特許第6966312号(P6966312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立建機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6966312-作業機械 図000002
  • 特許6966312-作業機械 図000003
  • 特許6966312-作業機械 図000004
  • 特許6966312-作業機械 図000005
  • 特許6966312-作業機械 図000006
  • 特許6966312-作業機械 図000007
  • 特許6966312-作業機械 図000008
  • 特許6966312-作業機械 図000009
  • 特許6966312-作業機械 図000010
  • 特許6966312-作業機械 図000011
  • 特許6966312-作業機械 図000012
  • 特許6966312-作業機械 図000013
  • 特許6966312-作業機械 図000014
  • 特許6966312-作業機械 図000015
  • 特許6966312-作業機械 図000016
  • 特許6966312-作業機械 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6966312
(24)【登録日】2021年10月25日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20211028BHJP
   E02F 3/43 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
   E02F9/20 Q
   E02F3/43 C
【請求項の数】5
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-239989(P2017-239989)
(22)【出願日】2017年12月14日
(65)【公開番号】特開2019-105137(P2019-105137A)
(43)【公開日】2019年6月27日
【審査請求日】2020年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日田 真史
(72)【発明者】
【氏名】金成 靖彦
【審査官】 荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−180712(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/111384(WO,A1)
【文献】 特開2001−098585(JP,A)
【文献】 特開平10−168929(JP,A)
【文献】 特開平10−008493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20
E02F 3/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バケットを有する作業装置と,
前記作業装置を駆動する第1油圧アクチュエータと,
前記第1油圧アクチュエータの第1制御信号をオペレータの操作に応じて出力する操作装置と,
前記作業装置の作業対象の目標形状である目標施工面の情報が記憶されていると共に,前記作業装置が前記目標施工面の上方に位置するように前記第1油圧アクチュエータを動作させる第2制御信号を演算する制御装置と,
ON位置及びOFF位置のいずれか一方の切替位置が選択可能である切替装置とを備え
前記制御装置は前記切替装置が前記ON位置に切り替えられている場合には,前記第1制御信号と前記第2制御信号のいずれか一方を出力して前記第1油圧アクチュエータの動作を制御し,前記切替装置が前記OFF位置に切り替えられている場合には,前記第1制御信号を出力して前記第1油圧アクチュエータの動作を制御する作業機械において
前記制御装置には,前記バケットと前記目標施工面との距離である目標施工面距離と,前記切替装置が前記OFF位置から前記ON位置または前記ON位置から前記OFF位置に切り替わる際の前記第1油圧アクチュエータを動作させる制御信号の切り替わりの時間変化率の制限値との関係を規定したテーブルが記憶されており,
前記制御装置は,前記切替装置が前記OFF位置から前記ON位置または前記ON位置から前記OFF位置に切り替わる際の前記第1油圧アクチュエータの制御信号の切り替わりの時間変化率を,前記目標施工面距離と前記テーブルとから定まる所定の時間変化率の制限値に制限する
ことを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1の作業機械において,
前記所定の変化率は,前記バケットが前記目標施工面に近づく場合,前記バケットの先端と前記目標施工面の距離が小さくなるほど大きくなるように設定されている
ことを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項1の作業機械において,
前記切替装置が前記ON位置に切り替えられているとき,前記制御装置は,前記第1油圧アクチュエータの動作速度を最大速度より小さい値に制御する
ことを特徴とする作業機械。
【請求項4】
請求項1の作業機械において,
前記切替装置は,前記操作装置の把持部に設けられている
ことを特徴とする作業機械。
【請求項5】
請求項1の作業機械において,
前記作業装置を駆動する第2油圧アクチュエータと,
前記操作装置は,前記第2油圧アクチュエータの第3制御信号をオペレータの操作に応じて出力可能であり,
前記制御装置は,前記操作装置が操作されている間,前記第2油圧アクチュエータを予め定めた条件に従って動作させる第4制御信号を演算,前記操作装置から前記第3制御信号が出力された際,前記第3制御信号及び前記第4制御信号のいずれか一方に基づいて前記第2油圧アクチュエータを制御し,
前記制御装置は,さらに,前記切替装置が前記ON位置に切り替えられているときは,前記第3制御信号と前記第4制御信号のいずれか一方を出力し,前記切替装置が前記OFF位置に切り替えられているときは前記第3制御信号を出力する
ことを特徴とする作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は予め定めた条件に従って作業装置を動作させる作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧アクチュエータで駆動される作業装置(例えばフロント作業装置)を備える作業機械(例えば油圧ショベル)の作業効率を向上する技術としてマシンコントロール(Machine Control:MC)がある。MCは,操作装置(操作レバー)がオペレータに操作された場合に,予め定めた条件に従って作業装置を動作させる半自動制御を実行することでオペレータの操作支援を行う技術である。
【0003】
近年,施工の精度・効率向上を目的として,個々の車体が目標施工面の情報を保持し,作業装置で目標施工面が浸食されないように作業装置の動作を半自動的に制御するという情報化施工機の開発が活発となっている。情報化施工機において,オペレータはこの半自動制御のON/OFFを切り替えながら施工作業を進めることとなる。
【0004】
例えば,特許第6072993号公報には,作業機の第1操作レバーと,第1操作レバーに設けられた第1操作部材と,作業機の自動制御を行うコントローラとを備え,コントローラは,第1操作レバーが中立位置にあることを含む実行条件が満たされているときに,第1操作部材の操作に応じて,第1操作部材に割り当てられた自動制御の機能を実行する作業車両の制御システムが開示されている。そして,この作業車両の制御システムによれば,「第1操作レバーが中立位置にあることを含む実行条件が満たされているときに,第1操作部材の操作に応じて第1操作部材に割り当てられた自動制御の機能が実行される。そのため,第1操作部材の操作中に第1操作レバーが動いたとしても,第1操作部材に割り当てられた自動制御の機能の実行と,第1操作レバーによる作業機の動作とが同時に行われることを防止することができる。それにより,誤操作による意図しない作業機の動作を防止することができ,自動制御による品質の良い施工を行うことができる。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6072993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に,作業機械の操縦に慣れたオペレータは,常に操作レバーのうち少なくとも一つを操作していることが多い。したがって,自動制御のON/OFFの切り替えの度に操作レバーを中立にしなければならないとする特許6072993号公報に記載の技術では,オペレータの自然な操縦を中断させ,操作ストレスを与える可能性がある。
【0007】
本発明の目的は,MCのON/OFFの切り替えについてオペレータに操作ストレスを与えない作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが,その一例を挙げるならば,バケットを有する作業装置と,前記作業装置を駆動する第1油圧アクチュエータと,前記第1油圧アクチュエータの第1制御信号をオペレータの操作に応じて出力する操作装置と,前記作業装置の作業対象の目標形状である目標施工面の情報が記憶されていると共に,前記作業装置が前記目標施工面の上方に位置するように前記第1油圧アクチュエータを動作させる第2制御信号を演算する制御装置とON位置及びOFF位置のいずれか一方の切替位置が選択可能である切替装置とを備え前記制御装置は前記切替装置が前記ON位置に切り替えられている場合には,前記第1制御信号と前記第2制御信号のいずれか一方を出力して前記第1油圧アクチュエータの動作を制御し,前記切替装置が前記OFF位置に切り替えられている場合には,前記第1制御信号を出力して前記第1油圧アクチュエータの動作を制御する作業機械において前記制御装置には,前記バケットと前記目標施工面との距離である目標施工面距離と,前記切替装置が前記OFF位置から前記ON位置または前記ON位置から前記OFF位置に切り替わる際の前記第1油圧アクチュエータを動作させる制御信号の切り替わりの時間変化率の制限値との関係を規定したテーブルが記憶されており,前記制御装置は,前記切替装置が前記OFF位置から前記ON位置または前記ON位置から前記OFF位置に切り替わる際の前記第1油圧アクチュエータの制御信号の切り替わりの時間変化率を,前記目標施工面距離と前記テーブルとから定まる所定の時間変化率の制限値に制限するものとする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば,オペレータに操作ストレスをかけることなくMCのON/OFFの切り替えが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係る油圧ショベルの概略構成図。
図2図1の油圧ショベルのシステム構成図。
図3】コントローラ20の演算構成図。
図4】補正Pi圧演算部の詳細図。
図5】バケット爪先軌跡補正の説明図。
図6】目標速度垂直成分V1y’の演算テーブル。
図7】Pi圧補正レートの演算テーブル。
図8】ブームPi圧補正部の詳細図。
図9】アームクラウドPi圧補正部の詳細図。
図10】アクチュエータ目標出力演算部3bの詳細図。
図11】最大出力演算部10aの詳細図。
図12】旋回基本出力演算部10bの詳細図。
図13】ブーム基本出力演算部10cの詳細図。
図14】旋回ブーム出力配分演算部10fの詳細図。
図15】アームバケット配分出力演算部10gの詳細図。
図16】操作レバー26の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下,本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0012】
<1.油圧ショベルのハードウェア構成>
図1は本発明の実施の形態に係る油圧ショベルの概略構成図である。図1において,油圧ショベルは,クローラ式の走行体401と,走行体401の上部に旋回可能に取り付けられた旋回体402を備えている。走行体401は,走行油圧モータ33によって駆動される。旋回体402は,旋回油圧モータ28の発生するトルクによって駆動され,左右方向に旋回する。
【0013】
旋回体402上には運転席403が設置され,旋回体402の前方には目標施工面の形成作業を行うことの可能な多関節型のフロント作業装置400が取り付けられている。
【0014】
フロント作業装置400は,ブームシリンダ(第1油圧アクチュエータ)32aによって駆動されるブーム405と,アームシリンダ(第2油圧アクチュエータ)32bによって駆動されるアーム406と,バケットシリンダ32cによって駆動されるバケット407とを備える。
【0015】
運転席403には,ブームシリンダ32a,アームシリンダ32b,バケットシリンダ32c,走行油圧モータ33及び旋回油圧モータ28に対する制御信号(ギヤポンプ24(図2参照)から出力されるパイロット圧(以下では「Pi圧」とも称する))を操作方向及び操作量に応じて発生し,その制御信号によりブーム405,アーム406,バケット407,旋回体402及び走行体401を動作させるための操作レバー26と,エンジン21(図2参照)の目標回転数を指令するエンジンコントロールダイヤル51(図2参照)が設置されている。本稿では,操作レバー26が発生するブームシリンダ32aに対するパイロット圧を第1制御信号,アームシリンダ32bに対するパイロット圧を第3制御信号と称することがある。
【0016】
図2図1の油圧ショベルのシステム構成図である。本実施形態の油圧ショベルは,エンジン21と,エンジン21を制御するためのコントローラであるエンジンコントロールユニット(ECU)22と,エンジン21の出力軸に機械的に連結されエンジン21によって駆動される油圧ポンプ23及びギヤポンプ(パイロットポンプ)24と,ギヤポンプ24から吐出される圧油を操作量に応じて減圧したものを,各油圧アクチュエータ28,33,32a,32b,32cの制御信号として比例電磁弁27を介してコントロールバルブ25に出力する操作レバー26と,油圧ポンプ23から各油圧アクチュエータ28,33,32a,32b,32cに導入される作動油の流量及び方向を,操作レバー26又は比例電磁弁27から出力される制御信号(パイロット圧(以下ではPi圧と称することがある))に基づいて制御する複数のコントロールバルブ25と,各コントロールバルブ25に作用するPi圧の圧力値を検出する複数の圧力センサ41と,フロント作業装置400の位置・姿勢及びその他の車体情報に基づいて補正Pi圧を算出し,その補正Pi圧が発生可能な指令電圧を比例電磁弁27に出力するコンピュータであるコントローラ(制御装置)20と,フロント作業装置400の作業対象の目標形状である目標施工面の情報をコントローラ20に入力するための目標施工面設定装置50を備えている。
【0017】
油圧ポンプ23は,各油圧アクチュエータ28,33,32a,32b,32cの目標出力(後述)の通りに車体が動作するよう,機械的にトルク・流量が制御されている。
【0018】
コントロールバルブ25は,制御対象の油圧アクチュエータ28,33,32a,32b,32cと同数存在するが,図2ではそれらをまとめて1つで示している。各コントロールバルブには,その内部のスプールを軸方向の一方又は他方に移動させる2つのPi圧が作用している。例えば,ブームシリンダ32a用のコントロールバルブ25には,ブーム上げのPi圧と,ブーム下げのPi圧が作用する。
【0019】
圧力センサ41は,各コントロールバルブ25に作用するPi圧を検出するもので,コントロールバルブの2倍の数が存在している。圧力センサ41は,コントロールバルブ25の直下に設けられており,実際にコントロールバルブ25に作用するPi圧を検出している。
【0020】
比例電磁弁27は複数存在するが,図2中ではまとめて1つのブロックで示している。比例電磁弁27は2種類ある。1つは,操作レバー26から入力されるPi圧をそのまま出力又は指令電圧で指定される所望の補正Pi圧まで減圧して出力する減圧弁で,もう1つは,操作レバー26の出力するPi圧より大きなPi圧が必要な場合にギヤポンプ24から入力されるPi圧を指令電圧で指定される所望の補正Pi圧まで減圧して出力する増圧弁である。或るコントロールバルブ25に対するPi圧に関して,操作レバー26から出力されているPi圧より大きなPi圧が必要な場合には増圧弁を介してPi圧を生成し,操作レバー26から出力されているPi圧より小さなPi圧が必要な場合には減圧弁を介してPi圧を生成し,操作レバー26からPi圧が出力されていない場合には増圧弁を介してPi圧を生成する。つまり,減圧弁と増圧弁により,操作レバー26から入力されるPi圧(オペレータ操作に基づくPi圧)と異なる圧力値のPi圧をコントロールバルブ25に作用させることができ,そのコントロールバルブ25の制御対象の油圧アクチュエータに所望の動作をさせることができる。
【0021】
1つのコントロールバルブ25につき,減圧弁と増圧弁はそれぞれ最大で2つ存在し得る。本実施形態では,ブームシリンダ32aのコントロールバルブ25用に2つの減圧弁と2つの増圧弁が設けられており,アームシリンダ32bのコントロールバルブ25用に1つの減圧弁が設けられている。具体的には,ブーム上げのPi圧を操作レバー26からコントロールバルブ25に導く第1管路に設けられた第1減圧弁と,ブーム上げのPi圧をギヤポンプ24から操作レバー26を迂回してコントロールバルブ25に導く第2管路に設けられた第1増圧弁と,ブーム下げのPi圧を操作レバー26からコントロールバルブ25に導く第3管路に設けられた第2減圧弁と,ブーム下げのPi圧をギヤポンプ24から操作レバー26を迂回してコントロールバルブ25に導く第4管路に設けられた第2増圧弁と,アームクラウドのPi圧を操作レバー26からコントロールバルブ25に導く第5管路に設けられた第3減圧弁とを油圧ショベルは備えている。
【0022】
本実施形態の比例電磁弁27は,ブームシリンダ32aとアームシリンダ32bのコントロールバルブ25用に設けられているのみであり,他のアクチュエータ28,33,32cのコントロールバルブ25用の比例電磁弁27は存在しない。したがって,バケットシリンダ32c,旋回油圧モータ28及び走行油圧モータ33は,操作レバー26から出力されるPi圧に基づいて駆動される。
【0023】
なお,本稿では,ブームシリンダ32aとアームシリンダ32bのコントロールバルブ25に入力されるPi圧(ブーム及びアームに対する制御信号)は全て「補正Pi圧」(又は補正制御信号)と称し,比例電磁弁27によるPi圧の補正の有無は問わないものとする。
【0024】
また,本稿では,操作レバー26の操作中にフロント作業装置400を予め定められた条件に従って動作させるために,比例電磁弁27によって補正されたPi圧に基づいてブームシリンダ32aやアームシリンダ32bを制御することをマシンコントロール(Machine Control:MC)と称することがある。例えば本実施形態では任意に設定した目標施工面60(図5参照)上又はその上方の領域にバケット407を保持するMCが可能である。また,本稿ではMCを,操作レバー26の非操作時にフロント作業装置400の動作をコントローラ20により制御する「自動制御」に対して,操作レバー26の操作時にのみフロント作業装置400の動作をコントローラ20により制御する「半自動制御」と称することがある。
【0025】
操作レバー26はジョイスティック形状をしており,その把持部の背面側には図16に示すようにマシンコントロールON/OFF切替スイッチ(以下,単に「切替スイッチ」と称することがある)30が設けられている。切替スイッチ30は,例えばシーソースイッチで構成可能であり,比例電磁弁27に補正Pi圧に基づくMCを有効にするON位置と,比例電磁弁27に補正Pi圧に基づくMCを無効にするOFF位置のいずれか一方の切替位置が選択可能である。切替スイッチ30は,例えば操作レバー26を握るオペレータの人差し指により押下され,操作レバー26の操作中にスイッチの切替位置の変更が可能になっている。切替スイッチ30はシーソースイッチである必要性は無く,上記2位置を切り替え可能なものであれば他のものでも構わない。切替スイッチ30はコントローラ20に接続されており,切替スイッチ30の切替位置はコントローラ20に出力されている。
【0026】
コントローラ20は,入力部と,プロセッサである中央処理装置(CPU)と,記憶装置であるリードオンリーメモリ(ROM)及びランダムアクセスメモリ(RAM)と,出力部とを有している。入力部は,コントローラ20に入力される各種情報を,CPUが演算可能なように変換する。ROMは,後述する演算処理を実行する制御プログラムと,当該演算処理の実行に必要な各種情報等が記憶された記録媒体であり,CPUは,ROMに記憶された制御プログラムに従って入力部及びROM,RAMから取り入れた信号に対して所定の演算処理を行う。出力部からは,エンジン21を目標回転数で駆動するための指令や,比例電磁弁27に指令電圧を作用させるために必要な指令等が出力される。なお,記憶装置は上記のROM及びRAMという半導体メモリに限られず,例えばハードディスクドライブ等の磁気記憶装置に代替可能である。
【0027】
コントローラ20には,ECU22と,複数の圧力センサ41と,2本のGNSSアンテナ40と,バケット角センサ38と,アーム角センサ37と,ブーム角センサ36と,車体傾斜角センサ39と,各油圧アクチュエータ28,33,32a,32b,32cの圧力を検出するための複数の圧力センサ42と,各油圧アクチュエータ28,33,32a,32b,32cの動作速度を検出するための複数の速度センサ43と,目標施工面設定装置50が接続されている。
【0028】
コントローラ20は,GNSSアンテナ40から入力信号に基づいて目標施工面60に対する車体位置を算出し,バケット角センサ38,アーム角センサ37,ブーム角センサ36および車体傾斜角センサ39からの入力信号に基づいてフロント作業装置400の姿勢を算出する。つまり,本実施形態では,GNSSアンテナ40は位置センサとして機能し,バケット角センサ38,アーム角センサ37,ブーム角センサ36および車体傾斜角センサ39は姿勢センサとして機能している。なお,車体傾斜角は,2本のGNSSアンテナ40からの入力信号から算出しても良い。
【0029】
本実施形態では,油圧シリンダ32a,32b,32cの速度センサ43として,ストロークセンサを利用している。また,油圧シリンダ32a,32b,32cの圧力センサ42として,各油圧シリンダ32a,32b,32cにボトム圧検出センサとロッド圧検出センサを備えている。
【0030】
なお,本稿で説明する車体位置,フロント作業装置400の姿勢,各アクチュエータの圧力,各アクチュエータの速度の算出に際して利用する手段・方法は一例に過ぎず,公知の算出手段・方法が利用可能である。
【0031】
目標施工面設定装置50は,目標施工面60(図5参照)に関する情報(各目標施工面の位置情報や傾斜角度情報を含む)を入力可能なインターフェースである。目標施工面設定装置50は,グローバル座標系(絶対座標系)上に規定された目標施工面の3次元データを格納した外部端末(図示せず)と接続され,その外部端末から入力される目標施工面の情報が目標施工面設定装置50を介してコントローラ20内の記憶装置に格納される。なお,目標施工面設定装置50を介した目標施工面の入力は,オペレータが手動で行っても良い。
【0032】
<2.コントローラ20の演算構成>
図3はコントローラ20の演算構成図である。コントローラ20は,油圧シリンダ32a,32b,32c及び旋回油圧モータ28の目標出力をそれぞれ演算するアクチュエータ目標出力演算部3bと,ブームシリンダ32a(ブーム405)とアームシリンダ32b(アーム406)の補正Pi圧を算出する補正Pi圧演算部3aと,ブームシリンダ32a用の4つの比例電磁弁27(第1及び第2減圧弁と第1及び第2増圧弁)とアームシリンダ32b用の1つの比例電磁弁27(第3減圧弁)の指令電圧(比例電磁弁指令電圧)を補正Pi圧を基に算出する比例電磁弁指令電圧演算部3dと,ECU22に出力されるエンジン出力指令を算出するエンジン出力指令演算部3cとを備えている。
【0033】
<2.1.補正Pi圧演算部3a>
図4は補正Pi圧演算部3aの詳細図である。補正Pi圧演算部3aは,目標施工面距離演算部4aと,ブームPi圧制限値演算部4bと,Pi圧補正レート演算部4cと,Pi圧補正部4dとを備えている。以下では,ブーム上げ,アームクラウド,バケットクラウド,右旋回を指令するPi圧を「正」とし,ブーム下げ,アームダンプ,バケットダンプ,左旋回を指令するPi圧を「負」とする。
【0034】
<2.1.1.目標施工面距離演算部4a>
目標施工面距離演算部4aは,目標施工面設定装置50を介して入力された目標施工面60の情報と,GNSSアンテナ40からの入力に基づいて算出される車体の位置情報と,角度センサ36,37,38,39からの入力に基づいて算出されるフロント作業装置400の姿勢情報及び位置情報を入力する。目標施工面距離演算部4aは,これらの入力情報から旋回軸に平行でバケット407の重心を通る平面で目標施工面60を切断したときに得られる目標施工面の断面図を作成し,この断面においてバケット407の爪先位置と目標施工面60の距離Dを算出する。距離Dは,バケット407の爪先から目標施工面60に下ろした垂線とこの断面の交点とバケット407の爪先(先端)との距離とする。
【0035】
<2.1.2.ブームPi圧制限値演算部4b>
ブームPi圧制限値演算部(第2制御信号演算部)4bは,目標施工面距離演算部4aで算出した目標施工面距離Dに基づいて,MC時のブームのPi圧制限値(「第2制御信号」と称することがある)を算出する。ただし,操作レバー26が中立の場合には距離Dに係わらずブームPi圧制限値演算部4bはブームPi圧制限値としてゼロを出力する。その他の場合,ブームPi圧制限値演算部4bは次のようにブームPi圧制限値を演算する。
【0036】
まず,ブームPi圧制限値演算部4bは,距離Dと図6のテーブルを基にバケット407の爪先の速度ベクトルの目標施工面60に垂直な成分(以下,「垂直成分」と略する)の目標値(目標速度垂直成分)V1’yを算出する。目標速度垂直成分V1’yは,距離Dが0のとき0であり,距離Dの増加に応じて単調に減少するように設定されており,距離Dが所定の値d1を越えると−∞に設定される。目標速度垂直成分V1’yの決め方は図6のテーブルに限らず,少なくとも距離Dが0から所定の正の値に至るまでの範囲で,目標速度垂直成分V1’yが単調減少するものであれば,代替可能である。
【0037】
図5に示すように,本実施形態では,バケット407の爪先の速度ベクトルV1に対してブーム上げで発生する速度ベクトルV2を加えることで,バケット407の爪先の速度ベクトルの垂直成分が目標速度垂直成分V1’yに保持されるようにバケット407の爪先の速度ベクトルを補正してV1’とする。ブームPi圧制限値演算部4bでは,ブーム上げにより速度ベクトルV2を発生するために必要なブームPi圧(ブームPi圧制限値)を算出する。また,予めブーム上げ特性を測定しておくことでブームPi圧制限値とV2の相関を取得しておいても良い。なお,本実施形態ではブームPi圧制限値は0以上の値,すなわちブーム上げが行われるPi圧となる。
【0038】
例えば,図5の場合において,ベクトルV1は,フロント作業装置400の姿勢情報や各シリンダ速度から算出される補正前のバケット爪先速度ベクトルである。このベクトルV1の垂直成分は目標速度垂直成分V1’yと方向が同じで,その大きさが制限値V1’yの大きさを超えているので,ブーム上げで発生する速度ベクトルV2を加えて,補正後のバケット爪先速度ベクトルの垂直成分がV1’yとなるようにベクトルV1を補正しなければならない。ベクトルV2の方向は,ブーム405の回動中心からバケット爪先407aまでの距離を半径とする円の接線方向であり,そのときのフロント作業装置400の姿勢から算出できる。そして,この算出した方向を有するベクトルであって,補正前のベクトルV1に加えることで補正後のベクトルV1’の垂直成分がV1’yになるような大きさを有するベクトルをV2として決定する。このベクトルV2は一意に決まるので,ブームPi圧制限値演算部4bはベクトルV2の発生に必要なブームPi圧制限値を算出できる。なお,V2の大きさは,V1とV1’の大きさと,V1とV1’のなす角θを用いて余弦定理を適用することにより求めても良い。
【0039】
図6のテーブルのように爪先速度ベクトルの目標速度垂直成分V1’yを決定すると,バケット爪先407aが目標施工面60に近づくにつれて,爪先速度ベクトルの垂直成分が徐々に0に近づくので,目標施工面60の下方に爪先407aが侵入することを防止できる。
【0040】
<2.1.3.Pi圧補正部4d>
Pi圧補正部4dは,切替スイッチ30の切替位置と,操作レバー26から出力されるPi圧と,ブームPi圧制限値演算部4bで演算されたブームPi圧制限値と,Pi圧補正レート演算部4cで演算されたPi圧補正レートとに基づいて,各油圧アクチュエータ28,33,32a,32b,32cのコントロールバルブ25に作用されるPi圧(補正Pi圧)を演算する部分である。Pi圧補正部4dは油圧アクチュエータ28,33,32a,32b,32cごとに設けることができる。ここでは図8及び図9を用いてブーム上げ下げ用とアームクラウド用のPi圧補正部4dの詳細を説明する。
【0041】
まず,図8を用いてブーム405(ブームシリンダ32a(第1油圧アクチュエータ))の補正Pi圧の演算について説明する。ここでは,操作レバー26が発生したブームPi圧を「第1制御信号」と,ブームPi圧制限値演算部4bが演算したブームPi圧制限値を「第2制御信号」と称することがある。図8のブームPi圧補正部4dは,切り替わり検出部8aと,減算部8bと,絶対値演算部8cと,比較部8dと,Flip−Flop部8eと,最大値選択部8fと,ブーム上げPi圧制限値記憶部8gと,最小値選択部8hと,第1切換部8iと,レートリミット部8jと,第2切換部8kを備えている。
【0042】
切り替わり検出部8aには,切替スイッチ30の切替位置が入力されており,一方の切替位置から他方の切替位置への変更が検出された場合,Flip−Flop部8eにSET値として1を出力する。他方,切替位置の変更が検出されない場合には,Flip−Flop部8eにSET値として0を出力する。
【0043】
減算部8bは,ブームPi圧制限値演算部4bが演算したブームPi圧制限値(第2制御信号)から,操作レバー26が発生したブームPi圧(第1制御信号)を減じた値を出力する。絶対値演算部8cは,減算部8bの出力(ブームPi圧とブームPi圧制限値の差)の絶対値を出力する。比較部8dは,絶対値演算部8cの出力値(ブームPi圧とブームPi圧制限値の差の絶対値)と所定値Zの比較を行い,絶対値演算部8cの出力値が所定値Z以下の場合にFlip−Flop部8eにRESET値として1を出力する。他方,絶対値演算部8cの出力値が所定値Zより大きい場合には,Flip−Flop部8eにRESET値として0を出力する。例えば,所定値Zは0.5[MPa]以下の値に設定することが好ましい。
【0044】
Flip−Flop部8eは,SET値とRESET値の双方が1の場合はFALSE(0)を出力し,SET値が1でRESET値が0の場合はTRUE(1)を出力し,SET値が0でRESET値が1の場合はFALSE(0)を出力し,SET値とRESET値の双方が0の場合は直前と同じ値を出力する。
【0045】
最大値選択部8fは,ブームPi圧とブームPi圧制限値のうち大きい方(MAX値)を出力する。
【0046】
ブーム上げPi圧制限値記憶部8gには,操作レバー26の操作量が最大時(いわゆるフルレバー時)のPi圧よりも小さい任意の値に設定されたブーム上げPi圧制限値が記憶されている。この制限値の設定は,MCの精度を確保するためにアクチュエータ速度を落とすことを目的としており,ハーフレバー時のPi圧程度に設定することが一般的である。ただし,例えば,精度を求めない場合や,より高機能なシステムにより速度を落とさなくても精度が達成できる場合などには,制限値の設定と最小値選択部8hを省略しても良い。
【0047】
最小値選択部8hは,最大値選択部8fの出力値とブーム上げPi圧制限値のうち小さい方(MIN値)を出力する。
【0048】
第1切替部8iは,切替スイッチ30がON位置に在る場合に最小値選択部8hの出力を出力し,切替スイッチ30がOFF位置に在る場合にはブームPi圧を出力する。
レートリミット部8jは,第1切換部8iの出力に対して,Pi圧補正レート演算部4cから出力されるブームPi圧補正レートで規定されるレートリミットをかけて出力する。すなわち,第1切換部8iから出力される制御信号(ブームPi圧,ブームPi圧制限値及びブーム上げPi圧制限値のいずれか1つ)に対して,その制御信号の時間変化率を所定の変化率であるブームPi圧補正レートに制限し,その制限後の制御信号を出力する。
【0049】
第2切替部8kは,Flip−Flop部8eからの出力がFALSEの場合に第1切替器8iの出力を出力し,Flip−Flop部8eからの出力がTRUEの場合にはレートリミット部8jの出力を出力する。第2切替部8kの出力は補正Pi圧(補正ブームPi圧)として補正Pi圧演算部3aから外部へ出力される。
【0050】
図8のように構成されたブームPi圧補正部4dのロジックにより以下の機能が実現される。
(1−1)切替スイッチ30がOFF位置からON位置に切り替えられた場合,第1切換部8iは図8中のONの位置に切り替えられて最小値選択部8hの出力(すなわち,ブームPi圧,ブームPi圧制限値及びブーム上げPi圧制限値のいずれか1つ)を出力する。また,このとき,SET値が1でRESET値が0となるのでFlip−Flop部8eはTRUEを出力し,これにより第2切換部が図8中のTRUEの位置に切り替えられ,最小値選択部8hからの出力にブームPi圧補正レートで制限をかけた値が補正ブームPi圧として出力される。これによりブーム操作中に切替スイッチ30をON位置に切り替えても,補正ブームPi圧が急峻に変動することがなくなるため,ブームシリンダ32aの速度変化も急峻に変動することがなくなる。
【0051】
(1−2)切替スイッチ30がON位置からOFF位置に切り替えられた場合,第1切換部8iは図8中のOFFの位置に切り替えられてブームPi圧を出力する。また,このとき,SET値が1でRESET値が0となるのでFlip−Flop部8eはTRUEを出力し,これにより第2切換部が図8中のTRUEの位置に切り替えられ,ブームPi圧にブームPi圧補正レートで制限をかけた値が補正ブームPi圧として出力される。これによりブーム操作中に切替スイッチ30をOFF位置に切り替えても,補正ブームPi圧が急峻に変動することがなくなるため,ブームシリンダ32aの速度変化も急峻に変動することがなくなる。
【0052】
(2)切替スイッチ30の切替後しばらく経過してブームPi圧とブームPi圧制限値の差が一定値(=Z)以下になった場合に補正ブームPi圧はブームPi圧補正レートをかけない値となる。これにより,切替スイッチ30の切り替え直後のみレートリミットが効くことになり,ブーム操作のレスポンスが悪いままとなることを防ぐことができる。
【0053】
次に,図9を用いてアーム406(アームシリンダ32b(第2油圧アクチュエータ))のクラウド操作用の補正Pi圧の演算について説明する。実現したいことはブームとほぼ同じであるが,ブームの時と同様に精度向上のためにアームクラウドPi圧制限値を設定している。ここでは,操作レバー26が発生したアームクラウドPi圧を「第3制御信号」と,アームクラウドPi圧制限値記憶部9gに記憶されたアームクラウドPi圧制限値を「第4制御信号」と称することがある。図9のアームクラウドPi圧補正部4dは,切り替わり検出部9aと,減算部9bと,絶対値演算部9cと,比較部9dと,Flip−Flop部9eと,アームクラウドPi圧制限値記憶部9gと,最小値選択部9hと,第1切換部9iと,レートリミット部9jと,第2切換部9kを備えている。
【0054】
切り替わり検出部9aには,切替スイッチ30の切替位置が入力されており,一方の切替位置から他方の切替位置への変更が検出された場合,Flip−Flop部9eにSET値として1を出力する。他方,切替位置の変更が検出されない場合には,Flip−Flop部9eにSET値として0を出力する。
【0055】
減算部9bは,アームクラウドPi圧制限値記憶部9gに記憶されたアームクラウドPi圧制限値(第4制御信号)から,操作レバー26が発生したアームクラウドPi圧(第3制御信号)を減じた値を出力する。絶対値演算部9cは,減算部9bの出力(アームクラウドPi圧とアームクラウドPi圧制限値の差)の絶対値を出力する。比較部9dは,絶対値演算部9cの出力値(アームクラウドPi圧とアームクラウドPi圧制限値の差の絶対値)と所定値Zの比較を行い,絶対値演算部9cの出力値が所定値Z以下の場合にFlip−Flop部9eにRESET値として1を出力する。他方,絶対値演算部9cの出力値が所定値Zより大きい場合には,Flip−Flop部9eにRESET値として0を出力する。例えば,所定値Zは0.5[MPa]以下の値に設定することが好ましい。
【0056】
Flip−Flop部9eは,SET値とRESET値の双方が1の場合はFALSE(0)を出力し,SET値が1でRESET値が0の場合はTRUE(1)を出力し,SET値が0でRESET値が1の場合はFALSE(0)を出力し,SET値とRESET値の双方が0の場合は直前と同じ値を出力する。
【0057】
アームクラウドPi圧制限値記憶部9gには,操作レバー26の操作量が最大時(いわゆるフルレバー時)のPi圧よりも小さい任意の値に設定されたアームクラウドPi圧制限値が記憶されている。この制限値の設定は,MCの精度を確保するためにアクチュエータ速度を落とすことを目的としており,ハーフレバー時のPi圧程度に設定することが一般的である。ただし,例えば,精度を求めない場合や,より高機能なシステムにより速度を落とさなくても精度が達成できる場合などには,制限値の設定と最小値選択部9hを省略しても良い。すなわち,アームクラウドPi圧補正部は省略可能である。
【0058】
最小値選択部9hは,アームクラウドPi圧とアームクラウドPi圧制限値のうち小さい方(MIN値)を出力する。
【0059】
第1切替部9iは,切替スイッチ30がON位置に在る場合に最小値選択部9hの出力を出力し,切替スイッチ30がOFF位置に在る場合にはアームクラウドPi圧を出力する。
レートリミット部9jは,第1切換部9iの出力に対して,Pi圧補正レート演算部4cから出力されるアームクラウドPi圧補正レートで規定されるレートリミットをかけて出力する。すなわち,第1切換部9iから出力される制御信号(アームクラウドPi圧とアームクラウドPi圧制限値のいずれか1つ)に対して,その制御信号の時間変化率を所定の変化率であるアームクラウドPi圧補正レートに制限し,その制限後の制御信号を出力する。
【0060】
第2切替部9kは,Flip−Flop部9eからの出力がFALSEの場合に第1切替器9iの出力を出力し,Flip−Flop部9eからの出力がTRUEの場合にはレートリミット部9jの出力を出力する。第2切替部9kの出力は補正Pi圧(補正アームクラウドPi圧)として補正Pi圧演算部3aから外部へ出力される。
【0061】
なお,説明は省略するが,上記以外のアームダンプ,バケットクラウド,バケットダンプ,左旋回,右旋回についても正の値をとるPi圧として,図9と同様のロジックで補正を行うことができる。
【0062】
<2.1.4.Pi圧補正レート演算部4c>
Pi圧補正レート演算部4cでは,目標施工面距離演算部4aで算出した目標施工面距離Dと図7のテーブルに基づいて,Pi圧補正部4dのレートリミット部(例えば,図8の“8j”や図9の“9j”)で利用されるPi圧補正レート[MPa/sec]を計算する。このPi圧補正レートが切替スイッチ30の切り替え時に効くことによってアクチュエータ速度の急峻な変動が緩和される。
【0063】
Pi圧補正レートの計算は,バケット先端の速度ベクトルにおける目標施工面60に垂直な成分の方向と目標施工面距離Dに基づく。具体的には,バケット先端が目標施工面60に近付く場合は接近方向のPi圧補正レート演算テーブル7a(図7参照)を使用し,バケット先端が目標施工面60から離れる方向の時は離反方向のPi圧補正レート演算テーブル7b(図7参照)を使用する。すなわち,本実施形態では,バケット先端が目標施工面60に近づく場合と離れる場合とで使用するテーブルを変えてPi圧補正レートを異ならせている。このようにテーブルを使い分ける理由は,バケット先端が目標施工面60に接近する方向に動作している場合にはバケット407が目標施工面60の下方に侵入するおそれがあるためである。
【0064】
離反方向のテーブル7bでは,Pi圧補正レートは目標施工面距離Dに係わらず一定値に設定されている。一方,接近方向のテーブル7aでは,目標施工面距離Dがx2を超える範囲ではPi圧補正レートは離反方向のテーブルと同じ値に設定されており,その値は全範囲における最小値になっている。また,目標施工面距離Dがx1以上かつx2以下の範囲では目標施工面距離Dが減少するにつれてPi圧補正レートは単調増加するように設定されている。さらに,目標施工面距離Dがx1未満の範囲ではPi圧補正レートは再び一定の値y1に設定されており,その値は全範囲における最大値になっている。x2は図6のd1以下の値に設定することが好ましい。
【0065】
接近方向の場合にPi圧補正レートの変動をなだらかにしすぎると目標施工面60の下方にバケット407が侵入してしまうため,接近方向のPi圧補正レート演算テーブル7aに基づいて目標施工面距離Dがx2からx1に減少するにつれて単調増加するようにPi圧補正レートを設定することで,バケット407が目標施工面60の下方に侵入してしまうことを防止している。逆に,離れる方向のときはそのような心配はないため,アクチュエータ速度の急変を防止するためにレートを小さい値に固定した離反方向のPi圧補正レート演算テーブル7bを用いる。
【0066】
ちなみに,接近方向のPi圧補正レート演算テーブル7aにおけるy1の値は,バケット先端が目標施工面60に侵入しないために十分な値を設定することとする。したがってx1の値は,製品に要求される半自動制御の精度に基づいて決定するとよい(例えば,要求精度が目標面に対して±100[mm]であれば,x1=100[mm])。なお,この2つのPi圧補正レート演算テーブル7a,7bはそれぞれ同様な振る舞いをするものであれば,アクチュエータごとに異なる定義をしても良い。
【0067】
<2.2.アクチュエータ目標出力演算部3b>
図10はアクチュエータ目標出力演算部3bの詳細図である。アクチュエータ目標出力演算部3bは,最大出力演算部10aと,旋回基本出力演算部10bと,ブーム基本出力演算部10cと,アーム基本出力演算部10dと,バケット基本出力演算部10eと,旋回ブーム出力配分演算部10fと,アームバケット配分出力演算部10gとを有し,油圧シリンダ32a,32b,32c及び旋回油圧モータ28の目標出力を算出する。
【0068】
図11は最大出力演算部10aの詳細図である。最大出力演算部10aは,ECU22からエンジン目標回転数を入力する。最大出力演算部10aは,エンジン目標回転数をエンジン回転数最大トルクテーブル11aに入力して得られる最大トルクとエンジン目標回転数の積に出力の次元に変換する係数をGain部11bで作用させ,補機(油圧ショベルに搭載されるエアコン,ラジオなど)の消費出力を引いたものにさらにEff部11cで効率を乗じることでアクチュエータの最大出力を算出する。Eff部11cで利用する「効率」は,油圧ポンプ23に入力された出力がアクチュエータの仕事に変換される効率の典型的な値から決定することができるが,より詳細にはエンジン出力を入力とする効率テーブルで決定することもできる。以上の演算により,アクチュエータの合計最大出力が算出される。
【0069】
図12は旋回基本出力演算部10bの詳細図である。旋回基本出力演算部10bは,圧力センサ41から取得した旋回体402の右旋回Pi圧(右旋回操作量)及び左旋回Pi圧(左旋回操作量),速度センサ43から取得した旋回体402の旋回速度を入力し,旋回単独操作である時の目標出力である旋回基本出力を算出する。まず,左右の旋回Pi圧の最大値を旋回最大基本出力テーブル12aに入力して旋回最大基本出力を決定する。このテーブルは旋回Pi圧の増加に対して旋回最大基本出力が単調増加するように設定されている。次に,旋回速度を旋回出力減少ゲインテーブル12bに入力して出力減少ゲインを決定し,これと旋回最大基本出力との積をとることで旋回基本出力を決定する。旋回出力減少ゲインテーブル12bは,旋回速度の増加に対して出力減少ゲインが単調減少するように設定しているが,これは,旋回は動き始めに一番出力が必要で,動き始めてからは徐々に必要な出力が減少するからである。したがって,旋回操作感がスムーズになるよう,チューニングを行っておくことが好ましい。
【0070】
図13はブーム基本出力演算部10cの詳細図である。ブーム基本出力演算部10cは,ブーム上げPi圧(ブーム上げ操作量)と,ブーム下げPi圧(ブーム下げ操作量)を入力し,ブーム基本出力を算出する。ブーム上げPi圧とブーム下げPi圧はそれぞれ専用のブーム上げ基本出力テーブル13aとブーム下げ基本出力テーブル13bに入力してブーム上げ基本出力とブーム下げ基本出力に変換し,両者のうち大きい方の値をブーム基本出力とする。旋回の場合と同様,Pi圧(操作量)の増加に対して基本出力が単調増加するように設定してあり,各基本出力は単独動作の時に必要な出力を示す。
【0071】
アーム基本出力演算部10dとバケット基本出力演算部10eは,ブーム基本出力演算部10cと同様の計算をしてそれぞれの基本出力を決定する。両演算部10d,10eの演算は,図13中の「ブーム」という文字を「アーム」又は「バケット」と読み替えたものに相当するため説明は省略する。
【0072】
図14は旋回ブーム出力配分演算部10fの詳細図である。旋回ブーム出力配分演算部10fは,最大出力演算部10aで算出した最大出力と,4つの基本出力演算部10b,10c,10d,10eで算出した旋回基本出力,ブーム基本出力,アーム基本出力及びバケット基本出力を入力として,旋回目標出力とブーム目標出力を算出する。
【0073】
まず,旋回ブーム出力配分演算部10fは,アーム基本出力とバケット基本出力の合計値をアームバケット配分出力テーブル14aに入力して,アームバケット配分出力を算出する。アームバケット配分出力テーブル14aも入力である基本出力の増加に対して出力が単調増加するように設定するが,出力は入力よりも常に小さい値とする。これは,本実施形態のシステムではブームと旋回の出力をアームとバケットの出力よりも優先するため,これらが同時に操作された場合に,予めアームとバケットのためにある程度出力を確保しておく,という意図に基づく。
【0074】
次に,旋回ブーム出力配分演算部10fは,旋回基本出力とブーム基本出力の合計に対する旋回基本出力の比を旋回比率演算部14bで算出し,旋回基本出力とブーム基本出力の合計に対するブーム基本出力の比をブーム比率演算部14cで算出する。そして,最大出力演算部10aから入力される最大出力から,テーブル14aの出力であるアームバケット配分出力を引く。その結果得られる値と旋回基本出力のうち小さい方を,比率演算部14b,14cで算出した比に基づいて旋回とブームに配分して,旋回目標出力とブーム目標出力を決定する。
【0075】
図15はアームバケット配分出力演算部10gの詳細図である。アームバケット配分出力演算部10gは,最大出力演算部10aで算出した最大出力と,旋回ブーム出力配分演算部10fで算出した旋回目標出力及びブーム目標出力と,アーム基本出力演算部10dで算出したアーム基本出力,バケット基本出力演算部10eで算出したバケット基本出力を入力して,アーム目標出力とバケット目標出力を算出する。
【0076】
アームバケット配分出力演算部10gは,アーム基本出力とバケット基本出力の合計に対するアーム基本出力の比をアーム比率演算部15bで算出し,アーム基本出力とバケット基本出力の合計に対するバケット基本出力の比をバケット比率演算部15cで算出する。そして,最大出力から旋回目標出力とブーム目標出力の合計値を引き,その結果得られる値とアーム基本出力のうち小さい方を,比率演算部15b,15cで算出した比に基づいてアームとバケットに配分し,アーム目標出力とバケット目標出力を決定する。
【0077】
<2.3.エンジン出力指令演算部3c>
エンジン出力指令演算部3cでは,アクチュエータ目標出力演算部3bで算出した各アクチュエータの目標出力の合計値を典型的なポンプ効率(たとえば,0.85)で除算し,さらに典型的な補機負荷(数kW)を加えることで,目標動作に必要なエンジン出力を算出し,それをエンジン出力指令として出力する。
【0078】
<2.4.比例電磁弁指令電圧演算部3d>
比例電磁弁指令電圧演算部3d(図3参照)は,補正Pi演算部3aで算出した補正Pi圧から比例電磁弁への指令値を決定し,油圧アクチュエータ32a,32b,32c,33のPi圧を増圧しフロント作業装置400の動作を補正する。比例電磁弁指令電圧演算部3dは,油圧アクチュエータに対応する比例電磁弁27がどの程度電圧をかければ目標とするPi圧を得られる開口となるかの特性マップを保持しており,その特性マップに基づいて比例電磁弁27の指令値を算出する。
【0079】
<3.動作>
次に上記のように構成される油圧ショベルにおいてブーム操作中に切替スイッチ30を操作してMCのON/OFFを切り替えた場合の動作について説明する。
【0080】
3.1.バケット先端が目標施工面60から遠ざかるようなブームPi圧で駆動している場合(典型的にはブーム上げの場合でブームPi圧は正)のMC切り替え
(3.1.1)MCがOFFからONに切り替えられた場合
この場合,ブーム動作はMCで補正する必要が無いので,ブームPi圧制限値演算部4bによりブームPi圧制限値は0[Mpa]と算出される。この状態で切替スイッチ30によりMCがOFFからONに切り替わった場合,その瞬間は第1切換部8iがON側に,第2切換部8kがTRUE側に切り替わるので,出力である補正ブームPi圧はブームPi圧(第1制御信号)とブーム上げPi圧制限値のMIN値にレートリミット(ブームPi圧補正レート)をかけた値となる。その後,レバー操作を中断してブームPi圧が0[MPa]近くになると,ブームPi圧≒ブームPi圧制限値となるのでFlip−Flop部8eにRESET値として1が入る。これにより,第2切換部8kがFALSE側に切り替わりレートリミットが効かなくなり,それ以後は通常のMCが実施される。
【0081】
(3.1.2)MCがONからOFFに切り替えられた場合
上記の(1)の場合と同様に,ブームPi圧制限値は0[MPa]と算出される。切替スイッチ30によりMCがOFFからONに切り替わった場合,その瞬間は第1切換部8iがOFF側に,第2切換部8kがTRUE側になるので,出力である補正ブームPi圧はブームPi圧(第1制御信号)にレートリミット(ブームPi圧補正レート)をかけた値となる。その後,レバー操作を中断してブームPi圧が0[MPa]になると,第2切換部8kがFALSE側に切り替わりレートリミットが効かなくなり,それ以後は通常制御(非MC)でフロント動作が行われる。
【0082】
3.2.バケット先端が目標施工面60に近づくようなブームPi圧で駆動している場合(典型的にはブーム下げの場合でブームPi圧は負)のMC切り替え
(3.2.1)MCがOFFからONに切り替えられた場合
この場合のMCはバケット先端の下げ速度を落とすためにブーム上げを入れようとし,ブームPi圧制限値は正の値となる。したがって,MCがONの時は,ブームPi圧制限値>ブームPi圧となる。切替スイッチ30によりMCがONに切り替わった瞬間は第1切換部8iがON側に,第2切換部8kがTRUE側に切り替えられるので,出力である補正ブームPi圧はブームPi圧制限値とブーム上げPi圧制限値のMIN値にレートリミット(ブームPi圧補正レート)をかけた値となる。ブームPi圧の値がブームPi圧制限値とほぼ等しくなると,FlipFlop部8eにRESET値として1が入力される。これにより第2切換部8kがFALSE側に切り替わってレートリミットが効かなくなり,それ以後は通常のMCが実施される。
【0083】
(3.2.2)MCがONからOFFに切り替えられた場合
この場合もMCがONの時は,ブームPi圧制限値>ブームPi圧の状態となる。切替スイッチ30によりMCがOFFに切り替わった瞬間は第1切換部8iがOFF側に,第2切換部8kがTRUE側になるので,出力である補正ブームPi圧はブームPi圧にレートリミット(ブームPi圧補正レート)をかけた値となる。レバー操作を中断してブームPi圧が0[MPa]になると,第2切換部8kがFALSE側に切り替わってレートリミッタが効かなくなり,それ以後は通常制御(非MC)でフロント動作を行うことができる。
【0084】
<4.効果>
以上で説明した本実施の形態によれば,以下のような作用効果を得ることができる。
(1)上記の実施形態では,レートリミット部8j,9jを設けることで,切替スイッチ30によりMCのON/OFFが切り替わるときに切り替わり前後の補正Pi圧の時間変化量を制限する制御をコントローラ20の制御として加えた。これにより,作業装置400を動作させながらMCのON/OFFを切り替えた場合でもアクチュエータ速度が急変動しなくなり,従来技術では作業装置400を動作させながらMCのON/OFFを切り替えができないというオペレータの操作ストレスを解消することが可能となった。
【0085】
(2)上記の実施形態では,バケット先端が目標施工面60に近づく場合にはPi圧補正レート演算部4cがテーブル7a(図7参照)を利用してPi圧補正レートを算出するようにしたことで,バケット先端が目標施工面60に近づくにつれてMCのON/OFF切り替わりの際のPi圧の時間変化量の制限を緩和する制御をコントローラ20の制御に加えた。これにより,バケット先端が目標施工面60に接近している場合はPi圧の時間変化量の制限が緩和されるので,アクチュエータのMC対応が遅れてバケット先端が目標施工面60に侵入することを防ぐことが可能となった。
【0086】
(3)上記の実施形態では,操作レバー26が中立位置にあるときはブームPi圧とブームPi圧制限値がともにゼロでFlip−Flop部8eにRESET値として1が入力されるようにしたことで,MCのON/OFF切り替わりの際,操作レバー26が中立にあるときPi圧の時間変化量の制限を行わない制御をコントローラ20の制御に加えた。これにより,操作レバー26が中立にあるときはPi圧の時間変化量の制限が行われず従来通りの動作となるので,オペレータに操作ストレスを与えることがない。
【0087】
(4)上記の実施形態では,最小値選択部8h,9hを設けて制限値記憶部8g,9gに設定した制限値以下のPi圧が必ず第1切換部8i,9iに出力されるように構成したことで,MCがONのときは,油圧シリンダ32a,32bの速度をMCがOFFの時の最大速度よりも小さく制限する制御をコントローラ20の制御に加えた。これによりMCによってより精度よく目標施工面60の掘削を実現できる。
【0088】
<5.その他>
なお,本発明は,上記の実施の形態に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲内の様々な変形例が含まれる。例えば,本発明は,上記の実施の形態で説明した全ての構成を備えるものに限定されず,その構成の一部を削除したものも含まれる。また,ある実施の形態に係る構成の一部を,他の実施の形態に係る構成に追加又は置換することが可能である。
【0089】
上記では各アクチュエータの制御信号が油圧制御信号(Pi圧)の場合を例に挙げて説明したが,制御信号は油圧信号に限られず電気信号でも良い。
【0090】
また,上記では,ブームPi圧制限値演算部4bでの制限値V1’yの算出について説明する箇所において,バケット爪先から目標施工面60までの距離を距離Dとすることとしたが,フロント作業装置400側の基準点(制御点)はバケット爪先に限らず,フロント作業装置400上の任意の点に設定できる。
【0091】
また,上記では,油圧ショベルに搭載された複数の油圧アクチュエータ28,33,32a,32b,32cの中で,ブームシリンダ32aを自動的に作動させる場合について説明したが,その他の油圧アクチュエータを自動的に作動させても構わない。
【符号の説明】
【0092】
3a…補正Pi圧演算部,3b…アクチュエータ目標出力演算部,3c…エンジン出力指令演算部,3d…比例電磁弁指令電圧演算部,4a…目標施工面距離演算部,4b…ブームPi圧制限値演算部(第2制御信号演算部),4c…Pi圧補正レート演算部,4d…Pi圧補正部,8a…切り替わり検出部,8b…減算部,8c…絶対値演算部,8d…比較部,8e…Flip−Flop部,8f…最大値選択部,8g…ブーム上げPi圧制限値記憶部,8h…最小値選択部,8i…第1切換部(制御信号切換部),8j…レートリミット部,8k…第2切換部,9a…切り替わり検出部,9b…減算部,9c…絶対値演算部,9d…比較部,9e…Flip−Flop部,9g…アームクラウドPi圧制限値記憶部,9h…最小値選択部,9i…第1切換部(制御信号切換部),9j…レートリミット部,9k…第2切換部,20…コントローラ,21…エンジン,22…エンジンコントロールユニット(ECU),23…油圧ポンプ,24…ギヤポンプ,25…コントロールバルブ,26…操作レバー,27…比例電磁弁,28…旋回油圧モータ,30…マシンコントロールON/OFF切替スイッチ(切替装置),33…走行油圧モータ,32a…ブームシリンダ(第1油圧アクチュエータ),32b…アームシリンダ(第2油圧アクチュエータ),32c…バケットシリンダ,36…ブーム角センサ,37…アーム角センサ,38…バケット角センサ,39…車体傾斜角センサ,40…GNNSアンテナ,41…パイロット圧の圧力センサ,42…各アクチュエータの圧力センサ,43…各アクチュエータの速度センサ,50…目標施工面設定装置,51…エンジンコントロールダイヤル,400…フロント作業装置(作業装置),401…走行体,402…旋回体,403…運転席,405…ブーム,406…アーム,407…バケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16