(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6966265
(24)【登録日】2021年10月25日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】ポンプ装置、処理液供給装置、基板処理装置、液抜き方法および液置換方法
(51)【国際特許分類】
F04B 53/04 20060101AFI20211028BHJP
【FI】
F04B53/04
【請求項の数】15
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2017-167534(P2017-167534)
(22)【出願日】2017年8月31日
(65)【公開番号】特開2019-44672(P2019-44672A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】西村 淳樹
(72)【発明者】
【氏名】小椋 浩之
(72)【発明者】
【氏名】柏山 真人
(72)【発明者】
【氏名】門間 徹
(72)【発明者】
【氏名】桐田 将司
(72)【発明者】
【氏名】佐川 栄寿
(72)【発明者】
【氏名】吉田 省吾
【審査官】
北村 一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−273113(JP,A)
【文献】
特開2016−087546(JP,A)
【文献】
特開2002−066487(JP,A)
【文献】
特開2002−210396(JP,A)
【文献】
特開2017−144372(JP,A)
【文献】
特開2006−272661(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0347080(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 43/00−47/14
F04B 23/00−23/24;53/00−53/22
B05C 7/00−21/00
B01D 19/00−19/04
B01J 4/00− 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する内部空間である貯留部と、前記貯留部に接するローリングダイアフラムとを備え、前記ローリングダイアフラムが変位することにより前記貯留部の容積が変化するチャンバであって、前記貯留部を有するチャンバ本体と、前記ローリングダイアフラムの中央に位置する肉厚部を収容する凹部を有するガイド部を備え、前記ローリングダイアフラムを介在させて、前記チャンバ本体と前記ガイド部とを突き合わせることにより形成されている前記チャンバと、
前記ローリングダイアフラムを変位させる駆動部とを備え、
前記チャンバは、前記貯留部に連通する少なくとも3つの開口、即ち、第1開口、第2開口、第3開口が形成されており、
前記第2開口は、前記第1開口よりも高い位置にあり、
前記第3開口は、前記3つの開口の中で最も低い位置にあり、
前記3つの開口の中で任意の2つの開口は、前記ローリングダイアフラムの変位に連動させて液体の流通が制御されることにより、前記貯留部内への液体の吸引と前記貯留部からの液体の送り出しである通常の液送りに用いられ、
前記チャンバの前記貯留部は、鉛直面と、前記鉛直面よりも大径の円とを結ぶ傾斜面を有する円錐台状に形成され、
前記第3開口は、前記貯留部の底部でかつ、前記傾斜面の下部傾斜面に設けられ、
前記ローリングダイアフラムの外縁部は、前記円側の前記チャンバ本体の突き合わせ面と前記ガイド部の突き合わせ面で挟まれるように固定され、
前記凹部の内周面は、前記貯留部の前記円よりも小径となるように構成され、
前記第3開口は、他の2つの開口の中で少なくともいずれか1つの開口から前記貯留部内に気体が導入されることにより、前記貯留部内の液体を排出するために用いられることを特徴とするポンプ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のポンプ装置において、
前記第1開口と第3開口は、同じ高さ位置に設けられていることを特徴とするポンプ装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のポンプ装置において、
前記第1開口と前記第3開口は、前記ローリングダイアフラムの変位に連動させて流体の流通が制御されることにより、前記第1開口を介して前記貯留部内に液体を吸引し、前記第3開口を介して前記貯留部内の液体を送り出す通常の液送りに用いられ、
更に、前記第3開口は、前記第1開口を介して前記貯留部内に気体を導入することにより、前記第3開口を介して前記貯留部内の液体を排出するために用いられることを特徴とするポンプ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のポンプ装置において、
前記第2開口は、前記貯留部内の上部に集まった気泡を、前記第2開口を介して排出するために用いられることを特徴とするポンプ装置。
【請求項5】
液体を収容する内部空間である貯留部と、前記貯留部に接する可動部材とを備え、前記可動部材が変位することにより前記貯留部の容積が変化するチャンバと、
前記可動部材を変位させる駆動部とを備え、
前記チャンバは、前記貯留部に連通する少なくとも3つの開口、即ち、第1開口、第2開口、第3開口が形成されており、
前記第2開口は、前記第1開口よりも高い位置にあり、
前記第3開口は、前記3つの開口の中で最も低い位置にあり、
前記3つの開口の中で前記第1開口と前記第2開口は、前記可動部材の変位に連動させて液体の流通が制御されることにより、前記第1開口を介して前記貯留部内に液体を吸引し、前記第2開口を介して前記貯留部内の液体を送り出す通常の液送りに用いられ、
前記第3開口は、前記第1開口を介して前記貯留部内に気体を導入することにより、前記第3開口を介して前記貯留部内の液体を排出するために用いられることを特徴とするポンプ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のポンプ装置において、
前記可動部材は、前記貯留部に接するように設けられたダイアフラムであり、
前記駆動部は、前記ダイアフラムを変位させる駆動部であることを特徴とするポンプ装置。
【請求項7】
請求項5に記載のポンプ装置において、
前記可動部材は、前記貯留部を取り囲むように設けられた弾性を有するチューブ部材であり、
前記駆動部は、前記チューブ部材の胴部が変位することにより前記貯留部の容積を変化させる駆動部であることを特徴とするポンプ装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載のポンプ装置と、
前記ポンプ装置の前記第1開口に接続する流路に設けられ、液体である処理液をろ過するフィルタとを備えたことを特徴とする処理液供給装置。
【請求項9】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のポンプ装置と、
前記ポンプ装置の前記第1開口に接続する流路に設けられ、処理液をろ過するフィルタと、
前記ポンプ装置の前記第2開口または前記第3開口に接続する流路の末端に設けられたノズルと
を備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項10】
処理液をろ過するフィルタと、前記フィルタの上流側に設けられて前記フィルタに処理液を送り込む第1のポンプ装置と、前記フィルタの下流側に設けられて前記フィルタでろ過された処理液を取り込んで送り出す第2のポンプ装置と、前記第1および第2のポンプ装置の駆動制御および処理液の流通制御を行う制御部とを備えた処理液供給装置であって、
前記第1のポンプ装置と前記第2のポンプ装置は、それぞれが、
液体を収容する内部空間である貯留部と、前記貯留部に接する可動部材とを備え、前記可動部材が変位することにより前記貯留部の容積が変化するチャンバと、
前記可動部材を変位させる駆動部とを備え、
前記チャンバは、前記貯留部に連通する少なくとも3つの開口、即ち、第1開口、第2開口、第3開口が形成されており、
前記第2開口は、前記第1開口よりも高い位置にあり、
前記第3開口は、前記3つの開口の中で最も低い位置にあり、
そして、
前記第1のポンプ装置の第1開口は、第1開閉弁が設けられた第1流路が接続されており、
前記第1のポンプ装置の第2開口は、第2開閉弁が設けられた第2流路によって前記フィルタの流入口に接続されており、
前記フィルタの流出口は、第3開閉弁が設けられた第3流路によって前記第2のポンプ装置の第1開口に接続されおり、
前記第2のポンプ装置の第2開口は、第4開閉弁が設けられた第4流路によって前記第1のポンプ装置の第3開口に接続されており、
前記第2のポンプ装置の第3開口は、第5開閉弁が設けられた第5流路が接続されており、
前記制御部は、処理液を供給する通常の液送り動作の場合に、
前記第1および第2のポンプ装置の前記可動部材の変位に連動させて前記第1から第5開閉弁を開閉制御することにより、
前記第1のポンプ装置は、前記第1流路と前記第1のポンプ装置の第1開口を経て処理液を吸引し、さらに、前記第1のポンプ装置の第2開口と前記第2流路を経て処理液を前記フィルタに送り、
そして、前記第2のポンプ装置は、前記フィルタでろ過された処理液を前記第3流路と前記第2のポンプ装置の第1開口を経て吸引し、さらに、吸引した処理液の一部を前記第2のポンプ装置の第2開口と前記第4流路を経て前記第1のポンプ装置の前記第3開口に戻すと共に、吸引した処理液の残部を前記第2のポンプ装置の第3開口と前記第5流路を経て送り出し、
さらに、
前記制御部は、前記第1および第2のポンプ装置から液体を排出する場合は、前記第1開閉弁、前記第2開閉弁、前記第3開閉弁、前記第4開閉弁、前記第5開閉弁を操作して、
気体を前記第1流路と前記第1のポンプ装置の第1開口を経て前記第1のポンプ装置の貯留部に送り込むことにより、前記第1のポンプ装置の貯留部内の液体を前記第1のポンプ装置の第3開口と前記第4流路を経て前記第2のポンプ装置へ排出し、
さらに、前記第1のポンプ装置から前記第4流路を経て送られてきた気体を前記第2のポンプ装置の貯留部に送り込み、そして、前記第2のポンプ装置の貯留部内の液体を前記第2のポンプ装置の第3開口と前記第5流路を経て排出することを特徴とする処理液供給装置。
【請求項11】
請求項10に記載の処理液供給装置において、
前記制御部は、前記第1および第2のポンプ装置から処理液を排出する前、または排出した後に、前記第1開閉弁、前記第2開閉弁、前記第3開閉弁、前記第4開閉弁、前記第5開閉弁を操作して、
気体を前記第1流路と前記第1のポンプ装置の第1開口を経て前記第1のポンプ装置の貯留部に送り込み、さらに、前記第1のポンプ装置の第2開口から前記第2流路を経て前記フィルタへ送り、前記フィルタから前記第3流路と前記第2のポンプ装置の第1開口を経て前記第2のポンプ装置の貯留部に送り込み、そして、前記第2のポンプ装置の貯留部内の液体を前記第2のポンプ装置の第3開口と前記第5流路を経て排出することを特徴とする処理液供給装置。
【請求項12】
請求項10または請求項11に記載の処理液供給装置と、
前記第2のポンプ装置の第3開口に接続する前記第5流路の末端に設けられたノズルと、
を備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項13】
液体を収容する内部空間である貯留部と、前記貯留部に接する可動部材とを備え、前記可動部材が変位することにより前記貯留部の容積が変化するチャンバと、前記可動部材を変位させる駆動部とを備えた処理液供給装置の液抜き方法において、
前記可動部材の変位に連動させて液体の流通を制御することにより、前記チャンバに形成された前記貯留部に連通する少なくとも3つの開口、即ち、第1開口、前記第1開口よりも高い位置にある第2開口、前記3つの開口の中で最も低い位置にある第3開口、の中で前記第1開口と前記第2開口を用いて、前記第1開口を介して前記貯留部内に液体を吸引し、前記第2開口を介して前記貯留部内の液体を送り出す通常の液送り工程と、
前記第1開口を介して前記貯留部内に気体が導入されることにより、前記第3開口を介して前記貯留部内の液体を排出する液体排出工程と、
を備えていることを特徴とする液抜き方法。
【請求項14】
液体を収容する内部空間である貯留部と、前記貯留部に接する可動部材とを備え、前記可動部材が変位することにより前記貯留部の容積が変化するチャンバと、前記可動部材を変位させる駆動部とを備えた処理液供給装置の液置換方法において、
前記可動部材の変位に連動させて液体の流通を制御することにより、前記チャンバに形成された前記貯留部に連通する少なくとも3つの開口、即ち、第1開口、前記第1開口よりも高い位置にある第2開口、前記3つの開口の中で最も低い位置にある第3開口、の中で前記第1開口と前記第2開口を用いて、前記第1開口を介して前記貯留部内に液体を吸引し、前記第2開口を介して前記貯留部内の液体を送り出す通常の液送り工程と、
前記第1開口を介して前記貯留部内に気体が導入されることにより、前記第3開口を介して前記貯留部内の液体を排出する液体排出工程と、
前記3つの開口の中で任意の1つの開口から前記貯留部に前記液体と異なる第2液体を投入する第2液体投入工程と、
を備えていることを特徴とする液置換方法。
【請求項15】
請求項14に記載の液置換方法において、
前記第2液体は、洗浄液であることを特徴とする液置換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板、液晶表示器用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等の基板に処理液を供給するポンプ装置、処理液供給装置、基板処理装置、液抜き方法および液置換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置は、基板を水平姿勢で保持し、保持された基板を回転させる保持回転部と、保持回転部で保持された基板上に処理液を吐出するためのノズルと、ノズルに処理液を送るポンプ装置とを備えている。
【0003】
ポンプ装置は、処理液を収容する貯留部を有するチャンバと、貯留部の容積を変化させるために可動部材を変位させる駆動機構とを備えている(例えば、特許文献1参照)。チャンバの下部には、入口が設けられ、チャンバの上部には、出口が設けられている。すなわち、チャンバ下部の入口から処理液を流入させ、チャンバ上部の出口から流出させている。これは、処理液中に混入する気泡(エア)をチャンバ上部に集め、処理液を送る際に確実に気泡を抜くためである。
【0004】
また、特許文献2には、第1段階ポンプ、フィルタ、および第2段階ポンプを備えた多段式ポンプが開示されている。第1段階ポンプは、フィルタを通じて、第2段階ポンプに液体を送るように構成されている。また、第2段階ポンプは、液体を排出するためのパージ弁を備えており、パージ弁を通して排出された液体は、第1段階ポンプに戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−049228号公報
【特許文献2】特開2013−100825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来装置は、次のような問題がある。ポンプ装置のチャンバ内から処理液などの液体を抜きたい場合がある。例えば、ポンプ装置、処理液供給装置および基板処理装置を出荷する場合に、チャンバ内を洗浄した後、チャンバ内の液体を抜いている。このチャンバ内から液体を抜く作業は、液体が抜けにくく、時間が掛かる。例えば、上述のチャンバ下部の入口から気体を流入させ、チャンバ上部の出口から液体を流出させるとする。この場合、液体よりも気体の方が、チャンバ上部の出口に速く到着してチャンバ上部に空間ができてしまうので、チャンバ内から液体がうまく抜けない。なお、チャンバ内に液体(例えばフォトレジスト液)が残ると汚染物質となってしまう。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、チャンバ内の液体を容易に抜くことができるポンプ装置、処理液供給装置、基板処理装置、液抜き方法および液置換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。すなわち、本発明に係るポンプ装置は、液体を収容する内部空間である貯留部と、前記貯留部に接する
ローリングダイアフラムとを備え、前記
ローリングダイアフラムが変位することにより前記貯留部の容積が変化するチャンバ
であって、前記貯留部を有するチャンバ本体と、前記ローリングダイアフラムの中央に位置する肉厚部を収容する凹部を有するガイド部を備え、前記ローリングダイアフラムを介在させて、前記チャンバ本体と前記ガイド部とを突き合わせることにより形成されている前記チャンバと、前記
ローリングダイアフラムを変位させる駆動部とを備え、前記チャンバは、前記貯留部に連通する少なくとも3つの開口、即ち、第1開口、第2開口、第3開口が形成されており、前記第2開口は、前記第1開口よりも高い位置にあり、前記第3開口は、前記3つの開口の中で最も低い位置にあり、前記3つの開口の中で任意の2つの開口は、前記
ローリングダイアフラムの変位に連動させて液体の流通が制御されることにより、前記貯留部内への液体の吸引と前記貯留部からの液体の送り出しである通常の液送りに用いられ、
前記チャンバの前記貯留部は、鉛直面と、前記鉛直面よりも大径の円とを結ぶ傾斜面を有する円錐台状に形成され、前記第3開口は、前記貯留部の底部でかつ、前記傾斜面の下部傾斜面に設けられ、前記ローリングダイアフラムの外縁部は、前記円側の前記チャンバ本体の突き合わせ面と前記ガイド部の突き合わせ面で挟まれるように固定され、前記凹部の内周面は、前記貯留部の前記円よりも小径となるように構成され、前記第3開口は、他の2つの開口の中で少なくともいずれか1つの開口から前記貯留部内に気体が導入されることにより、前記貯留部内の液体を排出するために用いられることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係るポンプ装置によれば、チャンバには、貯留部に連通する少なくとも3つの開口である第1開口、第2開口、第3開口が形成されている。第2開口は、第1開口よりも高い位置にある。第3開口は、他の2つの開口の中で少なくともいずれか1つの開口から貯留部内に気体が導入されることにより、貯留部内の液体を排出するために用いられる。第3開口は、3つの開口の中で最も低い位置にあるので、貯留部に収容される液体を容易に抜くことができる。
また、第3開口が貯留部の底部に設けられているので、貯留部に収容される液体をより容易に抜くことができる。
【0011】
また、上述のポンプ装置の一例は、前記第1開口と第3開口が同じ高さ位置に設けられていることである。これにより、例えば、第1開口と第3開口の各々に接続されている配管を逆に接続することができる。すなわち、第3開口から貯留部内に気体を導入し、貯留部内の処理液を第1開口から排出することもできる。これにより、配管の接続をシンプルにできる。
【0013】
また、上述のポンプ装置において、前記第1開口と前記第3開口は、前記
ローリングダイアフラムの変位に連動させて流体の流通が制御されることにより、前記第1開口を介して前記貯留部内に液体を吸引し、前記第3開口を介して前記貯留部内の液体を送り出す通常の液送りに用いられ、更に、前記第3開口は、前記第1開口を介して前記貯留部内に気体を導入することにより、前記第3開口を介して前記貯留部内の液体を排出するために用いられることが好ましい。これにより、液体を吸引する第1開口は、第2開口55Bよりも低い位置にあり、液体を送り出す第3開口は、3つの開口(第1開口、第2開口および第3開口)の中で最も低い位置にある。そのため、通常の液送りの際に、第2開口付近に気泡が集まるので、第3開口を通じて貯留部から気泡を送り出すことを防止できる。
【0014】
また、上述のポンプ装置において、前記第2開口は、前記貯留部内の上部に集まった気泡を、前記第2開口を介して排出するために用いられることが好ましい。通常の液送りの際に、第2開口55Bよりも低い位置にある第1開口から液体を吸引し、3つの開口の中で最も低い位置にある第3開口から液体を送り出す。この場合、第2開口付近に集まった気泡を第2開口から排出できる。
【0015】
また、本発明に係るポンプ装置は、液体を収容する内部空間である貯留部と、前記貯留部に接する可動部材とを備え、前記可動部材が変位することにより前記貯留部の容積が変化するチャンバと、前記可動部材を変位させる駆動部とを備え、前記チャンバは、前記貯留部に連通する少なくとも3つの開口、即ち、第1開口、第2開口、第3開口が形成されており、前記第2開口は、前記第1開口よりも高い位置にあり、前記第3開口は、前記3つの開口の中で最も低い位置にあり、前記3つの開口の中で前記第1開口と前記第2開口は、前記可動部材の変位に連動させて液体の流通が制御されることにより、前記第1開口を介して前記貯留部内に液体を吸引し、前記第2開口を介して前記貯留部内の液体を送り出す通常の液送りに用いられ、前記第3開口は、前記第1開口を介して前記貯留部内に気体を導入することにより、前記第3開口を介して前記貯留部内の液体を排出するために用いられることを特徴とするものである。
本発明に係るポンプ装置によれば、チャンバには、貯留部に連通する少なくとも3つの開口である第1開口、第2開口、第3開口が形成されている。第2開口は、第1開口よりも高い位置にある。第3開口は、第1開口から貯留部内に気体が導入されることにより、貯留部内の液体を排出するために用いられる。第3開口は、3つの開口の中で最も低い位置にあるので、貯留部に収容される液体を容易に抜くことができる。
また、液体を送り出す第2開口は、液体を吸引する第1開口よりも高い位置にある。そのため、通常の液送りの際に、第2開口を通じて貯留部から気泡を除くことができる。
また、上述のポンプ装置において、前記可動部材は、前記貯留部に接するように設けられたダイアフラムであり、前記駆動部は、前記ダイアフラムを変位させる駆動部であることが好ましい。可動部材がダイアフラムである場合において、貯留部に収容される液体をより容易に抜くことができる。
【0016】
また、上述のポンプ装置において、前記可動部材は、前記貯留部を取り囲むように設けられた弾性を有するチューブ部材であり、前記駆動部は、前記チューブ部材の胴部が変位することにより前記貯留部の容積を変化させる駆動部であることが好ましい。可動部材がチューブ部材である場合において、貯留部に収容される液体をより容易に抜くことができる。
【0017】
また、本発明に係る処理液供給装置は、上述のポンプ装置と、前記ポンプ装置の前記第1開口に接続する流路に設けられ、液体である処理液をろ過するフィルタとを備えたことを特徴とするものである。
【0018】
本発明に係る処理液供給装置によれば、チャンバには、貯留部に連通する少なくとも3つの開口である第1開口、第2開口、第3開口が形成されている。第2開口は、第1開口よりも高い位置にある。第3開口は、他の2つの開口の中で少なくともいずれか1つの開口から貯留部内に気体が導入されることにより、貯留部内の液体を排出するために用いられる。第3開口は、3つの開口の中で最も低い位置にあるので、貯留部に収容される液体を容易に抜くことができる。
【0019】
また、本発明に係る基板処理装置は、上述のポンプ装置と、前記ポンプ装置の前記第1開口に接続する流路に設けられ、処理液をろ過するフィルタと、前記ポンプ装置の前記第2開口または前記第3開口に接続する流路の末端に設けられたノズルとを備えたことを特徴とするものである。
【0020】
本発明に係る基板処理装置によれば、チャンバには、貯留部に連通する少なくとも3つの開口である第1開口、第2開口、第3開口が形成されている。第2開口は、第1開口よりも高い位置にある。第3開口は、他の2つの開口の中で少なくともいずれか1つの開口から貯留部内に気体が導入されることにより、貯留部内の液体を排出するために用いられる。第3開口は、3つの開口の中で最も低い位置にあるので、貯留部に収容される液体を容易に抜くことができる。
【0021】
また、本発明に係る処理液供給装置は、処理液をろ過するフィルタと、前記フィルタの上流側に設けられて前記フィルタに処理液を送り込む第1のポンプ装置と、前記フィルタの下流側に設けられて前記フィルタでろ過された処理液を取り込んで送り出す第2のポンプ装置と、前記第1および第2のポンプ装置の駆動制御および処理液の流通制御を行う制御部とを備えた処理液供給装置であって、前記第1のポンプ装置と前記第2のポンプ装置は、それぞれが、液体を収容する内部空間である貯留部と、前記貯留部に接する可動部材とを備え、前記可動部材が変位することにより前記貯留部の容積が変化するチャンバと
、前記可動部材を変位させる駆動部とを備え、前記チャンバは、前記貯留部に連通する少なくとも3つの開口、即ち、第1開口、第2開口、第3開口が形成されており、前記第2開口は、前記第1開口よりも高い位置にあり、前記第3開口は、前記3つの開口の中で最も低い位置にあり、そして、前記第1のポンプ装置の第1開口は、第1開閉弁が設けられた第1流路が接続されており、前記第1のポンプ装置の第2開口は、第2開閉弁が設けられた第2流路によって前記フィルタの流入口に接続されており、前記フィルタの流出口は、第3開閉弁が設けられた第3流路によって前記第2のポンプ装置の第1開口に接続されおり、前記第2のポンプ装置の第2開口は、第4開閉弁が設けられた第4流路によって前記第1のポンプ
装置の第3開口に接続されており、前記第2のポンプ装置の第3開口は、第5開閉弁が設けられた第5流路が接続されており、前記制御部は、処理液を供給する通常の液送り動作の場合に、前記第1および第2のポンプ装置の前記可動部材の変位に連動させて前記第1から第5開閉弁を開閉制御することにより、前記第1のポンプ装置は、前記第1流路と前記第1のポンプ装置の第1開口を経て処理液を吸引し、さらに、前記第1のポンプ装置の第2開口と前記第2流路を経て処理液を前記フィルタに送り、そして、前記第2のポンプ装置は、前記フィルタでろ過された処理液を前記第3流路と前記第2のポンプ装置の第1開口を経て吸引し、さらに、吸引した処理液の一部を前記第2のポンプ装置の第2開口と前記第4流路を経て前記第1のポンプ装置の前記第3開口に戻す
と共に、吸引した処理液の残部を前記第2のポンプ装置の第3開口と前記第5流路を経て送り出し、さらに、前記制御部は、前記第1および第2のポンプ装置から液体を排出する場合は、前記第1開閉弁、前記第2開閉弁、前記第3開閉弁、前記第4開閉弁、前記第5開閉弁を操作して、気体を前記第1流路と前記第1のポンプ装置の第1開口を経て前記第1のポンプ装置の貯留部に送り込むことにより、前記第1のポンプ装置の貯留部内の液体を前記第1のポンプ装置の第3開口と前記第4流路を経て前記第2のポンプ装置へ排出し、さらに、前記第1のポンプ装置から前記第4流路を経て送られてきた気体を前記第2のポンプ装置の貯留部に送り込み、そして、前記第2のポンプ装置の貯留部内の液体を前記第2のポンプ装置の第3開口と前記第5流路を経て排出することを特徴とするものである。
【0022】
本発明に係る処理液供給装置によれば、通常の液送りでは、処理液は、第4流路を通じて、第2のポンプ装置の第2開口から第1のポンプ装置の第3開口に送られる。本発明の液抜き動作では、通常の液送りに対して、液体を逆に流す。すなわち、液抜きの際に、処理液は、第4流路を通じて、第1のポンプ装置の第3開口から第2のポンプ装置の第2開口に送られる。第1のポンプ装置の第3開口は、3つの開口の中で最も低い位置にあるので、第1のポンプ装置の貯留部に収容される液体を容易に抜くことができる。同様に、第2のポンプ装置の第3開口は、3つの開口の中で最も低い位置にあるので、貯留部に収容される液体を容易に抜くことができる。更に、第1のポンプ装置の第3開口と第2のポンプ装置の第2開口との間の第4経路内の液体を抜くことができる。
【0023】
また、上述の処理液供給装置において、前記制御部は、前記第1および第2のポンプ装置から処理液を排出する前、または排出した後に、前記第1開閉弁、前記第2開閉弁、前記第3開閉弁、前記第4開閉弁、前記第5開閉弁を操作して、気体を前記第1流路と前記第1のポンプ装置の第1開口を経て前記第1のポンプ装置の貯留部に送り込み、さらに、前記第1
のポンプ装置の第2開口から前記第2流路を経て前記フィルタへ送り、前記フィルタから前記第3流路と前記第2のポンプ装置の第1開口を経て前記第2のポンプ装置の貯留部に送り込み、そして、前記第2のポンプ装置の貯留部内の液体を前記第2のポンプ装置の第3開口と前記第5流路を経て排出することが好ましい。
【0024】
第2のポンプ装置の第3開口は、3つの開口の中で最も低い位置にあるので、貯留部に収容される液体を容易に抜くことができる。更に、第1のポンプ装置の第2開口と第2のポンプ装置の第1開口との間の第2経路および第3経路内の液体を抜くことができる。したがって、第1のポンプ装置の貯留部、第2のポンプ装置の貯留部、第2流路、第3流路、第4流路の液体を少なくとも抜くことができる。
【0025】
また、本発明に係る基板処理装置は、上述の第1のポンプ装置および第2のポンプ装置を有する処理液供給装置と、前記第2のポンプ装置の第3開口に接続する前記第5流路の末端に設けられたノズルと、を備えたことを特徴とするものである。
【0026】
本発明に係る、第5流路の末端に設けられたノズルを備える基板処理装置によれば、通常の液送りでは、処理液は、第4流路を通じて、第2のポンプ装置の第2開口から第1のポンプ装置の第3開口に送られる。本発明の液抜き動作では、通常の液送りに対して、液体を逆に流す。すなわち、液抜きの際に、処理液は、第4流路を通じて、第1のポンプ装置の第3開口から第2のポンプ装置の第2開口に送られる。第1のポンプ装置の第3開口は、3つの開口の中で最も低い位置にあるので、第1のポンプ装置の貯留部に収容される液体を容易に抜くことができる。同様に、第2のポンプ装置の第3開口は、3つの開口の中で最も低い位置にあるので、貯留部に収容される液体を容易に抜くことができる。更に、第1のポンプ装置の第3開口と第2のポンプ装置の第2開口との間の第4経路内の液体を抜くことができる。
【0027】
また、本発明に係る液抜き方法は、液体を収容する内部空間である貯留部と、前記貯留部に接する可動部材とを備え、前記可動部材が変位することにより前記貯留部の容積が変化するチャンバと、前記可動部材を変位させる駆動部とを備えた処理液供給装置の液抜き方法において、前記可動部材の変位に連動させて液体の流通を制御することにより、前記チャンバに形成された前記貯留部に連通する少なくとも3つの開口、即ち、第1開口、前記第1開口よりも高い位置にある第2開口、前記3つの開口の中で最も低い位置にある第3開口、の中で
前記第1開口と前記第2開口を用いて、前記第1開口を介して前記貯留部内に液体を吸引し、前記第2開口を介して前記貯留部内の液体を送り出す通常の液送り工程と、
前記第1開口を介して前記貯留部内に気体が導入されることにより、前記第3開口
を介して前記貯留部内の液体を排出する液体排出工程と、を備えていることを特徴とするものである。
【0028】
本発明に係る液抜き方法によれば、チャンバには、貯留部に連通する少なくとも3つの開口である第1開口、第2開口、第3開口が形成されている。第2開口は、第1開口よりも高い位置にある。第3開口は、
第1開口から貯留部内に気体が導入されることにより、貯留部内の液体を排出するために用いられる。第3開口は、3つの開口の中で最も低い位置にあるので、貯留部に収容される液体を容易に抜くことができる。
また、液体を送り出す第2開口は、液体を吸引する第1開口よりも高い位置にある。そのため、通常の液送りの際に、第2開口を通じて貯留部から気泡を除くことができる。
【0029】
また、本発明に係る液置換方法は、液体を収容する内部空間である貯留部と、前記貯留部に接する可動部材とを備え、前記可動部材が変位することにより前記貯留部の容積が変化するチャンバと、前記可動部材を変位させる駆動部とを備えた処理液供給装置の液置換方法において、前記可動部材の変位に連動させて液体の流通を制御することにより、前記チャンバに形成された前記貯留部に連通する少なくとも3つの開口、即ち、第1開口、前記第1開口よりも高い位置にある第2開口、前記3つの開口の中で最も低い位置にある第3開口、の中で
前記第1開口と前記第2開口を用いて、前記第1開口を介して前記貯留部内に液体を吸引し、前記第2開口を介して前記貯留部内の液体を送り出す通常の液送り工程と、
前記第1開口を介して前記貯留部内に気体が導入されることにより、前記第3開口
を介して前記貯留部内の液体を排出する液体排出工程と、前記3つの開口の中で任意の1つの開口から前記貯留部に前記液体と異なる第2液体を投入する第2液体投入工程と、を備えていることを特徴とするものである。
【0030】
本発明に係る
液置換方法によれば、チャンバには、貯留部に連通する少なくとも3つの開口である第1開口、第2開口、第3開口が形成されている。第2開口は、第1開口よりも高い位置にある。第3開口は、
第1開口から貯留部内に気体が導入されることにより、貯留部内の液体を排出するために用いられる。第3開口は、3つの開口の中で最も低い位置にあるので、貯留部に収容される液体を容易に抜くことができる。これにより、元の液体から第2液体に容易に置き換えることができる。
また、液体を送り出す第2開口は、液体を吸引する第1開口よりも高い位置にある。そのため、通常の液送りの際に、第2開口を通じて貯留部から気泡を除くことができる。
【0031】
また、上述の液置換方法において、前記第2液体の一例は、洗浄液である。これにより、貯留部内を洗浄することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係るポンプ装置、処理液供給装置、基板処理装置、液抜き方法および液置換方法によれば、チャンバ内の液体を容易に抜くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】実施例1に係る基板処理装置の概略構成図である。
【
図3】ダイアフラム側から見たチャンバ本体を示す斜視図である。
【
図4】(a)、(b)は、ポンプ装置の動作を説明するための図である。
【
図5】ポンプ装置の動作を説明するための図である。
【
図6】実施例2に係る処理液供給装置の構成を示す図である。
【
図7】(a)は、
図6のダイアフラム側から見た第2チャンバ本体を示す斜視図であり、(b)は、
図6のダイアフラム側から見た第1チャンバ本体を示す斜視図である。
【
図8】(a)〜(e)は、処理液供給装置の動作を説明するための図である。
【
図9】第1チャンバ本体および戻り配管の液抜き動作を説明するための図である。
【
図10】送り流路および第2チャンバ本体の液抜き動作を説明するための図である。
【
図11】(a)、(b)は、ポンプ装置の変形例を示す図である。
【
図13】フォトレジスト液Aからフォトレジスト液Bへの置き換えを説明するフローチャートである。
【実施例1】
【0034】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。
図1は、実施例1に係る基板処理装置の概略構成図である。
【0035】
<基板処理装置1の構成>
図1を参照する。基板処理装置1は、ノズル2と保持回転部3とを備えている。ノズル2は、基板Wに対して処理液を吐出するものである。処理液は、例えば、フォトレジスト液(以下適宜、「レジスト液」と呼ぶ)、反射防止膜形成用の薬液、現像液、溶剤や純水(DIW)などのリンス液が用いられる。保持回転部3は、基板Wを略水平姿勢で保持して回転させるものである。
【0036】
保持回転部3は、スピンチャック4と回転駆動部5とを備えている。スピンチャック4は、回転軸AX周りに回転可能に基板Wを保持する。スピンチャック4は、例えば、基板Wの裏面を真空吸着する。回転駆動部5は、スピンチャック4を回転軸AX周りに回転させる駆動を行う。回転駆動部5は、電動モータ等で構成されている。
【0037】
基板処理装置1は、更に、液体気体供給部7(気体供給部ともいう)、配管9A,9B、および処理液供給装置11を備えている。また、液体気体供給部7は、処理液容器15、気体供給源17、気体配管19、および開閉弁V1を備えている。なお、処理液は、本発明の液体に相当する。
【0038】
処理液容器(例えばボトル)15は、処理液を収容するものである。処理液容器15には、配管9Aが接続されている。気体供給源17は、例えば工場に設置される気体供給配管、あるいは気体を収容する容器が挙げられる。気体は、例えば、窒素ガスなどの不活性ガスや、空気が用いられる。気体配管19は、気体供給源17と処理液容器15と接続する。気体配管19には、開閉弁V1が設けられている。開閉弁V1は、気体供給源17から処理液容器15への気体の供給および気体の供給停止を行う。気体配管19を通じて処理液容器15内に気体が送られると、送られた気体は、処理液容器15内の処理液を、配管9Aを通じて押し出す。押し出された処理液は、配管9Aを通じて処理液供給装置11に送られる。
【0039】
また、基板処理装置1は、制御部21と操作部22とを備えている。制御部21は、中央演算処理装置(CPU)を備えている。制御部21は、処理液供給装置11を含む基板処理装置1の各構成を制御する。したがって、制御部21は、本発明に係るポンプ装置の制御部に相当する。操作部22は、表示部、記憶部および入力部を備えている。表示部は、液晶モニタなどで構成されている。記憶部は、ROM(Read-only Memory)、RAM(Random-Access Memory)、およびハードディスクのいずれかを少なくとも備えている。入力部は、キーボード、マウス、および各種ボタンの少なくともいずれかを備えている。記憶部には、基板処理の各種条件等や動作プログラムが記憶されている。
【0040】
<処理液供給装置11の構成>
処理液供給装置11は、処理液を濾過するフィルタ23と、ポンプ装置(第1のポンプ装置)25を備えている。ポンプ装置25は、ポンプ本体25Aと開閉弁V2、V3、V4を備えている。なお、
図1において、ポンプ装置25は、フィルタ23の下流に設けられているが、フィルタ23の上流に設けられてもよい。
【0041】
処理液供給装置11内では、処理液は、配管27A〜27Cを流れる。フィルタ23は、配管27A,27Bの間に設けられている。フィルタ23は、処理液をろ過し、ポンプ装置25の後述する第1開口55Aに接続する配管(流路)27Bに設けられている。一方、ポンプ装置25は、配管27B,27Cの間に設けられる。また、配管27Bには、開閉弁V2が設けられ、配管27Cには、開閉弁V3が設けられている。開閉弁V2は、配管27Bに処理液を流し、また、処理液の流れを停止させる。開閉弁V3は、配管27Cに処理液を流し、また、処理液の流れを停止させる。なお、ポンプ装置25には、排出配管29が接続されている。排出配管29には、開閉弁V4が設けられている。開閉弁V4は、排出配管29に処理液を流し、また、処理液の流れを停止させる。
【0042】
フィルタ23は、処理液供給装置11に対して着脱自在であり、交換可能である。フィルタ23の上面23Aには、入口(流入口)23B、出口(流出口)23Cおよびベント部23Dが設けられている。入口23Bには、配管27Aが接続されており、出口23Cには、配管27Bが接続されている。ベント部23Dには、気泡を排出する排出配管30が接続されている。排出配管30には、開閉弁V5が設けられている。ベント部23Dは、フィルタ23内の気泡等を排出するための出口である。フィルタ23は、処理液を実際にろ過するフィルタ本体23Eを備えている。フィルタ本体23Eでは、気泡等の不純物が取り除かれる。ベント部23Dは、フィルタ本体23Eを通過する前の気泡、または気泡を含む処理液を排出する。
【0043】
図2は、ポンプ本体25Aの縦断面図である。
図3は、ダイアフラム43側から見たチャンバ本体40を示す斜視図である。ポンプ本体25Aは、電動モータM1(以下、「モータ」と呼ぶ)とチャンバ33とを備えている。モータM1は、例えば、ステッピングモータである。具体的には、
図2のように、モータM1は、磁界を内周側に発生させるステータ35と、ステータ35の内周側に回転可能に配置され、ステータ35により回転される筒状のロータ36と、ロータ36の中空部に螺合され、ロータ36の回転によりロータ36に対して進退駆動されるシャフト(ねじ軸)37とを備えている。
【0044】
モータM1には、チャンバ33が取り付けられている。チャンバ33は、ガイド部39と、処理液を収容するチャンバ本体40を備えている。ガイド部39は、ガイドピン41が挿通されている。ガイドピン41の一端は、シャフト37に連結されている。また、ガイドピン41の他端は、チャンバ本体40側に設けられたダイアフラム43の肉厚部43Aに連結されている。ガイド部39には、シャフト37の周りに回転させずにガイドピン41を
図2に示す矢印Pの左右方向に案内する案内孔45が設けられている。すなわち、ロータ36のねじとシャフト37のねじは、噛み合っている。ロータ36の回転がシャフト37に伝わると、シャフト37と連結されるガイドピン41は、シャフト37の周りに回転されずに、案内孔45によって、矢印Pの左右方向に案内される。
【0045】
チャンバ本体40側のガイド部39には、ダイアフラム43の中央に位置する肉厚部43Aと、ガイドピン41の他端とを収容する凹部47が形成されている。ダイアフラム43は、後述する貯留部48に接するように設けられている。ダイアフラム43は、その薄肉部43Bの外縁がガイド部39とチャンバ本体40との合わせ面で挟まれるように固定されている。すなわち、ダイアフラム43の薄肉部43Bの外縁がガイド部39またはチャンバ本体40の内壁に取り付けられており、チャンバ本体40の内壁の一部を構成する。ダイアフラム43は、チャンバ本体40内とガイドピン41側の空間SP1とを隔離する。ダイアフラム43は、樹脂製であり、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン:polytetrafluoroethylene)で構成されている。また、本実施例では、ダイアフラム43は、ローリングダイアフラムであるが、フラットダイアフラムなど他のダイアフラムであってもよい。
【0046】
チャンバ本体40は、貯留部48を備えている。貯留部48は、チャンバ本体40における凹部47と対向する面に設けられている。貯留部48は、チャンバ本体40の内部空間であり、処理液を収容する。貯留部48は、シャフト37から見た場合に円形状である(
図3参照)。貯留部48において、シャフト37と直交する方向に形成された鉛直面49は、ガイド部39の反対側に形成されている。鉛直面49は、シャフト37から見た場合の直径が、凹部47の直径よりも小さく形成されている。また、鉛直面49は、その外縁端から、凹部47の内周面よりも若干大径となる円とを結ぶように傾斜面50が形成されている。すなわち、チャンバ本体40の貯留部48は、円錐台状で形成されている。また、鉛直面49には、貯留部48と外部とを連通する検査開口部51が形成されている。この検査開口部51には、貯留部48内の圧力を測定する圧力センサ53が取り付けられている。
【0047】
チャンバ本体40には、
図2、
図3のように、貯留部48に連通する3つの開口、すなわち、第1開口55A、第2開口55B、第3開口55Cが設けられている。後述する説明から明らかになるように、実施例1において、第1開口55Aは貯留部48に処理液を取り込むための流入口として作用する。第2開口55Bは貯留部48内の処理液をノズル2へ送り出すための流出口として作用する。第3開口55Cは貯留部48内の処理液を排出するための排出口として作用する。
【0048】
第1開口55Aおよび第3開口55Cは、傾斜面50の下部に設けられている。更に、第1開口55Aおよび第3開口55Cは、
図3のように、ガイド部39側から見た場合、貯留部48の中心部より下方であって、貯留部48の縦方向の中心線を挟んで左右対称な位置関係で形成されている。すなわち、第1開口55Aおよび第3開口55Cは、貯留部48内(チャンバ本体40内)の底部(ほぼ最低位置)に配置されている。例えば、
図3のように、第1開口55Aと第3開口55Cは、同じ高さ位置に設けられていてもよい。
【0049】
また、第2開口55Bは、傾斜面50の上部に設けられている。更に、第2開口55Bは、
図3のように、ガイド部39側から見た場合、貯留部48の中心部より上方であって、貯留部48の縦方向の中心線上の位置に形成されている。すなわち、第2開口55Bは、貯留部48内におけるほぼ最高位置に設けられている。そのため、第2開口55Bは、第1開口55Aおよび第3開口55Cよりも高い位置に設けられている。
【0050】
図2のように、第1開口55A、第2開口55B、および第3開口55Cは、傾斜面50に直交する方向に延びるようにチャンバ本体40に形成されている。第1開口55Aは配管27Bに接続されている。第2開口55Bは配管27Cに接続されている。第3開口55Cは排出配管29に接続されている。なお、
図2において、図示の都合上、第3開口55Cは、第1開口55Aと重なるので、「55A,55C」と示す。また、ノズル2は、第2開口55Bに接続する配管(流路)27C,9Bの末端に設けられている(
図1参照)。
【0051】
上述した構成の処理液供給装置11は、モータM1を駆動してシャフト37およびガイドピン41をモータM1側(
図2における右方向)に後退させる。この際、開閉弁V2〜V4は、予め設定された操作が行われる。これらにより、ダイアフラム43の肉厚部43Aが凹部47に収容されて退避された状態となる(吸引動作)。この動作により、貯留部48には、処理液が吸い込まれて収容される。一方、モータM1を駆動してシャフト37をチャンバ本体40側(
図2における左方向)に前進させる。この際、開閉弁V2〜V4は、予め設定された操作が行われる。これらにより、ダイアフラム43の肉厚部43Aが鉛直面49に近い位置にまで前進した状態となる(送り出し動作)。この動作により、貯留部48に貯留されていた処理液が送り出される。
【0052】
なお、ダイアフラム43は、本発明の可動部材に相当する。
図2に示す駆動機構57は、モータM1、シャフト37、ガイド部39、ガイドピン41、案内孔45および凹部47を備えている。駆動機構57は、本発明の駆動部に相当する。駆動機構57は、ダイアフラム43を変位させる。チャンバ33は、ダイアフラム43が変位することにより貯留部48の容積が変化する。なお、例えば、ダイアフラム43(肉厚部43A)を貯留部48に進入させることで、貯留部48の容積が減る。ダイアフラム43(肉厚部43A)を凹部47に後退させることで、凹部47におけるダイアフラム43と貯留部48との間の空間によって、貯留部48の容積が増える。
【0053】
<基板処理装置1の動作>
次に、基板処理装置1の動作について説明する。
図1において、図示しない基板搬送機構は、保持回転部3上に基板Wを搬送する。保持回転部3は、基板Wの下面を吸着して保持する。その後、図示しないノズル移動機構は、基板W外の待機位置から基板W中心の上方の所定位置にノズル2を移動させる。ノズル2を移動させた後、基板Wを回転または回転を停止させた状態で、処理液供給装置11は、処理液容器15から送られた処理液をノズル2に送る。これにより、ノズル2から基板W上に処理液が吐出される。
【0054】
なお、液体気体供給部7は、処理液供給装置11に処理液を送る。開閉弁V1が開かれると、気体供給源17から処理液容器15に気体配管19を通じて、気体(例えば窒素ガス)が送られる。気体配管19を通じて送られた気体は、処理液容器15から配管9Aに処理液を押し出す。これにより、配管9Aを通じて処理液供給装置11に処理液が送られる。
【0055】
ノズル2から処理液を吐出して、基板処理が終了した後、ノズル移動機構は、基板W上方の所定位置から待機位置にノズル2を戻す。そして、保持回転部3は、基板Wの回転が停止した状態で基板Wの保持を解除する。基板搬送機構は、保持回転部3から基板Wを搬送する。
【0056】
<処理液供給装置11の動作>
次に、処理液供給装置11の動作について説明する。チャンバ本体40には、処理液を流入させるための第1開口55Aおよび処理液を流出させるための第2開口55Bに加えて、処理液を排出するための第3開口55Cが設けられている。これにより、処理液供給装置11のチャンバ本体40から処理液を抜きやすくさせている。そのため、処理液供給装置11について、まず、ノズル2へ処理液を送る通常の液送り動作について説明し、続いて、ポンプ装置25の液抜き動作について説明する。なお、開閉弁V1〜V5は、通常閉じているものとする。また、開閉弁V1は、加圧したいときだけ開かれる。
【0057】
通常の液送り動作は、次のように行う。制御部21は、第1開口55Aと第2開口55Bを用いて、ダイアフラム43の変位に連動させて処理液の流通を制御することにより、第1開口55Aを介して貯留部48内に処理液を吸引し、第2開口55Bを介して貯留部48内の処理液を送り出す通常の液送りを行う。具体的に説明する。
図1において、液体気体供給部7は、配管9A、27Aを通じてフィルタ23の入口23Bに処理液を送る。フィルタ23の入口23Bに送られた処理液は、フィルタ本体23Eで気泡等の不純物が取り除かれた後、出口23C、配管27Bの順番に送られる。すなわち、開閉弁V2まで処理液が送られている状態である。
【0058】
ポンプ装置25は、貯留部48内(チャンバ本体40内)に処理液を吸引させる。すなわち、モータM1は、ダイアフラム43およびガイドピン41を右側に後退させる。これにより、ダイアフラム43が変位または変形されて、貯留部48の容積を増加させる。このシャフト37およびガイドピン41を後退させる際に、開閉弁V2は開かれ、開閉弁V3〜V5は閉じられる。これにより、チャンバ本体40に設けられた第1開口55Aから貯留部48内に処理液が吸引される。
【0059】
処理液の吸引後、ポンプ装置25は、貯留部48内の処理液を送り出す。すなわち、モータM1は、
図1に示すシャフト37およびガイドピン41を左側に前進させる。これにより、ダイアフラム43が変位または変形されて、貯留部48の容積を減少させる。このシャフト37およびガイドピン41を前進させる際に、開閉弁V2,V4,V5は閉じられ、開閉弁V3は開かれる。これにより、貯留部48内の処理液が、チャンバ本体40に設けられた第2開口55Bを通じて、配管27C、配管9B、ノズル2の順番に送られる。ノズル2から処理液が吐出される。
【0060】
一方、ポンプ装置25の液抜き動作は、次のように行う。液抜き動作は、チャンバ本体40に設けられた第1開口55Aに気体(加圧気体)を送り込んで、貯留部48内から処理液を抜く動作である。操作者は、例えば、
図1に示す処理液容器15を、処理液が貯留されていない空の容器に置き換える。なお、空の容器は、処理液容器15から処理液を送り出して空の状態になった容器でもよい。
【0061】
〔ステップS01〕ポンプ装置25の第2開口55Bからノズル2までの液抜き
制御部21は、ステップS02の前、すなわち、第1開口55A、貯留部48内、第3開口55Cの順番に気体を送って第3開口55Cから貯留部48内の処理液を抜く前に、ポンプ装置25の第2開口55Bからノズル2までの処理液を抜く(排出する)。すなわち、制御部21は、開閉弁V2,V3を開くと共に、開閉弁V4,V5を閉じ、更に、液体気体供給部7により、第1開口55A、貯留部48内、第2開口55B、配管27C、配管9Bの順番に気体を送って第2開口55Bからノズル2に亘って貯留する処理液を抜く。
【0062】
具体的に説明する。開閉弁V2,V3は開かれ、開閉弁V4,V5は閉じられる。そして、液体気体供給部7は、気体供給源17からの気体を、気体配管19を通じて空の容器に送る。空の容器に送られた気体は、更に、処理液を押しながら、配管9A、配管27A、フィルタ23、配管27Bの順番に送られる。そして、
図4(a)のように、配管27Bに送られた気体は、第1開口55Aを通じて貯留部48内に送られる。貯留部48内に送られた気体は、第2開口55Bから貯留部48内の処理液を多少押し出す。なお、
図4(a)において、符号LQは、処理液を示す(
図1、
図4(b)、
図5も同様である)。また、
図4(a)、
図4(b)は、理解容易のため、第1開口55A,第2開口55B,第3開口55Cの位置を
図2と異なる形態で表示している。実際には、第1開口55A,第2開口55B,第3開口55Cの位置は、
図2、
図3等のように構成されている。この点、
図1、
図5、
図6、
図8〜
図10も同様である。
【0063】
しかしながら、第2開口55Bは、第1開口55Aよりも高く、貯留部48内のほぼ最高位置に配置されている。そのため、貯留部48内に送られた気体は、
図4(a)のように、貯留部48内の全ての処理液を第2開口55Bから押し出す前に、処理液よりも優先的に第2開口55Bに向かうので、貯留部48内に処理液が残ってしまう。また、貯留部48内に気体を多く送っても、
図4(b)のように、貯留部48内の処理液を効果的に第2開口55Bから押し出すことはできない。貯留部48内に処理液が残ってしまうが、第1開口55A、貯留部48内、第2開口55B、配管27C、配管9Bの順番に気体を送ることで、第2開口55Bからノズル2まで、すなわち、配管9B、27C内およびノズル2内の処理液を抜くことができる。
【0064】
ステップS01および後述するステップS02の動作中、ダイアフラム43の肉厚部43Aは、
図2のように、凹部47に収容されていてもよく、液流を妨げない程度に、肉厚部43Aが鉛直面49に近い位置にあってもよい。なお、ダイアフラム43およびガイドピン41は静止している。
【0065】
〔ステップS02〕ポンプ装置25の第3開口55Cからの液抜き
制御部21は、第1開口55Aを介して貯留部48内に加圧気体を導入することにより、第3開口55Cを介して貯留部48内の処理液を排出する。すなわち、制御部21は、
図5のように、開閉弁V2,V4を開くと共に、開閉弁V3,V5を閉じる。更に、制御部21は、液体気体供給部7により、第1開口55Aから貯留部48内に気体を送って第3開口55Cおよび配管29から液体を抜く。
【0066】
具体的に説明する。ステップS01の後、開閉弁V3,V5が閉じられると共に、開閉弁V2,V4が開かれる。そして、液体気体供給部7は、気体供給源17からの気体を空の容器等および第1開口55Aを通じて貯留部48内に送る。送られた気体は、貯留部48内の上側から、第3開口55Cに向けて処理液を押す。そのため、送られた気体は、第3開口55Cを通じて排出配管29に処理液を押し出す。第3開口55Cは、第2開口55Bよりも低い位置でかつ、貯留部48内部の底部(ほぼ最低位置)に配置されている。そのため、送られた気体によって、貯留部48内の処理液を容易に抜くことができる。また、ステップS01,S02により、貯留部48内、排出配管29内、配管27A〜27C,9A,9B内、およびノズル2内の処理液を抜くことができる。なお、ステップS02の後に、ステップS01を行ってもよい。
【0067】
なお、液抜きの動作において、フィルタ23を配置させているが、フィルタ本体23Eのないもので配管27Aと配管27Bとの間を接続してもよい。
【0068】
本実施例によれば、チャンバ33には、貯留部48に連通する少なくとも3つの開口である第1開口55A、第2開口55B、第3開口55Cが形成されている。第2開口55Bは、第1開口55Aよりも高い位置にある。第3開口55Cは、第1開口55Aから貯留部48内に加圧気体が導入されることにより、貯留部48内の処理液を排出するために用いられる。第3開口55Cは、貯留部48の底部に設けられているので、貯留部48に収容される処理液をより容易に抜くことができる。
【0069】
すなわち、
図4(a)に示す貯留部48内から処理液に含まれる気泡を抜くために、第2開口55Bは、第1開口55Aよりも高い位置に配置されている。そのため、貯留部48内の処理液を抜くときに、第2開口55Bでは抜きにくい。そこで、第3開口55Cから貯留部48内の処理液を抜く。第3開口55Cは、第2開口55Bよりも低い位置であり、貯留部48内の底部に設けられている。これにより、貯留部48内の処理液を容易に抜くことができる。
【0070】
また、第1開口55Aと第3開口55Cが同じ高さ位置に設けられている。これにより、例えば、
図3において、第1開口55Aと第3開口55Cの各々に接続されている配管を逆に接続することができる。すなわち、第3開口55Cから貯留部48内に加圧気体を導入し、貯留部48内の処理液を第1開口55Aから排出することもできる。これにより、配管の接続をシンプルにできる。
【実施例2】
【0071】
次に、図面を参照して本発明の実施例2を説明する。なお、実施例1と重複する説明は省略する。
【0072】
実施例1の処理液供給装置11は、単一のポンプ装置25を備えていた。この点、実施例2の処理液供給装置61は、ポンプ装置25に加えて、更に、第2のポンプ装置63を備えている。なお、本実施例において、ポンプ装置25は、第1のポンプ装置25と呼ぶ。
【0073】
図6は、実施例2に係る処理液供給装置61の構成を示す図である。処理液供給装置61は、フィルタ23、第1のポンプ装置25、および第2のポンプ装置63を備えている。実施例1では、第1のポンプ装置25は、フィルタ23の下流に設けられていたが、実施例2では、フィルタ23の上流に設けられている。また、第2のポンプ装置63は、フィルタ23の下流に設けられている。
【0074】
第1のポンプ装置25は、実施例1、
図6、
図7(b)のように、ポンプ本体25Aと開閉弁V11、V12、V14を備えている。ポンプ本体25Aは、チャンバ本体40、駆動機構57、第1開口55A、第2開口55B、第3開口55C、圧力センサ53を備えている。開閉弁V11は、第1開口55Aに接続する配管75Aに設けられている。開閉弁V12は、第2開口55Bに接続する配管75Bに設けられている。開閉弁V14は、第3開口55Cに接続する配管76に設けられている。貯留部48は、処理液を収容する内部空間である。駆動機構57は、貯留部48の容積を変化させるために、ダイアフラム43を変位させる。駆動機構57は、
図2のように、モータM1、シャフト37、ガイド部39、ガイドピン41、案内孔45および凹部47を備えている。ポンプ装置25の詳細は、実施例1の通りである。
【0075】
第2のポンプ装置63の構成は、
図2に示すポンプ装置25と基本的に同じである。すなわち、第2のポンプ装置63は、
図6のように、ポンプ本体63Aと開閉弁V13、V14、V16を備えている。ポンプ本体63Aは、第2チャンバ本体65、第2駆動機構67、圧力センサ69、第1開口71A、第2開口71B、第3開口71Cを備えている。開閉弁V13は、第1開口71Aに接続する配管75Cに設けられている。開閉弁V14は、第2開口71Bに接続する配管76に設けられている。開閉弁V16は、第3開口71Cに接続する配管75Dに設けられている。なお、開閉弁V14は、第1のポンプ装置25と第2のポンプ装置63とに兼用されている。第2貯留部74は、処理液を収容する内部空間である。第2駆動機構67は、第2貯留部74の容積を変化させるために、第2ダイアフラム73を変位させる。
【0076】
第2駆動機構67は、
図2,
図6のように、電動モータM2(以下、「モータM2」と呼ぶ)、第2シャフト37、第2ガイド部39、第2ガイドピン72、第2案内孔45および第2凹部47を備えている。なお、モータM2、第2ガイドピン72および第2ダイアフラム73以外は、第1のポンプ装置25と同じ符号で示す。第2ガイドピン72は、
図2に示す矢印Pのように左右方向に案内される。第2ダイアフラム73は、肉厚部73Aと薄肉部73Bを有する。第2ダイアフラム73の中央に位置する肉厚部73Aは、第2ガイドピン72と連結する。第2ダイアフラム73の薄肉部73Bの外縁が第2ガイド部39または第2チャンバ本体65の内壁に取り付けられており、第2チャンバ本体65の内壁の一部を構成する。第2ダイアフラム73は、第2貯留部74(第2チャンバ本体65内)と第2ガイドピン72側の空間SP2とを隔離する。モータM2により発生された回転は、ロータ(図示しない)、第2シャフト37および第2案内孔45などによって直線移動に変換される。
【0077】
図6、
図7(a)のように、第2チャンバ本体65には、第1開口71A、第2開口71B、および第3開口71Cが設けられている。第2開口71Bは、第2貯留部74内の処理液の一部を第1のポンプ装置25に戻すための開口である。第1開口71A、第2開口71B、および第3開口71Cは、それぞれ第2傾斜面50(
図2、
図7(a)参照)に直交する方向に延びるように第2チャンバ本体65に形成されている。すなわち、3つの開口71A〜71Cは、第2貯留部74と連通するように構成されている。第1開口71Aおよび第3開口71Cは、チャンバ本体40内の底部(ほぼ最低位置)に配置されている。第2開口71Bは、第1開口71Aおよび第3開口71Cよりも高い位置に配置されている。
【0078】
処理液供給装置61内では、配管75A〜75D、および戻り配管76を処理液が流れる。配管75Aは、
図1に示す配管9Aと、第1のポンプ装置25の第1開口55Aとを接続する。配管75Bは、第1のポンプ装置25の第2開口55Bと、フィルタ23の入口23Bとを接続する。配管75Cは、フィルタ23の出口23Cと、第2のポンプ装置63の第1開口71Aとを接続する。配管75Dは、第2のポンプ装置63の第3開口71Cと、
図1に示すノズル2とを接続する。すなわち、ノズル2は、第2のポンプ装置63の第3開口71Cに接続する配管75Dの末端に設けられている。配管76は、第2のポンプ装置63の第2開口71Bと、第1のポンプ装置25の第3開口55Cを接続する。排出配管30には開閉弁V15が設けられている。
【0079】
なお、配管75Aは本発明の第1流路に相当し、開閉弁V11は本発明の第1開閉弁に相当する。配管75Bは本発明の第2流路に相当し、開閉弁V12は本発明の第2開閉弁に相当する。配管75Cは本発明の第3流路に相当し、開閉弁V13は本発明の第3開閉弁に相当する。配管76は本発明の第4流路に相当し、開閉弁V14は本発明の第4開閉弁に相当する。配管75Dは本発明の第5流路に相当し、開閉弁V16は本発明の第5開閉弁に相当する。
【0080】
<処理液供給装置61の動作>
次に、処理液供給装置61の動作について説明する。まず、処理液を供給する通常の液送り動作を簡単に説明し、続いて、液抜き動作を説明する。
【0081】
通常の液送り動作の概要を説明する。制御部21は、
図6のように、第1および第2のポンプ装置25,63のダイアフラム43,73の変位に連動させて開閉弁V11〜V16を開閉制御する。これにより、第1のポンプ装置25は、配管75Aと第1開口55Aを経て処理液を吸引する。さらに、第1のポンプ装置25は、第2開口55Bと配管75Bを経て処理液をフィルタ23に送る。そして、第2のポンプ装置63は、フィルタ23で濾過された処理液を配管75Cと第1開口71Aを経て吸引する。さらに、第2のポンプ装置63は、吸引した処理液の一部を第2開口71Bと配管76を経て第1のポンプ装置25の第3開口55Cに戻すと共に、吸引した処理液の残部を第3開口71Cと配管75Dを経て送り出す。通常の液送り動作の詳細を次に説明する。
【0082】
図8(a)〜
図8(e)は、処理液供給装置61の動作を説明するための図である。
図1に示す制御部21は、第1および第2のポンプ装置25,63の駆動制御および処理液の流通制御を行う。
【0083】
〔ステップT01〕準備完了(Ready)
図8(a)に示す準備完了工程から説明する。吸引工程、濾過工程、パージ工程および吐出工程などによって、
図8(a)のように、第1のポンプ装置25の第1チャンバ本体40内(貯留部48)および第2のポンプ装置63の第2チャンバ本体65内(第2貯留部74)に処理液が吸引された状態にする。なお、
図8(a)において、開閉弁V11〜V16は閉じている。
【0084】
〔ステップT02〕吐出
図8(b)は、吐出工程を示している。第2のポンプ装置63は、第2ガイドピン72を左方向に前進させる。この際、開閉弁V16が開かれ、開閉弁V11〜V15が閉じられる。これにより、第2のポンプ装置63の第2チャンバ本体65内に吸引された処理液は、ノズル2に送られ、ノズル2から処理液が吐出される。
【0085】
〔ステップT03〕濾過
図8(c)は、濾過工程を示している。
図8(b)において、第1のポンプ装置25のチャンバ本体40内には、処理液が吸引されている。この処理液を、フィルタ23を通じて、第2のポンプ装置63の第2チャンバ本体65に吸引させる。すなわち、第1のポンプ装置25は、ガイドピン41を左方向に前進させると共に、第2のポンプ装置63は、第2ガイドピン72を右方向に後退させる。この際、開閉弁V12,V13が開かれ、開閉弁V11,V14〜V16が閉じられる。
【0086】
〔ステップT04〕パージ
図8(d)は、パージ工程を示している。第2のポンプ装置63は、第2ガイドピン72を左方向に少し前進させる。この際、開閉弁V11,V14が開かれ、開閉弁V12、V13、V15、V16が閉じられる。これらにより、第2チャンバ本体65に存在する気泡を含む処理液を、戻り配管76を通じて、第1のポンプ装置25のチャンバ本体40内に戻すことができる。チャンバ本体40に戻された気泡は、濾過工程の際に、フィルタ23で取り除かれる。
【0087】
〔ステップT05〕吸引
図8(e)は、吸引工程を示している。第1のポンプ装置25は、ガイドピン41を右方向に後退させる。この際、開閉弁V11が開かれ、開閉弁V12〜V16が閉じられる。これにより、第1のポンプ装置25のチャンバ本体40内に処理液が吸引される。また、
図8(a)の準備完了工程のようになり、ステップT01〜T05は、繰り返し実行される。
【0088】
連続吐出の場合は、吐出工程と吸引工程が同時に行われる。この場合、例えば、吐出および吸引工程(ステップT02+T05)、濾過工程(ステップT03)、パージ(ステップT04)がこの順番で繰り返される。なお、フィルタ23のベント部23D(
図6参照)から気泡を排出する場合は、第1のポンプ装置25は、ガイドピン41を左方向に前進させる。この際、開閉弁V12,V15が開かれ、開閉弁V11,V13,V14,V16が閉じられる。
【0089】
次に、
図9、
図10を参照して、液抜きの動作について説明する。なお、開閉弁V11〜V16は、通常閉じているものとする。また、
図1に示す開閉弁V1は、加圧したいときだけ開かれる。
【0090】
液抜き動作は、液体気体供給部7からの気体を第1のポンプ装置25および第2のポンプ装置63に送り込み、貯留部48、第2貯留部74、配管75B,75Cおよび配管76などに存在する処理液を抜く動作である。操作者は、例えば、
図1に示す処理液容器15を、処理液が貯留されていない空の容器に置き換える。また、操作者は、処理液容器15内の処理液を送り出して、処理液容器15内を空にさせる。
【0091】
〔ステップS11〕貯留部48および配管76の液抜き
図9において、制御部21は、開閉弁V11,V14,V16を開くと共に(開状態)、開閉弁V12,V13,V15を閉じる(閉状態)。この状態で、制御部21は、加圧気体を配管75Aと第1開口55Aを経て第1のポンプ装置25の貯留部48に送り込むことにより、貯留部48内の処理液を第3開口55Cと配管76を経て第2のポンプ装置63へ排出する。さらに、制御部21は、第1のポンプ装置25から配管76を経て送られてきた加圧空気を第2のポンプ装置63の第2貯留部74に送り込み、そして、第2のポンプ装置63の第2貯留部74内の液体を第3開口71Cと配管75Dを経て排出する。
【0092】
具体的に説明する。液体気体供給部7は、気体供給源17からの気体を空の容器を通じて、配管9Aに送って、配管9A,75Aに存在する処理液をノズル2側へ押す。気体によって押された処理液は、配管9A、配管75A、第1開口55A、貯留部48内、第3開口55C、配管76、第2開口71B、第2貯留部74内、第3開口71C、配管75D、配管9B、ノズル2の順番に流れて、ノズル2から排出される。
【0093】
このように、開閉弁V11,V14,V16が開かれ、開閉弁V12,V13,V15は閉じられることで、第1のポンプ装置25の貯留部48および配管75A,75D,76等の処理液を抜くことができる。なお、第2のポンプ装置63の第2貯留部74内の処理液も抜くことができる。しかしながら、この液抜き動作では、第1のポンプ装置25と第2のポンプ装置63との間の配管75B,75Cの処理液を抜くことができない。そのため、次のように開閉弁V11〜V16を操作する。
【0094】
〔ステップS12〕配管75B,75Cおよび第2チャンバ本体65の液抜き
図10において、制御部21は、開閉弁V11〜V13およびV16を開くと共に(開状態)、開閉弁V14,V15を閉じる(閉状態)。この状態で、制御部21は、加圧気体を配管75Aと第1開口55Aを経て第1のポンプ装置25の貯留部48に送り込む。さらに、制御部21は、第1のポンプ装置25の第2開口55Bから配管75Bを経てフィルタ23へ送り、フィルタ23から配管75Cと第2のポンプ装置63の第1開口71Aを経て第2のポンプ装置63の第2貯留部74に送り込む。そして、制御部21は、第2のポンプ装置63の貯留部74内の処理液を第3開口71Cと配管75Dを経て排出する。
【0095】
具体的に説明する。ステップS11によって、配管9A,75Aおよび貯留部48内などの処理液が抜けている。液体気体供給部7は、気体を配管9Aに送ると、貯留部48内に送られた気体は、第1のポンプ装置25および第2のポンプ装置63の間の配管75B,75Cに存在する処理液をノズル2側へ押す。気体によって押された処理液は、配管75B、配管75C、第1開口71A、第2貯留部74、第3開口71C、配管75D,配管9B、ノズル2の順番に流れてノズル2から排出される。
【0096】
このように、開閉弁V11〜V13,V16が開かれ、開閉弁V14,V16が閉じられることで、第2貯留部74内、配管75A〜75D、ノズル2の処理液を抜くことができる。なお、ステップS11において、第2貯留部74の処理液は抜かれるが、ステップS12において配管75B,75C内の処理液が流れ込むため、ステップS12において再度、第2貯留部74内の液抜きが行われる。
【0097】
なお、ステップS12の後に、ステップS11を行ってもよい。すなわち、ステップS12は、貯留部74等から排出するステップS11の第1液抜き動作の前、または、その第1液抜き動作の後に行われる。また、ステップS12のみを行った場合は、貯留部48内(第1チャンバ本体40内)で、
図4(b)のように、処理液よりも気体が優先的に第2開口55Bに到達してしまうので、貯留部48内の処理液が残ってしまう。また、配管76内の処理液が残ってしまう。そのため、ステップS11を行うことで、貯留部48内および戻り配管76内の処理液を抜くことができる。
【0098】
なお、ステップS12において、開閉弁V11,開閉弁V12,開閉弁V13,開閉弁V16の順番に開閉弁V11〜V13,V16を開くことで、配管75Bに存在する処理液が第2開口55Bから貯留部48内へ逆流することを抑制できる。ステップS11の場合は、開閉弁V11,開閉弁V14,開閉弁V16の順番に開閉弁V11,V14,V16が開かれる。
【0099】
本実施例によれば、通常の液送りでは、処理液は、配管76を通じて、第2のポンプ装置63の第2開口71Bから第1のポンプ装置25の第3開口55Cに送られる。本発明の液抜き動作では、開閉弁V11,V14,V16を開くと共に、開閉弁V12,V13を閉じることにより、通常の液送りに対して、処理液を逆に流す。すなわち、液抜きの際に、処理液は、配管76を通じて、第1のポンプ装置25の第3開口55Cから第2のポンプ装置63の第2開口71Bに送られる。第1のポンプ装置25の第3開口55Cは、貯留部48の底部に設けられているので、第1のポンプ装置25の貯留部48に収容される処理液を容易に抜くことができる。同様に、第2のポンプ装置63の第3開口71Cは、第2貯留部74(第2チャンバ本体65内)の底部に設けられているので、第2貯留部74(第2チャンバ本体65内)に収容される処理液を容易に抜くことができる。更に、第1のポンプ装置25の第3開口55Cと第2のポンプ装置63の第2開口71Bとの間の配管76内の液体を抜くことができる。
【0100】
また、開閉弁V11〜V13およびV16を開くと共に、開閉弁V14,V15を閉じる。これにより、第2のポンプ装置63の第3開口71Cは、第2貯留部74の底部に設けられているので、第2貯留部74に収容される処理液を容易に抜くことができる。更に、第1のポンプ装置25の第2開口55Bと第2のポンプ装置63の第1開口71Aとの間の配管75Bおよび配管75Cの処理液を抜くことができる。したがって、第1のポンプ装置25の貯留部48、第2のポンプ装置63の第2貯留部74、配管75B,75C,76の処理液を少なくとも抜くことができる。
【実施例3】
【0101】
次に、本発明の実施例3を説明する。なお、実施例1,2と重複する説明は省略する。
図13は、レジスト液Aからレジスト液Bへの置き換えを説明するフローチャートである。
【0102】
実施例1,2では、チャンバ本体40に設けられた第1開口55Aに気体を送り込んで、チャンバ本体40内から処理液を抜く液抜き動作について説明した。この点、実施例3では、
図13を参照しつつ、液抜き動作の応用例として、レジスト液Aをレジスト液Bに置き換える場合について説明する。なお、
図1に示す処理液供給装置11を備えた基板処理装置1について説明するが、
図6に示す処理液供給装置61の場合も同様である。なお、開閉弁V2〜V5は、通常閉じているものとする。また、開閉弁V1は、加圧したいときだけ開かれる。
【0103】
〔ステップU01〕フォトレジスト液Aの排出
実施例1のステップS01,S02の液抜き動作を行い、貯留部48等からレジスト液Aを抜く。実施例2の場合は、ステップS11,S12の液抜き動作を実施する。
【0104】
〔ステップU02〕置換液の投入(1回目)
処理液供給装置11の内部、例えば貯留部48に第1開口55Aからレジスト液Aと異なる置換液を投入する。置換液は、例えば、OK73シンナー(東京応化工業株式会社製)、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル:propylene glycol monomethyl ether)、またはPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:propylene glycol monomethyl ether acetate)が用いられる。洗浄液は、レジスト液A,Bに対して強く反応する。そのため、処理液供給装置11の内部に置換液を流してレジスト液Aまたは後述する洗浄液をリンスする。
【0105】
具体的に説明する。レジスト液Aが入った処理液容器15を、置換液が入った置換液容器に交換する。そして、開閉弁V1を開いて、気体供給源17からの気体を置換液容器に送る。そして、処理液供給装置11は、吸引および送り出しの動作(通常の液送り)を繰り返すことで、配管9Aからノズル2までの間のレジスト液Aを置換液に置き換える。すなわち、開閉弁V2が開かれ、開閉弁V3,V4,V5が閉じられ、更に、シャフト37およびガイドピン41が右側に後退する。これにより、第1開口55Aから貯留部48内に置換液などを吸引する。そして、開閉弁V3が開かれ、開閉弁V2,V4,V5が閉じられ、更に、シャフト37およびガイドピン41が左側に前進する。これにより、貯留部48内に吸引された置換液などが第2開口55Bから送り出される。これらの吸引および送り出しの動作を繰り返すことで、処理液供給装置11等の内部を置換液でリンスする。なお、排出配管29,30および配管76内に置換液を送ってもよい。
【0106】
〔ステップU03〕洗浄液の投入
貯留部48内の洗浄のために、第1開口55Aから貯留部48内に置換液が入った状態で洗浄液を投入する。洗浄液は、例えば、NMP(Nメチル−2−ピロリドン:N-methyl-2-pyrrolidone)、γ−ブチルラクトン(gamma-Butyrolactone)、またはアセトンなどが用いられる。
【0107】
置換液容器を、洗浄液が入った洗浄液容器に置き換える。そして、開閉弁V1を開いて、気体供給源17からの気体を洗浄液容器に送る。そして、処理液供給装置11は、吸引および送り出しの動作を繰り返すことで、配管9Aからノズル2までの間の置換液を洗浄液に置き換える。これにより、貯留部48内を含む、配管9Aからノズル2までの間を洗浄液で洗浄する。なお、排出配管29,30および配管76内を洗浄してもよい。
【0108】
〔ステップU04〕置換液の投入(2回目)
第1開口55Aから貯留部48内に洗浄液が入った状態で置換液を投入する。洗浄液容器を置換液容器に置き換える。そして、開閉弁V1を開いて、気体供給源17からの気体を置換液容器に送る。そして、処理液供給装置11は、吸引および送り出しの動作を繰り返すことで、配管9Aからノズル2までの間の洗浄液を置換液に置き換える。なお、排出配管29,30および配管76内に置換液を送ってもよい。
【0109】
〔ステップU05〕フォトレジスト液Bの投入
貯留部48内に置換液が入った状態で第1開口55Aから貯留部48にレジスト液Bを投入する。置換液容器を、レジスト液Bが入った処理液容器15に交換する。そして、開閉弁V1を開いて、気体供給源17からの気体を処理液容器15に送る。そして、処理液供給装置11は、吸引および送り出しの動作を繰り返すことで、配管9Aからノズル2までの間の置換液をレジスト液Bに置き換える。
【0110】
なお、ステップU02の置換液を投入後、ステップU01のように、投入した置換液を抜いてもよい。すなわち、処理液供給装置11を介して配管9Aからノズル2まで、置換液を流して、処理液供給装置11等の内部をリンスする。この後、置換液容器を空の容器に交換した場合、あるいは、置換液を送り出して容器が空になった場合に、処理液供給装置11のダイアフラム43およびガイドピン41の動作を停止させる。その後、実施例1のステップS01,S02の液抜き動作を行う。ステップU03,U04の場合も同様に洗浄液または置換液を投入後、液抜きし、次の液体(例えば、処理液であれば置換液)を投入してもよい。
【0111】
実施例1,2のように、液抜き動作が容易となったことで、処理液供給装置11等の内部を、例えば、レジスト液Aから置換液に容易に置き換えることができる。これにより、置換液や洗浄液の使用量を削減でき、あるいは、ステップU02を省略することもできる。なお、例えば処理液供給装置11,61または基板処理装置1等を出荷する場合は、ステップU01〜U03を行った後、ステップS01,02またはステップS11,12を行って液抜きする。そして、貯留部48等の内部を乾燥させるために、液体気体供給部7から気体を供給し続けてもよい。この動作の際に、例えばステップS01,02のように、開閉弁V2〜V5を切り替えて、気体を行き渡らせるようにする。
【0112】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0113】
(1)上述した実施例1において、ステップS01とステップS02を繰り返してもよい。また、実施例2において、ステップS11とステップS12を繰り返してもよい。この場合、例えば、ステップS12、ステップS11、ステップS12の順番で液抜き動作を行ってもよい。また、ステップS12の後にステップS11を行ってもよい。
【0114】
(2)上述した実施例1のポンプ装置25では、
図1のように、第1開口55Aと第2開口55Bは、ダイアフラム43の変位に連動させて処理液の流通が制御されることにより、第1開口55Aを介して貯留部48内に処理液を吸引し、第2開口55Bを介して貯留部48内の処理液を送り出す通常の液送りに用いられている。そして、第3開口55Cは、第1開口55Aを介して貯留部48内に加圧気体を導入することにより、第3開口55Cを介して貯留部48内の処理液を排出するために用いられている。これにより、処理液を送り出す第2開口55Bは、処理液を吸引する第1開口55Aよりも高い位置にある。そのため、通常の液送りの際に、第2開口55Bを通じて貯留部48から気泡を除くことができる。
【0115】
この点、
図1に示す実施例1のポンプ装置25は、
図6に示す実施例2の第2のポンプ装置63のような構成であってもよい。具体例を説明する。第1開口55Aと第3開口55Cは、ダイアフラム43の変位に連動させて処理液の流通が制御されることにより、第1開口55Aを介して貯留部48内に処理液を吸引し、第3開口55Cを介して貯留部48内の処理液を送り出す通常の液送りに用いられる。更に、第3開口55Cは、第1開口55Aを介して貯留部48内に加圧気体を導入することにより、第3開口55Cを介して貯留部48内の処理機を排除するために用いられる。なお、この変形例の場合、ノズル2は、第3開口55Cに接続する配管(流路)27C,9Bの末端に設けられている。
【0116】
これにより、処理液を吸引する第1開口55Aは、第2開口55Bよりも低い位置にあり、処理液を送り出す第3開口55Cは、3つの開口(第1開口55A、第2開口55Bおよび第3開口55C)の中で最も低い位置にある。そのため、通常の液送りの際に、第2開口55B付近に気泡が集まるので、第3開口55Cを通じて貯留部48から気泡を送り出すことを防止できる。
【0117】
また、第2開口55Bは、貯留部48内の上部に集まった気泡を、第2開口55Bを介して排出するために用いられる。これにより、通常の液送りの際に、第2開口55Bよりも低い位置にある第1開口から液体を吸引し、3つの開口55A〜55Cの中で最も低い位置にある第3開口55Cから液体を送り出す。この場合、第2開口55B付近に集まった気泡を第2開口55Bから排出できる。その後、気泡は、フィルタ23でトラップされ、トラップされた気泡は、排出配管30を通じて排出される。
【0118】
また、この変形例は、次のように構成されていればよい。3つの開口の中で任意の2つの開口は、ダイアフラム43の変位に連動させて処理液の流通が制御されることにより、貯留部48内への処理液の吸引と貯留部48からの処理液の送り出しである通常の液送りに用いられる。さらに、第3開口55Cは、他の2つの開口55A,55Bの中で少なくともいずれか1つの開口から貯留部48内に加圧気体が導入されることにより、貯留部48内の処理液を排出するために用いられる。
【0119】
(3)上述した各実施例および各変形例では、
図3、
図7(b)のように、第3開口55Cは、貯留部48内(第1チャンバ本体40内)のほぼ最低位置で、第1開口55Aと同じ高さ位置に配置されていた。この点、第3開口55Cは、第1開口55Aよりも低い位置に配置されていてもよい。例えば、第3開口55Cは、
図11(a)のように、貯留部48内の最低位置に配置されていてもよい。すなわち、貯留部48内の中心を通過する縦方向の中心線CL上に配置されていてもよい。第2チャンバ本体65に設けられる第3開口71Cも、第1チャンバ本体40に設けられた第3開口55Cと同様である。
【0120】
また、
図3、
図7(b)のように、第3開口55Cは、貯留部48内のほぼ最低位置に配置されていた。この点、第1開口55Aおよび第3開口55Cが貯留部48内の最低位置に配置されるように、貯留部48内が形成されていてもよい。例えば、
図11(b)において、第3開口55Cおよび第1開口55Aに接する部分が平面FLであってもよい。
【0121】
なお、貯留部48内において、第1開口55Aおよび第3開口55Cの間には、第1開口55Aから第3開口55Cまでの流れを妨げるような凸部が形成されていないものとする。
【0122】
(4)上述した各実施例および各変形例では、処理液供給装置11,61は、
図1のように、ノズル2、配管9A,9B、液体気体供給部7等と個別に構成されていた。これに対し、処理液供給装置11,61は、ノズル2、配管9A,9B、液体気体供給部7の少なくともいずれかを備えていてもよい。
【0123】
(5)上述した各実施例および各変形例では、気体供給部としての液体気体供給部7は、気体供給源17からの気体を空の容器等を介在させて処理液供給装置11,61に気体を供給していた。この点、液体気体供給部7は、気体供給源17からの気体を、空の容器等を介在させないようにしてもよい。例えば、気体を配管27A,75Aまたは配管27Bに供給するようにしてもよい。
【0124】
(6)上述した各実施例および各変形例では、液抜き動作の際に、ダイアフラム43,73およびガイドピン41,72は、静止させていた。この点、液抜き動作の際に、ダイアフラム43,73およびガイドピン41,72は、移動させてもよい。
【0125】
(7)上述した各実施例および各変形例では、第1のポンプ装置15には、第1開口55A、第2開口55B、および第3開口55Cが設けられ、第2のポンプ装置63には、第1開口71A、第2開口71B、および第3開口71Cが設けられていた。すなわち、第1のポンプ装置25および第2のポンプ装置63には、それぞれ3つの開口が設けられていた。この点、第1のポンプ装置25および第2のポンプ装置63には、更に、処理液を流入および/または流出させる1または2以上の開口が設けられてもよい。
【0126】
(8)上述した各実施例および各変形例では、第3開口55C,71Cは、貯留部48の底部に設けられていた。この点、第3開口55C,71Cは、貯留部48の底部に設けずに、例えば、貯留部48の底部よりも高い位置に設けられていてもよい。すなわち、ポンプ装置25の場合、第3開口55Cは、3つの開口55A〜55Cの中で最も低い位置に設けられていればよい。すなわち、第3開口55Cは、第2開口55Bより低い位置に設けられると共に、第1開口55Aの位置以下に設けられる。第2のポンプ装置63も第1のポンプ装置25と同様である。
【0127】
(9)上述した各実施例および変形例におけるチャンバ本体40,65とダイアフラム43,75との組み合わせに代えて、
図12に示すような弾性を有するチューブ部材84を用いてもよい。この変形例について説明する。ポンプ装置80は、ポンプ本体80A、開閉弁V2〜V4を備えている。ポンプ本体80Aは、チャンバ本体82、チューブ部材84、駆動機構86、第1開口55A、第2開口55B、第3開口55Cを備えている。なお、開閉弁V2〜V4、第1開口55A、第2開口55B、および第3開口55Cは、実施例1のポンプ装置25と同じ符号で示している。
【0128】
チューブ部材84は、貯留部88(チャンバ本体82内)を取り囲むように設けられている。また、チューブ部材84は、貯留部88に接するように設けられている。駆動機構86は、チューブ部材84の胴部が変位することにより貯留部88の容積を変化させる。可動部材がチューブ部材84である場合において、貯留部88に収容される処理液をより容易に抜くことができる。駆動機構86は、モータM1等で駆動せずに、水圧や空気圧を利用してチューブ部材84を変形させるものであってもよい。
【0129】
(10)上述した各実施例および各変形例では、液抜き動作の際に、
図1に示す液体気体供給部7の気体供給源17からの気体を送っていた。この点、例えば、上述の通常の液送りのように処理液供給装置11,61を動作させることで、貯留部48,74内等に気体を導入させてもよい。この場合、処理液容器15は、処理液が入っていない空の容器に置き換える。空の容器は、処理液を送り出して空の状態になった容器でもよい。また、空の容器には、外気が自由に入り込むことができるようになっていてもよいし、気体供給源17から気体が供給されるようになっていてもよい。また、
図6に示す実施例2の処理液供給装置61において、2つのダイアフラム43,73等を協働させて貯留部48,74内等に気体を導入させてもよい。また、これに代えて、2つのダイアフラム43,73のいずれか一方を動作させてもよい。例えば、
図9のステップS11の液抜き動作において、ダイアフラム43を動作させず、ダイアフラム73を動作させる。この場合、開閉弁V12,V13,V15を閉じ、開閉弁V11を開いた状態で、開閉弁V14,V16およびダイアフラム73等による吸引および送り出し動作を行う。これにより、液抜きを行う。
【符号の説明】
【0130】
1 … 基板処理装置
2 … ノズル
7 … 液体気体供給部
9A,9B,27A〜27C,29 … 配管
11,61 … 処理液供給装置
21 … 制御部
25 … ポンプ装置(第1のポンプ装置)
25A … ポンプ本体(第1のポンプ本体)
40 … チャンバ本体(第1のチャンバ本体)
43,73 … ダイアフラム
48 … 貯留部
55A,71A … 第1開口
55B,71B … 第2開口
55C,71C … 第3開口
57 … 駆動機構
63 … 第2のポンプ装置
63A … 第2のポンプ本体
65 … 第2チャンバ本体
67 … 第2駆動機構
74 … 第2貯留部
75A〜75D,76 … 配管
M1,M2 … 電動モータ
V1〜V5,V11〜V16 … 開閉弁