(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
走行車体(40)上に設ける苗供給装置(43)の苗供給カップ(22)に投入した苗を植付装置(42)の植付ホッパ(20a,20b)で圃場に移植する苗移植機において、
前記苗供給装置(43)の近傍に苗束を立てて収容する苗束容器(17)を設け、該苗束容器(17)を回転可能にし、
前記苗束容器(17)は上に向って径を拡大させ、内部に分離杆(15)を立設したことを特徴とする苗移植機。
前記走行車体(40)側から駆動される駆動軸(60)から駆動力を前記苗供給装置(43)の第一伝動軸(18)に駆動チェーン(62)で伝動し、この第一伝動軸(18)から駆動力を第二伝動軸(19)へ搬送伝動チェーン(75)で伝動して苗供給装置(43)を駆動し、前記第一伝動軸(18)か前記第二伝動軸(19)の何れかから直接或いは間接的に前記苗束容器(17)を回転駆動することを特徴とする請求項1に記載の苗移植機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の苗移植機では、苗箱から取り出した苗を一株毎に分離して苗供給カップに供給するが、玉葱苗等の茎葉部が細くて根が絡み合っているものは、一株毎に分離することが難しく苗供給カップへの供給作業に手間取って移植スピードを早められない。また、株の分離が不十分で複数の苗が苗供給カップに供給されて移植されると、移植後の苗の生育が悪くて球が小さかったり歪な球に育ったりして作物の品質が低下することになる。
【0005】
本発明は、作業者が苗を苗供給カップに供給して移植作業を行う苗移植機において、苗の束から苗を一株毎に分離し易くして、一株の苗を苗供給カップに供給して移植作業を効率良く行えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
【0007】
第1の本発明は、
走行車体(40)上に設ける苗供給装置(43)の苗供給カップ(22)に投入した苗を植付装置(42)の植付ホッパ(20a,20b)で圃場に移植する苗移植機において、
前記苗供給装置(43)の近傍に苗束を立てて収容する苗束容器(17)を設け、該苗束容器(17)を回転可能にし、
前記苗束容器(17)は上に向って径を拡大させ、内部に分離杆(15)を立設したことを特徴とする苗移植機である。
第2の本発明は、
前記走行車体(40)側から駆動される駆動軸(60)から駆動力を前記苗供給装置(43)の第一伝動軸(18)に駆動チェーン(62)で伝動し、この第一伝動軸(18)から駆動力を第二伝動軸(19)へ搬送伝動チェーン(75)で伝動して苗供給装置(43)を駆動し、前記第一伝動軸(18)か前記第二伝動軸(19)の何れかから直接或いは間接的に前記苗束容器(17)を回転駆動することを特徴とする第1の本発明の苗移植機である。
第3の本発明は、
前記苗束容器(17)を調速と正逆回転が可能な電動モータ(30)で回転駆動することを特徴とする第1の本発明の苗移植機である。
第4の本発明は、
前記苗束容器(17)を手動ハンドル(31)で適宜に回転可能にしたことを特徴とする第1の本発明の苗移植機である。
第5の本発明は、
前記苗束容器(17)を前記苗供給装置(43)の近傍に複数配置したことを特徴とする第1の本発明の苗移植機である。
本発明に関連する第1の発明は、走行車体(40)上に設ける苗供給装置(43)の苗供給カップ(22)に投入した苗を植付装置(42)の植付ホッパ(20a,20b)で圃場に移植する苗移植機において、苗供給装置(43)の近傍に苗束を立てて収容する苗束容器(17)を設け、該苗束容器(17)を回転させたことを特徴とする苗移植機とする。
【0008】
本発明に関連する第2の発明は、苗束容器(17)は上に向って径を拡大させて内部に分離杆(15)を立設したことを特徴とする
本発明に関連する第1の発明の苗移植機とする。
【0009】
本発明に関連する第3の発明は、走行車体(40)側から駆動される駆動軸(60)から苗供給装置(43)の第一伝動軸(18)に駆動チェーン(62)で伝動し、この第一伝動軸(18)と第二伝動軸(19)を搬送伝動チェーン(75)で伝動して苗供給装置(43)を駆動し、第一伝動軸(18)か第二伝動軸(19)の何れかから直接或いは間接的に苗束容器(17)を回転駆動することを特徴とする
本発明に関連する第1或いは2の何れかの発明の苗移植機とする。
【0010】
本発明に関連する第4の発明は、苗束容器(17)を調速と正逆回転が可能な電動モータ(30)で回転駆動することを特徴とする
本発明に関連する第1或いは2の何れかの発明の苗移植機とする。
【0011】
本発明に関連する第5の発明は、苗束容器(17)を手動ハンドル(31)で適宜に回転可能にしたことを特徴とする
本発明に関連する第1或いは2の何れかの発明の苗移植機とする。
【0012】
本発明に関連する第6の発明は、苗束容器(17)を苗供給装置(43)の近傍に複数配置したことを特徴とする
本発明に関連する第1或いは2の何れかの発明の苗移植機とする。
【発明の効果】
【0013】
第1の本発明で、移植作業を行う作業者は苗供給装置(43)の苗供給カップ(22)に苗を投入することで苗供給装置(43)の下部で昇降する植付ホッパ(20a,20b)が苗を受け取って圃場に移植するのであるが、まず苗の束を苗束容器(17)に投入すると苗束容器(17)が回転しているので苗束の根が遠心力で分離し易くなり、その分離した一株の苗を苗束容器(17)から上に取り出してそのまま根から苗供給カップ(22)に投入することで、苗の根を痛めることなく一株毎に分離して移植を効率良く行える。さらに、苗束容器(17)の径が上に向かって拡大しているので苗束を上から投入し易く、苗束が分離杆(15)に沿って苗供給カップ(22)の中央に立てて入れられ、苗束が回転による遠心力を受けて根部の分離が良好に行われる。
第2の本発明で、第1の本発明の効果に加えて、苗束容器(17)が苗供給装置(43)を駆動する動力で回転されるので、苗束容器(17)の回転が苗供給カップ(22)の移動速度に同期し易く、苗束容器(17)の過回転で苗束が飛び出すことなく、一株毎の取り出しが容易になる。
第3の本発明で、第1の本発明の効果に加えて、苗供給カップ(22)の回転速度を苗株の根の絡み具合で最適回転数に調整したり、苗供給カップ(22)の回転方向を作業者の利き腕に合わせた方向に回転させたりすることが可能となる。また、苗束容器(17)の回転を止めて解れた苗株から一株苗の取り出しを容易にすることも可能になる。
第4の本発明で、第1の本発明の効果に加えて、苗供給装置(43)の駆動に負荷をかけることなく、苗束の根絡み程度を見ながら手動ハンドル(31)を回して苗束容器(17)を回すことが出来る。
第5の本発明で、第1の本発明の効果に加えて、複数の苗束容器(17)で解された苗株を順次取り出すことで、苗供給カップ(22)への苗供給が迅速に行えて、苗の移植作業が効率的になる。
本発明に関連する第1の発明で、移植作業を行う作業者は苗供給装置(43)の苗供給カップ(22)に苗を投入することで苗供給装置(43)の下部で昇降する植付ホッパ(20a,20b)が苗を受け取って圃場に移植するのであるが、まず苗の束を苗束容器(17)に投入すると苗束容器(17)が回転しているので苗束の根が遠心力で分離し易くなり、その分離した一株の苗を苗束容器(17)から上に取り出してそのまま根から苗供給カップ(22)に投入することで、苗の根を痛めることなく一株毎に分離して移植を効率良く行える。
【0014】
本発明に関連する第2の発明で、本発明に関連する第1の発明の効果に加えて、苗束容器(17)の径が上に向かって拡大しているので苗束を上から投入し易く、苗束が分離杆(15)に沿って苗供給カップ(22)の中央に立てて入れられ、苗束が回転による遠心力を受けて根部の分離が良好に行われる。
【0015】
本発明に関連する第3の発明で、本発明に関連する第1或いは2の何れかの発明の効果に加えて、苗束容器(17)が苗供給装置(43)を駆動する動力で回転されるので、苗束容器(17)の回転が苗供給カップ(22)の移動速度に同期し易く、苗束容器(17)の過回転で苗束が飛び出すことなく、一株毎の取り出しが容易になる。
【0016】
本発明に関連する第4の発明で、本発明に関連する第1或いは2の何れかの発明の効果に加えて、苗供給カップ(22)の回転速度を苗株の根の絡み具合で最適回転数に調整したり、苗供給カップ(22)の回転方向を作業者の利き腕に合わせた方向に回転させたりすることが可能となる。また、苗束容器(17)の回転を止めて解れた苗株から一株苗の取り出しを容易にすることも可能になる。
【0017】
本発明に関連する第5の発明で、本発明に関連する第1或いは2の何れかの発明の効果に加えて、苗供給装置(43)の駆動に負荷をかけることなく、苗束の根絡み程度を見ながら手動ハンドル(31)を回して苗束容器(17)を回すことが出来る。
【0018】
本発明に関連する第6の発明で、本発明に関連する第1或いは2の何れかの発明の効果に加えて、複数の苗束容器(17)で解された苗株を順次取り出すことで、苗供給カップ(22)への苗供給が迅速に行えて、苗の移植作業が効率的になる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態の移植機の一例としての移植機10を示す左側面図であり、
図2はその平面図、
図3はその背面図である。
【0022】
なお、以下の説明では、操縦ハンドル404を配置した側を後とし、その反対側、すなわちエンジン41を配置した側を前とする。そして、機体前側に向かって右手側を右とし、左手側を左とする。
【0023】
本実施の形態の移植機10は、
図1から
図3に示すとおり、機体を前進走行可能とする走行車体40と、走行車体40の後部に設けた歩行操縦用の操縦ハンドル404と、圃場に苗を植え付ける植付装置42と、植付装置42に苗を供給する苗供給装置43を備えている。
【0024】
走行車体40は、機体前部にミッションケース39を設け、該ミッションケース39の前側に駆動装置であるエンジン41を設ける。前記ミッションケース39の左右両側の機体後側下部には、後輪となる走行輪44の左右位置を変更するトレッド調節が可能な車軸を覆う車軸カバー101が各々連結され、該車軸カバー101の機体外側端部には、機体後側に設ける走行輪44に駆動力を伝動する走行伝動ケース38を各々上下回動可能に装着する。左右の走行輪44は、苗の植付作業を行う畝幅等の作業条件に対応させるべく、左右の走行輪44を走行伝動ケース38の機体外側に装着する構成で、対応可能な作業条件を増やすことができる。
【0025】
より正確には、左右の車軸カバー101が内部の車軸(図示省略)を支点として回転可能に装着され、これらの車軸カバー101に走行伝動ケース38を各々装着し、昇降用油圧シリンダやローリングシリンダの伸縮により車軸カバー101が回転することで、走行伝動ケース38が上下回動する構成である。
【0026】
そして、
図1から
図3に示すとおり、前記ミッションケース39から伝動されて植付装置42及び苗供給装置43に駆動力を分岐供給する伝動ケース26に、少なくとも該伝動ケース26の左右側面と背面を覆うベースプレート400を設け、該ベースプレート400の後部にフレームステー401をボルト等の固定部材を介して着脱可能に設ける。そして、該フレームステー401に、機体後側上方に向かって円弧を描く形状で突出するハンドルフレーム402を設け、該ハンドルフレーム402の後部には、車高の上下調節や走行及び植付作業の伝動の入切等を操作する操縦部ユニット403を設けると共に、苗の植付を行わない移動時等に作業者が機体を操作する際に把持する操縦ハンドル404を設ける。該操縦ハンドル404はハンドルフレーム402を中心として機体左右方向で且つ機体後方に向かって屈曲する形状であり、左右の後部側には、前記走行輪44への伝動を入切するサイドクラッチ操作レバー405を各々設けている。また、操縦ハンドル47のうち、左右どちらか一側には、エンジン41の出力を増減操作する第1スロットルレバー406を設ける。
【0027】
そして、前記ハンドル404の左右間には、操縦パネル47を設け、該操縦パネル47に、昇降用油圧シリンダを伸縮操作して走行車体40の車高を調節する車高調節レバー123と、左右の走行伝動ケース38及び伝動ケース26への駆動力の伝動を入切する主クラッチレバー125と、エンジン41の始動の可否を切り替えると共に停止操作を行う第1エンジンスイッチ407と、走行車体40の走行伝動を移動速、植付作業速、走行中立及び後進のいずれかに切り替える主変速レバー150を設ける。
【0028】
エンジン41の始動を許可するときは、作業者は前記第1エンジンスイッチ407を押し込んで回転させて入位置に操作する。これにより、エンジン41の始動操作が行われると、エンジン41が始動する。なお、エンジン41の始動は、セルスタータを用いるものでも、リコイルスタータを用いるものでもよい。また、エンジン41以外の駆動装置、例えば電動モータで作動するものであるときでも、第1エンジンスイッチ407が入位置にあるときに電動モータへの通電が行われて始動する構成とする。
【0029】
エンジン41を停止させるときは、作業者が前記第1エンジンスイッチ407を軽く押し込むと、内装されたトルクバネ(図示省略)の力で切位置に切り替わり、これによりエンジン41が停止状態になる。
【0030】
切操作時は第1エンジンスイッチ407を軽く押し込むだけでよいので、走行及び植付を即座に止めることができる。これにより、畝端に到達したときにすぐに走行と植付が停止するので、畝でない箇所での苗の植付動作が防止され、余分に消費される苗が減少する。また、次の植付作業を行う畝に機体を移動させる際、余分な移動が生じないので、燃料消費や作業時間が軽減される。
【0031】
前記操縦ハンドル47の機体前側で、且つ伝動ケース26の上部には、後述する、作業者が投入する苗を左右の植付ホッパ20a,20bに搬送する苗供給装置43が設けられている。該苗供給装置43の後部と、ハンドルフレーム402の後側上部で且つ操縦パネル47の前側に設ける補強連結ステー151に亘って、操縦ハンドル47及び苗供給装置43付近の強度を向上させると共に振動を低減させる、前後方向の補強フレーム152を設ける。
【0032】
そして、該補強フレーム152の前後間に、側面視L字形状の回動支持プレート153を、背面視で機体左右他側(機体右側)に向けて突出する姿勢で装着する。該回動支持プレート153は、機体左右他側が開放されており、この開放側に、視認回動アーム154の基部を回動可能に装着する。なお、該視認回動アーム154は、機体左右一側(機体左側)にはハンドルフレーム402に接触するまで回動可能とし、機体左右他側には回動支持プレート153に接触する位置まで回動可能とする。言い換えれば、回動支持プレート153は、視認回動アーム154を機体左右他側方向に回動させたとき、苗供給装置43と視認回動アーム154が略平行、乃至機体外側に向かう下り傾斜姿勢となる位置で、機体下部側に位置する回動規制部により回動を規制することになる。
【0033】
なお、視認回動アーム154が設けられる部分の下方には、機体左右他側の植付ホッパ20bを昇降させる左右他側の上下動機構21が上下回動可能に配置されているが、回動規制部に接触するまで機体左右他側に回動させた視認回動アーム154は、最大限上方回動した上下動機構21よりも機体上方に位置する配置構成とする。
【0034】
前記視認回動アーム154の端部側には、走行車体40の進行方向上、即ち機体前側の景色が映り込ませ、後述する作業座席46、及びフロアステップ122に、走行車体40の進行方向に背を向けて搭乗する作業者が視認する、視認部材155を回動可能に設ける。より具体的には、該視認部材155は、機体後側にボール状の連結体(図示省略)を有し、このボール状の連結体を視認回動アーム154側の連結穴部(図示省略)にねじ込み、回転及び角度調節自在に構成されている。
【0035】
前記視認部材155は、ミラー155aとすると装着するだけで機体前側の景色を映すことができるので、装着によるコストの上昇が抑えられる。なお、苗の植付作業を行う圃場では、作業時間帯や作業場所によっては太陽光や周辺の照明の反射により見づらくなることが考えられるので、ミラー155の上側にシェード体(図示省略)等を装着可能とするとよい。
【0036】
上記により、視認装置157が構成される。
【0037】
上記構成では、視認回動アーム154を前後方向の回動軸を中心に、機体左右方向に円弧状に回動させ、視認部材155の左右位置及び上下高さを変更することができるので、作業者の作業姿勢、例えば、作業座席46に座って作業をするかフロアステップ122に立って作業をするか、や、作業者の体格に合わせて、視認部材155に映る機体前方の景色を見やすくすることができる。これにより、作業者は苗の植付作業を終了する畝端への接近や、進路上の障害物の有無等を確実に発見できるので、畝以外の箇所で苗を無駄に植えてしまうことや、障害物との接触で走行車体40が破損することが防止される。
【0038】
また、作業者は進行方向に背を向け、機体後側に配置される苗供給装置43に苗を投入する必要があるが、機体前側の様子を見るべく背後を向く必要がなくなるので、苗の供給が途切れ、植付ホッパ20a,20bが圃場に苗を植え付けない、所謂欠株が発生することが防止される。
【0039】
これにより、作業者は欠株の発生箇所に苗を手作業で植える必要が無く、作業者の労力が軽減される。
【0040】
そして、収納時等、機体左右一側に向けて視認回動アーム154を回動させると、視認回動アーム154は機体の左右一側端部よりも機体内側に位置し、且つ機体の左右幅内に収まる構成となるので、収納場所で視認装置157が引っ掛かり、破損することが防止される。
【0041】
また、非使用時等に、機体左右他側の回動規制部153aに向けて最大限視認回動アーム154を回動させても、視認回動アーム154は上下動機構21と干渉しない上方位置に位置するので、視認回動アーム154が上下動機構21との接触で破損することが防止される。
【0042】
さらに、視認装置157は、基部側が補強フレーム152の前後間に設けられているので、機体の振動が視認装置157に伝わりにくく、視認部材155に映る景色が視認しやすくなる。
【0043】
また、ハンドルフレーム402と苗供給装置43を補強フレーム152で連結することにより、機体の強度の向上が図られる。
【0044】
なお、視認回動アーム154の回動支持プレート153への取付はダブルナットとし、外れることや自重で下方回動することを防止しつつ、作業者の回動操作では軽い力で回動する取付方とすると、調節作業が容易で、且つ工具が無くても行える。
【0045】
前記ミッションケース39の機体前側で且つ左右両側には、正面断面視でコの字形状のバンパー支持フレーム108を機体前側に突出させて設ける。そして、該左右のバンパー支持フレーム108の前方には、機体前側に突出するバンパー109を設ける。
【0046】
走行車体40の機体左右一側、即ち機体左側においては、作業者が機体前側から乗り降りする際に足を乗せる前側搭乗ステップ113の機体前側部分を装着する。
一方、機体左右他側、即ち機体右側には、植付ホッパ20a,20bが植え付ける苗同士の前後間隔、所謂株間を設定する、株間主変速レバー801と株間副変速レバー802、及び主変速レバー150が植付速に操作されているときに、第1植付速または第2植付速を選択する植付変速レバー803を支持する、株間切替カバー114を形成する。
【0047】
該前側搭乗ステップ113は、機体前側で且つ上下方向下側に位置する下部足載せ部113aと、下部足載せ部113aよりも機体後側で且つ上下方向上側に位置する上側足載せ部113bと、下部足載せ部113aと上側足載せ部113bの上下間に位置し、機体外側方向に向かって捻れて傾斜する中間傾斜部113cで構成される。下部足載せ部113aの表面には、滑り止め突起113dを複数形成するものとし、中間傾斜部113cは、乗り降りの際に作業者が足を心理的に乗せにくい傾斜角度で、且つ下部足載せ部113aと上側足載せ部113bの間で移動するときに跨いで通過される前後長さとする。
【0048】
一方、該株間切替カバー114は、機体前側で且つ上下方向下側に位置する下側台部114aと、下側台部114aよりも機体後側で且つ上下方向上側に位置する上側台部114bと、下側台部114aと上側台部114bの上下間に位置し、機体外側方向に向かって捻れて傾斜すると共に、株間主変速レバー801と株間副変速レバー802、及び主変速レバー150が各々移動する移動溝を形成したレバー装着部114cで構成される。
【0049】
なお、前記前側搭乗ステップ113と株間切替カバー114は左右対称な形状であり、機体左右一側に設けるものを株間切替カバー114とし、機体左右他側に設けるものを前側搭乗ステップ113としてもよい。
【0050】
そして、前記上側足載せ部113b及び上側台部114bの機体後側には、機体側方から作業者が乗り降りすると共に、作業時の足場となる側部ステップ118を各々設ける。該側部ステップ118は、枠内に縦横に板体を配置して複数の空間部を形成しており、作業者の靴底に付着した土を下方に落下させる構成とする。また、前記左右の側部ステップ118の左右間には、搭乗する作業者の足場となる中央ステップを着脱可能に設ける。
【0051】
以上により、フロアステップ122が構成される。
【0052】
前側搭乗ステップ113、株間切替カバー114、左右の側部ステップ118及び中央ステップ119の取付は、各々独立して行う、即ち、一つの取付部材(ボルト等)で共締めしないものとする。これにより、部分的なメンテナンス作業時に各ステップ構成体を取り外す際、別のステップ構成体を取り外す必要が無く、メンテナンス作業の能率が向上する。
【0053】
図1、
図2に示すとおり、前記横フレーム16は、前部梁フレーム110に前後方向の軸中心にローリング回動可能に装着されており、該横フレーム16の左右両側部には、上下に長い縦フレーム16aを装着する。そして、左右前輪45は、縦フレーム16aの下端部側方に固着した前輪車軸18に回転自在に取り付けられている。従って、左右前輪45は、機体の左右中央の前後方向の軸心回りにローリング動自在となっている。また、横フレーム16の左右両側部を基準として、縦フレーム16aが上下調節可能に設けられており、前輪45の高さ調節をすることが出来る構成としている。
【0054】
前記操縦ハンドル47は、機体後部に設けられており、走行輪44の伝動車軸より機体後側に位置している。具体的には、ミッションケース39に前端部を固定した機体フレーム19の後端部に取り付けられている。
【0055】
機体フレーム19は、機体の左右中央で後方に延び、また、前後中間部から斜め後上方に延びている。
【0056】
操縦ハンドル47は、機体フレーム19の後端部から左右に後方に延びてその各後端部を操縦ハンドル47のグリップ部としている。
【0057】
なお、
図2では、グリップ部を左右に分かれた構成としているが、操縦ハンドル47の左右の後端部を互いに左右に連結してその連結部分をグリップ部としても良い。
【0058】
植付装置42は、先端が下方に向かう嘴状の複数の植付ホッパ20a,20bと、植付ホッパ20a,20bの下端部が圃場面より上方となる位置と圃場面より下方となる位置とに植付ホッパ20a,20bを上下動させる上下動機構21と、嘴状の植付ホッパ20a,20bの下端部が閉じて上方から苗を受け入れて内側に苗を収容可能する閉状態と植付ホッパ20a,20bの下端部が左右に開いて内側に収容した苗を下方に放出可能とする開状態とに植付ホッパ20a,20bを開閉する開閉機構とを備える。
【0059】
図1から
図3に示すとおり、本実施の形態の植付装置42は、第1植付ホッパ20aと第2植付ホッパ20bを左右に並べて配備した、二条植の構成としている。これらの第1植付ホッパ20a及び第2植付ホッパ20bは、ミッションケース39から伝動される伝動ケース26の左右両側部に設けられた上下動機構21に各々装着されている。
【0060】
図4と
図5は、苗供給装置43の第一実施例を示し、移植苗を収容する各苗供給カップ22は、上下に開口する筒状体と、その筒状体の下側の開口部を開閉する底蓋とを有し、第一伝動軸18に固着のカップ駆動スプロケット67と第二伝動軸19に固着した従動スプロケット64に巻回したカップ搬送チェーン65に取り付けて左右ループ状に連結している。
【0061】
第一伝動軸18は、伝動ケース26から上方に突出する駆動軸60と駆動チェーン62で動力を伝動して駆動している。第一伝動軸18には搬送駆動スプロケット74を固着して第二伝動軸19に固着の搬送従動スプロケット76に搬送伝動チェーン75で伝動して第二伝動軸19を回転している。
【0062】
また、第一伝動軸18にはカップ駆動ギヤ68を固着し、苗束容器17の従動ギヤ69と噛み合わせて苗束容器17を駆動回転している。苗束容器17の中央には分離杆15を立設している。このため、苗束が分離杆15に沿って苗供給カップ22の中央に立てて入れられ、苗束が回転による遠心力を受けて根部の分離が良好に行われる。また、苗束容器17は上に向って径を拡大させてあるので、作業者が苗を入れ損ないにくく、作業能率の低下が防止される。
【0063】
図6と
図7は、苗供給装置43の第二実施例を示し、前記第一実施例との違いは、苗束容器17を回転数の変更と正逆回転切換が可能な電動モータ30で駆動している点である。電動モータ30のモータ軸回転をベベルギヤ機構57と平ギヤ機構58で中継軸59に伝動し、中継軸59に固着のカップ駆動ギヤ68を苗束容器17の従動ギヤ69に噛み合わせて苗束容器17を回転している。
【0064】
この第二実施例では、苗束容器17の回転速度を調整したり正逆回転させて作業者の好み回転速度に変更したり回転を停止したりすることが可能である。
【0065】
図8と
図9は、苗供給装置43の第三実施例を示し、苗束容器17を手動で回転させる構成で、クランクハンドル71で回転するハンドル軸70の回転を平ギヤ機構72で中継軸59に伝動し、中継軸59に固着のカップ駆動ギヤ68を苗束容器17の従動ギヤ69に噛み合わせて苗束容器17を回転している。
【0066】
この第三実施例では、作業者が必要に応じてクランクハンドル71を回して苗束容器17を回転させることが出来る。
【0067】
苗供給装置43の移動機構は、連結した各苗供給カップ22が左右の植付ホッパ20a,20bの上方近傍を通過する状態で、機体平面視で左右に長い長円形状のループ状の軌跡で、連結した苗供給カップ22を左回りに周回動させる。
【0068】
苗落下機構は、苗供給カップ22の底蓋を、その苗供給カップ22に対応する、植付ホッパ20a,20bの上方位置で開放する。
【0069】
本実施の形態の移植機10は、左右の植付ホッパ20a,20bが植え付けた苗に合わせて覆土鎮圧することに利用される覆土鎮圧輪37を左右の植付ホッパ20a,20bの苗植え付け個所の各後方左右両側近傍位置に設けている。該左右の覆土鎮圧輪37は、一本の棒材を平面視J形状に屈曲させて構成した、各々別個に上下回動自在な鎮圧アーム370,370と、該左右の鎮圧アーム370,370の後部側に、各々左右一対回転自在に設けられる鎮圧回転体371,371で構成する。
【0070】
なお、鎮圧アーム370は、機体内側に位置する一側端部が走行車体40の後部側に上下回動自在に装着され、後方に向かって突出する直線部分の後部を上方に屈曲させた後、機体外側に屈曲させ、さらに下方に屈曲させて機体内側の直線部分と同じ上下位置で機体前側に屈曲させている。そして、左右の鎮圧回転体371,371のうち、機体外側の鎮圧回転体371は機体前側に屈曲する機体外側の直線部分に設けられ、機体内側の鎮圧回転体371は機体内側の直線部分に装着される。
【0071】
上記構成により、鎮圧アーム370の後部に、機体上方に向かって突出する回避部分372が形成され、左右の鎮圧回転体371,371は左右間隔を空けて配置される。これにより、植付ホッパ20a,20bが植え付けた苗は、左右の鎮圧回転体371,371の左右間隔部を通過しつつ周辺の土を均されると共に、回避部分372の下方を通過するので、覆土鎮圧輪37,37に押し倒され、植付姿勢が乱れることが防止される。
【0072】
なお、左右の鎮圧アーム370,370は各々機体左右位置を調節可能に装着し、植付ホッパ20a,20bの条間設定に合わせて鎮圧する位置を変更可能に構成する。また、左右の鎮圧回転体371,371についても、各々左右位置を調節可能に構成すると、植付後の苗の周囲の土を確実に固められ、苗が倒伏や低温により生育不良を起こすことが防止される。
【0073】
本件の移植機10には、苗供給装置43に苗を補給する作業者が乗車して苗補給作業を行うべく、作業者が座る作業座席46を設けている。具体的には、苗供給装置43の前側となる機体左右中央位置に後向きに作業座席46を配置している。作業座席46に座る作業者は、苗供給装置43の前側部に向って後側向き姿勢で着座して、苗供給装置43の前側部、特に苗供給カップ22の周回移動経路における前側の直線状部分28に対応して苗補給作業を行う。予備苗枠50の載置台55に載せた苗トレイから苗株を取り出して苗束容器17に投入すると、苗束容器17の回転によって苗株の根がほぐされて株が分離し易くなるので、一株の苗を取り出して苗供給カップ22に投入することで苗の供給作業が行われる。
【0074】
また、前記操縦パネル47の左右他側には、ミッションケース39に内装され、左右の走行伝動ケース38及び伝動ケース26への駆動力の伝動を入切する主クラッチレバー125を設ける。
【0075】
作業座席46の左右両側で機体側面視で走行輪44の伝動車軸の上方位置に、苗供給装置43に補給する苗を収容可能な予備苗枠50を設けている。
【0076】
圃場に苗を移植する際、圃場の土質や周辺の水環境、あるいは作業前の天候等の条件を考慮して、植え付けた苗の付近に水を供給する、所謂灌水作業を行うことがある。
【0077】
本件の移植機には、
図1から
図3に示すとおり、左右の走行伝動ケース38,38に、水タンク600を積載する水タンクホルダ601を各々設けている。
【0078】
なお、前記苗束容器(17)を前記苗供給装置(43)の近傍に複数配置した構成も可能である。