特許第6966410号(P6966410)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6966410フレキシブルプリント配線板及びそれを用いた薄型通信デバイス並びに薄型通信デバイスからフレキシブルプリント配線板を再利用する方法。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6966410
(24)【登録日】2021年10月25日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】フレキシブルプリント配線板及びそれを用いた薄型通信デバイス並びに薄型通信デバイスからフレキシブルプリント配線板を再利用する方法。
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20211108BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20211108BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20211108BHJP
【FI】
   H05K1/02 G
   H05K3/34 501D
   H01M50/284
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-202884(P2018-202884)
(22)【出願日】2018年10月29日
(65)【公開番号】特開2020-72117(P2020-72117A)
(43)【公開日】2020年5月7日
【審査請求日】2019年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】502291610
【氏名又は名称】神田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230116447
【弁護士】
【氏名又は名称】野中 啓孝
(72)【発明者】
【氏名】玉水 陽規
(72)【発明者】
【氏名】中野 俊
(72)【発明者】
【氏名】菊池 匡斉
【審査官】 小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−112297(JP,A)
【文献】 特開2006−013007(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0035301(US,A1)
【文献】 特開2001−177225(JP,A)
【文献】 特開平02−291671(JP,A)
【文献】 特開2010−225846(JP,A)
【文献】 特表2017−503177(JP,A)
【文献】 国際公開第2018/092484(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/00− 1/02
H05K 3/32− 3/34
H01M 50/20−50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラミネート型電池と一体となって使用される略長方形のフレキシブルプリント配線板であって、
前記フレキシブルプリント配線板上に、前記ラミネート型電池と電気的に接続するための電極端子が複数個存在し、前記電極端子が長辺方向に沿う方向に並んでおり、かつ、前記電極端子の一部を切り離した場合に、前記電極端子の残部のいずれかが、電極端子としての機能を有することを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
【請求項2】
ラミネート型電池と一体となった状態において、前記ラミネート型電池が接続されている電極端子とは別に、未使用の電極端子が存在することを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項3】
ラミネート型電池と一体となって使用されるフレキシブルプリント配線板であって、
前記フレキシブルプリント配線板上に、前記ラミネート型電池と電気的に接続するための電極端子が存在し、かつ、前記電極端子が前記ラミネート型電池との電気的接続に必要な面積に対して余剰に大きく設計されていることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
【請求項4】
前記電極端子が、集積回路から遠ざかる方向に延在されていることを特徴とする請求項に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項5】
ラミネート型電池と一体となった状態において、前記ラミネート型電池が接続されている電極端子とは別に、未使用の電極端子領域が存在することを特徴とする請求項又はに記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項6】
前記ラミネート型電池が、一次電池であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント配線板を用いた薄型通信デバイス。
【請求項8】
ラミネート型電池と一体となって使用されるフレキシブルプリント配線板であって、
前記フレキシブルプリント配線板上に、前記ラミネート型電池と電気的に接続するための電極端子が複数個存在し、かつ、前記電極端子の一部を切り離した場合に、前記電極端子の残部のいずれかが、電極端子としての機能を有することを特徴とするフレキシブルプリント配線板を用いた薄型通信デバイス。
【請求項9】
請求項7、8記載の薄型通信デバイスに使用されている前記フレキシブルプリント配線板を、以下の(1)〜(3)の工程を含む工程によって再利用する方法。
(1)請求項7、8記載の薄型通信デバイスに使用されているフレキシブルプリント配線板を取り出す工程。
(2)前記フレキシブルプリント配線板と前記ラミネート型電池とを切り離す工程。
(3)別のラミネート型電池を前記電極端子の残部に電気的に接続する工程。
【請求項10】
請求項9記載の方法により再利用されたフレキシブルプリント配線板を用いた薄型通信デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再利用可能なフレキシブルプリント配線板及びそれを用いた薄型通信デバイス並びに薄型通信デバイスからフレキシブルプリント配線板を再利用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信デバイスを薄型化してフィルムやカードなどに搭載することが求められている。この技術により、例えば、ブルートゥース(登録商標)(近距離無線通信)技術を用いたビーコンをカードに搭載し、このカードをポスターの裏側に貼り付けると、近くを通る人のスマートフォンを介してポスターに関連する情報を通知することが可能となる。
【0003】
通信デバイスを薄型化するに当たっては、回路については薄さに特徴のあるフレキシブルプリント配線板が用いられ、電池については同じく薄さに特徴のあるラミネート型電池が用いられることが多い。
【0004】
ここで、ラミネート型電池としては、使い切りタイプの一次電池と充電して繰り返し使える二次電池が知られている。通信デバイスを薄型化するためには、構造がよりシンプルで小型化・薄型化しやすい一次電池の方が適しているが、二次電池であっても用途によっては十分機能する場合がある。
【0005】
他方、通信デバイスとしては、上述の情報通知のためのカード型ビーコンだけではなく、加速度センサを搭載してウエアラブル機器として人間に貼り付け、その人間の動きに関する情報を外部に発信したりするなど、より高度な機能の搭載が求められることもあり、それに従ってフレキシブルプリント配線板の集積回路部分がより高価になる傾向になっている。
【0006】
このような事情から、電池が切れた後(一次電池については放電した後、二次電池については充放電を繰り返して寿命が尽きた後)、薄型通信デバイスを回収してラミネート型電池と一体化したフレキシブルプリント配線板を取り出し、フレキシブルプリント配線板を新しいラミネート型電池と接合することによって、フレキシブルプリント配線板を再利用することが求められている。
【0007】
なお、従来技術としては、特許文献1、2に示すように、集積回路を再利用するということ自体は知られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013−172068号公報
【特許文献2】特開2006−351765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ラミネート型電池は、通常異方導電性フィルム(ACF)等によってフレキシブルプリント配線板と接合されていることから、フレキシブルプリント配線板を再利用しようとしても、剥離の際にフレキシブルプリント配線板に応力がかかって変形をもたらしたり、電極端子上に接着剤の残滓が付着して洗浄に作業工数がかかったりするなどの問題があった。
【0010】
そこで本発明は、上記の課題を克服し、薄型化されたラミネート型電池と接続されたフレキシブルプリント配線板において、電池が切れた後に、集積回路としての機能を損なうことなく、かつ、簡便な方法で再利用することのできるフレキシブルプリント配線板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のフレキシブルプリント配線板は、ラミネート型電池と一体となって使用されるフレキシブルプリント配線板であって、前記フレキシブルプリント配線板上に、前記ラミネート型電池と電気的に接続するための電極端子が複数個存在し、かつ、前記電極端子の一部を切り離した場合に、前記電極端子の残部のいずれかが、電極端子としての機能を有することを第1の特徴とする。
【0012】
本発明のフレキシブルプリント配線板は、上記第1の特徴に加えて、前記電極端子が、集積回路から遠ざかる方向に設置されていることを第2の特徴とする。
【0013】
本発明のフレキシブルプリント配線板は、上記第1又は第2の特徴に加えて、前記フレキシブルプリント配線板が略長方形であり、前記電極端子が長辺方向に沿う方向に並んでいることを第3の特徴とする。
【0014】
本発明のフレキシブルプリント配線板は、上記第1〜第3のいずれか一つの特徴に加えて、前記ラミネート型電池と一体となった状態において、前記ラミネート型電池が接続されている電極端子とは別に、未使用の電極端子が存在することを第4の特徴とする。
【0015】
本発明のフレキシブルプリント配線板は、ラミネート型電池と一体となって使用されるフレキシブルプリント配線板であって、前記フレキシブルプリント配線板上に、前記ラミネート型電池と電気的に接続するための電極端子が存在し、かつ、前記電極端子が前記ラミネート型電池との電気的接続に必要な面積に対して余剰に大きく設計されていることを第5の特徴とする。
【0016】
本発明のフレキシブルプリント配線板は、上記第5の特徴に加えて、前記電極端子が、集積回路から遠ざかる方向に延在されていることを第6の特徴とする。
【0017】
本発明のフレキシブルプリント配線板は、上記第5又は第6の特徴に加えて、前記ラミネート型電池と一体となった状態において、前記ラミネート型電池が接続されている電極端子とは別に、未使用の電極端子領域が存在することを第7の特徴とする。
【0018】
本発明のフレキシブルプリント配線板は、上記第1〜第7のいずれかの特徴に加えて、前記ラミネート型電池が、一次電池であることを第8の特徴とする。
【0019】
本発明の薄型通信デバイスは、上記第1〜第8のいずれかの特徴を有するフレキシブルプリント配線板を用いたことを第1の特徴とする。
【0020】
本発明の再利用方法は、以下の(1)〜(3)の工程を含む工程によって再利用することを特徴とする。
(1)上記第1の特徴を有する薄型通信デバイスに使用されているフレキシブルプリント配線板を取り出す工程。
(2)前記フレキシブルプリント配線板と前記ラミネート型電池とを切り離す工程。
(3)別のラミネート型電池を前記電極端子の残部に電気的に接続する工程。
【0021】
本発明の薄型通信デバイスは、上記特徴を有する再利用方法により再利用されたフレキシブルプリント配線板を用いたことを第2の特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明のフレキシブルプリント配線板によれば、薄型化されラミネート型電池と一体化した状態で使用され電池が切れた後であっても、集積回路としての機能を損なうことなく、かつ、簡便な方法で再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態(1)に係るフレキシブルプリント配線板を示す図である。
図2】本発明の実施形態(2)に係るフレキシブルプリント配線板を示す図である。
図3】本発明の実施形態(3)に係るフレキシブルプリント配線板を示す図である。
図4】本発明の実施形態(4)に係るフレキシブルプリント配線板を示す図である。
図5】本発明の実施形態(5)に係るフレキシブルプリント配線板を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板とラミネート型電池との電気的接合の様子を表す図で、(a)は、ラミネート型電池が本発明の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板に接合される前の状態を表す図、(b)は、接合後を表す図である。
図7】本発明の実施形態に係る再利用方法(1)を示す図(1)で、(a)は、本発明の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板とラミネート型電池とが接合されている状態で切断ラインを示した図、(b)は、切断後を表す図である。
図8】本発明の実施形態に係る再利用方法(1)を示す図(2)であり、(a)は、図7の切断後のフレキシブルプリント配線板の残部と新しいラミネート型電池とが接合される前の状態を表す図、(b)は、接合後を表す図である。
図9】本発明の実施形態に係る別の再利用方法(2)を示す図(1)であり、(a)は、図7の切断後のフレキシブルプリント配線板の残部と電極端子増設用フレキシブルプリント配線板とを接合する前の状態を表す図、(b)は、接合状況を表す斜視図、(c)は、接合後を表す図である。
図10】本発明の実施形態に係る別の再利用方法(2)を示す図(2)であり、(d)は、図9(c)で製造したフレキシブルプリント配線板とラミネート型電池とを接合する前の状態の図、(e)は、接合後を表す図であり、更に再利用方法(2)を用いて再利用する際の切断ラインも示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板1及びそれを用いた薄型通信デバイス並びに薄型通信デバイスからフレキシブルプリント配線板を再利用する方法について説明する。しかし、以下の説明は、本発明の実施形態であって、特許請求の範囲に記載の内容を限定するものではない。
【0025】
(本発明の実施形態(1)に係るフレキシブルプリント配線板)
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板1を説明する。
【0026】
フレキシブルプリント配線板1は、集積回路60と、電極端子10、11(図の破線で示したように電極端子のペアをまとめて一つの符号を付している。符号の意味について以下同様とする。)及びそれらを電気的に接続する金属配線90〜92を含んでいる。また、フレキシブルプリント配線板1は、大きく分けて、電極端子領域7と集積回路領域8とからなる。
なお、これらは、あくまでイメージとして図示したものであり、図の詳細部分について、回路としての特別の意味があるわけではない。
【0027】
ラミネート型電池2は、図1には図示していないが、本発明の薄型通信デバイスとして使用される際には、図6図8に示すように、図1の電極端子10、11に接続されることが前提となっている。
【0028】
電極端子10、11は、電池の正極、負極に接続するために、2つの電極端子のペアから成っている。
電極端子10は、金属配線90、92を介して、集積回路60と電気的に接続されている。そして、電極端子11は、金属配線91、92を介して、集積回路60と電気的に接続されている。
図1においては、簡略のため、金属配線90〜92が1本の金属配線であるかのように図示しているが、実際には、一つの電極端子から一本の金属配線が伸びて集積回路60に接続しており、電気的に接続されているものではない。
これにより、電極端子10、11は、そのどちらにラミネート型電池2が接続されても集積回路60に正常に電気を供給できるように設計されている。
【0029】
(本発明の実施形態(2)に係るフレキシブルプリント配線板)
次に、図2を参照して、本発明の別の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板1を説明する。
【0030】
図2では、金属配線90〜92の設計が図1とは異なる。すなわち、電極端子10、11のそれぞれのペアのうち、図2の下側に表示された方の電極端子は、金属配線90、91と接続されているが、この二本の金属配線は、その後一本の金属配線に統合して集積回路60に接続する。図2の上側に表示された方の電極端子も同様である。このようにすることで、図1の場合と比較して、金属配線の設計をよりシンプルにすることができる。
【0031】
このように、本発明においては、電極端子10、11が、適切に集積回路60に対して電気を供給できれば足り、その設計内容については特に制限されるものではない。
【0032】
(本発明の実施形態(3)に係るフレキシブルプリント配線板)
次に、図3を参照して、本発明の別の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板1を説明する。
【0033】
図3では、電極端子10〜13が設けられている。各電極端子は、それぞれ集積回路60に電気的に接続されている。このように電極端子を多数個設けることも可能であり、その個数に制限はない。薄型通信デバイスのスペースにゆとりがある限り、必要に応じて電極端子を設けることが可能である。
【0034】
図3では、電極端子は、集積回路60から遠ざかる方向に順に設置されている。ラミネート型電池2と接続する際に、遠い方の電極端子(電極端子10)から接続することで、再利用時に古いラミネート型電池2を電極端子10ごと直線的に切り離すことができるので作業が簡単である。切り離し後も、近い方の電極端子(電極端子11〜13)が利用できる状態であり、同様に遠い方の電極端子(電極端子11)から接続することが望ましい。
【0035】
(本発明の実施形態(4)に係るフレキシブルプリント配線板)
次に、図4を参照して、本発明の別の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板1を説明する。
【0036】
図4では、電極端子10、11が設けられている。各電極端子は、集積回路60から概ね等距離に設置されており、それぞれ集積回路60に電気的に接続されている。ラミネート型電池2と接続する際は、どちらの電極端子を利用しても良い。再利用時には、古いラミネート型電池2を接続した電極端子ごと切り離すことができる。
【0037】
図4は、カードタイプの通信デバイスなど、横幅にスペース的な余裕がある場合に特に有効である。
【0038】
(本発明の実施形態(5)に係るフレキシブルプリント配線板)
次に、図5を参照して、本発明の別の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板1を説明する。
【0039】
図5では、大型電極端子20が設けられており、集積回路60に電気的に接続されている。大型電極端子20は、接続部分が余剰に長く設計されているので、このいずれの箇所においても、ラミネート型電池2と接続することができる。
【0040】
図5では、電極端子は、集積回路60から遠ざかる方向に余剰に長く設計されている。ラミネート型電池2と接続する際に、遠い方の電極端子部分から接続することで、再利用時に古いラミネート型電池2を電極端子ごと直線的に切り離すことができるので作業が簡単である。切り離し後も、残った近い方の電極端子部分が利用できる状態であり、同様に遠い方の電極端子部分から接続することが望ましい。
【0041】
(本発明の実施形態(6)に係るフレキシブルプリント配線板)
図示はしないが、フレキシブルプリント配線板の裏面に電極端子を設ける態様についても、本発明の実施形態に含まれる。
【0042】
このように、本発明においては、必ずしも複数個の電極端子が設けられている必要はなく、一個の電極端子でも、余剰の長さがあるなど、実質上複数個の電極端子と同様の機能を果たすものであればよい。
【0043】
(本発明の電極端子)
本発明の電極端子としては、図1〜4のように電極端子のペアを複数個設けてもよいし、図5のように一つの電極端子を余剰に長く設けてもよい。
【0044】
これにより、本発明の電極端子は、ラミネート型電池と一体となって使用される場合であっても、未使用の電極端子又は未使用の電極端子領域があることになる。この未使用の電極端子部分が再利用時に利用されることになる。
【0045】
本発明の電極端子は、金属配線を適切に設計することにより、電極端子の一部を切断する方法により切り離した場合に、電極端子の残部のいずれかが、電極端子としての機能を有することになる。
【0046】
切断方法については、一つの電極端子の一部を切断する場合と、複数個の電極端子のうちの一つの電極端子全体を切断する場合とが考えられる。この機能により、本発明の効果を奏することが可能となる。
【0047】
(薄型通信デバイス)
次に、図6を参照して、本発明の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板1とラミネート型電池2とを電気的に接合する様子を説明する。
【0048】
ここで、用いられるラミネート型電池2としては、市販されている任意の製品を用いることができる。ラミネート型電池には、使い切りタイプの一次電池と充電して繰り返し使える二次電池の2種類が知られているが、本発明においては、いずれの種類も用いることが可能である。一次電池を用いた場合は、小型化しやすいというメリットがある反面、再利用の頻度が増えるというデメリットがある。また、二次電池を用いた場合は、充放電を繰り返すことができるというメリットがある反面、より小型化しにくいというデメリットがある。
【0049】
フレキシブルプリント配線板1に設置する電極端子10、11は、当該ラミネート型電池2の電極と合うように、その大きさや幅などを設計する必要がある(図6(a))。
【0050】
その上で、ラミネート型電池2は、異方導電性フィルム(ACF)又は低温効果型フレキシブル導電性接着剤等、公知の電気的接合手段を用いて、フレキシブルプリント配線板1に電気的に接合される。なお、はんだによる接合は、接合温度(約230℃)が、ラミネート型電池2の耐熱温度を超える場合が多く、好ましくない。上記接合により、ラミネート型電池2は、フレキシブルプリント配線板1とが固定化され、一体となる。図6においては、ラミネート型電池2と、集積回路60から遠い方の電極端子10とを接合している(図6(b))。これにより、ラミネート型電池が接合されたフレキシブルプリント配線板3ができる。
【0051】
本発明の薄型通信デバイスとしては、このラミネート型電池が接合されたフレキシブルプリント配線板3をそのまま使用することのほか、フィルムやカードに格納して使用することができる。フィルムの場合には、粘着性のあるフィルムを用いて、ラミネート型電池が接合されたフレキシブルプリント配線板3を挟み込むようにすることによって製造することができる。また、カードの場合には、ラミネート型電池が接合されたフレキシブルプリント配線板3に対して、ポリエチレンなどの樹脂を流し込むことによって、成型することができる。しかしながら、本発明の薄型通信デバイスはこれらに限られるものではない。
【0052】
本発明の薄型通信デバイスの厚みは、カード又はフィルムとして用いた場合に、1.0mm以下とすることができる。
【0053】
(本発明のフレキシブルプリント配線板の再利用方法(1))
次に、図7を参照して、ラミネート型電池と一体となったフレキシブルプリント配線板3からラミネート型電池を切り離す様子を説明する。
【0054】
ラミネート型電池2は、一次電池であっても二次電池であっても、通信デバイスとして一定量使用すれば、電池としての機能を失う。その際、まずは通信デバイスから、ラミネート型電池と一体となったフレキシブルプリント配線板3を回収することになる。
【0055】
このため、本発明の薄型通信デバイスは、フィルムやカード等の最終製品形態に加工する段階で、予め回収可能な構造にしておく必要がある。すなわち、フィルムの場合には、フィルムを簡単に剥がせる種類のものを選択して中身を取り出しやすくしておく、カードの場合には、中身の両面に薄いシートを被せたまま成型してハサミ等で取り出しやすくしておくなどの工夫が必要である。
【0056】
回収したラミネート型電池と一体となったフレキシブルプリント配線板3は、切断ライン100において、ラミネート型電池を電極端子10ごと切断する方法によって切り離す(図7(a))。このとき、電極端子10に接続されている金属配線も切断されるが、電極端子11を利用する際には不要な金属配線であり、特に問題は生じない。切り離す作業は、ハサミ等の器具を用いて直線的に切断するだけであり、作業としても手間がかからない。
【0057】
切り離した後は、フレキシブルプリント配線板の残部4と、ラミネート型電池とフレキシブルプリント配線板の電極部分の接合体5に分かれる(図7(b))。ラミネート型電池とフレキシブルプリント配線板の電極部分の接合体5は、そのまま破棄することができる。フレキシブルプリント配線板の残部4は、集積回路60と、それに電気的に接続されている電極端子11が残っており、再利用することが可能である。
【0058】
次に、図8に示す通り、フレキシブルプリント配線板の残部4を用いて、別のラミネート型電池2と電極端子11とを電気的に接合することができる。接合方法は、図6で説明したことと同様である。
【0059】
図6〜8を使って説明した通り、本発明の薄型通信デバイスに使用されているフレキシブルプリント配線板1は、集積回路領域8に損傷がなく、かつ、電極端子に残部がある限り、繰り返し再利用することができ再販売に際して価格を低く抑えることが可能となる。また、長期間の使用に備えるために、大容量又は複数の電池を搭載する必要がないので、薄く小さい通信デバイスを提供することができる。
【0060】
(本発明のフレキシブルプリント配線板の別の再利用方法(2))
次に、図9、10を参照して、本発明の薄型通信デバイスに使用されているフレキシブルプリント配線板1の別の再利用方法を説明する。
【0061】
本発明の薄型通信デバイスに使用されているフレキシブルプリント配線板1を何度も再利用したい場合、一般的には、図3又は図5で示したように、予め電極端子を多数個又は余分に長く設けておくことが考えられる。しかしながら、本発明のフレキシブルプリント配線板1においては、電極端子が2個しかない場合(電極端子の大きさの余剰が1個分である場合も含む)あっても、何度も再利用することができる。以下にその方法を説明する。
【0062】
図6、7で図示したように、2個の電極端子を持つフレキシブルプリント配線板1を利用した後、再利用のために、切り離した後のフレキシブルプリント配線板の残部4を得た状況を想定する。
【0063】
その後、電極端子増設用フレキシブルプリント配線板6を準備する(図9(a))。ここには、電極端子増設用電極端子30及び電極端子12が設けられている。電極端子増設用電極端子30は、電極端子増設用フレキシブルプリント配線板6の上面と下面の両方に貫通する電極端子である。このような電極端子は、公知の方法によって製造することが可能である。
【0064】
次に、電極端子増設用フレキシブルプリント配線板6に設けられた電極端子増設用電極端子30の下面側の電極端子を、フレキシブルプリント配線板の残部4に設けられた電極端子11と電気的に接合する(図9(b))。接合方法は上述の通りである。
【0065】
そして、ラミネート型電池2と接合し(図10(c))、電池が切れた場合に、薄型通信用デバイスから回収して、切断ライン100で切断する(図10(d))。電極端子増設用電極端子30には、上面にも電極端子があるので、フレキシブルプリント配線板の残部4を更に再利用することができる。すなわち、別のラミネート型電池2を直接接合しても良いし、再度別の電極端子増設用フレキシブルプリント配線板6を接合した上で別のラミネート型電池2を接合することができる。
【0066】
このように、電極端子増設用電極端子30を積層した厚みが薄型通信デバイスに格納するにあたって許容できる範囲内である限り、何度でもフレキシブルプリント配線板1を再利用することが可能である。
【0067】
このような再利用方法は、薄型通信デバイスに十分なスペースがなく、かつ何度も再利用する必要がある場合に有用である。
【符号の説明】
【0068】
1 フレキシブルプリント配線板
2 ラミネート型電池
3 ラミネート型電池が接合されたフレキシブルプリント配線板
4 フレキシブルプリント配線板の残部
5 ラミネート型電池とフレキシブルプリント配線板の電極部分の接合体
6 電極端子増設用フレキシブルプリント配線板
7 電極端子領域
8 集積回路領域
10〜13 電極端子
20 大型電極端子
30 電極端子増設用電極端子
60 集積回路
90〜92 電極端子を集積回路60と電気的に接続する金属配線
100 切断ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10