特許第6965771号(P6965771)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6965771
(24)【登録日】2021年10月25日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】壁面材の上端固定構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20211028BHJP
   E04B 2/82 20060101ALI20211028BHJP
   E04B 1/94 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
   E04B2/74 551E
   E04B2/82 501F
   E04B2/74 551Z
   E04B1/94 K
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-13520(P2018-13520)
(22)【出願日】2018年1月30日
(65)【公開番号】特開2019-131996(P2019-131996A)
(43)【公開日】2019年8月8日
【審査請求日】2020年10月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 大樹
(72)【発明者】
【氏名】湯 正明
(72)【発明者】
【氏名】川合 隆之
(72)【発明者】
【氏名】永松 英夫
【審査官】 河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−104368(JP,A)
【文献】 特開平8−013655(JP,A)
【文献】 実開昭63−173411(JP,U)
【文献】 特開2002−054250(JP,A)
【文献】 特開2015−017491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/72−2/82
E04B 1/62−1/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に平板状の水平板部が設けられる梁と、
前記水平板部の上に隙間を設けて設置される床版と、
上片及び下片を有し前記水平板部に挟着する挟着部と当該挟着部に支持されて下方に垂れ下がる垂下部とを有する下地固定金物と、
前記床版から離間して前記垂下部に固定されるランナー材と、
前記ランナー材に上端が固定される壁面材と、
を備え、
前記挟着部は前記上片が前記水平板部と前記床版との隙間に挿入され、前記水平板部の上面に当接するとともに前記床版の下面から離間することを特徴とする壁面材の上端固定構造。
【請求項2】
前記ランナー材と前記床版との間に耐火性及び/又は遮音性を有する充填材が設けられることを特徴とする請求項1に記載の壁面材の上端固定構造。
【請求項3】
前記下地固定金物は、前記挟着部と前記垂下部とを連結する水平な連結部をさらに有し、
前記垂下部が前記連結部側に鋭角に折り曲げられることを防止する当り止め片が設けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の壁面材の上端固定構造。
【請求項4】
前記挟着部は前記上片及び前記下片の基端同士を繋ぐ鉛直な接続部を有しており、
前記垂下部は前記接続部に当接して配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の壁面材の上端固定構造。
【請求項5】
前記水平板部と前記床版との間に複数の振動吸収材が互いに間隔を開けて配置されることにより前記隙間が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の壁面材の上端固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内壁面を構成する壁面材の上端固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、耐火性能を満たすためや隣接空間との遮音性能を高めるために界壁や一部の間仕切壁は、その壁面材を天井裏まで達するように設置している。このような壁面材の上端を固定する構造としては、上階の床を形成する床版の下面に断面L型のランナーを固定し、当該ランナーに壁面材の上端を固定する固定金物を固定したものが知られている(特許文献1)。
【0003】
また、上階からの振動が下階に伝達されることを抑制するために、床版に固定されるランナー材の内側に緩衝材を接着し、壁面材の上端が緩衝材を介してランナー材に固定されるようにしたものが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−179729号公報
【特許文献2】特開2006−63727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来より、遮音性を向上させるために梁の上に振動吸収材を配置し、その上に床版を配置した遮音床構造が用いられることがある。このような構造においては、床版の振動を振動吸収材で吸収するので、梁に伝わる振動を弱めて遮音性能を確保しているが、床版と下階の壁面材とが強固に固定されていると、床版の振動が直接壁面材を伝って下階に伝わることになり遮音性能が低下する要因となる。
【0006】
そこで、本発明は、壁面材の上端固定構造であって、壁面材の上端を固定する下地材が床版に固定されることがない壁面材の上端固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の壁面材の上端固定構造は、上端に平板状の水平板部が設けられる梁と、前記水平板部の上に隙間を設けて設置される床版と、上片及び下片を有し前記水平板部に挟着する挟着部と当該挟着部に支持されて下方に垂れ下がる垂下部とを有する下地固定金物と、前記床版から離間して前記垂下部に固定されるランナー材と、前記ランナー材に上端が固定される壁面材と、を備え、前記挟着部は前記上片が前記水平板部と前記床版との隙間に挿入され、前記水平板部の上面に当接するとともに前記床版の下面から離間することを特徴としている。
【0008】
本発明の壁面材の上端固定構造は、前記ランナー材と前記床版との間に耐火性及び/又は遮音性を有する充填材が設けられることを特徴としている。
【0009】
本発明の壁面材の上端固定構造は、前記下地固定金物は、前記挟着部と前記垂下部とを連結する水平な連結部をさらに有し、前記垂下部が前記連結部側に鋭角に折り曲げられることを防止する当り止め片55が設けられることを特徴としている。
【0010】
本発明の壁面材の上端固定構造は、前記挟着部は前記上片及び前記下片の基端同士を繋ぐ鉛直な接続部を有しており、前記垂下部は前記接続部に当接して配置されることを特徴としている。
【0011】
本発明の壁面材の上端固定構造は、前記水平板部と前記床版との間に複数の振動吸収材が互いに間隔を開けて配置されることにより前記隙間が形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の壁面材の上端固定構造によると、梁の水平板部と当該水平板部上の床版との間に隙間が設けられており、下地固定金物の挟着部の上片が水平板部の上面に当接するとともに床版の下面から離間しているので、下地固定金物は、床版に当接することなく支持される。また、ランナー材は下地固定金物の垂下部に床版から離間して固定されるので、ランナー材も床版に当接することなく固定される。したがって、下地固定金物やランナー材を床版に固定することなく設置できるので壁面材が床版に支持されることがなく、例えば他の部材との干渉や床版の強度などの都合で、床版に下地固定金物又はランナー材の固定が困難である場合にも床版に下地固定金物やランナー材を固定することなく、壁面材の上端を床版に近い位置に固定することができる。
【0013】
本発明の壁面材の上端固定構造によると、壁面材の上端が固定されるランナー材と、床版との間に充填材が設けられ、当該充填材は耐火性及び/又は遮音性を有するので、壁面材によって形成される界壁又は間仕切壁の耐火性及び/又は遮音性を高めることができる。
【0014】
本発明の壁面材の上端固定構造によると、当り止め片によって垂下部が連結部側に鋭角に折り曲げられることが防止されるので、垂下部にランナー材を押し当てて固定する際に、垂下部がランナー材から逃げることを防止できるので、固定作業が容易になるとともに、ランナー材を適切な位置に固定することができる。
【0015】
本発明の壁面材の上端固定構造によると、鉛直な接続部が挟着部の上片及び下片の基端同士を繋いでおり、当該接続部に垂下部が当接しているので、垂下部にランナー材を押し当てて固定する際に、接続部が支えとなって垂下部がランナー材から逃げることを防止できるので、固定作業が容易になるとともに、ランナー材を適切な位置に固定することができる。
【0016】
本発明の壁面材の上端固定構造によると、水平板部と床版との間の隙間は、複数の振動吸収材が配置されることにより形成されているので、床版の振動が振動吸収材に吸収されて水平板部を有する梁には伝わりにくい。そして、下地固定金物及びランナー材もまた床版から離間しているので当該床版の振動が伝わることがないので、振動吸収材の働きを妨げることが無く、上階の床版の振動が壁面材と伝って下階に伝わることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】壁面材の上端固定構造の全体構成を示す断面図。
図2】壁面材の上端固定構造の構成を示す一部拡大断面図。
図3】下地固定金物の構成を示す側面図。
図4】下地固定金物の構成を示す斜視図。
図5】下地固定金物、ランナー材、及び壁面材の構成を説明する床版及び梁の記載を省略した斜視図。
図6】下地固定金物の挟着部を梁の水平板部に挟着する前の状態を示す断面図。
図7】下地固定金物の挟着部を梁の水平板部に挟着した状態を示す断面図。
図8】下地固定金物の垂下部にランナー材の鉛直部を固定する状態を示す断面図。
図9】ランナー材に壁面材の上端を固定する状態を示す断面図。
図10】変形例の下地固定金物の構成を示す側面図。
図11】変形例の下地固定金物を用いて壁面材の上端固定構造を施工する状態を説明する断面図。
図12】変形例の下地固定金物を用いて壁面材の上端固定構造の施工を完了した状態を説明する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る壁面材の上端固定構造1の実施形態について各図を参照しつつ説明する。壁面材の上端固定構造1は、例えば集合住宅の界壁を構成する壁面材2の上端を固定する構造である。なお、壁面材2により構成される壁は界壁に限定されるものではなく、耐火性能や隣接空間との遮音性能を高めるために壁面材2が天井裏まで達する必要のある間仕切壁であってもよい。
【0019】
壁面材の上端固定構造1は、図1及び図2に示すように、建物の躯体に架設される梁3と、隙間Sを設けて梁3の上に設置される床版4と、梁3に固着する下地固定金物5と、下地固定金物5に固定されるランナー材7と、ランナー材7に上端が固定される壁面材2と、ランナー材7と床版4との間に設けられる充填材8と、を備えている。
【0020】
梁3はフランジが上下に位置するように架設されたH形鋼である。梁3の上側のフランジが本発明における水平板部31である。なお、梁3は上端に水平板部31が設けられる鋼材であればH形鋼に限定されるものではない。梁3の水平板部31の上には、間隔を開けて複数の振動吸収材9が配置されている。振動吸収材9は例えばゴムや合成樹脂などの弾性体によって形成されており、振動吸収材9の上に設置される床版4の振動を吸収する。また、梁3の下側のフランジには溝ランナー10を取り付けるランナー取付金具11が固定されており、ランナー取付金具11の下面に溝ランナー10が下向きに開口して固定されている。溝ランナー10には壁面材2の中間部を固定するためのスタッド12の上端が固定されている。床版4は例えば中空部を有するALCの矩形板材である。床版4は梁3の水平板部31上に配置された振動吸収材9の上に設置されて、上階の床下地となる。
【0021】
下地固定金物5は、図2から図4に示すように、水平板部31に挟着する挟着部51と、挟着部51から水平板部31と反対側に向かって延びる連結部52と、連結部52の上面に重ね合されて固定される平板状の固定部53と、固定部53を折り曲げて形成され連結部52の突出縁から下方に垂れ下がる垂下部54と、垂下部54の両側縁から連結部52側に折り曲げて形成された当り止め片55とを有する。
【0022】
挟着部51は、上片56と、上片56の下側に配置される下片57と、上片56及び下片57の基端同士を繋ぐ鉛直な接続部58とを有している。上片56は水平板部31の上面に当接する水平な平板状で、その中央に斜め下向きに折り曲げられた爪部59を有している。爪部59は、挟着部51が梁3の水平板部31に挟着するときに、当該水平板部31に形成された孔部32に係止されて、挟着部51が水平板部31から抜け落ちることを防止する。接続部58は上片56の基端の両側の側端部をそれぞれ下方に直角に折り曲げて形成した一対の鉛直な平板状である。下片57は一対の接続部58の下端からそれぞれ延びて上片56の下側に位置しており、中間位置が上片56に接近するように湾曲して形成されている。下片57は上片56に最も接近する位置の上片56との間の距離が水平板部31の厚さよりも短く形成されており、挟着部51は弾性変形によって水平板部31に挟着する。
【0023】
連結部52は、上片56と面一で上片56の基端の中央部から上片56の延出方向と逆方向に延びる平板である。挟着部51及び連結部52は1枚の金属板を折曲加工して形成している。また、固定部53及び垂下部54は1枚の薄板を直角に折り曲げて形成している。固定部53は、連結部52の上面に重なり合っており、上片56にカシメ金具60によって固定されている。垂下部54は、連結部52の突端から下方に垂れ下がるように固定部53を折り曲げて形成されている。当り止め片55は、垂下部54の両側縁を連結部52側に折り曲げて形成しており、当り止め片55が連結部52に当接することにより、垂下部54が連結部52に接近する方向に鋭角に折り曲げられることを抑制できる。
【0024】
ランナー材7は、図5に示すように、水平方向に長尺に形成された水平部71と鉛直部72とからなるアングルである。ランナー材7の鉛直部72が下地固定金物5の垂下部54に当接する状態で、ランナー材7の水平部71は鉛直部72の上端から下地固定金物5とは反対方向に延出している。壁面材2は、例えば石こうボードであり、例えば2重に重ねられることで、耐火性を確保している。
【0025】
充填材8は、耐火性及び遮音性を有する材料で構成されている。充填材8の耐火性及び遮音性は壁面材2と同等以上の性能であることが好ましい。充填材8は湿式の材料であっても乾式の材料であってもよい。充填材8は、床版4の振動に追従しつつ、ランナー材7側に当該振動を伝えることがない柔軟性を有する材料が好ましい。充填材8の材料としては、例えばシーリング材、石膏系充填材、繊維系充填材を用いることができる。
【0026】
壁面材の上端固定構造1を施工する際には、まず、梁3を含む建物の躯体を施工した後、梁3の水平板部31の上に振動吸収材9を配置する。そして、床版4を振動吸収材9の上に載置して、梁3の水平板部31の上に隙間Sを設けて床版4を設置する。なお、床版4は図示しない床版固定用の金物で梁3に固定される。そして次に、図6に示すように、下地固定金物5の挟着部51の上片56を床版4と梁3の水平板部31との隙間Sに挿入する。
【0027】
上片56が床版4と水平板部31との隙間Sに挿入されると、下片57が上片56と離れる方向に弾性変形しつつ水平板部31の下面に当接し、上片56と下片57とで水平板部31に挟着する。このとき上片56の爪部59が水平板部31の孔部32に嵌着することで、挟着部51が水平板部31から脱落しないように固定される。図7に示すように、挟着部51が水平板部31に挟着した状態で下地固定金物5は、床版4の下面から離間しており、床版4の振動が下地固定金物5に直接伝わることがない。
【0028】
挟着部51を水平板部31に挟着して、下地固定金物5を梁3に固定すると、次に、図8に示すように、ランナー材7の鉛直部72を下地固定金物5の垂下部54に当接させる。そしてランナー材固定用ビス13を鉛直部72から垂下部54に向けて打ち込んでランナー材7を下地固定金物5に固定する。下地固定金物5の垂下部54の両側縁には連結部52側に折り曲げて当り止め片55が形成されているので、当り止め片55によって垂下部54の折曲回転が止められ、ランナー材固定用ビス13を打ち込む際に垂下部54が逃げることを防止できる。
【0029】
垂下部54にランナー材7が固定されると、次に、図9に示すように、壁面材2の上端をランナー材7に固定する。ランナー材7の水平部71に壁面材2の上端を当接させるとともに、ランナー材7の鉛直部72に壁面材2の壁内側の面を当接させる。そして、壁外側から壁面材2に向かって水平方向に壁面材固定用ビス14を打ち込んで壁面材2とランナー材7の鉛直部72とを固定させる。そして、図2に示すように、ランナー材7の水平部71と床版4との間に充填材8を充填して、壁面材の上端固定構造1を完成させる。隙間となっている床版4とランナー材7との間に耐火性及び遮音性を有する充填材8を充填することで、界壁又は間仕切壁の耐火性及び遮音性を保つことができる。
【0030】
以上のように、本実施形態の壁面材の上端固定構造1によると、床版4及び梁3は振動吸収材9を介しており、下地固定金物5、ランナー材7、及び壁面材2はいずれも床版4に接していないので、床版4の振動が下階に伝達されることがない。そして、ランナー材7と、床版4との間に充填材8が設けられるので、壁面材2と床版4との間が離間しつつも耐火性及び遮音性を確保することができる。しかも、当り止め片55によって、垂下部54にランナー材7を固定する際に垂下部54が逃げることが無く、固定作業が安定し、ランナー材7を適切な位置に固定することができる。
【0031】
なお、本発明の壁面材の上端固定構造1における下地固定金物5は、上述の実施形態に限定されるものではない。次に、下地固定金物5の変形例について図10及び図11に基づいて説明する。なお、床版4、梁3、ランナー材7、及び壁面材2は、上述の実施形態と同様の構成であるので、同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
変形例の下地固定金物5は、図10に示すように、水平板部31に挟着する挟着部51と、挟着部51から水平板部31と反対側に向かって延びる連結部52と、連結部52の上面に重ね合されて固定される平板状の固定部53と、固定部53を折り曲げて形成され連結部52の突出縁から下方に垂れ下がる垂下部54と、を有しており、垂下部54が挟着部51の上片56と下片57とを繋ぐ鉛直な接続部58に当接するように配置されている。なお、挟着部51の形状は上述の実施形態と同様の形状であるので、説明を省略する。
【0033】
連結部52は、上片56と面一で上片56の基端の中央部から上片56の延出方向と逆方向に延びる平板である。また、固定部53及び垂下部54は1枚の薄板を直角に折り曲げて形成している。固定部53は、連結部52の上面に重なり合っており、上片56にカシメ金具60によって固定されている。垂下部54は、連結部52の上片56側の端部から下方に垂れ下がるように固定部53を折り曲げて形成されている。垂下部54と接続部58とは互いに面同士が当接している。
【0034】
そして図11及び図12に示すように、変形例の下地固定金物5を用いて壁面材の上端固定構造1を施工する際には、上述の実施形態と同様に梁3、振動吸収材9、及び床版4を施工した後、下地固定金物5の挟着部51を梁3の水平板部31に挟着する。そして次に、ランナー材7の水平部71を下地固定金物5の固定部53に当接させつつ、ランナー材7の鉛直部72を下地固定金物5の垂下部54に当接させる。そしてランナー材固定用ビス13を鉛直部72から垂下部54に向けて打ち込んでランナー材7を下地固定金物5に固定する。下地固定金物5の垂下部54は接続部58に当接しているので、垂下部54が鋭角側に回転することがなく、ランナー材固定用ビス13を打ち込む際に垂下部54が逃げることを防止できる。
【0035】
そして次に、壁面材2の上端をランナー材7の水平部71に当接させるとともに、ランナー材7の鉛直部72に壁面材2の壁内側の面を当接させて、壁外側から壁面材2に向かって水平方向に壁面材固定用ビス14を打ち込んで、壁面材2とランナー材7の鉛直部72とを固定させる。そして、ランナー材7の水平部71と床版4との間に充填材8を充填して、壁面材の上端固定構造1を完成させる。
【0036】
この実施形態の壁面材の上端固定構造1によると、ランナー材7の水平部71が下地固定金物5の固定部53に当接し、ランナー材7の鉛直部72が下地固定金物5の垂下部54に当接するので、ランナー材7を固定する際に当該ランナー材7の姿勢が安定しやすく、固定作業をより容易なものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係る壁面材の上端固定構造1は例えば集合住宅の界壁を構成する壁面材の上端固定構造1として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 壁面材の上端固定構造
2 壁面材
3 梁
4 床版
5 下地固定金物
7 ランナー材
8 充填材
9 振動吸収材
31 水平板部
51 挟持部
52 連結部
54 垂下部
55 当り止め片
56 上片
57 下片
58 接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12