【実施例1】
【0019】
<構成>
図1は、表示装置の構成例を模式的に示す断面図である。
図2は、上部電極の構成例を模式的に示す平面図である。
図3は、下部電極の構成例を模式的に示す平面図である。表示装置は、表示パネル5と、表示パネル5の前面側に配置された光線方向制御タッチパネル1とを含む。表示パネル5は任意の方式を用いることができる。表示パネル5は、例えば、液晶表示パネル、OLED(Organic Light Emitting Diode)表示パネル等を用いることができる。
【0020】
本開示において、表示パネル5の画像を視認するユーザの側、つまり画像の光線が進む側を、表示装置の前側又は上側と呼び、その反対側を後側又は下側と呼ぶ。また、表示パネル5及び光線方向制御タッチパネル1の主面に垂直な方向をZ軸方向、主面内の垂直な2方向をそれぞれX軸方向(第1方向)及びY軸方向(第2方向)と呼ぶ。Z軸方向は、表示パネル5と光線方向制御タッチパネル1の積層方向である。
【0021】
光線方向制御タッチパネル1は、タッチパネルの機能を有すると共に、表示パネル5からの光線のうち通過する光線の方向を制御する機能を有する。光線方向制御タッチパネル1は、広視野角状態と狭視野角状態を切り替えて、表示パネル5の画像を透過させることができる。光線方向制御タッチパネル1からの出射方向の範囲が広い状態(モード)を広視野角状態(広視野角モード)と呼び、出射方向の範囲が狭い状態(モード)を狭視野角状態(狭視野角モード)と呼ぶ。
【0022】
図1の例において、光線方向制御タッチパネル1は広視野角状態である。光線方向制御タッチパネル1は、有色電気泳動粒子(有色荷電粒子)の状態を変化させて、各光透過領域15及び分散剤を透過する光の出射方向の範囲を変化させる。
【0023】
光線方向制御タッチパネル1は、例えば、接着層によって、表示パネル5の前面(上面)に接着されている。光線方向制御タッチパネル1と表示パネル5との間の接着層は省略されてもよい。光線方向制御タッチパネル1と表示パネル5との間は、エアギャップでもよいし、任意の光学フィルムが設けられていてもよい。
【0024】
光線方向制御タッチパネル1は、上部透明基板11と下部透明基板17とを含む。下部透明基板17の下面は表示パネル5と対向し、上面は上部透明基板11の下面と対向する。上部透明基板11及び下部透明基板17は、それぞれ、例えば、ガラス、PET(Poly Ethylene Terephthalate)、PC(Poly Carbonate)製、又はPEN(Poly Ethylene Naphthalate)等の透光性の材料で形成されている。上部透明基板11及び下部透明基板17は、それぞれ、不撓性又は可撓性の絶縁体である。
【0025】
光線方向制御タッチパネル1は、さらに、上部透明基板11の下面上に配置された上部電極6と、下部透明基板17の上面上に配置された下部電極7とを含む。上部電極6は、
図2に示すように、複数の上部タッチパネル電極12及び複数の上部光線方向制御電極18からなる。下部電極7は、
図3に示すように、複数の下部タッチパネル電極13及び複数の下部光線方向制御電極16からなる。上部タッチパネル電極12、上部光線方向制御電極18、下部タッチパネル電極13、及び下部光線方向制御電極16は、透明電極であり、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、ZnO、又はIGZOで形成されている。
【0026】
複数の下部光線方向制御電極16(下部光線方向制御電極パターン)は、それぞれ、下部透明基板17上でX軸方向において延在し、Y軸方向に互いに間隔を空けて配列されている。各下部光線方向制御電極16は、例えば、X軸方向に連なって配置された同じ向き(例えば、各頂点がX軸方向又はY軸方向を向く)の複数のひし形(正方形を含む)状の電極片が連結された形状である。
【0027】
複数の下部タッチパネル電極13(下部タッチパネル電極パターン)は、それぞれ、下部透明基板17上でX軸方向において延在し、Y軸方向に互いに間隔を空けて配列されている。各下部タッチパネル電極13は、下部光線方向制御電極16と同様に、例えば、X軸方向に連なって配置された同じ向き(例えば、各頂点がX軸方向又はY軸方向を向く)の複数のひし形(正方形を含む)の電極片が連結された形状である。なお、詳細は後述するが、下部タッチパネル電極13は、光線方向制御電極としても機能する。
【0028】
下部光線方向制御電極16と下部タッチパネル電極13は、Y軸方向において交互に配列されている。例えば、隣接する下部光線方向制御電極16と下部タッチパネル電極13は間隔を空けて配列されている。下部光線方向制御電極16と下部タッチパネル電極13との間は、例えば、絶縁材料(例えば窒化シリコン)で埋められていてもよいし、空間が設けられていてもよい。なお、後述するように、下部タッチパネル電極13は、光線方向制御電極としても機能する。
【0029】
複数の上部タッチパネル電極12(上部タッチパネル電極パターン)は、それぞれ、上部透明基板11上でY軸方向において延在し、X軸方向に互いに間隔を空けて配列されている。各上部タッチパネル電極12は、例えば、Y軸方向に連なって配置された同じ向き(例えば、各頂点がX軸方向又はY軸方向を向く)の複数のひし形(正方形を含む)状の電極片が連結された形状である。本実施例において、上部タッチパネル電極12の各電極片は、下部光線方向制御電極16の電極片に対向する。例えば、互いに対向する電極片は略同じ形状であって同じ大きさである。なお、詳細は後述するが、上部タッチパネル電極12は、光線方向制御電極としても機能する。
【0030】
複数の上部光線方向制御電極18(上部光線方向制御電極パターン)は、それぞれ、上部透明基板11上でY軸方向において延在し、X軸方向に互いに離間して配列されている。各上部光線方向制御電極18は、上部タッチパネル電極12と同様に、例えば、Y軸方向に連なって配置された同じ向き(例えば、各頂点がX軸方向又はY軸方向を向く)の複数のひし形(正方形を含む)状の電極片が連結された形状である。本実施例において、上部光線方向制御電極18の各電極片は、下部タッチパネル電極13の電極片に対向する。例えば、互いに対向する電極片は略同じ形状であって同じ大きさである。
【0031】
上部光線方向制御電極18と上部タッチパネル電極12は、X軸方向において交互に配列されている。例えば、隣接する上部光線方向制御電極18と上部タッチパネル電極12は互いに間隔を空けて配列されている。上部光線方向制御電極18と上部タッチパネル電極12との間は、例えば、絶縁材料(例えば窒化シリコン)で埋められていてもよいし、空間が設けられていてもよい。
【0032】
上部光線方向制御電極18には、開口部181が設けられている。
図2の例では、上部光線方向制御電極18の各電極片に、Y軸方向を長手方向とする矩形の複数の開口部181が設けられている。なお、開口部181は矩形に限らず、任意の形状とすることができる。
【0033】
光線方向制御タッチパネル1は、上部透明基板11と下部透明基板17との間の光線方向制御層を含む。光線方向制御層は、複数の電気泳動素子14及び複数の光透過領域15とで構成されている。電気泳動素子14及び光透過領域15は、それぞれ、X軸方向において延在しており、Y軸方向において交互に配列されている。
【0034】
XY面において、複数の電気泳動素子14は、Y軸方向に延在し、X軸方向に配列されたストライプパターンを有する。同様に、複数の光透過領域15は、Y軸方向に延在し、X軸方向に配列されたストライプパターンを有する。
【0035】
光透過領域15の高さは、例えば、3μm〜300μmであり、光透過領域15の幅は、例えば、1μm〜150μmであり、光透過領域15のピッチは、例えば、0.25μm〜40μmである。上部タッチパネル電極12、上部光線方向制御電極18、下部タッチパネル電極13、及び下部光線方向制御電極16の幅は、メタル素材であれば、例えば、5μm〜10μmであり、ITOであれば、例えば、100μm程度である。また、上部タッチパネル電極12、上部光線方向制御電極18、下部タッチパネル電極13、及び下部光線方向制御電極16のピッチは、例えば、数mm程度(具体的には、例えば、5mm程度)である。
【0036】
各電気泳動素子14は、光透過領域15の間に形成された空間内に収容されている電気泳動粒子と分散剤(電気泳動素子材料)を含む。電気泳動粒子は有色であり、例えば、黒である。分散剤は例えば無色透明な液体の材料で形成されている。
【0037】
各電気泳動素子14は、上部電極6と一つの下部電極7とに挟まれている。図
1の例において、上部電極6と下部電極7とは、電気泳動粒子と分散剤からなる電気泳動素子材料に接触している。上部電極6及び下部電極7の一方又は双方と電気泳動素子材料との間に絶縁層が存在してもよい。絶縁層は、例えば、酸化シリコン又は窒化シリコンである。
【0038】
なお、
図1の例において光線方向制御タッチパネル1は、広視野角状態である。広視野角状態は、電気泳動粒子を、電気泳動素子14を挟む電極の一方、例えば、下部電極7の近傍に凝集させることにより実現される。電気泳動素子14の大部分の領域は透明な分散剤のみで構成され、電気泳動素子14は透過状態となる。これにより、X軸方向において広い出射角度範囲内の光線が、光線方向制御タッチパネル1を通過する。
【0039】
広視野角状態において、上部電極6に対する下部電極7の相対電位は、電気泳動粒子の電荷とは逆の極性を有する(電位差V)。これにより、電気泳動粒子が下部電極7の近傍に集まる。
【0040】
例えば、電気泳動粒子の電荷が負(−)の場合には、下部電極7が正極となるように、下部電極7と上部電極6に電位が与えられる。電気泳動粒子の電荷が正(+)の場合には、下部電極7が負極となるように、下部電極7と上部電極6に電位が与えられる。なお、以下の説明において、電気泳動粒子の電荷は負であるとする。電気泳動粒子の電荷が正の場合、下部電極7の極性を逆にすることにより、同様に対応可能である。
【0041】
一方、狭視野角状態において、各電気泳動素子14中の電気泳動粒子は、分散剤内に分散している。分散している電気泳動粒子が表示パネル5からの光を吸収することで、電気泳動素子14は、表示パネル5からの光を遮蔽する。これにより、X軸方向において狭い出射角度範囲内の光線のみが、光線方向制御タッチパネル1を通過する。
【0042】
狭視野角状態において、各電気泳動素子14を挟む上部電極6と下部電極7とは、同電位に維持される。これにより、電気泳動粒子は、分散剤内で分散した状態に維持される。上部電極6は、タッチパネル機能のために、特定の信号が与えられる。上部電極6及び下部電極7の電位制御の詳細は後述する。
【0043】
図4は、
図2及び
図3のAA’切断線における広視野角状態の光線方向制御タッチパネル1の断面構造例を示す断面図である。
図5は、
図2及び
図3のBB’切断線における光線方向制御タッチパネル1の断面構造例を示す断面図である。
図6は、
図2及び
図3のCC’切断線における光線方向制御タッチパネル1の断面構造例を示す断面図である。
【0044】
上部光線方向制御電極18に設けられた開口部181は、光透過領域15に重なる位置に設けられている。また、開口部181は、電気泳動素子14に重ならないことが望ましい。従って、開口部181の(X軸方向の)幅は、光透過領域15の幅以下であることが望ましい。また、全ての電気泳動素子14は、1以上の上部タッチパネル電極12又は上部光線方向制御電極18と、1以上の下部タッチパネル電極13又は下部光線方向制御電極16と、に挟まれている。
【0045】
図7は、光線方向制御タッチパネル1の構成例を模式的に示す斜視図である。説明の便宜のため、
図7において上部透明基板11及び下部透明基板17の記載は省略されている。下部タッチパネル電極13が、対向する電極である上部光線方向制御電極18より高電位になるよう制御されている。また、下部光線方向制御電極16が、対向する電極である上部タッチパネル電極12より、高電位になるよう制御されている。これにより、下部タッチパネル電極13から上部光線方向制御電極18の非開口部への電界、及び下部光線方向制御電極16から上部タッチパネル電極12への電界が形成され、これらの電界により光線方向制御機能が実現される。
【0046】
また、この状態で、指示体が上部透明基板11にタッチすると、下部タッチパネル電極13から、上部光線方向制御電極18の開口部181を通じて、当該上部タッチパネル電極12への電界が形成される。当該電界によりタッチパネル機能が実現される。
【0047】
<制御>
以下において、光線方向制御タッチパネル1の制御を説明する。上述のように、光線方向制御タッチパネル1は、タッチパネル機能と光線方向制御機能を有する。上部タッチパネル電極12には、タッチパネル機能を提供するための信号(電位)が与えられる。上述のように、上部タッチパネル電極12は、光線方向制御電極としても働く。したがって、上部タッチパネル電極12の電位に応じて、電気泳動素子14を適切に制御するための電位を下部タッチパネル電極13及び下部光線方向制御電極16に与える必要がある。
【0048】
本開示の光線方向制御タッチパネル1は、投影型静電容量方式を採用する。投影型静電容量方式のタッチパネルは、電極と指示体との間で発生する静電容量変化を検出して、指示体の接触位置を検出する。
【0049】
投射型容量方式のタッチパネルの容量検出方式として、自己容量検出方式と相互容量検出方式が存在する。自己容量検出方式のタッチパネルは、複数のX電極(本実施例における下部タッチパネル電極13)と複数のY電極(本実施例における上部タッチパネル電極12)を有する。
【0050】
自己容量検出方式は、X電極(本実施例における下部タッチパネル電極13)、Y電極(本実施例における上部タッチパネル電極12)を独立に駆動して、それぞれの電極における静電容量値の変化を検出する。指示体が電極に近づくと、当該電極の静電容量が増加する。自己容量方式は、静電容量が増加したX電極及びY電極をそれぞれ検出することで、指示体の位置を検出する。
【0051】
相互容量方式のタッチパネルは、駆動電極としての送信電極(例えばX電極、本実施例における下部タッチパネル電極13)と検出電極としての受信電極(例えばY電極、本実施例における上部タッチパネル電極12)を有する。駆動電極及び検出電極の各交点に容量(交点容量)が構成される。交点容量の近傍に指示体が存在すると、交点における電界の一部が指示体に移動する。このため、交点容量から減少する。相互容量方式は、相互容量の変化がどの交点でどの程度の大きさで発生したかを検出することで、指示体の位置を検出する。
【0052】
図8は、光線方向制御タッチパネル1の制御系の論理構成例を模式的に示すブロック図である。光線方向制御タッチパネル1は、メイン制御部21及び制御部22を含む。制御部22は、タッチ座標演算部23、視野角制御部24、タイミング制御部25、上部タッチパネル電極駆動部26、上部光線方向制御電極駆動部27、下部タッチパネル電極駆動部28、及び下部光線方向制御電極駆動部29を含む。
【0053】
制御部22に含まれる各部、及びメイン制御部21は、それぞれ、プログラムに従って動作するプロセッサ及び/又は特定機能の論理回路を含んで構成される。タッチ座標演算部23、視野角制御部24、タイミング制御部25、上部タッチパネル電極駆動部26、上部光線方向制御電極駆動部27、下部タッチパネル電極駆動部28、及び下部光線方向制御電極駆動部29は、それぞれ個別の回路で構成されてもよく、これらの一部又は全部は同一の回路(プロセッサを含む)を共有してもよい。
【0054】
メイン制御部21は、例えば、タッチ座標演算部23、視野角制御部24、及びタイミング制御部25を制御する。具体的には、例えば、メイン制御部21は、タッチ座標演算部23が出力したタッチ座標を取得する。また、メイン制御部21は、例えば、視野角制御部24に対して、視野角モード(広視野角モード/狭視野角モード)を制御する。また、メイン制御部21は、例えば、タイミング制御部25に対して、タッチ検出モード(自己容量モード/相互容量モード)を制御する。
【0055】
タッチ座標演算部23は、相互容量方式において、上部タッチパネル電極12から受信した駆動信号と、タイミング制御部25から受信した受信信号と、に基づいて、指示体によるタッチ座標を算出する。また、タッチ座標演算部23は、自己容量方式において、上部タッチパネル電極12及び下部タッチパネル電極13から受信した受信信号と、タイミング制御部25から受信した信号と、に基づいて、指示体によるタッチ座標を算出する。
【0056】
視野角制御部24は、視野角モードをタイミング制御部25に通知する。タイミング制御部25は、上部タッチパネル電極駆動部26、上部光線方向制御電極駆動部27、下部タッチパネル電極駆動部28、及び下部光線方向制御電極駆動部29に対して、視野角モード及びタッチ検出モードに応じたタイミング信号を送信する。
【0057】
上部タッチパネル電極駆動部26、上部光線方向制御電極駆動部27、下部タッチパネル電極駆動部28、及び下部光線方向制御電極駆動部29は、それぞれ、タイミング信号に基づいて、対応する電極に駆動信号(電位)を送信する。下部タッチパネル電極駆動部28は、自己容量モード及び相互容量モードにおいて、下部タッチパネル電極13の受信信号を受信し、タッチ座標演算部23に送信する。上部タッチパネル電極駆動部26は、自己容量モードにおいて、上部タッチパネル電極12の受信信号を受信し、タッチ座標演算部23に送信する。
【0058】
図9は、広視野角状態において、各電極に与えられる駆動信号の波形の概略を示す説明図である。上部タッチパネル電極12及び上部光線方向制御電極18には、例えば、一定の基準電位(例えば接地電位)が与えられる。下部光線方向制御電極16には、当該基準電位より高い一定の電位が与えられる。
【0059】
また、下部タッチパネル電極13には、例えば、下部光線方向制御電極16に与えられた電位を基準とし、マイナス方向のパルスP1を有する矩形波のタッチパネル用の駆動信号が与えられる。当該矩形波の平均電位は、当該基準電位よりも高い。なお、当該パルスが出力されている間において、上部光線方向制御電極18に電界を集めやすくするために、上部光線方向制御電極18はフローティングであってもよい。
【0060】
図9の例では、下部光線方向制御電極16は、対向する電極である上部タッチパネル電極12より高電位に維持され、下部タッチパネル電極13は、対向する電極である上部光線方向制御電極18より高電位に維持される。これにより電気泳動素子14の電気泳動粒子が、下部電極7側に凝集し、広視野角状態が実現される。
【0061】
なお、当該パルスP1がON状態(マイナス方向のパルスが出力されている状態)においては、下部タッチパネル電極13と、対向する電極である上部光線方向制御電極18が同電位であるため、パルス幅が大きいと、その間に電気泳動粒子が分散する可能性がある。従って、広視野角状態を維持するためには、電気泳動粒子が追従できないほど、当該パルスP1のパルス幅が短く設定されている必要がある。具体的には、例えば、当該パルス幅は、1μ秒〜30μ秒である(パルスP1は静電容量をチャージするために与えられるが、そのチャージ時間は、センサパターンの抵抗と配線の抵抗、それぞれの容量、駆動電圧に依存する。主に用いられるパルス幅は、数μ秒(例えば1〜3μ秒)である)。
【0062】
つまり、矩形波全体におけるパルスON状態(出力されている状態)のDuty比が所定値以下(電気泳動素子14が駆動する時間(数秒)より十分短いP1のパルス幅が設定されており、当該Duty比は、具体的には例えば1%以下である)に設定されることとなり、電気泳動粒子が、視野角モードが変化するほどに移動する前に、タッチパネル用パルスの出力が終了する。
【0063】
図10Aは、相互容量モードかつ広視野角状態において、下部電極7に与えられる駆動電位(駆動信号)の波形の一例を示す。
図10Bは、相互容量モードかつ広視野角状態において、上部電極6に与えられる駆動電位(駆動信号)の波形の一例を示す。
【0064】
以下、各下部タッチパネル電極13を、より正のY軸方向に配置されているものから順にX_1電極、X_2電極、X_3電極、・・・とも呼び、各下部光線方向制御電極16を、より正のY軸方向に配置されているものから順に、X2_1電極、X2_2電極、X2_3電極、・・・とも呼ぶ。同様に、各上部タッチパネル電極12を、より負のX軸方向に配置されているものから順にY_1電極、Y_2電極、Y_3電極、・・・とも呼び、各上部光線方向制御電極18を、より負のX軸方向に配置されているものから順に、Y2_1電極、Y2_2電極、Y2_3電極、・・・とも呼ぶ。
【0065】
メイン制御部21から相互容量モードを示す通知を受信し、かつ視野角制御部24から広視野角モードを示す通知を受信したタイミング制御部25は、下部タッチパネル電極13を順次選択する。タイミング制御部25は、選択している下部タッチパネル電極13に駆動電位を与えながら、上部タッチパネル電極12それぞれにおいて容量を測定する。タイミング制御部25は、上部タッチパネル電極12を順次選択して容量を測定してもよく、全ての上部タッチパネル電極12と選択している下部タッチパネル電極13との間の容量を同時に測定してもよい。タッチ座標演算部23は、測定された容量に基づいて、タッチ座標を算出する。
【0066】
図10Aが示す例において、タイミング制御部25は、X_1電極、X_2電極、X_3電極の順で、下部タッチパネル電極13を選択する。
図10Aに示すように、容量測定のために選択された下部タッチパネル電極13に対して、順次交流信号が与えられる。
図10Aが示す例において、下部タッチパネル電極13に与えられる駆動信号は、所定の高電位(
図10AにおけるHigh)からマイナス方向へのパルスを発する矩形波である。
【0067】
当該パルスは電極の選択順に出力され、各下部タッチパネル電極13におけるパルスの出力期間は重複しない。また、前述したようにパルス幅は、電気泳動粒子が追従できないほど、短いものである。なお、容量測定のための駆動電位波形は任意であって、光線方向制御タッチパネル1によるタッチ検出のために適切な波形が選択される。
【0068】
また、上部タッチパネル電極12である、Y_1電極、Y_2電極、及びY_3電極には、一定の低電位(
図10BにおけるLow)が与えられている。下部光線方向制御電極16である、X2_1電極、X2_2電極、X2_3電極には、一定の高電位(
図10AにおけるHigh)が与えられ、上部光線方向制御電極18である、Y2_1電極、Y2_2電極、Y2_3電極には、一定の低電位(
図10BにおけるLow)が与えられる。
【0069】
これにより、前述したように、下部光線方向制御電極16は、対向する電極である上部タッチパネル電極12より高電位に維持され、下部タッチパネル電極13は、対向する電極である上部光線方向制御電極18より高電位に維持される。これにより電気泳動素子14の電気泳動粒子が、下部電極7側に凝集し、広視野角状態が実現される。
【0070】
図11Aは、自己容量モードかつ広視野角状態において、下部電極7に与えられる駆動電位(駆動信号)の波形の一例を示す。
図11Bは、自己容量モードかつ広視野角状態において、上部電極6に与えられる駆動電位(駆動信号)の波形の一例を示す。
【0071】
メイン制御部21から自己容量モードを示す通知を受信し、かつ視野角制御部24から広視野角モードを示す通知を受信したタイミング制御部25は、全ての上部タッチパネル電極12及び全ての下部タッチパネル電極13に駆動電位を与えつつ、全ての上部タッチパネル電極12及び全ての下部タッチパネル電極13の容量を測定する。これと異なり、タイミング制御部25は、上部タッチパネル電極12及び下部タッチパネル電極13を順次選択し、選択している電極に駆動信号を与えると共に、その容量を測定してもよい。タッチ座標演算部23は、測定された容量に基づいて、タッチ座標を算出する。
【0072】
図11Aが示す例において、下部タッチパネル電極13及び下部光線方向制御電極16に対して、同時に交流信号が与えられる。
図11Aが示す例において、各下部タッチパネル電極13及び各下部光線方向制御電極16に与えられる駆動信号は、所定の高電位(
図11AにおけるHigh)からマイナス方向へのパルスを発する同一の矩形波である。なお、容量測定のための駆動電位波形は任意であって、光線方向制御タッチパネル1によるタッチ検出のために適切な波形が選択される。
【0073】
また、上部タッチパネル電極12及び上部光線方向制御電極18に与えられる駆動信号は、所定の低電位(
図11BにおけるLow)からマイナス方向のパルスを発する同一の矩形波である。当該矩形波は、下部タッチパネル電極13及び下部光線方向制御電極16に与えられる駆動信号が示す矩形波と同一形状である。即ち、これらの矩形波において、パルスの高さ、パルス幅、及びパルスの立ち上がるタイミングが同一である。
【0074】
なお、自己容量モードにおいては、全ての電極に対して同一形状の矩形波が与えられるため、パルスが出力されている期間及び出力されていない期間において、対向する電極間における電位差は不変である。従って、相互容量モードと比較して、パルス幅が長くてもよい(例えば、パルス幅は、相互容量モードと同様に1μ秒〜30μ秒程度であるが、相互容量モードのパルス幅より長くてもよい)。
【0075】
これにより、前述したように、下部光線方向制御電極16は、対向する電極である上部タッチパネル電極12より高電位に維持され、下部タッチパネル電極13は、対向する電極である上部光線方向制御電極18より高電位に維持される。これにより電気泳動素子14の電気泳動粒子が、下部電極7側に凝集し、広視野角状態が実現される。
【0076】
図12は、狭視野角状態における光線方向制御タッチパネル1の断面構造例を模式的に示す断面図である。説明の便宜のため、
図12の例においては、上部電極6の下面(XY平面)、及び下部電極7の上面(XY平面)がXZ平面に描かれており、また、上部透明基板11及び下部透明基板17の記載が省略されている。
【0077】
図13は、狭視野角状態において、各電極に与えられる駆動信号の波形の概略を示す説明図である。
上部タッチパネル電極1
2、下部光線方向制御電極16、及び上部光線方向制御電極18には、例えば、一定の基準電位(例えば接地電位)が与えられる。また、
下部タッチパネル電極1
3には、例えば、当該一定の基準電位を基準とし、プラス方向のパルスP2を有する矩形波のタッチパネル用の駆動信号が与えられる。
【0078】
なお、当該パルスP2がON状態(出力されている状態)においては、下部タッチパネル電極13は、対向する電極である上部光線方向制御電極18より高電位であるため、パルス幅が大きいと、その間に電気泳動粒子が下部タッチパネル電極13側に凝集する可能性がある。従って、狭視野角状態を維持するためには、電気泳動粒子が追従できないほど、当該パルス幅が短く設定されている必要がある。
【0079】
具体的には、例えば、当該パルス幅は、1μ秒〜30μ秒である。つまり、矩形波全体におけるパルスOFF状態(基準の低電位が保たれている状態)のDuty比が高く設定されることとなり、電気泳動粒子が、視野角モードに影響するほどに移動する前に、タッチパネル用パルスの出力が終了する。
【0080】
上述したように、下部光線方向制御電極16は、対向する電極である上部タッチパネル電極12と同電位に維持され、下部タッチパネル電極13は、対向する電極である上部光線方向制御電極18と同電位に維持される。これにより電気泳動素子14の電気泳動粒子が分散剤内で略均等に分散した状態になり、狭視野角状態が実現される。
【0081】
また、
図12に示すように、この状態で、指示体が上部透明基板11にタッチすると、下部タッチパネル電極13から、上部光線方向制御電極18の開口部181を通じて、当該上部タッチパネル電極12へ形成された電界の一部が支持体にひかれて容量が変化する。これによりタッチパネル機能が実現される。
【0082】
図14Aは、相互容量モードかつ狭視野角状態において、下部電極7に与えられる駆動電位(駆動信号)の波形の一例を示す。
図14Bは、相互容量モードかつ狭視野角状態において、上部電極6に与えられる駆動電位(駆動信号)の波形の一例を示す。
【0083】
メイン制御部21から相互容量モードを示す通知を受信し、かつ視野角制御部24から狭視野角モードを示す通知を受信したタイミング制御部25は、下部タッチパネル電極13を順次選択する。タイミング制御部25は、選択している下部タッチパネル電極13に駆動電位を与えながら、上部タッチパネル電極12それぞれにおいて容量を測定する。タイミング制御部25は、上部タッチパネル電極12を順次選択して容量を測定してもよく、全ての上部タッチパネル電極12と選択している下部タッチパネル電極13との間の容量を同時に測定してもよい。タッチ座標演算部23は、測定された容量に基づいて、タッチ座標を算出する。
【0084】
図14Aが示す例において、タイミング制御部25は、X_1電極、X_2電極、X_3電極の順で、下部タッチパネル電極13を選択する。
図14Aに示すように、容量測定のために選択された下部タッチパネル電極13に対して、順次交流信号が与えられる。
図14Aが示す例において、下部タッチパネル電極13に与えられる駆動信号は、所定の低電位(
図14AにおけるLow)からプラス方向へのパルスを発する矩形波である。
【0085】
当該パルスは電極の選択順に出力され、複数の下部タッチパネル電極13においてパルスの出力期間は重複しない。また、前述したようにパルス幅は、電気泳動粒子が追従できないほど、短いものである。なお、容量測定のための駆動電位波形は任意であって、光線方向制御タッチパネル1によるタッチ検出のために適切な波形が選択される。
【0086】
また、上部タッチパネル電極12である、Y_1電極、Y_2電極、及びY_3電極、下部光線方向制御電極16である、X2_1電極、X2_2電極、及びX2_3電極、並びに上部光線方向制御電極18である、Y2_1電極、Y2_2電極、及びY2_3電極には、一定の低電位(
図14A、
図14BにおけるLow)が与えられる。
【0087】
これにより、前述したように、下部光線方向制御電極16は、対向する電極である上部タッチパネル電極12と同電位に維持され、下部タッチパネル電極13は、対向する電極である上部光線方向制御電極18と同電位に維持される。これにより電気泳動素子14の電気泳動粒子が分散剤内で略均等に分散した状態になり、狭視野角状態が実現される。
【0088】
図15Aは、自己容量モードかつ狭視野角状態において、下部電極7に与えられる駆動電位(駆動信号)の波形の一例を示す。
図15Bは、自己容量モードかつ広視野角状態において、上部電極6に与えられる駆動電位(駆動信号)の波形の一例を示す。
【0089】
メイン制御部21から自己容量モードを示す通知を受信し、かつ視野角制御部24から狭視野角モードを示す通知を受信したタイミング制御部25は、全ての上部タッチパネル電極12及び全ての下部タッチパネル電極13に駆動電位を与えつつ、全ての上部タッチパネル電極12及び全ての下部タッチパネル電極13の容量を測定する。これと異なり、タイミング制御部25は、上部タッチパネル電極12及び下部タッチパネル電極13を順次選択し、選択している電極に駆動信号を与えると共に、その容量を測定してもよい。タッチ座標演算部23は、測定された容量に基づいて、タッチ座標を算出する。
【0090】
図15A、及び
図15Bが示す例において、下部タッチパネル電極13、下部光線方向制御電極16、上部タッチパネル電極12、及び上部光線方向制御電極18に対して、同時に交流信号が与えられる。
図15A、及び
図15Bが示す例において、各下部タッチパネル電極13、各下部光線方向制御電極16、各上部タッチパネル電極12、及び各上部光線方向制御電極18に与えられる駆動信号は、所定の低電位(
図15AにおけるLow)からプラス方向へのパルスを発する同一の矩形波である。なお、容量測定のための駆動電位波形は任意であって、光線方向制御タッチパネル1によるタッチ検出のために適切な波形が選択される。
【0091】
なお、自己容量モードにおいては、全ての電極に対して同一形状の矩形波が与えられるため、パルスが出力されている期間及び出力されていない期間において、対向する電極間における電位差は不変である。従って、相互容量モードと比較して、パルス幅が長くてもよい(例えば、パルス幅は、相互容量モードと同様に1μ秒〜30μ秒程度であるが、相互容量モードのパルス幅より長くてもよい)。
【0092】
これにより、前述したように、下部光線方向制御電極16は、対向する電極である上部タッチパネル電極12と同電位に維持され、下部タッチパネル電極13は、対向する電極である上部光線方向制御電極18と同電位に維持される。これにより電気泳動素子14の電気泳動粒子が分散剤内で略均等に分散した状態になり、狭視野角状態が実現される。
【0093】
以上、本実施例の光線方向制御タッチパネル1において、投影型の静電容量タッチパネルと電気的に視野角を制御可能な視野角制御デバイスとを一体化し、さらにそれらが基板を共有している。これにより、マルチタッチが可能な光線方向制御タッチパネルを得ることができる。また、光線方向制御タッチパネル1の厚みを薄くすることができ、ひいては、タッチ部と表示パネル5との距離を小さくすることができる。これにより、タッチパネル上から視認する表示と表示パネル上の表示の間での差異が少なくなり、パネル操作性が向上する。また、光線方向制御タッチパネル1における界面が少なくなることにより、透過率の減少を抑制することができ、ひいては視認性を向上させることができる。
【0094】
また、タッチパネル機能におけるX電極は上部電極6に、Y電極が下部電極7に配置されているため(即ち別の平面に配置されているため)、X電極とY電極との間を埋めるためのブリッジを生成する必要がなく、製造工程を削減することができ、ひいては低コスト化を実現することができる。
【0095】
また、下部透明基板17に下部電極7が配置されていることにより、表示パネル5から上部透明基板11へのノイズを削減することができる。
【実施例2】
【0096】
本実施例の光線方向制御タッチパネル1は、広視野角モードにおける駆動方法が実施例1と異なる。なお、狭視野角モードにおける駆動方法は実施例1と同様である。
【0097】
図16は、広視野角状態において、各電極に与えられる駆動信号の波形の概略を示す説明図である。下部タッチパネル電極13に、例えば、下部光線方向制御電極16に与えられた電位を基準とし、プラス方向のパルスP3を有する矩形波のタッチパネル用の駆動信号が与えられている点が実施例1と異なる。
【0098】
なお、当該パルスP3がON状態(パルスが出力されている状態)であっても、下部タッチパネル電極13は、対向する電極である上部光線方向制御電極18より高電位に維持される。従って、本実施例の広視野角モードにおけるパルス幅は、実施例1の相互容量モードと比較して、パルス幅が長くてもよい(例えば、パルス幅は、1〜30μ秒である)。
【0099】
図17は、相互容量モードかつ広視野角状態において、下部電極7に与えられる駆動電位(駆動信号)の波形の一例を示す。メイン制御部21から相互容量モードを示す通知を受信し、かつ視野角制御部24から広視野角モードを示す通知を受信したタイミング制御部25は、下部タッチパネル電極13を順次選択する。
【0100】
タイミング制御部25は、選択している下部タッチパネル電極13に駆動電位を与えながら、上部タッチパネル電極12それぞれにおいて容量を測定する。タイミング制御部25は、上部タッチパネル電極12を順次選択して容量を測定してもよく、全ての上部タッチパネル電極12と選択している下部タッチパネル電極13との間の容量を同時に測定してもよい。タッチ座標演算部23は、測定された容量に基づいて、タッチ座標を算出する。
【0101】
図17が示す例において、タイミング制御部25は、X_1電極、X_2電極、X_3電極の順で、下部タッチパネル電極13を選択する。
図17に示すように、容量測定のために選択された下部タッチパネル電極13に対して、順次交流信号が与えられる。
図17が示す例において、下部タッチパネル電極13に与えられる駆動信号は、所定の高電位(
図17におけるHigh)からプラス方向へのパルスを発する矩形波である。当該パルスは電極の選択順に出力され、複数の下部タッチパネル電極13においてパルスの出力期間は重複しない。なお、容量測定のための駆動電位波形は任意であって、光線方向制御タッチパネル1によるタッチ検出のために適切な波形が選択される。
【0102】
なお、本実施例の相互容量モードかつ広視野角状態において、上部電極6に与えられる駆動電位(駆動信号)の波形は、実施例1の
図10Bの波形と同様であるため図示を省略する。
【0103】
これにより、前述したように、下部光線方向制御電極16は、対向する電極である上部タッチパネル電極12より高電位に維持され、下部タッチパネル電極13は、対向する電極である上部光線方向制御電極18より高電位に維持される。これにより電気泳動素子14の電気泳動粒子が、下部電極7側に凝集し、広視野角状態が実現される。
【0104】
図18Aは、自己容量モードかつ広視野角状態において、下部電極7に与えられる駆動電位(駆動信号)の波形の一例を示す。
図18Bは、自己容量モードかつ広視野角状態において、上部電極6に与えられる駆動電位(駆動信号)の波形の一例を示す。
【0105】
メイン制御部21から自己容量モードを示す通知を受信し、かつ視野角制御部24から広視野角モードを示す通知を受信したタイミング制御部25は、全ての上部タッチパネル電極12及び全ての下部タッチパネル電極13に駆動電位を与えつつ、全ての上部タッチパネル電極12及び全ての下部タッチパネル電極13の容量を測定する。これと異なり、タイミング制御部25は、上部タッチパネル電極12及び下部タッチパネル電極13を順次選択し、選択している電極に駆動信号を与えると共に、その容量を測定してもよい。タッチ座標演算部23は、測定された容量に基づいて、タッチ座標を算出する。
【0106】
図18Aが示す例において、下部タッチパネル電極13及び下部光線方向制御電極16に対して、同時に交流信号が与えられる。
図18Aが示す例において、各下部タッチパネル電極13及び各下部光線方向制御電極16に与えられる駆動信号は、所定の高電位(
図18AにおけるHigh)からプラス方向へのパルスを発する同一の矩形波である。なお、容量測定のための駆動電位波形は任意であって、光線方向制御タッチパネル1によるタッチ検出のために適切な波形が選択される。
【0107】
また、上部タッチパネル電極12及び上部光線方向制御電極18に与えられる駆動信号は、所定の低電位(
図18BにおけるLow)からプラス方向のパルスを発する同一の矩形波である。当該矩形波は、下部タッチパネル電極13及び下部光線方向制御電極16に与えられる駆動信号が示す矩形波と同一形状である。
【0108】
これにより、前述したように、下部光線方向制御電極16は、対向する電極である上部タッチパネル電極12より高電位に維持され、下部タッチパネル電極13は、対向する電極である上部光線方向制御電極18より高電位に維持される。これにより電気泳動素子14の電気泳動粒子が、下部電極7側に凝集し、広視野角状態が実現される。
【0109】
なお、本実施例の相互容量モードにおいて、広視野角モードのタッチパネル用電界の大きさ(パルス出力時の下部タッチパネル電極13と上部タッチパネル電極12との電位差)は、狭視野角モードのタッチパネル用電界の大きさより、大きい。つまり、広視野角モードと狭視野角モードにおいて、タッチパネル用の静電容量の大きさは同一であるが、静電容量をチャージする時間が異なる。
【0110】
なお、静電容量をチャージして所定の電圧に達する時間は、下記の式1に示す通り、電圧が高いほど長くなる。このため、例えば、メイン制御部21は、広視野角モードと狭視野角モードにおいて、チャージされる電荷量が同一になるように、下記の式2に基づいて、広視野角モード及び狭視野角モードそれぞれにおける静電容量のチャージ時間及び静電容量の測定タイミングを決定し、タイミング制御部25に通知する。
【0111】
e
C(t)=E−E・e
−t/RC・・・(式1)(但し、e
Cはコンデンサの電圧、Eは電極に印加される電圧、tはチャージ時間、Rは抵抗、Cは静電容量)
【0112】
q(t)=CE−CE
−t/RC・・・(式2)(但し、qはコンデンサの電荷量、Eは電極に印加される電圧、tはチャージ時間、Rは抵抗、Cは静電容量)
【実施例3】
【0113】
本実施例の光線方向制御タッチパネル1は、上部タッチパネル電極12にも開口部が設けられている点において、実施例1の光線方向制御タッチパネル1と異なる。
図19は、本実施例の上部電極6の構成例を模式的に示す平面図である。上部タッチパネル電極12には、開口部121が設けられている。
図19の例では、上部タッチパネル電極12の電極片に、Y軸方向を長手方向とする矩形の複数の開口部121が設けられている。なお、開口部121は矩形に限らず、任意の形状とすることができる。
【0114】
図20は、
図19のAA’切断線における広視野角状態の光線方向制御タッチパネル1の断面構造例を示す断面図である。
図21は、
図19のBB’切断線における光線方向制御タッチパネル1の断面構造例を示す断面図である。
図22は、
図19のCC’切断線における光線方向制御タッチパネル1の断面構造例を示す断面図である。
【0115】
上部タッチパネル電極12に設けられた開口部121は、光透過領域15に重なる位置に設けられている。また、開口部121は、電気泳動素子14に重ならないことが望ましい。従って、開口部121の(X軸方向の)幅は、光透過領域15の幅以下であることが望ましい。また、全ての電気泳動素子14は、1以上の上部タッチパネル電極12又は上部光線方向制御電極18と、1以上の下部タッチパネル電極13又は下部光線方向制御電極16と、に挟まれている。
【0116】
図23は、広視野角状態における光線方向制御タッチパネル1の断面構造例を模式的に示す断面図である。説明の便宜のため、
図23の例においては、上部電極6の下面(XY平面)、及び下部電極7の上面(XY平面)がXZ平面に描かれており、また、上部透明基板11及び下部透明基板17の記載が省略されている。
【0117】
図23において、下部タッチパネル電極13が、対向する電極である上部光線方向制御電極18より高電位になるよう制御されている。また、下部光線方向制御電極16が、対向する電極である上部タッチパネル電極12より、高電位になるよう制御されている。これにより、下部タッチパネル電極13から上部光線方向制御電極18の非開口部への電界、及び下部光線方向制御電極16から上部タッチパネル電極12への電界が形成され、これらの電界により光線方向制御機能が実現される。
【0118】
また、この状態で、指示体が上部透明基板11にタッチすると、下部タッチパネル電極13から、上部光線方向制御電極18の開口部181を通じて、当該上部タッチパネル電極12へ形成された電界の一部が支持体にひかれて容量が変化する。また、下部光線方向制御電極16から、上部タッチパネル電極12の開口部121を通じて、当該上部光線方向制御電極18へ形成された電界の一部が支持体にひかれて容量が変化する。これらの電界によりタッチパネル機能が実現される。
【0119】
つまり本実施例の光線方向制御タッチパネル1において、上部タッチパネル電極12及び下部タッチパネル電極13のみならず、上部光線方向制御電極18及び下部光線方向制御電極16も、タッチパネル電極及び光線方向制御電極の双方の機能を有する。これにより、タッチパネルとしての分解能を向上させることができる。
【0120】
つまり、本実施例では、相互容量モードにおいて、下部タッチパネル電極13及び下部光線方向制御電極16の双方が駆動電極としての送信電極として、上部タッチパネル電極12及び上部光線方向制御電極18の双方が駆動電極としての受信電極として機能する。
【0121】
従って、本実施例では、相互容量モードにおいて、タイミング制御部25は、下部タッチパネル電極13及び下部光線方向制御電極16を順次選択する。タイミング制御部25は、選択している下部タッチパネル電極13及び下部光線方向制御電極16に駆動電位を与えながら、上部タッチパネル電極12及び上部光線方向制御電極18それぞれにおいて容量を測定する。
【0122】
相互容量モードにおいて、タイミング制御部25は、上部タッチパネル電極12及び上部光線方向制御電極18を順次選択して容量を測定してもよく、全ての上部タッチパネル電極12及び上部光線方向制御電極18と、選択している下部タッチパネル電極13及び下部光線方向制御電極16と、の間の容量を同時に測定してもよい。タッチ座標演算部23は、測定された容量に基づいて、タッチ座標を算出する。
【0123】
相互容量モードにおいて実施例1及び実施例2(
図10A、
図14A、及び
図17)において、X_1電極、X_2電極、X_3電極に順次与えられていたパルスを、X_1、X2_1、X
_2、X2_2、X
_3、及びX2_3に順次与えることにより、下部タッチパネル電極13及び下部光線方向制御電極16の双方を送信電極として機能させることができる。上部タッチパネル電極12及び上部光線方向制御電極18に与えられる駆動電位は、実施例1と同様である。
【0124】
また、自己容量モードにおいて、下部タッチパネル電極13及び下部光線方向制御電極16の双方がX電極として、上部タッチパネル電極12及び上部光線方向制御電極18の双方がY電極として機能する。
【0125】
自己容量モードにおいて、タイミング制御部25は、全ての上部タッチパネル電極12及び上部光線方向制御電極18、並びに全ての下部タッチパネル電極13及び全ての下部光線方向制御電極16に駆動電位を与えつつ、全ての上部タッチパネル電極12及び全ての上部光線方向制御電極18、並びに全ての下部タッチパネル電極13及び全ての下部光線方向制御電極16の容量を測定する。
【0126】
これと異なり、タイミング制御部25は、上部タッチパネル電極12及び上部光線方向制御電極18、並びに下部タッチパネル電極13及び下部光線方向制御電極16を順次選択し、選択している電極に駆動信号を与えると共に、その容量を測定してもよい。タッチ座標演算部23は、測定された容量に基づいて、タッチ座標を算出する。また、自己容量モードにおいて、各電極に与えられる駆動電位は、実施例1及び実施例2と同様である。
【0127】
なお、本実施例においては、上部タッチパネル電極12と上部光線方向制御電極18を同一視できるため、上部タッチパネル電極駆動部26と上部光線方向制御電極駆動部27は、1つの機能部として一体化されていてもよい。同様に、下部タッチパネル電極13と下部光線方向制御電極16を同一視できるため、下部タッチパネル電極駆動部28、及び下部光線方向制御電極駆動部29は、1つの機能部として一体化されていてもよい。