(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を説明する。実施形態は本発明を実現するための一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。各図において共通の構成については同一の参照符号が付されている。説明をわかりやすくするため、図示した物の寸法、形状については、誇張して記載している場合もある。なお、明細書、特許請求の範囲、図面における“第1”、“第2”等の序数は、要素間の関係を明確にするため、及び要素間の混同を防ぐために付している。したがって、これらの序数は、要素を数的に限定しているものではない。
【0010】
以下において開示される光線方向制御機能を備えたタッチパネル(以下、この機能を備えたタッチパネルをタッチパネルと略記する)は、透明の上部基板、透明の下部基板、及び上部電極と下部電極との間に配列された電気泳動素子とを含む。電気泳動素子は、分散剤内の有色電気泳動素子を含む。タッチパネルは、狭視野角モードと広視野角モードとを有する。狭視野角モードにおいて、有色電気泳動素子が分散し、広視野角モードにおいて、有色電気泳動素子が凝集している。
【0011】
上部基板の下面に、タッチ位置を検出するための上部電極が配列されている。電気泳動素子は、上部電極と、下部基板の上面の下部電極と、に挟まれている。また、1以上の上部電極が導体で接続されて、複数の上部電極群が形成されている。
【0012】
駆動部は、第1又は第2の処理を行う。駆動部は、第1の処理において、タッチ位置を検出する駆動電位を1以上の第1上部電極群に与え1以上の第2上部電極群の電位を測定する。駆動部は、第2の処理において、タッチ位置を検出する駆動電位を1以上の第2上部電極群に与え1以上の第1上部電極群の電位を測定し、駆動電位に応じて複数の下部電極に対して駆動電位を与える。駆動部は、この第1又は第2の処理により、タッチ位置を検出すると共に、視野角モードに応じた有色電気泳動素子の状態を維持する。
【0013】
上部電極には、タッチ位置を検出するための信号(電位)が与えられる。上述のように、上部電極は、光線方向を制御する上部電極としてしても働く。したがって、上部電極群の電位に応じて、電気泳動素子を適切に制御するための電位を下部電極に与える必要がある。上部電極が光線方向を制御する電極としても働くことにより、タッチパネル1の厚みを薄くすると共に、表示画像の視認性及びタッチパネルの操作性を高めることができる。
【0014】
上部電極を、光線方向を制御する電極としても用いるため、本開示のタッチパネル1は、投影型静電容量方式を採用する。投影型静電容量方式のタッチパネルは、電極と指示体との間で発生する静電容量変化を検出して、指示体の接触位置を検出する。
【0015】
投影型容量方式のタッチパネルの容量検出方式として、自己容量検出方式と相互容量検出方式が存在する。自己容量検出方式のタッチパネルは、複数のX電極と複数のY電極を有する。一般的には、X電極及びY電極は、例えば、マトリックス状等に配置され、X電極及びY電極は、絶縁体を介して配置されている。
【0016】
自己容量検出方式は、X電極、Y電極を独立に駆動して、それぞれの電極における静電容量値の変化を検出する。指示体が電極に近づくと、当該電極の静電容量が増加する。自己容量方式は、静電容量が増加したX電極及びY電極をそれぞれ検出することで、指示体の位置を検出する。
【0017】
相互容量方式のタッチパネルは、駆動電極としての送信電極(例えばX電極)と検出電極としての受信電極(例えばY電極)を有する。駆動電極及び検出電極は、一般的には、例えば、マトリックス状に配置され、駆動電極及び検出電極は、絶縁体を介して配置されている。駆動電極及び検出電極の各交点に容量(交点容量)が構成される。交点容量の近傍に指示体が存在すると、交点における電界の一部が指示体に移動する。このため、交点容量が減少する。相互容量方式は、相互容量の変化がどの交点でどの程度の大きさで発生したかを検出することで、指示体の位置を検出する。なお、例えば、相互容量の変化が直接測定されてもよいし、受信電極における電荷が相互容量に引き抜かれたことによる、受信電極で検知される電位(電界)の変化、が測定されてもよい。
【0018】
以下に説明するタッチパネル1において、相互容量方式によるタッチ検出を実行する例を説明するが、自己容量方式への切り替えが可能とされていてもよい。なお、本実施形態においては、短冊状の駆動電極及び検出電極が、平行に並べられて配置されている例について説明する。
【0019】
<実施例1>
〔構成〕
図1は、タッチパネルが狭視野状態における、表示装置の構成例を模式的に示す断面図である。
図2は、狭視野状態のタッチパネルの上部基板の構成例を模式的に示す平面図である。
図3は、タッチパネルの下部基板の構成例を模式的に示す平面図である。
図4は、
図2における点線の楕円で囲まれた部分の構成例を模式的に示す拡大図である。
【0020】
図1の例における表示装置は、表示パネル5と、表示パネル5の前面側に配置されたタッチパネル1とを含む。表示パネル5の種類は任意である。表示パネル5は、例えば、液晶表示パネル又はOLED(Organic Light Emitting Diode)表示パネルである。
【0021】
本開示において、表示パネル5の画像を視認するユーザの側つまり画像の光線が進む側を、表示装置の前側又は上側と呼び、その反対側を後側又は下側と呼ぶ。また、表示パネル5及びタッチパネル1の主面に垂直な方向をZ軸方向、主面内の垂直な2方向をそれぞれX軸方向(第2方向)及びY軸方向(第1方向)と呼ぶ。Z軸方向は、表示パネル5とタッチパネル1の積層方向である。
【0022】
タッチパネル1は、タッチパネルの機能を有すると共に、表示パネル5からの光線のうち通過する光線の方向を制御する機能を有する。タッチパネル1は、広視野状態と狭視野状態を切り替えて、表示パネル5の画像を透過させることができる。タッチパネル1からの出射方向の範囲が広い状態(モード)を広視野状態(広視野モード)と呼び、出射方向の範囲が狭い状態(モード)を狭視野状態(狭視野モード)と呼ぶ。なお、
図1の例におけるタッチパネル1は、狭視野状態である。
【0023】
タッチパネル1は、有色電気泳動粒子(有色荷電粒子)の状態を変化させて、各光透過領域15及び分散剤を透過する光の出射方向の範囲を変化させる。
【0024】
タッチパネル1は、接着層によって、表示パネル5の前面(上面)に接着されている。タッチパネル1と表示パネル5との間の接着層は省略されてもよい。
【0025】
タッチパネル1は、駆動部100と上部基板11と下部基板17とを含む。駆動部100は、タッチパネル1の駆動を制御する。駆動部100の詳細については後述する。なお、
図1以外の図面において、駆動部100の記載は省略されている。
【0026】
下部基板17の下面は表示パネル5と対向し、上面は上部基板11の下面と対向する。上部基板11及び下部基板17は、それぞれ、透明であり、例えば、ガラス、PET(Poly Ethylene Terephthalate)、PC(Poly Carbonate)製、又はPEN(Poly Ethylene Naphthalate)で形成されている。上部基板11及び下部基板17は、それぞれ、不撓性又は可撓性の絶縁体である。
【0027】
タッチパネル1は、さらに、交互に配置された上部電極群130−1及び上部電極群130−2、並びに交互に配置された下部電極群160−1及び下部電極群160−2を含む。以下、上部電極群130−1及び上部電極群130−2を特に区別する必要がない場合は、単に上部電極群130と記載する。同様に、下部電極群160−1及び下部電極群160−2を特に区別する必要がない場合は、単に下部電極群160と記載する。
【0028】
各上部電極群130は、複数(例えば、2〜500本、本実施形態では200本とする)の上部電極13からなる。各下部電極群160は複数(例えば、2〜500本、本実施形態では200本とする)の下部電極16からなる。上部電極13及び下部電極16は、例えば、透明電極であり、ITO(Indium Tin Oxide)、ZnO、又はIGZOで形成されている。また、下部電極16は、金属電極(具体的には、例えば、アルミニウム、銅等)であってもよい。
【0029】
各下部電極群160は、下部基板17の上面上に存在する。各下部電極群160は、下部基板17上でX軸方向に互いに離間して配列されている。各下部電極群160は、下部基板17上でY軸方向において延在しX軸方向に互いに離間して配列されて束ねられた(即ち、導体で接続された)複数の下部電極16からなる。下部電極16間は、絶縁材料で埋められている。各下部電極16は、例えば、1本の短冊状導体である。
【0030】
各上部電極群130は、上部基板11の下面上に存在する。各上部電極群130は、上部基板11上でX軸方向に互いに離間して配列されている。各上部電極群130は、上部基板11上でY軸方向において延在しX軸方向に互いに離間して配列されて束ねられた複数の上部電極13からなる。上部電極13間は、絶縁材料で埋められている。各上部電極13は、例えば、1本の短冊状導体である。
【0031】
上部電極群130は、それぞれ、下部電極群160と対向している。また、上部電極群130−1は、それぞれ下部電極群160−1と対向し、上部電極群130−2は、それぞれ下部電極群160−2と対向する。また、上部電極群130に含まれる上部電極13は、それぞれ、当該上部電極群130に対向する下部電極群160に含まれる下部電極16と対向している。
【0032】
後述するように、上部電極13は、光線方向を制御する電位が与えられる上部電極としても機能する。一例において、上部電極13は、対応する下部電極16と一対一で対向する。一例において、上部電極13は、それぞれ、対向する下部電極16と同様の形状を有する。
【0033】
タッチパネル1は、上部基板11と下部基板17との間の光線方向制御層を含む。光線方向制御層は、複数の電気泳動素子14及び複数の光透過領域15とで構成されている。電気泳動素子14及び光透過領域15は、それぞれ、Y軸方向において延在しており、X軸方向において交互に配列されている。
【0034】
XY面において、複数の電気泳動素子14は、Y軸方向に延在し、X軸方向に配列されたストライプパターンを有する。同様に、複数の光透過領域15は、Y軸方向に延在し、X軸方向に配列されたストライプパターンを有する。
【0035】
光透過領域15の高さは、例えば、3μm〜300μmが適当であり、本実施形態では60μmである。光透過領域15の幅(つまり、上部電極13間の距離及び下部電極16間の距離)は、例えば、1μm〜150μmが適当であり、本実施形態では20μmである。電気泳動素子14の高さは、光透過領域15の高さと同様に、例えば、3μm〜300μmが適当であり、本実施形態では60μmである。電気泳動素子14の幅は、例えば、0.25μm〜40μmが適当であり、本実施形態では5μmである。
【0036】
上部電極13の幅は、電気泳動素子14の幅と同様に、例えば、0.25μm〜40μmが適当であり、本実施形態では5μmである。従って、上部電
極群1
30の幅は、本実施形態では5mmである。下部電極16の幅も、電気泳動素子14の幅と同様に、例えば、0.25μm〜40μmが適当であり、本実施形態では5μmである。従って、下部電極群160の幅は、本実施形態では5mmである。
【0037】
各電気泳動素子14は、光透過領域15の間に形成された空間内に収容されている電気泳動粒子と分散剤(電気泳動素子材料)を含む。電気泳動粒子は有色であり、例えば、黒である。分散剤は例えば無色透明な樹脂で形成されている。
【0038】
各電気泳動素子14は、
Y軸方向に延在する一つの上部電極13と、
Y軸方向に延在する一つの下部電極16と、に挟まれている。
図1の例において、Z軸方向に延在する上部電極13と、Z軸方向に延在する下部電極16は、電気泳動粒子と分散剤からなる電気泳動素子材料に接触している。
Y軸方向に延在する上部電極13及び
Y軸方向に延在する下部電極16の一方又は双方と電気泳動素子材料との間に絶縁層が存在してもよい。絶縁層は、例えば、酸化シリコン又は窒化シリコンである。なお、各電気泳動素子14は、さらに、
Y軸方向に延在する一つの上部電極13と、
Y軸方向に延在する一つの下部電極16と、に挟まれていてもよい。
【0039】
例えば、一つの電気泳動素子14が一つの上部電極13と一つの下部電極16とに挟まれている。つまり、各上部電極13は、Z軸方向において一つの電気泳動素子14に対向している。同様に、各下部電極16は、Z軸方向において一つの電気泳動素子14に対向している。
【0040】
他の例において、電気泳動素子14は、それぞれ、上部電極13と下部電極16の異なるペアに挟まれていてもよい。複数の電気泳動素子14は、一つの上部電極13と複数の下部電極16との間に挟まれていてもよい。複数の電気泳動素子14は、複数の上部電極13と一つの下部電極16との間に挟まれていてもよい。
【0041】
狭視野状態において、各電気泳動素子14中の電気泳動粒子は、分散剤内に分散している。分散している電気泳動粒子が表示パネル5からの光を吸収することで、電気泳動素子14は、表示パネル5からの光を遮蔽する。これにより、X軸方向において狭い出射角度範囲内の光線のみが、タッチパネル1を通過する。
【0042】
タッチパネル機能を実現するために、上部基板11において、高電位の上部電極群130と低電位の上部電極群130と、が交互に配置されるよう、上部電極群130に特定の信号が与えられる。狭視野状態においては、例えば、上部電極群130−1(
図1における送信電極T1〜T4)それぞれは、高電位に制御され、タッチパネルにおける1つの送信電極として機能する。また、上部電極群130−2(
図1における受信電極R1〜R4)それぞれは、低電位に制御され、タッチパネルにおける1つの受信電極として機能する。
【0043】
狭視野状態において、同一の電気泳動素子14を挟む上部電極13と下部電極16とは、同電位に維持される。つまり、対向する上部電極群130と下部電極群160とが同電位に維持される。これにより、電気泳動粒子は、分散剤内で分散した状態に維持される。上部電極13及び下部電極16の電位制御の詳細は後述する。なお、
図2及び
図3、並びに後述する
図6及び
図19において、相対的に高電位に制御された電極は実線で示され、相対的に低電位に制御された電極は点線で示されている。
【0044】
図5は、広視野状態のタッチパネル1の模式的な構成例を示す断面図である。
図6は、広視野状態のタッチパネル1における上部基板11の構成例を模式的に示す平面図である。広視野状態は、電気泳動粒子を、電気泳動素子14を挟む電極の一方の近傍に凝集させることにより実現される。電気泳動素子14の大部分の領域は透明な分散剤のみで構成され、電気泳動素子14は透過状態となる。これにより、X軸方向において広い出射角度範囲内の光線が、タッチパネル1を通過する。
【0045】
上部電極群130−1を低電位に、上部電極群130−2を高電位に制御することにより(つまり、狭視野状態における上部電極群130−1及び上部電極群130−2の相対的な電位を入れ替えることにより)広視野状態が実現される。従って広視野状態においては、上部電極群130−1それぞれが1つの
受信電極として機能し、上部電極群130−2それぞれが1つの
送信電極として機能する。
【0046】
広視野状態において、上部電極群130に対する下部電極群160の相対電位は、電気泳動粒子の電荷とは逆の極性を有する。これにより、電気泳動粒子の電荷が負(−)である場合には正極である電極群の近傍に、電気泳動粒子の電荷が
正(+)である場合には負極である電極群の近傍に、電気泳動粒子が集まる。なお、以下の説明において、電気泳動粒子の電荷は負であるとする。電気泳動粒子の電荷が正の場合、各電極群の極性を逆にすることにより、同様に対応可能である。
【0047】
〔制御〕
以下において、タッチパネル1の駆動部100による制御を説明する。
図7は、駆動部100の構成例を模式的に示すブロック図である。上述のように、タッチパネル1は、タッチパネル機能と光線方向制御機能を有する。二つの機能を提供するため、駆動部100は、例えば、演算部101、記憶部102、座標処理部103、受信部104、送信部105、制御部106、反転部107、同期部108、及び出力部109を含む。
【0048】
記憶部102は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の記憶装置である。駆動部100に含まれる記憶部102以外の各部は、プログラムに従って動作するプロセッサ及び/又は特定機能の論理回路を含んで構成される。これらの部は、それぞれ個別の回路で構成されてもよく、これらの一部又は全部は同一の回路(プロセッサを含む)を共有してもよい。
【0049】
演算部101は、受信電極としての上部電極群130における受信波形に基づいて、タッチの有無及びタッチ座標の判定を行う。記憶部102は、後述する鈍り波形を示す情報を保持する。座標処理部103は、タッチ座標を出力する。受信部104は、受信電極としての上部電極群130が受信した信号を受信する。
【0050】
送信部105は、上部電極群130に駆動信号を送信する(与える)。制御部106は、制御部106は、タッチパネル1を狭視野状態にするか又は広視野状態にするかを決定する。
【0051】
反転部107は、上部電極群130−1用に生成された駆動信号と、上部電極群130−2用に生成された駆動信号と、を入れ替える。また、反転部107は、下部電極群160−1用に生成された駆動信号と、下部電極群160−2用に生成された駆動信号と、を入れ替える。同期部108は、各電極に送信する駆動信号を同期させる。出力部109は下部電極16に駆動信号を送信する。
【0052】
以下、本実施形態における指示体のタッチ位置の検出方法の一例について説明する。
図8は、狭視野状態のタッチパネル1における上部基板11の構成例を模式的に示す平面図である。送信電極としての上部電極群130及び受信電極としての上部電極群130の各交点(即ち、上部電極群130−1と上部電極群130−2との境界)に容量(交点容量)が構成されている。従って、座標処理部103は、容量の減少が発生した境界を検出することで、指示体のX方向のタッチ位置を検出する。
【0053】
図9は、送信電極としての上部電極群130(以下、単に送信電極とも呼ぶ)から送信される送信波の一例を示す説明図である。当該送信波は、例えば、所定の高さかつ所定幅のパルスを含む矩形波である。
【0054】
図10は、受信電極としての上部電極群130(以下、単に受信電極とも呼ぶ)が受信する受信パルスの一例を示す説明図である。
図10の点線で囲まれた部分は、
図9における点線で囲まれた送信パルスに対応する受信パルスを拡大したものである。指示体のタッチ位置のY座標が大きくなるほど、伝送経路上においてパルス波形が鈍り(つまりパルス波形の立ち上がりが遅くなり、かつ振幅が小さくなる)、受信波形が変化する。
【0055】
例えば、記憶部102は、Y座標の値(Y0、Y2、・・・、Ymax)それぞれに対応する鈍り波形を示す関数を予め保持する。なお、演算部101は、受信部104が受信した受信波のパルス波形に鈍り成分があるか否かを判定する。演算部101は、鈍り成分があると判定した場合、記憶部102が保持する関数それぞれと当該パルス波形とを比較し、当該パルス波形に最も類似する関数に対応するY座標を、指示体のタッチ位置のY座標に決定する。当該パルス波形に最も類似する関数は、記憶部102が保持する複数の関数の中で、例えば当該パルス波形を示す関数との間のユークリッド距離が最小の関数である。
【0056】
なお、記憶部102は、Y座標の値(Y0、Y2、・・・Ymax)それぞれに対応する鈍り波形の立ち上がり時間を予め保持してもよい。立ち上がり時間とは、鈍り波形の立ち上がり開始から、送信波におけるパルス波形の高さの所定割合(例えば50%)の高さに到達するまで、の時間を示す。このとき、演算部101は、鈍り成分があると判定した場合、記憶部102が保持する立ち上がり時間のうち、受信波のパルス波形における立ち上がり時間との差が最小である立ち上がり時間に対応するY座標を、指示体のタッチ位置のY座標に決定してもよい。
【0057】
以下、狭視野状態における電極の駆動方法の例を示す。
図11Aは、狭視野状態における上部電極群130−1に与えられる駆動電位(駆動信号)の波形を示す。
図11Aの例において、上部電極群130−1には、所定の高さかつ所定幅のパルスを含む矩形波の駆動信号が与えられる。上述したように狭視野状態において、上部電極群130−1それぞれは、タッチパネルの1つの送信電極として機能する。なお、狭視野状態において、上部電極群130−1に与えられる駆動電位波形は任意であって、タッチパネル1によるタッチ検出のために適切な波形が選択される。
【0058】
図11Bは、狭視野状態における上部電極群130−2に与えられる駆動電位(駆動信号)の波形を示す。
図11Bの例において、上部電極群130−2には、一定の基準電位(例えば接地電位)が与えられる。上述したように狭視野状態において、上部電極群130−2それぞれは、タッチパネルの1つの受信電極として機能する。
【0059】
図11Cは、狭視野状態における下部電極群160−1(即ち、狭視野状態において送信電極に対向する下部電極群160)に与えられる駆動電位(駆動信号)の波形を示す。
図11Cの例において、下部電極群160−1には、上部電極群130−1と同位相かつ同波形の駆動信号が与えられる。なお、下部電極群160−1には、例えば、定電圧(上部電極群130−1に与えられた矩形波が示す平均電圧(送信電極と当該送信電極に対向する電極とを同電位にするため))の信号を与えてもよい。
【0060】
図11Dは、狭視野状態における下部電極群160−2(即ち狭視野状態において受信電極に対向する下部電極群160)に与えられる駆動電位(駆動信号)の波形を示す。
図11Dの例において、下部電極群160−2には、上部電極群130−2と同様の一定の基準電位(例えば接地電位)が与えられる。
【0061】
狭視野状態における、各電極への駆動信号の送受信の制御の一例について説明する。狭視野状態においては、制御部106は反転部107に対して、狭視野状態の実行通知を送信している。送信部105は、例えば、上部電極群130−1用の駆動信号として例えば上述した矩形波の駆動信号を生成し、上部電極群130−2用の駆動信号として例えば上述した一定の基準電位の駆動信号を生成し、反転部107に送信する。
【0062】
反転部107は、狭視野状態の実行通知を受信している場合、1つの上部電極群130−1を順次選択し、選択した上部電極群130−1に、上部電極群130−1用の駆動信号を送信する。また、反転部107は、狭視野状態の実行通知を受信している場合、上部電極群130−2に、上部電極群130−2用の駆動信号を送信する。
【0063】
受信部104は、上部電極群130の受信波形を受信し、反転部107に送信する。反転部107は、受信電極である上部電極群130−2の受信波形を、例えば、受信部104を介して演算部101に送信する。
【0064】
また、反転部107は、狭視野状態の実行通知を受信している場合、上部電極群130−1用の駆動信号を同期部108に送信する。同期部108は、受信した駆動信号を、選択された上部電極群130−1に送信される駆動信号に同期させて、出力部109に送信する。出力部109は、受信した駆動信号を下部電極群160−1に送信する。
【0065】
また、反転部107は、狭視野状態の実行通知を受信している場合、上部電極群130−2用の駆動信号を、同期部108を介して、出力部109に送信する。出力部109は、受信した駆動信号を下部電極群160−2に送信する。
【0066】
図11A〜
図11Dが示す駆動電位が与えられることにより、対向する電極の間に挟まれている電気泳動素子14それぞれの両端は同電位となる。従って、有色電気泳動粒子は、分散剤内で略均等に分散した状態になり、狭視野状態が実現される。
【0067】
以下、広視野状態における電極の駆動方法の例を示す。
図12Aは、広視野状態における上部電極群130−1に与えられる駆動電位(駆動信号)の波形を示す。
図12Aの例において、上部電極群130−1には、一定の基準電位(例えば接地電位)が与えられる。上述したように広視野状態において、上部電極群130−2それぞれは、タッチパネルの1つの受信電極として機能する。
【0068】
図12Bは、広視野状態における上部電極群130−2に与えられる駆動電位(駆動信号)の波形を示す。
図12Bの例において、上部電極群130−2には、所定の高さかつ所定幅のパルスを含む矩形波の駆動信号が与えられる。上述したように
広視野状態において、上部電極群130−2それぞれはタッチパネルの1つの送信電極として機能する。
【0069】
なお、広視野状態において、上部電極群130−2に与えられる駆動電位波形は任意であって、タッチパネル1によるタッチ検出のために適切な波形が選択される。また、
図12Bに示すように、広視野状態において、上部電極群130−2に、矩形波の駆動信号が与えられた後に、放電期間が設けられていてもよい。
【0070】
図12Cは、下部電極群160−1(即ち、広視野状態において受信電極に対向する下部電極群160)に与えられる駆動電位(駆動信号)の波形を示す。
図12Cの例において、下部電極群160−1には、所定の高さ(上部電極群130−1に与えられる電位より高電位)かつ所定幅のパルスを含む矩形波の駆動信号(例えば、上部電極群130−2に与えられる駆動信号と同様の駆動信号)が与えられる。なお、下部電極群160−1に、上部電極群130−1に与えられる電位より高い、一定の基準電位が与えられてもよい。
【0071】
図12Dは、下部電極群160−2(即ち広視野状態において送信電極に対向する下部電極群160)に与えられる駆動電位(駆動信号)の波形を示す。
図12Dの例において、下部電極群160−2には、一定の基準電位(例えば接地電位)が与えられる。なお、広視野状態における上部電極群130−2の放電期間において、下部電極群160−2には、所定の高さかつ所定幅のパルスを含む矩形波の駆動信号が与えられてもよい。
【0072】
広視野状態における、各電極への駆動信号の送受信の制御の一例について説明する。広視野状態においては、制御部106は反転部107に対して、広視野状態の実行通知を送信している。送信部105は、例えば、狭視野状態と同様に、上部電極群130−1用の駆動信号として例えば上述した矩形波の駆動信号を生成し、上部電極群130−2用の駆動信号として例えば上述した一定の基準電位の駆動信号を生成し、反転部107に送信する。
【0073】
反転部107は、広視野状態の実行通知を受信している場合、例えば、上部電極群130−1に、狭視野状態における上部電極群130−2用の駆動信号(つまり、一定の基準電位の駆動信号)を送信する。また、反転部107は、広視野状態の実行通知を受信している場合、例えば、上部電極群130−2に、狭視野状態における上部電極群130−1用の駆動信号(つまり、矩形波の駆動信号)を送信する。
【0074】
受信部104は、上部電極群130の受信波形を受信し、反転部107に送信する。反転部107は、受信電極である上部電極群130−1の受信波形を、例えば、受信部104を介して演算部101に送信する。
【0075】
なお、広視野状態における下部電極群160への駆動信号の送信の制御については、例えば、狭視野状態と同様である。
【0076】
図12A〜
図12Dが示す駆動電位が与えられることにより、下部電極群160−1が上部電極群130−1と比較して高電位となり、上部電極群130−2が下部電極群160−2と比較して高電位となる。従って、従って、有色電気泳動粒子は、下部電極群160−1、及び上部電極群130−2の近傍に凝集した状態になり、広視野状態が実現される。
【0077】
以上、本実施例のタッチパネル1における上部電極群130は、タッチパネル装置としての電極及び光線方向を制御する電極として機能するため、タッチパネル装置としてのタッチパネル電極と光線方向を制御する電極とが別箇に設けられたタッチパネルと比較して、高い透過率を実現することができ、さらに薄型化が実現される。また電極の貼りあわせのプロセスも削減され、ひいてはコスト削減につながる。
【0078】
また、指示体が上部電極群130−1と、当該上部電極群130−1に隣接する上部電極群130−2と、の双方にタッチした場合に、タッチパネル1は、指示体によるタッチが発生したと判定する。つまり、タッチが発生したと判定されるためには、隣接する2つの上部電極群130を跨いだタッチが必要であるため、水滴等による誤動作の発生頻度が低い。
【0079】
また、下部基板17に電極が配置されていることにより、液晶表示パネル等の表示パネル5からタッチパネル1へのノイズを減衰することができる。
【0080】
また、制御部106は、下部電極群160を分割制御してもよい。つまり、下部電極群160の一部に対して、上述の狭視野状態又は広視野状態の駆動電位が与えられてもよい。これにより、タッチパネル1のXY平面の一部のみを光線方向制御素子として使用することができる。
【0081】
<実施例2>
以下の実施例については、実施例1との相違点を説明する。
図13は、
図2における点線の楕円で囲まれた部分の構成例を模式的に示す拡大図である。本実施例では、実施例1の上部電極群130の一部の電極が、上部電極群130から切り離され、当該一部の電極が光線方向を制御する第三電極としての機能のみを有する。
【0082】
具体的には、例えば、上部電極群130は100本の上部電極13からなり、例えば、上部電極13の間の中心位置に、上部電極13と平行に第三電極18が配置される。例えば、上部電極13と第三電極18との間隔は5μmである。
【0083】
図14は、受信電極としての上部電極群130が受信する受信パルスの一例を示す説明図である。
図14の点線で囲まれた部分は、
図9における点線で囲まれた送信パルスに対応する受信パルスを拡大したものである。
【0084】
本実施例の上部電極群130は、実施例1の上部電極群130と比較して、上部電極13の数が少なくかつ上部電極13間の距離が大きいため、伝送経路上の抵抗成分が増加する。従って、
図10の例と比較して、パルス波形の鈍りが大きくなる。これにより、タッチ位置のY座標の検出精度を高めることができる。なお、タッチ位置の検出精度を高めるためには、上部電極13の本数が200本以下であることが望ましく、上部電極13間の距離は20μm以上(かつ100μm以下)であることが望ましい。なお、実施例1の上部電極群130と比較して、上部電極13の数が少なくかつ上部電極13間の距離が大きければ、タッチパネル1は、光線方向を制御する電極としての機能のみを有する電極を含まなくてもよい。
【0085】
<実施例3>
図15は、狭視野状態のタッチパネル1の構成例を模式的に示す断面図である。
図16は、狭視野状態のタッチパネル1の上部基板11の構成例を模式的に示す平面図である。
図17は、タッチパネル1の下部基板17の構成例を模式的に示す平面図である。
図18は、
図16における点線の楕円で囲まれた部分の構成例を模式的に示す拡大図である。
【0086】
本実施例のタッチパネル1において、上部電極13及び下部電極16は束ねられていない。つまり、各上部電極群130が1つの上部電極13からなり、各下部電極群160が1つの下部電極16からなる。本実施例のタッチパネル1において、上部電極群130は1つの上部電極13からなるため、電気泳動素子14を個別制御することができる。
【0087】
<実施例4>
図19は、タッチパネル1における下部基板17の構成例を模式的に示す平面図である。本実施例において、下部電極群160は、表示パネル5からタッチパネル1へのノイズ感知にも用いられる。狭視野状態及び広視野状態の双方において、高電位に制御される下部電極群160−1がノイズ感知用の1つの送信電極として、低電位に制御される下部電極群160−1がノイズ感知用の1つの受信電極として用いられる。
【0088】
図20は、駆動部100の構成例を模式的に示すブロック図である。本実施例の駆動部100は、実施例1における演算部101、記憶部102、受信部104、及び送信部105の代わりに、第一演算部111、第一記憶部112、第一受信部113、第一送信部114、第二演算部115、第二記憶部116、第二受信部117、及び第二送信部118を含む。
【0089】
第一演算部111、第一記憶部112、第一受信部113、及び第一送信部114それぞれの説明は、実施例1における演算部101、記憶部102、受信部104、及び送信部105それぞれの説明と同様であるため省略する。
【0090】
第二記憶部116は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の記憶装置である。駆動部100に含まれる第一記憶部112及び第二記憶部116以外の各部は、プログラムに従って動作するプロセッサ及び/又は特定機能の論理回路を含んで構成される。これらの部は、それぞれ個別の回路で構成されてもよく、これらの一部又は全部は同一の回路(プロセッサを含む)を共有してもよい。
【0091】
第二演算部115は、受信電極としての下部電極群160における受信波形が示すノイズを検出する。第二受信部117は、受信電極としての下部電極16が受信した信号を受信する。第二送信部118は、同期部108及び出力部109を介して、下部電極群160に駆動信号を送信する。
【0092】
図21は、タッチ判定処理の一例を示すフローチャートである。送信電極としての上部電極群130からの送信波を受信電極としての上部電極群130が受信し、送信電極としての下部電極群160からの送信波を受信電極としての下部電極群160が受信する(S2101)。第一受信部113は、受信電極としての上部電極群130から受信波形を受信する(S2102)。第二受信部117は、受信電極としての下部電極群160から受信波形を受信する(S2103)。
【0093】
座標処理部103は、受信電極としての上部電極群130からの受信波形を、第一受信部113から受信し、受信電極としての下部電極群160からの受信波形を、第二受信部117から受信し、これら2つの受信波形の差分波形を算出する(S2104)。
【0094】
座標処理部103は、当該差分波形と、第一演算部111が第一記憶部112から取得した鈍り波形の情報と、に基づいて、タッチの有無及びタッチ座標を判定する(S2105)。座標処理部103がタッチなしと判定した場合(S2105:なし)、ステップS2102及びステップS2103の処理に戻る。座標処理部103は、タッチありと判定した場合(S2105:あり)、タッチ位置を出力し(S2106)、タッチ判定処理を終了する。
【0095】
図22Aは、受信電極としての上部電極群130のX軸方向の受信波形の一例である。
図22Bは、受信電極としての下部電極群160のX軸方向の受信波形の一例である。
図22Cは、受信電極としての上部電極群130のX軸方向の受信波形と、受信電極としての下部電極群160のX軸方向の受信波形と、の差分を示す波形の一例である。
図22A〜
図22Cにおいて、横軸はX座標を示し、縦軸(*Delta)は、タッチパネルの基準容量に対する静電容量の減少量である。なお、
図22A、及び
図22Cにおいて、点線が指示体のタッチによる静電容量の減少を示し、実線がノイズによる静電容量の減少を示す。
【0096】
上部電極群130における静電容量の減少の主要因は、指示体のタッチである可能性が高い。一方、下部電極群160における静電容量の減少の主要因は、表示パネル5等から輻射されるノイズである可能性が高い。また、当該ノイズは下部基板17と上部基板11との間で減衰するものの、上部電極群130においても略同波形で検出される。また、下部電極群160における指示体のタッチによる静電容量の減少は、下部基板17と上部基板11との間の電気泳動素子14等に阻害されるため、ほぼ発生しない。
【0097】
従って、ステップS2104における差分の算出を実行することにより、
図22Cのような、表示パネル5からタッチパネル1へのノイズが除去された波形が得られる。これにより、タッチ判定の精度及びタッチ位置の検出精度が向上し、ノイズに対する追従性が向上する。
【0098】
<実施例5>
図23は、広視野状態のタッチパネル1の構成例を模式的に示す断面図である。
図24は、広視野状態のタッチパネル1の下部基板17の構成例を模式的に示す平面図である。
【0099】
本実施例のタッチパネル1は、狭視野状態における制御は実施例1と同様である。つまり、狭視野状態において、例えば、上部電極群130−1と下部電極群160−1が同電位(例えば、高電位)に、上部電極群130−2と下部電極群160−2が同電位(例えば、低電位)に、制御される。
【0100】
本実施例のタッチパネル1は、広視野状態において、下部電極群160−
2については、実施例1と同様に高電位に制御し、下部電極群160−
1については、狭視野状態における高電位状態よりもさらに高電位を与える。これにより、電気泳動素子14が、下部電極群160−1及び下部電極群160−2の近傍に凝集する。つまり、本実施例のタッチパネル1は、上部電極群130の駆動電位を変更することなく、狭視野状態と広視野状態とを切り替えることができる。なお、
図24において、狭視野状態における高電位状態より高い電位を与えられた
下部電極は実線で示され、実線で示された下部電極よりも相対的に低い電位を与えられた下部電極は、一点鎖線で示される。
【0101】
図25は、駆動部100の構成例を模式的に示すブロック図である。本実施例の駆動部100は高電位出力部119をさらに含む。高電位出力部119は、制御部106から広視野状態の実行通知を受信した場合に、下部電極群160−1に対して、高電位の駆動信号を送信する。従って、出力部109は、下部電極群160−1に対して駆動信号を送信しなくてもよい。
【0102】
以下、広視野状態における電極の駆動方法の例を示す。
図26Aは、広視野状態における上部電極群130−1に与えられる駆動電位(駆動信号)の波形を示す。
図26Aにおける電位Vx1は、上部電極群130−1に与えられる平均電位である。
図26Aの例において、上部電極群130−1には、実施例1の狭視野状態と同様の駆動信号(例えば、所定の高さかつ所定幅のパルスを含む矩形波の駆動信号)が与えられる。広視野状態においても、上部電極群130−1それぞれはタッチパネルの1つの送信電極として機能する。
【0103】
図26Bは、広視野状態における上部電極群130−2に与えられる駆動電位(駆動信号)の波形を示す。
図26Bの例において、実施例1の狭視野状態と同様の駆動信号(例えば、一定の基準電位(例えば接地電位))が与えられる
。広視野状態においても、上部電極群130−2それぞれはタッチパネルの受信電極として機能する。
【0104】
図26Cは、下部電極群160−1に与えられる駆動電位(駆動信号)の波形を示す。
図26Cの例において、下部電極群160−1には、一定の電位Vx2が与えられる。
【0105】
図26Dは、下部電極群160−2に与えられる駆動電位(駆動信号)の波形を示す。
図26Dの例において、下部電極群160−2には、一定の電位(但し、上部電極群130−2に与えられる基準電位より高い電位)が与えられる。なお、当該一定の電位は、例えば、Vx2−Vx1である。狭視野状態から広視野状態への切り替え時に、上述した例における駆動電位が同時に与えられると、上部電極群130−1(第1電位:Vx1)と下部電極群160−1(第3電位:Vx2)との間の電位差と、上部電極群130−2(第2電位:接地電位)と下部電極群160−2(第4電位:Vx2−Vx1)との間の電位差と、が等しいため、有色電気泳動粒子が下部電極群160側に凝集するタイミングが同じである。
【0106】
図26A〜
図26Dが示す駆動電位が与えられることにより、下部電極群160−1が上部電極群130−1と比較して高電位となり、下部電極群160−2が上部電極群130−2と比較して高電位となる。従って、有色電気泳動粒子は、下部電極群160−1、及び下部電極群160−2の近傍に凝集した状態になり、広視野状態が実現される。
【0107】
<実施例6>
図27は、上部電極群130−1と上部電極群130−2との境界部の拡大断面図である。本実施例の上部基板11は、上部電極群130−1と上部電極群130−2との間に、第三電極18を有する。第三電極18は、上部電極としては機能せず、光線方向を制御する電極としてのみ機能する。
【0108】
なお、図示は省略しているが、下部基板17は、第三電極18それぞれに対向する位置に下部電極16を有する。また、第三電極18と、当該第三電極18に対向する位置に配置された下部電極16と、に電気泳動素子14が挟まれている。
【0109】
第三電極18の幅及び高さは、例えば上部電極13と同じである。なお、例えば、上部電極群130−1と第三電極18との間の距離、及び上部電極群130−2と第三電極18との間の距離は、例えば、光透過領域15の幅と同様に、1μm〜150μmが適当であり、本実施形態では20μmである。
【0110】
本実施例において、出力部109は、第三電極18に対しても駆動信号を送信する。なお、本実施例において、第三電極18及び第三電極18に対向する下部電極16は、上部電極群130及び下部電極群160と、別駆動としてもよい。
【0111】
即ち、第三電極18に上部電極群130と同様の電位が与えられる必要はなく、同様に、第三電極18に対向する下部電極16に他の下部電極16と同様の電位が与えられる必要はない。
【0112】
具体的には、例えば、制御部106は、狭視野状態において、第三電極18と第三電極18に対向する下部電極16を同電位に維持するよう出力部109を制御すればよい。また、例えば、制御部106は、広視野状態において、第三電極18と第三電極18に対向する下部電極16に電位差が生じるよう出力部109を制御すればよい。
【0113】
本実施例において、実施例1と比較して、上部電極群130−1と上部電極群130−2との間の距離が大きいため、上部電極群130の感度が向上し、指示体のタッチ検出精度を高めることができる。
【0114】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。