(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6966472
(24)【登録日】2021年10月25日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】回復可能な可変容量を備えた酸化装置を有する連続縦糸染色プラント
(51)【国際特許分類】
D06B 3/04 20060101AFI20211108BHJP
D06P 1/22 20060101ALI20211108BHJP
【FI】
D06B3/04
D06P1/22
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-555591(P2018-555591)
(86)(22)【出願日】2017年5月15日
(65)【公表番号】特表2019-516870(P2019-516870A)
(43)【公表日】2019年6月20日
(86)【国際出願番号】IB2017052845
(87)【国際公開番号】WO2017199154
(87)【国際公開日】20171123
【審査請求日】2019年12月3日
(31)【優先権主張番号】102016000049954
(32)【優先日】2016年5月16日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】591008465
【氏名又は名称】カール マイヤー テクスティルマシーネンファブリーク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフツング
【氏名又は名称原語表記】KARL MAYER TEXTILMASCHINENFABRIK GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ロンキ フランチェスコ
【審査官】
春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第104532501(CN,A)
【文献】
特公昭46−038631(JP,B1)
【文献】
特開平10−046466(JP,A)
【文献】
特表2001−518989(JP,A)
【文献】
特開2002−281136(JP,A)
【文献】
米国特許第06355073(US,B1)
【文献】
中国特許第1165646(CN,C)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06B1/00−23/30
D06P1/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦糸(100)を染色物質で連続染色する染色プラント(10)であって、
この染色プラント(10)は、
前記縦糸(100)が浸漬されるそれぞれの含浸槽又は染色槽(14A、14B、14C)をそれぞれが備え、一列に配置された複数の染色/圧搾群(12)と、
前記縦糸(100)を互いに平行な複数の垂直面上に配置するように構成された複数の上側及び下側リターンローラ(22A、22B)と、前記複数の染色/圧搾群(12)の下流に配置され、染色された前記縦糸(100)と最大可能量の空気との接触によって前記染色物質の酸化を可能にするように側方、下方及び上方に開かれた構造を形成する少なくとも一つの上側支柱(26)及び少なくとも一つの下側支柱(28)から構成される支持フレーム(24)とを含み、前記少なくとも一つの上側支柱(26)に複数の上側リターンローラ(22A)が取り付けられた酸化装置(20)と、
電子制御ユニット(50)と、を備え、
前記下側リターンローラ(22B)の少なくとも一部は、少なくとも一つのそれぞれの支持装置(30A、30B、30C)に回転自在に取り付けられ、
前記支持装置(30A、30B、30C)は、前記下側リターンローラ(22B)を対応する前記上側リターンローラ(22A)からの最大所定距離に保持するために前記支持装置(30A、30B、30C)が前記少なくとも一つの下側支柱(28)に配置される第1の作業位置と、前記下側リターンローラ(22B)を対応する前記上側リターンローラ(22A)からの最小所定距離に保持するために前記支持装置(30A、30B、30C)が前記少なくとも一つの上側支柱(26)に配置される第2の作業位置との間で垂直方向に移動可能である、ことを特徴とする染色プラント(10)。
【請求項2】
各可動支持装置(30A、30B、30C)は、複数の線形直立ガイド(32)に沿って垂直に移動し、前記線形直立ガイド(32)は、互いに平行な一対の下側支柱(28)と底部で一体化され、前記線形直立ガイド(32)は、互いに平行であると共に前記下側支柱(28)に平行な一対の上側支柱(26)と頂部で一体化され、
前記上側支柱(26)及び前記下側支柱(28)は、各可動支持装置(30A、30B、30C)の前記線形直立ガイド(32)と共に、前記上側リターンローラ(22A)及び前記下側リターンローラ(22B)を支持する平行六面体形状のケージの周辺部を構成する、請求項1に記載の染色プラント(10)。
【請求項3】
各可動支持装置(30A、30B、30C)は、隣接する可動支持装置(30A、30B、30C)の対応する上側支柱(26)から分離された上側支柱(26)を備える、請求項1又は2に記載の染色プラント(10)。
【請求項4】
各可動支持装置(30A、30B、30C)の線形直立ガイド(32)は、可逆的固定手段(46)によって前記下側支柱(26)と一体化される、請求項3に記載の染色プラント(10)。
【請求項5】
各可動支持装置(30A、30B、30C)は、前記支持フレーム(24)と、前記染色プラント(10)の前記電子制御ユニット(50)とに動作可能に結合された少なくとも一つの移動手段(34)を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の染色プラント(10)。
【請求項6】
一方の側が前記支持フレーム(24)に動作可能に結合され、他方の側が、対応する運動伝達手段によって、互いに分離された複数の可動支持装置(30A、30B、30C)に動作可能に結合された1又は2以上の移動手段(34)を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の染色プラント(10)。
【請求項7】
各移動手段(34)は、空気圧式移動手段、油圧式移動手段、電気式移動手段及び機械式移動手段で構成される群から選択される、請求項5又は6に記載の染色プラント(10)。
【請求項8】
各移動手段(34)は、空気圧式移動手段であり、前記支持フレーム(24)の固定部分と一体化された空気圧アクチュエータシリンダ(36)と、それぞれの可動支持装置(30A、30B、30C)と一体化された軸部(38)とで構成されている、請求項5又は6に記載の染色プラント(10)。
【請求項9】
各軸部(38)は、ガイドロッド(42)の介在によってそれぞれの可動支持装置(30A、30B、30C)と一体化される、請求項8に記載の染色プラント(10)。
【請求項10】
各可動支持装置(30A、30B、30C)は、第1の含浸槽又は染色槽(14A)の下流であって次の含浸槽又は染色槽(14B)の上流に配置される、請求項1から9のいずれか1項に記載の染色プラント(10)。
【請求項11】
1又は2以上の可動支持装置(30A、30B、30C)を前記支持フレーム(24)の前記少なくとも一つの下側支柱(28)と前記少なくとも一つの上側支柱(26)との間の所定の中間高さに配置するように構成された位置変換器(48)を備える、請求項1から10のいずれか1項に記載の染色プラント(10)。
【請求項12】
各可動支持装置(30A、30B、30C)は、前記染色プラント(10)の前記電子制御ユニット(50)に動作可能に接続された少なくとも一つのセンサを備え、該少なくとも一つのセンサは、各可動支持装置(30A、30B、30C)が前記支持フレーム(24)の前記上側支柱(26)及び前記下側支柱(28)にそれぞれ結合する上側及び/又は下側エンドストロークの最大限度に達したことを確認するように構成されている、請求項1から11のいずれか1項に記載の染色プラント(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に糸染めプラントに関し、具体的には、デニム生地の縦糸を面内で、インディゴ染料で染色する連続染色プラントに適用可能な酸化装置に関する。この酸化装置は、染色プラントに通された糸を、1回1回の染色後に回復可能な可変容量で酸化させるように構成される。
【背景技術】
【0002】
デニムは、ジーンズの生産に使用されるため、世界中で最も多く生産されている生地である。周知のように、ジーンズは、実際にほとんど世界中で使用されている市販のズボンである。
【0003】
デニムは、既にインディゴで染色されている縦糸チェーン(chain of warp)を無漂白の横糸と織り合わせることによって生産される。これらの糸は、いずれも綿製品である。縦糸チェーン(warp chains)は、インディゴで連続染色される。インディゴは、非常に特殊な特性を有する染料であり、特別な適用方法を必要とする。この染料は、比較的小さな分子を有し、綿などのセルロース繊維との親和性が非常に低く、適用するにはアルカリ溶液中で還元するだけでなく、脱水によって分離された複数回の含浸と、その後の空気による酸化とを行うことも必要である。実際には、好適な槽内で糸を最初の染料に曝した直後に連続槽において多くの過染料(overdyes)に曝すことによってのみ中間色又は暗色の色調が得られる。
【0004】
この独特な染色を行うプラントは、糸の浸漬及び酸化時間に関するいくつかの基本パラメータを尊重して構築されるべきである。これは、糸の色調を「高め」、すなわち暗くできるように、糸が染浴を最適に吸収し、圧搾後に完全に酸化してから次の槽に入るようにするためである。しかしながら、実際には全ての染色プラントメーカーが競合他社とは異なるパラメータを適用しており、従ってこれらのパラメータには大きなばらつきがある。さらに、ユーザは、獲得可能な結果をこれらの特定の要件に適合させるために特有のパラメータを必要とすることが非常に多い。
【0005】
汎用染色プラントでは、染色槽の数が6個〜8個であり、染浴中における糸の浸漬時間は約8秒〜約20秒であるのに対し、圧搾後の糸自体の酸化時間は約60秒〜約80秒である。このことは、次の染色槽に再び浸漬する前に約60〜80秒にわたって糸を曝気させたままにしておかなければならないことを意味する。この曝気時間は、染色プラントの全ての槽について繰り返される。
【0006】
平均染色速度は、毎分25メートル〜40メートルであると考えることができる。この結果、全ての染色槽について、それぞれの染浴に浸漬される糸の量は平均で約4〜11メートルに等しいのに対し、一つの染色槽と次の染色槽との間で曝気される糸の量は約30〜40メートルに及ぶ。
【0007】
従って、8つの染色槽を有する標準的なプラントを例に取ると、染色槽及び関連する一群の酸化シリンダのみに通された糸は相当な長さに達する可能性がある。この場合の糸の最大長は、[(11メートル×8槽=88メートル)+(40メートル×8酸化装置=320メートル)]という式に基づいて408メートルに等しい。この糸の量は、染色プラントの他の部分(糸の前処理槽及び最終洗浄槽、染色プラントが接続される選別機など)を通ることによるわずかな量が加わると、実際には合計約500/600メートルに達し、このことがプラント自体の制御を困難にする一因となっている。
【0008】
従来の染色プラントで遭遇する大きな欠点は、バッチの変更毎に大量の糸が失われることに起因する。この作業条件では、実際に染色が終わって停止後にプラント内に残っている糸のバッチの最後尾を構成する糸は、均一に染色されないという理由で上述の量全体が失われると考えなければならない。同様に、新たな染浴の開始を構成する、最後尾の糸に接続されて(技術的要件及び安全要件のために低速で行われる)染色プラントの通過時に最後尾の糸に取って代わる同量の糸も均一に染色されず、従って排除しなければならない。
【0009】
なお、染色槽の数の減少を可能にする不活性環境での新たな染色技術を有するごくわずかなプラントでは、上述した糸の量の減少が既に可能である。この不活性環境での染色技術は、同一出願人に付与された欧州特許第1771617号及び欧州特許第1971713号に記載されている。上述した糸の量の減少は、例えば、やはり同一出願人に付与された欧州特許第0533286号に記載されているような酸化増強装置を有する少数のプラントにおいても可能である。
【0010】
しかしながら、産業史は、新技術導入後の困難さ及びリラクタンスを物語っている。従って、適合性、生産の均一性、技術的慣性、特定の市場状態、流行などによる窒素下の染色プラントもわずかな単位でしか製造されなかった。
【0011】
一方で、酸化増強装置ははるかに大きな成功をおさめたが、これらの装置を備えた染色プラントの数は、全ての稼働中の染色プラント及び新たに構築される染色プラントのうちのごくわずかな部分でしかなく、しかもこれらのほとんどは未だに古典的な一群の空気シリンダを酸化装置として採用している。酸化増強装置は、曝気される糸の量を大幅にではなく部分的に減少させることができた。いずれの場合にも、この曝気される糸の量の減少は、一定の経済的投資だけでなく、持続的なエネルギーコスト及び恒常的なフィルタ洗浄作業、並びに必要なメンテナンスをも必要とする機械的装置を適用して得られるものである。
【0012】
さらなる先行技術文献としては、米国特許第6355073号が挙げられるが、この文献には、回復可能な可変容量を有する酸化装置ではなく、むしろインディゴ及びその他の染料で縦糸チェーンを連続的に染色する、商業的に「リアクタ」と呼ばれるモジュールが示されている。日本国特許第3706689号には、帯状の生地又は糸に生成物質を連続適用するための装置が示されている。実際には、生成物質がポンプによってコレクタに供給され、コレクタがこのような生成物質を偏向器上に堆積させ、偏向器がこのような生成物質を別の形で帯上に移送する。独国特許出願公開第4342313号には、不活性環境におけるインディゴ染色モジュールが示されている。最後に、中国特許出願公開第103938387号は、染色部の出口に気化器が配置された従来の索状の連続インディゴ染色機に関する。
【0013】
上記を踏まえると、バッチ作業の終了中、すなわち新たな糸のバッチの導入に必要な染色プラントの停止前と、新たな糸のバッチの開始作業中、すなわちプラントが低速で始動している期間との両方における相対的劣化の原因である、酸化装置において曝気される糸の量を実質的に低減できる必要性が存在することは明らかである。上記の作業では、この可能性が、少なくとも400/500メートルの縦糸チェーンの回収を手堅く定量化できる実質的な経済的節約につながるとともに、環境保護及び持続可能性への価値ある貢献ももたらすようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】欧州特許第1771617号明細書
【特許文献2】欧州特許第1971713号明細書
【特許文献3】欧州特許第0533286号明細書
【特許文献4】米国特許第6355073号明細書
【特許文献5】日本国特許3706689号公報
【特許文献6】独国特許出願公開第DE4342313号明細書
【特許文献7】中国特許出願公開第103938387号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、本発明の目的は、糸染めプラント、とりわけインディゴ染色プラントに適用可能な、上述した先行技術の欠点をきわめて単純でコスト効率の高い、とりわけ合理的かつ機能的な形で克服できる酸化装置を形成することである。
【0016】
詳述すれば、本発明の目的は、各糸のバッチの最後、すなわち新たな糸のバッチを導入するためにプラントを停止させる前、並びに新たな糸のバッチの開始時に、空気中で酸化を受ける糸の量を大幅に減少させることができる連続インディゴ染色プラントのための酸化装置を形成することである。
【0017】
これにより、酸化によって曝気される糸チェーンの量を、標準的な酸化装置が必要とする通路の変更を伴わずに染色工程、糸の本数、作業速度などの要件に従って必要最低限に変更してプラントの制御を容易にできる可能性があるという、二次的ではあるが少なからず重要な利点が得られるようになる。さらなる利点は、必要なアクチュエータ装置を好適に備えた酸化装置を用いて、古典的なダンディロールに取って代わる一つの染色群と次の染色群とを同期させる調整機能を実行して糸の張力を一定に保つ可能性から構成される。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明による上記及びその他の目的は、請求項1に概説するような糸染めプラントを形成することによって、具体的には連続インディゴ染色プラントに適用可能な酸化装置を形成することによって達成される。
【0019】
本発明のさらなる特徴は、本明細書の不可欠な部分である従属請求項によって明らかになる。
【0020】
添付の概略図面を参照して限定目的ではなく一例として示す以下の説明から、本発明による連続インディゴ染色プラントのための酸化装置の特徴及び利点が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明による回復可能な可変容量を有する酸化装置を取り付けることができる、複数の染色/圧搾群を備えた汎用連続インディゴ染色プラントの側面図である。
【
図2】先行技術による固定容量を有する酸化装置が間に配置された3つの染色/圧搾群を備えた汎用染色プラントの一部の概略図である。
【
図3】本発明による、最大容量の位置で示す回復可能な可変容量を有する酸化装置が間に配置された3つの染色/圧搾群を備えた汎用染色プラントの一部の概略図である。
【
図4】本発明による、最小容量の位置で示す回復可能な可変容量を有する酸化装置が間に配置された3つの染色/圧搾群を備えた汎用染色プラントの一部の概略図である。
【
図5】本発明による回復可能な可変容量を有する酸化装置の特定の実施形態を最大容量の位置で示す斜視図である。
【
図6】
図5の回復可能な可変容量を有する酸化装置を最小容量の位置で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1を具体的に参照すると、全体として参照番号10で示す汎用連続糸染めプラント(generic continuous dyeing plant for threads)が示されている。とりわけ、プラント10は、拡布染色システム(open width dyeing system)に従って動作するように構成されたプラントである。
【0023】
プラント10は、一列に配置された複数の染色/圧搾群(dyeing/squeezing groups)12を含み、これらの各々は、
図1のプラント表現では左から右へ進む縦糸100が染色物質を含む染浴に浸漬されるそれぞれの含浸槽又は染色槽14A、14B、14Cを備える。例えば、染浴は、アルカリ性のインディゴ染料溶液から構成することができる。
【0024】
図2〜
図4に示すように、縦糸100は、それぞれのガイドローラ16を通り過ぎて各槽14A、14B、14Cに到達した後に、複数のリターンローラ18に巻き付いて槽14A、14B、14Cに漬かる。縦糸100は、各槽14A、14B、14Cの出口において、いわゆる圧搾パッダー(squeezing padder)を構成する一対の圧搾シリンダ40間を通って圧搾を受ける。
【0025】
縦糸100の酸化は、染色プラント10の、第1の槽14Aの出口における圧搾シリンダ40の対と次の槽14Bに結合するガイドローラ16との間に配置された区域で行われる。従って、縦糸100の酸化は、互いに平行な複数の垂直面上を連続して移動する縦糸100を、曝気される表面を増加させるように整えるよう構成された複数のリターンローラ22A、22Bを含む好適な酸化装置20によって行われる(
図2〜4を参照)。
【0026】
例えば、
図2に示すような従来の酸化装置20は、リターンローラ22A、22Bが回転自在に取り付けられた支持フレーム24から構成される。通常、支持フレーム24は、染色/圧搾群12の下流に配置され、染色された縦糸100と最大可能量の空気との接触によって染色物質の酸化を可能にするように側方、下方及び上方に開かれた構造から構成される。従って、支持フレーム24は、複数の上側リターンローラ22Aと複数の下側リターンローラ22Bとがそれぞれ取り付けられた少なくとも一つの上側支柱26と少なくとも一つの下側支柱28とを含む。上側支柱26と下側支柱28との間の、従って上側リターンローラ22Aと下側リターンローラ22Bとの間の距離は一定である。この結果、従来の酸化装置20は固定容量を有し、換言すれば2つの連続槽14A、14B、14C間で曝気される糸100の量は不変である。
【0027】
図3及び
図4に概略的に示す本発明による酸化装置20も、染色/圧搾群12の下流に配置されて、染色された縦糸100と最大可能量の空気との接触によって染色物質の酸化を可能にするように側方、下方及び上方に開かれた構造から構成される支持フレーム24を含む。ここでも、支持フレーム24は、少なくとも一つの上側支柱26及び少なくとも一つの下側支柱28から構成される。上側支柱26には複数の上側リターンローラ22Aが取り付けられるのに対し、下側リターンローラ22Bの少なくとも一部は、少なくとも一つのそれぞれの可動支持装置30A、30B、30Cに回転自在に取り付けられる。詳述すれば、各支持装置30A、30B、30Cは、このような可動支持装置30A、30B、30Cが支持フレーム24の下側支柱28の近くに配置されて下側リターンローラ22Bを対応する上側リターンローラ22Aから最大所定距離に保持する第1の作業位置(
図3)と、このような可動支持装置30A、30B、30Cが支持フレーム24の上側支柱26の近くに配置されて下側リターンローラ22Bを対応する上側リターンローラ22Aから最小所定距離に保持する第2の作業位置(
図4)との間で垂直方向に移動可能である。
【0028】
換言すれば、本発明による酸化装置20は、下側リターンローラ22Bの少なくとも一部のための可動プラットホームから動作する複数の可動支持装置30A、30B、30Cを備える。好適に誘導されて張力を掛けられる各可動支持装置30A、30B、30Cは、酸化装置20の支持フレーム24の内側で上昇及び下降することができ、従って酸化装置20の使用容量自体を変化させて、縦糸100のバッチステップの変更(染色プラント10停止/再始動)時に染色プラント10に含まれる糸100の量を大幅に低減して糸100の廃棄を避けることができる。
【0029】
図5及び
図6の特定の実施形態を参照すると、本発明による酸化装置20の各可動支持装置30A、30B、30Cは、底部が支持フレーム24の互いに平行な一対の下側支柱28と一体化し、頂部がこのような支持フレーム24の互いに平行であって下側支柱28にも平行な一対の上側支柱26と一体化した複数の線形直立ガイド(linear guide uprights)32に沿って垂直に移動することができる。換言すれば、支持フレーム24の上側支柱26及び下側支柱28は、各可動支持装置30A、30B、30Cの線形直立ガイド32と共に、上側リターンローラ22A及び下側リターンローラ22Bを支持する平行六面体形状のケージの周辺部を構成する。
【0030】
酸化装置20の各可動支持装置30A、30B、30Cは、酸化装置20全体をモジュール式にするように、隣接する可動支持装置30A、30B、30Cの対応する上側支柱26から分離された上側支柱26を備えることもできる。換言すれば、各可動支持装置30A、30B、30Cの線形直立ガイド32は、例えばボルトのような可逆的固定手段46によって下側支柱28と一体化することができる。
【0031】
酸化装置20の各可動支持装置30A、30B、30Cは、酸化装置20の支持フレーム24と染色プラント10の電子制御ユニット50とに動作可能に結合された少なくとも一つの移動手段34を備えることができる。或いは、一方の側が酸化装置20の支持フレーム24に結合され、他方の側が、互いに分離された複数の可動支持装置30A、30B、30Cに、(図示してはいないが、例えばベルト、チェーン又は伝動軸から構成される)対応する運動伝達手段を介して動作可能に結合された、単一の移動手段34又は複数の移動手段34を設けることもできる。
【0032】
各移動手段34は、区別なく空気圧式、油圧式、電気式又は機械式とすることができ、或いはこのようなシステムの組み合わせで構成することができる。
図5及び
図6に示す実施形態では、移動手段34が空気圧式であり、ガイドロッド42の介在によってそれぞれの可動支持装置30A、30B、30Cと一体化された軸部38を有する、支持フレーム24の固定部分に一体化された空気圧アクチュエータシリンダ36で構成される。
【0033】
本発明による酸化装置20は、以下のステップを有するプロセスによって、酸化のために曝気される糸100の量を変化させることができる。通常、インディゴ染色工程中には、染色プラント10の全ての可動支持装置30A、30B、30Cがそれぞれの支持フレーム24上の底部に、換言すれば
図3の第1の作業位置に配置される。縦糸100は、重量要件に従って、1又は2以上の空気圧ピストンなどによってそれ自体既知の方法で張力を加えられる。この可動支持装置30A、30B、30Cの第1の作業位置では、酸化のために曝気される糸100が最大量存在する。
【0034】
位置変換器48を用いて、1又は2以上の可動支持装置30A、30B、30Cを支持フレーム24の下側支柱28と上側支柱26との間の所定の中間高さに配置することもできる。この中間高さは、染色プラント10を通る糸100の量を増減させるように自動及び/又は手動で設定及び/又は修正して、考えられる生産要件に適合させることができる。
【0035】
染色する各糸のバッチの最後には、染色プラント10を供給する縦糸100が、新たな糸のバッチの予備部分と結ぶ必要がある数メートルの予備部分を除いて実質的に全て通される。この作業条件では、駆動カランダー(driving calandar)から第1の染色槽14Aの圧搾シリンダ40までの縦糸100の全ての牽引モータが停止し、このような第1の染色槽14Aの下流に配置された染色プラント10の部分の残りの全てのモータが動作状態のままになる。
【0036】
第1の染色槽14Aの上流に配置された縦糸100の牽引モータと、第1の染色槽14A自体に属する縦糸100の牽引モータとが全て停止すると、第1の染色槽14Aの直ぐ下流に配置された酸化装置20の部分を通過した縦糸100が強制的に染色プラント10に供給される。この結果、上述した第1の染色槽14Aの直ぐ下流に配置された酸化装置20の部分を通る糸100の量が減少することに比例して、第1の染色槽14Aと第2の染色槽14Bとの間に配置された第1の可動支持装置30Aが上昇する。
【0037】
第1の可動支持装置30Aの上昇は、
図4のそれぞれの第2の作業位置に達するまで、換言すれば支持フレーム24の上側支柱26に関連する上側エンドストロークの最大限度に達するまで継続する。染色プラント10の電子制御ユニット50は、各可動支持装置30A、30B、30C上に設けられた少なくとも一つのセンサ52に動作可能に接続される。この結果、第1の可動支持装置30Aが上側エンドストロークの最大限度に達したことがセンサ52によって確認されると、電子制御ユニット50は、第2の染色槽14Bの圧搾シリンダ40の作動モータを停止させる。
【0038】
上述した動作は、第2の染色槽14Bと第3の染色槽14Cとの間に配置された第2の可動支持装置30B、並びにその次の全ての染色槽についても同じ形で逐次的に繰り返される。酸化装置20の端部、すなわち最後の可動支持装置の端部が空になると、染色プラント10の依然として動作中の残りの全てのモータ、すなわち全ての染色/圧搾群12の下流に配置された洗浄槽44のモータが全て停止する。
【0039】
従って、本発明による連続インディゴ染色プラントに適用可能な酸化装置20は、上記で明らかにした目的を達成することが分かる。従来の酸化装置を備えた染色プラントでは廃棄されていた、酸化装置20に通された糸100の量の控えめに言っても少なくとも80%を2回取り戻し、従って使用できるという明らかな利点に加え、バッチ作業の変更に必要な時間が実質的に短縮されるという利点がある。
【0040】
酸化装置20のリターンローラ22A、22Bの可動支持装置30A、30B、30Cを構成する可動プラットホームを最大上限に配置することによって、染色部に含まれる糸100の量が最小限まで減少することにより、バッチ作業の変更中に技術的理由及び安全性の理由で低速で行わなければならない糸100の2つのバッチ及びその幅を調整するコーム(combs)の結び目(joining knots)を通すのに必要な時間が大幅に減少する。
【0041】
さらに、その後の新たな糸100のバッチの開始作業においても、染色作業の終了時を参照して上述した利点と同じ利点が得られる。これらの作業は逆方向に行われ、すなわち染色プラント10に新たな糸100のバッチを低速で導入し、可動支持装置30A、30B、30Cの全てに糸100を最低量だけ、換言すれば
図4の第2の作業位置において通す。その後、第1の染色槽14Aの可動支持装置から最後の染色槽の可動支持装置まで可動支持装置30A、30B、30Cを順に下向きに移動させることによって酸化装置20の全容量を回復させた後に、従来通りに糸100の染色作業を進める。この場合、染色プラント10の電子制御ユニットは、様々な可動支持装置30A、30B、30Cが(支持フレーム24の下側支柱28に関連する)下側エンドストロークの最大限度に達していることを確認して染色/圧搾群12の作動モータを順に始動させるように構成される。
【0042】
本発明による回復可能な可変容量を有する酸化装置20は、従来のあらゆるインディゴ染色プラントに挿入することができる。その同じ染色プラント10に、要件に従って様々な数の可動支持装置30A、30B、30Cを設けることもできる。
【0043】
このように想起される本発明の連続インディゴ染色プラントに適用可能な酸化装置には、いかなる場合にも数多くの修正及び変形を行うことができ、これらは全て同じ発明概念に該当し、これらの詳細は、全て技術的に同等の要素に置き換えることができる。実際のところ、使用する材料、並びに形状及びサイズは、技術的要件に従うものであればどのようなものでもよい。
【0044】
従って、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定められる。
【符号の説明】
【0045】
12 染色/圧搾群
14A 第1の染色槽
14B 第2の染色槽
14C 第3の染色槽
16 ガイドローラ
18 リターンローラ
20 酸化装置
22A 上側リターンローラ
22B 下側リターンローラ
24 支持フレーム
26 上側支柱
28 下側支柱
30A 第1の可動支持装置
30B 第2の可動支持装置
30C 第3の可動支持装置
32 線形直立ガイド
40 圧搾シリンダ
46 可逆的固定手段
100 糸