(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
長さ方向において相対する第1の端面および第2の端面と、前記長さ方向と直交する幅方向において相対する第1の側面および第2の側面と、前記長さ方向および前記幅方向と直交する厚み方向において相対する第1の主面および第2の主面とを有するセラミック素体と、
少なくとも前記セラミック素体の前記第1の端面の一部および前記第2の端面の一部に設けられている外部電極と、
を備え、
前記セラミック素体は、チタン酸バリウムまたはジルコン酸カルシウムを主成分とする誘電体セラミックを含む複数の誘電体層と、複数の第1の内部電極および複数の第2の内部電極とを備え、
前記外部電極は、
少なくとも前記セラミック素体の前記第1の端面の一部および前記第2の端面の一部に設けられた下地電極層と、
前記下地電極層上、および、前記下地電極層とは異なる領域上に設けられためっき層と、
を備え、
前記セラミック素体の前記第1の主面、前記第2の主面、前記第1の側面、および、前記第2の側面のうちの少なくとも1つの面の一部は半導体領域であり、
前記めっき層は、前記下地電極層と前記半導体領域とを覆っていることを特徴とするセラミック電子部品。
前記下地電極層は、前記セラミック素体の前記第1の端面および前記第2の端面から、前記第1の主面、前記第2の主面、前記第1の側面、および、前記第2の側面のうちの少なくとも1つの面に回り込んで設けられ、
前記めっき層は、少なくとも前記下地電極層を覆っており、
前記セラミック素体の前記第1の端面または前記第2の端面を基準としたときの、前記めっき層の前記長さ方向における回り込み量に対する前記下地電極層の前記長さ方向における回り込み量の割合は、0.5以下であることを特徴とする請求項1に記載のセラミック電子部品。
前記めっき層は、Niめっき層と、前記Niめっき層の上に設けられたSnめっき層と、前記Niめっき層の下に設けられた補助めっき層とを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のセラミック電子部品。
長さ方向において相対する第1の端面および第2の端面と、前記長さ方向と直交する幅方向において相対する第1の側面および第2の側面と、前記長さ方向および前記幅方向と直交する厚み方向において相対する第1の主面および第2の主面とを有し、チタン酸バリウムまたはジルコン酸カルシウムを主成分とする誘電体セラミックを含む複数の誘電体層と、複数の第1の内部電極および複数の第2の内部電極とを備えるセラミック素体を用意する工程と、
少なくとも前記セラミック素体の前記第1の端面の一部および前記第2の端面の一部に下地電極層を形成する工程と、
前記下地電極層上、および、前記下地電極層とは異なる領域上にめっき層を形成する工程と、
を備え、
前記めっき層を形成する工程では、前記セラミック素体の前記第1の主面、前記第2の主面、前記第1の側面、および、前記第2の側面のうちの少なくとも1つの面の一部を半導体化し、前記下地電極層および前記半導体化した領域の上に前記めっき層を形成することを特徴とするセラミック電子部品の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の実施形態を示して、本発明の特徴とするところを具体的に説明する。
【0023】
以下では、セラミック電子部品の一例として、積層セラミックコンデンサを挙げて説明するが、セラミック電子部品が積層セラミックコンデンサに限定されることはない。
【0024】
<第1の
参考実施形態>
図1は、第1の
参考実施形態における積層セラミックコンデンサ10を模式的に示す斜視図である。
図2は、
図1に示す積層セラミックコンデンサ10のII−II線に沿った模式的断面図である。
図3は、
図1に示す積層セラミックコンデンサ10のIII−III線に沿った模式的断面図である。
【0025】
図1〜
図3に示すように、積層セラミックコンデンサ10は、全体として直方体形状を有し、セラミック素体11と、一対の外部電極14(14a,14b)とを有している。一対の外部電極14(14a,14b)は、
図1に示すように、対向するように配置されている。
【0026】
ここでは、一対の外部電極14が対向する方向を積層セラミックコンデンサ10の長さ方向Lと定義し、長さ方向Lと直交する方向を幅方向Wと定義し、長さ方向Lおよび幅方向Wのいずれの方向にも直交する方向を厚み方向Tと定義する。
【0027】
セラミック素体11は、長さ方向Lに相対する第1の端面15aおよび第2の端面15bと、厚み方向Tに相対する第1の主面16aおよび第2の主面16bと、幅方向Wに相対する第1の側面17aおよび第2の側面17bとを有する。
【0028】
セラミック素体11は、角部および稜線部に丸みを帯びていることが好ましい。ここで、角部は、セラミック素体11の3面が交わる部分であり、稜線部は、セラミック素体11の2面が交わる部分である。
【0029】
図2および
図3に示すように、セラミック素体11は、複数の誘電体層12と、複数の第1の内部電極13aおよび複数の第2の内部電極13bとを備える。具体的には、セラミック素体11は、第1の内部電極13aと第2の内部電極13bとが厚み方向Tにおいて、誘電体層12を介して交互に複数積層された構造を有する。
【0030】
なお、
図2および
図3では、第1の内部電極13aおよび第2の内部電極13bがそれぞれ5枚ずつ設けられた例を示しているが、第1の内部電極13aおよび第2の内部電極13bの枚数が5枚に限定されることはない。
【0031】
誘電体層12は、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO
3)やジルコン酸カルシウム(CaZrO
3)などを主成分とする誘電体セラミックを含む。
【0032】
第1の内部電極13aは、セラミック素体11の第1の端面15aに引き出されている。また、第2の内部電極13bは、セラミック素体11の第2の端面15bに引き出されている。
【0033】
なお、セラミック素体11は、第1の内部電極13aおよび第2の内部電極13bの他に、表面に露出しない内部電極を備えていてもよい。
【0034】
第1の内部電極13aは、第2の内部電極13bと対向する部分である対向電極部と、対向電極部からセラミック素体11の第1の端面15aまで引き出された部分である引出電極部とを備えている。また、第2の内部電極13bは、第1の内部電極13aと対向する部分である対向電極部と、対向電極部からセラミック素体11の第2の端面15bまで引き出された部分である引出電極部とを備えている。
【0035】
第1の内部電極13aの対向電極部と、第2の内部電極13bの対向電極部とが誘電体層12を介して対向することにより容量が形成され、これにより、コンデンサとして機能する。
【0036】
第1の内部電極13aおよび第2の内部電極13bは、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ti、CrおよびAuなどの金属、またはそれらの金属を主成分とする合金などを含有している。第1の内部電極13aおよび第2の内部電極13bは、共材として、誘電体層12に含まれるセラミックと同一組成系の誘電体粒子を含んでいてもよい。
【0037】
第1の外部電極14aは、少なくともセラミック素体11の第1の端面15aの一部に設けられている。本実施形態では、第1の外部電極14aは、セラミック素体11の第1の端面15aの全体に形成されているとともに、第1の端面15aから、第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および第2の側面17bに回り込むように形成されている。第1の外部電極14aは、第1の内部電極13aと電気的に接続されている。
【0038】
第2の外部電極14bは、少なくともセラミック素体11の第2の端面15bの一部に設けられている。本実施形態では、第2の外部電極14bは、セラミック素体11の第2の端面15bの全体に形成されているとともに、第2の端面15bから、第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および第2の側面17bに回り込むように形成されている。第2の外部電極14bは、第2の内部電極13bと電気的に接続されている。
【0039】
第1の外部電極14aおよび第2の外部電極14bはそれぞれ、下地電極層141と、金属含有層142と、第1のめっき層143と、第2のめっき層144とを備える。第1のめっき層143と第2のめっき層144が本発明の「めっき層」を構成する。ここでは、第1の外部電極14a側の下地電極層141、金属含有層142、第1のめっき層143、および、第2のめっき層144にはそれぞれ符号aを付し、第2の外部電極14b側の下地電極層141、金属含有層142、第1のめっき層143、および、第2のめっき層144にはそれぞれ符号bを付して説明する。
【0040】
第1の外部電極14aは、下地電極層141aと、金属含有層142aと、第1のめっき層143aと、第2のめっき層144aとを備える。また、第2の外部電極14bは、下地電極層141bと、金属含有層142bと、第1のめっき層143bと、第2のめっき層144bとを備える。
【0041】
下地電極層141aは、少なくともセラミック素体11の第1の端面15aの一部に設けられている。本実施形態では、下地電極層141aは、セラミック素体11の第1の端面15aの全体に設けられている。
【0042】
下地電極層141bは、少なくともセラミック素体11の第2の端面15bの一部に設けられている。本実施形態では、下地電極層141bは、セラミック素体11の第2の端面15bの全体に設けられている。
【0043】
下地電極層141a、141bは、Cuとガラスとを含む。下地電極層141a、141bは、1層であってもよいし、複数層であってもよい。ただし、下地電極層141a、141bに含まれる金属がCuに限定されることはなく、Ni、Ag、Pd、またはAuなどの金属や、AgとPdの合金などであってもよい。下地電極層141a、141bの厚さは、例えば10μmである。
【0044】
金属含有層142aは、セラミック素体11の表面上であって、第1のめっき層143aが設けられる領域に設けられている。本実施形態では、
図2および
図3に示すように、金属含有層142aは、セラミック素体11の第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および、第2の側面17bのそれぞれの一部に設けられている。
【0045】
同様に、金属含有層142bは、セラミック素体11の表面上であって、第1のめっき層143bが設けられる領域に設けられている。本実施形態では、
図2および
図3に示すように、金属含有層142bは、セラミック素体11の第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および、第2の側面17bのそれぞれの一部に設けられている。
【0046】
なお、金属含有層142bは、
図4に示すように、下地電極層141bをさらに覆うように設けられていてもよい。また、金属含有層142bは、
図5に示すように、下地電極層141bの内側にも設けられていてもよい。図示は省略するが、金属含有層142aも同様に、下地電極層141aをさらに覆うように設けられていてもよいし、下地電極層141aの内側にも設けられていてもよい。
【0047】
金属含有層142a、142bは、例えば、Pd、Ti、Cu、Niなどの金属や、NiCr、NiCuなどの合金を含む。金属含有層142a、142bは、少なくとも下地電極層141a、141bよりも厚みが薄く、その厚さは、例えば0.5μmである。
【0048】
ここで、下地電極層141a、141bと金属含有層142a、142bとが同じ金属からなる場合でも、含まれる金属粒子の粒径が異なるので、両者を区別することができる。すなわち、両者が同じ金属からなる場合、下地電極層141a、141bに含まれる金属粒子の粒径は、金属含有層142a、142bに含まれる金属粒子の粒径よりも大きい。
【0049】
第1のめっき層143aは、下地電極層141a上、および、下地電極層141aとは異なる領域上に設けられている。本実施形態では、第1のめっき層143aは、下地電極層141aの上と金属含有層142aの上とに設けられている。すなわち、第1のめっき層143aは、第1の端面15a側から、第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および第2の側面17b側に回り込むように設けられている。
【0050】
第1のめっき層143bは、下地電極層141b上、および、下地電極層141bとは異なる領域上に設けられている。本実施形態では、第1のめっき層143bは、下地電極層141bの上と金属含有層142bの上とに設けられている。すなわち、第1のめっき層143bは、第2の端面15b側から、第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および第2の側面17b側に回り込むように設けられている。
【0051】
第1のめっき層143a、143bは、例えばNiを含むNiめっき層である。ただし、第1のめっき層143a、143bがNiめっき層に限定されることはない。第1のめっき層143a、143bの厚さは、例えば3μmである。
【0052】
第2のめっき層144aは、第1のめっき層143aの上に設けられている。また、第2のめっき層144bは、第1のめっき層143bの上に設けられている。
【0053】
第2のめっき層144a、144bは、例えばSnを含むSnめっき層である。ただし、第2のめっき層144a、144bがSnめっき層に限定されることはない。第2のめっき層144a、144bの厚さは、例えば3μmである。
【0054】
第2のめっき層144a、144bをSnめっき層とすることにより、はんだ濡れ性が向上して、積層セラミックコンデンサ10の実装性が向上する。また、第1のめっき層143a、143bを
Niめっき層とすることにより、はんだ実装時の下地電極層141a、141bのはんだ喰われを抑制することができる。
【0055】
なお、上述した説明では、めっき層が第1のめっき層143と第2のめっき層144の2層からなるものとして説明したが、めっき層は単層でもよいし、3層以上の複数層でもよい。めっき層に含まれる金属として、例えば、Cu、Ni、Sn、Au、Ag、および、Pdからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
【0056】
上述した第1の
参考実施形態における積層セラミックコンデンサ10によれば、外部電極14を構成するめっき層が下地電極層上と、下地電極層とは異なる領域上とに設けられる構成であるので、主面および側面上において外部電極14の厚みを薄くすることができる。すなわち、下地電極層は、外部電極が設けられる領域のうちの一部の領域に設けられているので、外部電極の全領域に下地電極層が設けられた構成と比べて、外部電極の厚みを部分的に薄くすることができる。これにより、積層セラミックコンデンサ10を小型化することができる。
【0057】
特に、第1の
参考実施形態における積層セラミックコンデンサ10では、下地電極層141がセラミック素体11の第1の端面15aおよび第2の端面15bにのみ設けられている。すなわち、セラミック素体11の第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および、第2の側面17bには、下地電極層141が設けられていないので、積層セラミックコンデンサ10をより小型化することができる。
【0058】
また、第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および、第2の側面17bに下地電極層141が設けられていないので、例えば、焼き付けによって下地電極層141を形成する場合に発生する引張応力も発生しない。これにより、積層セラミックコンデンサ10のリフロー時や、積層セラミックコンデンサ10が実装されている基板がたわんだ際に、下地電極層141が第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および、第2の側面17bに回り込んで形成されている場合の回り込み先端部からのクラックの発生が生じることもない。
【0059】
(第1の
参考実施形態の変形例)
上述した積層セラミックコンデンサ10では、下地電極層141aは、セラミック素体11の第1の端面15aにのみ設けられているが、第1の端面15aから、第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および、第2の側面17bに回り込むように設けられていてもよい。同様に、下地電極層141bは、第2の端面15bから、第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および、第2の側面17bに回り込むように設けられていてもよい。
【0060】
図6は、第1の
参考実施形態の変形例における積層セラミックコンデンサ10Aの模式的断面図である。下地電極層141aは、第1の端面15aから、第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および、第2の側面17bに回り込むように設けられている。また、下地電極層141bは、第2の端面15bから、第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および、第2の側面17bに回り込むように設けられている。
【0061】
その場合、セラミック素体11の第1の端面15aまたは第2の端面15bを基準としたときの、めっき層の長さ方向Lにおける回り込み量L1に対する下地電極層141a、141bの長さ方向Lにおける回り込み量L2の割合は、0.5以下であり、より好ましくは0.25以下である。めっき層の回り込み量L1は、第1のめっき層143a、143bの回り込み量、および、第2のめっき層144a、144bの回り込み量のうちの大きい方とする。
【0062】
また、下地電極層141a、141bの回り込み量L
2は、100μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。
【0063】
上記のように、下地電極層141a、141bがセラミック素体11の第1の端面15aおよび第2の端面15bから、第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および、第2の側面17bに回り込むように設けられている構成であっても、第1の端面15aまたは第2の端面15bを基準としたときの、めっき層の長さ方向Lにおける回り込み量L1に対する下地電極層141a、141bの長さ方向Lにおける回り込み量L2の割合を0.5以下とすることにより、下地電極層141a、141bが設けられる領域を小さくして、積層セラミックコンデンサ10
Aを小型化することができる。
【0064】
(積層セラミックコンデンサの製造方法)
以下では、積層セラミックコンデンサ10の製造方法について説明する。
【0065】
まず初めに、長さ方向において相対する第1の端面および第2の端面と、長さ方向と直交する幅方向において相対する第1の側面および第2の側面と、長さ方向および幅方向と直交する厚み方向において相対する第1の主面および第2の主面とを有するセラミック素体を用意する。セラミック素体は、第1の内部電極と第2の内部電極とが誘電体層を介して交互に複数積層された構造を有し、既知の方法により作製することができる。
【0066】
続いて、少なくともセラミック素体の第1の端面の一部および第2の端面の一部に下地電極層を形成する。
【0067】
なお、下地電極層を形成する前に、セラミック素体に対してバレル研磨等を行うことにより、第1の内部電極を第1の端面に露出させるとともに、第2の内部電極を第2の端面に露出させることが好ましい。第1の内部電極および第2の内部電極を端面に露出させることにより、外部電極との電気的接続性の確保が容易となる。
【0068】
下地電極層は、例えばディップ法や、スクリーン印刷などの各種印刷法により、厚膜電極として形成することができる。その場合、第1の端面および第2の端面に導電性ペーストを塗工した後、導電性ペーストを焼き付ける。導電性ペーストは、例えばCuなどの金属粒子と、ガラスと、有機溶剤とを含む。ディップ法により行う場合、ディップ時に導電性ペーストの回り込みを抑制するために、導電性ペーストの深さを浅くすることが好ましい。
【0069】
また、下地電極層は、セラミック素体の第1の端面および第2の端面に直接めっき処理を施すことにより形成することもできる。めっきは、例えばCuめっきである。めっき処理は、電解めっきにより行う。
【0070】
また、下地電極層は、セラミック素体の第1の端面および第2の端面に導電性シートを貼り付けることによって形成することもできる。導電性シートは、例えばCuからなるシートである。
【0071】
続いて、セラミック素体の第1の主面、第2の主面、第1の側面、および、第2の側面のうちの少なくとも1つの面の一部に、Pd、Ti、Cu、Ni、NiCr、および、NiCuからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む金属含有層を形成する。金属含有層は、例えばスパッタリングにより形成することができる。また、Pdなどの金属を含む金属含有液にセラミック素体を浸漬することによって、金属含有層を形成してもよい。なお、上述したスパッタリングや、金属含有液への浸漬により金属含有層を形成する場合には、所望の領域に金属含有層を形成するために、マスキング等を行うことが好ましい。
【0072】
なお、金属含有層は、連続的に形成されておらず、点在するように形成されていてもよい。
【0073】
また、金属含有層を、低粘度のペーストや低固形分率のペーストを用いて形成してもよい。そのようなペーストとして、例えば、導電性ポリマー、Snコロイド、Pdコロイドや、カーボンブラックを含むペーストなどを用いることができる。ペーストの塗工は、例えばディップ法により行うことができる。
【0074】
続いて、下地電極層上、および、下地電極層とは異なる領域上にめっき層を形成する。ここでは、少なくとも下地電極層上および金属含有層上にめっき層を形成する。
【0075】
めっき層は、単層でもよいし、2層以上の複数層でもよい。めっき層の形成方法に特に制約はなく、例えば電解めっきにより形成してもよいし、無電解めっきにより形成してもよい。
【0076】
2層構造のめっき層を形成する場合、下地電極層上および金属含有層上に第1のめっき層を形成し、第1のめっき層上に第2のめっき層を形成する。その場合、第1のめっき層は、例えばNiめっき層とし、第2のめっき層は、例えばSnめっき層とすることができる。
【0077】
<第
1の実施形態>
図7は、第
1の実施形態における積層セラミックコンデンサ10Bの模式的断面図である。第
1の実施形態における積層セラミックコンデンサ10Bは、金属含有層142a、142bの代わりに、セラミック素体11の表面に半導体領域70a、70bを有する点で、第1の
参考実施形態における積層セラミックコンデンサ10と異なる。半導体領域70a、70bは、セラミック素体11の第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および、第2の側面17bのうちの少なくとも1つの面の一部に設けられる。
【0078】
半導体領域70aは、少なくともセラミック素体11の表面上の下地電極層141aが設けられていない領域であって、かつ、第1のめっき層143aが設けられる領域に設けられている。本実施形態では、半導体領域70aは、セラミック素体11の第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および、第2の側面17bのそれぞれの一部に設けられている。
【0079】
また、半導体領域70bは、少なくともセラミック素体11の表面上の下地電極層141
bが設けられていない領域であって、かつ、第1のめっき層143bが設けられる領域に設けられている。本実施形態では、半導体領域70bは、セラミック素体11の第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および、第2の側面17bのそれぞれの一部に設けられている。
【0080】
半導体領域70a、70bは、例えば、セラミック素体11の表面の所定領域にレーザを照射することにより、絶縁材料からなるセラミック素体11の表面を半導体化させることによって形成する。
【0081】
本実施形態では、第1のめっき層143aは、下地電極層141aの上と半導体領域70aの上とに設けられている。また、第1のめっき層143bは、下地電極層141bの上と半導体領域70bの上とに設けられている。
【0082】
第
1の実施形態における積層セラミックコンデンサ10Bの製造方法は、第1の
参考実施形態における積層セラミックコンデンサ10の製造方法と一部の製造工程が異なる。すなわち、第1の
参考実施形態における積層セラミックコンデンサ10を製造する工程のうち、金属含有層を形成して、下地電極層上および金属含有層上にめっき層を形成する工程の代わりに、セラミック素体11の第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および、第2の側面17bのうちの少なくとも1つの面の一部を半導体化し、下地電極層および半導体化した領域の上にめっき層を形成する工程が含まれる。
【0083】
第
1の実施形態における積層セラミックコンデンサ10Bによれば、セラミック素体11の表面に形成された半導体領域70a、70bの上に第1のめっき層143a、143bを設けるので、半導体領域70a、70bが形成されていない構成と比べてめっき金属が析出しやすくなり、第1のめっき層143a、143bの形成が容易となる。
【0084】
(第
1の実施形態の変形例)
上述した積層セラミックコンデンサ10Bでは、下地電極層141aは、セラミック素体11の第1の端面15aにのみ設けられているが、第1の端面15aから、第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および、第2の側面17bに回り込むように設けられていてもよい。同様に、下地電極層141bは、第2の端面15bから、第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および、第2の側面17bに回り込むように設けられていてもよい。
【0085】
図8は、第
1の実施形態の変形例における積層セラミックコンデンサ10Cの模式的断面図である。
図8に示すように、下地電極層141aは、第1の端面15aから、第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および、第2の側面17bに回り込むように設けられている。また、下地電極層141bは、第2の端面15bから、第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および、第2の側面17bに回り込むように設けられている。
【0086】
この場合、セラミック素体11の第1の端面15aまたは第2の端面15bを基準としたときの、めっき層の長さ方向Lにおける回り込み量L1に対する下地電極層141a、141bの長さ方向Lにおける回り込み量L2の割合は、0.5以下であり、より好ましくは0.25以下である。また、下地電極層141a、141bの回り込み量L
2は、100μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。
【0087】
<第
2の
参考実施形態>
第1のめっき層143a、143bを構成するめっき膜の成膜を助長するために、第1のめっき層143a、143bの下に、補助めっき層を設けるようにしてもよい。
【0088】
図9は、
図2に示す第1の
参考実施形態における積層セラミックコンデンサ10に、補助めっき層145a、145bを追加した構成を有する第
2の
参考実施形態における積層セラミックコンデンサ10Dの模式的断面図である。補助めっき層145aは、下地電極層141aおよび金属含有層142aを覆うように設けられている。また、補助めっき層145bは、下地電極層141bおよび金属含有層142bを覆うように設けられている。
【0089】
補助めっき層145a、145bは、例えば、下地電極層141a、141bおよび金属含有層142a、142bが設けられたセラミック素体11を、Cuなどの金属を含む金属含有液に浸漬することによって形成することができる。
【0090】
第1のめっき層143aは、補助めっき層145aの上に設けられている。また、第1のめっき層143bは、補助めっき層145bの上に設けられている。第1のめっき層143a、143bは、例えばNiめっき層である。また、第1のめっき層143a、143bの上に設けられている第2のめっき層144a、144bは、例えばSnめっき層である。
【0091】
本実施形態では、第1のめっき層143a、143bと、第2のめっき層144a、144bと、補助めっき層145a、145bが本発明の「めっき層」を構成する。
【0092】
本実施形態のように、第1のめっき層143a、143bの下に、補助めっき層145a、145bが設けられていることにより、第1のめっき層143a、143bを構成するめっき膜が成膜しやすくなる。
【0093】
また、
図7に示す第
1の実施形態における積層セラミックコンデンサ10Bに、補助めっき層を追加した構成とすることもできる。
【0094】
図10は、
図7に示す第
1の実施形態における積層セラミックコンデンサ10Bに、補助めっき層145a、145bを追加した構成を有する積層セラミックコンデンサ10Eの模式的断面図である。この構成では、補助めっき層145aは、下地電極層141aの上と半導体領域70aの上とに設けられている。また、補助めっき層145bは、下地電極層141bの上と半導体領域70bの上とに設けられている。
【0095】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0096】
例えば、上述した各実施形態およびその変形例では、第1の外部電極14aは、セラミック素体11の第1の端面15aの全体と、第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および、第2の側面17bのそれぞれの一部とに設けられ、第2の外部電極14bは、第2の端面15bの全体と、第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および、第2の側面17bのそれぞれの一部とに設けられている。
【0097】
しかしながら、第1の外部電極14aは、少なくともセラミック素体11の第1の端面15aの一部に設けられ、第2の外部電極14bは、第2の端面15bの一部に設けられていればよい。
【0098】
図11は、第1の外部電極14aが第1の端面15aの全体と、第1の主面16aおよび第2の主面16bの一部とに設けられ、第2の外部電極14bが第2の端面15bの全体と、第1の主面16aおよび第2の主面16bの一部とに設けられている積層セラミックコンデンサ10Fを示す側面図である。
図11に示す積層セラミックコンデンサ10Fでは、第1の外部電極14aおよび第2の外部電極14bがセラミック素体11の三面にだけ設けられているので、積層セラミックコンデンサ10Fをさらに小型化することができる。
【0099】
図12は、第1の外部電極14aが第1の端面15aの全体と、第1の主面16aの一部とに設けられ、第2の外部電極14bが第2の端面15bの全体と、第1の主面16aの一部とに設けられている積層セラミックコンデンサ10Gを示す側面図である。
図12に示す積層セラミックコンデンサ10Gでは、第1の外部電極14aおよび第2の外部電極14bがセラミック素体11の二面にだけ設けられているので、積層セラミックコンデンサ10Gをさらに小型化することができる。
【0100】
なお、
図11に示す積層セラミックコンデンサ10Fおよび
図12に示す積層セラミックコンデンサ10Gにおいて、外部電極に含まれる下地電極層は、端面だけに設けられていてもよいし、主面および側面に回り込んでいてもよい。
【0101】
上述した第
1の実施形態における積層セラミックコンデンサ10B、および、第
1の実施形態の変形例における積層セラミックコンデンサ10Cでは、金属含有層142a、142bの代わりに、セラミック素体11の表面に半導体領域70a、70bが設けられた構成とされている。この半導体領域70aの上に金属含有層142aを設けるとともに、半導体領域70bの上に金属含有層142bを設ける構成としてもよい。その構成によれば、めっき膜をより成膜しやすくすることができる。
【0102】
上述した実施形態およびその変形例では、金属含有層142a、142bは、セラミック素体11の第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および、第2の側面17bのそれぞれの一部に設けられている。しかしながら、金属含有層142a、142bは、めっき層が設けられる領域に応じて、セラミック素体11の第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および、第2の側面17bのうちの少なくとも1つの面の一部に設けられていればよい。
【0103】
同様に、半導体領域70a、70bも、めっき層が設けられる領域に応じて、セラミック素体11の第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および、第2の側面17bのうちの少なくとも1つの面の一部に設けられていればよい。