特許第6965807号(P6965807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6965807
(24)【登録日】2021年10月25日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20211028BHJP
【FI】
   G03G21/16 133
【請求項の数】12
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2018-67582(P2018-67582)
(22)【出願日】2018年3月30日
(65)【公開番号】特開2019-179110(P2019-179110A)
(43)【公開日】2019年10月17日
【審査請求日】2020年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】特許業務法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴雄
(72)【発明者】
【氏名】浦部 智也
【審査官】 市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−137493(JP,A)
【文献】 特開2000−031657(JP,A)
【文献】 特開2016−090641(JP,A)
【文献】 特開2015−096910(JP,A)
【文献】 米国特許第06527172(US,B1)
【文献】 特開平06−027844(JP,A)
【文献】 特開2013−010185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部を収納すると共に、内壁面を有する収納部と、
前記収納部に変位可能に取り付けられた蓋部と
を備え、
前記蓋部は、前記収納部の内部に浸入する液体を受ける液体受け部を含み、
前記液体受け部は、前記蓋部が前記収納部に近づいた状態において前記内壁面に近接され
前記蓋部は、さらに、前記液体受け部を支持すると共に変位可能である蓋本体部を含み、
前記液体受け部は、前記蓋部が前記収納部に近づいた状態において、前記蓋本体部と前記画像形成部との間に位置し、
前記画像形成部は、トナーを用いて媒体に画像を形成すると共に、前記トナーを前記媒体に定着させる定着部を含み、
前記液体受け部は、前記蓋部が前記収納部に近づいた状態において、前記蓋本体部と前記定着部との間に位置する、
画像形成装置。
【請求項2】
画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部を収納すると共に、内壁面を有する収納部と、
前記収納部に変位可能に取り付けられた蓋部と
を備え、
前記蓋部は、前記収納部の内部に浸入する液体を受ける液体受け部を含み、
前記液体受け部は、前記蓋部が前記収納部に近づいた状態において前記内壁面に近接され、
前記液体受け部は、前記内壁面に向かって前記液体を誘導する誘導路を含み、
前記誘導路は、前記蓋部が前記収納部に近づいた状態において前記内壁面に近接され、
前記蓋部は、さらに、前記蓋部が前記収納部に近づいた状態において前記誘導路を開放すると共に前記蓋部が前記収納部から遠ざかった状態において前記誘導路を遮蔽する開閉部材を含む、
画像形成装置。
【請求項3】
前記液体受け部は、前記液体を受ける底面を有し、
前記底面は、前記内壁面に向かって次第に低くなるように傾斜している、
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記液体受け部は、
前記液体を受ける底部と、
前記底部を囲むように前記底部に連結された壁部と
を含む、請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記蓋部は、開閉可能である、
請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記蓋部は、前記蓋部を旋回させる旋回軸を有し、
前記液体受け部は、前記旋回軸が配置されている側とは反対側に配置されている、
請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記蓋部は、さらに、前記収納部に係合可能である係合部を含む、
請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記蓋部は、さらに、前記画像形成部に画像を形成させるために用いられる操作部を含む、
請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部を収納すると共に、内壁面を有する収納部と、
前記収納部に変位可能に取り付けられた蓋部と
を備え、
前記蓋部は、前記収納部の内部に浸入する液体を受ける液体受け部を含み、
前記液体受け部は、前記蓋部が前記収納部に近づいた状態において前記内壁面に近接され、
前記蓋部は、さらに、前記液体が流れる流路を含み、
前記液体受け部は、前記蓋部が前記収納部から遠ざかった状態において、前記液体を前記流路に供給する、
像形成装置。
【請求項10】
前記液体受け部は、
前記蓋部が前記収納部に近づいた状態において前記液体を受ける底部と、
前記底部を囲むように前記底部に連結されると共に、前記蓋部が前記収納から遠ざかった状態において前記流路に向かって次第に低くなるように傾斜した内壁面を有する壁部と
を含む、請求項記載の画像形成装置。
【請求項11】
画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部を作動させる電源部と、
前記画像形成部および前記電源部を収納すると共に、排液口を有する着脱可能な第1収納部材およびスリット部を有する着脱可能な第2収納部材を含む収納部と、
前記収納部に前記スリット部を介して変位可能に取り付けられた蓋部と
を備え、
前記収納部は、前記スリット部から前記収納部の内部に浸入する液体を前記排液口に誘導する液体誘導部を含む、
画像形成装置。
【請求項12】
前記液体誘導部は、
前記第1収納部材から離間されるように前記第2収納部材に取り付けられ、前記スリット部から前記排液口に向かって延在すると共に前記排液口に近づくにしたがって次第に低くなるように傾斜した第1液体誘導部材と、
前記排液口に配置されるように前記第1収納部材に取り付けられ、前記第1液体誘導部材と部分的にオーバーラップした第2液体誘導部材と
を含む、請求項11記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トナーを用いて画像を形成する電子写真方式の画像形成装置が広く普及している。インクジェット方式などの他の方式の画像形成装置と比較して、鮮明な画像が短時間で得られるからである。
【0003】
この画像形成装置は、必要に応じて開閉可能である。しかしながら、画像形成装置が開閉可能であると、隙間などから画像形成装置の内部に意図せずに水などの液体が浸入するため、その液体の浸入に起因して様々な問題が発生する可能性がある。そこで、液体の浸入に関する問題を改善するために、いくつかの提案が検討されている。
【0004】
具体的には、液体の浸入に起因して動作制御用の基板が濡れることを抑制するために、画像形成装置の内部に液体を受ける受部材が設置されている(例えば、特許文献1参照。)。この受部材は、液体を受けると、動作制御用の基板が配置されていない領域に液体を流す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−096910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
液体の浸入に関する問題を改善するために対策が検討されているが、その対策は未だ十分でない。よって、画像形成装置の使用時の利便性を向上させるためには、改善の余地がある。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、使用時の利便性を向上させることが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態の画像形成装置は、画像を形成する画像形成部と、その画像形成部を収納すると共に内壁面を有する収納部と、その収納部に変位可能に取り付けられた蓋部とを備えたものである。この蓋部は、収納部の内部に浸入する液体を受ける液体受け部を含み、その液体受け部は、蓋部が収納部に近づいた状態において内壁面に近接される。
【0009】
本発明の一実施形態の他の画像形成装置は、画像を形成する画像形成部と、その画像形成部を作動させる電源部と、その画像形成部および電源部を収納すると共に排液口を有する着脱可能な第1収納部材およびスリット部を有する着脱可能な第2収納部材を含む収納部と、その収納部にスリット部を介して変位可能に取り付けられた蓋部とを備えたものである。この収納部は、スリット部から収納部の内部に浸入する液体を排液口に誘導する液体誘導部を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態の画像形成装置によれば、収納部の内部に画像形成部が収納されており、その収納部に変位可能に取り付けられた蓋部が液体受け部を含んでいると共に、蓋部が収納部に近づいた状態において液体受け部が収納部の内壁面に近接されるので、使用時の利便性を向上させることができる。
【0011】
本発明の一実施形態の他の画像形成装置によれば、排液口およびスリット部を有する収納部の内部に画像形成部と共に電源部が収納されており、その収納部にスリット部を介して変位可能に蓋部が取り付けられていると共に、その収納部が液体誘導部を含んでおり、その液体誘導部がスリット部から収納部の内部に浸入する液体を排液口に誘導するので、使用時の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態の画像形成装置の構成(トップカバーが閉じた状態)を表す斜視図である。
図2図1に示した画像形成装置の他の構成(トップカバーが開いた状態)を表す斜視図である。
図3図1に示した画像形成装置の構成の一部を拡大して表す斜視図である。
図4図1に示した画像形成装置の構成の一部を拡大して表す他の斜視図である。
図5図1に示したA−A線に沿った画像形成装置の構成の一部を表す平面図である。
図6図1に示したA−A線に沿った画像形成装置の構成の一部を表す斜視図である。
図7図2に示したトップカバーの構成を表す斜視図である。
図8図1に示した画像形成装置の構成を模式的に表す平面図である。
図9図8に示した現像ユニットの構成を拡大して模式的に表す平面図である。
図10図2に示した液体誘導ケースの構成を表す斜視図である。
図11図10に示したD−D線に沿った液体誘導ケースの構成を表す平面図である。
図12図10に示したE−E線に沿った液体誘導ケースの構成を表す平面図である。
図13図4に示したB−B線に沿った画像形成装置の構成の一部を表す平面図である。
図14図4に示したC−C線に沿った画像形成装置の構成の一部を表す平面図である。
図15】本発明の第2実施形態の画像形成装置における液体誘導ケースの構成を表す斜視図である。
図16】画像形成装置の構成(トップカバーが開いた状態)の一部を拡大して表す斜視図である。
図17図16に示した画像形成装置の構成の一部を拡大して表す斜視図である。
図18】画像形成装置の構成(トップカバーが開いた状態)を表す斜視図である。
図19図16に示したF−F線に沿ったトップカバーの構成を表す断面図である。
図20】本発明の第3実施形態の画像形成装置の構成(トップカバーが閉じた状態)を表す斜視図である。
図21図20に示した画像形成装置の構成の一部(サイドリアカバーなどが取り付けられた状態)を拡大して表す斜視図である。
図22図20に示した画像形成装置の他の構成の一部(サイドリアカバーなどが取り外された状態)を拡大して表す斜視図である。
図23図20に示した画像形成装置の他の構成(トップカバーが開いた状態)を表す斜視図である。
図24図23に示したトップカバーの構成を表す斜視図である。
図25図23に示した画像形成装置の構成の一部を拡大して表す斜視図である。
図26】液体誘導ガイドの構成を表す斜視図である。
図27図26に示した液体誘導ガイドの一部(受取板)の構成を表す斜視図である。
図28図26に示した液体誘導ガイドの他の一部(ガイド板)の構成を表す斜視図である。
図29図26に示した液体誘導ガイドの構成を拡大して表す斜視図である。
図30】画像形成装置の構成に関する変形例1を説明するための斜視図である。
図31】画像形成装置の構成に関する変形例3を説明するための断面図である。
図32】画像形成装置の構成に関する変形例4を説明するための断面図である。
図33】画像形成装置の構成に関する変形例5を説明するための平面図である。
図34】画像形成装置の構成に関する変形例5を説明するための他の平面図である。
図35】画像形成装置の構成に関する変形例6を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に関して、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明する順序は、下記の通りである。

1.画像形成装置(第1実施形態)
1−1.全体構成
1−2.画像形成デバイスの構成
1−3.液体誘導ケースの構成
1−4.動作
1−5.作用および効果
2.画像形成装置(第2実施形態)
2−1.構成
2−2.動作
2−3.作用および効果
3.画像形成装置(第3実施形態)
3−1.全体構成
3−2.液体誘導ガイドの構成
3−3.動作
3−4.作用および効果
4.変形例
【0014】
<1.画像形成装置(第1実施形態)>
本発明の第1実施形態の画像形成装置に関して説明する。
【0015】
ここで説明する画像形成装置は、後述するように、トナーT(図9参照)を用いて媒体M(図8参照)に画像を形成する装置であり、いわゆる電子写真方式のフルカラープリンタである。この画像形成装置は、例えば、ロール状に巻き取られた媒体Mを切断したのち、その切断された媒体Mに画像を形成する。
【0016】
なお、媒体Mの種類は、特に限定されないが、例えば、紙およびフィルムなどのうちのいずれか1種類または2種類以上である。
【0017】
<1−1.全体構成>
最初に、画像形成装置の全体構成に関して説明する。
【0018】
図1および図2のそれぞれは、画像形成装置の斜視構成を表している。ただし、図1では、トップカバー120が閉じた状態を示していると共に、図2では、トップカバー120が開いた状態を示している。
【0019】
図3および図4のそれぞれは、図1に示した画像形成装置の斜視構成の一部を拡大している。ただし、図4では、画像形成装置からトップカバー120だけが取り外された状態(トップカバー120から液体誘導ケース140が離脱された状態)を示している。
【0020】
図5は、図1に示したA−A線に沿った画像形成装置の平面構成の一部を表していると共に、図6は、図1に示したA−A線に沿った画像形成装置の斜視構成の一部を表している。ただし、図5および図6のそれぞれでは、A−A線に沿って画像形成装置が切断された状態を示している。また、図6では、液体誘導ケース140に液体Lが収容された状態を示していると共に、その液体Lに網掛けを施している。
【0021】
図7は、図2に示したトップカバー120の斜視構成を表している。図8は、図1に示した画像形成装置の平面構成を模式的に表している。ただし、図7では、トップカバー120が筐体110から取り外された状態を示している。また、図8では、筐体110およびトップカバー120のそれぞれの図示内容を簡略化していると共に、媒体Mの搬送経路Pを破線で示している。
【0022】
以下の説明では、図1および図2のそれぞれにおける画像形成装置の上側、下側、左側および右側のそれぞれを上方、下方、前方および後方とする。
【0023】
この画像形成装置は、例えば、図1図8に示したように、画像形成ユニット100と、給紙ユニット200とを備えている。
【0024】
[画像形成ユニット]
画像形成ユニット100は、給紙ユニット200から供給される媒体Mを用いて、その媒体Mに画像を形成する。
【0025】
この画像形成ユニット100は、例えば、トップカバー120が取り付けられた筐体110の内部に画像形成デバイス130を備えており、そのトップカバー120は、液体誘導ケース140を含んでいる。すなわち、液体誘導ケース140は、トップカバー120の一部である。ここで、筐体110は、本発明の一実施形態の「収納部」である。トップカバー120は、本発明の一実施形態の「蓋部」である。画像形成デバイス130は、本発明の一実施形態の「画像形成部」である。液体誘導ケース140は、本発明の一実施形態の「液体受け部」である。
【0026】
(筐体)
筐体110は、例えば、上方、すなわちトップカバー120が配置されている側に開口部を有する箱状の部材であり、画像形成デバイス130を収納している。
【0027】
この筐体110は、例えば、排出口110Hを有している。排出口110Hは、画像が形成された媒体Mを画像形成装置(筐体110)の外部に排出するための開口であり、例えば、その筐体110の前面に設けられている。
【0028】
また、筐体110は、後述するように、内壁面110Wを有している(図13および図14参照)。より具体的には、筐体110は、例えば、前方内側に取り付けられた内壁板110Kを含んでおり、上記した内壁面110Wは、例えば、その内壁板110Wの表面(内側面)である。
【0029】
なお、筐体110は、例えば、レバー受け112を含んでいる。このレバー受け112は、後述する開閉レバー123と係合される部材である。なお、筐体110の後方端部(例えば、操作パネル124から遠い側の端部)には、例えば、後述するリブ126に設けられている貫通口126Kに対応する箇所に貫通口110Kが設けられている。この貫通口110Kは、例えば、Y軸方向に延在しており、その貫通口110Kには、例えば、後述するシャフト127が挿入されている。
【0030】
(トップカバー)
トップカバー120は、画像形成デバイス130が収納された筐体110の開口部に取り付けられた板状の部材である。このトップカバー120は、筐体110に変位可能に取り付けられており、すなわち筐体110に近い位置と筐体110から遠い位置との間において変位可能である。
【0031】
具体的には、トップカバー120は、例えば、開閉可能である。すなわち、トップカバー120は、例えば、筐体110に近づくように変位することにより開くと共に、筐体110から離れるように変位することにより閉じる。以下では、トップカバー120が筐体110に近づいた状態を「トップカバー120が閉じた状態」と説明すると共に、そのトップカバー120が筐体110から遠ざかった状態を「トップカバー120が開いた状態」と説明する。
【0032】
このトップカバー120は、例えば、カバー本体121と、補強板122と、開閉レバー123と、操作パネル124と、ヘッドホルダ125と、リブ126と、シャフト127と、液体誘導ケース140とを含んでいる。ここで、カバー本体121は、本発明の一実施形態の「蓋本体部」である。
【0033】
カバー本体121は、トップカバー120の本体である板状の部材である。液体誘導ケース140は、例えば、カバー本体121に固定されているため、そのカバー本体121により支持されている。ただし、液体誘導ケース140は、例えば、補強板122に固定されていてもよい。このカバー本体121は、例えば、筐体110に対して変位可能であるため、そのカバー本体121を含んでいるトップカバー120は、例えば、カバー本体121の変位動作に応じて変位可能である。
【0034】
補強板122は、カバー本体121の物理的強度を補強する板状の部材である。この補強板122は、例えば、カバー本体121の内側に設けられており、そのカバー本体121の剛性よりも高い剛性を有する材料を含んでいる。
【0035】
開閉レバー123は、トップカバー120を開閉させるために用いられる把持部材であり、そのトップカバー120の外側に設けられている。この開閉レバー123は、例えば、トップカバー120に設けられたレバー口120Vの内部に配置されており、筐体110(レバー受け112)に係合可能である。開閉レバー123がレバー受け112に係合されることにより、トップカバー120が筐体110に固定される。すなわち、開閉レバー123がレバー受け112に係合されている状態では、その開閉レバー123がレバー受け112に固定されるため、筐体110の開口部がトップカバー120により閉塞される。一方、開閉レバー123がレバー受け112に係合されていない状態では、その開閉レバー123がレバー受け112から開放されるため、トップカバー120を開くことができる。ここで、開閉レバー123は、本発明の一実施形態の「係合部」である。
【0036】
操作パネル124は、例えば、画像形成デバイス130に画像を形成させるため、すなわちユーザが画像形成装置を用いて媒体Mに画像を形成するために用いられる入力装置である。この操作パネル124は、例えば、トップカバー120の外側に設けられており、より具体的には、カバー本体121の前方上面に設けられている。ここで、操作パネル124は、本発明の一実施形態の「操作部」である。
【0037】
ヘッドホルダ125は、トップカバー120が閉じた状態において、後述する現像ユニット10を支持する板状の部材である。このヘッドホルダ125は、例えば、Y軸方向に延在していると共にZ軸方向に突出しており、カバー本体121の内側に設けられている。ホルダ125の数は、特に限定されないが、例えば、現像ユニット10の数に対応した数である。ここでは、例えば、後述するように、現像ユニット10の数が3個であるため、ヘッドホルダ125の数も3個である。3個のヘッドホルダ125は、例えば、互いに間隔を隔てながらX軸方向に配列されている。
【0038】
リブ126は、トップカバー120(カバー本体121)を旋回させるために用いられる突起状の部材である。このリブ126は、例えば、Z軸方向に突出しており、カバー本体121の内側に設けられている。リブ126には、例えば、Y軸方向に延在する貫通口126Kが設けられている。リブ126の数は、特に限定されないが、例えば、2個である。2個のリブ126は、例えば、カバー本体121の後方端部(操作パネル124から遠い側の端部)に配置されており、互いに間隔を隔てながらY軸方向に配列されている。
【0039】
シャフト127は、旋回方向Rにおいてトップカバー120(カバー本体121)を旋回させるために用いられる棒状の部材であり、そのトップカバー120の開閉方向(旋回方向R)と交差する方向(Y軸方向)に延在している。このシャフト127は、例えば、筐体110に設けられた貫通口110Kおよびリブ126に設けられた貫通口126Kの双方に挿入されているため、筐体110およびトップカバー120(リブ126)のそれぞれに挿通されている。ここでは、例えば、リブ126の数が2個であるため、シャフト127は、例えば、一方の貫通口126Kから貫通口110Kを経由して他方の貫通口126Kまで挿入されている。これにより、トップカバー120は、例えば、旋回方向Rにおいてシャフト127を中心として旋回可能である。すなわち、トップカバー120は、例えば、Y軸方向に延在すると共にトップカバー120を旋回させる旋回軸Jを有しており、その旋回軸Jを中心として旋回することにより開閉可能である。
【0040】
液体誘導ケース140は、上方、すなわちトップカバー120に近い側に開口部を有する器状の部材であり、筐体110の内部に浸入する液体L(図6)を受ける。この液体誘導ケース140は、特に、後述するように、トップカバー120が閉じた状態において、筐体110の内壁面110Kに近接される。これに対して、液体誘導ケース140は、例えば、後述するように、トップカバー120が開いた状態において、内壁面110Kから離隔される。
【0041】
具体的には、液体誘導ケース140は、例えば、トップカバー120が閉じた状態において、そのトップケース120を経由して画像形成装置(筐体110)の内部に浸入する液体Lを受けることにより、その液体Lを収容する。このため、液体誘導ケース140は、トップカバー120が閉じた状態において、筐体110の内部に収納されていると共に画像形成デバイス10の上方に配置されており、すなわちトップカバー120と画像形成デバイス130との間に位置している。これにより、液体誘導ケース140は、筐体110の内部に浸入した液体Lを収容すると、内壁面110Kに向かって液体Lを誘導する。すなわち、液体Lは、液体誘導ケース140により、画像形成デバイス130から遠ざかるように誘導される。なお、液体誘導ケース140の構成に関しては、後述する(図10図14参照)。
【0042】
筐体110の内部に浸入する液体Lの種類は、特に限定されないが、例えば、雨、飲料および生活用水などである。
【0043】
トップカバー120を経由して筐体110の内部に液体Lが浸入する原因は、特に限定されないが、例えば、開閉レバー123が配置されているレバー口120Vを経由した液体Lの浸入および操作パネル124を経由した液体Lの浸入などである。
【0044】
(画像形成デバイス)
画像形成デバイス130は、トナーTを用いて媒体Mに画像を形成する。なお、画像形成デバイス130の構成に関しては、後述する。
【0045】
[給紙ユニット]
給紙ユニット200は、画像形成ユニット100に媒体Mを供給する。より具体的には、給紙ユニット200は、例えば、ロール状に巻き取られた媒体Mを切断したのち、その切断された媒体Mを搬送経路Pに沿って搬送させることにより画像形成ユニット100に供給する。
【0046】
この給紙ユニット200は、例えば、画像形成ユニット100の後方に取り付けられており、筐体210の内部に、搬送ローラ220,230と、カッタ240とを備えている。搬送ローラ220,230およびカッタ240は、例えば、搬送経路Pにおける上流側から下流側に向かってこの順に配置されている。
【0047】
搬送ローラ220,230のそれぞれは、搬送経路Pを介して互いに対向配置された一対のローラを含んでおり、ロール状に巻き取られた媒体Mをカッタ240に向けて搬送させる。一対のローラのそれぞれは、例えば、Y軸方向に延在していると共にY軸方向に延在する回転軸を中心として回転可能な円筒状の部材である。後述する画像形成装置の構成要素のうち、名称中に「ローラ」という文言を含む構成要素は、上記した一対のローラのそれぞれと同様に延在すると共に同様に回転可能な円筒状の部材である。
【0048】
カッタ240は、ロール状に巻き取られた媒体Mを所定の寸法(長さ)となるように切断する部材である。このカッタ240は、例えば、ロータリーカッタであるため、ロール状に巻き取られた媒体Mを搬送させながら切断可能である。
【0049】
<1−2.画像形成デバイスの構成>
次に、画像形成デバイス130の構成に関して説明する。
【0050】
図9は、図8に示した現像ユニット10の平面構成を拡大して模式的に表している。以下の説明では、随時、図9と共に図8を参照する。
【0051】
画像形成デバイス130は、例えば、図8および図9に示したように、現像ユニット10と、転写ユニット20と、定着ユニット30と、搬送ローラ41,42と、制御基板50とを含んでいる。給紙ユニット200から画像形成ユニット100(画像形成デバイス130)に供給される媒体Mは、上記したように、搬送経路Pに沿って搬送される。ここで、定着ユニット30は、本発明の一実施形態の「定着部」である。
【0052】
[現像ユニット]
現像ユニット10は、静電潜像に対するトナーTの付着処理(現像処理)を行う。具体的には、現像ユニット10は、例えば、静電潜像を形成すると共に、クーロン力を利用して静電潜像にトナーTを付着させる。トップカバー120が閉じた状態では、例えば、現像ユニット10に沿うようにヘッドホルダ125が配置されるため、その現像ユニット10は、例えば、ヘッドホルダ125により支持される。
【0053】
ここでは、画像形成デバイス130は、例えば、3個の現像ユニット10(10Y,10M,10C)を備えている。現像ユニット10Y,10M,10Cのそれぞれは、例えば、筐体110に対して着脱可能であると共に、搬送経路Pに沿って配列されている。ここでは、現像ユニット10Y,10M,10Cは、例えば、搬送経路Pの上流側から下流側に向かってこの順に配置されている。
【0054】
現像ユニット10Y,10M,10Cのそれぞれは、例えば、図9に示したように、現像処理部11およびトナーカートリッジ12を含んでおり、そのトナーカートリッジ12は、例えば、現像処理部11に対して着脱可能である。すなわち、現像ユニット10Y,10M,10Cのそれぞれは、例えば、トナーカートリッジ12に収納されているトナーTの種類(色)が異なることを除いて、互いに同様の構成を有している。なお、現像処理部11には、例えば、光源13が付設されている。
【0055】
現像処理部11は、トナーカートリッジ12から供給されるトナーTを用いて現像処理を行う。この現像処理部11は、例えば、筐体1の内部に、感光体ドラム2と、帯電ローラ3と、供給ローラ4と、現像ローラ5と、現像ブレード6と、クリーニングブレード7とを含んでいる。
【0056】
筐体1には、例えば、感光体ドラム2を部分的に露出させるための開口部1K1と、光源13から出力された光を感光体ドラム2に導くための開口部1K2とが設けられている。光源13は、例えば、筐体1の外部に配置されており、ヘッドホルダ125により支持されている。
【0057】
感光体ドラム2は、静電潜像を担持する有機系感光体であり、上記した搬送ローラ220,230と同様に延在すると共に回転可能な円筒状の部材である。帯電ローラ3は、感光体ドラム2に圧接されており、その感光体ドラム2の表面を帯電させる。供給ローラ4は、現像ローラ5に圧接されており、その現像ローラ5の表面にトナーTを供給する。現像ローラ5は、感光体ドラム2に圧接されており、供給ローラ4から供給されるトナーTを担持すると共に、その感光体ドラム2の表面に形成された静電潜像にトナーTを付着させる。
【0058】
現像ブレード6は、現像ローラ5の表面に供給されたトナーTの厚さを規制する板状の部材である。この現像ブレード6は、例えば、現像ローラ5から所定の距離を隔てた位置に配置されており、その現像ローラ5と現像ブレード6との間の距離(間隔)に応じてトナーTの厚さが制御される。
【0059】
クリーニングブレード7は、感光体ドラム2の表面に残留した不要なトナーTなどの異物を掻き取る板状の弾性部材である。このクリーニングブレード7は、例えば、感光体ドラム2の延在方向と略平行な方向に延在しており、その感光体ドラム2に圧接されている。
【0060】
トナーカートリッジ12は、トナーTを収納する部材である。現像ユニット10Yのトナーカートリッジ12は、例えば、イエロートナーを収納している。現像ユニット10Mのトナーカートリッジ12は、例えば、マゼンタトナーを収納している。現像ユニット10Cのトナーカートリッジ12は、例えば、シアントナーを収納している。
【0061】
光源13は、感光体ドラム2の表面を露光することにより、その感光体ドラム2の表面に静電潜像を形成する露光装置である。この光源13は、例えば、発光ダイオード(LED)素子およびレンズアレイなどを含むLEDヘッドである。LED素子およびレンズアレイは、例えば、そのLED素子から出力された光が感光体ドラム2の表面において結像するように配置されている。
【0062】
[転写ユニット]
転写ユニット20は、現像ユニット10により現像処理されたトナーTを用いて転写処理を行う。具体的には、転写ユニット20は、例えば、現像ユニット10により静電潜像に付着されたトナーTを媒体Mに転写させる。
【0063】
この転写ユニット20は、例えば、搬送ベルト21と、駆動ローラ22と、従動ローラ23と、転写ローラ24と、クリーニングブレード25と、回収箱26と、センサ27とを含んでいる。
【0064】
搬送ベルト21は、媒体Mを搬送させるベルトであり、例えば、無端の弾性ベルトである。この搬送ベルト21は、例えば、駆動ローラ22および従動ローラ23により張架された状態において、その駆動ローラ22の回転に応じて移動可能である。駆動ローラ22は、例えば、モータなどの動力を利用して回転可能であると共に、従動ローラ23は、例えば、駆動ローラ22の回転に応じて回転可能である。
【0065】
転写ローラ24は、搬送ベルト21を介して感光体ドラム2に圧接されており、静電潜像に付着されたトナーTを媒体Mに転写させる。転写ローラ24の数は、特に限定されないが、例えば、現像ユニット10の数に対応した数である。ここでは、例えば、現像ユニット10の数が3個(10Y,10M,10C)であるため、転写ローラ24の数も3個(24Y,24M,24C)である。
【0066】
クリーニングブレード25は、搬送ベルト21に圧接されており、その搬送ベルト21の表面に残留した不要なトナーTなどの異物を掻き取る。回収箱26は、クリーニングブレード25により掻き取られた異物を回収する。センサ27は、例えば、フォトセンサを含んでおり、媒体Mに対する画像の形成の有無およびその画像の濃度などを検出する。ただし、センサ28の種類(役割)は、特に限定されない。
【0067】
[定着ユニット]
定着ユニット30は、転写ユニット20により媒体Mに転写されたトナーTを用いて定着処理を行う。具体的には、定着ユニット30は、例えば、転写ユニット20によりトナーTが転写された媒体Mを加熱しながら加圧することにより、そのトナーTを媒体Mに定着させる。
【0068】
この定着ユニット30は、例えば、加熱ローラ31および加圧ローラ32を含んでいる。加熱ローラ31は、媒体Mに転写されたトナーTを加熱する。加熱ローラ31の内部には、例えば、ヒータなどの加熱源が設置されていると共に、その加熱ローラ31の近傍には、例えば、その加熱ローラ31から離間されるようにサーミスタなどの温度測定素子が配置されている。加圧ローラ32は、加熱ローラ31に圧接されており、媒体Mに転写されたトナーTを加圧する。
【0069】
[搬送ローラ]
搬送ローラ41,42のそれぞれは、搬送ローラ220,230と同様の構成を有しており、搬送経路Pに沿って媒体Mを搬送させる。搬送ベルト21は、例えば、搬送ローラ41,42の間に配置されている。
【0070】
[制御基板]
制御基板50は、例えば、中央演算処理装置(CPU)などを含んでおり、画像形成装置の全体を制御する。
【0071】
<1−3.液体誘導ケースの構成>
次に、液体誘導ケース140の構成に関して説明する。
【0072】
図10は、図2に示した液体誘導ケース140の斜視構成を表している。図11は、図10に示したD−D線に沿った液体誘導ケース140の平面構成を表していると共に、図12は、図10に示したE−E線に沿った液体誘導ケース140の平面構成を表している。図13は、図4に示したB−B線に沿った画像形成装置の斜視構成の一部を表していると共に、図14は、図4に示したC−C線に沿った画像形成装置の斜視構成の一部を表している。
【0073】
ただし、図11では、D−D線に沿って画像形成装置が切断された状態を示していると共に、図12では、E−E線に沿って画像形成装置が切断された状態を示している。図13では、B−B線に沿って画像形成装置が切断された状態を示していると共に、図14では、C−C線に沿って画像形成装置が切断された状態を示している。以下の説明では、随時、図10図14と共に図1図6を参照する。
【0074】
トップカバー120の一部である液体誘導ケース140は、例えば、図1図6および図10図14に示したように、そのトップカバー120が閉じた状態において、筐体110の内部において開口部が上方を向くように配置されている。この液体誘導ケース140は、例えば、トップカバー120が旋回軸Jを中心として旋回可能である場合において、その旋回軸Jが配置されている側(後方)とは反対側(前方)に配置されている。
【0075】
トップカバー120が閉じた状態では、例えば、液体誘導ケース140の上方にカバー本体121が配置されていると共に、その液体誘導ケース140の下方に画像形成デバイス130が配置されている。これにより、液体誘導ケース140は、例えば、筐体110の上方から内部に浸入する液体L、すなわちトップカバー120を経由して筐体110の内部に浸入する液体Lを受けることにより、その液体Lが画像形成デバイス130に到達することを防止する。
【0076】
この場合において、液体誘導ケース140は、定着ユニット30の上方に配置されており、より具体的には、その定着ユニット30の一部または全部とオーバーラップするように配置されていることが好ましい。すなわち、液体誘導ケース140は、トップカバー120と定着ユニット30との間に位置していることが好ましい。加熱ローラ31による加熱処理を要する定着ユニット30に液体Lが到達しにくくなるため、その加熱処理が液体Lにより阻害されにくくなるからである。すなわち、加熱ローラ31に対する液体Lの接触に起因した意図しない加熱温度の低下が防止されるため、定着ユニット30が定着処理を安定に実行しやすくなる。
【0077】
この液体誘導ケース140は、上記したように、液体Lを収容することにより、その液体Lが画像形成デバイス130に到達することを防止するだけでなく、さらに、画像形成デバイス130から遠ざかるように液体Lを誘導する。すなわち、液体誘導ケース140は、誘導経路Gに沿って内壁面110Wに向かって液体Lを誘導することにより、その液体Lを画像形成デバイス130から遠ざける。
【0078】
具体的には、液体誘導ケース140は、例えば、図10図12に示したように、底部141および壁部142を含んでいる。
【0079】
底部141は、例えば、液体誘導ケース140に液体Lが収容される側に、その液体Lを受ける底面141Mを有している。この底面141Mは、例えば、誘導経路Gにおいて傾斜しており、より具体的には、液体Lが誘導される方向(内壁面110W)に向かって次第に低くなるように傾斜している。すなわち、底面141Mは、例えば、Y軸方向において、液体Lが誘導される方向に向かって次第に低くなるように傾斜していると共に(図11参照)、X軸方向においても、液体Lが誘導される方向に向かって次第に低くなるように傾斜している(図12参照)。これにより、液体誘導ケース140は、例えば、上記した底面141Mの傾斜を利用して、内壁面110Wまで円滑かつ安定に液体Lを誘導可能である。
【0080】
壁部142は、例えば、底部141を囲むように、その底部141に連結されている。この壁部142は、例えば、内壁面110Wに向かって液体Lを誘導する誘導口142Gを有しており、底部141および壁部142は、例えば、誘導口142Gが設けられている箇所において内壁面110Wに向かって部分的に延設されている。これにより、液体誘導ケース140は、例えば、液体Lを収容する収容器140Xと、その収容器140Xに連結されると共に内壁面110Wに向かって延在する誘導路140Yとを有している。すなわち、液体誘導ケース140は、例えば、収容器140Xの内部に液体Lを収容したのち、誘導路140Yを経由して内壁面110Wに向かって液体Lを誘導可能である。このため、誘導路140Yは、例えば、トップカバー120が閉じた状態において、内壁面110Wに近接される。
【0081】
特に、液体誘導ケース140は、例えば、図10図14に示したように、突出部140Pおよび誘導端140Eを有している。
【0082】
突出部140Pは、例えば、液体誘導ケース140(誘導路140Y)の前方上部に設けられており、内壁面110Wよりも前方まで突出している。この突出部140Pは、例えば、トップカバー120が閉じた状態において内壁板110Kに当接されることにより、Z軸方向において液体誘導ケース140の位置を固定させる。
【0083】
誘導端140Eは、例えば、液体誘導ケース140の前方下端であり、液体Lが誘導される経路の実質的な前端である。液体誘導ケース140は、上記したように、トップカバー120が閉じた状態において内壁面110Wに近接されるため、その誘導端140Eは、トップカバー120が閉じた状態において内壁面110Wに隣接されずに、その内壁面110Wから離間される。誘導端140Eが内壁面110Wから離間される距離、すなわち誘導端140Eと内壁面110Wとの間の距離(離間距離L)は、特に限定されないが、例えば、3mm以下である。
【0084】
<1−4.動作>
次に、画像形成装置の動作に関して説明する。以下では、図1図14を参照しながら、画像の形成動作に関して説明したのち、液体Lの誘導動作に関して説明する。
【0085】
[画像の形成動作]
媒体Mに画像を形成する場合には、画像形成装置(図8および図9参照)は、例えば、以下で説明するように、現像処理、転写処理および定着処理をこの順に行うと共に、必要に応じてクリーニング処理を行う。これらの一連の処理は、例えば、制御基板50により制御される。
【0086】
(現像処理)
給紙ユニット200おいて、ロール状に巻き取られた媒体Mがカッタ240により切断されると、その切断された媒体Mが画像形成ユニット100に供給される。
【0087】
現像処理では、現像ユニット10(現像処理部11)において、感光体ドラム2が回転すると、帯電ローラ3の回転に応じて感光体ドラム2に直流電圧が印加されるため、その感光体ドラム2が均一に帯電する。続いて、画像データに基づいて光源13が感光体ドラム2に光を照射すると、その光の照射領域において電位が減衰(光減衰)するため、静電潜像が形成される。この画像データは、例えば、パーソナルコンピュータなどの外部装置から画像形成装置に送信される。
【0088】
現像処理部11では、電圧の印加に応じて供給ローラ4および現像ローラ5のそれぞれが回転するため、その供給ローラ4から現像ローラ5にトナーTが供給される。また、感光体ドラム2が回転すると、現像ローラ5から感光体ドラム2にトナーTが移行するため、その感光体ドラム2(静電潜像)にトナーTが付着する。この場合には、トナーTの一部が現像ブレード6により除去されるため、そのトナーTの厚さが均一化される。
【0089】
一方、現像ユニット10(トナーカートリッジ12)では、トナーTが撹拌されることにより、トナーカートリッジ12から現像処理部11にトナーTが供給される。図9では、トナーカートリッジ12の内部だけにトナーTを示しているが、そのトナーTは、現像処理部11(筐体1)の内部にも存在していてもよい。
【0090】
(転写処理)
転写ユニット20では、駆動ローラ22が回転すると、その駆動ローラ22の回転に応じて従動ローラ23が回転するため、搬送ベルト21が移動する。転写処理では、転写ローラ24が搬送ベルト21を介して感光体ドラム2に圧接されるため、その転写ローラ24に電圧が印加されると、現像処理により感光体ドラム2に付着されたトナーTが媒体Mに転写される。
【0091】
(定着処理)
定着処理では、定着ユニット30において加熱ローラ31と加圧ローラ32との間を媒体Mが通過する。この場合には、媒体Mに転写されたトナーTが加熱ローラ31により加熱されるため、そのトナーTが溶融すると共に、溶融状態のトナーTが加圧ローラ32により媒体Mに圧接されるため、そのトナーTが媒体Mに密着する。
【0092】
これにより、トナーTが媒体Mに定着されるため、その媒体Mに画像が形成される。画像が形成された媒体Mは、排出口110Hから排出される。なお、画像を形成するために用いられるトナーTの種類および数は、その画像を形成するために必要な色の組み合わせに応じて決定される。
【0093】
(クリーニング処理)
現像ユニット10では、クリーニングブレード7に圧接された状態において感光体ドラム2が回転するため、その感光体ドラム2の表面に残留している不要なトナーTなどの異物がクリーニングブレード7により掻き取られる。
【0094】
また、転写ユニット20では、搬送ベルト21が移動する際に、その搬送ベルト21の表面に残留した不要なトナーTなどの異物がクリーニングブレード25により掻き取られることにより、その異物が回収箱26により回収される。
【0095】
[液体の誘導動作]
画像形成装置の内部に液体Lが浸入すると、以下で説明するように、その液体Lが液体誘導ケース140により内壁面110Wに向かって誘導される。以下では、例えば、開閉レバー123が配置されているレバー口120Vから筐体110の内部に液体Lが浸入する場合に関して説明する。
【0096】
トップカバー120が閉じた状態(図1および図3参照)では、そのトップカバー120の一部である液体誘導ケース140は、図4図6に示したように、筐体110の内部において開口部が上方を向くように配置されている。この場合には、液体誘導ケース140は、画像形成デバイス130の上方に配置されており、より具体的には、例えば、定着ユニット30の上方に配置されている。また、突出部140Pは、筐体110(内壁板110K)に当接されているため、液体誘導ケース140の位置は、Z軸方向において固定されている。
【0097】
何らかの原因により画像形成装置の上に液体Lが供給されると、その液体Lがトップカバー120(レバー口120V)を経由して筐体110の内部に浸入する。この場合には、トップカバー120の下方に液体誘導ケース140が配置されているため、図6および図10に示したように、その液体誘導ケース140の内部(収容器140X)に液体Lが収容される。
【0098】
この液体誘導ケース140は、収容器140Xに液体Lが収容されると、図6および図10図14に示したように、底面141Mの傾斜を利用して、その収容器140Xから誘導路140Yを経由して内壁面110Wに向けて液体Lを誘導する。これにより、液体Lは、誘導経路Gに沿って定着ユニット30から遠ざかるように誘導される。
【0099】
液体誘導ケース140の誘導端140Eは、図14に示したように、筐体110(内壁面110W)から僅かに離間されており、より具体的には、離間距離Lだけ内壁面110Wから後退している。これにより、誘導端140Eまで誘導された液体Lは、図13に示したように、内壁面110Wに沿いながら下方に流れる。これにより、画像形成装置の内部に浸入した液体Lは、液体誘導ケース140に収容されたのち、画像形成デバイス130(定着ユニット30)まで到達せずに液体誘導ケース140から排出される。
【0100】
<1−5.作用および効果>
本実施形態の画像形成装置によれば、筐体110の内部に画像形成デバイス130が収納されており、その筐体110に変位(開閉)可能に取り付けられたトップカバー120が液体誘導ケース140を含んでいる。この液体誘導ケース140は、トップカバー120が閉じた状態において、筐体110の内壁面110Wに近接される。
【0101】
この場合には、上記したように、トップカバー120が閉じた状態において筐体110の内部に液体Lが浸入すると、その液体Lは、液体誘導ケース140により収容されたのち、その液体誘導ケース140により内壁面110Wに向かって誘導される。これにより、液体Lが画像形成デバイス130に到達しにくくなるため、その液体Lとの接触に起因する画像形成デバイス130の不具合が発生しにくくなる。よって、意図せずに筐体110の内部に液体Lが浸入しても、画像形成デバイス130が画像の形成動作を安定に継続しやすくなる。
【0102】
しかも、液体誘導ケース140がトップカバー120の一部であるため、その液体誘導ケース140がトップカバー120の変位動作に応じて移動可能である。これにより、トップカバー120を閉じると、上記したように、筐体110の内部では、液体誘導ケース140が内壁面110Wに近接される。よって、画像形成装置(トップカバー120)の上に液体Lが供給されると、そのトップカバー120を経由して筐体110の内部に浸入する液体Lを液体誘導ケース140が収容可能になる。一方、必要に応じてトップカバー120を開けると、そのトップカバー120の変位動作に応じて液体誘導ケース140が筐体110から離脱されるため、その液体誘導ケース140が内壁面110Wから離隔される。よって、トップカバー120を開けるだけで、筐体110の内部から液体誘導ケース140が除去される。この場合には、例えば、わざわざ液体誘導ケース140を取り外す手間を要せずに、画像形成デバイス130のメンテナンスなどを実施可能になる。
【0103】
これらのことから、画像形成デバイス130のメンテナンス時などにおいて液体誘導ケース140が邪魔になることを回避しながら、その液体誘導ケース140を利用することにより、液体Lの浸入に起因する画像形成デバイス130の不具合が発生することを防止することができる。よって、画像形成デバイス130による画像の形成動作が安定化しながら、画像形成装置のメンテナンス作業などが容易になるため、その画像形成装置の使用時の利便性を向上させることができる。
【0104】
特に、液体誘導ケース140の底面141Mが内壁面110Wに向かって次第に低くなるように傾斜していれば、その底面141Mの傾斜を利用して内壁面110Wに向かって液体Lが誘導されやすくなるため、より高い効果を得ることができる。
【0105】
また、液体誘導ケース140が誘導路140Yを含んでおり、トップカバー120が閉じた状態において誘導路140Yが内壁面110Wに近接されれば、その誘導路140Yを利用して内壁面110Wに向かって液体Lが誘導されやすくなるため、より高い効果を得ることができる。
【0106】
また、液体誘導ケース140が底部141と共に壁部142を含んでいれば、その液体誘導ケース140が液体Lを受け取りやすくなると共に、内壁面110Wに向かって液体Lを誘導する過程において液体誘導ケース140が液体Lを保持しやすくなるため、より高い効果を得ることができる。
【0107】
また、トップカバー120が閉じた状態において液体誘導ケース140がカバー本体121と画像形成デバイス130との間に位置していれば、画像形成デバイス130による画像の形成動作がより安定化するため、より高い効果を得ることができる。この場合には、液体誘導ケース140がカバー本体121と定着ユニット30との間に位置していれば、加熱処理を要する定着ユニット30に液体Lが到達しにくくなるため、さらに高い効果を得ることができる。
【0108】
また、トップカバー120が開閉可能であれば、開閉機構を有する画像形成装置においても、画像形成デバイス130による画像の形成動作が安定化するため、より高い効果を得ることができる。
【0109】
また、トップカバー120が旋回軸Jを中心として旋回可能であり、その旋回軸Jが配置されている側とは反対側に液体誘導ケース140が配置されていれば、その液体誘導ケース140がトップカバー120の旋回動作の邪魔にならない。よって、トップカバー120の旋回動作を担保しながら、液体Lに起因する画像形成デバイス130の不具合の発生が防止されるため、より高い効果を得ることができる。
【0110】
また、トップカバー120が開閉レバー123を備えていれば、その開閉レバー123(レバー口120V)の存在に起因して筐体110の内部に液体Lが浸入しても、その液体Lが液体誘導ケース140により画像形成デバイス130から遠ざかるように誘導される。よって、トップカバー120に開閉レバー123を設けても、液体Lに起因する画像形成デバイス130の不具合の発生が防止されるため、より高い効果を得ることができる。この作用および効果は、トップカバー120が操作パネル124を備えているため、その操作パネル124の存在に起因して筐体110の内部に液体Lが浸入する場合においても、同様に得られる。
【0111】
<2.画像形成装置(第2実施形態)>
次に、本発明の第2実施形態の画像形成装置に関して説明する。以下の説明では、随時、既に説明した図1図14を参照する。
【0112】
第1実施形態の画像形成装置では、上記したように、液体誘導ケース140が1つの誘導経路G(G1)に沿って液体Lを誘導する。すなわち、液体誘導ケース140は、トップカバー120が閉じた状態において液体Lを収容したのち、誘導経路G1に沿って内壁面110Wに向けて液体Lを誘導する。
【0113】
これに対して、第2実施形態の画像形成装置では、液体誘導ケース140が2つの誘導経路G(G1,G2)に沿って液体Lを誘導する。すなわち、液体誘導ケース140は、第1実施形態において説明したように、トップカバー120が閉じた状態において液体Lを収容したのち、誘導経路G1に沿って内壁面110Wに向けて液体Lを誘導する。また、液体誘導ケース140は、その液体誘導ケース140に液体Lが収容された状態においてトップカバー120が開けられると、上記した誘導経路G1とは異なる誘導経路G2に沿って後述する流路128に向けて液体Lを誘導する。
【0114】
<2−1.構成>
第2実施形態の画像形成装置は、以下で説明するように、液体誘導ケース140およびトップカバー120のそれぞれの構成が異なることを除いて、第1実施形態の画像形成装置と同様の構成を有している。以下の説明では、随時、既に説明した図1図14を参照する。
【0115】
図15は、液体誘導ケース140の斜視構成を表しており、図10に対応している。図16は、画像形成装置の斜視構成の一部を拡大しており、図2に対応していると共に、図17は、図16に示した画像形成装置の斜視構成の一部を拡大している。図18は、画像形成装置の斜視構成を表している。図19は、図16に示したF−F線に沿ったトップカバー120の断面構成を表している。
【0116】
ただし、図16図18のそれぞれでは、トップカバー120が開いた状態を示している。図16および図17のそれぞれでは、図1に示したA−Aに沿って画像形成装置が切断された状態を示している共に、図16では、トップカバー120から補強板122が取り外された状態を示している。図17では、液体誘導ケース140に液体Lが収容された状態を示していると共に、その液体Lに網掛けを施している。図18では、画像形成装置を後方から見た状態を示している。
【0117】
液体誘導ケース140は、例えば、上記したように、さらに、トップカバー120が開いた状態において、そのトップカバー120が閉じた状態において液体Lが誘導される方向(誘導経路G1)とは別の方向(誘導経路G2)に液体Lを誘導する。
【0118】
具体的には、液体誘導ケース140は、例えば、図15図17に示したように、底部141および壁部142と共に屋根部143を含んでいる。この屋根部143は、例えば、底部141から離間されると共に、その底部141の下方側の一部と対向するように、壁部142に連結されている。
【0119】
液体誘導ケース140が屋根部143を含んでいるのは、図17に示したように、その液体誘導ケース140に液体Lが収容された状態においてトップカバー120が開いても、その屋根部143を利用して液体Lをこぼさないように保持するためである。
【0120】
トップカバー120が開いた状態において屋根部143が底部141の下方側の一部と対向しているのは、図4図15および図17に示したように、トップカバー120が閉じた状態では、屋根部143が液体誘導ケース140に対する液体Lの収容ルートを塞がないようにすると共に、そのトップカバー120が開いた状態では、その屋根部143を利用して液体Lをこぼれないように堰き止めるためである。これにより、液体誘導ケース140は、トップカバー120が閉じた状態では液体Lを収容可能になると共に、そのトップカバー10が開いた状態においても液体Lを保持可能になる。
【0121】
また、屋根部143は、例えば、後述する流路128に連通された誘導口143Gを有している。すなわち、液体誘導ケース140は、例えば、トップカバー120が開いた状態において、収容器140Xの内部に液体Lを収容しながら、誘導口143Gを経由して流路128に液体Lを誘導可能である。
【0122】
この場合には、壁部142は、例えば、図15図17に示したように、内側、すなわち液体誘導ケース140に液体Lが収容される側に、内壁面142Mを有している。この内壁面142Mは、例えば、誘導経路G2において傾斜しており、より具体的には、トップカバー120が開いた状態において流路128に向かって次第に低くなるように傾斜している。すなわち、内壁面142Mは、例えば、トップカバー120が開いた状態において、X軸方向において液体Lが誘導される方向に向かって次第に低くなるように傾斜している。これにより、液体誘導ケース140は、例えば、上記した内壁面142Mの傾斜を利用して流路128に液体Lを誘導可能である。
【0123】
トップカバー120は、例えば、図18に示したように、流路128および排液口120Lを有している。
【0124】
排液口120Lは、例えば、カバー本体121の後方端部(例えば、操作パネル124から遠い側の端部)に設けられている。
【0125】
流路128は、液体L(図17)が流れる経路であり、例えば、液体誘導ケース140(誘導口143G)に対応する位置から排液口120Lまで延在している。具体的には、例えば、図19に示したように、補強板122に対向する側においてカバー本体121に溝121Tが設けられており、その溝121Tが設けられたカバー本体121に補強板122が隣接されている。これにより、溝121Tを利用して流路128が形成されている。
【0126】
液体誘導ケース140は、例えば、上記したように、旋回軸Jよりも操作パネル124に近い側に配置されている。このため、流路128は、例えば、操作パネル124に近い側から旋回軸Jに近い側に向かって延在することにより、排液口120Lに連通されている。なお、流路128の延在パターンは、特に限定されない。ここでは、流路128は、例えば、途中でクランク状に折れ曲がりながら排液口120Lまで延在している。これにより、液体誘導ケース140は、例えば、流路128を経由して排液口120Lまで液体Lを誘導可能である。
【0127】
液体誘導ケース140およびトップカバー120のそれぞれに関する他の構成は、第1実施形態において説明した通りである。
【0128】
<2−2.動作>
第2実施形態の画像形成装置は、第1実施形態の画像形成装置と同様の手順により、媒体Mに画像を形成する。また、第2実施形態の画像形成装置は、例えば、以下で説明するように、液体Lの排液動作を行う。
【0129】
トップカバー120が閉じた状態では、上記したように、液体Lが筐体110の内部に浸入すると、液体誘導ケース140が液体Lを収容したのち、誘導経路G1に沿って内壁面110Wに向けて液体Lを誘導する。これにより、液体Lが誘導端140Eまで誘導されたのち、その液体Lが内壁面110Wに沿いながら下方に流れるため、液体誘導ケース140から排出される。
【0130】
液体誘導ケース140に液体Lが収容されたのち、その液体Lの全てが内壁面110Wに向けて誘導される前にトップカバー120が開けられると、図15図19に示したように、その液体誘導ケース140では、屋根部143を利用して液体Lがこぼれないように保持される。
【0131】
この場合には、収容器140Xに液体Lが収容されると、内壁面142Mの傾斜を利用して、その収容器140Xから誘導路143Gを経由して流路128まで液体Lが誘導される。これにより、液体Lは、定着ユニット130から遠ざかるように誘導経路G2に沿って誘導されるため、液体誘導ケース140から排出される。
【0132】
液体誘導ケース140により流路128まで誘導された液体Lは、その流路128の内部を排液口120Lまで流れるため、図18に示したように、その排液口120Lからトップカバー120の外部に排出される。
【0133】
<2−3.作用および効果>
本実施形態の画像形成装置によれば、筐体110の内部に画像形成デバイス130が収納されており、その筐体110に変位可能に取り付けられたトップカバー120が液体誘導ケース140を含んでいる。この液体誘導ケース140は、さらに、トップカバー120が開いた状態において、そのトップカバー120に設けられた流路128に液体Lを供給する。
【0134】
この場合には、図15図19に示したように、液体誘導ケース140に液体Lが収容された状態においてトップカバー120が開けられたため、誘導経路G1においては液体Lが内壁面110Wに向かけて誘導されなくなっても、その誘導経路G1とは別個に設けられた誘導経路G2を利用して流路128に向けて液体Lが誘導される。これにより、トップカバー120が意図せずに開けられても、液体Lが画像形成デバイス130に到達しにくくなるため、その液体Lとの接触に起因する画像形成デバイス10の不具合がより発生しにくくなる。よって、画像形成デバイス130による画像の形成動作がより安定化するため、画像形成装置の使用時の利便性をより向上させることができる。
【0135】
特に、液体誘導ケース140が底部141および壁部142を含んでおり、その壁部142の内壁面142Mが流路128に向かって次第に低くなるように傾斜していれば、その内壁面142Mの傾斜を利用して流路128に液体Lが誘導されやすくなるため、より高い効果を得ることができる。
【0136】
<3.画像形成装置(第3実施形態)>
次に、本発明の第3実施形態の画像形成装置に関して説明する。以下の説明では、随時、既に説明した図1図19を参照する。
【0137】
第2実施形態の画像形成装置では、上記したように、液体誘導ケース140を利用することにより、トップカバー120を経由して筐体110の内部に浸入する液体Lを誘導経路G(G1,G2)に沿って誘導する。
【0138】
これに対して、第3実施形態の画像形成装置では、後述するように、液体誘導ケース140の代わりに液体誘導ガイド400を利用することにより、筐体110,210の外部から内部に浸入する液体Lを誘導経路G(G3)に沿って誘導する。ここで、筐体110,210は、本発明の一実施形態の「収納部」である。
【0139】
<3−1.全体構成>
第3実施形態の画像形成装置は、以下で説明するように、さらにバッテリ60および液体誘導ガイド400を備えていると共に、筐体110,210およびトップカバー120のそれぞれの構成が異なることを除いて、第2実施形態の画像形成装置と同様の構成を有している。以下の説明では、随時、既に説明した図1図19を参照する。ここで、液体誘導ガイド400は、本発明の一実施形態の「液体誘導部」である。
【0140】
図20は、画像形成装置の斜視構成を表しており、図1に対応している。図21および図22のそれぞれは、図20に示した画像形成装置の斜視構成の一部を拡大している。図23は、画像形成装置の他の斜視構成を表しており、図2に対応している。図24は、トップカバー120の斜視構成を表しており、図7に対応している。図25は、図23に示した画像形成装置の斜視構成の一部を拡大している。
【0141】
ただし、図21では、サイドリアカバー212などが取り付けられた状態を示していると共に、図22では、サイドリアカバー212などが取り外された状態を示している。図23では、画像形成デバイス130が取り外されると共に、サイドカバー101(サイドカバー111,211)が取り外された状態を示している。図24では、カバー本体121が取り外された状態を示している。
【0142】
[バッテリ]
バッテリ60は、画像形成デバイス130などを作動させるための電源であり、その画像形成デバイス130と同様に筐体110の内部に収納されている。ここでは、バッテリ60は、例えば、図2および図23に示したように、画像形成デバイス130の側方(図23中の手前側)に配置されている。ここで、バッテリ60は、本発明の一実施形態の「電源部」である。
【0143】
[筐体]
筐体110は、画像形成デバイス130と共にバッテリ60を収納している。この筐体110は、例えば、図20図23に示したように、サイドカバー111を含んでいる。このサイドカバー111は、主に、バッテリ60を保護する筐体110の一部(側面板)であり、着脱可能な板状の部材である。なお、サイドカバー111は、例えば、バッテリ60を交換する目的などに用いられるため、必要に応じて着脱される。
【0144】
サイドカバー111には、例えば、排液口100Lが設けられている。この排液口100Lは、後述するように、画像形成装置(筐体110)の外部に液体L(図29参照)を排出するための開口である。
【0145】
筐体210は、例えば、図20図23に示したように、サイドカバー211と、一対のサイドリアカバー212,213と、フィーダカバー214とを含んでいる。ここで、サイドリアカバー212は、本発明の一実施形態の「第2収納部材」である。
【0146】
サイドカバー211は、例えば、図8および図23に示したように、カッタ240の側方(図23中の手前側)に配置された筐体210の一部(側面板)であり、着脱可能な板状の部材である。
【0147】
一対のサイドリアカバー212,213のそれぞれは、例えば、図21図23に示したように、サイドカバー21の上方に配置された着脱可能な略蓋状の部材であり、固定用ネジ250を介してサイドカバー211などに固定されている。サイドリアカバー212,213は、例えば、Y軸方向においてフィーダカバー214を介して互いに離間されると共に互いに対向するように配置されている。なお、サイドリアカバー212,213は、例えば、各種のメンテナンス作業(例えば、任意の部品の交換)を行う目的などに用いられるため、必要に応じて着脱される。
【0148】
サイドリアカバー212,213のそれぞれは、例えば、トップカバー120の近傍に旋回用スリット210K1を有している。この旋回用スリット210K1は、Z軸方向に延在しており、トップカバー120を変位させるため、すなわちトップカバー120を旋回(開閉)させるために利用される。ここで、旋回用スリット210K1は、本発明の一実施形態の「スリット部」である。
【0149】
なお、サイドリアカバー212は、さらに、トップカバー120の近傍にレバー用スリット210K2を有している。このレバー用スリット210K2は、旋回用スリット210K1と同様にZ軸方向に延在しており、後述するレバー127を回動させるために利用される。
【0150】
フィーダカバー214は、サイドリアカバー212,213の間に配置された板状の部材であり、例えば、ロール状の媒体Mを交換する目的などに用いられる。このフィーダカバー214は、例えば、図22に示したように、Y軸方向に延在する回動軸を中心として回動可能である。
【0151】
ここでは、例えば、図23に示したように、サイドカバー111,211が一体化されている。このため、画像形成装置は、例えば、サイドカバー111,211が一体化されたサイドカバー101を備えている。ここで、サイドカバー101は、本発明の一実施形態の「第1収納部材」である。
【0152】
サイドカバー101は、上記したように、液体誘導ガイド400を含んでいる。すなわち、液体誘導ガイド400は、サイドカバー101の一部である。この液体誘導ガイド400は、トップカバー120が閉じた状態において筐体110,210の内部に収納されるように、その筐体110,210の内側に取り付けられている。また、液体誘導ガイド400は、旋回用スリット210K1から筐体110,210の内部に浸入する液体Lを誘導経路G(G3)に沿って排液口100Lまで誘導することにより、その液体Lをバッテリ60から遠ざかるように誘導する。もちろん、液体誘導ガイド400は、バッテリ60から遠ざかるように液体Lを誘導することにより、画像形成デバイス130(特に、定着部30)まで到達しないように液体Lを誘導する。なお、液体誘導ガイド400の構成に関しては、後述する(図26図29参照)。
【0153】
[トップカバー]
トップカバー120は、サイドリアカバー212,213のそれぞれに設けられている一対の旋回用スリット210K1を介して変位可能に筐体110に取り付けられている。トップカバー120の補強板122は、例えば、図24に示したように、一対の突起板122Tと、一対の旋回軸122Pと、スライダ127と、レバー128とを含んでいる。これにより、トップカバー120は、例えば、貫通口126Kの代わりに一対の突起板122Tおよび一対の旋回軸122Pを利用して旋回動作する。
【0154】
一対の突起板122Tのそれぞれは、例えば、Z軸方向において筐体110に向かうように突出する板状の部材であり、X軸方向において互いに離間されると共に互いに対向するように配置されている。一対の旋回軸122Pは、例えば、X軸方向において互いに離間されると共に互いに近づく方向に延在する突起状の部材であり、一対の突起板122Tにより支持されている。すなわち、一方の旋回軸122Pは、例えば、一方の突起板122Tにより支持されていると共に、他方の旋回軸122Pは、例えば、他方の突起板122Tにより支持されている。一対の旋回軸122Pのそれぞれは、筐体110に設けられた貫通口100Kに挿入されている。
【0155】
これにより、トップカバー120は、例えば、一対の旋回軸122Pを中心として旋回可能であるため、開閉可能である。この場合には、トップカバー120は、例えば、上記した一対の旋回軸122Pと共に、一対のサイドリアカバー212,213のそれぞれに設けられている旋回用スリット210K1を利用して旋回可能である。
【0156】
すなわち、トップカバー120が開く際には、例えば、補強板122の旋回動作に応じて、一対の突起板122Tが一対の旋回用スリット210K1を経由して一対のサイドリアバー212,213の外部に導出される。このため、補強板122が一対の旋回軸122Pを支持するために一対の突起板122Tを含んでいても、トップカバー120の開閉動作(補強板122の旋回動作)が一対の突起板122Tにより阻害されない。
【0157】
もちろん、トップカバー120が閉じる際には、例えば、補強板122の旋回動作に応じて、一対の突起板122Tが一対の旋回用スリット210K1を経由して一対のサイドリアバー212,213の内部に収納されるため、その一対の突起板122Tが筐体110,210の内部に収納される。
【0158】
スライダ127は、例えば、Y軸方向に延在しており、ヘッドホルダ125を支持している。ここでは、スライダ127は、例えば、上記したように、3個のヘッドホルダ125を支持している。このスライダ127は、例えば、3個のヘッドホルダ125を支持しながらY軸方向においてスライドすることにより、そのスライド動作を利用して各ヘッドホルダ125を可動させる。
【0159】
レバー128は、突起部128Tを有する板状の部材であり、スライダ127に連結されている。このレバー128は、例えば、一対の旋回軸122Pのうちの一方の旋回軸122Pにより支持されているため、その一方の旋回軸122Pを中心として回動可能である。レバー128に連結されているスライダ127は、例えば、そのレバー128の回動動作に応じてスライド可能である。
【0160】
具体的には、ヘッドホルダ125は、例えば、図24に示したように、一対の支持部125Uと、光源13(図9参照)を支持する回転板125Rとを含んでいる。一対の支持部125Uは、例えば、X軸方向において互いに離間されると共に互いに対向するように配置されている。回転板125Rは、一対の支持部125Uの間に配置されており、X軸方向に延在する回転軸Sを中心として回転可能となるように一対の支持部125Uにより支持されている。
【0161】
トップカバー120が閉じた状態では、例えば、図24に示したように、スライダ127がスプリング129を利用して付勢方向Hに向かって付勢されている。これにより、ヘッドホルダ125では、回転板125Rがトップカバー120の延在方向(Y軸方向)と交差する方向(Z軸方向)に延在している。
【0162】
この状態において、トップカバー120が旋回することにより、そのトップカバー120が開くと、突起部128Tが押されることに起因してレバー128が旋回軸122Pを中心として回動するため、スライダ126が付勢方向Hと反対の方向にスライドする。この場合には、図24に示したように、回転板125Rが回転軸Sを中心として回転する。すなわち、回転板125Rの一部は、回転軸Sを中心として回転方向R1に回転すると共に、回転板125Rの他の部分は、回転軸Sを中心として回転方向R2に回転する。これにより、トップカバー120が開いた状態では、図23および図25に示したように、上記したトップカバー120が閉じた状態とは異なり、回転板125Rがトップカバー120の延在方向(Y軸方向)と同様の方向に延在する。
【0163】
もちろん、トップカバー120が再び閉じると、レバー128の回動動作に応じてスライダ127が付勢方向Hにスライドするため、図24に示したように、そのトップカバー120の延在方向と交差する方向に延在するように回転板125Rが回転する。
【0164】
この場合には、トップカバー120は、例えば、サイドリアカバー212に設けられているレバー用スリット210K2を利用して旋回可能である。
【0165】
すなわち、トップカバー120が開く際には、例えば、補強板122の旋回動作に応じてレバー128がレバー用スリット210K2を経由してサイドリアバー212の外部に導出される。このため、補強板122にレバー128が取り付けられていても、トップカバー120の開閉動作(補強板122の旋回動作)がレバー128により阻害されない。
【0166】
もちろん、トップカバー120が閉じる際には、例えば、補強板122の旋回動作に応じてレバー128がレバー用スリット210K2を経由してサイドリアバー212の内部に収納される。
【0167】
<3−2.液体誘導ガイドの構成>
図26は、液体誘導ガイド400の斜視構成を表している。図27は、図26に示した液体誘導ガイド400の一部(受取板420)の斜視構成を表していると共に、図28は、図26に示した液体誘導ガイド400の他の一部(ガイド板410)の斜視構成を表している。図29は、図26に示した液体誘導ガイド400の斜視構成を拡大している。
【0168】
ただし、図26および図29のそれぞれでは、サイドカバー101(サイドカバー111,211)およびサイドリアカバー212も併せて示していると共に、図29では、そのサイドカバー101の一部を切り欠いた状態を示している。図28では、サイドリアカバー212も併せて示しており、図26とはサイドリアカバー212を見る方向を変更している。
【0169】
液体誘導ガイド400は、例えば、図26図29に示したように、ガイド板410および受取板420を含んでいる。ここで、ガイド板410は、本発明の一実施形態の「第1液体誘導部材」である。受取板420は、本発明の一実施形態の「第2液体誘導部材」である。
【0170】
[ガイド板]
ガイド板410は、サイドリアカバー212に設けられている旋回用スリット210K1から筐体110,210の内部に浸入する液体Lを排液口100Lに向かって誘導する板状の部材であり、例えば、そのサイドリアカバー212の内側に取り付けられている。
【0171】
このガイド板410は、例えば、旋回用スリット210K1から排液口100Lに向かって延在しており、より具体的には、旋回用スリット210K1の下方から排液口100Lに向かって延在している。旋回用スリット210K1から筐体110,210の内部に浸入した液体Lをガイド板410が受け取りやすくなるからである。ただし、ガイド板410は、例えば、サイドカバー101から離間されている。
【0172】
この場合には、ガイド板410は、旋回用スリット210K1の下方からだけでなく、旋回用スリット210K1およびレバー用スリット210K2のそれぞれの下方から排液口100Lに向かって延在していることが好ましい。レバー用スリット210K2から筐体110,210の内部に浸入した液体Lもガイド板410が受け取りやすくなるからである。
【0173】
また、ガイド板410は、排液口100Lに近づくにしたがって次第に低くなるように傾斜していることが好ましい。ガイド板410の傾斜を利用して排液口100Lまで液体Lを誘導しやすくするためである。
【0174】
具体的には、サイドリアカバー212は、例えば、図28に示したように、カバー本体212Cと、2個の壁部212W1,212W2とを含んでいる。
【0175】
カバー本体212Cは、例えば、筐体210に設けられた開口部(サイドリアカバー212の取り付けスペース)を遮蔽する略箱状の部材である。壁部212W1は、例えば、YZ面に沿った板状の部材であり、旋回用スリット210K1およびレバー用スリット210K2は、例えば、壁部212W1に設けられている。壁部212W2は、例えば、XZ面に沿った板状の部材であり、壁部212W1に連結されている。壁部212W1,212W2は、例えば、その壁部212W1,212W2により規定される角度が略直角となるように配置されている。
【0176】
この場合において、ガイド板410は、例えば、図28に示したように、誘導板411および側壁板412を含んでいる。
【0177】
誘導板411は、例えば、壁部212W1,212W2のそれぞれに隣接されながらY軸方向、すなわち排液口100Lに向かう方向に延在する板状の部材であり、その排液口100Lに向けて液体Lを誘導する。この誘導板411は、排液口100Lに近づくにしたがって次第に低くなるように傾斜している。
【0178】
側壁板412は、例えば、誘導板411に沿うように立設された板状の部材であり、誘導板411を介して壁部212W1に対向するように配置されている。この側壁板412は、誘導板411を利用して排液口100Lに向かって液体Lが流れる際に、その液体Lが誘導板411から脱落することを防止する障壁としての役割を果たす。
【0179】
[受取板]
受取板420は、ガイド板410により排液口100Lに向けて誘導された液体Lを受け取ることにより、その液体Lを排液口100Lに供給する板状の部材であり、サイドカバー101(110)の内側に取り付けられている。
【0180】
この受取板420は、例えば、排液口100Lに配置されており、より具体的には排液口100Lの下方に配置されている。受取板420により受け取られた液体Lを排液口100Lに供給しやすくするためである。
【0181】
また、受取板420は、ガイド板410と部分的にオーバーラップしている。ガイド板410により誘導された液体Lが受取板420により受け取られやすくなるからである。ただし、受取板420は、例えば、ガイド板410に接触していてもよいし、そのガイド板410と接触していなくてもよい。
【0182】
具体的には、受取板420は、例えば、図27に示したように、受け板421および側壁板422を含んでいる。
【0183】
受け板421は、例えば、ガイド板410から液体Lを受け取る板状の部材であり、排液口100Lから遠ざかる方向に延在している。この受け板421は、例えば、液体Lを保持する保持面421Mを有しており、その保持面421Mの位置は、例えば、排液口100Lの下端の位置にほぼ一致している。受取板420により受け取られた液体Lが排液口100Lから排出されやすくなると共に、その液体Lが受取板420に残存しにくくなるからである。ただし、保持面420の位置は、例えば、排液口100Lの下端の位置から多少ずれていてもよい。
【0184】
側壁板422は、例えば、受け板421に沿うように立設された板状の部材であり、サイドカバー101に隣接されている箇所を除いて受け板421を囲むように設けられている。この側壁板422は、受取板420により液体Lが受け取られた際に、その液体Lが受取板420から脱落することを防止する障壁としての役割を果たす。
【0185】
<3−3.動作>
第3実施形態の画像形成装置は、第2実施形態の画像形成装置と同様の手順により、媒体Mに画像を形成する。また、第3実施形態の画像形成装置は、例えば、以下で説明するように、液体Lの排液動作を行う。
【0186】
トップカバー120の変位動作(旋回動作を利用した開閉動作)を可能にするために設けられた旋回用スリット210K1から筐体110,210の内部に液体Lが浸入すると、図29に示したように、液体誘導ガイド400が誘導経路G3に沿って排液口100Lまで液体Lを誘導する。
【0187】
詳細には、旋回用スリット210K1から筐体110,210の内部に液体Lが浸入すると、その液体Lがガイド板410により回収される。これにより、液体Lは、ガイド板410に沿うように流れたのち、受取板420により受け取られる。液体Lが受取板420により受け取られると、その液体Lが排液口100Lに供給される。
【0188】
これにより、液体誘導ガイド400により旋回用スリット210K1から排液口100Lまで液体Lが誘導されるため、その液体Lが排液口100Lから筐体110,210の外部に排出される。
【0189】
この場合には、旋回用スリット210K1から筐体110,210の内部に浸入する液体Lの排出原理と同様の原理により、レバー用スリット210K2から筐体110,210の内部に浸入する液体Lも液体誘導ガイド400により排液口100Lまで誘導されるため、その液体Lも排液口100Lから排出される。
【0190】
<3−4.作用および効果>
本実施形態の画像形成装置によれば、旋回用スリット210K1および排液口100Lを有する筐体110,210(サイドカバー101およびサイドリアカバー212)の内部に画像形成デバイス130と共にバッテリ60が収納されており、その筐体110,210に旋回用スリット210K1を介して変位可能にトップカバー120が取り付けられている。この筐体110,210は、液体誘導ガイド400を含んでおり、その液体誘導ガイド400は、旋回用スリット210K1から筐体110,210の内部に浸入する液体Lを誘導経路G(G3)に沿って排液口100Lに誘導する。
【0191】
この場合には、図20図29に示したように、トップカバー120を開閉可能にするためにサイドリアカバー212に旋回用スリット210K1が設けられていることに起因して、その旋回用スリット210K1から筐体110,210の内部に液体Lが浸入しても、その液体Lが液体誘導ガイド400により排液口100Lに誘導されるため、バッテリ60まで到達しないように液体Lが誘導される。これにより、トップカバー120を開閉可能にするために旋回用スリット210K1を利用しても、液体Lがバッテリ60に到達しにくくなるため、その液体Lとの接触に起因するバッテリ60の不具合が発生しにくくなる。
【0192】
よって、バッテリ60を利用した画像形成デバイス130による画像の形成動作がより安定化するため、画像形成装置の使用時の利便性を向上させることができる。
【0193】
この場合には、液体Lがバッテリ60に到達しにくくなるだけでなく、その液体Lが画像形成デバイス130まで到達しにくくなる。よって、液体Lとの接触に起因する画像形成デバイス130の不具合がより発生しにくくなるため、画像形成装置の使用時の利便性をより向上させることができる。
【0194】
特に、液体誘導ガイド400がガイド板410および受取板420を含んでおり、そのガイド板410および受取板420により液体Lが排液口100Lまで誘導されれば、その排液口100Lまで液体Lが誘導されやすくなるため、より高い効果を得ることができる。
【0195】
なお、ここでは、本実施形態の画像形成装置の構成が第2実施形態の画像形成装置に適用される場合に関して説明したが、本実施形態の画像形成装置の構成は第1実施形態の画像形成装置に適用されてもよい。
【0196】
<4.変形例>
上記した画像形成装置の構成は、適宜、変更可能である。
【0197】
[変形例1]
具体的には、図15では、液体誘導ケース140が誘導口143Gを有している。しかしながら、例えば、図15に対応する図30に示したように、液体誘導ケース140が誘導口143Gを有していなくてもよい。この場合には、もちろん、液体誘導ケース140が誘導口143Gを有していないため、トップカバー120が流路128および排液口120Lを有していなくてもよい。
【0198】
この場合においても、トップカバー120が閉じた状態において筐体110の内部に液体Lが浸入すると、その液体Lが液体誘導ケース140により画像形成デバイス130から遠ざかるように誘導される。よって、図15に示した場合と同様の効果を得ることができる。
【0199】
ただし、液体誘導ケース140に液体Lが収容されたのち、トップカバー120が開いた状態においても画像形成デバイス130の不具合が発生することを防止するためには、図15に示したように、その液体誘導ケース140が誘導口143Gを有していることが好ましい。すなわち、液体誘導ケース140が誘導口143Gから流路128を経由して排液口120Lまで液体Lを誘導可能であることが好ましい。
【0200】
[変形例2]
図15では、液体誘導ケース140が屋根部143を含んでいる。しかしながら、液体誘導ケース140がカバー本体121および補強板122に密接されているため、屋根部143がなくても液体誘導ケース140から液体Lがこぼれにくい場合には、例えば、図10に示したように、液体誘導ケース140が屋根部143を含んでいなくてもよい。
【0201】
この場合においても、液体誘導ケース140から流路128に液体Lが誘導されるため、図15に示した場合と同様の効果を得ることができる。
【0202】
[変形例3,4]
図19では、補強板122に対向する側においてカバー本体121に溝121Tが設けられることにより、その溝121Tを利用して流路128が形成されている。しかしながら、例えば、図19に対応する図31に示したように、カバー本体121に対向する側において補強板122に溝122Tが設けられることにより、その溝122Tを利用して流路128が形成されてもよい。また、例えば、図19に対応する図32に示したように、カバー本体121に溝121Tが設けられると共に補強板122に溝122Tが設けられることにより、それらの溝121T,122Tを利用して流路128が形成されてもよい。
【0203】
これらの場合においても、液体Lが液体誘導ケース140により流路128を経由して排液口120Lまで誘導されるため、図19に示した場合と同様の効果を得ることができる。
【0204】
[変形例5]
図12に対応する図33および図34に示したように、液体誘導ケース140(誘導路140Y)に開閉シャッタ500を設けてもよい。ただし、図33では、トップカバー120が閉じた状態を示していると共に、図34では、トップカバー120が開いた状態を示している。ここで、開閉シャッタ500は、本発明の一実施形態の「開閉部材」である。
【0205】
開閉シャッタ500は、液体誘導ケース140から内壁面110Wに向けて液体Lが排出される際に、その液体Lの排出の可否を切り替える。具体的には、開閉シャッタ500は、トップカバー120が閉じた状態において誘導路140Yを開放することにより、液体Lの排出を可能にすると共に、トップカバー120が開いた状態において誘導路140Yを遮蔽することにより、液体Lの排出を不能にする。
【0206】
この開閉シャッタ500120は、例えば、図33および図34に示したように、付勢板510および開閉板520を含んでいる。
【0207】
付勢板510は、例えば、XY面に沿った板状の部材であり、液体誘導ケース140の下面に対向するように配置されている。液体誘導ケース140と付勢板510との間には、例えば、Z軸方向に伸縮可能であるスプリングなどの付勢部品600が配置されているため、その付勢板510は、例えば、付勢部品600により液体誘導ケース510から離れる方向(下方)に付勢されている。この付勢部品600は、例えば、後述するように、トップカバー120の開閉に応じて収縮する。
【0208】
開閉板520は、例えば、YZ面に沿った板状の部材であり、誘導路140Yに対向するように配置されていると共に付勢板510に連結されている。この開閉板520は、例えば、液体Lを通過させるための開口520Kを有している。図33および図34では、開閉シャッタ500のうち、開口520K以外の部分に網掛けを施している。
【0209】
ただし、開閉シャッタ500は、例えば、さらに、XZ面に沿った一対の側面板を含んでいてもよい。
【0210】
この開閉シャッタ500が設けられた液体誘導ケース140を備えた画像形成装置では、以下で説明するように、液体Lの排出の可否が切り替えられる。
【0211】
トップカバー120が閉じた状態では、開閉シャッタ500(付勢板510)が筐体110に当接するため、その筐体110により付勢板510が付勢部品600を介して液体誘導ケース140に向けて押される。この場合には、図33に示したように、付勢部品600が収縮することにより、開閉シャッタ500が上方に向かって移動するため、開口520Kが誘導路140Yに重なる。これにより、誘導路140Yから開口520Kを経由して液体Lが排出される。
【0212】
これに対して、トップカバー120が開いた状態では、開閉シャッタ500(付勢板510が)が筐体110から離脱するため、その筐体110により付勢板510が付勢部品600を介して液体誘導ケース140に向けて押されなくなる。この場合には、図34に示したように、付勢部品600が伸張することにより、その付勢部品600の復元力(付勢力)を利用して開閉シャッタ500が下方に向かって移動するため、開口520Kが誘導路140Yからずれる。これにより、誘導路140Yが開閉シャッタ500により遮蔽されるため、誘導路140Yから開口520Kを経由して液体Lが排出されなくなる。ただし、図33では、開閉シャッタ500の構成を見やすくするために、液体誘導ケース140から開閉板520を僅かに離間させた状態を示している。この開閉板520は、例えば、液体誘導ケース140に隣接されていてもよい。
【0213】
この場合には、トップカバー120の開閉動作に応じて液体Lの排出の可否が切り替えられる。すなわち、トップカバー120が閉じた状態では、液体のLの排出が自動的に可能になると共に、トップカバー120が開いた状態では、液体Lの排出が自動的に不能になる。よって、トップカバー120が閉じた状態では、上記したように、液体Lとの接触に起因する画像形成デバイス130の不具合が発生しにくくなる。しかも、トップカバー120が開いた状態では、誘導路140Yから液体Lがこぼれにくくなることにより、意図せずに誘導路140Yからこぼれた液体Lとの接触に起因する画像形成デバイス130の不具合も発生しにくくなるため、より高い効果を得ることができる。
【0214】
[変形例6]
例えば、図1および図20に対応する図35に示したように、画像形成装置がトレー300の内部に配置されてもよい。ただし、図35では、例えば、図1に示した画像形成装置がトレー300の内部に配置された状態を示している。このトレー300は、例えば、上方に開口部を有する箱状の部材である。この場合には、画像形成装置(排液口100Lなど)から排出された液体Lがトレー300により回収されるため、その液体Lが画像形成装置の周辺まで流れにくくなる。よって、画像形成装置から排出された液体Lにより意図せずに周辺物が濡れにくくなるため、より高い効果を得ることができる。なお、周辺物の種類は、特に限定されないが、例えば、画像形成装置が載置されるテーブルおよびそのテーブルの上に置かれた画像形成装置以外の物などである。
【0215】
[変形例7]
図20図29では、サイドリアカバー212に設けられている旋回用スリット210K1に対応する箇所に液体誘導ガイド400を設けた。しかしながら、さらに、サイドリアカバー213に設けられている旋回用スリット210K1に対応する箇所に液体誘導ガイド400を設けてもよい。この場合には、バッテリ60まで液体Lがより到達しにくくなるため、より高い効果を得ることができる。
【0216】
[変形例8]
この他、液体Lを排出するために画像形成装置が備えている一連の構成要素の数は、任意に変更可能である。具体的には、例えば、誘導口142Gの数は、1個に限らず、2個以上でもよい。この場合においても、同様の効果を得ることができる。特に、誘導口142Gの数が2個以上になると、液体誘導ケース140が画像デバイス130から遠ざかるように液体Lを誘導しやすくなるため、より高い効果を得ることができる。なお、ここで説明したことは、誘導口143G、排液口100Lおよび流路128などのそれぞれの数に関しても同様である。
【0217】
以上、いくつかの実施形態を挙げながら本発明に関して説明したが、その本発明の態様は各実施形態において説明された態様に限定されないため、その本発明の態様に関しては種々の変形が可能である。具体的には、例えば、本発明の一実施形態の画像形成装置は、給紙ユニットを備えていなくてもよい。この場合には、画像形成装置があらかじめ所定の寸法となるように切断された複数の媒体を搭載していればよい。また、例えば、本発明の一実施形態の画像形成装置は、プリンタに限られず、複写機、ファクシミリおよび複合機などでもよい。
【符号の説明】
【0218】
10…現像ユニット、20…転写ユニット、30…定着ユニット、60…バッテリ、100…画像形成ユニット、200…給紙ユニット、110,210…筐体、100L…排液口、101,111,211…サイドカバー、212…サイドリアカバー、110W,142…内壁面、120…トップカバー、121…カバー本体、123…開閉レバー、124…操作パネル、127…シャフト、128…流路、130…画像形成デバイス、140…液体誘導ケース、140X…収容器、140Y…誘導路、141…底部、141M…底面、142…壁部、142G,143G…誘導口、143…屋根部、210K1…旋回用スリット、400…液体誘導ガイド、410…ガイド板、420…受取板、500…開閉シャッタ、J…旋回軸、L…液体、M…媒体、T…トナー。
図1
図2
図3
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