【実施例】
【0045】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。比較例1〜10および実施例1〜5は、それぞれの条件で5回同時に試験を行った。表1、表2、表3のそれぞれの値は、5回の試験の平均値である。
【0046】
(参考例1)GPC分子量分布測定
GPC分子量分析は以下の条件で実施した。
検出器:多波長紫外−可視吸収検出器 UV(島津製作所製SPD−M20A、波長254nm)
カラム:TSKgelGMPWXL、G2500PWXL直列に各1本(φ7.8mm×30cm、東ソー)
溶媒:アンモニア緩衝液(pH11)/メタノール(1/1=v/v)
流速:0.7mL/min
カラム温度:23℃
注入量:0.2mL
標準試料:東ソー製、Polymer Laboratories製単分散ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール
数平均分子量は、式(1)により算出した。
【0047】
標準試料であらかじめ溶出時間と分子量の対数との関係を取得し、LogM(Mは分子量)あたりの重量分率dW/dlogM(Wは重量)で変換し、横軸を分子量の対数、縦軸をピーク面積が1になるようにプロットして解析した。
【0048】
(参考例2)地上部新鮮重量の測定方法
地際で植物体を切断し、地上部を収穫し、重量を測定した。
【0049】
(参考例3)地下部乾燥重量の測定方法
地際で植物体を切断し、ポットに残った地下部と土からなるべく根が切断されないように流水中で土を除去し、105℃で乾燥後に乾燥重量を測定した。
【0050】
(参考例4)硫黄分析
リグニン中に含まれるスルホン基を測定するために、以下の方法で硫黄分析を行った。試料を秤量し、以下記載の装置、条件で分析装置の燃焼管内で燃焼させ、発生したガスを溶液に吸収後、吸収液の一部をイオンクロマトグラフィーにより分析した(繰り返し2回)。
【0051】
<燃焼・吸収条件>
システム:AQF−100、GA−100(三菱化学製)
電気炉温度:Inlet1000℃ Outlet1100℃
ガス:Air/O2 200mL/min.
O2 400mL/min.
吸収液:H2O2 0.1%、内標Br 2μg/mL
吸収液量:10mL
<イオンクロマトグラフィー・アニオン分析条件>
システム:ICS1500(DIONEX製)
移動相:2.7mmol/L Na2CO3 / 0.3mmol/L NaHCO3
流速:1.50mL/min.
検出器:電気伝導度検出器
注入量:100μL。
【0052】
(比較例1)さとうきびポット試験(土壌の固結防止剤添加なし)
6号ポットに赤土(関東ローム層由来であり、粘土を25重量%含む):川砂を重量比8:2で混合したものを1kg入れ、さとうきび苗(沖縄産 茎高さ7〜8cm)を定植した。元肥として化成肥料(窒素−リン−カリウム=8−8−8)を窒素で5kg/10a施肥し、1カ月後に追肥として更に2kg10a施肥した。表層の土が乾いたら適宜ポットのそこから水が出るまで灌水した。80日後に地上部新鮮重量、地下部乾燥重量を測定した結果を表1に示す。
【0053】
(比較例2)さとうきびポット試験(リグノスルホン酸)
リグノスルホン酸(日本製紙ケミカル社製 バニレックスHWを10N水酸化ナトリウムでpH7に中和したもの。参考例4で分析した硫黄含量は2.8%であった)を土壌の固結防止剤として、比較例1の赤土(関東ローム層由来であり、粘土を25%含む):川砂を重量比8:2で混合した土100重量部に対して10重量部混合させること以外は、比較例1と同様とした。80日後に地上部新鮮重量、地下部乾燥重量を測定した結果を表1に示す。
【0054】
(比較例3)さとうきびポット試験(焼成珪藻土)
焼成珪藻土を土壌の固結防止剤として、比較例1の赤土(関東ローム層由来であり、粘土を25%含む):川砂を重量比8:2で混合した土100重量部に対して10重量部で混合させること以外は、比較例1と同様とした。80日後に地上部新鮮重量、地下部乾燥重量を測定した結果を表1に示す。
【0055】
(比較例4)さとうきびポット試験(本発明で用いるリグニン)
バガス1kg(台糖農産株式会社より購入、ベトナム製)を0.45重量%水酸化ナトリウム水溶液に乾燥重量で5重量%添加・混合し、90℃、2時間反応させ、リグニンをアルカリ熱水液に抽出した。アルカリ熱水液を、6N塩酸を用いてpHを5に調整し、本発明で用いるリグニンを沈殿物として発生させた。本発明で用いるリグニンを含む液を、フィルタープレス(薮田機械社製YTO型)を用いて固液分離を行い、本発明で用いるリグニン固形分を回収した。回収したリグニンを40℃で乾燥させ、含水率を重量比20%とした。本発明で用いるリグニンを土壌の固結防止剤として、比較例1の赤土:川砂を8:2で混合した土100重量部に対して、10重量部(乾燥重量として8重量部)で混合させること以外は、比較例1と同様とした。80日後に地上部新鮮重量、地下部乾燥重量を測定した結果を表1に示す。
【0056】
また、本発明で用いるリグニン固形分を、NaOHでpH12以上にした溶液に溶解させ、参考例1の条件で分子量分布を測定したところ、
図1に示すように、分子量21,000に分子量ピークを有し、数平均分子量は13,800であった。また、参考例4の条件で分析したところ、硫黄含量は検出できなかった。
【0057】
(比較例5)GPC分子量分析において、波長254nmにおける分子量ピークが、分子量10,000より小さいリグニン
比較例4で作製したバガスアルカリ熱水抽出物をフィルタープレスで固液分離した液体分画を参考例1の条件でGPC分子量分析したところ、
図3に示すように、分子量7,000にピークを有し、数平均分子量は4,000であった。このように分子量10,000より小さい値にピークを有するリグニンは、植物が生育する領域のpHでは液体になっており、土壌の固結防止剤として使用することができないと判断した。
【0058】
(実施例1)さとうきびポット試験(本発明で用いるリグニンと焼成珪藻土の併用)
比較例4で作製した本発明で用いるリグニン1に対し、焼成珪藻土を乾燥重量比で2の割合で混合し、本発明で用いるリグニンと焼成珪藻土が混合した土壌の固結防止剤を作製した(含水率10%)。混合した土壌の固結防止剤を、比較例1の赤土:川砂を重量比8:2で混合した土100重量部に対して、10重量部混合(乾燥重量で重量比を換算すると土100重量部に対して本発明で用いるリグニンが3重量部、珪藻土6重量部)させること以外は比較例1と同様とした。80日後に地上部新鮮重量、地下部乾燥重量を測定した結果を表1に示す。
【0059】
表1の結果から、さとうきびに対し、本発明で用いるリグニンおよび珪藻土を土壌の固結防止剤として用いた実施例1では、比較例1〜4に比べて、地上部新鮮重量と地下部乾燥重量の両方が増加した。特に地下部乾燥重量が増加したことから、根の伸長を改善することで地上部の生育も改善されたと考える。すなわち、本発明で用いられるリグニンは、UV検出器を用いたGPC分子量分析において、波長254nmにおける分子量ピークを、分子量10,000〜40,000の範囲に有し、当該リグニンと珪藻土とを土壌の固結防止剤として土壌と混合させることにより土壌の固結を防止し、根の生育を改善することでさとうきび地上部の成長を改善させたと考える。一方で、比較例2,3では、比較例1と比べて地上部新鮮重量、地下部乾燥重量とも増加がほとんど確認できなかった。従って、分子量ピークが40,000よりも高い値を有するリグノスルホン酸には土壌の固結防止効果がほとんど確認できなかった。また、土壌の固結防止剤として、珪藻土を用いた比較例3および、本発明で用いるリグニンを用いた比較例4では、比較例1と比べて地上部新鮮重量、地下部乾燥重量ともに増加する結果となったが、実施例1に比べてその効果は低かった。これらの結果から、本発明で用いるリグニンおよび珪藻土を土壌の固結防止剤として用いた場合、それぞれ単独で用いる場合よりも、地上部新鮮重量、地下部乾燥重量の増加量が高くなる効果があることがわかった。
【0060】
【表1】
【0061】
(比較例6)コリアンダーポット試験(土壌の固結防止剤添加なし)
比較例1でさとうきび苗の代わりにコリアンダー苗を用いること以外は比較例1と同様の操作を行った。80日後に地上部新鮮重量を測定した結果を表2に示す。
【0062】
(比較例7)コリアンダーポット試験(リグノスルホン酸)
比較例2でさとうきび苗の代わりにコリアンダー苗を用いること以外は比較例2と同様の操作を行った。80日後の地上部新鮮重量を測定した結果を表2に示す。
【0063】
(比較例8)コリアンダーポット試験(焼成珪藻土)
比較例3でさとうきび苗の代わりにコリアンダー苗を用いること以外は比較例3と同様の操作を行った。80日後の地上部新鮮重量を測定した結果を表2に示す。
【0064】
(比較例9)コリアンダーポット試験(本発明で用いるリグニン)
比較例4でさとうきび苗の代わりにコリアンダー苗を用いること以外は
比較例4と同様の操作を行った。80日後の地上部新鮮重量を測定した結果を表2に示す。
【0065】
(実施例2)コリアンダーポット試験(本発明で用いるリグニンと焼成珪藻土の併用)
実施例1でさとうきび苗の代わりにコリアンダー苗を用いること以外は実施例1と同様の操作を行った。80日後の地上部新鮮重量を測定した結果を表2に示す。
【0066】
表2の結果から、コリアンダーに対し、本発明で用いるリグニンおよび珪藻土を土壌の固結防止剤として用いた実施例2では、比較例6〜9に比べて、地上部新鮮重量が増加した。一方で、比較例7、8では、比較例5と比べて地上部新鮮重量の増加がほとんど確認できなかった。
【0067】
【表2】
【0068】
(比較例10)ハツカダイコンポット試験(土壌の固結防止剤添加なし)
6号ポットに赤土(関東ローム層由来であり、粘土を25重量%含む):川砂を重量比8:2で混合したものを1kg入れ、ハツカダイコン(サカタのタネ スピーディーベジタブル)の種を播種し、発芽後、間引きにより1ポットあたり3株とした。元肥として化成肥料(窒素−リン−カリウム=8−8−8)を窒素で5kg/10a施肥した。表層の土が乾いたら適宜ポットの底から水が出るまで灌水した。播種から16日後の地上部新鮮重量を測定した結果を表3に示す。
【0069】
(実施例3)ハツカダイコンポット試験(本発明で用いるリグニンと焼成珪藻土の併用)
比較例4で作製した本発明で用いるリグニン1に対し、焼成珪藻土を乾燥重量比で1の割合で混合し、本発明で用いるリグニンと焼成珪藻土が混合した土壌の固結防止剤を作製した(含水率10%)。混合した土壌の固結防止剤を、比較例1の赤土:川砂を重量比8:2で混合した土100重量部に対して、10重量部混合(乾燥重量で重量比を換算すると土100重量部に対して本発明で用いるリグニンが4.5重量部、珪藻土4.5重量部)させること以外は比較例10と同様とした。播種から16日後の地上部新鮮重量を測定した結果を表3に示す。
【0070】
(実施例4)ハツカダイコンポット試験(本発明で用いるリグニンと焼成珪藻土の併用)
比較例4で作製した本発明で用いるリグニン1に対し、焼成珪藻土を乾燥重量比で2の割合で混合し、本発明で用いるリグニンと焼成珪藻土が混合した土壌の固結防止剤を作製した(含水率10%)。混合した土壌の固結防止剤を、比較例1の赤土:川砂を重量比8:2で混合した土100重量部に対して、10重量部混合(乾燥重量で重量比を換算すると土100重量部に対して本発明で用いるリグニンが3重量部、珪藻土6重量部)させること以外は比較例10と同様とした。播種から16日後の地上部新鮮重量を測定した結果を表3に示す。
【0071】
(実施例5)ハツカダイコンポット試験(本発明で用いるリグニンと焼成珪藻土の併用)
比較例4で作製した本発明で用いるリグニン1に対し、焼成珪藻土を乾燥重量比で2の割合で混合し、本発明で用いるリグニンと焼成珪藻土が混合した土壌の固結防止剤を作製した(含水率10%)。混合した土壌の固結防止剤を、比較例1の赤土:川砂を重量比8:2で混合した土100重量部に対して、10重量部混合(乾燥重量で重量比を換算すると土100重量部に対して本発明で用いるリグニンが2.25重量部、珪藻土6.75重量部)させること以外は比較例10と同様とした。播種から16日後の地上部新鮮重量を測定した結果を表3に示す。
【0072】
比較例10と実施例3〜5の結果より、本発明で用いるリグニンと珪藻土を乾燥重量比で1:1〜1:3で混合し、土壌の固結防止剤として用いた場合、土壌の固結防止剤を添加しない場合と比べて、ハツカダイコンの地上部新鮮重量が増加すること効果が確認できた。
【0073】
【表3】