(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6966467
(24)【登録日】2021年10月25日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】石膏系パネル
(51)【国際特許分類】
C04B 28/14 20060101AFI20211108BHJP
C04B 24/26 20060101ALI20211108BHJP
C04B 14/42 20060101ALI20211108BHJP
C04B 16/02 20060101ALI20211108BHJP
C04B 14/28 20060101ALI20211108BHJP
B28C 7/04 20060101ALI20211108BHJP
【FI】
C04B28/14
C04B24/26 C
C04B14/42 Z
C04B16/02 Z
C04B14/28
B28C7/04
【請求項の数】15
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-552779(P2018-552779)
(86)(22)【出願日】2017年4月6日
(65)【公表番号】特表2019-510727(P2019-510727A)
(43)【公表日】2019年4月18日
(86)【国際出願番号】GB2017050962
(87)【国際公開番号】WO2017174991
(87)【国際公開日】20171012
【審査請求日】2020年2月21日
(31)【優先権主張番号】1605998.2
(32)【優先日】2016年4月8日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1608968.2
(32)【優先日】2016年5月20日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1609248.8
(32)【優先日】2016年5月25日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518220855
【氏名又は名称】サン−ゴバイン プラコ エスエイエス
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョウンズ、ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】リチャードソン、アダム
(72)【発明者】
【氏名】ライドアウト、ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ブルックス、ローラ
(72)【発明者】
【氏名】スパークス、ジョアンナ
(72)【発明者】
【氏名】ジャラン、デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ジャップ、ニコラ
【審査官】
手島 理
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−536979(JP,A)
【文献】
英国特許出願公告第00870937(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 2/00−32/02
C04B40/00−40/06
B28C 1/00− 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石膏基材を有するパネルであって、該石膏基材は、添加材として
石膏に対して1重量%より多く6重量%より少ない量のガラス繊維と、
前記石膏に対して2.5重量%より多く25重量%以下の量の合成ポリマ製バインダとを含み、
前記石膏基材中に混合された添加材の総重量が、前記石膏基材中の前記石膏の重量よりも小さく、
前記ガラス繊維と前記合成ポリマ製バインダとは、1パーツの前記ガラス繊維に対して少なくとも2パーツの前記合成ポリマ製バインダの重量比で混合されており、
前記石膏基材中に含まれる砂の量は、前記石膏に対して0〜0.5重量%の範囲にあり、
さらに、前記石膏基材中に含まれるセルロース繊維の量は、前記石膏に対して0〜2重量%の範囲にあること
を特徴とするパネル。
【請求項2】
少なくとも一方の面に一つの化粧面が設けられていること
を特徴とする、請求項1に記載のパネル。
【請求項3】
前記ガラス繊維は、前記石膏基材全体に分散していること
を特徴とする、請求項1又は2に記載のパネル。
【請求項4】
前記合成ポリマ製バインダが、ポリ酢酸ビニルであること
を特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項5】
前記石膏基材中に含まれるアクリル樹脂の量は、前記石膏に対して0〜1重量%の範囲にあること
を特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項6】
前記石膏基材中に含まれる炭酸カルシウムの量が、前記石膏に対して0〜1重量%の範囲にあること
を特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項7】
前記合成ポリマ製バインダは、前記石膏に対して、3.5重量%より多く含まれること
を特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項8】
前記合成ポリマ製バインダは、前記石膏に対して、4重量%より多く含まれること
を特徴とする、請求項7に記載のパネル。
【請求項9】
前記合成ポリマ製バインダは、前記石膏に対して、5重量%より多く含まれること
を特徴とする、請求項8に記載のパネル。
【請求項10】
前記ガラス繊維の平均長が3〜10mmの範囲にあること
を特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項11】
前記ガラス繊維の平均直径が5〜50マイクロメートルの範囲にあること、
を特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項12】
前記ガラス繊維及び前記合成ポリマ製バインダが、1パーツのガラス繊維に対して少なくとも3パーツのバインダの重量比で含まれること、
を特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項13】
前記ガラス繊維及び前記合成ポリマ製バインダが、1パーツのガラス繊維に対して少なくとも4パーツのバインダの重量比で含まれること、
を特徴とする、請求項12に記載のパネル。
【請求項14】
前記パネルが、澱粉を含まないか、又は前記合成ポリマ製バインダに対して5重量%未満の量の澱粉を含むこと、
を特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載のパネルの製造方法であって、
ガラス繊維及び合成ポリマ製バインダを含む化粧漆喰スラリーを調製するステップと、前記化粧漆喰スラリーを固化するステップとを含み、
前記化粧漆喰スラリー中に含まれる石灰の量は0〜0.5重量%の範囲にあり、かつ、
前記化粧漆喰スラリーを生成するステップが、化粧漆喰の重量の2倍未満の量の水を前記化粧漆喰に添加するステップをさらに含むこと、
を特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石膏系材料の分野、より詳細には石膏系パネルの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスタ・ボード(例えば、石膏プラスタ・ボード)、ポリスチレン・ボード、及び繊維ボード等の軽量パネルは、一般的に、建物内に仕切りを設けるために使用される。この用途における前記パネルの利点は、前記パネルが軽くて迅速に設置できるということである。
【0003】
しかしながら、ある場合には、このような軽量パネルは、取付け型器具(例えば、流し台、テレビ、ラジエータ、消火器、棚、及び、前記パネルへの取り付けを必要とするその他の物)を支持できるほどには十分強くないという欠点を持つことになる。このような場合、取付け型器具の重量により、固定具(例えばネジ)がパネルからはずれ、取付け型器具がパネルの壁面からはずれて倒れる可能性がある。
【0004】
一般的には、この問題は、パネルの固定強度強化用の合板シートを付けることによって対処されてきた。この場合、前記合板シートは、パネルの、取付け型器具が置かれる面とは反対側の面に設けられる。前記合板シートは、取付け型器具をパネルに固定するために使用される1つ又は複数の固定具(例えば、ねじ)を保持するために強度を高めることができる。典型的には、合板シートはパネルの壁面の枠組みの内側に配置され、次にプラスタ・ボードが前記合板シートに固定され、該プラスタ・ボードは前記パネルの壁面の枠組みの外側に来る。
【0005】
代替手段として、金属製支持手段を取付けることができる。この金属製支持手段は、固定プレート、チャネル、ストラップ、又は金属製留め具を有する。合板シートの場合と同様に、この金属製支持手段は、一般に、パネルの、取付け型器具が固定される面とは反対側の面に配置され、取付け型器具をパネルに取付けるために使用される固定具、例えば取付けねじを受けて固定するように働く。
【0006】
上記構成は、両方とも、パネルと追加の支持部品を現場で相互に固定する必要があるという欠点がある。さらに、金属製支持手段を使用する場合、取付け型器具をパネルに固定するために必要な固定具の一組全部を支持するために、このような支持手段が複数必要になる可能性がある。したがって、取付け作業の時間と費用がかさむ可能性がある。
【0007】
さらに、金属製支持手段又は合板シートの追加は、仕切りの重量及び厚さを増すことになり、かつ/又は空洞の壁空間を減少させることになる。一般に、合板自体は、現場で切断して寸法調整する必要があるため、設置に要する時間が増え、埃や有害性のある成分の放出を招く可能性がある。
【0008】
したがって、固定具を保持し取付け型器具を支持することができ、かつ、時間を浪費する設置作業の必要がない、改良されたパネルを提供する必要がある。
【0009】
作製される石膏製品の固定強度を高めるために、石膏スラリー中に繊維、及び/又はポリマ添加材を入れることは周知の技術である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際特許出願公開第2014−188168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の開発によって、石膏ボードの固定強度を強化することができたが、性能の更なる改善、及び/又は、石膏ボードの重量及び/又は厚さを低減し、かつ性能を維持する必要がある。例えば、固定強度を維持しながら基板の重量及び/又は厚さを30〜50%減少させることが望まれる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
驚くべきことに、互いに異なる量の繊維及びポリマ添加材を石膏系の製品中に混合した場合、石膏の強度を著しく強化できることが発見された。具体的には、石膏系の製品に混合するポリマ添加材の量が繊維添加材よりも顕著に多くなるように、石膏系の製品に混合する繊維の量を制限することによって、改善できることがわかった。
【0013】
したがって、本発明の第1の態様では、以下の添加材が混合された石膏基材を有するパネルが提供される。
・石膏に対して、1重量%よりも多い量のガラス繊維、
・前記石膏に対して、4重量%よりも多い量の合成ポリマ製バインダ、
・前記ガラス繊維及び前記合成ポリマ製バインダは、ガラス繊維1パーツに対して少なくとも合成ポリマ製バインダ2パーツの重量比で入っている。そして、
前記石膏基材中に存在する砂の量は、前記石膏に対して0〜0.5重量%の範囲にあり、
さらに、前記石膏基材中に存在するセルロース繊維の量が、前記石膏に対して0〜10重量%の範囲にある。
【0014】
好ましくは、前記ポリマ製バインダはポリ酢酸ビニルである。
【0015】
好ましくは、前記石膏基材中に存在するアクリル樹脂の量は、前記石膏に対して0〜1重量%の範囲にある。一般に、実質的には、石膏基材はアクリル樹脂を含んでいない。
【0016】
好ましくは、前記石膏基材中に存在する炭酸カルシウムの量は、前記石膏に対して0〜5重量%の範囲にあり、より好ましくは、前記石膏に対して0〜1重量%である。一般に、前記石膏基材は、実質的に炭酸カルシウムを含まない。
【0017】
一般に、前記石膏基材は実質的に砂を含まない。
【0018】
好ましくは、前記石膏基材中に存在するセルロース繊維の量は、前記石膏に対して0〜1.5重量%の範囲にあり、より好ましくは0〜1重量%の範囲にある。一般に、前記石膏基材は実質的にセルロース繊維を含まない。「セルロース繊維」という用語は、木材粒子(木材チップ及び微細なおがくず粒子等)内に含まれる繊維と、木材中に存在する天然バインダによっては、もはや結合されてない繊維の両方を指すことを意図している。したがって、疑義の発生を避けるために、前記石膏基材中に存在する木材粒子の量は、前記石膏に対して0〜2重量%の範囲、好ましくは0〜1.5重量%の範囲、より好ましくは0〜1重量%の範囲にある。
【0019】
好ましくは、前記石膏基材に含まれる添加材の総重量は、前記石膏基材中の前記石膏の重量よりも少ない。すなわち、石膏は、好ましくは、重量でみると前記パネルの主成分である。
【0020】
好ましくは、前記ポリマ製バインダは、前記石膏に対して、3.5重量%より多く、好ましくは4重量%より多く、最も好ましくは5重量%より多く存在する。ポリマ製バインダの添加は、前記石膏に対して少なくとも約25重量%程度までは、機械的特性の改善が継続することがわかっている。従って、合成ポリマ製バインダのコストが比較的高いことを考慮すると、一般には、合成ポリマ製バインダの割合は前記石膏に対して25重量%以下であることが好ましい。
【0021】
石膏基材中に混合されたガラス繊維は、パネルを形成するために使用される石膏スラリーに最初から添加されている。したがって、これらのガラス繊維は、好ましくは実質的に均一な分布で、前記石膏基材全体に分散している。
【0022】
好ましくは、前記ガラス繊維は、前記石膏に対して1.5重量%より多い量が入っている。しかしながら、高濃度の繊維は、例えば、空隙ができるためにパネルの製造を困難にすると考えられる。さらに、繊維の存在は、パネルに切れ目を入れて折ってパネルを分割するために必要な力が増加すると考えられる。したがって、前記ガラス繊維の含有量は、石膏に対して6重量%未満であることが好ましい。
【0023】
好ましくは、前記ガラス繊維は、平均長が3〜10mmである。
【0024】
好ましくは、前記ガラス繊維は、平均直径が5〜50ミクロンの範囲である。
【0025】
ガラス繊維及びポリマ製バインダの含有量は、好ましくは、1パーツの繊維に対して少なくとも2.5パーツのバインダ、好ましくは、1パーツの繊維に対して少なくとも3パーツのバインダ、好ましくは、1パーツの繊維に対して少なくとも4パーツのバインダの重量比である。
【0026】
特定の実施形態では、パネルは、デンプンを実質的に含まないようにできる。他の実施形態では、パネルは合成ポリマとデンプンの両方を含み、デンプンは合成ポリマよりも少ない量が入っており、好ましくは合成ポリマの量に対して5重量%未満、より好ましくは合成ポリマの量に対して3重量%未満である。
【0027】
典型的には、石膏基材はガラス繊維以外の繊維を含まない。しかしながら、石膏基材がガラス繊維以外の繊維を含む場合、ガラス繊維以外の繊維の平均長は、好ましくは、前記ガラス繊維の平均長の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%である方がよい。
【0028】
一般に、パネルは片面又は両面に化粧面を有する。該化粧面は、例えば、セルロース及び場合によりガラス繊維を含む紙製化粧面にすることができる。あるいは、前記化粧面は、前記パネルの表面に部分的又は全体に埋め込まれたマット、例えばガラス繊維マットによって形成することができる。
【0029】
パネルを強化するために、デンプンではなく合成ポリマを混合することは、一つ又は複数の以下の利点を有する。
・製造中にパネルをより高速に乾燥し、製造速度を高速にできる。
・完成したパネルは、湿度変化に伴う寸法変化が少ない。
【0030】
好ましくは、前記パネルの厚さは6〜20mm、より好ましくは10〜16mmの範囲内にある。
【0031】
好ましくは、前記パネルは、密度が600〜1400 kg/m
3、より好ましくは、700〜1200 kg/m
3の範囲内にある。
【0032】
本発明の第二の態様においては、本発明の第一の態様に係るパネルを製造する方法を提供する。該方法は、ガラス繊維及び合成ポリマ製バインダを含む化粧漆喰スラリーを調製するステップと、前記化粧漆喰スラリーの固化を可能にするステップとを含み、
前記化粧漆喰スラリー中に存在する石灰の量が0〜0.5重量%の範囲にあり、
さらに、前記化粧漆喰スラリーを調製するステップは、前記化粧漆喰の重量の2倍未満の水を前記化粧漆喰に添加するステップを含む。
【0033】
一般に、スラリーは石灰を実質的に含まない。
【0034】
好ましくは、水は、前記化粧漆喰の重量の1.5倍未満の量が前記化粧漆喰に加えられる。
【0035】
本発明の第2の態様の方法によって調製されたパネルは、本発明の第1の態様に係わる前記パネルの1つ又は複数の任意の特徴を含むことができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以降、本発明を実施例としてのみ説明する。
石膏プラスタ・ボードを、以下の方法に従って、石膏スラリーから調製した。
1.水に、ポリ酢酸ビニル(セラニーズ・エミュルージョン社製、ビナミュール(登録商標)8481)を加えて水性懸濁液を形成する。
2.ガラス繊維を前記水性懸濁液に混ぜる。
3.化粧漆喰を前記水性懸濁液に加えてスラリーを形成する。
4.前記スラリーをKenwood社のブレンダー(登録商標)内で10秒間、最低速度で混ぜる。
5.さらに20秒間、速度をあげ、前記スラリーを混ぜる。
6.前記スラリーを成形面に堆積してボードを形成する。
7.前記ボードを160℃の温度で1時間乾燥し、さらに40℃の温度で所定の重量になるまで乾燥させる。
8.所定の重量になるまで、前記ボードを温度23℃及び相対湿度50%で調製する。
【0037】
前記スラリーの組成及び前記ボードの密度を表1に詳細に示す。
ポリ酢酸ビニルを、水性懸濁液の形で前記スラリーに加える。表1に示すポリ酢酸ビニルの量は、前記水性懸濁液中に含まれるポリ酢酸ビニルの量であって、前記スラリーに加えられた前記懸濁液の総質量ではない。
【0039】
<ネジ引き抜き試験>
温度23℃、相対湿度50%で調製した寸法100mm×100mmのサンプルに対してネジ引き抜き試験を行った。50mmの一条木ネジをトルク・スクリュー・ドライバを使用して前記サンプルにネジ込み、前記木ネジを前記サンプルの表面に置かれた金属製荷重伝達要素を通過させた。該荷重伝達要素は、前記木ネジの頭と前記サンプルの表面との間に置かれた第1の部分と、試験機と連動して前記ネジの軸に沿って前記ネジに荷重を加えることができる第2の部分とを有する。
【0040】
次のステップで、前記サンプルをZwick社の万能試験機に取り付け、前記ネジの軸に沿って前記ネジに10Nの予荷重を加えるステップを実行した。その後、引き抜きが完了するまで10mm/分の所定クロスヘッド速度を設定するステップにより前記荷重を増加させた。
【0041】
<再挿入引き抜き試験>
前記ネジ引き抜き試験と同じ手順を用いて再挿入引き抜き試験を行った。この再挿入引き抜き試験では、トルク・スクリュー・ドライバを使用して前記ネジを前記サンプルにねじ込むステップの直後に、前記ネジを抜き出し、前記トルク・スクリュー・ドライバを使用して前と同じ位置に再び捻じ込む追加のステップを実行した。
【0042】
<疲労試験>
前記ネジ引き抜き試験と同じ手順を用いて疲労試験を行った。この疲労試験では、前記ネジに10Nの予荷重をかけるステップと、10mm/分の所定クロスヘッド速度を設定するステップとの間に、10mm/分のクロスヘッド速度で10Nの荷重と300Nの荷重とを交互に繰り返すサイクルを100サイクルかける追加のステップを実行した。
【0043】
<手動トルク試験>
手動トルク試験を、温度23℃、相対湿度50%の条件で調製された寸法100mm×100mmのサンプルに対して実施した。スクリューガンを使用して、前記サンプルに50mmの一条木ネジをネジこんだ。該木ネジは、前記サンプルの表面に置かれたスチール・ワッシャーを貫通する。
【0044】
前記スクリューガンは、前記木ネジの頭が前記サンプルから10mm突出する深さまで前記サンプルに挿入されたときに止まるように設定された。前記木ネジを、前記木ネジの頭が前記サンプルと当接したときにトルク読取値の急激な増加が観察されるまで、トルク制御手動スクリュードライバーを用いて回転させた。前記手動スクリュードライバーを使用して、次に、前記ネジを1/8回転刻みでさらに回転させ、トルク読取値を各刻みだけ進める毎に記録し、それからゼロにリセットした。この処理を、最大トルクに達した後に、少なくとも1.5回転するまで続けた。次に、最大トルクを記録した。
【0045】
前記機械試験の結果を表2に示す。括弧内の数字は試験をしたサンプルの数を示す。