特許第6966031号(P6966031)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6966031
(24)【登録日】2021年10月25日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】パターン漉き装置及びパターン漉き方法
(51)【国際特許分類】
   B26D 1/02 20060101AFI20211028BHJP
   B26D 3/00 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
   B26D1/02 Z
   B26D3/00 603Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-238022(P2016-238022)
(22)【出願日】2016年12月7日
(65)【公開番号】特開2018-94633(P2018-94633A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】390033891
【氏名又は名称】株式会社三宅デザイン事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100129632
【弁理士】
【氏名又は名称】仲 晃一
(74)【代理人】
【識別番号】100118038
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勲
(74)【代理人】
【識別番号】100148426
【弁理士】
【氏名又は名称】森貞 好昭
(72)【発明者】
【氏名】國枝 洋平
(72)【発明者】
【氏名】宮前 義之
(72)【発明者】
【氏名】木村 貴久子
【審査官】 永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04663792(US,A)
【文献】 特表平08−503516(JP,A)
【文献】 特開平01−146999(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0172840(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第04412432(DE,A1)
【文献】 登録実用新案第3209033(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 1/02
B26D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮革からなるシート状材料と、直線状の凸状部で構成された所定のパターンを有する型と、の積層体を、互いに押圧しながら搬送する搬送手段、及び
前記搬送手段の下流側に設けられた切断手段、
を具備し、
前記型が押圧・積層された状態で、前記積層体における前記シート状材料のうちの、前記型と反対側において前記凸状部に対応して隆起する部分を、前記切断手段で漉くことによって、折り曲げることのできる直線状の漉き溝を形成すること、
を特徴とするパターン漉き装置。
【請求項2】
前記搬送手段が、上側ローラ及び下側ローラの組合せで構成されること、
を特徴とする請求項1に記載のパターン漉き装置。
【請求項3】
皮革からなるシート状材料と、直線状の凸状部で構成された所定のパターンを有する型と、の積層体を、互いに押圧しながら搬送し、
前記型が押圧・積層された状態で、前記積層体における前記シート状材料のうちの、前記型と反対側において前記凸状部に対応して隆起する部分を、搬送方向の下流側に設けられた切断手段で漉くことによって、折り曲げることのできる直線状の漉き溝を形成すること、
を特徴とするパターン漉き方法。
【請求項4】
前記積層体を、上側ローラ及び下側ローラで搬送すること、
を特徴とする請求項3に記載のパターン漉き方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮革等のシート状材料への漉き加工に好適なパターン漉き装置及びパターン漉き方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、種々の皮革製品が製造・販売されており、様々な特徴あるデザインを実現するために、表面に模様を形成する方法として種々の技術が用いられている。その技術のひとつが、いわゆる「漉き」であり、漉いた部分で皮革を折り曲げる等して模様を形成する。
【0003】
ここで、例えば特許文献1(特開2001−123200号公報)には、「皮革の銀面に模様を型押しして、圧縮により得られた凹部と圧縮されなかった凸部からなる模様を銀面に形成する第1工程。型押しされた皮革の凸部を、凹部を消失させない深さの範囲内で削り取り、凸部の銀面を消失させてヌバックを表す第2工程。第2工程の加工を施した皮に水分を含ませることにより、型押しされて圧縮された凹部の圧縮状態を解消してその厚みを復帰させる第3工程。」を含む方法が開示されている(特許文献1、特許請求の範囲)。
【0004】
また、例えば特許文献2(実用新案登録第3195757号公報)には、「皮革の裏面を略直線的に複数箇所に漉き、当該漉きを加えた部分の厚さが1.2mm以下であることを特徴とする革素材。」や、「皮革の裏面を略直線的に複数箇所に漉き、当該漉きを加えた部分の厚さがそれ以外の部分の厚さの1/2以下であることを特徴とする革素材。」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−123200号公報
【特許文献2】実用新案登録第3195757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の技術は、乳頭層の表面(銀面)及び裏側の起毛面(ヌバック)を有する皮革を用いることが前提とされていて汎用性に劣り、また、型押しで形成された凸部の表面を削り取り、型押しで圧縮された凹部に水分を含ませて元に戻さなければならず煩雑である。
【0007】
また、上記特許文献2の技術は、型を用いず手作業で漉きを入れることを前提としていることから、例えば菱形等の複雑なパターンを形成することはできるものの、大量生産には不向きで到底対応できないという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、皮革等を含む種々のシート状材料に対応可能で汎用性に優れ、例えば種々のデザインの革製品をシンプルな工程で製造可能であり、大量生産に好適なパターン漉き装置及びパターン漉き方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の問題点を解消して、種々のシート状材料に対応可能で汎用性に優れ、シンプルな工程で大量生産に好適なパターン漉き装置及びパターン漉き方法を実現するためには、型及び搬送手段を用いることが有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、
シート状材料と、凸状部で構成された所定のパターンを有する型と、の積層体を、互いに押圧しながら搬送する搬送手段、及び
前記搬送手段の下流側に設けられた切断手段、
を具備し、
前記型が押圧・積層された状態で、前記積層体における前記シート状材料のうちの、前記型と反対側において前記凸状部に対応して隆起する部分を、前記切断手段で漉くこと、
を特徴とするパターン漉き装置、
を提供する。
【0011】
また、本発明は、
シート状材料と、凸状部で構成された所定のパターンを有する型と、の積層体を、互いに押圧しながら搬送し、
前記型が押圧・積層された状態で、前記積層体における前記シート状材料のうちの、前記型と反対側において前記凸状部に対応して隆起する部分を、前記搬送手段の下流側に設けられた切断手段で漉くこと、
を特徴とするパターン漉き方法、
を提供するものでもある。
【0012】
このような構成を有する本発明のパターン漉き装置及びパターン漉き方法によれば、皮革を含む種々のシート状材料に対応可能で汎用性に優れ、シンプルな工程で大量生産に好適なパターン漉き装置及びパターン漉き方法を実現することができる。また、種々の型を使用することにより種々のパターンの漉きを形成することができるため、例えば様々なデザインの革製品を大量生産することができる。
【0013】
上記の本発明のパターン漉き装置においては、前記搬送手段が、上側ローラ及び下側ローラの組合せで構成されること、が好ましい。また、上記の本発明のパターン漉き方法においては、前記積層体を、上側ローラ及び下側ローラで搬送すること、が好ましい。
【0014】
このような構成を有する本発明のパターン漉き装置及びパターン漉き方法によれば、より確実に、シンプルな工程で大量生産に好適なパターン漉き装置及びパターン漉き方法を実現することができる。
【0015】
なお、本発明における「シート状材料」は、天然皮革及び合成(人工)皮革のいずれの皮革も含む概念であり、その他の樹脂並びに天然及び人工木材等、漉くことができかつ漉いた部分で折り曲げることのできるシート状材料を全て含む概念である。また、単層又は複数層のいずれの構造を有していてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明のパターン漉き装置及びパターン漉き方法によれば、皮革等の種々のシート状材料に対応可能で汎用性に優れ、種々のデザインの革製品等をシンプルな工程で製造でき、かつ大量生産が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】皮革等のシート状材料に漉きを施す技術について説明するための図である。
図2】本発明のパターン漉き方法において、シート状材料1と、凸状部で構成された所定のパターン2aと基部2bを有する型2と、の積層体4を、互いに押圧しながら搬送する様子を概念的に説明するための図である。
図3】本発明のパターン漉き方法において、シート状材料1と、凸状部で構成された所定のパターン2aと基部2bを有する型2と、の積層体4を搬送しながら、シート状材料1の部分Pを切断刃6で切断して漉き溝1aを形成する様子を概念的に説明するための図である。
図4】積層体4のうちのシート状材料1において、パターン2aの凸状部に対応して隆起する部分Pが切断刃6で切り取られて漉き溝1aが形成される様子を詳細に説明するための図である。
図5】本発明において用いることのできる型2の一具体例の平面図(写真)である。
図6】本発明において得られる漉き溝1aを形成したシート状材料1の平面図(写真)である。
図7】本発明において得られる革製品であるカバン100の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の代表的な実施形態に係るパターン漉き装置及びパターン漉き方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図面は、本発明を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために、必要に応じて寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表している場合もあり、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0019】
まず、皮革等のシート状材料に漉きを施す様子について図1を参照しながら説明すると、図1(A)に示すシート状材料1に漉きを入れる場合、切断手段としてナイフやべベラ等の切断刃を有する革漉き工具を用いて、図1(B−1)に示すように、例えば直線状の漉き溝1aを形成する(なお、図1(B−2)は図1(B−1)に示すシート状材料1の側面図である)。
【0020】
そして、図1(C)に示すように、シート状材料1を漉き溝1aの部分で容易に折り曲げることができ、外表面に直線状の模様1bを形成できるのであるが、この漉き溝1aの形状や構造を駆使することにより、外表面に種々の模様を有するデザインの、シート状材料からなる製品(例えばカバン等の革製品)を作製できるものの、従来これをシンプルな工程で製造しかつ大量生産に対応することが困難であった。
【0021】
そこで、本発明の代表的な実施形態においては、図2及び3に示すように、シート状材料1と、凸状部で構成された所定のパターン2aと基部2bを有する型2と、の積層体4を、互いに押圧しながら矢印Xの向きに搬送し、型2が押圧・積層された状態で、積層体4におけるシート状材料1のうちの、型2と反対側においてパターン2aに対応して隆起する部分Pを、搬送方向の下流側に設けられた切断刃6で漉く(図3及び図4(B))。
【0022】
本実施形態では、シート状材料1と、凸状部で構成された所定のパターン2aと基部2bを有する型2と、の積層体4を、互いに押圧しながら搬送する搬送手段である上側ローラ8a及び下側ローラ8b、並びに、搬送手段の下流側に設けられた切断刃6と、を具備するパターン漉き装置10を用いている。
【0023】
詳細に説明すると、本実施形態では、まず、図2(A)及び(B)に示すように、皮革等のシート状材料1と、凸状部で構成された所定のパターン2aと基部2bを有する型2と、の積層体4を、それぞれ矢印Ya及び矢印Ybの向きに回転する上側ローラ8a及び下側ローラ8bで挟むようにして、矢印Xの向きに搬送する。このとき、積層体4におけるシート状材料1と型2とは互いに押圧されている。
【0024】
ここで、型2は、本発明の効果を損なわない範囲で種々の材料を用いて作製することができる。例えば、凸状部で構成された所定のパターン2aは、上側ローラ8a及び下側ローラ8b等の搬送手段で挟まれた際に、凸状部が形状変化して漉き溝1aを形成できないという状況にならない程度の強度を有していればよく、例えば各種樹脂、皮革、再生皮革(リサイクルレザー)、木材、金属等で作製されていてよい。
【0025】
また、パターン2aは、上側ローラ8a及び下側ローラ8bの間に入って挟まれて搬送され易くかつ型としての役割を確実に果たすという観点から、ある程度の柔軟性を有しているのが好ましい。加工精度を保つために、ゴミ等の有無並びにズレやヨレの様子を目視できるという観点から、透明であってもよい。
【0026】
パターン2aを構成する凸状部については、所望する漉き溝1aのデザインや最終製品の表面に表したい模様に応じて、適宜設計すればよい。例えば凸状部の高さは、シート状材料1の材質、硬さ、上側ローラ8a及び下側ローラ8bの間の距離等の条件に応じて、確実に漉き溝1aが形成されるように、当業者であれば適宜選択することができる。
【0027】
また、基部2bには、パターン2aを保持・固定できるものであれば特に制限なく種々の材料を用いることができ、例えば、種々の紙や樹脂シートを用いることができる。なお、型2を構成するパターン2やaと基部2bとは、例えば接着剤で互いに接着しておけばよい。また、加工精度を保つために、ゴミ等の有無並びにズレやヨレの様子を目視できるという観点から、透明であってもよい。
【0028】
そして、矢印Xの向きにおける上側ローラ8a及び下側ローラ8bの下流側には、切断刃6が配置されており、切断刃6は、図2(A)及び(B)の紙面に略垂直な方向において、シート状材料1の幅と略同一の幅を有している。
【0029】
また、切断刃6は、いわゆる片刃の構造を有しており、片刃の傾斜面が下方を向いている(上方を向いていてもよい。)。切断刃6は両刃でもよく種々の形状を有していてよい。なお、本実施形態は、切断手段としてかかる切断刃6を用いる態様であるが、例えばバンドマシンやスライサー等の漉き割り機等、皮革加工の分野で使用されている各種切断手段を用いることもできる。
【0030】
かくして、上側ローラ8a及び下側ローラ8bによって矢印Xの向きに搬送される積層体4は、図2(B)に示される位置から図3に示される位置に搬送される過程において、押圧・積層された状態の積層体4におけるシート状材料1の一部が、切断刃6で切り取られる(切断される)。
【0031】
即ち、図3に示されるように、積層体4のうちのシート状材料1において、型2と反対側においてパターン2aの凸状部に対応して隆起する部分Pを、矢印Xの向きにおける下流側に設けられた切断刃6で漉いて、漉き溝1aが形成される。
【0032】
ここで、図4を参照しながら、積層体4のうちのシート状材料1において、型2と反対側においてパターン2aの凸状部に対応して隆起する部分Pが切断刃6で切り取られ、漉き溝1aが形成される様子を詳細に説明する。
【0033】
図4(A)に示すように、積層体4は、シート状材料1と、凸状部で構成された所定のパターン2aと基部2bを有する型2と、を含んでいる。この積層体4を、上側ローラ8a及び下側ローラ8bで互いに押圧しながら搬送すると、図4(B)に示すように、パターン2aの凸状部に対応して下方に隆起する部分Pが形成される。
【0034】
この隆起する部分Pは、切断刃6によって、切断されて切り取られ、図4(C)に示すように、シート状材料1のうちの型2とは反対側に漉き溝1aが形成される。切断刃6は、例えば、切断刃6の先端部が図4(B)において破線で示される位置に沿うように、配置され、部分Pを確実に切断するように調整すればよい。
【0035】
本実施形態においては、上記のようなパターン漉き方法及びパターン漉き装置により、所望するパターンを有する型を用いてシート状材料に効率良く漉き溝を形成することができ、続く折り曲げ加工等を経て、種々のデザインを有する革製品等をシンプルな工程で大量に生産することが可能である。
【0036】
ここで、より具体的な例を挙げる。図5は凸状部で構成された所定のパターン2aと基部2bを有する型2の一具体例の平面図である。また、図6は、図5の型2と上記の本発明のパターン漉き方法及びパターン漉き装置を用いて漉き溝1aを形成したシート状材料1の平面図である。
【0037】
この図6のシート状材料1を、漉き溝1aに沿って折り曲げることにより、図7に示すように、漉き溝1aに対向する表面側の位置に模様1bを有する最終製品(ここでは革製品であるカバン)を得ることができる。
【0038】
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、漉き溝1aが最終製品の模様に現れる部分に形成される場合について説明したが、隆起した部分Pをシート状材料1の端部に位置させれば、いわゆるコバ漉きにも適用することができる。換言すると、本発明においては、コバ漉き等の他の漉きを同時に行うことも可能である。
【0039】
また、上記実施形態においては、最終製品がカバンである場合について説明したが、シート状材料1の種類によっては種々の最終製品に適用可能である。例えば、模型、木工品、家具、金属製品等の最終製品にも適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1・・・シート状材料、
1a・・・漉き溝、
1b・・・模様、
2・・・型、
2a・・・パターン、
2b・・・基部、
4・・・積層体、
6・・・切断刃、
8a・・・上側ローラ、
8b・・・下側ローラ、
10・・・パターン漉き装置、
100・・・カバン。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7