(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記検知手段による前記車線変更意図の検知後に、前記車両が走行する車線または走行状況に応じて、前記車線変更制御を中止することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の制御システム。
前記制御手段は、前記車線変更制御の実行中に前記検知手段により前記ドライバーからの車線変更の中止指示を受け付けた場合、前記車線変更制御を中止することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の制御システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用制御装置のブロック図であり、車両1を制御する。
図1において、車両1はその概略が平面図と側面図とで示されている。車両1は一例としてセダンタイプの四輪の乗用車である。
【0012】
図1の制御装置は、制御ユニット2を含む。制御ユニット2は車内ネットワークにより通信可能に接続された複数のECU20〜29を含む。各ECUは、CPUに代表されるプロセッサ、半導体メモリ等の記憶デバイス、外部デバイスとのインタフェース等を含むコンピュータとして機能する。記憶デバイスにはプロセッサが実行するプログラムやプロセッサが処理に使用するデータ等が格納される。各ECUはプロセッサ、記憶デバイスおよびインタフェース等を複数備えていてもよい。
【0013】
以下、各ECU20〜29が担当する機能等について説明する。なお、ECUの数や、担当する機能については適宜設計可能であり、本実施形態よりも細分化したり、あるいは、統合することが可能である。
【0014】
ECU20は、車両1の自動運転に関わる制御を実行する。自動運転においては、車両1の操舵と、加減速の少なくともいずれか一方を自動制御する。後述する制御例では、操舵と加減速の双方を自動制御する。
【0015】
ECU21は、電動パワーステアリング装置3を制御する。電動パワーステアリング装置3は、ステアリングホイール31に対する運転者の運転操作(操舵操作)に応じて前輪を操舵する機構を含む。また、電動パワーステアリング装置3は操舵操作をアシストしたり、あるいは、前輪を自動操舵するための駆動力を発揮するモータや、操舵角を検知するセンサ等を含む。車両1の運転状態が自動運転の場合、ECU21は、ECU20からの指示に対応して電動パワーステアリング装置3を自動制御し、車両1の進行方向を制御する。
【0016】
ECU22および23は、車両の周囲状況を検知する検知ユニット41〜43の制御および検知結果の情報処理を行う。検知ユニット41は、車両1の前方を撮影するカメラであり(以下、カメラ41と表記する場合がある。)、本実施形態の場合、車両1のルーフ前部でフロントウィンドウの車室内側に取り付けられる。カメラ41が撮影した画像の解析により、物標の輪郭抽出や、道路上の車線の区画線(白線等)を抽出可能である。
【0017】
検知ユニット42は、Light Detection and Ranging(LIDAR:ライダ)であり(以下、ライダ42と表記する場合がある)、車両1の周囲の物標を検知したり、物標との距離を測距する。本実施形態の場合、ライダ42は5つ設けられており、車両1の前部の各隅部に1つずつ、後部中央に1つ、後部各側方に1つずつ設けられている。検知ユニット43は、ミリ波レーダであり(以下、レーダ43と表記する場合がある)、車両1の周囲の物標を検知したり、物標との距離を測距する。本実施形態の場合、レーダ43は5つ設けられており、車両1の前部中央に1つ、前部各隅部に1つずつ、後部各隅部に一つずつ設けられている。
【0018】
ECU22は、一方のカメラ41と、各ライダ42の制御および検知結果の情報処理を行う。ECU23は、他方のカメラ41と、各レーダ43の制御および検知結果の情報処理を行う。車両の周囲状況を検知する装置を二組備えたことで、検知結果の信頼性を向上でき、また、カメラ、ライダ、レーダといった種類の異なる検知ユニットを備えたことで、車両の周辺環境の解析を多面的に行うことができる。
【0019】
ECU24は、ジャイロセンサ5、GPSセンサ24b、通信装置24cの制御および検知結果あるいは通信結果の情報処理を行う。ジャイロセンサ5は車両1の回転運動を検知する。ジャイロセンサ5の検知結果や、車輪速等により車両1の進路を判定することができる。GPSセンサ24bは、車両1の現在位置を検知する。通信装置24cは、地図情報や交通情報を提供するサーバと無線通信を行い、これらの情報を取得する。ECU24は、記憶デバイスに構築された地図情報のデータベース24aにアクセス可能であり、ECU24は現在地から目的地へのルート探索等を行う。
【0020】
ECU25は、車車間通信用の通信装置25aを備える。通信装置25aは、周辺の他車両と無線通信を行い、車両間での情報交換を行う。
【0021】
ECU26は、パワープラント6を制御する。パワープラント6は車両1の駆動輪を回転させる駆動力を出力する機構であり、例えば、エンジンと変速機とを含む。ECU26は、例えば、アクセルペダル7Aに設けた操作検知センサ7aにより検知した運転者の運転操作(アクセル操作あるいは加速操作)に対応してエンジンの出力を制御したり、車速センサ7cが検知した車速等の情報に基づいて変速機の変速段を切り替える。車両1の運転状態が自動運転の場合、ECU26は、ECU20からの指示に対応してパワープラント6を自動制御し、車両1の加減速を制御する。
【0022】
ECU27は、方向指示器8(ウィンカ)を含む灯火器(ヘッドライト、テールライト等)を制御する。
図1の例の場合、方向指示器8は車両1の前部、ドアミラーおよび後部に設けられている。
【0023】
ECU28は、入出力装置9の制御を行う。入出力装置9は運転者に対する情報の出力と、運転者からの情報の入力の受け付けを行う。音声出力装置91は運転者に対して音声により情報を報知する。表示装置92は運転者に対して画像の表示により情報を報知する。表示装置92は例えば運転席正面に配置され、インストルメントパネル等を構成する。なお、ここでは、音声と表示を例示したが振動や光により情報を報知してもよい。また、音声、表示、振動または光のうちの複数を組み合わせて情報を報知してもよい。更に、報知すべき情報のレベル(例えば緊急度)に応じて、組み合わせを異ならせたり、報知態様を異ならせてもよい。
【0024】
入力装置93は運転者が操作可能な位置に配置され、車両1に対する指示を行うスイッチ群であるが、音声入力装置も含まれてもよい。
【0025】
ECU29は、ブレーキ装置10やパーキングブレーキ(不図示)を制御する。ブレーキ装置10は例えばディスクブレーキ装置であり、車両1の各車輪に設けられ、車輪の回転に抵抗を加えることで車両1を減速あるいは停止させる。ECU29は、例えば、ブレーキペダル7Bに設けた操作検知センサ7bにより検知した運転者の運転操作(ブレーキ操作)に対応してブレーキ装置10の作動を制御する。車両1の運転状態が自動運転の場合、ECU29は、ECU20からの指示に対応してブレーキ装置10を自動制御し、車両1の減速および停止を制御する。ブレーキ装置10やパーキングブレーキは車両1の停止状態を維持するために作動することもできる。また、パワープラント6の変速機がパーキングロック機構を備える場合、これを車両1の停止状態を維持するために作動することもできる。
【0026】
<制御機能の例>
本実施形態に係る車両1の制御機能は、車両1の駆動、制動、操舵の制御に関わる走行関連機能と、運転者に対する情報の報知に関わる報知機能と、を含む。
【0027】
走行関連機能としては、例えば、車線維持制御、車線逸脱抑制制御(路外逸脱抑制制御)、車線変更制御、前走車追従制御、衝突軽減ブレーキ制御、誤発進抑制制御を挙げることができる。報知機能としては、隣接車両報知制御、前走車発進報知制御を挙げることができる。
【0028】
車線維持制御とは、車線に対する車両の位置の制御の一つであり、車線内に設定した走行軌道上で車両を自動的に(運転者の運転操作によらずに)走行させる制御である。車線逸脱抑制制御とは、車線に対する車両の位置の制御の一つであり、白線または中央分離帯を検知し、車両が線を超えないように自動的に操舵を行うものである。車線逸脱抑制制御と車線維持制御とはこのように機能が異なっている。
【0029】
車線変更制御とは、車両が走行中の車線から隣接車線へ車両を自動的に移動させる制御である。なお、車線変更制御においては、その動作を行う際のトリガとして複数のパターンが存在しうる。例えば、ドライバーの指示に起因して車線変更が可能な否かを判断し、可能であると判定した際に車線変更を開始する場合がある。また、車線変更が可能であると車両側で判断した場合にその旨をドライバーに通知し、その通知に対するドライバーの指示に基づいて車線変更を開始する場合がある。また、車両側にて車線変更が可能か否かを判断し、可能であると判定した際に自動で車線変更を行う場合がある。以下では、ドライバーからの車線変更指示を受け付ける構成を例に挙げて説明する。
【0030】
前走車追従制御とは、自車両の前方を走行する他車両に自動的に追従する制御である。衝突軽減ブレーキ制御とは、車両の前方の障害物との衝突可能性が高まった場合に、自動的に制動して衝突回避を支援する制御である。誤発進抑制制御は、車両の停止状態で運転者による加速操作が所定量以上の場合に、車両の加速を制限する制御であり、急発進を抑制する。
【0031】
隣接車両報知制御とは、自車両の走行車線に隣接する隣接車線を走行する他車両の存在を運転者に報知する制御であり、例えば、自車両の側方、後方を走行する他車両の存在を報知する。前走車発進報知制御とは、自車両およびその前方の他車両が停止状態にあり、前方の他車両が発進したことを報知する制御である。これらの報知は上述した車内報知デバイスにより行うことができる。
【0032】
<制御レベル>
本実施形態に係る車両1における運転支援制御の制御レベルについて説明する。本実施形態に係る運転支援制御の制御レベルは、車両1の制御状態であり、複数の段階が存在する。各制御レベルに応じて、車両1が自律的に実行可能な動作や、動作可能な場所は異なる。また、各レベルに応じて、ドライバーに要求される動作や操作が異なる。本実施形態では、以下の3つのレベルを例に挙げて説明する。なお、ここでは便宜上「レベル」との表現を用いているが、各レベルの上下関係を制限するものではなく、それぞれの制御状態を示しているものとする。
レベルA:ドライバーによる周辺監視義務「必要」、ハンドル把持「必要」
車線維持制御「可能」、車線変更制御「可能」、動作エリア制限なし
レベルB:ドライバーによる周辺監視義務「必要」、ハンドル把持「不要」
車線維持制御「可能」、車線変更制御「可能」、所定エリアのみ動作可能
レベルC:ドライバーによる周辺監視義務「不要」、ハンドル把持「不要」
車線維持制御「可能」、車線変更制御「不可」、所定エリアのみ動作可能
【0033】
<車線変更意図に係る構成>
上述したレベルCにおいて、ドライバーによる車線変更意図を検知するための構成について説明する。
【0034】
本実施形態において、ドライバーが車線変更意図を示す場合、ウィンカーレバーを用いる例について説明する。
図2は、本実施形態に係るウィンカーレバー200の動作の概要を示す。ここでは、ハンドルの右側にウィンカーレバー200が配置されている例について説明する。本実施形態では、ウィンカーレバー200は、位置201〜位置205の5段階の位置に遷移可能である。位置201は、車両1を左側へ移動(もしくは、左折)する際に配置する位置であり、ここに移動させた場合にはウィンカーレバー200は固定される。固定された場合には、ハンドルを時計回りに回転させるか、ドライバーによるウィンカーレバー200の操作により固定された状態が解除される。同様に、位置205は、車両1を右側へ移動(もしくは、右折)する際に配置する位置であり、ここに移動させた場合にはウィンカーレバー200は固定される。位置203は、ウィンカーレバー200の通常の位置を示す。位置202、204はそれぞれ、位置201、205へ遷移する際の中間位置となり、この位置までウィンカーレバー200を移動させたのち手を放すと、ウィンカーレバー200は自動的に位置203へ戻る。以下の説明において、位置201、205をロックポジション、位置202、204をハーフポジション、位置203をノーマルポジションとも称する。
【0035】
上述したように、レベルCでは周辺監視義務およびハンドルの把持は要求されない。本実施形態では、このような状態において、ドライバーによる車線変更する方向に対応するウィンカーレバー200の操作を受け付けた場合に、車線変更意図があるものとして動作させる。
【0036】
<動作タイミング>
図3は、本実施形態に係る車線変更動作に係るタイミングチャートを示す。
図3において、車両1の制御レベル、ウィンカーレバーの操作、車線変更動作のタイミングが対応付けて示されている。横軸は時間の経過を示し、縦軸はそれぞれ操作もしくは動作内容を示している。
【0037】
ここでは、制御レベルAとして車両Vが制御されている時点から示している。レベルAにて制御されている車両Vは、条件を満たすことにより、制御レベルが、レベルB、レベルCと遷移する。そして、レベルCにて制御されている際に、ドライバーによりウィンカーレバーの操作が行われたとする。ここでは、レベルCの状態において、ウィンカーレバーを3秒間、ハーフポジションにとなるように操作した場合、そのハーフポジションの方向に対応する車線への車線変更を意図するものとして説明する。ハーフポジションの操作が行われた後、ウィンカーレバーはノーマルポジションへの自動的に移動する。なお、車線変更指示を行うウィンカーレバーの操作内容は上記に限定するものではなく、例えば、ロックポジションなどを利用した操作であってもよい。
【0038】
車両1が上記操作を検知すると、制御レベルがレベルBへと遷移する。その後、車両1の車線変更動作が開始される。車線変更動作が完了した後、再度、制御レベルがレベルCへと遷移されることとなる。
【0039】
<制御フロー>
図4は、本実施形態に係る制御フローを示す図である。本処理フローは、運転支援制御レベルが上述したレベルCに遷移時に開始される。各制御は、上述したような車両が備える各種EUC等が連携して処理を行うが、ここでは、説明を簡単にするために処理主体を車両1の制御システム2として示す。
【0040】
S401にて、制御システム2は、車両1の制御レベルがレベルCへ遷移可能な否かを判定する。レベルCに遷移可能な条件として、所定エリアを走行中である場合に遷移可能と判定される。その他にも遷移するための条件は、周辺の他車両や走行状況に応じて変化してよい。遷移可能と判定された場合は(S401にてYES)S402へ進み、遷移可能と判定された場合は(S401にてNO)現在の制御レベルを維持した状態で本処理フローを終了する。
【0041】
S402にて、制御システム2は、ドライバーに対し、レベルが遷移することを通知する。ここでの通知方法はレベルCへ遷移することのみを通知してもよいし、レベルCにてドライバーに要求される義務や実施可能な動作について通知してもよい。また、通知方法としては、音声にて通知してもよいし、表示部にて表示を行うような構成であってもよい。
【0042】
S403にて、制御システム2は、車両1の制御レベルをレベルCへ遷移させる。
【0043】
S404にて、制御システム2は、渋滞時における先行車への自動追従機能による走行可能か否かを判定する。ここでの判定は、自車両と先行車との車間距離や走行速度、周辺状況などに応じて判定してよく、特に限定するものではない。自動追従可能であると判定された場合は(S404にてYES)S405へ進み、自動追従が不可であると判定された場合は(S404にてNO)現状の制御レベル(ここではレベルC)を維持した状態で本処理フローを終了する。
【0044】
S405にて、制御システム2は、渋滞時における自動追従機能による走行を開始する。
【0045】
S406にて、制御システム2は、渋滞時における自動追従機能による走行中にドライバーによる車線変更意図を検知したか否かを判定する。ここでの車線変更意図は、
図2にて示したようにドライバーのウィンカーレバー200の操作を受け付けたことに基づいて判定する。車線変更意図を検知した場合は(S406にてYES)S407へ進み、検知していない場合は(S406にてNO)現状の制御レベル(ここではレベルC)を維持した状態で本処理フローを終了する。
【0046】
S407にて、制御システム2は、レベル遷移要件を満たすか否かを判定する。本実施形態では、ドライバーの車線変更意図を検知した場合には、レベルCからレベルBに遷移した上で車線変更を行うものとする。そのため、ここでの判定では、ドライバーがレベルBに求められる動作義務を満たしているか否かを判定する。本例では、周辺監視が行われていることをレベルBへの遷移の要件とする。例えば、車両1に設けられた車内カメラなどにより取得される画像に基づいて特定されるドライバーの視線の向きなどを用いて、ドライバーが周辺の監視を行っているか否かが判定される。レベル遷移要件を満たすと判定された場合(S407にてYES)S409へ進み、満たさないと判定された場合(S407にてNO)S408へ進む。
【0047】
S408にて、制御システム2は、ドライバーに対し、車線変更を実施するための要件を通知する。具体的には、S407にて行われたレベルBへの遷移の要件を満たすようにドライバーに通知する。例えば、周辺の監視を行うように通知してよい。その後、S407へ戻る。なお、ここで車線変更実施要件を通知した後、所定の時間が経過してもその要件が満たされない場合は、車線変更を不許可として、本処理フローを終了してもよい。この場合に、要件が満たされなかったことを通知してもよい。また、この場合には、レベルの遷移(ここでは、レベルBへの遷移)は行われないこととなる。
【0048】
S409にて、制御システム2は、ドライバーに対し、車線変更に伴って車両1の制御レベルが遷移することを通知する。ここでの通知方法はレベルBへ遷移することのみを通知してもよいし、レベルBにてドライバーに要求される義務や実施可能な動作について通知してもよい。また、通知方法としては、音声にて通知してもよいし、表示部にて表示を行うような構成であってもよい。
【0049】
S410にて、制御システム2は、車両1の制御レベルをレベルBへ遷移させる。
【0050】
S411にて、制御システム2は、車線変更制御を行う。ここでの詳細は、
図5を用いて後述する。車線変更制御の処理の後、S401へ戻る。
【0051】
なお、レベルの遷移は上記の例に限定するものではなく、例えば、レベルAへの遷移が可能か否かの判定が更に行われてもよい。また、複数のレベル間の遷移は段階的に遷移するような構成であってもよい(例えば、レベルC→レベルB→レベルA)。もしくは、段階を踏まずに遷移するような構成であってもよい(例えば、レベルC→レベルA)。
【0052】
(車線変更制御)
図5は、本実施形態に係る車線変更制御処理のフローチャートを示す。本処理は、
図4のS411の工程に対応する。
【0053】
S501にて、制御システム2は、自車両の周辺情報を取得する。ここでの周辺情報は、例えば、周辺の他車両の位置や道路の状況の情報などが該当する。周辺情報は、車両1が備える各検知手段(センサやカメラ等)から取得してもよいし、外部装置との通信により取得してもよい。
【0054】
S502にて、制御システム2は、自車両の走行情報を取得する。ここでの走行情報は、例えば、自車両の走行速度や道路における走行位置などが該当する。走行情報は、自車両の各制御部などから取得してよい。
【0055】
S503にて、制御システム2は、取得した周辺情報や走行情報から、ドライバーが指示した方向の車線への車線変更が可能な否かを判定する。ここでの判定方法は、従来の方法を用いるものとし、ここでは特に限定しない。車線変更が可能であると判定された場合(S503にてYES)S505へ進み、車線変更が不可であると判定された場合(S503にてNO)S504へ進む。
【0056】
S504にて、制御システム2は、車線変更が不可である旨の警報をドライバーに通知する。ここでの通知方法としては、音声にて聴覚的に通知してもよいし、表示部にて視覚的に表示を行うような構成であってもよい。その後、本処理フローを終了し、
図4の処理へ戻る。
【0057】
S505にて、制御システム2は、ドライバーの動作情報を取得する。具体的には、車両1に設けられた車内カメラなどによりドライバーの状態に関する情報が取得される。
【0058】
S506にて、制御システム2は、ドライバーが周辺監視を行っているか否かを判定する。具体的には、S505にて取得された情報に基づいて特定されるドライバーの視線の向きなどを用いて、車線変更意図の検知後に、ドライバーが周辺の監視を行っているか否かが判定される。ここでは、車線変更を行う方向に対して、ドライバーの視線が向いているか否かを判定してよい。周辺監視を行っていると判定された場合は(S506にてYES)S508へ進み、周辺監視を行っていないと判定された場合は(S506にてNO)S507へ進む。
【0059】
S507にて、制御システム2は、車線変更を行うための要件をドライバーに通知する。ここでの要件とは、ドライバーが周辺監視を行うことに相当する。ここでの通知方法としては、音声にて聴覚的に通知してもよいし、表示部にて視覚的に表示を行うような構成であってもよい。その後、S501へ戻る。
【0060】
S508にて、制御システム2は、車線変更を開始する。なお、車線変更を開始した際には、周辺監視を継続するように要求すると共に、車線変更中であることをドライバーに通知するような構成であってもよい。
【0061】
S509にて、制御システム2は、車線変更開始後における車線変更の継続条件を満たすか否かを判定する。ここでの車線変更を継続できない場合としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
・ドライバーが周辺監視を中断した場合(例えば、車線変更する方向以外を見ている場合)
・周辺環境の変化(例えば、他車両や障害物の発生)により、車線変更の継続が不可となった場合
・道路の状態が正常に認識できない場合
・自車両が備える部位が正常に動作しなくなった場合
・ドライバーからの車線変更の中止指示を受け付けた場合
【0062】
また、一旦車線変更を開始した後、自車両の走行状態によっては、上記のような状況になったとしても車線変更を継続するような構成であってもよい。車線変更を継続する場合としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
・車線変更の実行中において、すでに自車両の位置が、車線間の白線をまたいでいた場合
・車線変更の実行中において、自車両と、車線変更前後の車線間の白線との位置関係が所定の条件を満たしていた場合
・元の車線における先行車両や後続車両との距離が一定値よりも近い場合
なお、継続条件は上記に限定するものではなく、他の条件が用いられてもよい。また、複数の条件を組み合わせてもよい。継続条件を満たすと判定された場合は(S509にてYES)S510へ進み、満たさないと判定された場合は(S509にてNO)S511へ進む。
【0063】
S510にて、制御システム2は、車線変更が終了したか否かを判定する。車線変更が終了したと判定された場合は(S510にてYES)本処理フローを終了し、
図4の処理へ戻る。車線変更が終了していないと判定された場合は(S510にてNO)S509へ戻る。
【0064】
S511にて、制御システム2は、車線変更を中断し、当初走行していた車線へと戻る。このとき、車線変更が中断された旨をドライバーに通知してもよい。ここでの通知方法としては、音声にて通知してもよいし、表示部にて表示を行うような構成であってもよい。その後、本処理フローを終了し、
図4の処理へ戻る。
【0065】
なお、上記のフローでは、車線変更が完了後または中断した後、制御レベルがレベルCに遷移可能であればレベルCへ遷移させ、遷移可能でない場合には現状のレベル(上記の例ではレベルB)に維持している。しかし、上記の流れに限定するものではなく、例えば、車線変更が完了した場合と中断した場合において、その後の制御レベルが異なるように制御してもよい。また、遷移前の状態に応じて、遷移させる制御レベルを切り替えてもよい。また、周辺環境やドライバーの状態などに応じて、遷移させる制御レベルを決定してもよい。
【0066】
以上、本実施形態により、運転支援制御のレベルが所定の段階にある場合に、車線変更を行う際には適切な制御レベルへの遷移および車線変更を安全に行うことが可能となる。
【0067】
<変形例>
上記の実施形態では、所定のレベル時の車線変更意図について、ウィンカーレバー200の操作により受け付ける形態について説明した。変形例として、他の方法によりドライバーの車線変更意図を検知する方法を用いてもよい。
【0068】
例えば、ドライバーによる車線変更意図を検知する方法として、ドライバーの周辺監視状態を用いてよい。具体的には、所定のレベル時におけるドライバーの動作情報を利用する。例えば、車両1に搭載された車内カメラによりドライバーの状態を監視しておき、車線変更が可能な状態となっている際に、ドライバーがその車線の方向の周辺監視を行っている場合に車線変更意図を示しているものとして検知する。
【0069】
ここでの動作情報としては、顔の向き、目線の向き、車線変更方向において視線が留まっている時間などが挙げられる。更に、これらの周辺監視に関わる情報の他、ドライバーのジェスチャなどを組み合わせるような方法であってもよい。
【0070】
また、他の方法としては、ウィンカーレバーの代わりにボタン形状のインタフェースの押下操作や、つまみ形状のインタフェースの回転操作により車線変更意図を検知してもよい。
【0071】
<実施形態のまとめ>
1.上記実施形態の車両の制御システムは、
車両(例えば、1)の制御システム(例えば、2)であって、
前記車両が走行する走行車線から隣接車線へ車線変更を制御する制御手段(例えば、20〜29)と、
ドライバーからの車線変更意図を検知する検知手段(例えば、200)と、
前記車両の車線変更が制限された第1の制御状態と、前記車両の車線変更が動作可能な第2の制御状態とを切り替える切り替え手段(例えば、20〜29)と
を有し、
前記車両の状態が第1の制御状態である際に、前記検知手段が前記ドライバーからの車線変更意図を検知した場合、前記切り替え手段が前記第1の制御状態から前記第2の制御状態への遷移させた後に、前記制御手段による車線変更が実施される。
【0072】
この実施形態によれば、運転支援制御のレベルが所定の段階にある場合に、車線変更を行う際には適切な制御レベルへの遷移および車線変更を安全に行うことが可能となる。
【0073】
2.上記実施形態では、前記第1の制御状態では、前記ドライバーによる周辺監視が不要であり、
前記第2の制御状態では、前記ドライバーによる周辺監視が必要である。
【0074】
この実施形態によれば、制御レベルに応じたドライバーへの周辺監視の要求を行うことができる。
【0075】
3.上記実施形態では、前記車線変更意図は、前記ドライバーによる操作または動作にて行われる。
【0076】
この実施形態によれば、ドライバーの操作または動作により、車線変更意図を検知することができる。
【0077】
4.上記実施形態では、前記車線変更意図の検知後に、前記ドライバーが周辺監視をしていない場合、前記ドライバーへ警報を発する通知手段(例えば、20〜29)を更に有する。
【0078】
この実施形態によれば、車線変更意図の検知後に、車線変更を行うための要件をドライバーに確実に通知することができる。
【0079】
5.上記実施形態では、前記切り替え手段は、前記制御手段による車線変更の完了後に、遷移前の制御状態に戻す。
【0080】
この実施形態によれば、車線変更前後にて、同じ状態にて走行が可能となる。
【0081】
6.上記実施形態では、前記切り替え手段は、前記制御手段による車線変更の完了後に、走行中の車線の環境に応じて、遷移させる制御状態を決定する。
【0082】
この実施形態によれば、車線変更後に、その時点での状況に併せて適切に走行が可能となる。
【0083】
7.上記実施形態では、前記切り替え手段は、前記第1の制御状態から前記第2の制御状態へ遷移させる際には、前記ドライバーに対して、前記第1の制御状態の際に要求される動作よりも多くの動作を要求する。
【0084】
この実施形態によれば、制御レベルの遷移の際に遷移後の制御レベルに応じたドライバーへの動作を要求することが可能となる。
【0085】
8.上記実施形態では、前記制御手段は、前記検知手段による車線変更意図の検知後に、前記ドライバーによる周辺監視が検知できない場合は、車線変更を実行しない。
【0086】
この実施形態によれば、車線変更を行う際により安全に実行/中止を制御できる。
【0087】
9.上記実施形態では、前記制御手段は、前記検知手段による車線変更意図の検知後に、前記車両が走行する車線または走行状況に応じて、前記車線変更を中止する。
【0088】
この実施形態によれば、車線変更を行う際により安全に実行/中止を制御できる。
【0089】
10.上記実施形態では、前記制御手段は、前記車両の走行速度に応じて、前記車線変更を中止する。
【0090】
この実施形態によれば、車線変更を行う際により安全に実行/中止を制御できる。
【0091】
11.上記実施形態では、前記制御手段は、前記車線変更の実行中に、前記ドライバーの周辺監視が検知できない場合は、前記車両の位置と車線変更前後の車線間の白線の位置とに応じて、前記車線変更を中止する。
【0092】
この実施形態によれば、車線変更を行う際により安全に実行/中止を制御できる。
【0093】
12.上記実施形態では、前記制御手段は、前記車線変更の実行中に前記ドライバーの周辺監視が検知できない場合において、隣接車線の白線を跨いでいる場合は、車線変更を継続させる。
【0094】
この実施形態によれば、車線変更を行う際により安全に実行/中止を制御できる。
【0095】
13.上記実施形態では、前記制御手段は、前記車線変更の実行中に前記検知手段により前記ドライバーからの車線変更の中止指示を受け付けた場合、前記車線変更を中止する。
【0096】
この実施形態によれば、車線変更が開始された後にユーザーの意図に応じた車線変更の実行/中止を制御できる。
【0097】
14.上記実施形態の車両の制御方法は、
車両(例えば、1)の制御方法であって、
前記車両が走行する走行車線から隣接車線へ車線変更を制御する制御工程と、
ドライバーからの車線変更意図を検知する検知工程と、
前記車両の車線変更が制限された第1の制御状態と、前記車両の車線変更が動作可能な第2の制御状態とを切り替える切り替え工程と
を有し、
前記車両の状態が第1の制御状態である際に、前記ドライバーからの車線変更意図が検知された場合、前記切り替え工程にて前記第1の制御状態から前記第2の制御状態への遷移させた後に、前記制御工程にて車線変更が実施される。
【0098】
この実施形態によれば、運転支援制御のレベルが所定の段階にある場合に、車線変更を行う際には適切な制御レベルへの遷移および車線変更を安全に行うことが可能となる。
【0099】
15.上記実施形態のプログラムは、
コンピュータ(例えば、2)を、
車両(例えば、2)が走行する走行車線から隣接車線へ車線変更を制御する制御手段(例えば、20〜29)、
ドライバーからの車線変更意図を検知する検知手段(例えば、20〜29)、
前記車両の車線変更が制限された第1の制御状態と、前記車両の車線変更が動作可能な第2の制御状態とを切り替える切り替え手段(例えば、20〜29)
として機能させ、
前記車両の状態が第1の制御状態である際に、前記検知手段が前記ドライバーからの車線変更意図を検知した場合、前記切り替え手段が前記第1の制御状態から前記第2の制御状態への遷移させた後に、前記制御手段による車線変更が実施される。
【0100】
この実施形態によれば、運転支援制御のレベルが所定の段階にある場合に、車線変更を行う際には適切な制御レベルへの遷移および車線変更を安全に行うことが可能となる。
【0101】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。