特許第6965990号(P6965990)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6965990
(24)【登録日】2021年10月25日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/22 20060101AFI20211028BHJP
【FI】
   H01R9/22
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-516201(P2020-516201)
(86)(22)【出願日】2019年4月10日
(86)【国際出願番号】JP2019015598
(87)【国際公開番号】WO2019208220
(87)【国際公開日】20191031
【審査請求日】2020年6月17日
(31)【優先権主張番号】特願2018-84888(P2018-84888)
(32)【優先日】2018年4月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 基泰
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−083950(JP,A)
【文献】 特開2004−296813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/22− 9/26
H01R 4/58
H01R 12/70−12/91
H01R 13/40−13/74
H01R 25/00−41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスバーを有するハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられる取付部材と、を備えるコネクタであって、
前記バスバーは、前記ハウジングから露出された露出面を有するように前記ハウジングに埋設され、
前記ハウジングは、第1ロック部を有し、
前記取付部材は、前記バスバーの前記露出面に沿って前記ハウジングに取り付けられ、前記第1ロック部と係合する第2ロック部を有し、
前記第1ロック部は、前記露出面と線接触する係止面を有し 、
前記第2ロック部は、前記係止面に係止されるコネクタ。
【請求項2】
前記第2ロック部は前記露出面に対向する位置に設けられている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記露出面は、前記バスバーの板面の少なくとも一部に設けられている請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
樹脂製のハウジングと、
前記ハウジングに埋設される導電金属製のバスバーと、
前記ハウジングに取付けられる別体の取付部材と、を備えるコネクタであって、
前記ハウジングには、第1ロック部が突設されており、
前記取付部材には、前記第1ロック部に当接して前記取付部材を前記ハウジングに係止する第2ロック部が設けられており、
前記バスバーは、板面が外部に露出する露出面を有しており、
前記取付部材は、前記バスバーの前記露出面に沿って前記ハウジングに取り付けられ、
前記第1ロック部は、前記ハウジングと一体とされ、当該第1ロック部の、前記ハウジングへの取付方向奥側において前記露出面と線接触する係止面を有し、
前記第2ロック部は、前記係止面に当接して係止されるコネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングには、前記第1ロック部の、前記露出面と交差する方向に延びる側面に連なる保持壁が設けられている請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記取付部材は、前記ハウジングへの取付方向に片持ち状に突出するロックアームを備え、
前記第2ロック部は、前記ロックアームの端部から前記バスバーの前記露出面に向けて突設されている請求項4又は請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記ロックアームは、一対設けられ、一対の前記ロックアームは互いに対向しており、
前記第2ロック部は、一方の前記ロックアーム側に設けられ、対向する他方の前記ロックアームに向かう方向と逆方向に突設しており、
前記ハウジングには、第3ロック部が突設されており、
他方の前記ロックアームには、他方の前記ロックアームの端部から、対向する一方の前記ロックアームに向かう方向と逆方向に突設し、前記第3ロック部に当接して前記取付部材を前記ハウジングに係止する第4ロック部が設けられている請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記第1ロック部には、前記第1ロック部の、突出方向の端部から前記取付部材の取付方向と逆方向に、前記バスバーの前記露出面に向けて傾斜する第1テーパー面が設けられている請求項6又は請求項7のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記第2ロック部には、前記第2ロック部の突出方向の端部から、前記ロックアームの前記取付部材の取付方向の先端部に向かって傾斜する第2テーパー面が設けられている請求項6から請求項8のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコネクタとして、例えば、特開2011−34937号公報に記載のコネクタが知られている。このコネクタは、第一コネクタと、第一コネクタと嵌合する第二コネクタとから構成されている。
【0003】
第一コネクタは、嵌合方向に開口する第一コネクタのフード部を備えており、第二コネクタは、嵌合時に第一コネクタのフード部内に収容され、嵌合方向に開口する第二コネクタのフード部を備えている。
【0004】
第一コネクタのフード部には、嵌合孔が開口して設けられており、第二コネクタのフード部の外面には、嵌合時に第一コネクタの嵌合孔に係止して嵌合状態でロックされる嵌合凸部が突設されている。また、第二コネクタのフード部の、嵌合凸部の裏側の内面には、内面に沿って嵌合方向に延びる第二端子金具が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−34937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、嵌合凸部と第二端子金具は、第2フード部の樹脂厚分離れており、その樹脂厚の分、コネクタが大型化するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示されるコネクタは、バスバーを有するハウジングと、前記ハウジングに取り付けられる取付部材と、を備えるコネクタであって、前記ハウジングは、第1ロック部を有し、前記取付部材は、前記第1ロック部と係合する第2ロック部を有し、前記第1ロック部は前記バスバーの露出面側に設けられている。
【0008】
ハウジングの第1ロック部は、バスバーの露出面側に設けられているため、例えば、第1ロック部とバスバーの露出面との間に樹脂壁が形成されることにより第1ロック部がバスバーの露出面側に位置しない構成と比較して、樹脂壁の厚さ分、ハウジングの小型化を図ることができる。したがって、コネクタの小型化を図ることができる。
【0009】
また、前記第2ロック部は前記バスバーの露出面に対向する位置に設けられている構成としても良い。
【0010】
第2ロック部はバスバーの露出面に対向する位置に設けられていることから、例えば、第1ロック部がバスバーの露出面の端部に設けられており、第2ロック部が露出面の端部より嵌合方向前方に位置し、ハウジングの内壁と対向して設けられる構成と比較して、第2ロック部の長さ分、ハウジング及びリテーナの小型化を図ることができる。
【0011】
また、前記第1ロック部は、前記バスバーの露出面の少なくとも一部に設けられている構成としても良い。
【0012】
第1ロック部は、バスバーの露出面の少なくとも一部に設けられているため、例えば、第1ロック部とバスバーの露出面との間に樹脂壁が設けられており、バスバーの露出面に第1ロック部が直に設けられていない構成と比較して、樹脂壁の樹脂厚分、ハウジングの小型化を図ることができる。
【0013】
また、本明細書で開示されるコネクタは、樹脂製のハウジングと、前記ハウジングに埋設される導電金属製のバスバーと、前記ハウジングに取付けられる別体の取付部材と、を備えるコネクタであって、前記ハウジングには、第1ロック部が突設されており、前記取付部材には、前記第1ロック部に当接して前記取付部材を前記ハウジングに係止する第2ロック部が設けられており、前記バスバーは、板面が外部に露出する露出面を有しており、前記第1ロック部は、前記ハウジングと一体とされ、前記バスバーの前記露出面上に直に設けられている。
【0014】
ハウジングの第1ロック部は、バスバーの露出面上に直に設けられているため、従来のように、第1ロック部とバスバーとの間に、ハウジングの樹脂壁が設けられている構成と比較して、樹脂壁が設けられていないことで、樹脂壁の樹脂厚分、ハウジングの小型化を図ることができる。したがって、コネクタの小型化を図ることができる。
【0015】
また、前記ハウジングには、前記第1ロック部の、前記取付部材の取付方向と交差する両側面と連なる保持壁が設けられている構成としても良い。
【0016】
第1ロック部の両側面に保持壁を設けることで、取付部材の取付の際に、第1ロック部に第2ロック部が強く当たったとしても、第1ロック部は保持壁に保持されていることから、第1ロック部が破損することが抑制される。
【0017】
また、前記取付部材は、前記ハウジングへの取付方向に片持ち状に突出するロックアームを備え、前記第2ロック部は、前記ロックアームの端部から前記バスバーの前記露出面の方向に突設している構成としても良い。
【0018】
第2ロック部を片持ち状のロックアームの端部に設けることで、取付部材をハウジングに取付ける際に、第2ロック部が第1ロック部に当たると、ロックアームが撓むため、取付部材をハウジングに取付け易くなる。
【0019】
また、前記ロックアームは、一対設けられ、一対の前記ロックアームは互いに対向しており、前記第2ロック部は、一方の前記ロックアーム側に設けられ、対向する他方の前記ロックアームに向かう方向と逆方向に突設しており、前記ハウジングには、第3ロック部が突設されており、他方の前記ロックアームには、他方の前記ロックアームの端部から、対向する一方の前記ロックアームに向かう方向と逆方向に突設し、前記第3ロック部に当接して前記取付部材を前記ハウジングに係止する第4ロック部が設けられている構成としても良い。
【0020】
取付部材は、一対のロックアームの端部に設けられた第2ロック部及び第4ロック部により、ハウジングの第1ロック部及び第3ロック部に当接して係止されるため、ロックアームが1つのみの構成と比較して、取付部材はハウジングから外れ難くなる。
【0021】
また、前記第1ロック部には、前記第1ロック部の、突出方向の端部から前記取付部材の取付方向と逆方向に、前記バスバーの前記露出面に向けて傾斜する第1テーパー面が設けられている構成としても良い。
【0022】
第1ロック部に第1テーパー面を設けることで、取付部材をハウジングに取付ける際に、第1ロック部の第1テーパー面と第2ロック部とが摺動し、第2ロック部に設けられたロックアームが第1ロック部の突設方向に撓み易くなるため、取付部材をハウジングに取付け易くなる。
【0023】
また、前記第2ロック部には、前記第2ロック部の突出方向の端部から、前記ロックアームの前記取付部材の取付方向の先端部に向かって傾斜する第2テーパー面が設けられている構成としても良い。
【0024】
第2ロック部に第2テーパー面を設けることで、取付部材をハウジングに取付ける際に、第2ロック部の第2テーパー面と第1ロック部とが摺動し、第2ロック部に設けられたロックアームが第1ロック部の突設方向に撓み易くなるため、取付部材をハウジングに取付け易くなる。
【発明の効果】
【0025】
本明細書に開示されるコネクタによれば、コネクタの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本実施形態におけるコネクタの斜視図
図2】コネクタの正面図
図3】コネクタの底面図
図4】コネクタの平面図
図5図2におけるA−A断面図
図6】一方のリテーナを取付ける前の状態におけるコネクタの斜視図
図7図6におけるバスバーの露出面付近の拡大図
図8図7において、バスバーの露出面を異なる角度から視た図
図9】左側のリテーナの平面図
図10】左側のリテーナの側面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
<実施形態>
図1から図10を参照して本実施形態を説明する。以降の説明では、図1から図10のZ方向を上方、X方向を前方、Y方向を右方とする。
【0028】
本実施形態のコネクタ10は、車両のバッテリとPCU(Power Control Unit)との間を繋ぐコネクタであって、図1図2図4に示すように、平面視長円形の円柱状をなす樹脂製のハウジング12と、ハウジング12にインサート成形により固定される導電金属製の左右一対の端子14と、ハウジング12とは別体の一対のリテーナ(取付部材)16と、を備えている。一対のリテーナ16は、角ナット17をハウジング12に保持するリテーナであって、角ナット17が内部に収容された状態で、ハウジング12にそれぞれ取付けられる。
【0029】
ハウジング12の上部には、図1図2に示すように、一対のリテーナ16がそれぞれ収容される左右一対の収容部18が設けられており、一対の収容部18の間には、仕切り壁20が設けられている。一対の収容部18は、前方及び上方に開口しており、一対のリテーナ16は、一対の収容部18の前方の開口部からそれぞれ挿通される。ハウジング12の下部には、図1図3に示すように、フード部22が下方に開口して設けられている。
【0030】
一対の端子14は、板状をなし、中央に接続孔が開口する第1接続部26(図1に示す)と、上下方向に長い円筒状をなす第2接続部28(図3に示す)と、第1接続部26と第2接続部28とを連結するバスバー30(図1図5に示す)と、をそれぞれ備えている。
【0031】
一対の第1接続部26は、図1図2に示すように、ハウジング12の左右の収容部18の、上方の開口部の開口縁32上にそれぞれ設けられている。一対のバスバー30は、仕切り壁20内に埋設されており、一対の第1接続部26の側縁とそれぞれ連なっている。一対のバスバー30は、仕切り壁20内において左右方向に所定の間隔を空けて配されており、一対の端子14は、仕切り壁20によって互いに電気的に絶縁されている。
【0032】
一対の第2接続部28は、図3に示すように、フード部22内に設けられており、左右方向に所定の間隔を空けて配されている。一対の第2接続部28と、一対のバスバー30とはそれぞれ連なっており、一対の第1接続部26と一対の第2接続部28とは、一対のバスバー30を介して、それぞれ電気的に接続されている。
【0033】
仕切り壁20の左右両側面には、図1図2に示すように、凹状の一対の溝部34がそれぞれ設けられており、一対の溝部34の底面(即ち、左右方向側の面)には、図1図5に示すように、一対のバスバー30の板面の一部が露出する露出面36がそれぞれ設けられている。
【0034】
一対のバスバー30の露出面36上には、図5図6に示すように、一対の第1ロック部38が、一対の収容部18の内方(左方及び右方)に向けて、それぞれ突設されている。一対の第1ロック部38は、インサート成形時にハウジング12と一体に形成され、一対のバスバー30の露出面36側に位置している。また、第1ロック部38は、一対のバスバー30の露出面36の少なくとも一部に設けられているとともに、露出面36上に直に設けられている。このように、ハウジング12の第1ロック部38は、バスバー30の露出面36上に直に設けられているため、従来のように、第1ロック部とバスバーとの間に、樹脂壁が設けられている構成と比較して、樹脂壁が設けられていないことで、樹脂壁の樹脂厚分、ハウジング12の小型化を図ることができる。
【0035】
第1ロック部38には、第1ロック部38の突設方向の端部から前方に、露出面36に向けて傾斜する第1テーパー面40が設けられている。また、第1ロック部38の上面及び下面は、図7図8に示すように、溝部34の上面及び下面と連なっており、溝部34の上面及び下面は、第1ロック部38と連なることで第1ロック部38をそれぞれ保持する上下一対の保持壁42とされる。
【0036】
図5に示すように、一対の収容部18内の仕切り壁20と対向する対向面44には、一対の第3ロック部46が、一対の第1ロック部38に向けてそれぞれ突設されている。第3ロック部46は、第1ロック部38と対向する位置に設けられており、第3ロック部46には、第3ロック部46の突設方向の端部から前方に、対向面44に向けて傾斜する第3テーパー面48が設けられている。
【0037】
一対のリテーナ16のうち、左側の収容部18に収容される左側のリテーナ16Aについて説明する。左側のリテーナ16Aは、図9図10に示すように、上方が開口する箱状をなしており、底面を構成する底壁部50と、左右両側面を構成する一対の側壁部52と、後面を構成する後壁部54と、前面を構成する前壁部56と、左右一対のロックアーム58と、から構成されている。
【0038】
左右一対のロックアーム58は、一対の側壁部52の後端部から後方に、片持ち状にそれぞれ突出して設けられている。
左右一対のロックアーム58のうち、右側のロックアーム58Aには、右側のロックアーム58Aの右面から右方に向けて、第2ロック部60が突設されている。第2ロック部60は、第1ロック部38と係合される。第2ロック部60が第1ロック部38と係合された状態において、第2ロック部60はバスバー30の露出面36と対向している。第2ロック部60は、第2ロック部60の右端部から、右側のロックアーム58Aの後端部に向けて傾斜する第2テーパー面62が設けられている。
【0039】
左右一対のロックアーム58のうち、左側のロックアーム58Bには、左側のロックアーム58Bの左面から左方に向けて、第4ロック部64が突設されている。第4ロック部64は、第4ロック部64の端部から、左側のロックアーム58Bの後端部に向けて傾斜する第4テーパー面66が設けられている。
【0040】
右側の収容部18に収容される右側のリテーナ16Bは、第2ロック部60が左側のロックアーム58B側に設けられており、第4ロック部64が右側のロックアーム58A側に設けられている点が、左側のリテーナ16Aと異なる。それ以外の構成は、左側のリテーナ16Aと同じ構成となっている。
【0041】
次に、本実施形態の作用について説明する。
左側の収容部18に左側のリテーナ16Aが収容されていない状態(図6に示す状態)において、左側のリテーナ16Aを、左側の収容部18の前方の開口部から、収容部18内に挿通すると、右側のロックアーム58Aの第2ロック部60はハウジング12の第1ロック部38に前方から当接し、左側のロックアーム58Bの第4ロック部64はハウジング12の第3ロック部46に前方から当接する。このとき、右側のロックアーム58Aの第2ロック部60がハウジング12の第1ロック部38に前方から強く当接することで、ハウジング12の第1ロック部38に負荷がかかるものの、図7図8に示すように、第1ロック部38の上面及び下面は保持壁42と連なることで、第1ロック部38は保持壁42に保持されているため、第1ロック部38が破損することが抑制される。
【0042】
さらに、左側のリテーナ16Aを方に押し込むと、右側のロックアーム58Aの第2ロック部60の第2テーパー面62は、ハウジング12の第1ロック部38の第1テーパー面40と摺動し、右側のロックアーム58Aは左方に撓むこととなる。このとき、右側のロックアーム58Aの第2ロック部60には第2テーパー面62が設けられ、ハウジング12の第1ロック部38には第1テーパー面40が設けられていることから、右側のロックアーム58Aは左方に撓み易くなっている。また、左側のロックアーム58Bの第4ロック部64の第4テーパー面66は、ハウジング12の第3ロック部46の第3テーパー面48と摺動し、左側のロックアーム58Bは右方に撓むこととなる。このとき、左側のロックアーム58Bの第4ロック部64には第4テーパー面66が設けられ、ハウジング12の第3ロック部46には第3テーパー面48が設けられていることから、左側のロックアーム58Bは右方に撓み易くなっている。
【0043】
さらに、左側のリテーナ16Aを後方に挿通すると、右側のロックアーム58Aの第2ロック部60が第1ロック部38を乗り越え、左側のロックアーム58Bの第4ロック部64がハウジング12の第3ロック部46を乗り越えることで、一対のロックアーム58の撓みが復元する。これにより、図5に示すように、右側のロックアーム58Aの第2ロック部60はハウジング12の第1ロック部38に後方から当接可能な状態となり、左側のロックアーム58Bの第4ロック部64はハウジング12の第3ロック部46に後方から当接可能な状態となる。これにより、左側のリテーナ16Aは、ハウジング12から前方へ抜け止め状態で係止され、左側のリテーナ16Aに収容された角ナット17を、ハウジング12に保持することができる。
【0044】
以上のように本実施形態によれば、ハウジング12の第1ロック部38は、バスバー30の露出面36側に設けられているため、例えば、第1ロック部とバスバーの露出面との間に樹脂壁が形成されることにより第1ロック部がバスバーの露出面側に位置しない構成と比較して、樹脂壁の厚さ分、ハウジング12の小型化を図ることができる。したがって、コネクタ10の小型化を図ることができる。
【0045】
また、第2ロック部60はバスバー30の露出面36に対向する位置に設けられていることから、例えば、第1ロック部がバスバーの露出面の端部に設けられており、第2ロック部が露出面の端部より嵌合方向前方に位置し、ハウジングの内壁と対向して設けられる構成と比較して、第2ロック部60の長さ分、ハウジング12及びリテーナ16の小型化を図ることができる。
【0046】
また、第1ロック部38は、バスバー30の露出面36の少なくとも一部に設けられているため、例えば、第1ロック部とバスバーの露出面との間に樹脂壁が設けられており、バスバーの露出面に第1ロック部が直に設けられていない構成と比較して、樹脂壁の樹脂厚分、ハウジング12の小型化を図ることができる。
【0047】
ハウジング12の第1ロック部38は、バスバー30の露出面36上に直に設けられているため、従来のように、第1ロック部とバスバーとの間に、ハウジングの樹脂壁が設けられている構成と比較して、樹脂壁が設けられていないことで、樹脂壁の樹脂厚分、ハウジング12の小型化を図ることができる。したがって、コネクタ10の小型化を図ることができる。
【0048】
また、第1ロック部38の両側面に保持壁42を設けることで、リテーナ16の取付の際に、第1ロック部38に第2ロック部60が強く当たったとしても、第1ロック部38は保持壁42に保持されていることから、第1ロック部38が破損することが抑制される。
【0049】
また、第2ロック部60を片持ち状のロックアーム58の端部に設けることで、リテーナ16をハウジング12に取付ける際に、第2ロック部60が第1ロック部38に当たると、ロックアーム58が撓むため、リテーナ16をハウジング12に取付け易くなる。
【0050】
また、リテーナ16は、一対のロックアーム58の端部に設けられた第2ロック部60及び第4ロック部64により、ハウジング12の第1ロック部38及び第3ロック部46に当接して係止されるため、ロックアーム58が1つのみの構成と比較して、リテーナ16はハウジング12から外れ難くなる。
【0051】
また、第1ロック部38に第1テーパー面40を設けることで、リテーナ16をハウジング12に取付ける際に、第1ロック部38の第1テーパー面40と第2ロック部60とが摺動し、第2ロック部60に設けられたロックアーム58が第1ロック部38の突設方向に撓み易くなるため、リテーナ16をハウジング12に取付け易くなる。
【0052】
また、第2ロック部60に第2テーパー面62を設けることで、リテーナ16をハウジング12に取付ける際に、第2ロック部60の第2テーパー面62と第1ロック部38とが摺動し、第2ロック部60に設けられたロックアーム58が第1ロック部38の突設方向に撓み易くなるため、リテーナ16をハウジング12に取付け易くなる。
【0053】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
(1)上記実施形態では、取付部材は、角ナット17をハウジング12に保持するリテーナ16である構成としたが、取付部材はハウジング12に取付けられる別体部品であればどのようなものでも良く、例えば、シールリングに当接してシールリングをハウジングに保持するリテーナに適用しても良い。
(2)上記実施形態では、第ロック部60は、ロックアーム58に突設される構成としたが、第ロック部は、凹形状をなす構成とし、第1ロック部の凸部と第ロック部凹部とが嵌合する構成としても良い。
(3)上記実施形態では、ロックアーム58は一対設けられる構成としたが、ロックアームは1つの構成としても良いし、3つ以上設ける構成としても良い。
(4)上記実施形態では、第1ロック部38は露出面36の一部に設けられる構成としたが、第1ロック部38はバスバー30側に設けられていれば良く、例えば第1ロック部は露出面の全てを覆うように設けられる構成としても良い。
(5)上記実施形態では、第1ロック部38は露出面36に直に設けられる構成としたが、第1ロック部38は露出面36側に設けられていれば良く、例えば第1ロック部と露出面との間は離れている構成としても良い。
(6)上記実施形態において、第1ロック部38は露出面36に直に設けられている構成とは、第1ロック部38が露出面36に接して積層されていることを指す。なお、第1ロック部38は上述のように露出面36側に設けられていれば良く、例えば第1ロック部と露出面の間に中間層(図示しない)を設ける構成であっても良いことは言うまでもない。
(7)上記実施形態において、第1ロック部38はハウジング12と一体とされる形態を示したが、別体で形成されていても良いことは言うまでもない。例えば、ハウジングと露出面を、中間層を介して接着して構成しても良い。
【符号の説明】
【0054】
10:コネクタ
12:ハウジング
16:リテーナ(取付部材)
30:バスバー
36:露出面
38:第1ロック部
40:第1テーパー面
42:保持壁
46:第3ロック部
48:第3テーパー面
58:ロックアーム
60:第2ロック部
62:第2テーパー面
64:第4ロック部
66:第4テーパー面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10