(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも二つの第1端子を含む第1端子群と、少なくとも二つの第2端子を含む第2端子群とを有する光マトリックススイッチと、前記第2端子群に含まれるいずれかの前記第2端子に入力端が接続されるとともに、前記第1端子群に含まれるいずれかの前記第1端子に出力端が接続される等化器を少なくとも二つ含む等化器群とを備える等化装置において、
前記第1端子と前記第2端子との接続状態を切り替えることによって、外部から入力される光入力信号の傾斜レベルを補償し、傾斜レベルが補償された光信号を光出力信号として出力する等化方法。
【背景技術】
【0002】
海底ケーブルシステムにおいては、長距離を伝送される光信号の伝送品質を確保することが求められる。そのためには、BOL(Beginning of Life)からEOL(End of Life)まで、伝送される光信号の光プロファイルの傾斜レベルをフラット(0dB)にすることが望ましい。しかしながら、海底ケーブルシステムの修理や経年劣化に伴って損失が増加するため、光プロファイルの傾斜レベルが変化する。光プロファイルの傾斜レベルをフラットに保つためには、傾斜レベルを補償できる傾斜等化装置が用いられる。
【0003】
特許文献1には、入力ファイバ伝送路と出力ファイバ伝送路との間の光利得プロファイルを適正な状態に調整できる光増幅中継伝送システムについて開示されている。特許文献1のシステムは、送信端局と受信端局との間に設置された光ファイバ伝送路内に所要間隔をおいて該光ファイバ伝送路で伝送される光信号の各スペクトルの傾斜レベルを調整するための光伝送系を有する。
【0004】
図7は、関連技術の傾斜等化装置100の構成を示す模式図である。傾斜等化装置100は、第1光スイッチ101、第2光スイッチ102、イコライザ群103、および制御部105を備える。イコライザ群103は、傾斜レベルの異なる複数のイコライザ104−1〜9によって構成される。
図7の例では、イコライザ群103は、傾斜レベルが−4dB〜+4dBの9個のイコライザ104−1〜9によって構成される。
【0005】
第1光スイッチ101は、光入力信号が入力されるCOM端子と、COM端子との接続が切り替えられる複数の出力端子とを有する。第1光スイッチ101の複数の出力端子のそれぞれは、イコライザ104−1〜9のいずれかに接続される。第2光スイッチ102は、光出力信号が出力されるCOM端子と、COM端子との接続が切り替えられる複数の入力端子とを有する。第2光スイッチ102の複数の入力端子のそれぞれは、イコライザ104−1〜9のいずれかに接続される。制御部105は、光プロファイルの傾斜レベルに応じて、第1光スイッチ101および第2光スイッチ102の接続状態を切り替える。
【0006】
図8は、光プロファイルの傾斜レベルを−4dB〜+4dBの範囲で補償するためのスイッチの接続設定をまとめたスイッチ設定表110である。
図8の接続設定の欄の括弧内は、補償する傾斜レベルごとの、COM端子と、入力端子1〜9および出力端子1〜9との組合せを示す。
図8に示すように、傾斜等化装置100は、−4dB〜+4dBの範囲において1dB単位で光プロファイルの傾斜レベルを補償できる。
【0007】
例えば、光プロファイルの傾斜レベルを−4dB補償する場合、制御部105は、(COM、1)を閉じるための制御信号を第1光スイッチ101および第2光スイッチ102に出力する。その結果、第1光スイッチ101ではCOM端子と出力端子1とが接続され、第2光スイッチでは入力端子1とCOM端子とが接続される。第1光スイッチ101のCOM端子から入力された光入力信号は、第1光スイッチ101の出力端子1からイコライザ104−1に入力されて傾斜レベルが−4dB補償され、第2光スイッチ102の入力端子1に出力される。第2光スイッチ102の入力端子1に入力された光信号は、COM端子から光出力信号として出力される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお、以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由がない限り、同様箇所には同一符号を付す。また、以下の実施形態において、同様の構成・動作に関しては繰り返しの説明を省略する場合がある。また、図面中の矢印の向きは、一例を示すものであり、信号の向きを限定するものではない。
【0017】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態に係る傾斜等化装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の傾斜等化装置(等化装置とも呼ぶ)は、海底ケーブルシステムを構成する複数の中継器の間の少なくともいずれかに挿入される。本実施形態の傾斜等化装置は、前段の中継器からの光信号を入力とし、入力された光信号の傾斜レベルを補償し、傾斜レベルが補償された光信号を後段の中継器に出力する。
【0018】
図1は、本実施形態の傾斜等化装置1の構成の一例を示す模式図である。
図1のように、傾斜等化装置1は、マトリクススイッチ11、イコライザ群13、および制御部15を備える。イコライザ群13は、複数のイコライザ130(等化器とも呼ぶ)によって構成される。
図1には、イコライザ130−1、イコライザ130−2、イコライザ130−3、・・・、イコライザ130−mによってイコライザ群13が構成される例を示す(mは、自然数)。
【0019】
マトリクススイッチ11は、多入力多出力の光マトリクススイッチである。マトリクススイッチ11は、複数の入力端子IN(第1端子とも呼ぶ)を含む入力端子群(第1端子群とも呼ぶ)と、複数の出力端子OUT(第2端子とも呼ぶ)を含む出力端子群(第2端子群とも呼ぶ)とを有する。
図1には、n個の入力端子IN−1〜nと、n個の出力端子OUT−1〜nとを含むマトリクススイッチ11を示す(nは、mよりも大きい自然数)。なお、マトリクススイッチ11の形態については、特に限定しない。
【0020】
複数の入力端子INのうち一つには、外部から光入力信号が入力される。
図1には、入力端子IN−1に光入力信号が入力される例を示す。例えば、入力端子IN−1には、前段の中継器からの光入力信号が入力される。これ以降、外部から光入力信号が入力される入力端子INのことを外部入力端子とも呼ぶ。
【0021】
複数の入力端子INのそれぞれは、制御部15からの制御信号に応じて、複数の出力端子OUTのいずれかに接続される。
図1には、入力端子IN−1が出力端子OUT−1に、入力端子IN−2が出力端子OUT−3に、入力端子IN−mが出力端子OUT−nにそれぞれ接続される例を示す。
【0022】
複数の出力端子OUTのうち一つからは、光出力信号が出力される。
図1には、出力端子OUT−nから光出力信号が出力される例を示す。例えば、出力端子OUT−nからは、後段の中継器に向けて光出力信号が出力される。これ以降、光信号が出力される出力端子OUTのことを外部出力端子とも呼ぶ。
【0023】
外部出力端子以外の出力端子OUTは、イコライザ群13を構成する複数のイコライザ130のいずれかに接続される。
図1には、出力端子OUT−1がイコライザ130−1に、出力端子OUT−2がイコライザ130−2に、出力端子OUT−3がイコライザ130−3に、・・・、出力端子OUT−mがイコライザ130−mにそれぞれ接続される例を示す。
【0024】
イコライザ群13(等化器群とも呼ぶ)は、複数のイコライザ130によって構成される。
図1には、イコライザ群13が、イコライザ130−1、イコライザ130−2、イコライザ130−3、・・・、イコライザ130−mによって構成される例を示す。例えば、イコライザ群13を構成する複数のイコライザ130は、入力された光信号を互いに異なる傾斜レベルに調整する。また、例えば、イコライザ群13を構成する複数のイコライザ130のうち少なくとも一組は、入力された光信号を互いに同じ傾斜レベルに調整する。イコライザ群13によって調整される傾斜レベルは、光入力信号の傾斜レベルに応じて任意に設定される。
【0025】
イコライザ群13を構成する複数のイコライザ130のそれぞれの入力端は、マトリクススイッチ11のいずれかの出力端子OUTに接続される。
図1には、イコライザ130−1が出力端子OUT−1に、イコライザ130−2が出力端子OUT−2に、イコライザ130−3が出力端子OUT−3に、・・・、イコライザ130−mが出力端子OUT−mにそれぞれ接続される例を示す。
【0026】
また、イコライザ群13を構成する複数のイコライザ130のそれぞれの出力端は、マトリクススイッチ11のいずれかの入力端子INに接続される。
図1には、イコライザ130−1が入力端子IN−2に、イコライザ130−2が入力端子IN−3に、・・・、イコライザ130−mが入力端子IN−nにそれぞれ接続される例を示す。
図1の例では、イコライザ130−1とイコライザ130−3が直列に接続される。
【0027】
イコライザ130に入力された光入力信号は、それぞれのイコライザ130によって調整される傾斜レベルを合計した分の傾斜レベルを補償される。傾斜レベルが補償された光信号は、マトリクススイッチ11を介して別のイコライザ130によって再び傾斜レベルを調整されるか、光出力信号として出力される。すなわち、イコライザ130に入力された光入力信号は、マトリクススイッチ11の入力端子INに接続されている出力端子OUTに接続されたイコライザ130によって調整される傾斜レベルを合計した分の傾斜レベルを補償される。
図1の例では、光入力信号は、マトリクススイッチ11の接続状態に応じて、イコライザ130−1およびイコライザ130−3のそれぞれによって調整される傾斜レベルを合計した分の傾斜レベルが補償される。
【0028】
制御部15(制御手段とも呼ぶ)は、光入力信号の傾斜レベルに合わせて、マトリクススイッチ11の接続状態を切り替えるための制御信号をマトリクススイッチ11に送信する。マトリクススイッチ11の接続状態は、予め設定されていてもよいし、光入力信号の傾斜レベルに応じて自動的に設定されてもよいし、外部のシステムから設定されるように構成してもよい。例えば、制御部15は、コンピュータやマイクロコンピュータなどの情報処理装置によって実現される。例えば、制御部15は、陸上局から送信される光入力信号に含まれる指令(コマンドとも呼ぶ)を図示しない受信部で受信し、受信した指令に基づいてマトリクススイッチ11の接続状態を設定する。
【0029】
すなわち、傾斜等化装置1に入力された光入力信号は、制御部15の制御信号に応じて設定されるマトリクススイッチ11の接続状態に基づいて、複数のイコライザ130によって多段階で傾斜レベルを調整される。なお、光入力信号の傾斜レベルを補償する必要がない場合、傾斜等化装置1は、外部入力端子を外部出力端子に接続させ、光入力信号をそのまま光出力信号として出力すればよい。
【0030】
一般に、海底ケーブルシステムを構成する海底分岐装置などの海底機器では、それらの機器の内部で給電経路を切り替える際にリレーを制御する。例えば、そのような海底機器は、陸上局から送信される光入力信号の一部を振幅変調した指令を受信し、受信した指令を解読して海底機器内のリレーをオン・オフ制御する。本実施形態の傾斜等化装置1の制御部15は、そのような海底機器と同様に、陸上局から送信される光入力信号に含まれる指令を受信し、受信した指令に基づいて、マトリクススイッチ11の接続状態を設定する。
【0031】
以上のように、本実施形態の傾斜等化装置は、光マトリックススイッチ、等化器群、および制御手段を備える。光マトリックススイッチは、少なくとも二つの第1端子を含む第1端子群と、少なくとも二つの第2端子を含む第2端子群とを有する。等化器群は、第2端子群に含まれるいずれかの第2端子に入力端が接続されるとともに、第1端子群に含まれるいずれかの第1端子に出力端が接続される等化器を少なくとも二つ含む。制御手段は、第1端子と第2端子との接続状態を切り替える。
【0032】
例えば、等化器群に含まれる等化器のそれぞれは、入力端から入力される光信号の傾斜レベルを調整して出力端から出力できる。
【0033】
例えば、等化器群に含まれる等化器のうち少なくとも一つは、等化器群に含まれるその他の等化器とは異なる傾斜レベルで、入力端から入力される光信号を調整する。
【0034】
例えば、第1端子群に含まれる第1端子のうち少なくとも一つは、外部からの光入力信号が入力される外部入力端子であり、第2端子群に含まれる第2端子のうち少なくとも一つは、等化器群によって傾斜レベルが補償された光出力信号を外部に出力する。
【0035】
例えば、第1端子群に含まれる第1端子のうち一つが外部入力端子であり、第2端子群に含まれる第2端子のうち一つが外部出力端子である。第2端子群に含まれる第2端子のうち外部出力端子以外の第2端子のそれぞれは、異なる等化器の入力端のそれぞれに接続される。第1端子群に含まれる第1端子のうち外部入力端子以外の第1端子のそれぞれは、異なる等化器の出力端のそれぞれに接続される。
【0036】
例えば、外部出力端子は、制御部による接続状態の切り替えに応じて第1端子に接続された全ての等化器によって傾斜レベルが調整された光信号を、傾斜レベルが補正された光出力信号として出力する。
【0037】
すなわち、本実施形態の傾斜等化装置によれば、光マトリクススイッチを用いることによって、一般的な光スイッチを使用した可変傾斜装置よりも光デバイス(部品)の数量を減らすことができる。その結果、本実施形態の傾斜等化装置によれば、1台の装置で等化できるシステム数(芯数)を増やせるため、海底ケーブルシステムを多芯化できる。海底ケーブルシステムを多芯化できると、システムの拡張が容易になる。
【0038】
すなわち、本実施形態の傾斜等化装置は、光マトリクススイッチの入出力端子間に複数のイコライザを接続し、光マトリクススイッチの接続設定を変化させることにより、傾斜レベルの設定数を維持しつつ、光デバイスの数を削減できる。
【0039】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る傾斜等化装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態では、6個のイコライザによってイコライザ群を構成する例を示す。
【0040】
図2は、本実施形態の傾斜等化装置2(等化装置とも呼ぶ)の構成の一例を示す模式図である。
図2のように、傾斜等化装置2は、マトリクススイッチ21、イコライザ群23、および制御部25を備える。イコライザ群23は、複数のイコライザ230によって構成される。
図2には、6個のイコライザ230−1〜6によってイコライザ群23が構成される例を示す。
【0041】
マトリクススイッチ21は、7個の入力端子IN−1〜7と、7個の出力端子OUT−1〜7とを有する。
【0042】
複数の入力端子INのうち一つには、外部から光入力信号が入力される。
図2には、入力端子IN−1に光入力信号が入力される例を示す。例えば、入力端子IN−1(外部入力端子とも呼ぶ)には、前段の中継器からの光入力信号が入力される。
【0043】
複数の入力端子INのそれぞれは、制御部25からの制御信号に応じて、複数の出力端子OUTのいずれかに接続される。
図2には、入力端子IN−1が出力端子OUT−1に、入力端子IN−2が出力端子OUT−4に、入力端子IN−5が出力端子OUT−7にそれぞれ接続される例を示す。
【0044】
複数の出力端子OUTのうち一つからは、光出力信号が出力される。
図2には、出力端子OUT−7から光出力信号が出力される例を示す。例えば、出力端子OUT−7(外部出力端子とも呼ぶ)からは、後段の中継器に向けた光出力信号が出力される。
【0045】
外部出力端子以外の出力端子OUTは、イコライザ群23を構成する複数のイコライザ230のいずれかに接続される。
図2には、出力端子OUT−1〜6のそれぞれが、イコライザ230−1〜6のそれぞれに接続される例を示す。
【0046】
イコライザ群23は、傾斜レベルの異なる複数のイコライザ230によって構成される。
図2には、イコライザ群23が、6個のイコライザ230−1〜6によって構成される例を示す。
図2では、イコライザ230−1〜6のそれぞれが調整する傾斜レベルは、一例として、−1dB、0dB、+1dB、+3dB、0dB、+3dBであるが、これらの数値に限定されるものではない。これらの傾斜レベルのイコライザ230は、周知の光フィルタ等を用いて実現できる。傾斜レベルは、光入力信号の波長範囲における透過率の傾きに相当する。
【0047】
イコライザ群23を構成する複数のイコライザ230のそれぞれの入力端は、マトリクススイッチ21のいずれかの出力端子OUTに接続される。
図2の例では、イコライザ230−1〜6のそれぞれが、出力端子OUT−1〜6のそれぞれに接続される。
【0048】
また、イコライザ群23を構成する複数のイコライザ230のそれぞれの出力端は、マトリクススイッチ21のいずれかの入力端子INに接続される。
図2の例では、イコライザ230−1〜6のそれぞれが、入力端子IN−2〜7のそれぞれに接続される。
【0049】
イコライザ230に入力された光入力信号は、それぞれのイコライザ230によって傾斜レベルを調整される。傾斜レベルが調整された光信号は、マトリクススイッチ21を介して別のイコライザ230によって再び傾斜レベルを調整されるか、光出力信号として出力される。すなわち、イコライザ230に入力された光入力信号は、マトリクススイッチ21の入力端子INに接続されている出力端子OUTに接続されたイコライザ230によって調整される傾斜レベルを合計した分の傾斜レベルを補償される。
図2の接続状態の例では、光入力信号は、イコライザ230−1によって−1dB、イコライザ230−4によって−3dB、合計−4dB分の傾斜レベルを調整される。
【0050】
制御部25は、光入力信号の傾斜レベルに合わせて、マトリクススイッチ21の接続状態を切り替えるための制御信号をマトリクススイッチ21に送信する。マトリクススイッチ21の接続状態は、予め設定されていてもよいし、光入力信号の傾斜レベルに応じて自動的に設定されてもよいし、外部のシステムから設定されるように構成してもよい。
【0051】
すなわち、傾斜等化装置2に入力された光入力信号は、制御部25からの制御信号に応じて設定されるマトリクススイッチ21の接続状態に基づいて、複数のイコライザ230によって多段階で傾斜レベルを調整される。なお、光入力信号の傾斜レベルを補償する必要がない場合、傾斜等化装置2は、外部入力端子(入力端子IN−1)を外部出力端子(出力端子OUT−7)に接続させ、光入力信号をそのまま光出力信号として出力すればよい。
【0052】
図3は、光プロファイルの傾斜レベルを−4dB〜+4dBの範囲で補償するためのスイッチの接続設定をまとめたスイッチ設定表250(接続設定テーブルとも呼ぶ)である。例えば、スイッチ設定表250は、制御部25の記憶装置(図示しない)に格納される。
【0053】
スイッチ設定表250の接続設定の欄の括弧内は、補償する傾斜レベルごとの、入力端子1〜7と、出力端子1〜7との組合せを示す。スイッチ設定表250の例では、入力端子1〜7と、出力端子1〜7との組合せを3組設定することによって、所望の傾斜レベルを設定できる。スイッチ設定表250に示すように、スイッチ設定表250傾斜等化装置2は、−4dB〜+4dBの範囲において1dB単位で光プロファイルの傾斜レベルを補償できる。
【0054】
例えば、光プロファイルの傾斜レベルを−4dB補償する場合、制御部25は、(IN−1、OUT−1)、(IN−2、OUT−4)、(IN−5、OUT−7)を閉じるための制御信号をマトリクススイッチ21に出力する。その結果、入力端子IN−1と出力端子OUT−1との間と、入力端子IN−2と出力端子OUT−4との間と、入力端子IN−5と出力端子OUT−7との間とが接続される。マトリクススイッチ21の入力端子IN−1から入力された光入力信号は、イコライザ230−1およびイコライザ230−4によって傾斜レベルが調整される。その結果、傾斜等化装置2に入力された光入力信号は、傾斜レベルが−4dB補償され、出力端子OUT−7から光出力信号として出力される。
【0055】
以上のように、本実施形態の傾斜等化装置によれば、多入力多出力の光マトリクススイッチを用いることによって、一般的な光スイッチを使用した可変傾斜装置よりも光デバイス(部品)の数量を減らすことができる。その結果、本実施形態の傾斜等化装置によれば、1台の装置で等化できるシステム数(芯数)を増やせるため、海底ケーブルシステムを多芯化できる。海底ケーブルシステムを多芯化できると、システムの拡張が容易になる。
【0056】
図7に示す関連技術の傾斜等化装置100では、傾斜レベルを−4〜+4dBの調整範囲で1dB単位で調整するために、11個の光デバイス(2つの光スイッチ、9個のイコライザ)を必要とした。それに対し、本実施形態の傾斜等化装置2では、同じ調整範囲(−4〜+4dB)の傾斜レベルを補償するために、光デバイス(1個の光マトリクススイッチ、6個のイコライザ)を7個で構成できる。
【0057】
すなわち、本実施形態の傾斜等化装置は、光マトリクススイッチの入出力端子間に複数のイコライザを接続し、光マトリクススイッチの接続設定を変化させることにより、光デバイスの数を減らしても、傾斜レベルの調整範囲を確保できる。
【0058】
例えば、本実施形態の傾斜等化装置の制御部は、補償する傾斜レベルに対応させて、第1端子と第2端子群とに設定される接続状態をまとめた接続設定テーブルを含む。その制御部は、光入力信号に設定する傾斜レベルに応じて、第1端子群に含まれる第1端子と、第2端子群に含まれる第2端子との接続状態を切り替える。
【0059】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る傾斜等化装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態では、9個のイコライザによってイコライザ群を構成する例を示す。
【0060】
図4は、本実施形態の傾斜等化装置3(等化装置とも呼ぶ)の構成の一例を示す模式図である。
図4のように、傾斜等化装置3は、マトリクススイッチ31、イコライザ群33、および制御部35を備える。イコライザ群33は、複数のイコライザ330によって構成される。
図4には、9個のイコライザ330−1〜9によってイコライザ群33が構成される例を示す。
【0061】
マトリクススイッチ31は、10個の入力端子IN−1〜10と、10個の出力端子OUT−1〜10とを有する。
【0062】
複数の入力端子INのうち一つには、外部から光入力信号が入力される。
図4には、入力端子IN−1に光入力信号が入力される例を示す。例えば、入力端子IN−1(外部入力端子とも呼ぶ)には、前段の中継器からの光入力信号が入力される。
【0063】
複数の入力端子INのそれぞれは、制御部35からの制御信号に応じて、複数の出力端子OUTのいずれかに接続される。
図4には、入力端子IN−1が出力端子OUT−1に、入力端子IN−2が出力端子OUT−4に、入力端子IN−5が出力端子OUT−7に、入力端子IN−8が出力端子OUT−10にそれぞれ接続される例を示す。
【0064】
複数の出力端子OUTのうち一つからは、光出力信号が出力される。
図4には、出力端子OUT−10から光出力信号が出力される例を示す。例えば、出力端子OUT−10(外部出力端子とも呼ぶ)からは、後段の中継器に向けた光出力信号が出力される。
【0065】
外部出力端子以外の出力端子OUTは、イコライザ群33を構成する複数のイコライザ330のいずれかに接続される。
図4には、出力端子OUT−1〜9のそれぞれが、イコライザ330−1〜9のそれぞれに接続される例を示す。
【0066】
イコライザ群33は、複数のイコライザ330によって構成される。
図4には、イコライザ群33が、9個のイコライザ330−1〜9によって構成される例を示す。
図4の例では、イコライザ330−1〜9のそれぞれが調整する傾斜レベルは、−1dB、0dB、+1dB、−3dB、0dB、+3dB、−3dB、0dB、+3dBである。
【0067】
イコライザ群33を構成する複数のイコライザ330のそれぞれの入力端は、マトリクススイッチ31のいずれかの出力端子OUTに接続される。
図4の例では、イコライザ330−1〜9のそれぞれが、出力端子OUT−1〜9のそれぞれに接続される。
【0068】
また、イコライザ群33を構成する複数のイコライザ330のそれぞれの出力端は、マトリクススイッチ31のいずれかの入力端子INに接続される。
図4の例では、イコライザ330−1〜9のそれぞれが、入力端子IN−2〜10のそれぞれに接続される。
【0069】
イコライザ330に入力された光入力信号は、それぞれのイコライザ330によって傾斜レベルを調整される。傾斜レベルが調整された光信号は、マトリクススイッチ31を介して別のイコライザ330によって再び傾斜レベルを調整されるか、光出力信号として外部に出力される。すなわち、イコライザ330に入力された光入力信号は、マトリクススイッチ31の入力端子INに接続されている出力端子OUTに接続されたイコライザ330によって調整される傾斜レベルを合計した分の傾斜レベルを補償される。
図4の接続状態の例では、光入力信号は、イコライザ330−1によって−1dB、イコライザ330−4によって−3dB、イコライザ330−7によって−3dB、合計−7dB分の傾斜レベルを調整される。
【0070】
制御部35は、光入力信号の傾斜レベルに合わせて、マトリクススイッチ31の接続状態を切り替えるための制御信号をマトリクススイッチ31に送信する。マトリクススイッチ31の接続状態は、予め設定されていてもよいし、光入力信号の傾斜レベルに応じて自動的に設定されてもよいし、外部のシステムから設定されるように構成してもよい。
【0071】
すなわち、傾斜等化装置3に入力された光入力信号は、制御部35からの制御信号に応じて設定されるマトリクススイッチ31の接続状態に基づいて、複数のイコライザ330によって多段階で傾斜レベルを調整される。なお、光入力信号の傾斜レベルを調整する必要がない場合、傾斜等化装置3は、外部入力端子(入力端子IN−1)を外部出力端子(出力端子OUT−10)に接続させ、光入力信号をそのまま光出力信号として出力すればよい。
【0072】
図5は、光プロファイルの傾斜レベルを−7dB〜+7dBの範囲で補償するためのスイッチの接続設定をまとめたスイッチ設定表350である(接続設定テーブルとも呼ぶ)。例えば、スイッチ設定表350は、制御部35の記憶装置(図示しない)に格納される。
【0073】
スイッチ設定表350の接続設定の欄の括弧内は、入力端子1〜10と、出力端子1〜10との組合せを示す。スイッチ設定表350の例では、入力端子1〜10と、出力端子1〜10との組合せを4組設定することによって、所望の傾斜レベルを設定できる。スイッチ設定表350に示すように、傾斜等化装置3は、−7dB〜+7dBの範囲において1dB単位で光プロファイルの傾斜レベルを補償できる。
【0074】
例えば、光プロファイルの傾斜レベルを−7dB補償する場合、制御部35は、(IN−1、OUT−1)、(IN−2、OUT−4)、(IN−5、OUT−7)、(IN−8、OUT−10)を閉じるための制御信号をマトリクススイッチ21に出力する。その結果、入力端子IN−1と出力端子OUT−1との間と、入力端子IN−2と出力端子OUT−4との間と、入力端子IN−5と出力端子OUT−7との間と、入力端子IN−8と出力端子OUT−10との間とが接続される。マトリクススイッチ31の入力端子IN−1から入力された光入力信号は、イコライザ330−1、イコライザ330−4、およびイコライザ330−7によって傾斜レベルが調整される。その結果、傾斜等化装置3に入力された光入力信号は、傾斜レベルが−7dB調整され、出力端子OUT−10から光出力信号として出力される。
【0075】
以上のように、本実施形態の傾斜等化装置によれば、第2の実施形態の傾斜等化装置よりも傾斜レベルの調整範囲を拡張できる。その結果、本実施形態の傾斜等化装置によれば、1台の装置で等化できるシステム数(芯数)を増やせるため、海底ケーブルシステムをさらに多芯化できる。
【0076】
図7に示す関連技術の傾斜等化装置100では、傾斜レベルを−4〜+4dBの調整範囲で1dB単位で調整するために、11個の光デバイス(2つの光スイッチ、9個のイコライザ)を必要とした。本実施形態の傾斜等化装置では、より広い調整範囲(−7〜+7dB)の傾斜レベルを補償するために、光デバイス(1個の光マトリクススイッチ、9個のイコライザ)を10個で構成できる。
【0077】
すなわち、本実施形態の傾斜等化装置は、光マトリクススイッチの入出力端子間のイコライザ数を増やしても、関連技術の傾斜等化装置と比べて、より少ない光デバイス数で、傾斜レベルの調整範囲をより広くできる。
【0078】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係る通信システムについて図面を参照しながら説明する。本実施形態の通信システムは、第1〜第3の実施形態の傾斜等化装置(等化装置とも呼ぶ)のいずれかを少なくとも一つ備える。
【0079】
図6は、本実施形態の通信システム4の構成の一例を示すブロック図である。
図6のように、通信システム4は、複数の中継装置41と、少なくとも一つの傾斜等化装置40とを備える。
図6には、中継装置41−sと中継装置41−tとの間に傾斜等化装置40を配置する例を示す(sは自然数、tはsよりも大きい自然数)。複数の中継装置41(中継器とも呼ぶ)と、傾斜等化装置40とは、複数の光ファイバの束を含む海底ケーブル(光ケーブルとも呼ぶ)によって接続される。通信システム4の海底ケーブルの両末端は、図示しない陸揚局に設置される給電設備や監視設備、通信装置などの設備に接続される。なお、傾斜等化装置40および中継装置41の数については、特に限定を加えない。
【0080】
例えば、傾斜等化装置40は、前段の中継装置41−sからの光入力信号が入力されると、入力された光入力信号の傾斜レベルを設定された条件で補償する。傾斜等化装置40は、傾斜レベルが補償された光信号を光出力信号として後段の中継装置41−tに出力する。
【0081】
以上のように、本実施形態の通信装置は、傾斜等化装置、中継装置、および光ケーブルを備える。本実施形態の通信装置が備える傾斜等化装置は、光マトリックススイッチ、等化器群、および制御手段を備える。光マトリックススイッチは、少なくとも二つの第1端子を含む第1端子群と、少なくとも二つの第2端子を含む第2端子群とを有する。等化器群は、第2端子群に含まれるいずれかの第2端子に入力端が接続されるとともに、第1端子群に含まれるいずれかの第1端子に出力端が接続される等化器を少なくとも二つ含む。制御手段は、第1端子群に含まれる第1端子と、第2端子群に含まれる第2端子との接続状態を切り替える。光ケーブルは、中継器と傾斜等化装置との間を接続する。傾斜等化装置は、前段の中継器から出力される光信号を光入力信号として入力する。傾斜等化装置は、入力された光入力信号の傾斜レベルを補償した光信号を光出力信号として後段の中継器に出力する。
【0082】
すなわち、本実施形態の通信システムによれば、傾斜レベルの設定数を維持しつつ、光デバイスの数を削減できる傾斜等化装置を備える通信システムを提供できる。
【0083】
以上、実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0084】
この出願は、2018年2月27日に出願された日本出願特願2018−33231を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。