給電装置20が給電開始要求を受付けているが受電装置30に対する給電を待機している「待機中」、待機中で無く、給電装置20が受電装置30に向けてビームを照射しておらず給電していない「停止中」、がある。
【0031】
給電状態情報は、「給電中」であることを示す給電中フラグ、「停止中」であることを示す停止中フラグ、および「待機中」であることを示す待機中フラグを含む。各フラグは「1」で有効となり、「0」で無効となる。停止中フラグが「1」となるのは、受電装置30が給電装置20の照射範囲に位置しない場合、または受電装置30が給電装置20の照射範囲内に位置するが給電の要望が無い場合である。また、給電の待機中となるのは、給電装置20からこれ以上給電すると、給電電力の最大値を超えるが該当する。
【0032】
優先順位リストPLには、給電を優先する順序が記録されている。この例では、常時受電装置30aは、都度受電装置30bおよび蓄電受電装置30cより給電の優先順位が高い。常時受電装置30aは常時給電ができないと動作ができないからである。また、都度受電装置30bは蓄電受電装置30cより給電の優先順位が高い。蓄電受電装置30cは、直ちに使用されるのではなく給電エリアで充電した後、使用されるが、都度受電装置30bは電源スイッチをオンすると、直ちに動作させる必要があるからである。
【0033】
また、上述した推定部11Bは複数の蓄電受電装置30cごとに蓄電池の消費傾向を推定し、スケジュール部11Cは、推定した蓄電池の消費傾向に基づいて、複数の蓄電受電装置30cについて給電の優先順位を決定し、その結果を優先順位リストPLに書き込んでいる。このように給電の優先順位を決定することによって、蓄電池の電力を短時間で消費する装置を、蓄電池の電力を長時間で消費する装置より給電の優先順位を上げることが可能となる。
【0034】
より具体的には、推定部11Bは、複数の蓄電受電装置30cの各々について、給電エリア内から給電エリア外へ移動する直前の充電率と、給電エリア外から給電エリア内へ移動した直後の充電率とに基づいて蓄電池の消費傾向を推定する。この場合、蓄電受電装置30cは給電エリア内から給電エリア外へ移動するタイミングで蓄電池の充電率を受電モジュール32のメモリ32Cに記憶する。そして、蓄電受電装置30cが給電エリア外から給電エリア内へ移動するタイミングで蓄電池の充電率を取得し、両方の充電率を含む充電率通知を蓄電受電装置30cから給電装置20へ送信する。そして、給電装置20が給電管理サーバ10へ充電率通知を送信することによって給電管理サーバ10において充電率を把握することが可能となる。
【0035】
また、スケジュール部11Cは、複数の受電装置30の稼働状況に応じて、給電スケジュールを修正する。実際の給電と給電スケジュールにズレがある場合、複数の受電装置30の稼働状況に応じて給電スケジュールが動的に修正されるので、給電の効率を向上させることができる。
【0036】
<1−2:給電装置>
図10は給電装置の構成を示すブロック図である。給電装置20は、処理装置21、ビーム照射装置22、ビーム方向特定装置23、通信装置24、近距離無線装置25、および記憶装置26を備える。給電装置20の各要素は、単体または複数のバスで相互に接続される。給電装置20の各要素は、単数または複数の機器で構成され、給電装置20の一部の要素を省略してもよい。
【0037】
処理装置21は、給電装置20の全体を制御するプロセッサであり、例えば単数または複数のチップで構成される。処理装置21は、例えば、周辺装置とのインターフェース、演算装置およびレジスタ等を含む中央処理装置で構成される。なお、処理装置21の機能の一部または全部を、給電管理サーバ10の制御装置11と同様にハードウェアで実現してもよい。
【0038】
記憶装置26は、処理装置21が読取可能な記録媒体であり、処理装置21が実行する複数のプログラム、処理装置21が使用する各種のデータ、および受電装置テーブルTBLcを記憶する。記憶装置26は、例えば、ROM、EPROM、EEPROM、RAM等の記憶回路の1種類以上で構成される。
【0039】
ビーム照射装置22は、赤外線ビームを照射する。ビーム照射装置22は、赤外線ビームを照射する方向を可変することができる。ビーム照射装置22が照射方向を可変することによって、赤外線ビームを照射可能な範囲を照射範囲と称する。ビーム照射装置22は処理装置21から供給される制御データに基づいて赤外線ビームの方向を制御する。
【0040】
ビーム照射装置22が同時に照射可能な赤外線ビームの数は2以上であってもよいし、一つでもよい。例えば、ビーム照射装置22が一つの赤外線ビームを照射し、照射範囲内に蓄電受電装置30c1と蓄電受電装置30c2とが位置しこれらに給電することを想定する。ビーム照射装置22から蓄電受電装置30c1へ向かう方向を第1方向、ビーム照射装置22から蓄電受電装置30c2へ向かう方向を第2方向としたとき、処理装置21はビーム照射装置22に対して、第1方向を指定する制御データと第2方向を指定する制御データとを時分割で供給する。照射範囲に位置する複数の受電装置30に対して給電する場合、各受電装置30に向けて赤外線ビームを時分割で照射することによって、ビーム照射装置22が同時に照射可能な赤外線ビームの数が一つであっても複数の受電装置30に給電することが可能となる。
【0041】
ビーム方向特定装置23は、ビーム照射装置22から照射範囲内に位置する受電装置30へ向けて照射する赤外線ビームの方向を特定し、特定した方向を示すビーム方向情報を生成する。ビーム方向特定装置23は、赤外線ビームの方向を特定できるのであればよい。例えば、ビーム照射装置22から赤外線ビームの方向を制御して照射範囲を走査する赤外線ビームを照射し、ビーム方向特定装置23において反射光を検出し、検出結果に基づいて赤外線ビームの方向を特定してもよい。
【0042】
また、ビーム方向特定装置23は、撮像素子を備え、撮像素子で撮像した画像のデータを解析して赤外線ビームの方向を特定してもよい。より具体的には、受電装置30は、赤外線ビームを電気エネルギーに変換するソーラーパネル等の光電変換パネル32A(図9参照)を備え、光電変換パネル32Aの周辺に特定のマークを設ける。ビーム方向特定装置23は、画像解析によって特定のマークを検出し、マークの画像上の座標に基づいて赤外線ビームの方向を特定してもよい。
【0043】
通信装置24は通信網NETを介して他の装置と通信する機器である。通信装置24は、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカードまたは通信モジュールとも表記される。具体的には、通信装置24は通信網NETを介して給電管理サーバ10との間で通信を実行する。近距離無線装置25は受電装置30との間で無線通信を行う。近距離無線の通信方式としては、例えば、Bluetooth(登録商標)が該当する。
【0044】
図11に記憶装置26に記憶された受電装置テーブルTBLcの記憶内容の一例を示す。受電装置テーブルTBLcには照射範囲内に位置する受電装置30の受電装置識別情報と、ビーム方向情報とが対応付けて記憶される。ビーム方向情報は、偏角θと偏角φを示している。図12を参照して、偏角θおよび偏角φを説明する。同図の示す原点Oにはビーム照射装置22が位置する。また、受電装置30が点Qに位置する。この場合、矢印で示すビーム方向は、X軸を基準としてXY平面上の偏角φと、Z軸を基準としてビーム方向とZ軸とを含む平面上の偏角θとで与えられる。
【0045】
<1−3:受電装置>
図13は受電装置の構成を示すブロック図である。受電装置30は、処理装置31、受電モジュール32、記憶装置33、通信装置34、表示装置35、操作装置36、2次電池37、およびGPS装置38を備える。受電装置30の各要素は、単体または複数のバスで相互に接続される。受電装置30の各要素は、単数または複数の機器で構成され、受電装置30の一部の要素を省略してもよい。
【0046】
処理装置31は、受電装置30の全体を制御するプロセッサであり、例えば単数または複数のチップで構成される。処理装置31は、例えば、周辺装置とのインターフェース、演算装置およびレジスタ等を含む中央処理装置で構成される。なお、処理装置31の機能の一部または全部を、給電管理サーバ10の制御装置11と同様に他のハードウェアで実現してもよい。
【0047】
記憶装置33は、処理装置31が読取可能な記録媒体であり、処理装置31が実行する給電アプリケーションを含む複数のプログラム、処理装置31が使用する各種のデータを記憶する。記憶装置26は、例えば、ROM、EPROM、EEPROM、RAM等の記憶回路の1種類以上で構成される。
給電システム1を利用して受電装置30が給電されるためには、給電サービスに加入する必要がある。給電アプリケーションは、給電サービスの案内、加入、および運用に用いられる。また、給電アプリケーションは、所定のサイトからダウンロードすることによって、受電装置30にインストールされる。
【0048】
受電モジュール32は、給電装置20から照射される赤外線ビームを電気エネルギーに変換して得た信号を出力する光電変換パネル32Aと給電装置20と近距離無線通信を行う近距離無線装置32Bと不揮発性のメモリ32Cとを備える。この例の受電モジュール32は受電装置30に組み込まれているが、受電モジュール32が受電装置30から着脱自在に構成されてもよい。受電装置30がスマートフォンの場合、受電モジュール32はマイクロUSB形式などの充電端子と接続可能な端子を備えるものであってもよい。メモリ32Cには受電装置30を一意に識別する受電装置識別情報が記憶されている。
【0049】
通信装置34は、移動体通信網またはインターネット等の通信網NETを介して他の装置と通信する機器である。通信装置34は、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカードまたは通信モジュールとも表記される。例えば、給電管理サーバ10から通信網NETを介して通信装置34が受信したアプリケーションが記憶装置33に記憶される。ダウンロードしたアプリケーションには、給電アプリケーションが含まれる。
【0050】
表示装置35は、処理装置31による制御のもとで各種の画像を表示可能である。例えば液晶表示パネル、有機EL表示パネル等の各種の表示パネルが表示装置35として好適に利用される。
【0051】
操作装置36は、使用者の指示を入力するための機器である。操作装置36は、使用者による操作を受付ける。具体的には、操作装置36は、数字および文字等の符号を入力するための操作と、表示装置35が表示する画像を選択するための操作とを受付ける。例えば、表示装置35の表示面に対する接触を検出するタッチパネルが操作装置36として好適である。なお、使用者が操作可能な複数の操作子を操作装置36が含んでもよい。
【0052】
2次電池37は、充電端子から供給される電力、または受電モジュール32から供給される電力によって充電される。また、2次電池37は受電装置30の各要素に電力を供給する電源として機能する。
【0053】
GPS装置38は複数の衛星からの電波を受信し、受信した電波から位置情報を生成する。位置情報は、位置を特定できるのであれば、どのような形式であってもよい。位置情報は、例えば、受電装置30の緯度と経度とを示す。この例では、位置情報はGPS装置38から得られることを例示するが、受電装置30は、どのような方法で位置情報を取得してもよい。例えば、受電装置30の通信先となる基地局に割り当てられたセルIDを用いて位置情報を取得してもよい。さらに、受電装置30が無線LANのアクセスポイントと通信する場合には、アクセスポイントに割り当てられたネットワーク上の識別アドレス(MACアドレス)と実際の住所(位置)とを対応付けたデータベースを参照して位置情報を取得してもよい。
【0054】
<2.給電スケジュール>
次に、給電スケジュールに関連して、事前登録の動作、給電スケジュールの生成動作、および給電スケジュールの修正動作に分けて説明する。
【0055】
<2−1:事前登録>
給電システム1において、給電管理サーバ10は、給電装置20に対してどの受電装置30に赤外線ビームを照射して給電するかを制御する。この制御は、各受電装置30に割り当てられた受電装置識別情報に基づいて実行される。このため、受電装置30の使用者は、受電装置30の受電装置識別情報を給電管理サーバ10に通知する必要がある。
受電装置識別情報を給電管理サーバ10に登録するには、二つの方法がある。第1の方法は、給電装置20を介して受電装置識別情報を給電管理サーバ10に登録する方法である。
【0056】
図14は給電装置20を介して受電装置識別情報を給電管理サーバ10に登録する動作を説明するためのフローチャートである。
まず、受電装置30の処理装置31はメモリ32Cに記憶されている受電装置識別情報を読み出して近距離無線装置32Bにより給電装置20に送信する(Sa1)。受電装置識別情報を給電装置20が受信すると、給電装置20は受信した受電装置識別情報とビーム方向情報とを対応付けて受電装置テーブルTBLcに記憶する(Sa2)。
この後、給電装置20は受電装置識別情報と給電装置識別情報とを含む登録要求を
給電管理サーバ10に送信する(Sa3)。給電管理サーバ10は受電装置識別情報と給電装置識別情報とを対応付けて管理テーブルTBLa6に記憶する(Sa4)。
【0057】
受電装置識別情報を給電管理サーバ10に登録する第2の方法は、情報処理装置を介して給電管理サーバ10に受電装置識別情報を送信する方法である。図15に第2の方法に係る事前登録のためのシステムを示す。このシステムにおいて、情報処理装置100は、通信機能を備えるスマートフォンなどの装置である。
【0058】
情報処理装置100は近距離無線通信によって給電装置識別情報を給電装置20から取得している。情報処理装置100は受電装置30から取得した受電装置識別情報と受電装置識別情報を含む登録要求を給電管理サーバ10に送信する。
情報処理装置100が受電装置識別情報を取得するには、以下の態様がある。
第1の態様は、受電装置30に受電装置識別情報を示すQRコード(登録商標)が表示されており、QRコード(登録商標)を情報処理装置100で読み取ることによって、受電装置識別情報を取得する。
第2の態様は、近接場型無線通信を用いて受電装置30の受電装置識別情報を情報処理装置100で読み取るものである。
第3の態様は、受電装置30に表示されている受電装置識別情報を使用者が情報処理装置100に手動で入力するものである。
【0059】
<2−2:給電スケジュールの生成>
図16は、給電管理サーバ10において給電スケジュールを生成する動作を説明するためのフローチャートである。
まず、制御装置11は、使用者スケジュールテーブルTBLa1に記録されている行動に使用する蓄電受電装置30cの受電装置識別情報を特定する(Sb1)。例えば、図4に示す使用者スケジュールテーブルTBLa1には、時間帯「12月20日9:00〜18:00」に対応する行動として「会社」が記録されている。この場合、制御装置11は、関係テーブルTBLa2を参照して、「会社」に対応する受電装置識別情報としてスマートフォンの受電装置識別情報「AC0001」とタブレット端末の受電装置識別情報「AC0002」とを特定する。
【0060】
次に、制御装置11は、特定された蓄電受電装置30cの使用予定時間と消費電力とに基づいて予定されている行動で必要な電力量を推定する(Sb2)。図4に示す例において、時間帯「12月20日9:00〜18:00」の「会社」を想定すると、蓄電受電装置30cとしてスマートフォンとタブレット端末が特定される。また、使用時間は9時間となる。制御装置11は消費電力テーブルTBLa3を参照して、スマートフォンの電力X1と、タブレット端末の電力X2を取得する。そして、制御装置11は、「会社」に勤務する行動において、スマートフォンで必要とされる電力量は「9・X1」であると推定し、タブレット端末で必要とされる電力量は「9・X2」であると推定する。
【0061】
次に、制御装置11は、推定した電力量を蓄電受電装置30cに給電するために必要な時間および電力を算出する。上述したスマートフォンの場合、電力Yで給電したとすると、給電に必要な時間は、「9・X2/Y」となる。
【0062】
次に、制御装置11は、給電履歴テーブルTBLa5を参照して、都度受電装置30bが使用される時間帯を推定し、給電に必要な電力を特定する(Sb4)。都度受電装置30bは、例えば、電子レンジ、クーラー、あるいは掃除機などが該当する。これらの装置の稼働は、生活の中で使用されるので、朝食には電子レンジを使用する、午前中に掃除を済ませるといった使用者の生活が反映されたものとなる。したがって、使用される時間帯、使用される曜日等に着目すると、どの時間帯で使用されるかを推定することができる。制御装置11は、給電履歴テーブルTBLa5に記録されている給電履歴を、自己相関分析などの統計的な手法で分析して、都度受電装置30bごとに使用される時間帯を推定するとともに都度受電装置30bごとに電力を特定する。
【0063】
次に、制御装置11は、給電履歴テーブルTBLa5を参照して、常時受電装置30aの給電に必要な電力を特定する(Sb5)。この後、制御装置11は、給電の優先順位を常時受電装置30a、都度受電装置30b、蓄電受電装置30cの順とし、且つ、蓄電受電装置30cの使用予定前に充電が完了するように給電をスケジューリングして生成した給電スケジュールを給電スケジュールテーブルTBLa4に記憶させる(Sb6)。
制御装置11は、給電スケジュールにしたがって、受電装置30への給電を実行する。
【0064】
<2−3:給電スケジュールの修正>
上述したように制御装置11は、使用者のスケジュールに応じて受電装置30への給電をスケジュールしたが、使用者がスケジュール通り行動しないこともあり得る。例えば、7時から散歩を予定していたが、天候が悪くて外出しなかったり、あるいはスケジュールとは無関係に都度受電装置30bの電源スイッチがオンされ、給電が開始する場合である。
【0065】
このように実際の給電は必ずしも給電スケジュールと一致しない。一方、上述したように給電スケジュールは、使用者の将来の行動を推定し、推定結果に基づいて蓄電受電装置30cに効率良く充電できるように給電電力を割り当てた。そこで、本実施形態では、実際の給電が給電スケジュールと不一致となった場合には、給電スケジュールを動的に修正する。
【0066】
図17は、給電管理サーバ10において給電スケジュールを修正する動作を説明するためのフローチャートである。
給電管理サーバ10の制御装置11は、実際の給電と給電スケジュールとが一致するか否かを判定し(Sc1)、実際の給電と給電スケジュールとが不一致の場合、制御装置11は予定されていない都度受電装置30bから給電要求があったか否かを判定する(Sc2)。予定されていない都度受電装置30bから給電要求があった場合、ステップSc2の判定結果は「YES」となり、制御装置11は、給電要求を含む合計の電力が給電電力の最大値を超えるか否かを判定する(Sc3)。
【0067】
合計の電力が給電電力の最大値を超える場合には、給電を要求する全ての受電装置30に対して給電することはできない。そこで、制御装置11は蓄電受電装置30cの給電を優先順位の低い順に取りやめて、合計の電力が給電電力の最大値以下となるように調整する(Sc4)。具体的には、制御装置11は、記憶装置12から優先順位リストPLを読み出して優先順位リストPLにしたがって給電を一時的に停止する蓄電受電装置30cを決定する。また、制御装置11は、管理テーブルTBLa6の給電状態情報を更新し、給電状態を給電中から待機中に遷移させた蓄電受電装置30cに対して給電装置20を介して待機中に変更したことを示す待機中通知を送信する。待機中通知を受信した蓄電受電装置30cは、給電の停止が通信不良などの不具合に起因するものでは無いことを認識できる。このため、待機中となった蓄電受電装置30cは再度の給電要求を送信しないので、給電管理サーバ10の処理負荷を軽減できる。
【0068】
次に、予定されていない都度受電装置30bから給電要求がなく、ステップSc2の判定結果がNOである場合、制御装置11は都度受電装置30bが予定した時間に使用されたかを判定する(Sc5)。都度受電装置30bが予定した時間に使用されなかった場合、制御装置11は蓄電受電装置30cの給電予定を優先順位の高い順に繰り上げて、合計の電力が給電電力の最大値以下となるように調整する(Sc6)。
【0069】
ステップSc3の判定結果がNOの場合、ステップSc4の処理が終了した場合、ステップSc5の判定結果がYESの場合、またはステップSc6の処理が終了した場合、制御装置11は現在の給電状態に基づいて、給電スケジュールを生成する(Sc7)。
【0070】
<変形例>
本発明は、以上に例示した実施形態に限定されない。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を併合してもよい。
【0071】
(1)上述した実施形態において例示した受電装置30以外にも、各種の受電装置30に適用することができる。この場合、受電装置30がIoT(Internet of Things)機能を備え、給電管理サーバ10において、受電装置30の使用履歴を詳細に把握し、給電スケジュールに収集した使用履歴を反映させてもよい。
さらに、使用者がスピーカまたはスマートホフォンに向かって話かけることによって、使用者が使用する家庭電化製品などの受電装置30を制御する場合がある。このような場合に、受電装置30の使用履歴をスマートフォンやスピーカなどから給電管理サーバ10に送信し、使用履歴を給電スケジュールに反映させてもよい。
【0072】
(2)上述した実施形態において給電装置20のビーム方向特定装置23は赤外線ビームの反射光を検出し、検出結果に基づいてビームの方向を特定したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、受電装置30で取得される位置情報を受電装置30へ近距離無線装置32Bを用いて送信し、受電装置30のビーム方向特定装置23が位置情報に基づいてビーム方向を算出してもよい。なお、受電装置30の位置情報は予め記憶装置26に記憶されている。
【0073】
(3)上述した実施形態では、受電装置識別情報は給電装置20を経由して給電管理サーバ10に伝送されたが、本発明はこれに限定されるものではなく、受電装置30から給電管理サーバ10へ送信してもよい。
【0074】
(4)上述した実施形態において、給電管理サーバ10の記憶装置12は各種のテーブルを記憶したが、本発明はこれに限定されるものではない。これらのテーブルは、給電管理サーバ10と通信網NETを介して接続された他のサーバに格納されるものであればよい。
【0075】
(5)上述した実施形態では、記憶装置12は、制御装置11が読取可能な記録媒体であり、ROMおよびRAMなどを例示したが、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu−ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、カード、スティック、キードライブ)、CD−ROM(Compact Disc−ROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップ、データベース、サーバその他の適切な記憶媒体である。また、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されてもよい。また、プログラムは、電気通信回線を介して通信網から送信されてもよい。
【0076】
(6)上述した実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE−A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT−Advanced、4G、5G、FRA(Future Radio Access)、W−CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi−Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステムおよび/またはこれらに基づいて拡張された次世代システムに適用されてもよい。
【0077】
(7)上述した実施形態において、説明した情報および信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、またはこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0078】
(8)上述した形態において、入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、または追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0079】
(9)上述した形態において、判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:trueまたはfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0080】
(10)上述した形態において例示したフローチャートにおいて、各ステップの順序を変更してもよい。すなわち、本発明の好適な態様における各処理の順序は、特定の順序に限定されない。
【0081】
(11)上述した形態で例示したプログラムは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコードまたはハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称によって呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順または機能等を意味するよう広く解釈されるべきである。
また、ソフトウェア、命令などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペアおよびデジタル加入者回線(DSL)などの有線技術および/または赤外線、無線およびマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、または他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術および/または無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0082】
(12)本明細書で使用する「第1」、「第2」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量または順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1および第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、または何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0083】
(13)上述した形態において、受電装置30および情報処理装置100は、移動局である場合が含まれる。移動局は、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、またはいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
【0084】
(14)上述した形態において、「接続された(connected)」という用語、またはこれらのあらゆる変形は、2またはそれ以上の要素間の直接的または間接的なあらゆる接続または結合を意味し、互いに「接続」された2つの要素間に1またはそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。本明細書で使用する場合、2つの要素は、1またはそれ以上の電線、ケーブルおよび/またはプリント電気接続を使用することにより、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域および光(可視および不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどの電磁エネルギーを使用することにより、互いに「接続」されると考えることができる。
【0085】
(15)上述した形態において、「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0086】
(16)「含む(including)」、「含んでいる(comprising)」、およびそれらの変形が、本明細書あるいは特許請求の範囲で使用されている限り、これら用語は、用語「備える」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書あるいは特許請求の範囲において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0087】
(17)本願の全体において、例えば、英語におけるa、anおよびtheのように、翻訳によって冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数を含む。
【0088】
(18)本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されないことは当業者にとって明白である。本発明は、特許請求の範囲の記載に基づいて定まる本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく修正および変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示的な説明を目的とし、本発明に対して何ら制限的な意味を有さない。また、本明細書に例示した態様から選択された複数の態様を組合わせてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1…給電システム、10…給電管理サーバ、11…制御装置、11A…管理部、11B…推定部、11C…スケジュール部、12…記憶装置、13…通信装置、20…給電装置、30…受電装置、30a…常時受電装置、30b…都度受電装置、30c…蓄電受電装置。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17