(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。本発明の形態の一つによれば、
・少なくとも一つの装置の状態を取得し、前記装置が故障する前の予兆となる異常を検出する故障予兆検知部(
図1の101)(故障予兆検知手段/ステップ/処理)と、
・前記異常が検出された前記装置のメンテナンス時期の限界を示すメンテナンス限界時期を算出するメンテナンス限界時期算出部(
図1の102)(メンテナンス限界時期算出手段/ステップ/処理)と、
・前記装置のメンテナンス限界時期に基づき、前記装置のメンテナンス時期を算出するメンテナンス時期算出部(
図1の103)(メンテナンス時期算出手段/ステップ/処理)と、
・前記メンテナンス時期を表示装置に出力するメンテナンス時期出力部(
図1の104)(メンテナンス時期出力手段/ステップ/処理)を備える構成としてもよい。
【0021】
本発明の形態の一つにおいて、メンテナンス限界時期算出部(
図1の102)は、前記故障予兆検知部による前記装置の異常の検知時点を始端、前記メンテナンス限界時期を終端とするメンテナンス猶予期間(例えば
図12)を生成する構成としてもよい。メンテナンス時期算出部(
図1の103)は、前記装置のメンテナンス時期を、前記メンテナンス猶予期間内の所定の時期に設定するようにしてもよい。
【0022】
本発明の形態の一つにおいて、メンテナンス時期算出部(
図1の103)は、一つの装置に対して算出されたメンテナンス猶予期間と、少なくとも一つの他の装置に対して算出されたメンテナンス限界時期に基づき、前記装置と、少なくとも一つの他の装置のメンテナンス時期を算出するようにしてもよい。本発明の形態の一つにおいて、メンテナンス時期算出部(
図1の103)は、前記装置に対して算出された前記メンテナンス猶予期間と、少なくとも一つの他の装置に対して算出された前記メンテナンス猶予期間とに基づき、前記装置と、少なくとも一つの他の装置に共通なメンテナンス時期を算出するようにしてもよい。
【0023】
本発明の形態の一つにおいて、メンテナンス時期算出部(
図1の103)は、ある装置(例えば
図12の(A)の装置A)に対して算出されたメンテナンス猶予期間(例えば
図12の(A)の時間区間[TA2S,TA2E])と、少なくとも一つの他の装置(例えば装置B及び/又は装置C)に対して算出されたメンテナンス猶予期間(例えば
図12の(B)、(C)の時間区間[TB2S,TB2E]、[TC2S,TC2E])に基づいて、装置Aと他の装置(装置B及び/又は装置C)に共通なメンテナンス時期を算出するようにしてもよい。具体的に説明すると、上記の共通なメンテナンス時期として、複数の装置の各メンテナンス猶予期間が時間的に重なる時間区間において各装置に共通なメンテナンス時期を設定する。その結果、1回の共通なメンテナンス時期において、複数の装置に対してメンテナンスを実施することができる。
【0024】
例えば、後の実施形態で詳細に説明される
図12の例では、装置A、B、Cのメンテナンス猶予期間が重複する時間(時期)T2に、メンテナンス時期を設定することで、一度に、装置A、B、Cをメンテナンスすることができる。この場合、装置A、B、Cが配備されているラインでは、それぞれの装置の故障予兆の検知結果に対して、例えば当該ラインの一度の停止で、装置A、B、Cをメンテナンスすることが可能となる。また、本発明の形態の一つにおいて、所定の装置B、C(
図21の(B)、(C))に対して算出されたメンテナンス猶予期間と他の装置A(
図21の(A))に対して算出されたメンテナンス限界日(限界時期)とに基づいて、メンテナンス時期を決定してもよい。この場合、メンテナンス時期を可能な範囲で遅く設定することができる。
【0025】
本発明の形態の一つにおいて、メンテナンス限界時期算出部(
図1の102)は、前記装置の状態の前記異常の検知より後の時間推移と、前記装置の状態の許容値(例えば
図7Bの「許容信号値」、あるいは、後の実施形態で詳細に説明される
図12の(A)、(B)、(C)の「メンテナンス猶予限界」)に基づき、前記メンテナンス限界時期を算出するようにしてもよい。
【0026】
本発明の形態の一つにおいて、メンテナンス限界時期算出部(
図1の102)は、前記検知された前記装置の異常に対応する過去の異常情報(例えば
図5の1024)に基づき、前記装置の生産に係る製品の歩留り等の許容値(例えば、後の実施形態で詳細に説明される
図7Aの製造歩留り(低下量)の「許容値」)に対応して、前記装置の状態の劣化の程度を表す信号値の許容値(例えば
図7A、
図7Bの「許容信号値」)を求めるようにしてもよい。本発明の形態の一つにおいて、前記過去の異常情報は、前記装置の生産に係る製品の歩留り(低下量)と、前記装置の状態の劣化を表す信号値との相関関係を含むようにしてもよい(例えば
図7Aのグラフ(1)、(2)、(3))。なお、
図7Aにおいて、製品の歩留り(低下量)の許容値は、製品の不良率の許容値であってもよい。あるいは、製品品質等の許容ばらつき範囲等であってもよい。
【0027】
本発明の形態の一つにおいて、メンテナンス限界時期算出部(
図1の102)は、前記検知された前記装置の異常の種類、場所、原因の少なくとも一つに基づき、前記異常の種類、場所、原因の少なくとも一つに対応する過去の異常情報(例えば
図7Aのグラフ(1)、(2)、(3)のいずれか)を選択し、選択された前記過去の異常情報における、前記装置がその生産に係る製品の歩留りの許容値に対応する許容信号値(例えば
図7Bの「許容信号値」)を算出し、前記装置の前記状態の許容値とするようにしてもよい。
【0028】
本発明の形態の一つにおいて、メンテナンス限界時期算出部(
図1の102)は、前記異常が検出された前記装置が生産に関与する製品の生産計画情報(例えば
図5の1027)と、生産実績情報(例えば
図5の1028)に基づく、前記装置の状態の異常検知以降の時間推移の予測と、前記装置の前記状態の許容値(例えば
図7Bの「許容信号値」)に基づき、前記メンテナンス限界時期(例えば
図7Bの「メンテナンス限界時期(日)」)を求めるようにしてもよい。
【0029】
本発明の形態の一つにおいて、メンテナンス限界時期算出部(
図1の102)は、前記異常が検出された前記装置が関与する商品の売上目標、売上実績情報に基づく、前記装置の状態の異常検知以降の時間推移の予測と、前記装置の前記状態の許容値に基づき、前記メンテナンス限界時期(例えば
図7Bの「メンテナンス限界時期(日)」)を求めるようにしてもよい。
【0030】
本発明の形態の一つにおいて、メンテナンス時期算出部(
図1の103)は、前記装置のメンテナンス限界時期に加えて、少なくとも一つの他の装置のメンテナンス限界時期、稼働休止時期、および、製造段取り替え時期の情報の少なくとも一つに基づき、前記装置のメンテナンス時期を算出するようにしてもよい。
【0031】
本発明の別の形態において、メンテナンス時期算出部(
図1の103)は、前記装置のメンテナンス限界時期と、前記装置内で検知された別の異常に対するメンテナンス限界時期に加えて、少なくとも一つの他の装置のメンテナンス限界時期、稼働休止時期、および、製造段取り替え時期の情報の少なくとも一つに基づき、前記装置のメンテナンス時期を算出するようにしてもよい。
【0032】
本発明の形態の一つにおいて、故障予兆検知部(
図1の101)は、前記装置の電源電流を取得する電流センサ、前記装置の振動を検知する振動センサ、前記装置の画像情報を取得する画像センサの少なくとも一つのセンサで取得された情報に基づき、前記装置の前記異常を検知するようにしてもよい。
【0033】
本発明の形態の一つにおいて、故障予兆検知部(
図1の101)は、前記装置の電源電流波形を取得し、前記電源電流波形の特徴量を予め設定された閾値と比較して異常を検知するようにしてもよい。
【0034】
また、本発明の形態の一つにおいて、故障予兆検知部(
図1の101)は、故障の予兆となる異常を検知する場合、及び、予め設定された閾値と比較して異常を検知する場合に、機械学習等の手法を用いてもよい。
上記機械学習として、例えば、
・サポート・ベクター・マシン(Support Vector Machine:SVM)、
・k-近傍法(k-Nearest Neighbor Method:k-NN法)、
・k-平均法(k−Means Clustering Method:k−Means法)、
・ニューラル・ネットワーク(Neural Network:NN)、
・局所外れ値因子法(Local Outlier Factor Method:LOF法)等のうちの少なくとも一つを用いてもよい。
【0035】
本発明の形態の一つにおいて、前記故障予兆検知部は、前記装置の電源電流波形を取得し、前記電源電流波形の特徴量を予め設定された閾値と比較することで、前記装置の状態の異常を検知し、前記メンテナンス限界時期算出部は、前記異常が検知された前記装置の前記電源電流波形の特徴量に予め設定されている許容値と、前記装置の前記電源電流波形の特徴量の今後の時間推移に基づき、前記メンテナンス限界時期を算出するようにしてもよい。本発明によれば、装置の故障予兆の検知に基づき行われるメンテナンスに関して、メンテナンス計画の適正な策定を可能としている。本発明によれば、複数の装置に関して、各装置の故障予兆の検知に基づき行われるメンテナンス回数を削減可能とし、装置が組み込まれる生産ラインの停止回数の削減、および停止時間等の短縮を可能とし、操業効率、生産性の向上に貢献することができる。
【0036】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の例示的な実施形態の構成を説明する図である。
図1を参照すると、メンテナンス計画策定装置100は、故障予兆検知部101(故障予兆検知手段)と、メンテナンス限界時期算出部102(メンテナンス限界時期算出手段)と、メンテナンス時期算出部103(メンテナンス時期算出手段)と、メンテナンス時期出力部104(メンテナンス時期出力手段)と、を備えている。
【0037】
故障予兆検知部101(故障予兆検知手段)は、モニタ対象の1つ又は複数の装置の各々について、電流センサ、振動センサ、画像センサ等の各センサ210からの電流波形、振動波形、画像情報等を取得し、各装置の故障予兆となる異常を検知する。メンテナンス限界時期算出部102(メンテナンス限界時期算出手段)は、異常が検知された当該装置のメンテナンスの限界時期を算出する。メンテナンス時期算出部103(メンテナンス時期算出手段)は、算出された複数の装置のメンテナンス限界時期に基づき、例えばメンテナンスの回数、生産ライン停止等の観点から、メンテナンス時期を算出する。メンテナンス時期出力部104(メンテナンス時期出力手段)は、算出されたメンテナンス時期を例えば表示装置等に出力する。
【0038】
なお、センサ210は、電流センサのみであってもよい。あるいは、電流センサと振動センサ、電流センサと画像センサ、電流センサと振動センサと画像センサの組み合わせであってもよい。
【0039】
電流センサは、例えば装置の商用電源の電源ラインに流れる電源電流波形を取得する。電流センサは、工場の生産ライン等に設置される複数の製造(加工)装置、電気設備の各々の電源電流波形を取得する複数の電流センサであってもよい。例えば
図18Bに示すように、電流計201は、商用交流電源205の電源ラインに挿入され、負荷206(装置)に流れる電源電流をモニタする。
図18Aは、
図18Bの電流計201を備えた測定器200を例示する図である。電流計201の電流センサ202は電源ラインに挿入されたシャント抵抗(不図示)の端子間電圧を計測する構成としてもよいし、あるいは、磁気コア等にコイルを巻いた変流器構造をとり電流測定対象のケーブルを挟み込み、磁気コア中に流れる磁束の検知値から換算することにより電流を検知するCT(Current Transformer)センサ等で構成してもよい。電流センサ202の出力電圧などの出力値はアナログデジタル変換器203でデジタル波形データに変換され、通信部204から送信される。なお、
図18Bでは、単相2線交流の構成に対応するが、三相3線式の交流の場合、例えば三台の電流計等を用いて測定できる。なお、測定器200は、負荷206の電源端子間の電源電圧波形を取得する電圧計や瞬時電力波形を取得する電力計を含んでいてもよい。
【0040】
故障予兆検知部101は、
図18Aに示すように、測定器200の通信部204と直接又は通信網を介して通信する通信部1010にて電流波形情報を取得するようにしてもよい。
【0041】
図19は、
図1の故障予兆検知部101が、複数の装置の総合電源電流から各機器の電源電流の分離を行い、各装置の電源電流を取得する例を説明する図である。
図19Aを参照すると、工場、店舗等の建屋21内において、通信装置(BEMS/FEMSコントローラ)24は、スマートメータ25の検針データ(消費電力等)を、例えばBルートから取得する。通信装置24がスマートメータ25からBルートで取得する検針データ(消費電力、電流値等)は、建屋全体の消費電力に関する情報を含む。あるいは、分電盤22の基幹電力線が接続されている主ブレーカ(不図示)および分岐ブレーカ(不図示)のうち、少なくとも1つのブレーカ(不図示)に、該主ブレーカ、または、該分岐ブレーカに流れる電流を検出する電流センサ23を備え、電流センサ23から、通信装置24に無線伝送等で電流波形データを送信するようにしてもよい。電流センサ23は、CT(Current Transformer)(例えば零相変流器(Zero−phase−sequence Current Transformer:ZCT))やホール素子等で構成してもよい。電流センサ23は、不図示のアナログデジタル変換器で電流波形(アナログ信号)をサンプリングしデジタル信号に変換し不図示の符号化器で圧縮符号化した上で通信装置24に、Wi−SUN(Wireless Smart Utility Network)等により無線伝送するようにしてもよい。通信装置24からの電流波形は、故障予兆検知部101の通信部1010で受信される。
図19Bの波形(a)は、
図19Aの分電盤22の不図示の主ブレーカまたは分岐ブレーカに接続された電流センサ23で取得された合成電源電流波形(総合電源電流波形)を例示する図である。
【0042】
故障予兆検知部101では、通信部1010で取得した
図19Bの(a)の合成電源電流波形(総合電源電流波形)データから、例えば非特許文献1、2等の手法を用いて、分電盤22の主ブレーカまたは分岐ブレーカに接続する装置20A〜装置20Cの電源電流波形に分離するようにしてもよい。
図19において、波形(b)〜(d)は、装置20A〜装置20Cの各々について機器(装置)毎に分離された電源電流波形を表している。
【0043】
故障予兆検知部101では、通信装置24から通信部1010に送信された、スマートメータ25からBルートで取得した検針データ(消費電力、電流値等)から、装置20A〜装置20Cの電源電流を取得してもよい。例えば、スマートメータ25の検針データのうち、電流値の時系列変化のデータを機械学習や信号処理技術等の分析手段を用いて分析することにより、各装置の電源電流を取得することができる。
【0044】
なお、
図1において、センサ210のうち振動センサは、例えば圧電方式のセンサからなり、例えばモニタ対象の装置に取り付けられ、該装置の機械振動を検出する。振動センサにおいて、圧電素子の出力は、
図18Aの電流計201と同様に、アナログデジタル変換され、通信部を介して、故障予兆検知部101に送信される。
【0045】
また、センサ210の画像センサは、例えばCCD(Charge−Coupled Device)カメラを備え、モニタ対象の画像情報を取得し、故障予兆検知部101に送信される。例えば、画像センサは工場のラインの製造(加工)装置の後段に配置され、製造(加工)結果をその画像に基づき検査する検査装置に実装された画像センサを用いてもよい。例えばSMT(Surface Mount Technology)ライン等における、印刷工程、マウント工程、リフロー工程の各工程の後の製品外観を画像で検査する外観検査装置を配置する場合がある。画像センサとして、これらの外観検査装置の画像センサを用いる場合、故障予兆検知部101は、外観検査装置で取得された画像データ、あるいは外観検査装置での検査結果を用いるようにしてもよい。あるいは、画像センサは、生産ラインに配置されたロボット等の動画像を取得し、その動作(例えばロボットアーム等の軌道)を監視するものであってもよい。この場合、故障予兆検知部101は、動画像から、故障の予兆として、例えばロボットアーム等の軌道の変動や異常を検出するようにしてもよい。
【0046】
故障予兆検知部101は、監視対象の装置の電源電流波形、振動波形、画像情報を、例えばポーリング等で取得するようにしてもよいし、予め定められた時間間隔(例えば1秒等の秒単位)で常時、連続的にリアルタイムで取得するようにしてもよい。以下では、電流波形に基づく故障予兆の検知について説明する。
【0047】
図2は、
図1のメンテナンス計画策定装置100の動作を説明する流れ図である。故障予兆検知部101は、モニタ対象の装置の電流波形を取得し、モニタ対象の装置の故障の予兆を検知する(ステップS1)。上記したように、ステップS1において、故障予兆検知部101は、ラインを構成する各装置に接続された測定器から個別に電流波形を取得するようにしてもよい。あるいは、故障予兆検知部101は、分電盤の主ブレーカ、または、分岐ブレーカに接続された電流センサで取得された電流波形を波形分離して、当該主ブレーカ、または、分岐ブレーカに接続する複数の装置の電源電流波形を取得するようにしてもよい。
【0048】
故障予兆検知部101は、取得したモニタ対象の装置の電源電流波形の特徴量を抽出し、予め定められた閾値と比較することで、装置が故障する前の予兆となる異常を検出するようにしてもよい。
【0049】
また、故障予兆検知部101は、装置が故障する前の予兆となる異常を検出する場合、および、予め定められた閾値と比較することで装置が故障する前の予兆となる異常を検出する場合に、機械学習等の手法を用いてもよい。当該機械学習として、例えば、
・サポート・ベクター・マシン(Support Vector Machine:SVM)、
・k-近傍法(k-Nearest Neighbor Method:k-NN法)、
・k-平均法(k−Means Clustering Method:k−Means法)、
・ニューラル・ネットワーク(Neural Network:NN)、
・局所外れ値因子法(Local Outlier Factor Method:LOF法)等のうちの少なくとも一つを用いてもよい。
【0050】
メンテナンス限界時期算出部102は、故障予兆検知部101で装置の故障の予兆となる異常が検知された場合、当該装置のメンテナンスの限界時期を算出する(ステップS2)。なお、装置の故障の予兆をなす異常が検知されなかった場合には、故障予兆検知部101は、次の装置の故障予兆の検知を行うようにしてもよい。
【0051】
メンテナンス時期算出部103は、例えば1つ又は複数の装置の各々について算出されたメンテナンス限界時期に基づき、全体のメンテナンスの回数の削減やメンテナンスによる生産ラインの停止時間の削減(生産ラインの稼働効率、生産性)等を考慮して、メンテナンス時期を算出する(ステップS3)。
【0052】
ステップS3において、メンテナンス時期算出部103は、例えば生産管理システムの生産管理情報等に基づき、ある装置の故障の予兆検知からメンテナンスの限界時期までの時間区間(メンテナンス猶予期間)内に、
・当該装置あるいは当該装置を含むラインの稼働休止時期、又は、
・当該装置を含むラインの製造段取り替え時期、
が含まれている場合、当該装置のメンテナンス時期を、稼働休止時期又は製造段取り替え時期に重なるように設定してもよい。
【0053】
あるいは、ステップS3において、メンテナンス時期算出部103は、第1の装置に対して算出された第1のメンテナンス猶予期間と、第2の装置に対して算出された第2のメンテナンス限界時期とが時間的にオーバラップする場合、第1の装置と第2の装置に共通なメンテナンス時期を設定するようにしてもよい。すなわち、メンテナンス時期算出部103は、第1の装置に対して算出された第1のメンテナンス猶予期間と、第2の装置に対して算出された第2のメンテナンス猶予期間とが時間的に重なる時間(時期)に、第1の装置と第2の装置に共通なメンテナンス時期を設定するようにしてもよい。この結果、設定した1回のメンテナンス時期に、第1、第2の装置に対してメンテナンスを実施することができる。なお、第1の装置と第2の装置に共通なメンテナンス時期は、第1、第2のメンテナンス猶予期間の時間的にオーバラップする時間区間内で、第1の装置と第2の装置のうち、メンテナンス作業に要する時間の長い方を基準に設定するようにしてもよい。
【0054】
メンテナンス時期出力部104は、算出されたメンテナンス時期を表示装置等に出力する(ステップS4)。メンテナンス時期出力部104は、算出されたメンテナンス時期を、不図示のプリンタ、又は、不図示の記憶装置、又は、不図示のネットワークを介して不図示の他のホスト又は端末等に、表示出力するようにしてもよい。
【0055】
図3は、
図1の故障予兆検知部101の構成例を説明する図である。
図3を参照すると、故障予兆検知部101は、波形取得部1011、波形特徴量抽出部1012、異常判定部1013、判定結果出力部1014、ランダムアクセスメモリ又はHDD等の記憶装置1015を備えている。
【0056】
波形取得部1011は、モニタ対象の装置20の状態として、例えば装置20の電源電流等を取得するセンサ210から電流波形等を取得し、取得した電流波形を記憶装置1015に記憶する。波形取得部1011は、電流波形等を取得すると、波形特徴量抽出部1012に制御を移す。
【0057】
波形特徴量抽出部1012は、波形取得部1011によって取得され記憶装置1015に記憶された電流波形を読み出す。波形特徴量抽出部1012は、記憶装置1015から読み出した当該電流波形から、当該電流波形の特徴量を抽出する。なお、
図3では、単に、説明の容易化のため、波形取得部1011は、センサ210から取得した電流波形等を記憶装置1015に記憶し、波形特徴量抽出部1012が、波形取得部1011によって記憶装置1015に記憶された電流波形を読み出す構成としている。波形取得部1011内の不図示の記憶装置から、取得した電流波形を、波形特徴量抽出部1012内の不図示の記憶装置に受け渡すようにしてもよいことは勿論である。波形特徴量抽出部1012は、抽出した特徴量を、記憶装置1015に電流波形と対応付けて格納してもよい。波形特徴量抽出部1012は、電流波形から抽出した特徴量を異常判定部1013に受け渡す。
【0058】
異常判定部1013は、電流波形の特徴量を、記憶装置1016に記憶された閾値と比較することで、装置の状態が、故障の予兆となる異常であるか判定し、判定結果を判定結果出力部1014に受け渡す。
【0059】
判定結果出力部1014は、異常判定部1013での判定結果を受け取り、異常と判定された場合、故障予兆を検知した旨をメンテナンス限界時期算出部102に対して出力する。
【0060】
なお、記憶装置1015に記憶される閾値は、故障と判定されるレベルよりも低く設定されている。故障予兆検知部101は、この閾値を用いて、装置の状態が異常であることを検出することで、装置が故障となる前の予兆を検知するようにしている。
【0061】
また、異常判定部1013が、電流波形の特徴量を記憶装置1016に記憶された閾値と比較することで、装置の状態が、故障の予兆となる異常であるか判定する場合、および、装置の状態が、故障の予兆となる異常であるか判定する場合、機械学習等の手法を用いてもよい。機械学習として、例えば、
・サポート・ベクター・マシン(Support Vector Machine:SVM)、
・k-近傍法(k-Nearest Neighbor Method:k-NN法)、
・k-平均法(k−Means Clustering Method:k−Means法)、
・ニューラル・ネットワーク(Neural Network:NN)、
・局所外れ値因子法(Local Outlier Factor Method:LOF法)等のうちの少なくともいずれか一つを用いてもよい。
【0062】
なお、
図3において、波形特徴量抽出部1012は、電流波形を特徴量として、該電流波形の区間を窓関数で切り出し、当該区間に対してフーリエ変換(例えばFFT(Fast Fourier Transform)やDFT(Discrete Fourier Transform))を行うことで周波数領域に変換し、周波数スぺクトル情報に基づき、異常の指標となる特徴量を算出してもよい。
【0063】
例えば、コンデンサインプット型整流回路(整流回路と平滑コンデンサ)を含むインバータ装置の場合、平滑コンデンサには充電時のみパルス状電流が流れ、交流電源電流の正弦波とパルス状波形が合成され、高調波(商用電源周波数(基本周波数:例えば50Hz)の整数倍の周波数成分)が発生する。
【0064】
例えばモータおよび負荷部分は、稼動時には固有振動数を発生しており、劣化または異常が発生した場合、該固有振動数も変化し、この変化した振動数が機械的に共振する。その結果、電源電流に高調波が含まれる。このような高調波成分を分析・解析して、装置の異常や劣化の部位や原因の特定が行われる。
【0065】
波形特徴量抽出部1012は、周波数領域の特徴量として、2次、4次等、特定次数の高調波周波数成分の強度(振幅)、位相、又はそれらの和、および、それらの差、あるいは、特定次数の高調波周波数成分の強度の2乗、又は2乗和等を用いてもよい。あるいは、波形特徴量抽出部1012は、周波数領域の特徴量として、高調波周波数成分の強度の2乗和に基づく歪み(Harmonic Distortion)あるいは、全高調波歪み(Total Harmonic Distortion:THD)等を用いてもよい。周波数領域の特徴量として、直流成分とナイキスト周波数以下での偶数次高調波周波数成分の強度(振幅)の和、又はその2乗和を用いてもよい。あるいは、ナイキスト周波数以下での奇数次高調波周波数成分の強度(振幅)の和又はその2乗和を用いてもよい。
【0066】
異常判定部1013は、算出した特徴量が閾値を超える場合、異常と判定する。
【0067】
あるいは、波形特徴量抽出部1012は、切り出された区間の電流波形そのものを特徴量として用いてもよい。この場合、異常判定部1013は、記憶装置1016には、正常波形に対して、高調波周波数成分、雑音成分等を含み異常とみなし得る波形パタンを記憶しておき、異常判定部1013では、波形取得部1011で取得し、記憶装置1015に記憶されている電流波形を、記憶装置1016の波形とパタンを照合することで、異常を検知するようにしてもよい。あるいは、記憶装置1016には、正常の波形パタンを記憶しておき、異常判定部1013では、波形取得部1011で取得し記憶装置1015に記憶されている電流波形を、記憶装置1016の正常波形パタンと比較照合することで、異常を検知するようにしてもよい。
【0068】
波形取得部1011で取得した波形を、記憶装置1016の波形とパタンを照合する場合、機械学習等の手法を用いてもよい。機械学習として、例えば、
・サポート・ベクター・マシン(Support Vector Machine:SVM)、
・k-近傍法(k-Nearest Neighbor Method:k-NN法)、
・k-平均法(k−Means Clustering Method:k−Means法)、
・ニューラル・ネットワーク(Neural Network:NN)、
・局所外れ値因子法(Local Outlier Factor Method:LOF法)等のうちの少なくとも一つを用いてもよい。
【0069】
図4は、
図3の故障予兆検知部101の動作を説明する流れ図である。
図4を参照すると、波形取得部1011は、センサ210から波形を取得する(ステップS11)。
【0070】
波形特徴量抽出部1012は、モニタ対象の装置の電源電流波形の特徴量を抽出する(ステップS12)。
【0071】
異常判定部1013は、電源電流波形の特徴量(波形)を閾値(パタン)と比較することで、異常を検知する(ステップS13)。
【0072】
判定結果出力部1014は、異常判定部1013での判定結果を受け取り、異常が検知された場合、故障予兆を検知した旨を、メンテナンス限界時期算出部102に対して出力する(ステップS14)。
【0073】
図5は、
図1のメンテナンス限界時期算出部102の構成を例示する図である。
図6は、メンテナンス限界時期算出部102の動作を説明する流れ図である。
図5を参照すると、メンテナンス限界時期算出部102は、異常信号特徴抽出部1020、異常特定部1021、許容信号値算出部1022、メンテナンス限界時期算出部1023とを備えている。
【0074】
異常信号特徴抽出部1020は、異常信号の特徴を抽出する。
【0075】
異常特定部1021は、記憶装置1024に記憶されている過去の異常情報に基づき、検知された異常についてその種類、場所、原因等を特定する。
【0076】
許容信号値算出部1022は、記憶装置1025に記憶されている許容値と、特定された異常に対応する過去の異常情報に基づき、異常に対応する信号値の許容値(許容信号値)を算出して記憶装置1026に記憶する。記憶装置1025に記憶されている許容値は、例えば生産計画等において、許容されるべき製品の歩留りの低下量等であってもよい。あるいは、当該許容値は、例えば製品品質等の許容ばらつき範囲(fluctuation check limit)等であってもよい。
【0077】
メンテナンス限界時期算出部1023は、記憶装置1027に記憶されている生産計画情報(例えば、製品をいつまでにいくつ(何ロット)製造するかといった計画情報)と、記憶装置1028に記憶されている生産実績情報(例えば、これまでに製造した製品の数(ロット数)等の情報)と、記憶装置1026に記憶されている許容信号値(メンテナンス猶予限界に対応する)とに基づき、メンテナンス限界時期を算出する。記憶装置1026に記憶されている許容信号値は、例えば許容されるべき製品の歩留りの低下量に対応した信号値(装置の異常(劣化)等の程度に対応する信号値(強度、頻度))に対応し、メンテナンスの猶予が可能な限界、すなわち、後述される「メンテナンス猶予限界」に対応している。
【0078】
図6を参照すると、異常信号特徴抽出部1020は、異常信号の特徴を抽出する(ステップS21)。異常信号特徴抽出部1020は、故障予兆検知部101で異常が検出された装置とその場所、種類等(機械系、電気系の異常等)を抽出するようにしてもよい。
【0079】
異常特定部1021は、記憶装置1024に記憶されている過去の異常情報に基づき、今回検知された異常信号の特徴が、過去の異常情報のいずれに対応するかを特定する(ステップS22)。記憶装置1024に記憶されている過去の異常情報は、例えば異常が検知された装置の異常(劣化)等の程度に対応する信号値と、当該装置がその生産に関与する製品の製造歩留り(低下量)との対応関係(相関関係)を含むようにしてもよい。なお、記憶装置1024は、メンテナンス限界時期算出部102がアクセス可能な記憶装置であればよく、メンテナンス限界時期算出部102内に備えることは必ずしも必要とされない。過去の異常情報を蓄積する記憶装置1024は、不図示の生産管理システムの生産履歴を記憶管理するデータベースであってもよい。
【0080】
許容信号値算出部1022は、特定された異常に対応する過去の異常情報に基づき、例えば記憶装置1025に記憶されている許容値に対応する信号値の許容値(許容信号値)を算出して記憶装置1026に記憶する(ステップS23)。記憶装置1025に記憶されている許容値は、例えば生産計画等において許容されるべき製品の歩留りの低下量等であってよい。あるいは、該許容値は、製品品質等の許容ばらつき等であってもよい。許容信号値は、許容されるべき製品の歩留りの低下量(製品品質等の許容ばらつき範囲)に対応した信号値(装置の異常(劣化)等の程度に対応する信号値(強度、頻度))であってよい。
【0081】
メンテナンス限界時期算出部1023は、記憶装置1027に記憶されている生産計画情報と、記憶装置1028に記憶されている異常検知時点での生産実績情報に基づき、記憶装置1026に記憶された許容信号値に対応するメンテナンス限界時期を算出し、該メンテナンス限界時期を記憶装置1029に記憶する(ステップS24)。
【0082】
図7Aは、
図5の異常特定部1021と許容信号値算出部1022を説明する図である。
図7Aは、装置の過去の異常情報(異常の程度に対応する信号値)と、当該装置がその生産に関与する製品の製造歩留り(低下量)の対応関係(例えば相関関係)を説明する図である。信号値と製造歩留り(低下量)の対応関係(相関関係)は、過去に異常が検知された装置の異常の程度を示す信号値(例えば電流波形の特徴量、あるいは、異常検知の頻度等)と、製造歩留り(低下量)のデータを統計解析して相関係数を求め、これを、検知された異常の種類、場所、原因等に応じて分類して記憶装置1024に事前に記憶するようにしてもよい。この場合、今回異常が検知された装置に関する信号値、製造歩留り(低下量)も、更新データとして記憶装置1024の過去情報に組み込まれるようにしてもよい。
【0083】
図7Aにおいて、X軸は、装置の状態に対応した信号値(強度、頻度)である。原点のX軸は例えば装置の正常状態に対応した信号値であり、原点から離れるにしたがって、異常の程度が悪化し、許容信号値を超えると、故障の状態に入る。なお、X軸の信号値は、当該装置の劣化の状態を反映する任意の値であってよい。例えば、X軸の信号値は、当該装置のこれまでの異常検知の発生頻度(例えば単位期間あたりの頻度)であってもよい。あるいは、X軸の信号値は、当該装置から電流センサで取得した電源電流波形の特徴量(周波数領域での周波数スペクトルの強度、強度の2乗和、あるいは全高調波歪み等)であってもよい。
【0084】
図7Aにおいて、Y軸は当該装置が過去に生産に関与した当該製品の製造歩留りの低下量に対応する。歩留りは、例えば、
歩留り=良品数/全生産数×100%
で求められるが、
図7Aでは、装置の異常の状態の程度を反映させるため、Y軸を製造歩留りの低下量とし、Y軸の原点側が、正常値であり、Yの値が高くなるにしたがって、当該装置による当該製品の製造歩留り(低下量)が悪化するものとする。当該製品の製造歩留り(低下量)は、例えば、
不良率=不良品数/全生産数×100 (%)
としてもよい。不良率+歩留り=100%であり、不良率が10%のとき、歩留りは90%となる。
【0085】
図7Aにおいて、グラフ(1)、(2)、(3)は、故障予兆検知部101で検出された異常の種類、場所(装置)、原因等について、異なる過去の異常情報(異常状態を表す信号値と不良率の対応)をグラフとして表した(プロットした)ものである。なお、
図7Aでは、単に説明の容易化のため、グラフ(1)、(2)、(3)を直線で表している。
【0086】
グラフ(直線)(1)、(2)、(3)は、異常の場所として、それぞれ、装置A、B、Cに対応したグラフであってもよい。各装置の異常情報の履歴と、当該装置を用いて製造(加工)した場合の製品の製造歩留りの対応を、記憶装置(
図5の1024)に記憶しておくか、あるいは、上記対応を、曲線(多項式等)で近時した式(多項式の係数)を事前に記憶装置(
図5の1024)に記憶しておくか、上記対応に関する相関係数を記憶装置(
図5の1024)に事前に記憶しておくようにしてもよい。
【0087】
グラフ(直線)(1)、(2)、(3)が、異常の場所として、装置A、B、Cにそれぞれ対応しており、例えば故障予兆検知部101で装置Bに異常が検知された場合、異常特定部1021は、グラフ(2)を選択する。許容信号値算出部1022は、記憶装置1025に事前に記憶されている製造歩留り(低下量)の許容値(Y軸)と、グラフ(2)の交点のX座標から許容信号値を求める。
【0088】
あるいは、
図7Aのグラフ(直線)(1)、(2)、(3)は同一装置Aの異なる種類の異常に対応したグラフであってもよい。故障予兆検知部101で装置Aの異常が検出された場合、異常特定部1021は、波形の特徴量から異常の種類を特定し、特定された異常の種類に対応して例えばグラフ(2)を選択する。許容信号値算出部1022は、製造歩留りの許容値(Y軸)とグラフ(2)の交点のX座標から許容信号値を求める。
【0089】
図7Bは、メンテナンス限界時期算出部1023の処理を模式的に説明する図である。
図7BのX軸は日にち、Y軸は
図7AのX軸の信号値に対応しており、
図7Aで求められた許容信号値が示されている。現在日(装置の異常を検知した日であってもよい)に対して、生産計画情報(当該製品をいつまでに何ロット製造するか)と、生産実績情報(現在日までに製造したロット数)から、信号値の推移曲線を算出し、許容信号値と曲線の交点のX座標を「メンテナンス限界時期」とする。なお、メンテナンス限界時期は「日にち」を単位とせず、時間(日時)(例えばメンテナンス限界時期は何月何日の何時等)としてもよい。なお、メンテナンス限界時期は、生産ライン、装置、生産計画等に応じて、所定の時間幅を含む値であってもよいことは勿論である。
【0090】
図7Bにおいて、Y軸の信号値は、例えば製品の製造数(ロット)と正の相関を有するものとしてもよい。
図7Bにおいて、Y軸の信号値を、例えば頻度(異常検知の頻度)とした場合、現在日から製造する製品ロット数が多いと、装置に負荷がかかり、劣化の進行が早まる。その結果、現在日からの信号値である異常検知の頻度は、より多発する傾向を有する。現在日からの信号値の曲線の傾きはより大きくなり、許容信号値と曲線の交点のX座標であるメンテナンス限界時期はより現在日に近づく。Y軸の信号値を、信号強度(装置の電源電流波形の特徴量であって、異常の程度を反映した特徴量)とした場合、現在日からの製造する製品ロット数がより多いと装置に負荷がかかり、劣化の進行が早まる。すなわち、この場合、信号値の曲線の傾きは大きくなり、許容信号値と曲線の交点のX座標であるメンテナンス限界時期はより現在日に近づくことになる。
【0091】
図8は、
図1のメンテナンス時期算出部103の構成を例示する図である。
図9は、メンテナンス時期算出部103の動作を説明する流れ図である。
【0092】
図8を参照すると、メンテナンス時期算出部103は、装置のメンテナンス限界時期入力部1031と、他の参照情報入力部1032と、メンテナンス時期算出部1033を備えている。
【0093】
図9を参照すると、装置のメンテナンス限界時期入力部1031は、メンテナンス限界時期算出部102の記憶装置1028から、メンテナンス限界時期を入力する(ステップS31)。
【0094】
他の参照情報入力部1032は、メンテナンス限界時期算出部102から入力されたメンテナンス限界時期(メンテナンス限界日)を記憶する記憶装置1029から、他の装置のメンテナンス限界時期を入力し、記憶装置1034から、装置(ライン、工場等)の稼働休止日、ラインの製造段取り替え時期等の情報を入力する(ステップS32)。
【0095】
メンテナンス時期算出部1033は、入力した情報に基づき、メンテナンス時期を算出する(ステップS33)。
【0096】
メンテナンス時期算出部1033は、生産ラインを構成する複数の装置のメンテナンス猶予期間の時間的に共通する時間区間内で、同一の時期に、各装置のメンテナンス時期を合わせるようにしてもよい。
【0097】
メンテナンス時期算出部1033は、生産ラインの稼働休止時期(稼働休止日)又は製造段取り替え時期が、装置の異常検知時点よりも後であり、且つ、装置のメンテナンス限界時期よりも早い場合には、1つ又は複数の装置のメンテナンス時期を、稼働休止時期(稼働休止日)又は製造段取り替え時期に設定するようにしてもよい。
【0098】
図10は、
図1の実施形態を説明する図である。なお、
図10では、装置A乃至Cに対する処理が示されているが、装置の数は3に限定されるものでないことは勿論である。
【0099】
装置A、B、Cの各々に対して故障予兆検知処理(ステップS1)が行われ、装置A、B、Cの各々のメンテナンス限界時期が算出される(ステップS2)。
【0100】
メンテナンス時期算出部103は、装置A、B、Cの各々に対して算出されたメンテナンス限界時期と、他の情報(稼働休止日、製造段取り替え時期等)に基づき、メンテナンス時期を算出する(ステップS3)。メンテナンス時期出力部104はメンテナンス時期を表示する(ステップS4)。
【0101】
なお、
図10では、単に説明のため、装置A乃至Cに対して異常が検知された場合が例示されている。なお、ある装置で異常が検知され、当該装置の異常検知後、且つ、当該装置のメンテナンス限界時期以前の期間(メンテナンス猶予期間)に、他の装置のメンテナンス限界時期が存在しない(時間的にオーバラップしない)場合、当該装置の前記メンテナンス猶予期間内で設定されたメンテナンス時期に、当該装置のメンテナンスが行われる。ただし、この場合、当該装置のメンテナンス時期の設定にあたり、前記他の装置のメンテナンス限界時期が時間的に当該装置のメンテナンス猶予期間の後に位置する場合、当該装置の前記メンテナンス猶予期間内で設定されたメンテナンス時期に、当該装置と前記他の装置のメンテナンスを共通に行うようにしてもよい。一方、当該装置のメンテナンス猶予期間内に他の装置のメンテナンス限界時期が存在する場合、前記他の装置のメンテナンス猶予期間と当該装置のメンテナンス猶予期間とが時間的に重なる時間区間内にメンテナンス時期を設定し、このメンテナンス時期に、前記他の装置と当該装置のメンテナンスを共通に行うようにしてもよい。
【0102】
また、当該装置の前記メンテナンス猶予期間内に、例えば稼働休止時期又は製造段取り替え時期があれば、稼働休止時期又は製造段取り替え時期に、当該装置のメンテナンスを行うようにしてもよい。なお、この場合、稼働休止時期又は製造段取り替え時期が、当該装置のメンテナンス時期を完全に包含せず(稼働休止時期又は製造段取り替え時期の長さ<メンテナンス時期)、稼働休止時期又は製造段取り替えの時期が、当該装置のメンテナンス時期の一部と重なる場合であってもよい。当該装置の前記メンテナンス猶予期間内に、稼働休止時期又は製造段取り替え時期がなければ、随時、当該装置のメンテナンスを行うようにしてもよい。さらに稼働休止時期又は製造段取り替えの時期が、メンテナンス猶予期間と時間的に重なる複数の装置がある場合、複数の装置のメンテナンスを稼働休止時期又は製造段取り替え時期に行うようにしてもよい。
【0103】
<比較例との対比>
図11は比較例を説明する図である。
図12は本発明の適用例を説明する図である。
図11に示す例は、装置の異常が検知されると随時メンテナンスを行う場合を時間の経過とともに説明する図である。
図11の例では、例えば、装置の故障予兆の検知が行われてから一定期間経過後に当該装置のメンテナンスが行われるものとする。
図11の(A)、(B)、(C)において横軸は時間を表しており、
図11の(A)、(B)、(C)で共通とする。縦軸は、そのレベルにより、装置の正常、異常、故障に類別可能な信号値(装置の異常発生頻度等であってもよい)を表している。なお、
図11の(A)、(B)、(C)の各縦軸において、異常、故障のレベルは装置の種別、異常、故障の発生箇所、種別、原因等に応じて相違しているが、簡単のため、同一としている。なお、
図11では、説明のために、装置A、B、Cのいずれも異常が検知される場合が例示されている。
【0104】
図11の(A)において、信号値が「正常」から所定の傾斜で伸びるグラフa1〜a4は、それぞれ、装置Aの状態(正常、異常、故障等の状態)の時間推移を、連続的且つ傾きが一定の直線として表している。なお、グラフa1〜a4の各々は、
図7Bの信号値のグラフに対応する。装置Aの状態の時間推移は、一般に、時間の経過とともに一律には変化せず、非連続変化等、各種変動を伴うが、
図11では、簡単のため、直線で表わしている。グラフ(直線)a1〜a4の上の○印は、装置Aの信号値が異常レベル(閾値)を超えた時点(異常を検知した時点)を表している。各○印は、例えば
図3において、故障予兆検知部101の異常判定部1013が電流波形の特徴量が閾値を超えたことを検知した場合に対応する。
【0105】
比較例では、異常検知から所定期間経過後に当該装置Aのメンテナンスを行う。所定期間は、装置ごとにそれぞれ設定した値であってもよく、異なる値であってもよい。
図11の(A)を参照すると、装置Aの場合、異常検知から一定時間(予め定められた時間)が経過した後の時間T2(日時であってもよい)にメンテナンスが行われる。その結果、装置Aは正常に復帰し、装置Aの状態の時間推移は、グラフ(直線)a2で推移する。なお、グラフ(直線)a1の時間T2以降の延長線(破線で示す)は時間T2でメンテナンスを行わない場合の装置Aの状態の仮想的な時間推移を表している。異常検知後、メンテナンスを行わないで稼働させると、状態は故障の領域に入る。装置のメンテナンスは、装置が故障状態となる前に行われる。
図11の(B)、(C)の装置B、Cに関する状態n時間推移b1〜b3、c1〜c4の各々における異常検知、メンテナンスは、
図11の(A)のグラフa1〜a4と同様である。なお、
図11の(A)、(B)、(C)において、単に説明を容易とするため、異常を検知するための異常レベル(Y軸の値)を同一としているが、装置A〜Cにおいて、装置の種類に応じて、異なる値であってもよいことは勿論である。
【0106】
図11から、
1回目:時間T1で装置Cのメンテナンス、
2回目:時間T2で装置Aのメンテナンス、
3回目:時間T3で装置Cのメンテナンス、
4回目:時間T4で装置Bのメンテナンス、
5回目:時間T5で装置Aのメンテナンス、
6回目:時間T6で装置Cのメンテナンス、
7回目:時間T7で装置Bのメンテナンス、
8回目:時間T8で装置Aのメンテナンス、
の8回となる。装置A、装置B、装置Cが生産ラインを構成している場合、各装置のメンテナンスの都度、生産ラインは8回停止することになる。
【0107】
これに対して、本実施形態を説明する
図12を参照すると、装置A、装置B、装置Cに対して、共通なメンテナンス時期が算出される。そして、共通なメンテナンス時期に、装置A、装置B、装置Cのメンテナンスが行われる。装置A、装置B、装置Cが生産ラインを構成している場合、各装置のメンテナンスによる当該生産ラインの停止は4回となる。
図11の比較例(生産ラインの停止は8回)と比べて、生産ラインの操業の効率化を図ることができる。
【0108】
図12も、
図11の比較例と同様に、装置の異常が検知されると随時メンテナンスを行う場合を、時間の経過とともに説明する図である。
図12の(A)、(B)、(C)において横軸は時間を表しており、
図12の(A)、(B)、(C)で共通とする。
図12の(A)、(B)、(C)において縦軸は、
図11の(A)、(B)、(C)と同様、そのレベルにより、装置の正常、異常、故障に判別可能な信号値を表している。なお、
図12の(A)、(B)、(C)の各縦軸において、異常、故障のレベルは装置の種別、異常、故障の発生箇所、種別、原因等に応じて相違していてもよいが、簡単のため、同一としている。なお、
図12では、説明のために、装置A、B、Cのいずれも異常が検知される場合が例示されている。
【0109】
図12の(A)において、信号値が正常から所定の傾斜で伸びるグラフa1は、装置Aの状態(正常、異常、故障等)の状態の時間推移を連続的に直線として表している。装置Aの状態の時間推移は、時間の経過とともに一律には変化せず、非連続変化等、各種変動を伴うが、簡単のため、直線で表わしている。グラフ(直線)a1上の○印は、装置Aの信号値が異常レベル(閾値)を超えた時点を表している。各○印は、例えば
図3において、故障予兆検知部101の異常判定部1013が電流波形の特徴量が閾値を超えたことを検知した場合に対応する。なお、
図12の(A)において、グラフ(直線)a1〜a4の傾きは、それぞれ、
図11の(A)のグラフ(直線)a1〜a4の傾きと同一とされる。
【0110】
故障予兆検知部101が例えば装置Aの電流波形の特徴量が閾値を超えたことを検知したとき(時間:TA2S)、メンテナンス限界時期算部102は、メンテナンス限界時期(時間:TA2E)を算出する。メンテナンス限界時期(時間:TA2E)は、装置Aの状態の時間推移を表すグラフ(直線)a1が、メンテナンス猶予限界を超えるタイミング(日時)(グラフ(直線)a1の延長線(破線)とメンテナンス猶予限界との交点のX座標)に対応している。なお、
図12の(A)、(B)、(C)の「メンテナンス猶予限界」は、
図7Bの「許容信号値」に対応している。
【0111】
装置Aの状態について、故障予兆検知部101による異常検知のタイミングTA2Sを始端、メンテナンス限界時期TA2Eを終端とする期間が、メンテナンス猶予期間となる。
【0112】
図12の(B)の装置Bについても、
図1の故障予兆検知部101が例えば装置Bの電流波形の特徴量が閾値を超えたことを検知したとき(時間:TB2S)、メンテナンス限界時期算部102は、装置Bのメンテナンス限界時期(時間:TB2E)を算出する。TB2SからTB2Eの期間が、メンテナンス猶予期間となる。なお、
図12の(B)において、装置Bの状態の時間推移を表すグラフ(直線)b1〜b3の傾きは、それぞれ、
図11の(B)のグラフ(直線)b1〜b3の傾きと同一とされる。
【0113】
図12の(C)の装置Cについても、
図1の故障予兆検知部101が例えば装置Cの電流波形の特徴量が閾値を超えたことを検知したとき(時間:TC2S)、メンテナンス限界時期算部102は、装置Cのメンテナンス限界時期(時間:TC2E)を算出する。TC2SからTC2Eの期間が、メンテナンス猶予期間となる。なお、
図12の(C)において、装置Cの状態の時間推移を表すグラフ(直線)c1〜c4の傾きは、それぞれ、
図11の(C)のグラフ(直線)c1〜c4の傾きと同一とされる。
【0114】
図1のメンテナンス時期算出部103は、
図12の(A)、(B)、(C)の装置A、B、Cのメンテナンス猶予期間[TA2S,TA2E]、[TB2S,TB2E]、[TC2S,TC2E]に共通に含まれる時間区間から、メンテナンス時期を求める。その際、前述したように、装置A、B、Cのメンテナンス限界時期以前であることを条件として、メンテナンス時期算出部103は、稼働休止日、製造段取り替え時期情報等に基づき、メンテナンス時期を求めようにしてもよい。
図12の例ではメンテナンス対象となる装置Aのメンテナンス猶予期間である[TA2S,TA2E]内のある時点で装置B、Cのメンテナンスを同時にまとめて行っている。なお、
図12の(A)、(B)、(C)では、単に、説明の容易化のため、装置のメンテナンスの期間は図示されていず、メンテナンスにより、同一のタイミング(時間)で、装置A,B、Cは正常状態に復帰しているが、装置A、B、Cのメンテナンスに要する時間(メンテナンス作業時間)は互いに相違してもよいことは勿論である。
【0115】
このように、メンテナンス時期算出部103は、ある装置、例えば
図12の(A)の装置Aに対して算出されたメンテナンス猶予期間(例えば[TA2S,TA2E])と、少なくも一つの他の装置(例えば
図12の(B)、(C)の装置B及び/又は装置C)に対して算出されたメンテナンス猶予期間(例えば
図12の(B)、(C)の[TB2S,TB2E]、[TC2S,TC2E])に基づいて、装置Aと他の装置(装置B及び/又は装置C)に共通なメンテナンス時期を算出するようにしてもよい。具体的に説明すると、上記の共通なメンテナンス時期とは、複数の装置における各装置のメンテナンス猶予期間が、時間的に重なる時間において、メンテナンス時期を設定する。その結果、1回のメンテナンス時期において、複数の装置に対してメンテナンスを実施することができる。例えば、
図12の例では、例えば、装置A、B、Cのメンテナンス猶予期間が重複する時間(時期)T2に、メンテナンス時期を設定することで、一度に、装置A、B、Cのメンテナンスを実施することができる。
【0116】
図12の例では、装置A、B、Cのメンテナンスの時期は、メンテナンス時期1〜4となり、各装置のメンテナンスによる生産ラインの停止は4回となる。すなわち、
図11の比較例と比べて、生産ラインの停止回数を大幅に削減し、生産ラインの効率化を図ることができる。
【0117】
図13は、本発明の第1の実施形態を説明する図である。
図13の(A)に示すように、装置Aのメンテナンス時期のあとに、装置Aで生産(加工)する製品を製品Aから製品Bに切り替える製造段取り替え時期(稼働休止時期)があるものとする。
図13の(A)において、製造段取り替え時期(稼働休止時期)が、装置Aのメンテナンス猶予期間の範囲内に含まれる場合(装置Aのメンテナンス限界時期が製造段取り替え時期(稼働休止時期)よりも時間的に後に位置する)、
図13の(B)に示すように、製造段取り替え時期(稼働休止時期)に装置Aのメンテナンス時期を設定するようにしてもよい。製造段取り替え時期(稼働休止時期)に、装置Aのメンテナンスを実施することで、装置Aのメンテナンスに起因する生産ラインの停止時間を低減することができる。
【0118】
なお、
図13の例では、装置Aのメンテナンス時期(期間)が製造段取り替え時期(稼働休止時期)よりも長く、
図13の(B)では、製造段取り替え時期(稼働休止時期)と装置Aのメンテナンス時期(期間)が一部と重なる場合が例示されているが、製造段取り替え時期(稼働休止時期)が、装置Aのメンテナンス時期(期間)よりも長い場合であってもよいことは勿論である。また、製造段取り替え時期(稼働休止時期)に、メンテナンス猶予期間が時間的に重なる複数の装置がある場合、複数の装置のメンテナンスを稼働休止時期又は製造段取り替え時期に行うようにしてもよい。
【0119】
図21の(A)、(B)、(C)は、
図12の(A)、(B)、(C)と同様に、装置A、B、Cの異常が検知されると随時メンテナンスを行う場合を、時間の経過とともに説明する図である。装置B、C(
図21の(B)、(C))に対して算出されたメンテナンス猶予期間と、装置A(
図21の(A))に対して算出されたメンテナンス限界時期とに基づいて、メンテナンス時期を決定してもよい。例えばメンテナンス時期1の場合、装置Aのメンテナンス限界時期にメンテナンス時期が設定されており、メンテナンス時期を可能な範囲で遅くすることができる。
【0120】
なお、
図1のメンテナンス計画策定装置100は、例えば
図20に示すように、コンピュータシステムに実装してもよい。
図20を参照すると、サーバコンピュータ等のコンピュータシステム110は、プロセッサ(CPU(Central Processing Unit)、データ処理装置)111、半導体メモリ(例えばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、又は、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)等)、HDD(Hard Disk Drive)、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の少なくともいずれかを含む記憶装置112と、表示装置113と、測定器、電流センサ等で取得した電流波形を通信網を介して取得する通信インタフェース114を備えている。記憶装置112に
図1の故障予兆検知部101、メンテナンス限界時期算出部102、メンテナンス時期算出部103、メンテナンス時期出力部104の処理を実現するプログラムを記憶しておき、プロセッサ111が、該プログラムを読み出して実行することで、上記した実施形態のメンテナンス計画策定装置100を実現するようにしてもよい。メンテナンス時期を表示装置113に出力するプロセッサ111のメンテナンス時期出力部104は、通信インタフェース114を介して通信網に接続する端末(不図示)の表示部にメンテナンス時期を表示させるようにしてもよいし、記憶装置112にメンテナンス時期を格納するようにしてもよい。コンピュータシステム110はメンテナンス計画策定サービスをクラウドサービスとしてクライアントに提供するクラウドサーバとして実装するようにしてもよい。
【0121】
本実施形態によれば、装置の故障予兆に基づき行われるメンテナンスに関して、生産ラインの停止時間の低減、生産性の向上等の観点から、適正なメンテナンス計画の策定を可能としている。
【0122】
<第2の実施形態>
次に本発明の第2の例示的な実施形態について説明する。第2の実施形態の構成は、
図1等を参照して説明した前記第1の実施形態と同様である。このため、第2の実施形態の構成の説明は省略する。前記第1の実施形態では、複数の装置の各々について故障予兆検知結果に基づきメンテナンス限界時期を算出し、複数の装置に対して共通なメンテナンス時期を算出しているが、異常が検知された一つの装置において、別の異常が検知される場合についても、同様にして、適用可能である。以下では、装置において、一つの異常が検知された後、別の箇所に異常が検知される場合について、装置が複数の要素(あるいは複数の機器、あるいは複数の部品等)から構成され、同一装置内の複数の要素に関するメンテナンス計画の策定を行う場合について説明する。
【0123】
例えばプリント基板の所定の場所に電子部品を実装するマウンタ装置は、XYステージ、電子部品を吸着して運ぶヘッド、電子部品を供給するフィーダ配置部、基板の位置決めや電子部品の装着を制御するための画像認識用装置、基板を搬送するコンベア等の構成要素を備えている。XYステージ、フィーダ部、コンベア等の駆動部等の電流波形や振動波形、画像情報に基づき、各構成要素の故障予兆検知を行い、メンテナンス時期を算出するようにしてもよい。本実施形態は、前記第1の実施形態において、装置A等を装置Aの構成要素である要素1、要素2、要素nと読み替えることで実現される。なお、装置内の1つの構成要素に関して、複数の異常が検知された場合、当該構成要素が複数の部分要素から構成され、複数の異常が異なる複数の部分要素で検知された場合、当該複数の部分要素に対して、第2の実施形態が適用される。
【0124】
図14は、第2の実施形態を説明する図である。
図1の故障予兆検知部101は、装置A内の要素1〜要素nの各々に対して、
図18Aに示した測定器200で各要素に供給される電流を取得し故障予兆検知を行う(ステップS1)。異常が検知された要素に対して、各々のメンテナンス限界時期が算出される(ステップS2)。なお、説明の都合で要素1〜要素nに異常が検知され、各要素のメンテナンス限界時期を算出する場合が例示されているが、要素1の異常が検知され、要素1のメンテナンス限界時期よりも前に、他の要素の異常が検知されなかった場合には、要素1のメンテナンス限界時期以前又は装置Aの稼働休止時期等に要素1のメンテナンスが行われる。複数の要素のメンテナンス限界時期が算出されている場合、メンテナンス時期算出部103は、要素に対して算出されたメンテナンス限界時期と、他の情報(稼働休止日、製造段取り替え時期等)に基づき、メンテナンス時期を算出する(ステップS3)。メンテナンス時期出力部104はメンテナンス時期を表示する(ステップS4)。
【0125】
図17は、第2の実施形態において、装置Aの要素の異常が検知されると随時メンテナンスを行う場合を、時間の経過とともに説明する図であり、前述した
図12を参照して説明した図式に対応している。
図17の(A)、(B)、(C)において、横軸は時間を表しており、
図17の(A)、(B)、(C)で共通とする。
図17の(A)、(B)、(C)において縦軸は、
図12の(A)、(B)、(C)と同様、そのレベルにより、要素の正常、異常、故障に判別可能な信号値(要素の異常発生頻度等であってもよい)を表している。なお、
図17の(A)、(B)、(C)の各縦軸において、異常、故障のレベルは要素の種別、異常、故障の発生箇所、種別、原因等に応じて相違しているが、簡単のため、同一としている。
【0126】
図17の(A)において、信号値が正常から所定の傾斜で伸びるグラフP1−1は、要素1の状態(正常、異常、故障等の状態)の時間推移を連続的に直線として表している。要素1の状態の時間推移は、必ずしも時間の経過とともに一律には変化せず、非連続変化等、各種変動を伴うが、簡単のため、直線で表わしている。グラフ(直線)P1−1上の○は、要素1の信号値が異常レベル(閾値)を超えた時点を表している。故障予兆検知部101が例えば要素1の電流波形の特徴量が閾値を超えたことを検知したとき(時間:T2−1S)、メンテナンス限界時期算部102は、メンテナンス限界時期(時間:T2−1E)を算出する。メンテナンス限界時期(時間:T2−1E)は、要素1の状態の時間推移を表すグラフP1−1が、メンテナンス猶予限界を超えるタイミング(日時)に対応している。
図17の(A)、(B)、(C)の「メンテナンス猶予限界」は、
図7Bの「許容信号値」に対応している。異常検知のタイミングT2−1Sを始端、メンテナンス限界時期T2−1Eを終端とする期間が、要素1のメンテナンス猶予期間となる。
【0127】
図17の(B)の要素2についても、
図1の故障予兆検知部101が例えば要素2の電流波形の特徴量が閾値を超えたことを検知したとき(時間:T2−2S)、メンテナンス限界時期算部102は、要素2のメンテナンス限界時期(時間:T2−2E)を算出する。T2−2SからT2−2Eの期間が、要素2のメンテナンス猶予期間となる。
【0128】
図17の(C)の要素nについても、
図1の故障予兆検知部101が例えば要素nの電流波形の特徴量が閾値を超えたことを検知したとき(時間:T2−nS)、メンテナンス限界時期算部102は、要素nのメンテナンス限界時期(時間:T2−nE)を算出する。T2―nSからT2―nEの期間が、要素nのメンテナンス猶予期間となる。
【0129】
図1のメンテナンス時期算出部103は、
図17の(A)、(B)、(C)の要素1、2、・・・nのメンテナンス猶予期間[T2−1S,T2−1E]、[T2―2S,T2−2E]、・・・、[T2―nS,T2―nE]に共通に含まれる時間区間から、メンテナンス時期を求める。その際、前述したように、要素のメンテナンス猶予期間内であることを条件として、メンテナンス時期算出部103は、稼働休止日、製造段取り替え時期情報等に基づき、メンテナンス時期を求めようにしてもよい。
図17の例ではメンテナンス対象となる要素1のメンテナンス猶予期間である[T2−1S,T2−1E]内のある時期T2で要素2、3のメンテナンスを同時にまとめて行っている。なお、
図17の(A)、(B)、(C)では、
図12と同様、単に、説明の容易化のため、装置のメンテナンスの期間は図示されていず、メンテナンスにより、同一のタイミング(時間)で、要素1〜nは正常状態に復帰しているが、要素1〜nのメンテナンスに要する時間は互いに相違してもよいことは勿論である。
【0130】
図15は、第2の実施形態の変形例1を説明する図である。
図15は、装置Aについては複数の要素1〜nの故障予兆検知処理を要素単位で行い、装置B、装置Cについては故障予兆検知処理を装置単位で行う(ステップS1)。装置Aのうち異常が検知された要素1〜nの各々のメンテナンス限界時期が算出される(ステップS2)。また、装置B、Cに対して各々のメンテナンス限界時期が算出される(ステップS2)。
【0131】
メンテナンス時期算出部103は、装置Aのうち異常が検知された要素1〜nに対して算出されたメンテナンス限界時期と、装置B、Cに対して算出されたメンテナンス限界時期と、他の情報(稼働休止日、製造段取り替え時期等)に基づき、装置Aの要素1〜nと装置B、Cのメンテナンス時期を算出する(ステップS3)。
【0132】
図16は、第2の実施形態の変形例2を説明する図である。装置Aについて、複数の要素A1〜Anの故障予兆検知処理を要素単位で行う。装置B、Cについても、複数の要素の故障予兆検知処理を要素単位で行う(ステップS1)。装置A、B、Cのうち異常が検知された要素に対して、各々のメンテナンス限界時期が算出される(ステップS2)。
【0133】
メンテナンス時期算出部103は、装置内の要素に対して算出されたメンテナンス限界時期と、他の装置内の要素に対して算出されたメンテナンス限界時期と、他の情報(稼働休止日、製造段取り替え時期等)に基づき、同一装置内の複数の要素に対してメンテナンス時期を算出する(ステップS3−1)。
【0134】
次に、メンテナンス時期算出部103は、各装置A、B、Cについてそれぞれ算出されたメンテナンス時期から、装置A、B、Cに共通なメンテナンス時期を算出する(ステップS3−2)。メンテナンス時期算出部103は、ステップS3−2では、各装置のメンテナンス時期のうち、各装置の異常検知時点以降で最も早いメンテナンス時期を選択すればよい。装置内でローカルにメンテナンス時期を求めておき、各装置のメンテナンス時期に基づき、複数の装置に対して共通のメンテナンス時期を求めることで(一種の分割統治(divide and conquer algorithm))、1つの装置内の要素の数が多くなり、装置内で異常が検知される要素が多くなる場合等に、演算処理の効率化に資する。
【0135】
上記した第2の実施形態においても、前記第1の実施形態と同様、
図20に示したコンピュータシステム110に実装するようにしてもよい。第2の実施形態においても、装置の構成要素の故障予兆の検知に基づき行われる装置のメンテナンスに関して、生産ラインの停止時間の削減等の観点から、メンテナンスの適正な計画策定を可能としている。
【0136】
前記第1、第2の実施形態では、生産ラインの装置のメンテナンスを例に説明したが、店舗等の電気設備等に対しても、同様にして適用可能である。この場合、
図7Aの「製造歩留り(低下)」は、例えば店舗の「売上(低下)」に読み替えることができる。また、
図5の「生産計画」、「生産実績」は、それぞれ「売上目標」、「売上実績」に読み替えることで、前記第1、第2の実施形態の構成が適用可能である。
【0137】
なお、上記の特許文献1−3、非特許文献1、2の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ乃至選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【0138】
上記した実施形態は、例えば以下のように付記される(ただし、以下に制限されない)。
【0139】
(付記1)
少なくとも一つの装置の状態を取得し、前記装置が故障する前の予兆となる異常を検出する故障予兆検知部と、
前記異常が検出された前記装置のメンテナンス時期の限界を示すメンテナンス限界時期を算出するメンテナンス限界時期算出部と、
前記装置のメンテナンス限界時期に基づき、前記装置のメンテナンス時期を算出するメンテナンス時期算出部と、
前記メンテナンス時期を表示装置に出力するメンテナンス時期出力部と、
を備えた、ことを特徴とするメンテナンス計画策定装置。
【0140】
(付記2)
前記メンテナンス限界時期算出部は、
前記故障予兆検知部による前記装置の異常の検知時点を始端、前記メンテナンス限界時期を終端とするメンテナンス猶予期間を生成し、
前記メンテナンス時期算出部は、
前記装置のメンテナンス時期を、前記メンテナンス猶予期間内の所定の時期に設定する、ことを特徴とする付記1に記載のメンテナンス計画策定装置。
【0141】
(付記3)
前記メンテナンス時期算出部は、
前記装置に対して算出された前記メンテナンス猶予期間と、少なくとも一つの他の装置に対して算出された前記メンテナンス猶予期間に基づき、前記装置と、少なくとも一つの他の装置に共通なメンテナンス時期を算出する、ことを特徴とする付記2に記載のメンテナンス計画策定装置。
【0142】
(付記4)
前記メンテナンス限界時期算出部は、
前記装置の状態の前記異常の検知より後の時間推移と、前記装置の状態の許容値に基づき、前記メンテナンス限界時期を算出する、ことを特徴とする付記1乃至3のいずれか一に記載のメンテナンス計画策定装置。
【0143】
(付記5)
前記装置の異常に対応する過去の異常情報を記憶する記憶装置を備え、
前記メンテナンス限界時期算出部は、
前記装置の異常に対応する前記過去の異常情報に基づき、前記装置がその生産に係る製品の歩留りの許容値に対応して、前記装置の状態の許容値を求める、ことを特徴とする付記1乃至4のいずれか一に記載のメンテナンス計画策定装置。
【0144】
(付記6)
前記過去の異常情報は、前記装置がその生産に係る製品の歩留りと、前記装置の状態を表す信号値との相関関係を含み、
前記メンテナンス限界時期算出部は、
前記検知された前記装置の異常の種類、場所、原因の少なくとも一つに基づき、前記異常の種類、場所、原因の少なくとも一つに対応する過去の異常情報を選択し、
選択された前記過去の異常情報における、前記装置がその生産に係る製品の歩留りの許容値に対応する許容信号値を算出し、前記装置の状態の許容値とする、ことを特徴とする付記5に記載のメンテナンス計画策定装置。
【0145】
(付記7)
前記メンテナンス限界時期算出部は、
前記異常が検出された前記装置が生産に関与する製品の生産計画情報と前記製品の生産実績情報に基づき予測される、前記装置の状態に関する前記異常検知以降の時間推移と、前記装置の状態の許容値に基づき、前記メンテナンス限界時期を求める、ことを特徴とする付記1乃至6のいずれか一に記載のメンテナンス計画策定装置。
【0146】
(付記8)
前記メンテナンス時期算出部は、
前記装置のメンテナンス限界時期に加えて、
少なくとも一つの他の装置のメンテナンス限界時期、
稼働休止時期、および、
製造段取り替え時期、
の少なくとも一つの時期に基づき、前記装置のメンテナンス時期を算出する、ことを特徴とする付記1乃至7のいずれか一に記載のメンテナンス計画策定装置。
【0147】
(付記9)
前記メンテナンス時期算出部は、
前記装置のメンテナンス限界時期と、
前記装置内で検知された別の異常に対するメンテナンス限界時期に加えて、
少なくとも一つの他の装置のメンテナンス限界時期、
稼働休止時期、および、
製造段取り替え時期、
の少なくとも一つの時期に基づき、前記装置のメンテナンス時期を算出する、ことを特徴とする付記1乃至7のいずれか一に記載のメンテナンス計画策定装置。
【0148】
(付記10)
前記故障予兆検知部は、
前記装置の電源電流を取得する電流センサ、
前記装置の振動を検知する振動センサ、および、
前記装置の画像情報を取得する画像センサ、
の少なくとも一つのセンサで取得された情報に基づき、前記装置の前記異常を検知する、ことを特徴とする付記1乃至9のいずれか一に記載のメンテナンス計画策定装置。
【0149】
(付記11)
前記故障予兆検知部は、前記装置の電源電流波形を取得し、前記電源電流波形の特徴量を予め設定された閾値と比較して異常を検知する、ことを特徴とする付記1乃至10のいずれか一に記載のメンテナンス計画策定装置。
【0150】
(付記12)
前記故障予兆検知部は、
前記装置の電源電流波形を取得し、前記電源電流波形の特徴量を予め設定された閾値と比較することで、前記装置の状態の異常を検知し、
前記メンテナンス限界時期算出部は、
前記異常が検知された前記装置の前記電源電流波形の特徴量に予め設定されている許容値と、前記装置の前記電源電流波形の特徴量の異常検知以降の時間推移に基づき、前記メンテナンス限界時期を算出する、ことを特徴とする付記11に記載のメンテナンス計画策定装置。
【0151】
(付記13)
コンピュータによるメンテナンス計画策定方法であって、
少なくとも一つの装置の状態を取得し、前記装置が故障する前の予兆となる異常を検出する故障予兆検知ステップと、
前記異常が検出された前記装置のメンテナンス時期の限界を示すメンテナンス限界時期を算出するメンテナンス限界時期算出ステップと、
前記装置のメンテナンス限界時期に基づき、前記装置のメンテナンス時期を算出するメンテナンス時期算出ステップと、
前記メンテナンス時期を表示装置に出力するステップと、
を含む、ことを特徴とするメンテナンス計画策定方法。
【0152】
(付記14)
前記メンテナンス限界時期算出ステップは、
前記装置の異常の検知時点を始端、前記メンテナンス限界時期を終端とするメンテナンス猶予期間を生成し、
前記メンテナンス時期算出ステップは、
前記装置のメンテナンス時期を、前記メンテナンス猶予期間内の所定の時期に設定する、ことを特徴とする付記13に記載のメンテナンス計画策定方法。
【0153】
(付記15)
前記メンテナンス時期算出ステップは、
前記装置に対して算出された前記メンテナンス猶予期間と、少なくとも一つの他の装置に対して算出された前記メンテナンス猶予期間に基づき、前記装置と、少なくとも一つの他の装置に共通なメンテナンス時期を算出する、ことを特徴とする付記14に記載のメンテナンス計画策定方法。
【0154】
(付記16)
前記メンテナンス限界時期算出ステップは、
前記装置の状態の前記異常の検知より後の時間推移と、前記装置の状態の許容値に基づき、前記メンテナンス限界時期を算出する、ことを特徴とする付記13乃至15のいずれか一に記載のメンテナンス計画策定方法。
【0155】
(付記17)
前記メンテナンス限界時期算出ステップは、
前記装置の異常に対応する過去の異常情報を記憶する記憶装置を参照し、前記検知された前記装置の異常に対応する前記過去の異常情報に基づき、前記装置がその生産に係る製品の歩留りの許容値に対応して、前記装置の状態の許容値を求める、ことを特徴とする付記13乃至16のいずれか一に記載のメンテナンス計画策定方法。
【0156】
(付記18)
前記過去の異常情報は、前記装置がその生産に係る製品の歩留りと、前記装置の状態の劣化を表す信号値との相関関係を含み、
前記メンテナンス限界時期算出ステップは、
前記検知された前記装置の異常の種類、場所、原因の少なくとも一つに基づき、前記異常の種類、場所、原因の少なくとも一つに対応する過去の異常情報を選択し、
選択された前記過去の異常情報における、前記装置がその生産に係る製品の歩留りの許容値に対応する許容信号値を算出し、前記装置の状態の前記許容値とする、ことを特徴とする付記17に記載のメンテナンス計画策定方法。
【0157】
(付記19)
前記メンテナンス限界時期算出ステップは、
前記異常が検出された前記装置が生産に関与する製品の生産計画情報、生産実績情報に基づき予測される、前記装置の状態に関する前記異常検知以降の時間推移と、前記装置の状態の前記許容値に基づき、前記メンテナンス限界時期を求める、ことを特徴とする付記13乃至18のいずれか一に記載のメンテナンス計画策定方法。
【0158】
(付記20)
前記メンテナンス時期算出ステップは、
前記装置のメンテナンス限界時期に加えて、
少なくとも一つの他の装置のメンテナンス限界時期、
稼働休止時期、および、
製造段取り替え時期、
の少なくとも一つの時期に基づき、前記装置のメンテナンス時期を算出する、ことを特徴とする付記13乃至18のいずれか一に記載のメンテナンス計画策定方法。
【0159】
(付記21)
前記メンテナンス時期算出ステップは、
前記装置のメンテナンス限界時期と、
前記装置内で検知された別の異常に対するメンテナンス限界時期に加えて、
少なくとも一つの他の装置のメンテナンス限界時期、
稼働休止時期、および、
製造段取り替え時期、
の少なくとも一つの時期に基づき、前記装置のメンテナンス時期を算出する、ことを特徴とする付記13乃至19のいずれか一に記載のメンテナンス計画策定方法。
【0160】
(付記22)
前記故障予兆検知ステップは、
前記装置の電源電流を取得する電流センサ、
前記装置の振動を検知する振動センサ、および、
前記装置の画像情報を取得する画像センサ、
の少なくとも一つのセンサで取得された情報に基づき、前記装置の前記異常を検知する、ことを特徴とする付記13乃至21のいずれか一に記載のメンテナンス計画策定方法。
【0161】
(付記23)
前記故障予兆検知ステップは、
前記装置の電源電流波形を取得し、前記電源電流波形の特徴量を予め設定された閾値と比較して異常を検知する、ことを特徴とする付記13乃至21のいずれか一に記載のメンテナンス計画策定方法。
【0162】
(付記24)
前記故障予兆検知ステップは、
前記装置の電源電流波形を取得し、前記電源電流波形の特徴量を予め設定された閾値と比較することで、前記装置の状態の異常を検知し、
前記メンテナンス限界時期算出ステップは、
前記異常が検知された前記装置の前記電源電流波形の特徴量に予め設定されている許容値と、前記装置の前記電源電流波形の特徴量の異常検知以降の時間推移に基づき、前記メンテナンス限界時期を算出する、ことを特徴とする付記23に記載のメンテナンス計画策定方法。
【0163】
(付記25)
コンピュータに、
少なくとも一つの装置の状態を取得し、前記装置が故障する前の予兆となる異常を検出する故障予兆検知処理と、
前記異常が検出された前記装置のメンテナンス時期の限界を示すメンテナンス限界時期を算出するメンテナンス限界時期算出処理と、
前記装置のメンテナンス限界時期に基づき、前記装置のメンテナンス時期を算出するメンテナンス時期算出処理と、
前記メンテナンス時期を表示装置に出力する処理と、
を実行させるプログラム。
【0164】
(付記26)
前記メンテナンス限界時期算出処理は、
前記装置の異常の検知時点を始端、前記メンテナンス限界時期を終端とするメンテナンス猶予期間を生成し、
前記メンテナンス時期算出処理は、
前記装置のメンテナンス時期を、前記メンテナンス猶予期間内の所定の時期に設定する、付記25に記載のプログラム。
【0165】
(付記27)
前記メンテナンス時期算出処理は、
前記装置に対して算出された前記メンテナンス猶予期間と、少なくとも一つの他の装置に対して算出された前記メンテナンス猶予期間に基づき、前記装置と、少なくとも一つの他の装置に共通なメンテナンス時期を算出する、付記26に記載のプログラム。
【0166】
(付記28)
前記メンテナンス限界時期算出処理は、
前記装置の状態の前記異常の検知より後の時間推移と、前記装置の状態の許容値に基づき、前記メンテナンス限界時期を算出する、付記25乃至27のいずれか一に記載のプログラム。
【0167】
(付記29)
前記メンテナンス限界時期算出処理は、
前記装置の異常に対応する過去の異常情報を記憶する記憶装置を参照し、前記検知された前記装置の異常に対応する前記過去の異常情報に基づき、前記装置がその生産に係る製品の歩留りの許容値に対応して、前記装置の状態の前記許容値を求める、付記25乃至28のいずれか一に記載のプログラム。
【0168】
(付記30)
前記過去の異常情報は、前記装置がその生産に係る製品の歩留りと、前記装置の状態の劣化を表す信号値との相関関係を含み、
前記メンテナンス限界時期算出処理は、
前記検知された前記装置の異常の種類、場所、原因の少なくとも一つに基づき、前記異常の種類、場所、原因の少なくとも一つに対応する過去の異常情報を選択し、
選択された前記過去の異常情報における、前記装置がその生産に係る製品の歩留りの許容値に対応する許容信号値を算出し、前記装置の状態の前記許容値とする、付記29に記載のプログラム。
【0169】
(付記31)
前記メンテナンス限界時期算出処理は、
前記異常が検出された前記装置が生産に関与する製品の生産計画情報、生産実績情報に基づき予測される、前記装置の状態に関する前記異常検知以降の時間推移と、前記装置の状態の前記許容値に基づき、前記メンテナンス限界時期を求める、付記25乃至30のいずれか一に記載のプログラム。
【0170】
(付記32)
前記メンテナンス時期算出処理は、
前記装置のメンテナンス限界時期に加えて、
少なくとも一つの他の装置のメンテナンス限界時期、
稼働休止時期、および、
製造段取り替え時期、
の少なくとも一つの時期に基づき、前記装置のメンテナンス時期を算出する、付記25乃至31のいずれか一に記載のプログラム。
【0171】
(付記33)
前記メンテナンス時期算出処理は、
前記装置のメンテナンス限界時期と、
前記装置内で検知された別の異常に対するメンテナンス限界時期に加えて、
少なくとも一つの他の装置のメンテナンス限界時期、
稼働休止時期、および、
製造段取り替え時期、
の少なくとも一つの時期に基づき、前記装置のメンテナンス時期を算出する、付記25乃至31のいずれか一に記載のプログラム。
【0172】
(付記34)
前記故障予兆検知処理は、
前記装置の電源電流を取得する電流センサ、
前記装置の振動を検知する振動センサ、および、
前記装置の画像情報を取得する画像センサ、
の少なくとも一つのセンサで取得された情報に基づき、前記装置の前記異常を検知する、付記25乃至33のいずれか一に記載のプログラム。
【0173】
(付記35)
前記故障予兆検知処理は、
前記装置の電源電流波形を取得し、前記電源電流波形の特徴量を予め設定された閾値と比較して異常を検知する、付記25乃至34のいずれか一に記載のプログラム。
【0174】
(付記36)
前記故障予兆検知処理は、
前記装置の電源電流波形を取得し、前記電源電流波形の特徴量を予め設定された閾値と比較することで、前記装置の状態の異常を検知し、
前記メンテナンス限界時期算出処理は、
前記異常が検知された前記装置の前記電源電流波形の特徴量に予め設定されている許容値と、前記装置の前記電源電流波形の特徴量の異常検知以降の時間推移に基づき、前記メンテナンス限界時期を算出する、付記35に記載のプログラム。