(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6966469
(24)【登録日】2021年10月25日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】光源用蛍光体材料およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C09K 11/08 20060101AFI20211108BHJP
C09K 11/67 20060101ALI20211108BHJP
C09K 11/61 20060101ALI20211108BHJP
C09K 11/66 20060101ALI20211108BHJP
C09K 11/64 20060101ALI20211108BHJP
C09K 11/85 20060101ALI20211108BHJP
【FI】
C09K11/08 A
C09K11/67
C09K11/61
C09K11/66
C09K11/64
C09K11/85
【請求項の数】18
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-553478(P2018-553478)
(86)(22)【出願日】2017年4月10日
(65)【公表番号】特表2019-511618(P2019-511618A)
(43)【公表日】2019年4月25日
(86)【国際出願番号】US2017026744
(87)【国際公開番号】WO2017180488
(87)【国際公開日】20171019
【審査請求日】2020年4月7日
(31)【優先権主張番号】62/322,366
(32)【優先日】2016年4月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/411,250
(32)【優先日】2017年1月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(74)【復代理人】
【識別番号】100091568
【弁理士】
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ,ファンミン
(72)【発明者】
【氏名】ビアーズ,ウィリアム・ウィンダー
(72)【発明者】
【氏名】コーヘン,ウィリアム・アーウィン
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン,クラーク・デビッド
【審査官】
井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】
特表2014−514388(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0166887(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0054400(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K11/00− 11/89
H01L33/00− 33/64
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四価のマンガンでドープされたフッ化物蛍光体粉末(300)をフッ化水素酸と混合されたマンガンを含まないフッ化物粉末から形成された処理溶液(200)と容器(400)内で所定時間の間混合させ、前記フッ化物蛍光体粉末(300)は、四価のマンガンで賦活された複合フッ化物蛍光体であり、前記混合は、前記フッ化物蛍光体粉末(300)を前記処理溶液(200)中に5以下の容量対重量比で配置することと、
前記容器(400)内での前記フッ化物蛍光体粉末(300)と前記処理溶液(200)との前記混合を停止して前記フッ化物蛍光体粉末(300)を前記処理溶液(200)に沈降させ、前記容器(400)の少なくとも一部の液体(500)を前記フッ化物蛍光体粉末(300)から分離させることと、
前記フッ化物蛍光体粉末(300)から分離された前記液体(500)の少なくとも一部を前記容器(400)から除去することと、
前記処理溶液(200)と同じタイプの第2の処理溶液を添加することと、
前記フッ化物蛍光体粉末(300)を前記残りの処理溶液(200)および前記第2の処理溶液と前記混合すること、前記フッ化物蛍光体粉末(300)と前記残りの処理溶液(200)および前記第2の処理溶液との前記混合を前記停止すること、および前記液体(500)の前記少なくとも一部を前記除去することを1つまたは複数の追加のサイクルの間繰り返すことと、
前記容器(400)から1つまたは複数の追加のサイクルによって処理された前記フッ化物蛍光体粉末(300)を得ることと
を含み、
前記得られたフッ化物蛍光体粉末(300)は、処理前の前記フッ化物蛍光体粉末(300)と比較して減少した量の前記マンガンを含む、方法(100)。
【請求項2】
前記フッ化物蛍光体粉末(300)が、四価のマンガンで賦活され、K2[M1−aMn4+aF6]で表されるフッ化物蛍光体を含み、
式中、M は、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、およびスズ(Sn)からなる群から選択される少なくとも1つの元素であり、
式中、aは、0より大きく0.2未満の値を有する、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
前記フッ化物蛍光体が、Ax[MFy]:Mn4+で表されるフッ化物蛍光体を含み、
式中、Aは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、またはセシウムの1つまたは複数を表し、
式中、Mは、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スカンジウム、ハフニウム、イットリウム、ランタン、ニオブ、タンタル、ビスマス、またはガドリニウムの1つまたは複数を表し、
式中、xは、[MFy]イオンの電荷の絶対値の値を有し、yは、5、6、または7の値を有する、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項4】
前記フッ化物蛍光体粉末(300)を前記処理溶液(200)と混合することが、前記フッ化物蛍光体粉末(300)と前記処理溶液(200)との混合物(302)を攪拌することを含み、前記混合を停止することが、前記第1のフッ化物蛍光体粉末(300)と前記処理溶液(200)との前記混合物(302)の前記攪拌を停止することを含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項5】
前記フッ化物蛍光体粉末(300)を前記処理溶液(200)と混合することが、前記フッ化物蛍光体粉末(300)を前記処理溶液(200)中に少なくとも2の容量対重量比で配置することを含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項6】
前記液体(500)の少なくとも一部を除去することが、前記フッ化物蛍光体粉末(300)と前記処理溶液(200)との混合物(302)から前記液体(500)をデカントすることを含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項7】
前記容器(400)内での前記フッ化物蛍光体粉末(300)と前記処理溶液(200)との前記混合を停止することが、前記フッ化物蛍光体粉末(300)を前記フッ化物蛍光体粉末(300)と前記処理溶液(200)との混合物(302)中に少なくとも第2の所定時間の間沈降させることを含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項8】
前記フッ化物蛍光体粉末(300)を濾過することと、前記フッ化物蛍光体粉末(300)をリンスすることと、リンスした前記フッ化物蛍光体粉末(300)を乾燥させることとをさらに含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項9】
ドーパントでドープされたフッ化物蛍光体粉末(300)をフッ化水素酸と混合されたマンガンを含まないフッ化物粉末から形成された処理溶液(200)と混合して混合物(302)を形成させ、前記ドーパントは四価のマンガンを含み、前記フッ化物蛍光体粉末(300)は、四価のマンガンで賦活された複合フッ化物蛍光体であり、前記混合は、前記フッ化物蛍光体粉末(300)を前記処理溶液(200)中に5以下の容量対重量比で配置することと、
前記フッ化物蛍光体粉末(300)と前記処理溶液(200)との前記混合物(302)を少なくとも第1の所定時間の間攪拌することと、
少なくとも第2の所定時間の間前記混合物(302)の攪拌を停止して前記混合物(302)の液体(500)を前記混合物(302)から分離させることと、
前記液体(500)の少なくとも一部を前記混合物(302)から除去することと、
前記処理溶液(200)と同じタイプの第2の処理溶液を添加することと、
前記フッ化物蛍光体粉末(300)を前記残りの処理溶液(200)および前記第2の処理溶液と混合すること、前記混合物(302)を攪拌すること、前記混合物(302)の前記攪拌を停止すること、および前記液体(500)の前記少なくとも一部を前記混合物(302)から除去することを1回以上繰り返すことと、
前記混合物(302)から1つまたは複数の追加のサイクルによって処理された前記フッ化物蛍光体粉末(300)の残量を得ることと
を含み、
前記得られたフッ化物蛍光体粉末(300)は、処理前の前記フッ化物蛍光体粉末(300)と比較して減少した量の前記マンガンを含む、方法(100)。
【請求項10】
前記フッ化物蛍光体粉末(300)が、四価のマンガンで賦活され、K2[M1−aMn4+aF6]で表されるフッ化物蛍光体を含み、
式中、Mは、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、およびスズ(Sn)からなる群から選択される少なくとも1つの元素であり、
式中、aは、0より大きく0.2未満の値を有する、請求項9に記載の方法(100)。
【請求項11】
前記フッ化物蛍光体が、Ax[MFy]:Mn4+で表されるフッ化物蛍光体を含み、
式中、Aは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、またはセシウムの1つまたは複数を表し、
式中、Mは、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スカンジウム、ハフニウム、イットリウム、ランタン、ニオブ、タンタル、ビスマス、またはガドリニウムの1つまたは複数を表し、
式中、xは、[MFy]イオンの電荷の絶対値の値を有し、yは、5、6、または7の値を有する、請求項9に記載の方法(100)。
【請求項12】
前記フッ化物蛍光体粉末(300)を前記処理溶液(200)と混合することが、前記フッ化物蛍光体粉末(300)を前記処理溶液(200)中に少なくとも2の容量対重量比で配置することを含む、請求項9に記載の方法(100)。
【請求項13】
前記液体(500)の少なくとも一部を除去することが、前記フッ化物蛍光体粉末(300)と前記処理溶液(200)との前記混合物(302)から前記液体(500)の前記少なくとも一部をデカントすることを含む、請求項9に記載の方法(100)。
【請求項14】
四価のマンガンでドープされたフッ化物蛍光体粉末(300)をフッ化水素酸と混合されたマンガンを含まないフッ化物粉末から形成されたフッ化水素酸溶液と混合して混合物(302)を形成させ、前記フッ化物蛍光体粉末(300)は、四価のマンガンで賦活された複合フッ化物蛍光体であり、前記混合は、前記フッ化物蛍光体粉末(300)を前記フッ化水素酸溶液中に5以下の容量対重量比で配置することと、
前記フッ化物蛍光体粉末(300)と前記フッ化水素酸溶液との前記混合物(302)を少なくとも第1の所定時間の間攪拌することと、
少なくとも第2の所定時間の間前記混合物(302)の攪拌を停止して前記混合物(302)の液体(500)を前記混合物(302)から分離させることと、
前記液体(500)の少なくとも一部を前記混合物(302)から除去することと、
第2のフッ化水素酸溶液を添加することと、
前記フッ化物蛍光体粉末(300)を前記残りのフッ化水素酸溶液および前記第2のフッ化水素酸溶液と混合すること、前記混合物(302)を攪拌すること、前記混合物(302)の前記攪拌を停止すること、および前記液体(500)の前記少なくとも一部を前記混合物(302)から除去することを1回以上繰り返すことと、
前記混合物(302)から1つまたは複数の追加のサイクルによって処理された前記フッ化物蛍光体粉末(300)の一定量を得ることと
を含み、
前記得られたフッ化物蛍光体粉末(300)は、処理前の前記フッ化物蛍光体粉末(300)と比較して減少した量の前記マンガンを含む、方法(100)。
【請求項15】
前記フッ化物蛍光体粉末(300)が、四価のマンガンで賦活され、K2[M1−aMn4+aF6]で表されるフッ化物蛍光体を含み、
式中、Mは、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、およびスズ(Sn)からなる群から選択される少なくとも1つの元素であり、
式中、aは、0より大きく0.2未満の値を有する、請求項14に記載の方法(100)。
【請求項16】
前記フッ化物蛍光体が、Ax[MFy]:Mn4+で表されるフッ化物蛍光体を含み、
式中、Aは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、またはセシウムの1つまたは複数を表し、
式中、M は、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スカンジウム、ハフニウム、イットリウム、ランタン、ニオブ、タンタル、ビスマス、またはガドリニウムの1つまたは複数を表し、
式中、xは、[MFy]イオンの電荷の絶対値の値を有し、yは、5、6、または7の値を有する、請求項14に記載の方法(100)。
【請求項17】
前記フッ化物蛍光体粉末(300)を前記フッ化水素酸溶液と混合することが、前記フッ化物蛍光体粉末(300)を前記フッ化水素酸溶液中に少なくとも2〜5以下の容量対重量比で配置することを含む、請求項14に記載の方法(100)。
【請求項18】
前記液体(500)の少なくとも一部を除去することが、前記フッ化物蛍光体粉末(300)と前記フッ化水素酸溶液との前記混合物(302)から前記液体(500)の前記少なくとも一部をデカントすることを含む、請求項14に記載の方法(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源用蛍光体材料およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの光源は、光源の上または近くに配置された蛍光体本体を含む。これらの蛍光体本体、または蛍光体は、光源によって生成された光の少なくとも一部を受光する。受光された光は、蛍光体を発光させる。例えば、いくつかの発光ダイオード(LED)は、LEDによって生成された光を受光して発光する赤色発光蛍光体を含む。
【0003】
赤色発光蛍光体は、四価のマンガン(Mn
4+)によって賦活される複合フッ化物材料に基づくことができる。四価のマンガンドーピングを有するこれらの蛍光体が空気中の水分に曝されると、四価のマンガンは酸化して二酸化マンガン(MnO
2)を生成し得る。その結果、蛍光体の輝度および信頼性が低下する。
【0004】
蛍光体から四価のマンガンを除去する1つの試みは、10:1〜20:1の範囲の液体対粉末比を有する飽和K
2SiF
6/HF溶液に蛍光体を添加することを含む(比は、ミリリットルからグラムのような容量対重量比である)。約30分間混合した後、大部分の表面マンガンが粉末から溶液中に溶解する。しかし、この方法は、出力が比較的低く、表面マンガンの除去は、蛍光体の輝度または信頼性を大きく改善するには不十分である可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/166887A1号
【発明の概要】
【0006】
一実施形態では、方法は、四価のマンガンでドープされた第1のフッ化物蛍光体粉末を処理溶液と容器内で所定時間の間混合することと、容器内での第1のフッ化物蛍光体粉末と処理溶液との混合を停止してフッ化物蛍光体粉末を処理溶液に沈降させ、容器の少なくとも一部の液体を第1のフッ化物蛍光体粉末から分離させることと、第1のフッ化物蛍光体粉末から分離された液体の少なくとも一部を容器から除去することと、(a)第1のフッ化物蛍光体粉末を処理溶液と混合すること、(b)第1のフッ化物蛍光体粉末と処理溶液との混合を停止すること、および(c)液体の少なくとも一部を除去することを1つまたは複数の追加のサイクルの間繰り返すことと、第1のフッ化物蛍光体粉末を処理溶液と混合すること、第1のフッ化物蛍光体粉末と処理溶液との混合を停止すること、および液体の少なくとも一部を除去することを1つまたは複数の追加のサイクルの間繰り返した後に、第1のフッ化物蛍光体粉末の残量として容器から第2のフッ化物蛍光体粉末を得ることとを含む。第2のフッ化物蛍光体粉末は、第1のフッ化物蛍光体粉末と比較して減少した量のマンガンを含む。
【0007】
一実施形態では、方法は、ドーパントでドープされた第1のフッ化物蛍光体粉末を処理溶液と混合して混合物を形成することと、第1のフッ化物蛍光体粉末と処理溶液との混合物を少なくとも第1の所定時間の間攪拌することと、少なくとも第2の所定時間の間混合物の攪拌を停止して混合物の液体を混合物から分離させることと、液体の少なくとも一部を混合物から除去することと、(a)第1のフッ化物蛍光体粉末を処理溶液と混合すること、(b)混合物を攪拌すること、(c)混合物の攪拌を停止すること、および(d)液体の少なくとも一部を混合物から除去することを1回以上繰り返すことと、第1のPFS粉末を処理溶液と混合すること、混合物を攪拌すること、攪拌を停止すること、および液体の少なくとも一部を混合物から除去することを繰り返した後に、混合物から第2のフッ化物蛍光体粉末を得ることとを含む。第2のフッ化物蛍光体粉末は、第1のフッ化物蛍光体粉末と比較して減少した量のドーパントを含む。
【0008】
一実施形態では、方法は、四価のマンガンでドープされた第1のフッ化物蛍光体粉末をフッ化水素酸溶液と混合して混合物を形成することと、第1のフッ化物蛍光体粉末とフッ化水素酸溶液との混合物を少なくとも第1の所定時間の間攪拌することと、少なくとも第2の所定時間の間混合物の攪拌を停止して混合物の液体を混合物から分離させることと、液体の少なくとも一部を混合物から除去することと、(a)第1のフッ化物蛍光体粉末をフッ化水素酸溶液と混合すること、(b)混合物を攪拌すること、(c)混合物の攪拌を停止すること、および(d)液体の少なくとも一部を混合物から除去することを1回以上繰り返すことと、第1のPFS粉末をフッ化水素酸溶液と混合すること、混合物を攪拌すること、攪拌を停止すること、および液体の少なくとも一部を混合物から除去することを繰り返した後に、混合物から第2のフッ化物蛍光体粉末を得ることとを含む。第2のフッ化物蛍光体粉末は、第1のフッ化物蛍光体粉末と比較して減少した量のマンガンを含む。
【0009】
本明細書に記載される主題は、添付の図面を参照して以下の非限定的な実施形態の説明を読むことにより、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】蛍光体に使用される材料を製造するための方法の一実施形態のフローチャートである。
【
図3】PFS粉末を
図2に示す処理溶液に添加して粉末と処理溶液との混合物を形成することを示す図である。
【
図4】PFS粉末と処理溶液との混合物の攪拌の一例を示す図である。
【
図5】一実施形態による混合後にPFS粉末を沈降させた後の
図3に示す混合物を示す図である。
【
図6】一例による分離された液体を除去した後の
図3に示す混合物を示す図である。
【
図7】一実施形態による新たな希釈混合物を得るために以前に得られた混合物でより多くの処理溶液を添加することを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に記載される本発明の主題は、蛍光体を製造するための方法、および方法によって生成された得られる蛍光体を提供する。本明細書に記載の方法は、(他の方法を使用して生成された赤色発光蛍光体と比較して)優れた製造性および改善された耐水性を有する赤色発光蛍光体を生成するために使用することができる。赤色発光蛍光体は、四価のマンガン(Mn
4+)によって賦活される複合フッ化物材料に基づいている(例えば、これを使用して生成される)。本明細書に記載されているように、方法は、四価のマンガンで賦活され、式K
2[M
1−a−Mn
4+aF
6]で表されるフッ化物蛍光体を含む溶液を使用することを含み、式中、Mは、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、およびハフニウム(Hf)のIV族元素、ならびにケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、およびスズ(Sn)のIVB族元素から選択される少なくとも1つであり、式中、aは、0より大きく0.2未満の値を有する。本明細書の記載は、ヘキサフルオロケイ酸カリウム(K
2SiF
6)に焦点を当てているが、本発明の主題のすべての実施形態がヘキサフルオロケイ酸カリウムに限定されず、1つまたは複数の実施形態は、四価のマンガンで賦活され、式K
2[M
1−a−Mn
4+aF
6]で表される別のフッ化物蛍光体で実施することができる。任意選択で、式A
x[MF
y]:Mn
4+で表される蛍光体などの別の蛍光体材料を使用してもよく、式中、Aは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、またはこれらの材料の2つ以上の組合せを表し、Mは、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スカンジウム、ハフニウム、イットリウム、ランタン、ニオブ、タンタル、ビスマス、ガドリニウム、またはこれらの元素の2つ以上の組合せを表し、xは、[MF
y]イオンの電荷の絶対値の値を有し、yは、5、6、または7の値を有する。
【0012】
本明細書に記載の方法の1つまたは複数の実施形態は、より低い液体対粉末比(例えば、2:1〜5:1ミリリットルからグラムの液体容量対重量比の範囲)を有し、混合時間がはるかに短いフッ化物蛍光体およびフッ化水素酸(HF)を含む溶液を使用する。混合が完了した後、上部透明液体を溶液からデカントし、同じ液体対粉末比を有する新鮮なK
2SiF
6/HF溶液を添加する。このサイクルは、デカントした液体中に目に見える茶色がほとんどまたは全く見られなくなるまで数回繰り返される。この新たな処理を使用することにより、より多くの四価のマンガンが蛍光体粉末表面から除去されるので、蛍光体の出力が大幅に増加し、得られる蛍光体の耐水性が向上する。
【0013】
マンガンでドープされたヘキサフルオロケイ酸カリウム(K
2SiF
6)のような赤色蛍光体粉末を飽和K
2SiF
6/HF溶液と混合すると、2つの反応が起こる。第1の反応は、固相から出て液相に入るマンガン(K
2SiF
6:Mn)でドープされたヘキサフルオロケイ酸カリウムを含む。第2の反応は、液相から沈殿し固体表面上に再堆積するこの同じ材料を含む。固体表面からより多くのマンガンを除去するためには、第2の反応を制限する必要がある。いくつかの赤色発光蛍光体を製造するための現在のプロセスと比較して、新たな製造プロセスは、第2の反応を大きく抑制して第1の反応を促進し、ヘキサフルオロケイ酸カリウムの粉末表面からマンガンをより良好に除去する。この新たなプロセスはまた、より低い液体対粉末比を使用し、同じ量の出発材料で蛍光体を製造するためのヘキサフルオロケイ酸カリウムの出力を増加させる。
【0014】
図1は、赤色発光蛍光体などの蛍光体に使用される材料を製造するための方法100の一実施形態のフローチャートを示す。102において、フルオロケイ酸カリウム(PFS)粉末のようなフッ化物蛍光体粉末が得られる。この粉末は、K
2SiF
6:Mn
4+と表すことができる四価のマンガン(Mn
4+)でドープされたヘキサフルオロケイ酸カリウムを含むことができる。PFS粉末は、フッ素源の存在下で焼成することができる。
【0015】
104において、処理溶液が得られる。処理溶液は、フッ化水素酸(HF)などの酸と混合されたフッ化物粉末から形成されてもよい。一実施形態では、処理溶液は、フッ化水素酸と混合されたヘキサフルオロケイ酸カリウムから形成される。処理溶液中のヘキサフルオロケイ酸カリウムは、四価のマンガンでドープされていなくてもよい。
図1に示す方法100のフローチャートを引き続き参照すると、
図2は、一例による処理溶液200の形成を示す。上述のように、処理溶液200は、ヘキサフルオロケイ酸カリウム202の粉末をフッ化水素酸204と混合することによって形成することができる。
【0016】
図1の106において、102で得られたPFS粉末は、104で得られた処理溶液と混合される。
図3は、PFS粉末300を処理溶液200に添加して粉末300と処理溶液200との混合物302を形成することを示す。PFS粉末300は、一実施形態では、四価のマンガンでドープされたヘキサフルオロケイ酸カリウムを含むことができる。混合物302を形成するために使用されるPFS粉末300および処理溶液200の量は、PFS粉末300の重量(例えば、グラム)に対する処理溶液200の容量(例えば、ミリリットル)の所定の比に基づくことができ、例えば、少なくとも2:1〜5:1以下の比である。あるいは、6:1以下または7:1以下のような別の比を使用してもよい。
【0017】
PFS粉末300と処理溶液200との混合物302は、一実施形態では、所定時間の間攪拌することができる。
図4は、PFS粉末300と処理溶液200との混合物302の攪拌の一例を示す。混合物302は、混合物302を保持する容器400を移動させることによって、および/または混合物302内でパドル、攪拌棒、ノミ、マグネットなどのような混合体402を移動させることによって攪拌することができる。混合物302は、約5分間、例えば、少なくとも4分〜6分以下、少なくとも4.5分〜5.5分以下、または別の時間の間、攪拌または混合することができる。
【0018】
108において、混合物302の混合または攪拌を停止し、混合物302中のPFS粉末300を沈降させる。混合は、少なくとも所定時間の間、例えば、約1分、少なくとも3分、少なくとも2分〜4分以下、少なくとも2.5分〜3.5分以下、または別の時間の間、停止することができる。混合物302の混合を停止することで、PFS粉末300を容器400の底に向かって沈降させる。
図5は、一実施形態による106における混合後にPFS粉末300を沈降させた後の混合物302を示す。
図5に示すように、混合物302の液体成分の一部は、容器400の分離された液体500として粉末300から分離することができる。この液体500は、混合物302の総量の半分または約半分であってもよい。
【0019】
液体500は、液体500が粉末300を含まなくてもよく、または混合物302よりも少ない量の粉末300を含んでもよい点で、混合物302から分離してもよい。例えば、液体500は、粉末300を全く含まなくてもよく、液体500は、いくらかの四価のマンガンを含んでもよい(ただし、混合物302より少量の四価のマンガン、および/または液体500は、いくらかの粉末300を含んでもよい(ただし、混合物302より少量)。液体500は、一実施形態では、粉末300のフッ化水素酸とマンガンドーパントとの混合物から形成することができる。
【0020】
110において、分離された液体500は、容器400からデカントされる。液体500は、容器400に少なくとも部分的に沈降した粉末300を破壊することなく、容器400から液体500を除去することによって容器400からデカントされてもよい。例えば、液体500は、液体500を容器400から注ぎ出すことによって、液体500を容器400から吸引することによって、または別の方法で除去することができる。
図6は、一例による容器400から分離された液体500を除去した後の混合物302を示す。
図6に示すように、容器400の混合物302の総量は、分離された液体500の除去のために減少している。分離された液体500は、混合物302中の粉末300からの四価のマンガンの一部を含むことができ、液体500の除去は、混合物302および粉末300上のマンガンの総量を減少させることができる。
【0021】
112において、処理溶液中のPFS粉末を混合し、続いて粉末と処理溶液との混合物から分離された液体をデカントするプロセスを1回以上繰り返すべきかどうかの判定が行われる。例えば、追加の処理溶液200をPFS粉末300と処理溶液200との混合物302に添加し、この新たな混合物を攪拌してから放置させ、その後、この新たな混合物から分離された液体500を新たな混合物から除去することを1回以上行うかどうかの決定を行うことができる。このプロセスを繰り返す場合、方法100のフローは、114に進むことができる。プロセスが繰り返されない場合、方法100のフローは、116に進むことができる。
【0022】
114において、追加の量の処理溶液200が、粉末300と処理溶液200との残りの混合物302と混合される。
図7は、一実施形態による新たな希釈混合物700を得るために以前に得られた混合物302でより多くの処理溶液200を添加することを示す図である。新たな混合物700は、新たな混合物700のマンガンの量が以前の混合物302のマンガンの量よりも少ないという点で希釈されてもよい。新たな混合物700中の粉末300の量は、以前の混合物と比較して希釈されなくてもよい。
図6に示す混合物302は、新たな混合物700中の液体対固体の比が上記の範囲内となるように(例えば、少なくとも2:1〜5:1以下)、追加の処理溶液200と混合することができる。次いで、方法100のフローは、108に戻ることができる。例えば、新たな混合物700は、攪拌してから放置することができる(例えば、114および108において)。上述したように、攪拌を停止することで、マンガンを含む液体500を新たな混合物700から分離させる。次いで、この液体500を110において新たな混合物700から除去して、混合物700中のマンガンを還元することができる。方法100が112に戻ると、さらなる処理溶液を混合し、マンガン含有液体を分離させ、この液体を除去することを1回以上行うかどうかの別の判定を行うことができる。一実施形態では、粉末と処理溶液を混合し、液体を分離させ、液体を除去する最初のプロセスを行った後に、このプロセスは、所定回数、例えば、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回など繰り返すことができる。液体の混合、分離、および除去のプロセスが所定回数行われると、方法100のフローは、116に進むことができる。
【0023】
116において、混合物700中に残っているPFS粉末300は、濾過される。例えば、混合物700は、濾紙のような繊維状フィルタ本体を1回以上流れてもよい。この濾過により、混合物700からPFS粉末300を抽出することができる。PFS粉末300からマンガンが繰り返し分離されるため、PFS粉末300の量を減少させずにPFS粉末300中のマンガン量を減少させる(またはPFS粉末300の量を比較的少量、例えば、3%未満、1%未満、または0.1%未満減少させる)。次に、濾過されたPFS粉末300は、(例えば、アセトンで)リンスして(例えば、濾過されたPFS粉末300が配置された濾紙を通して真空を引くことによって)乾燥させることができる。その後、PFS粉末300を樹脂材料(例えば、シリコーン)と混合し、この混合物を光源上に配置することなどによって、PFS粉末300を光源用の1つまたは複数の蛍光体を形成するために使用することができる。
【0024】
粉末を処理溶液と繰り返し混合し、PFS粉末を混合物に沈降させ、四価のマンガンの少なくとも一部を含む分離された液体をデカントし、このプロセスを1回以上繰り返すことによって四価のマンガンをPFS粉末から除去することは、混合物中のマンガンの量を徐々に減少させ、マンガンがPFS粉末に沈降するのを防止する。PFS粉末に対する処理溶液の比が低い(他の既知のプロセスと比較して)と、混合中に失われる、または蛍光体を生成する際に使用するために回収されないPFS粉末の量を減少させることができる。
【0025】
また、四価のマンガンをPFS粉末から除去することにより、四価のマンガンを含むPFS粉末またはより多くの四価のマンガンを含むPFS粉末で生成された蛍光体よりも大きな量子効率(QE)を有する蛍光体を提供することができる。例えば、50グラムのPFS粉末300を1,000ミリリットルの処理溶液200と30分間混合した後、PFS粉末300と処理溶液200との混合物を濾過し、濾過して得られた粉末をアセトンでリンスし、その後、得られた粉末を真空乾燥して0.017%の四価のマンガンを除去したPFS粉末を得た。このPFS粉末を湿度85%、温度85度の高温高湿(HTHH)に48時間曝した後、PFS粉末のQEは、96.8%と測定された。
【0026】
対照的に、200グラムの同じPFS粉末300を600ミリリットルの同じ処理溶液200のみと混合し、この混合物を5分間放置し、分離された液体を放置した混合物の上にデカントし、600ミリリットルの同じ処理溶液200を添加し(2回目)、この混合物を5分間放置し、分離された液体を放置した混合物の上にデカントし、600ミリリットルの同じ処理溶液200を添加し(3回目)、この混合物を5分間放置し、分離された液体を放置した混合物の上にデカントし、600ミリリットルの同じ処理溶液200を添加し(4回目)、この混合物を5分間放置し、分離された液体を放置した混合物の上にデカントし、600ミリリットルの同じ処理溶液200を添加し(5回目)、この混合物を5分間放置し、分離された液体を放置した混合物の上にデカントし、600ミリリットルの同じ処理溶液200を添加し(6回目)、この混合物を5分間放置し、分離された液体を放置した混合物の上にデカントした後、PFS粉末300と処理溶液200との混合物を濾過し、濾過して得られた粉末をアセトンでリンスし、その後、得られた粉末を真空乾燥して0.025%の四価のマンガンを除去したPFS粉末を得た。このPFS粉末を同じHTHHに48時間曝した後、PFS粉末のQEは、97.2%と測定された。異なるPFS粉末についての96.8%と97.2%のQEの差は、粉末のQEが時間に関して線形または実質的に線形の関係に沿って減少することがあるため、有意である。その結果、処理溶液と1回だけ混合されるPFS粉末のQEは、HTHHに曝された後、30日後に複数回処理溶液と混合されたPFS粉末よりも6%少ないQE、60日後に12%少ないQE、90日後に18%少ないQEなどを有する。
【0027】
一実施形態では、方法は、四価のマンガンでドープされた第1のフッ化物蛍光体粉末を処理溶液と容器内で所定時間の間混合することと、容器内での第1のフッ化物蛍光体粉末と処理溶液との混合を停止してフッ化物蛍光体粉末を処理溶液に沈降させ、容器の少なくとも一部の液体を第1のフッ化物蛍光体粉末から分離させることと、第1のフッ化物蛍光体粉末から分離された液体の少なくとも一部を容器から除去することと、(a)第1のフッ化物蛍光体粉末を処理溶液と混合すること、(b)第1のフッ化物蛍光体粉末と処理溶液との混合を停止すること、および(c)液体の少なくとも一部を除去することを1つまたは複数の追加のサイクルの間繰り返すことと、第1のフッ化物蛍光体粉末を処理溶液と混合すること、第1のフッ化物蛍光体粉末と処理溶液との混合を停止すること、および液体の少なくとも一部を除去することを1つまたは複数の追加のサイクルの間繰り返した後に、第1のフッ化物蛍光体粉末の残量として容器から第2のフッ化物蛍光体粉末を得ることとを含む。第2のフッ化物蛍光体粉末は、第1のフッ化物蛍光体粉末と比較して減少した量のマンガンを含む。
【0028】
一例では、第1および第2のフッ化物蛍光体粉末は、四価のマンガンで賦活され、K
2[M
1−a−Mn
4+aF
6]で表されるフッ化物蛍光体を含み、式中、Mは、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、およびスズ(Sn)からなる群から選択される少なくとも1つの元素であり、aは、0より大きく0.2未満の値を有する。
【0029】
一例では、第1のフッ化物蛍光体粉末を処理溶液と混合することは、第1のフッ化物蛍光体粉末と処理溶液との混合物を攪拌することを含み、混合を停止することは、第1のフッ化物蛍光体粉末と処理溶液との混合物の攪拌を停止することを含む。
【0030】
一例では、第1のフッ化物蛍光体粉末を処理溶液と混合することは、第1のフッ化物蛍光体粉末を処理溶液中に少なくとも2の容量対重量比で配置することを含む。
【0031】
一例では、第1のフッ化物蛍光体粉末を処理溶液と混合することは、第1のフッ化物蛍光体粉末を処理溶液中に5以下の容量対重量比で配置することを含む。
【0032】
一例では、処理溶液は、フッ化水素酸を含む。
【0033】
一例では、処理溶液は、マンガンを含まない第3のフッ化物蛍光体粉末を含む。
【0034】
一例では、液体の少なくとも一部を除去することは、第1のフッ化物蛍光体粉末と処理溶液との混合物から液体をデカントすることを含む。
【0035】
一例では、容器内での第1のフッ化物蛍光体粉末と処理溶液との混合を停止することは、第1のフッ化物蛍光体粉末を第1のフッ化物蛍光体粉末と処理溶液との混合物中に少なくとも第2の所定時間の間沈降させることを含む。
【0036】
一例では、方法はまた、第2のフッ化物蛍光体粉末を濾過することと、第2のフッ化物蛍光体粉末をリンスすることと、リンスした第2のフッ化物蛍光体粉末を乾燥させることとを含む。
【0037】
一実施形態では、方法は、ドーパントでドープされた第1のフッ化物蛍光体粉末を処理溶液と混合して混合物を形成することと、第1のフッ化物蛍光体粉末と処理溶液との混合物を少なくとも第1の所定時間の間攪拌することと、少なくとも第2の所定時間の間混合物の攪拌を停止して混合物の液体を混合物から分離させることと、液体の少なくとも一部を混合物から除去することと、(a)第1のフッ化物蛍光体粉末を処理溶液と混合すること、(b)混合物を攪拌すること、(c)混合物の攪拌を停止すること、および(d)液体の少なくとも一部を混合物から除去することを1回以上繰り返すことと、第1のPFS粉末を処理溶液と混合すること、混合物を攪拌すること、攪拌を停止すること、および液体の少なくとも一部を混合物から除去することを繰り返した後に、混合物から第2のフッ化物蛍光体粉末を得ることとを含む。第2のフッ化物蛍光体粉末は、第1のフッ化物蛍光体粉末と比較して減少した量のドーパントを含む。
【0038】
一例では、第1および第2のフッ化物蛍光体粉末は、四価のマンガンで賦活され、K
2[M
1−a−Mn
4+aF
6]で表されるフッ化物蛍光体を含み、式中、Mは、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、およびスズ(Sn)からなる群から選択される少なくとも1つの元素であり、aは、0より大きく0.2未満の値を有する。
【0039】
一例では、ドーパントは、四価のマンガンを含む。
【0040】
一例では、第1のフッ化物蛍光体粉末を処理溶液と混合することは、第1のPFS粉末を処理溶液中に少なくとも2の容量対重量比で配置することを含む。
【0041】
一例では、第1のフッ化物蛍光体粉末を処理溶液と混合することは、第1のフッ化物蛍光体粉末を処理溶液中に5以下の容量対重量比で配置することを含む。
【0042】
一例では、処理溶液は、フッ化水素酸を含む。
【0043】
一例では、処理溶液は、ドーパントを含まない第3のフッ化物蛍光体粉末を含む。
【0044】
一例では、液体の少なくとも一部を除去することは、第1のフッ化物蛍光体粉末と処理溶液との混合物から液体の少なくとも一部をデカントすることを含む。
【0045】
一実施形態では、方法は、四価のマンガンでドープされた第1のフッ化物蛍光体粉末をフッ化水素酸溶液と混合して混合物を形成することと、第1のフッ化物蛍光体粉末とフッ化水素酸溶液との混合物を少なくとも第1の所定時間の間攪拌することと、少なくとも第2の所定時間の間混合物の攪拌を停止して混合物の液体を混合物から分離させることと、液体の少なくとも一部を混合物から除去することと、(a)第1のフッ化物蛍光体粉末をフッ化水素酸溶液と混合すること、(b)混合物を攪拌すること、(c)混合物の攪拌を停止すること、および(d)液体の少なくとも一部を混合物から除去することを1回以上繰り返すことと、第1のPFS粉末をフッ化水素酸溶液と混合すること、混合物を攪拌すること、攪拌を停止すること、および液体の少なくとも一部を混合物から除去することを繰り返した後に、混合物から第2のフッ化物蛍光体粉末を得ることとを含む。第2のフッ化物蛍光体粉末は、第1のフッ化物蛍光体粉末と比較して減少した量のマンガンを含む。
【0046】
一例では、第1および第2のフッ化物蛍光体粉末は、四価のマンガンで賦活され、K
2[M
1−a−Mn
4+aF
6]で表されるフッ化物蛍光体を含み、式中、Mは、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、およびスズ(Sn)からなる群から選択される少なくとも1つの元素であり、aは、0より大きく0.2未満の値を有する。
【0047】
一例では、第1のフッ化物蛍光体粉末をフッ化水素酸溶液と混合することは、第1のフッ化物蛍光体粉末をフッ化水素酸溶液中に少なくとも2〜5以下の容量対重量比で配置することを含む。
【0048】
一例では、フッ化水素酸溶液は、マンガンを含まない第3のフッ化物蛍光体粉末を含む。
【0049】
一例では、液体の少なくとも一部を除去することは、第1のフッ化物蛍光体粉末とフッ化水素酸溶液との混合物から液体の少なくとも一部をデカントすることを含む。
【0050】
特に明記しない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語は、本開示が属する当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用される「第1の」、「第2の」などの用語は、いかなる順序、量、または重要性も意味するものではなく、むしろ1つの要素と別の要素とを区別するために使用される。また、単数形での記述(「1つの(a、an)」)は、量の限定を意味するものではなく、むしろそこで言及される項目が少なくとも1つ存在することを意味する。本明細書における「含む」、「備える」または「有する」ならびにこれらの変形の使用は、その後に列挙される項目およびその均等物ならびに追加の項目を含むことを意味する。「接続される」および「結合される」という用語は、物理的もしくは機械的な接続または結合に限定されず、直接的であるか間接的であるかを問わず、電気的および光学的な接続または結合を含むことができる。
【0051】
さらに、当業者には、異なる実施形態の様々な特徴を相互に交換できることは明らかであろう。記載した様々な特徴、ならびに各特徴に対応する他の公知の均等物は、当業者によって混合および整合されて、本開示の原理に従う追加的なシステムおよび技術を構築することが可能である。
【0052】
特許請求される装置の選択肢としての実施形態の説明において、分かり易くするために、具体的な専門用語を使用した。しかし、本発明は、そのように選択された具体的な専門用語に限定されない。したがって、各具体的な要素は、同様に動作することによって同様の機能を実現する、すべての技術的等価物を含むことが理解されるべきである。
【0053】
本明細書に記載され特許請求される様々な非限定的な実施形態は、具体的な用途のために別個に、組み合わせて、または選択的に組み合わせて使用され得ることに留意されたい。
【0054】
さらに、上記の非限定的な実施形態の様々な特徴のいくつかを使用すれば、他の記載される特徴を対応して使用しなくても、本発明の利点を得ることができる。したがって、前述の説明は、本発明の原理、教示、および例示的な実施形態を単に例示するものであり、本発明を限定するものではないと考えられるべきである。
【0055】
以下の特許請求の範囲の制限は、そのような特許請求の範囲の制限が表現「のための手段」の後にさらなる構造のない、機能に関する記述を明示的に使用しない限り、かつ使用するまで、ミーンズプラスファンクション形式で記述されるものではなく、米国特許法第112条(f)に基づいて解釈されることを意図するものではない。
【符号の説明】
【0056】
200 処理溶液
202 ヘキサフルオロケイ酸カリウム
204 フッ化水素酸
300 PFS粉末
302 混合物
400 容器
402 混合体
500 液体
700 希釈混合物