(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記内槽の入口側における前記処理液の圧力、前記内槽の出口側における前記処理液の圧力、および、前記外槽の排出口側における前記半透膜を透過した透過液の圧力に基づいて、前記内槽への前記処理液の循環量を調整する工程を有することを特徴とする請求項8に記載のクロスフロー濾過方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のクロスフロー濾過装置およびクロスフロー濾過方法の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0012】
[第1の実施形態]
(クロスフロー濾過装置)
図1は、本実施形態のクロスフロー濾過装置を示す模式図である。
本実施形態のクロスフロー濾過装置10は、フィルターモジュール20と、処理液槽30と、ポンプ40と、圧力調整器50と、補充液槽60と、制御部70と、補充液測定部80と、第1の圧力センサ90(P
f)と、第2の圧力センサ100(P
r)と、第3の圧力センサ110(P
p)と、を備える。また、本実施形態のクロスフロー濾過装置10は、透過液槽120と、透過液測定部130と、を備えていてもよい。
【0013】
フィルターモジュール20は、内槽21と、内槽21の外周に接して配置された外槽22とを有する。
内槽21と外槽22の間には、半透膜23が設けられている。
【0014】
処理液槽30は、分散質、分散剤および分散媒を含む処理液200を収容するためのものである。
処理液槽30は、内部に収容されている処理液200を吸引して、フィルターモジュール20へ供給するための吸引管31を有する。吸引管31の先端部は、処理液槽30内の処理液200に浸漬されている。
また、処理液槽30は、フィルターモジュール20を循環した処理液200を回収するための回収管32を有する。
さらに、処理液槽30は、補充液槽60から補充される補充液210を注入するための注入管33を有する。
処理液槽30は、吸引管31、回収管32および注入管33を備えた状態で気密性を有する。
【0015】
フィルターモジュール20から透過液220が排出されるに伴って、処理液槽30内の処理液200の液量が減少する。処理液槽30は気密性を有するため、処理液200の減少により、処理液槽30の内部は陰圧となる。すると、大気圧と処理液槽30の内部の圧力差が吸引力となり、補充液槽60から処理液槽30へ補充液210が自動的に供給される。処理液槽30の内部と大気圧が釣り合うと、補充液210の供給は停止する。このように、本実施形態のクロスフロー濾過装置10は、補充液210が処理液槽30へ連続的に補充されている。その結果、処理液槽30内の処理液200の液量は自動的に保たれる。
したがって、本実施形態のクロスフロー濾過装置10では、フィルターモジュール20から排出された透過液220の量と、補充液槽60から処理液槽30へ補充された補充液210の量が等しくなる。さらに、単位時間当たりの透過液220の量(透過液220の流速)と、単位時間当たりの補充液量210の量(補充液210の流速)とは、ポンプ40の脈動等の影響で若干の変動が生じるものの等しい。
【0016】
吸引管31は、第1の管141を介して、フィルターモジュール20の内槽21の入口側と接続されている。
回収管32は、第2の管142を介して、フィルターモジュール20の内槽21の出口側と接続されている。
注入管33は、第3の管143を介して、補充液槽60の吸引管61と接続されている。
【0017】
ポンプ40は、フィルターモジュール20の内槽21および処理液槽30へ処理液200を循環させるためのものである。
ポンプ40は、第1の管141の途中に設けられている。
【0018】
圧力調整器50は、フィルターモジュール20の内槽21の圧力を調節するためのものである。圧力調整器50を操作することにより、フィルターモジュール20の内槽21を循環する処理液200による半透膜23への圧力を調節することができる。
圧力調整器50は、第2の管142の途中に設けられている。
また、圧力調整器50を設ける代わりに、第2の管142の内径や、ポンプ40での循環の流速によって、フィルターモジュール20の内槽21の圧力を調節することも可能である。
【0019】
補充液槽60は、処理液槽30へ補充される補充液210を収容するためのものである。
補充液槽60は、内部に収容されている補充液210を吸引して、処理液槽30へ供給するための吸引管61を有する。吸引管61の先端部は、補充液槽60内の補充液210に浸漬されている。
また、補充液槽60は、内部の圧力を大気圧と等しく保つための通気管62を有する。
【0020】
制御部70は、ケーブル151を介して、ポンプ40に電気的に接続されている。
また、制御部70は、ケーブル152を介して、圧力調整器50に電気的に接続されている。
また、制御部70は、ケーブル153を介して、補充液測定部80に電気的に接続されている。
また、制御部70は、ケーブル154を介して、第1の圧力センサ90(P
f)に電気的に接続されている。
また、制御部70は、ケーブル155を介して、第2の圧力センサ100(P
r)に電気的に接続されている。
また、制御部70は、ケーブル156を介して、第3の圧力センサ110(P
p)に電気的に接続されている。
制御部70は、補充液210の液量に基づいて、ポンプ40の動作を制御する。さらに、制御部70は、第1の圧力センサ90、第2の圧力センサ100、第3の圧力センサ110からの信号に基づいて、ポンプ40の動作を制御することも可能である。
【0021】
図2に示すように、制御部70は、補充液測定部80で測定された、補充液槽60から処理液槽30へ供給される補充液210の量を取得する取得部70aと、取得部70aで取得された補充液210の量に基づいて、処理液200の循環の終了を決定する決定部70bと、決定部70bで処理液200の循環の終了が決定されるとポンプ40に、オーバー処理時間経過後、停止指令を送る停止部70cとを機能的に備える。
本実施形態では、判定部70bは、取得部70aで取得された補充液210の量が既定値に達したことを判定することによって、終了を決定する。
【0022】
補充液測定部80は、補充液槽60から処理液槽30へ供給される補充液210の液量を測定するためのものである。補充液測定部80は、補充液槽60内の補充液210の液量、並びに、単位時間当たりの補充液槽60の液量の変化(流速)を測定する。
【0023】
第1の圧力センサ90(P
f)は、フィルターモジュール20の内槽21の入口側における処理液200の圧力を測定するためのものである。
第1の圧力センサ90(P
f)は、第1の管141におけるフィルターモジュール20の内槽21の入口近傍に設けられている。
【0024】
第2の圧力センサ100(P
r)は、フィルターモジュール20の内槽21の出口側における処理液200の圧力を測定するためのものである。
第2の圧力センサ100(P
r)は、第2の管142におけるフィルターモジュール20の内槽21の出口近傍に設けられている。
【0025】
第3の圧力センサ110(P
p)は、フィルターモジュール20の外槽22の排出口24側における半透膜23を透過した透過液220の圧力を測定するためのものである。
第3の圧力センサ110(P
p)は、第4の管144におけるフィルターモジュール20の外槽22の排出口24近傍に設けられている。
【0026】
透過液槽120は、排出口24から排出される透過液220を回収するためのものである。
透過液槽120は、排出口24から排出される透過液220を回収するための回収管121を有する。回収管121の先端部は、透過液槽120内の透過液220に浸漬されている。
回収管121は、第4の管144を介して、フィルターモジュール20の外槽22の排出口24と接続されている。
また、透過液槽120は、内部の圧力を大気圧と等しく保つための通気管122を有する。
【0027】
透過液測定部130は、排出口24から排出される透過液220の液量を測定するためのものである。透過液測定部130は、透過液槽120内の透過液220の液量、並びに、単位時間当たりの透過液槽120の液量の変化(流速)を測定する。
【0028】
フィルターモジュール20の内槽21は、処理液200が通過可能な空間(流路)を有する。フィルターモジュール20の内槽21は、処理液200が通過可能であれば、その形状や大きさは特に限定されない。
【0029】
内槽21の材質は、処理液200および補充液210に対して安定であれば特に限定されない。内槽21の材質としては、例えば、ガラス、ポリカーボネイト、ポリプロピレン等が挙げられる。
【0030】
フィルターモジュール20の外槽22は、半透膜23を透過した透過液220が通過可能な空間(流路)を有する。フィルターモジュール20の外槽22は、透過液220が通過可能であれば、その形状や大きさは特に限定されない。
【0031】
外槽22の材質は、透過液220に対して安定であれば特に限定されない。外槽22の材質としては、例えば、ガラス、ポリカーボネイト、ポリプロピレン等が挙げられる。
【0032】
半透膜23の細孔径は、処理液200に含まれるナノカーボン等の分散質より小さく、かつ、界面活性剤分子よりも大きいものであれば特に限定されない。半透膜23としては、例えば、細孔径が30kDa〜750kDaのものが好適に用いられる。
半透膜23の材質は、処理液200に対して安定で、所望の細孔径が得られるものであれば特に限定されない。半透膜23の材質としては、例えば、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、セルロースエステル、および、これらの材料に表面処理を施したものが挙げられる。
【0033】
処理液槽30は、処理液200および補充液210を収容可能な空間を有する。処理液槽30は、処理液200および補充液210を収容できるものであれば、その形状や大きさは特に限定されない。
【0034】
処理液槽30の材質は、処理液200および補充液210に対して安定であれば特に限定されない。処理液槽30の材質としては、例えば、ガラス、ポリプロピレン、ポリエチレン、テフロン(登録商標)樹脂、ステンレス等が挙げられる。
【0035】
吸引管31、回収管32および注入管33の材質は、処理液200および補充液210に対して安定であれば特に限定されない。吸引管31、回収管32および注入管33の材質としては、例えば、ガラス、ポリプロピレン、ポリエチレン、テフロン(登録商標)樹脂等が挙げられる。
【0036】
ポンプ40としては、フィルターモジュール20の内槽21および処理液槽30へ処理液200を循環させることができるものであれば特に限定されない。ポンプ40としては、例えば、送液ポンプが挙げられる。
【0037】
圧力調整器50としては、特に限定されず、例えば、ピンチバルブ等が挙げられる。
【0038】
補充液槽60は、補充液210を収容可能な空間を有する。補充液槽60は、補充液210を収容できるものであれば、その形状や大きさは特に限定されない。
【0039】
補充液槽60の材質は、補充液210に対して安定であれば特に限定されない。補充液槽60の材質としては、例えば、ガラス、ポリプロピレン、ポリエチレン、テフロン(登録商標)樹脂等が挙げられる。
【0040】
吸引管61の材質は、補充液210に対して安定であれば特に限定されない。吸引管61の材質としては、例えば、ガラス、ポリプロピレン、ポリエチレン、テフロン(登録商標)樹脂等が挙げられる。
【0041】
制御部70としては、例えば、パーソナルコンピュータ等が挙げられる。
【0042】
補充液測定部80および透過液測定部130としては、特に限定されず、例えば、一般的な液体の重量を測定する秤、または、液面計を用いることができる。また、第3の管143、および、第4の管144の途中に流量計を設けてもよい。
【0043】
第1の圧力センサ90、第2の圧力センサ100および第3の圧力センサ110としては、特に限定されず、例えば、一般的な液体の圧力を測定する圧力センサが挙げられる。
【0044】
透過液槽130は、透過液220を収容可能な空間を有する。透過液槽130は、透過液220を収容できるものであれば、その形状や大きさは特に限定されない。
【0045】
透過液槽130の材質は、透過液220に対して安定であれば特に限定されない。透過液槽130の材質としては、例えば、ガラス、ポリプロピレン、ポリエチレン、テフロン(登録商標)樹脂等が挙げられる。
【0046】
第1の管141、第2の管142、第3の管143および第4の管144は、処理液200、補充液210および透過液220に対して安定なものであれば特に限定されない。第1の管141、第2の管142、第3の管143および第4の管144としては、シリコンゴム、塩化ビニル、ポリオレフィンからなるチューブ等が挙げられる。
【0047】
なお、
図3は、本発明のクロスフロー濾過装置の最小構成を示す模式図である。
【0048】
本実施形態のクロスフロー濾過装置10によれば、例えば、後述するクロスフロー濾過方法を実施する、処理液200に含まれる過剰な界面活性剤の除去処理において、その除去処理の終了を効率的に決定することができる。また、本実施形態のクロスフロー濾過装置10によれば、例えば、後述するクロスフロー濾過方法を実施することで、ナノカーボンと界面活性剤の含有量が高精度に目的とする量に調整された処理液が得られる。
【0049】
[クロスフロー濾過方法]
図1を用いて、クロスフロー濾過装置10を用いたクロスフロー濾過方法を説明するとともに、クロスフロー濾過装置10の作用を説明する。
【0050】
本実施形態のクロスフロー濾過方法は、フィルターモジュール20の内槽21および処理液槽30へ処理液200を循環させる工程(以下、「工程A」と言う。)と、補充液槽60から処理液槽30へ供給される補充液量に応じて、処理液200の循環の終了を決定する工程(以下、「工程B」と言う。)と、を有する。
【0051】
本実施形態のクロスフロー濾過方法において、処理液200は、分散質としてのナノカーボンと、分散剤としての界面活性剤と、分散媒とを含むことが好ましい。
【0052】
本実施形態のクロスフロー濾過方法において、ナノカーボンとは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノツイス卜、グラフェン、フラーレン等の主に炭素から構成される炭素材料を意味する。本実施形態のクロスフロー濾過方法では、ナノカーボンとして単層カーボンナノチューブを含む処理液200から、過剰な界面活性剤を除去する場合について詳述する。
【0053】
単層カーボンナノチューブは、チューブの直径、巻き方によって金属型と半導体型という2つの異なる性質に分かれることが知られている。従来の製造方法を用いて単層カーボンナノチューブを合成すると、金属的な性質を有する金属型単層カーボンナノチューブと半導体的な性質を有する半導体型単層カーボンナノチューブが統計的に1:2の割合で含まれる単層カーボンナノチューブの混合物が得られる。
【0054】
単層カーボンナノチューブの混合物は、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブとを含むものであれば特に制限されない。また、本実施形態における単層カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ単体であってもよいし、一部の炭素が任意の官能基で置換された単層カーボンナノチューブや、任意の官能基で修飾された単層カーボンナノチューブであってもよい。
【0055】
分散媒としては、単層カーボンナノチューブの混合物を分散させることができるものであれば特に限定されない。分散媒としては、例えば、水、重水、有機溶媒、イオン液体等が挙げられる。これらの分散媒の中でも、単層カーボンナノチューブが変質しないことから、水または重水が好適に用いられる。
【0056】
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤等が用いられる。単層カーボンナノチューブにナトリウムイオン等のイオン性の不純物が混入することを防ぐためには、非イオン性界面活性剤を用いることが好ましい。
【0057】
非イオン性界面活性剤としては、イオン化しない親水性部位とアルキル鎖等の疎水性部位とを有する非イオン性界面活性剤が用いられる。このような非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系に代表されるポリエチレングリコール構造を有する非イオン性界面活性剤が挙げられる。
このような非イオン性界面活性剤としては、下記式(1)で表わされるポリオキシエチレンアルキルエーテルが好適に用いられる。
C
nH
2n(OCH
2CH
2)
mOH (1)
(但し、n=12〜18、m=20〜100である。)
【0058】
上記式(1)で表わされるポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル(商品名:Brij L23、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル(商品名:Brij C20、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル(商品名:Brij S20、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル(商品名:Brij O20、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテル(商品名:Brij S100、シグマアルドリッチ社製)等が挙げられる。
【0059】
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート(分子式:C
64H
126O
26、商品名:Tween 60、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレンソルビタントリオレアート(分子式:C
24H
44O
6、商品名:Tween 85、シグマアルドリッチ社製)、オクチルフェノールエトキシレート(分子式:C
14H
22O(C
2H
4O)
n、n=1〜10、商品名:Triton X−100、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(40)イソオクチルフェニルエーテル(分子式:C
8H
17C
6H
40(CH
2CH
20)
40H、商品名:Triton X−405、シグマアルドリッチ社製)、ポロキサマー(分子式:C
5H
10O
2、商品名:Pluronic、シグマアルドリッチ社製)、ポリビニルピロリドン(分子式:(C
6H
9NO)
n、n=5〜100、シグマアルドリッチ社製)等を用いることもできる。
【0060】
ナノカーボンと界面活性剤を含む処理液を調製する方法としては、特に限定されず、公知の方法が用いられる。例えば、単層カーボンナノチューブ混合物と界面活性剤を含む分散媒の混合液を超音波処理して、分散媒に、単層カーボンナノチューブ混合物を分散させる方法が挙げられる。
【0061】
本実施形態のクロスフロー濾過方法において、ナノカーボンと界面活性剤を含む処理液としては、例えば、無担体電気泳動法により、単層カーボンナノチューブ混合物を、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブに分離して、相対的に金属型単層カーボンナノチューブの含有量が多い処理液、または、相対的に半導体型単層カーボンナノチューブの含有量が多い処理液としたものを用いることが好ましい。このようにすれば、適切な量の金属型単層カーボンナノチューブまたは半導体型単層カーボンナノチューブを含む処理液を効率的に調製することができる。
【0062】
工程Aでは、ポンプ40を始動させて、処理液槽30からフィルターモジュール20の内槽2へ処理液200の供給を開始し、フィルターモジュール20の内槽21および処理液槽30へ処理液200を循環させる。
【0063】
処理液200を循環させている間には、第1の圧力センサ90にて、フィルターモジュール20の内槽21の入口側における処理液200の圧力が測定されている。また、処理液200を循環させている間には、第2の圧力センサ100にて、フィルターモジュール20の内槽21の出口側における処理液200の圧力が測定されている。さらに、第3の圧力センサ110にて、フィルターモジュール20の外槽22の排出口24側における、半透膜23を透過した透過液220の圧力が測定されている。
【0064】
第1の圧力センサ90における処理液200の圧力、第2の圧力センサ100における処理液200の圧力、および、第3の圧力センサ110における透過液220の圧力の測定結果に基づいて、圧力調整器50にて、フィルターモジュール20の内槽21を通過した処理液200の圧力を所定の一定の圧力になるように、処理液200の圧力および透過液220の圧力を調整する。
【0065】
また、本実施形態のクロスフロー濾過方法は、第1の圧力センサ90における処理液200の圧力、第2の圧力センサ100における処理液200の圧力、および、第3の圧力センサ110における透過液220の圧力の測定結果に基づいて、ポンプ40によるフィルターモジュール20の内槽21への処理液200の供給量を調整する工程(以下、「工程C」と言う。)を有していることが好ましい。通常、処理圧力の調整は、圧力調整器50を操作することで行われるが、圧力調整器50での調整範囲を超えた場合、あるいは、圧力調整器50では対応できない急激な圧力変化が生じた場合には、ポンプ40によるフィルターモジュール20の内槽21への処理液200の供給を一時停止して、半透膜23に過度の圧力が加わり、破損することを防止する。
【0066】
上記の工程Aと工程Cを継続すると、処理液200に含まれる成分のうち、界面活性剤の分子等の半透膜23の細孔径よりも小さい成分は、分散媒と共に徐々に半透膜23を透過して、フィルターモジュール20の外槽22へ浸透する。ナノカーボン等の半透膜23の細孔径よりも
大きい成分は、フィルターモジュール20の内槽21に留まる。
本実施形態のクロスフロー濾過方法では、半透膜23を透過した成分を含む分散媒を透過液220とする。本実施形態のクロスフロー濾過方法では、透過液220は、上記の界面活性剤と、上記の分散媒とを含む。
【0067】
さらに、フィルターモジュール20の外槽22へ浸透した透過液220は、排出口24を介して、外槽22から透過液槽120へ排出される。
【0068】
このように、フィルターモジュール20の外槽22から透過液槽120へ透過液220が排出されると、フィルターモジュール20の内槽21および処理液槽30を循環する処理液200の量が減少する。上記のように、処理液槽30は気密性を有するため、フィルターモジュール20の内槽21および処理液槽30を循環する処理液200の量が減少すると、処理液槽30内の圧力が下がる。すると、自動的に、補充液槽60から処理液槽30へ補充液210が供給(補充)される。これにより、フィルターモジュール20の内槽21および処理液槽30を循環する処理液200の量が一定に保たれる。
【0069】
本実施形態のクロスフロー濾過方法では、補充液210としては、上記の分散媒が用いられる。したがって、補充液槽60から処理液槽30へ補充液210が供給されると、処理液200におけるナノカーボンに対する界面活性剤の含有量が相対的に減少する。
【0070】
工程Bにおいて、補充液槽60から処理液槽30へ供給される補充液210の液量の測定結果に基づいて、処理液200の循環の終了を決定する。
工程Bでは、補充液測定部80にて、補充液槽60から処理液槽30へ供給される補充液210の液量を測定する。補充液測定部80では、補充液槽60内の補充液210の液量、並びに、単位時間当たりの補充液槽60の液量の変化(流速)を測定する。補充液210の液量の測定結果に基づいて、処理液200の循環の終了を決定する。そして、ポンプ40を停止し、フィルターモジュール20の内槽21および処理液槽30へ処理液200の循環を終了する。すなわち、工程Bにおいて、補充液210の流速が既定値に達したら、処理液200の循環の終了を決定し、所定のオーバー処理時間が経過した後に、ポンプ40を停止して、フィルターモジュール20の内槽21および処理液槽30へ処理液200の循環を終了する。なお、補充液210の流速の既定値とは、処理液200における界面活性剤の含有量が目的とする量になる値のことである。また、オーバー処理時間とは、処理液200における界面活性剤の含有量が確実に所定の濃度以下になるようにするための追加の処理時間である。また、オーバー処理時間は、処理液200における界面活性剤の含有量が許容量の下限を下回らないように設定される。
【0071】
処理液200の循環を終了して得られた処理液200は、ナノカーボンと界面活性剤の含有量が目的とする量となっている。
また、本発明のクロスフロー濾過装置では、補充液測定部80において、補充液槽60内の補充液210の液量を測定している。クロスフロー濾過の処理において、補充液210の液量は減少する。処理開始時に用意された補充液210の液量が十分な量でなかった場合には、処理中に補充液210が枯渇し、その結果、処理液200が枯渇してしまう場合がある。本発明のクロスフロー濾過装置では、補充液210の液量を測定することで、補充液210の残量が極めて少なくなったときに、ポンプ40を停止し、フィルターモジュール20の内槽21および処理液槽30へ処理液200の循環を一時停止し、上記のような失敗を未然に防ぐことができる。
【0072】
また、本実施形態のクロスフロー濾過方法では、透過液測定部130における透過液220の液量の測定結果に基づいて、処理液200の循環の終了を決定し、ポンプ40を停止して、フィルターモジュール20の内槽21および処理液槽30へ処理液200の循環を終了してもよい。透過液測定部130にて、フィルターモジュール20の排出口24から排出される透過液220の液量を測定する。透過液測定部130にて、透過液槽120内の透過液220の液量、並びに、単位時間当たりの透過液槽120の液量の変化(流速)を測定する。透過液測定部130において、透過液220の流速が既定値に達したら、処理液200の循環の終了を決定し、所定のオーバー処理時間が経過した後に、ポンプ40を停止して、フィルターモジュール20の内槽21および処理液槽30へ処理液200の循環を終了する。なお、透過液220の流速の既定値とは、処理液200における界面活性剤の含有量が目的とする量になる値のことである。また、オーバー処理時間とは、処理液200における界面活性剤の含有量が確実に所定の濃度以下になるようにするための追加の処理時間である。また、オーバー処理時間は、処理液200における界面活性剤の含有量が許容量の下限を下回らないように設定される。
【0073】
また、本実施形態のクロスフロー濾過方法では、工程Bにおいて、下記の式(1)で定義されるフィルターモジュール20の内槽21と外槽22の間の膜間圧力(TMP)の測定結果に基づいて、補充液210の流速を補正し、その補正によって得られた補充液210の流速の測定結果に基づいて、処理液200の循環の終了を決定する。
TMP=(P
f+P
r)/2−P
p・・・(1)
(但し、TMPはフィルターモジュール20の内槽21と外槽22の間の膜間圧力(TMP)、P
fはフィルターモジュール20の内槽21の入口側における処理液200の圧力、P
rはフィルターモジュール20の内槽21の出口側における処理液200の圧力、P
pはフィルターモジュール20の外槽22の排出口24側における透過液220の圧力を表わす。)
【0074】
すなわち、補正によって得られた補充液210の流速が既定値に達したら、処理液200の循環の終了を決定し、所定のオーバー処理時間が経過した後に、ポンプ40を停止して、フィルターモジュール20の内槽21および処理液槽30へ処理液200の循環を終了する。
また、ここでは、上記の式(1)から算出される膜間圧力(TMP)で補充液流速を補正する場合を述べているが、内槽21の入口側における圧力(P
f)、または、内槽21の入口側における(P
f)と出口側における圧力(P
r)の圧力の平均値等を用いて補充液流速を補正しても効果は同様である。
【0075】
また、本実施形態のクロスフロー濾過方法では、工程Bにおいて、上記の式(1)で定義されるフィルターモジュール20の内槽21と外槽22の間の膜間圧力(TMP)の測定結果に基づいて、透過液220の流速を補正し、その補正によって得られた透過液220の流速の測定結果に基づいて、処理液200の循環の終了を決定してもよい。
【0076】
すなわち、補正によって得られた透過液220の流速が既定値に達したら、処理液200の循環の終了を決定し、所定のオーバー処理時間が経過した後に、ポンプ40を停止して、フィルターモジュール20の内槽21および処理液槽30へ処理液200の循環を終了する。
また、ここでは、上記の式(1)から算出される膜間圧力(TMP)で透過液流速を補正する場合を述べているが、内槽21の入口側における圧力(P
f)、または、内槽21の入口側における(P
f)と出口側における圧力(P
r)の圧力の平均値等を用いて透過液流速を補正しても効果は同様である。
【0077】
本実施形態のクロスフロー濾過装置10を用いたクロスフロー濾過方法によれば、処理液200に含まれる過剰な界面活性剤の除去処理において、その除去処理の終了を効率的に決定することができる。また、本実施形態のクロスフロー濾過装置10を用いたクロスフロー濾過方法によれば、ナノカーボンと界面活性剤の含有量が高精度に目的とする量に調整された処理液が得られる。
【0078】
なお、本実施形態のクロスフロー濾過方法では、処理液200が、ナノカーボンと、界面活性剤と、分散媒とを含む場合を例示したが、本実施形態のクロスフロー濾過方法はこれに限定されない。本実施形態のクロスフロー濾過方法は、タンパク質や細胞の濃縮や、純水の製造にも適用することができる。
【0079】
[第2の実施形態]
(クロスフロー濾過装置)
図4は、本実施形態のクロスフロー濾過装置を示す模式図である。なお、
図4において、
図1に示した第1の実施形態のクロスフロー濾過装置と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態のクロスフロー濾過装置300は、フィルターモジュール20と、処理液槽30と、ポンプ40と、圧力調整器50と、補充液槽60と、制御部70と、補充液測定部80と、第1の圧力センサ90(P
f)と、第2の圧力センサ100(P
r)と、第3の圧力センサ110(P
p)と、を備える。また、本実施形態のクロスフロー濾過装置300は、透過液槽120と、透過液測定部130と、を備えていてもよい。
【0080】
本実施形態のクロスフロー濾過装置300では、第1の実施形態のクロスフロー濾過装置10と同様に、フィルターモジュール20から排出された透過液220の量と、補充液槽60から処理液槽30へ補充された補充液210の量が等しくなる。さらに、単位時間当たりの透過液220の量(透過液220の流速)と、単位時間当たりの補充液210の量(補充液210の流速)も概ね等しい。
【0081】
制御部70は、ケーブル153を介して、補充液測定部80に電気的に接続されている。
また、制御部70は、ケーブル157を介して、透過液測定部130に電気的に接続されている。
【0082】
補充液測定部80は、補充液槽60から処理液槽30へ供給される補充液210の流量を測定するための流量計である。本実施形態では、補充液測定部80を第1の流量計310とも言う。第1の流量計310は、単位時間当たりの補充液槽60から処理液槽30へ供給される補充液210の流量(流速)を測定する。
第1の流量計310は、第3の管143の途中に設けられている。
【0083】
透過液測定部130は、排出口24から排出される透過液220の流量を測定するための流量計である。本実施形態では、透過液測定部130を第2の流量計320とも言う。第2の流量計320は、単位時間当たりの排出口24から排出される透過液220の流量(流速)を測定する。
第2の流量計320は、第4の管144の途中に設けられている。
【0084】
第1の流量計310および第2の流量計320としては、特に限定されず、例えば、一般的な液体の流量を測定する流量計が挙げられる。
【0085】
本実施形態のクロスフロー濾過装置300によれば、例えば、後述するクロスフロー濾過方法を実施することが可能であり、処理液200に含まれる過剰な界面活性剤の除去処理において、その除去処理の終了を効率的に決定することができる。また、本実施形態のクロスフロー濾過装置300によれば、例えば、後述するクロスフロー濾過方法を実施することが可能であり、ナノカーボンと界面活性剤の含有量が高精度に目的とする量に調整された処理液が得られる。
【0086】
[クロスフロー濾過方法]
図4を用いて、クロスフロー濾過装置300を用いたクロスフロー濾過方法を説明するとともに、クロスフロー濾過装置300の作用を説明する。
【0087】
本実施形態のクロスフロー濾過方法は、フィルターモジュール20の内槽21および処理液槽30へ処理液200を循環させる工程(工程A)と、補充液槽60から処理液槽30へ供給される補充液量に応じて、処理液200の循環の終了を決定する工程(工程B)と、を有する。
【0088】
工程Aでは、第1の実施形態のクロスフロー濾過方法と同様に、ポンプ40を始動させて、処理液槽30からフィルターモジュール20の内槽21へ処理液200の供給を開始し、フィルターモジュール20の内槽21および処理液槽30へ処理液200を循環させる。
【0089】
また、本実施形態のクロスフロー濾過方法は、第1の実施形態のクロスフロー濾過方法と同様に、第1の圧力センサ90における処理液200の圧力、第2の圧力センサ100における処理液200の圧力、および、第3の圧力センサ110における透過液220の圧力の測定結果に基づいて、ポンプ40によるフィルターモジュール20の内槽21への処理液200の供給量を調整する工程(工程C)を有していることが好ましい。
【0090】
上記の工程Aと工程Cを継続すると、処理液200に含まれる成分のうち、半透膜23の細孔径よりも小さい成分は、分散媒と共に徐々に半透膜23を透過して、フィルターモジュール20の外槽22へ浸透する。
本実施形態のクロスフロー濾過方法では、半透膜23を透過した成分を含む分散媒を透過液220とする。本実施形態のクロスフロー濾過方法では、透過液220は、上記の界面活性剤と、上記の分散媒とを含む。
【0091】
さらに、フィルターモジュール20の外槽22へ浸透した透過液220は、排出口24を介して、外槽22から透過液槽120へ排出される。
【0092】
また、本実施形態のクロスフロー濾過方法は、第1の実施形態のクロスフロー濾過方法と同様に、自動的に、補充液槽60から処理液槽30へ補充液210が供給(補充)される。これにより、フィルターモジュール20の内槽21および処理液槽30を循環する処理液200の量が一定に保たれる。
【0093】
工程Bにおいて、補充液槽60から処理液槽30へ供給される補充液210の流量の測定結果に基づいて、処理液200の循環の終了を決定することが好ましい。
工程Bでは、第1の流量計310にて、補充液槽60から処理液槽30へ供給される補充液210の流速を測定する。補充液210の流速の測定結果に基づいて、処理液200の循環の終了を決定する。そして、ポンプ40を停止して、フィルターモジュール20の内槽21および処理液槽30へ処理液200の循環を終了する。すなわち、工程Bにおいて、補充液210の流速が既定値に達したら、処理液200の循環の終了を決定し、所定のオーバー処理時間が経過した後に、ポンプ40を停止して、フィルターモジュール20の内槽21および処理液槽30へ処理液200の循環を終了する。なお、補充液210の流速の既定値とは、処理液200における界面活性剤の含有量が目的とする量になる値のことである。また、オーバー処理時間とは、処理液200における界面活性剤の含有量が確実に所定の濃度以下になるようにするための追加の処理時間である。また、オーバー処理時間は、処理液200における界面活性剤の含有量が許容量の下限を下回らないように設定される。
【0094】
処理液200の循環を終了して得られた処理液200は、ナノカーボンと界面活性剤の含有量が目的とする量となっている。
【0095】
また、本実施形態のクロスフロー濾過方法では、第2の流量計320における透過液220の流量の測定結果に基づいて、処理液200の循環の終了を決定し、ポンプ40を停止して、フィルターモジュール20の内槽21および処理液槽30へ処理液200の循環を終了してもよい。第2の流量計320にて、フィルターモジュール20の排出口24から排出される透過液220の流速を測定する。第2の流量計320において、透過液220の流速が既定値に達したら、処理液200の循環の終了を決定し、所定のオーバー処理時間が経過した後に、ポンプ40を停止して、フィルターモジュール20の内槽21および処理液槽30へ処理液200の循環を終了する。なお、透過液220の流速の既定値とは、処理液200における界面活性剤の含有量が目的とする量になる値のことである。また、オーバー処理時間とは、処理液200における界面活性剤の含有量が確実に所定の濃度以下になるようにするための追加の処理時間である。また、オーバー処理時間は、処理液200における界面活性剤の含有量が許容量の下限を下回らないように設定される。
【0096】
また、本実施形態のクロスフロー濾過方法では、工程Bにおいて、下記の式(1)で定義されるフィルターモジュール20の内槽21と外槽22の間の膜間圧力(TMP)の測定結果に基づいて、補充液210の流速を補正し、その補正によって得られた補充液210の流速の測定結果に基づいて、処理液200の循環を終了することが好ましい。
TMP=(P
f+P
r)/2−P
p・・・(1)
(但し、TMPはフィルターモジュール20の内槽21と外槽22の間の膜間圧力(TMP)、P
fはフィルターモジュール20の内槽21の入口側における処理液200の圧力、P
rはフィルターモジュール20の内槽21の出口側における処理液200の圧力、P
pはフィルターモジュール20の外槽22の排出口24側における透過液220の圧力を表わす。)
【0097】
すなわち、補正によって得られた補充液210の流速が既定値に達したら、処理液200の循環の終了を決定し、所定のオーバー処理時間が経過した後に、ポンプ40を停止して、フィルターモジュール20の内槽21および処理液槽30へ処理液200の循環を終了する。
また、ここでは、上記の式(1)から算出される膜間圧力(TMP)で補充液流速を補正する場合を述べているが、内槽21の入口側における圧力(P
f)、または、内槽21の入口側における(P
f)と出口側における圧力(P
r)の圧力の平均値等を用いて補充液流速を補正しても効果は同様である。
【0098】
また、本実施形態のクロスフロー濾過方法では、工程Bにおいて、上記の式(1)で定義されるフィルターモジュール20の内槽21と外槽22の間の膜間圧力(TMP)の測定結果に基づいて、透過液220の流速を補正し、その補正によって得られた透過液220の流速の測定結果に基づいて、処理液200の循環の終了を決定してもよい。
【0099】
すなわち、補正によって得られた透過液220の流速が既定値に達したら、処理液200の循環の終了を決定し、所定のオーバー処理時間が経過した後に、ポンプ40を停止して、フィルターモジュール20の内槽21および処理液槽30へ処理液200の循環を終了する。
また、ここでは、上記の式(1)から算出される膜間圧力(TMP)で透過液流速を補正する場合を述べているが、内槽21の入口側における圧力(P
f)、または、内槽21の入口側における(P
f)と出口側における圧力(P
r)の圧力の平均値等を用いて透過液流速を補正しても効果は同様である。
【0100】
本実施形態のクロスフロー濾過装置300を用いたクロスフロー濾過方法によれば、処理液200に含まれる過剰な界面活性剤の除去処理において、その除去処理の終了を効率的に決定することができる。また、本実施形態のクロスフロー濾過装置300を用いたクロスフロー濾過方法によれば、ナノカーボンと界面活性剤の含有量が高精度に目的とする量に調整された処理液が得られる。
【0101】
なお、本実施形態のクロスフロー濾過方法では、処理液200が、ナノカーボンと、界面活性剤と、分散媒とを含む場合を例示したが、本実施形態のクロスフロー濾過方法はこれに限定されない。本実施形態のクロスフロー濾過方法は、タンパク質や細胞の濃縮や、純水の製造にも適用することができる。
【0102】
図5に、本発明のクロスフロー濾過方法を示すフローチャートを示す。
【実施例】
【0103】
以下、実験例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
【0104】
[実験例1]
純水(水)に、非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテル(商品名:Brij S100、シグマアルドリッチ社製)を0.01wt%溶解した溶液A1、0.1wt%溶解した溶液B1、および2wt%溶解した溶液C1を調製した。
溶液A1、溶液B1および2溶液C1の量を20mLとした。
図1に示すクロスフロー濾過装置10を用いて、溶液A1、溶液B1および溶液C1のクロスフロー濾過処理を行った。
フィルターモジュール20としては、細孔径750kDa、面積20cm
2の半透膜23を備えたものを用いた。
フィルターモジュール20の内槽21の入口側における溶液A1、溶液B1および溶液C1の圧力(P
f)を20kPaとした。
補充液としては、純水を用いた。
このクロスフロー濾過処理では、処理時間の経過に伴って、補充液の消費量を測定した。結果を
図6に示す。
【0105】
図6の結果から、処理時間の経過に伴って、補充液の消費量の傾きが大きくなることが確認された。
また、
図6の補充液の消費量から、単位時間当たりの補充液の消費量を求め、補充液流速を算出した。処理時間と補充液流速との関係を
図7に示す。
図7の結果から、溶液C1(Brij S100の含有量2wt%水溶液)を用いた場合には、処理開始直後の補充液流速が約0.5g/mであり、処理時間の経過に伴って、補充液流速が増加することが確認された。また、溶液B1(Brij S100の含有量0.1wt%水溶液)を用いた場合には、処理開始直後の補充液流速が約1.5g/mであり、処理時間の経過に伴って、補充液流速が増加することが確認された。また、溶液A1(Brij S100の含有量0.01wt%水溶液)を用いた場合には、処理開始直後の補充液流速が約2.1g/mであり、処理時間の経過に伴って、補充液流速が増加することが確認された。以上の結果から、溶液における非イオン性界面活性剤の含有量が少なくなるに従って、処理開始直後の補充液流速が大きくなることが分かった。
次に、溶液A1を用いた場合の補充液流速と処理時間との関係を示すグラフを23.5時間オフセットし、溶液B1を用いた場合の補充液流速と処理時間との関係を示すグラフを18時間オフセットして図示すると、
図8に示すように、3つのグラフがほぼ重なることが分かった。
【0106】
フィルターモジュール20の半透膜23を透過する非イオン性界面活性剤(Brij S100)を含む透過液の流速は、半透膜23に掛かる圧力(印加圧力)に大きく依存する。また、半透膜23には、半透膜23の内側の粒子数(非イオン性界面活性剤粒子数)に応じて、逆向きの浸透圧(π=CRT)が生じているため、半透膜23に掛かる実効的な圧力は、印加圧力と浸透圧の差分である(
図9参照)。
例えば、溶液C1(Brij S100の含有量2wt%水溶液)では、すべての分子が浸透圧に寄与するとT=300Kにおける浸透圧は、上記の式から、10.6kPaと算出された。ここでは、R=8.31×10
3L・Pa/K・mol、C=4.3m mol/L(2wt%Brij S100)とした。したがって、半透膜23の内側のBrij S100の分子濃度が高い場合には、半透膜23に掛かる実効的な圧力は浸透圧の分だけ小さくなり、界面活性剤分子が分散媒(純水)と共に、フィルターモジュール20の内槽21から外槽22へ排出される速度が遅くなる。一方、半透膜23の内側のBrij S100の分子濃度が低い場合には、半透膜23に掛かる実効的な圧力は大きくなり、界面活性剤分子が分散媒と共に、フィルターモジュール20の内槽21から外槽22へ排出され易く、透過液流速が大きくなる。
したがって、透過液流速を知ることは、処理溶液中の粒子濃度を知ることと同じであり、透過液流速を正確に測定、算出することで、溶液中の界面活性剤の濃度を正確に知ることができる。
また、本発明のクロスフロー濾過装置では、透過液量と補充液量は等しく、また、単位時間当たりの透過液量(透過液流速)と単位時間当たりの補充液量(補充液流速)も等しいことから、浸透圧変化にともなう透過液流速の変化は、補充液流速の変化として検出することができた。この結果、補充液流速を正確に測定、算出することで、溶液中の界面活性剤の濃度を正確に知ることができる。
【0107】
図8に示す処理時間と補充液流速との関係を表わすグラフは、半透膜23の内側のBrij S100の濃度依存性を示したものである。半透膜23に掛かる実効的な圧力、すなわち、補充液流速は、フィルターモジュール20の内側の溶液の分子濃度に依存する。したがって、
図8から、溶液C1(Brij S100の含有量2wt%水溶液)をクロスフロー濾過処理し、補充液流速が約1.5g/mとなった18時間後では、フィルターモジュール20の内側の溶液におけるBrij S100の含有量は溶液B1と同程度の約0.1wt%である。さらに、補充液流速が約2.1g/mである、23.5時間後では、フィルターモジュール20の内側の溶液におけるBrij S100の含有量は溶液C1と同程度の約0.01wt%であることが分かる。
【0108】
上記のクロスフロー濾過処理によれば、溶液の循環する流速、溶液への印加圧力、半透膜23の細孔径、半透膜23の面積、フィルターモジュール20の容積が等しければ、補充液流速は、処理開始時の界面活性剤の濃度、処理する処理液の液量には依存せず、フィルターモジュール20の内側の溶液の分子濃度のみを反映したものとなる。したがって、定められた条件下におけるクロスフロー濾過処理では、補充液流速を測定することにより、界面活性剤の残存濃度を知ることができ、界面活性剤の除去を高精度に行うことができる。
【0109】
[実験例2]
純水に、非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテル(商品名:Brij S100、シグマアルドリッチ社製)を0.1wt%溶解した溶液B2を調製した。溶液B2の量を20mLとした。
図1に示すクロスフロー濾過装置10を用いて、3本の溶液B2についてクロスフロー濾過処理を行った。
フィルターモジュール20の内槽21の入口側における溶液B2の圧力(P
f)を15kPa、20kPa、および、30kPaとした。
補充液としては、純水を用いた。
このクロスフロー濾過処理では、処理時間の経過に伴って、補充液の消費量を測定し、単位時間当たりの補充液の消費量(補充液流速)を算出した。処理時間と補充液流速の関係を
図10に示す。
【0110】
図10の結果から、補充液流速は、フィルターモジュール20の内槽21の入口側における溶液B2の圧力(P
f)が大きくなるに従って、大きくなる。
ここで、フィルターモジュール20の内槽21と外槽22の間の膜間圧力(TMP)を上記の式(1)で定義する。また、規格化補充液流速を下記の式(2)で定義する。
規格化補充液流速=補充液流速×(基準TMP/処理時のTMP)・・・(2)
なお、基準TMPとしては、クロスフロー濾過装置10のフィルターモジュール20の内槽21の入口側における溶液B2の圧力(P
f)が20kPaの場合の標準的な膜間圧力(TMP)である24kPaとした。
上記の式(2)を用いて規格化補充液流速を算出し、処理時間との関係を
図11に示す。
【0111】
図11の結果から、膜間圧力(TMP)で規格化した規格化補充液流速は、フィルターモジュール20の内槽21の入口側における溶液B1の圧力(P
f)の変動に依らず、一定の値、約1.5g/mを示すことが確認された。
【0112】
[実験例3]
純水に、非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテル(商品名:Brij S100、シグマアルドリッチ社製)を0.01wt%溶解した溶液A2を用意した。実験例2と同様にして、クロスフロー濾過処理を行った。
このクロスフロー濾過処理では、処理時間の経過に伴って、補充液の消費量を測定し、単位時間当たりの補充液の消費量(補充液流速)を算出した。処理時間と補充液流速の関係を
図12に示す。
【0113】
図12の結果から、補充液流速は、フィルターモジュール20の内槽21の入口側における溶液A2の圧力(P
f)が大きくなるに従って、大きくなる。
また、実験例2と同様にして、上記の式(2)を用いて規格化補充液流速を算出し、処理時間との関係を
図13に示す。
【0114】
図13の結果から、膜間圧力(TMP)で規格化した規格化補充液流速は、フィルターモジュール20の内槽21の入口側における溶液A1の圧力(P
f)の変動に依らず、一定の値、約2.1g/mを示すことが確認された。
【0115】
実験例2および実験例3の結果から、クロスフロー濾過処理の際に、膜間圧力(TMP)で補正した規格化補充液流速を用いることにより、クロスフロー濾過処理の際に圧力変動が生じたとしても、界面活性剤の残存濃度を知ることができ、界面活性剤の除去を高精度に行えることが分かった。一般に、制御部70からの信号で圧力制御が可能な圧力調整器50は、非常に高価である。しかし、本発明のように膜間圧力(TMP)で規格化した規格化補充液流速を算出することで、安価な手動ピンチバルブを圧力調整器として用いても、圧力変動が生じた場合にも、界面活性剤の除去を高精度に行える。
また、ここでは、膜間圧力(TMP)を用いて、上記の式(2)から算出される補充液流速を補正する場合を述べているが、膜間圧力(TMP)の代わりに、内槽21の入口側における圧力(P
f)、または、内槽21の入口側における(P
f)と出口側における圧力(P
r)の圧力の平均値等を用いて補充液流速を補正しても効果は同様である。
【0116】
[実験例4]
単層カーボンナノチューブを含む分散液(以下、「単層カーボンナノチューブ分散液」と言う。)に含まれる界面活性剤を除去する場合について説明する。単層カーボンナノチューブ分散液としては、超音波分散処理や超遠心による精製処理が施されたもの、または、例えば、電気泳動法等によって金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブが分離されたものが挙げられる。これらの単層カーボンナノチューブ分散液は、数wt%程度の界面活性剤を含む。
このような単層カーボンナノチューブ分散液を、電気的な応用、あるいは、電子デバイス等に用いる場合には、界面活性剤が電気伝導の妨げとなる。そのため、単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる過剰な界面活性剤を除去する必要がある。
【0117】
非イオン界面活性剤の1つである、Brij S100の場合について詳細に説明する。例えば、Brij S100の臨界ミセル濃度(CMC)は約0.01wt%であるため、単層カーボンナノチューブ分散液におけるBrij S100の濃度が0.01wt%未満では、単層カーボンナノチューブが安定に分散できずに凝集してしまう。したがって、単層カーボンナノチューブ分散液における非イオン性界面活性剤の濃度の下限を0.01wt%とする。一方、単層カーボンナノチューブを電子デバイスに応用する上で、電気伝導の妨げにならないための単層カーボンナノチューブ分散液における非イオン性界面活性剤の濃度の上限を0.1wt%とする。これ以下の濃度の単層カーボンナノチューブ分散液であれば、単層カーボンナノチューブを基板に析出させたのちに、溶液による洗浄、あるいは、加熱処理による熱分解で、Brij S100を十分に除去することができる。
これらの理由から、単層カーボンナノチューブ分散液を、電気的な応用、あるいは、電子デバイス等に用いる場合には、単層カーボンナノチューブ分散液における非イオン性界面活性剤の濃度を臨界ミセル濃度の数倍程度にする必要がある。
【0118】
単層カーボンナノチューブの混合物(eDIPS(enhanced Direct Injection Pyrolytic Synthesis:改良直噴熱分解合成)単層カーボンナノチューブ、平均直径:1.0nm)、非イオン性界面活性剤であるBrij S100を用いて純水に分散し、さらに、例えば、特許文献1に記載の方法を用いて、半導体型の単層カーボンナノチューブを高純度に抽出した分散液を用意した。この半導体型単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる非イオン性界面活性剤の濃度は不明であるが、電子デバイス用途に用いるためには、Brij S100の濃度を0.1wt%以下にする必要がある。さらに、半導体型単層カーボンナノチューブを長期間安定に分散させておくには、Brij S100の臨界ミセル濃度(CMC)0.01wt%よりも高い濃度を保つ必要がある。
次に、純水に、非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテル(商品名:Brij S100、シグマアルドリッチ社製)を0.01wt%溶解した溶液A3、0.1wt%溶解した溶液B3を調製した。溶液A3および溶液B3の量は20mLとした。
【0119】
図1に示すクロスフロー濾過装置10を用いて、溶液A3のクロスフロー濾過処理を行った。上記の式(1)で算出されるTMPが24kPaとなるように圧力を調整し、補充液流速を計測した。クロスフロー開始時の補充液流速は、約2.1g/mであった。これは、界面活性剤濃度が下限にある場合の補充液流速である。
図1に示すクロスフロー濾過装置10を用いて、溶液B3のクロスフロー濾過処理を行った。上記の式(1)で算出されるTMPが24kPaとなるように圧力を調整し、補充液流速を計測した。クロスフロー開始時の補充液流速は、約1.5g/mであった。これは、界面活性剤濃度が上限にある場合の補充液流速である。
次に、前述の界面活性剤濃度が不明である半導体型単層カーボンナノチューブ分散液のクロスフロー濾過処理を行った。
溶液A3と溶液B3の補充液流速の間である、補充液流速1.7g/mを閾値流速に設定し、さらに、オーバー処理時間を60分として、クロスフロー濾過処理を行った。
この非イオン性界面活性剤の除去処理では、処理時間の経過に伴って、補充液の流量(累計)を測定し、補充液流速を算出した。また、処理中の圧力を計測し、上記の式(1)を用いて膜間圧力(TMP)を算出した。さらに、上記の式(2)を用いて、基準TMPを24kPaとし、前記補充液流速と前記膜間圧力(TMP)から、規格化補充液流速を算出した。規格化補充液流速が閾値流速を超えた時間を積算し、この積算時間がオーバー処理時間である60分に達した時点で、クロスフロー濾過処理を停止した。処理時間と規格化補充液流速の関係を算出した。結果を
図14に示す。
【0120】
ポンプ40の脈動による短周期の圧力変動により、規格化補充液流速は細かく変動している。そのため、閾値流速を超えている積算時間が、オーバー処理時間で設定した60分に達するためには、60分より長い処理時間を要している。処理終了時の規格化補充液流速は、目標とする上限の0.1wt%の時の約1.5g/mより十分大きく、また、下限の0.01wt%の時の約2.1g/mより十分小さい。
さらに、処理後の単層カーボンナノチューブ分散液の吸光度を分光光度計(商品名:紫外可視近赤外分光光度計 UV−3600、島津製作所社製)を用いて測定した。
結果を
図15に示す。一般に、単層カーボンナノチューブが凝集すると、吸光度にみられる急峻なピークが鈍化することが知られている。
【0121】
図15の結果から、単層カーボンナノチューブ分散液において、クロスフロー濾過処理の前後で、単層カーボンナノチューブが凝集している痕跡が見られず、単層カーボンナノチューブの単分散性が保たれていることが確認された。
また、処理後の単層カーボンナノチューブ分散液における界面活性剤、Brij S100の濃度を調べた。単層カーボンナノチューブ分散液におけるBrij S100の濃度は、屈折率や、吸光度を詳細に解析することで得られる。結果は、0.029wt%であった。目的とする界面活性剤濃度を有する、半導体型単層カーボンナノチューブ分散液が得られた。
上記で得られた半導体型単層カーボンナノチューブ分散液をCNTインクとして薄膜トランジスタを試作した。まず、プラスチック基板上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース・ドレイン電極を形成した。ソース・ドレイン電極の間にCNTインクを滴下し、乾燥させた。溶液による洗浄、および、加熱処理を用いて、基板上に残留したBrij S100を除去した。
図16に、作製した薄膜トランジスタの伝達特性を示す。オン・オフ電流比が5ケタ以上、電界効果移動度は4.7cm2/Vsと良好な特性が得られた。本発明のクロスフロー濾過装置、および、クロスフロー濾過方法では、半導体型単層カーボンナノチューブ分散液中の過剰な界面活性剤濃度を低減できた。この結果、界面活性剤が電気伝導を妨げることを防ぎ、良好な特製の薄膜トランジスタを得ることができた。
【0122】
[実験例5]
単層カーボンナノチューブの混合物(eDIPS(enhanced Direct Injection Pyrolytic Synthesis:改良直噴熱分解合成)を非イオン性界面活性剤であるBrij S100を用いて純水に分散し、さらに、例えば、特許文献1に記載の方法を用いて、高純度の半導体型の単層カーボンナノチューブを抽出した分散液を7種類用意した。これらの半導体型単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる非イオン性界面活性剤の濃度は不明である。
図1に示すクロスフロー濾過装置10を用いて、実験例4と同様にして、各溶液のクロスフロー濾過処理を行った。
表1には各溶液の開始時液量、処理に要した時間、処理後のBrij S100の濃度をまとめた。処理に要した時間は、開始時液量の液量、あるいは、開始時のBrij S100の濃度(不明)に依存する。しかし、本発明のクロスフロー濾過装置とクロスフロー濾過方法を用いれば、処理溶液の初期状態によらず、再現性良く、所望の界面活性剤濃度を有する分散液を得ることができた。
また、これらの処理を行った半導体型単層カーボンナノチューブ分散液をCNTインクとして用いることで、実験例4と同様に優れた特性を有する薄膜トランジスタを得ることができた。
また、本発明のクロスフロー濾過装置において、処理液槽30の注入管33と、補充液槽60の吸引管61を接続している、第3の管143の途中に、バルブなどを付加すれば、一時的に処理液槽30内部の圧力を大気圧に維持することが可能となる。処理液槽30内部の圧力を大気圧に維持すると、処理液槽30の処理液200が減少しても、補充液210は補充されず、結果として、処理液200の単層カーボンナノチューブと界面活性剤を濃縮することができる。処理液200の単層カーボンナノチューブが、用途に比べて濃度が薄い場合には、上記のような手段で濃縮することができる。所望の単層カーボンナノチューブ濃度まで濃縮した後に、前記の第3の管143に負荷したバルブを閉じて、処理を継続すれば、過剰に濃縮された界面活性剤を除去することできる。
【0123】
【表1】