(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の技術には以下の問題があった。すなわち、クリーニングガスの中には、プロセスガスより低温に制御されないと、チャンバに流れる前に堆積物と反応して、配管内面を腐食させる、或いは、配管内面のデポジット膜を成長させるガスがある。この種のクリーニングガスを使用する場合、従来のガス供給ユニットは、クリーニングガスの反応開始温度以下になるまで、流体機器を自然冷却させていた。自然冷却を行う間、作業が滞る。よって、半導体製造装置のプロセス時間の短縮には改善の余地があった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、冷却時間を短くして、半導体製造装置のプロセス時間を短縮できるガス供給ユニット及びガス供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、次のような構成を有している。(1)第1温度に制御された第1ガス、又は、化学反応を開始する反応開始温度が前記第1温度より低い第2ガスをチャンバに供給するガス供給ユニットにおいて、ベースプレートと、前記第1ガスと前記第2ガスが流れる上部機器と、前記ベースプレートと前記上部機器との間に配設され、前記上部機器の流路に接続すると共に、前記ベースプレートと前記上部機器との間に空間部を形成する複数の中間ブロックと、前記上部機器を前記第1温度に加熱する第1ヒータと、前記空間部に冷却エアを供給し、前記上部機器を前記反応開始温度以下まで冷却する冷却部材と、を有すること、を特徴とする。
【0009】
上記構成のガス供給ユニットでは、第1ヒータにより上部機器を加熱して第1ガスを供給した後、チャンバに第2ガスを供給して、ガス供給ユニットやチャンバや配管のクリーニングを行う場合、第2ガスを供給する前に空間部に冷却エアを供給する。空間部に供給された冷却エアは、第1ヒータにより加熱された上部機器と熱交換を行い、上部機器を冷却する。よって、本形態のガス供給ユニットによれば、上部機器を自然冷却する場合より、上部機器の冷却時間を短縮することができ、半導体製造装置のプロセス時間を短縮することができる。
【0010】
(2)(1)に記載のガス供給ユニットにおいて、前記第1ヒータは、面状のヒータであること、前記冷却部材は、前記第1ヒータと前記上部機器との間に配置され、前記第1ヒータと前記上部機器に面接触するアルミ製の冷却プレート部材であること、が好ましい。
【0011】
上記構成のガス供給ユニットでは、ステンレスより伝熱性が高いアルミを材質とする冷却プレート部材が、上部機器と第1ヒータに面接触している。第1ヒータが発熱する場合、冷却プレート部材は、第1ヒータと同程度の温度まで素早く昇温し、第1ヒータと一体的に上部機器を加熱する。一方、第1ヒータが発熱しなくなり、冷却エアが空間部に供給される場合、冷却プレート部材は、冷却エアにより素早く冷却され、上部機器を冷やす。よって、上記構成のガス供給ユニットによれば、上部機器と第1ヒータとの間に冷却プレート部材を配設していても、上部機器を効率良く加熱・冷却することができる。
【0012】
(3)(2)に記載のガス供給ユニットにおいて、前記冷却プレート部材は、前記空間部に前記冷却エアを供給する冷却流路が、前記第1ガスが前記ガス供給ユニットを流れる方向に沿って形成されていること、が好ましい。
【0013】
上記構成のガス供給ユニットは、前記第1ガスが前記ガス供給ユニットを流れる方向に沿って冷却エアが冷却プレート部材に流れるので、上部機器を均一に冷却し、冷却時間を短縮できる。
【0014】
(4)(1)乃至(3)の何れか一つに記載するガス供給ユニットにおいて、前記空間部は、前記冷却部材から前記冷却エアを供給される開口部と反対側の開口部が、前記上部機器に当接するように配置された面状の第2ヒータにより塞がれていること、が好ましい。
【0015】
上記構成のガス供給ユニットは、冷却エアを空間部全体に行き渡らせることができるので、上部機器と複数の中間ブロックを均一に冷却し、冷却時間を短くすることができる。
【0016】
更に、本発明の別態様は、第1温度に制御された第1ガスと、化学反応を開始する反応開始温度が前記第1温度より低い第2ガスとが流れる上部機器を、ヒータを用いて加熱した状態で、前記第1ガスをチャンバに供給する第1ガス供給工程と、前記上部機器と、前記上部機器を支持するベースプレートとの間に形成された空間部に、冷却エアを供給し、前記上部機器を冷却する冷却工程と、前記冷却工程にて、前記上部機器の温度が前記反応開始温度以下になった後、前記第2ガスを前記チャンバに供給する第2ガス供給工程と、を有することを特徴とするガス供給方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明のガス供給ユニットによれば、冷却時間を短くして、半導体製造装置のプロセス時間を短縮できるガス供給ユニット及びガス供給方法を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係るガス供給ユニット及びガス供給方法の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るガス供給ユニット1の外観斜視図である。
図2は、ガス供給ユニット1の上面図である。
図3は、ガス供給ユニット1の側面図である。
図4は、
図1のA−A断面図である。
図5は、冷却エアの流れを説明する図である。尚、以下の説明では、ベースプレート10の厚み方向を上下方向として説明する。
【0020】
図1及び
図2に示すガス供給ユニット1は、圧力センサ16とバルブ17を直列一体に連結したものである。ガス供給ユニット1は、例えば、半導体に薄膜を形成するCVD装置に用いられる。CVD装置は、例えば、チャンバ5に接続する共通系統に対して、プロセスガスを供給する第1ガス供給系統と、パージガスを供給する第2ガス供給系統と、クリーニングガスを供給する第3ガス供給系統が分岐して設けられている。ガス供給ユニット1は、共通系統に配設されている。第1〜第3ガス供給系統が共通系統に接続する接続点には、図示しない切換弁が配設されている。ガス供給ユニット1は、図示しない切換弁によって切り換えられ、チャンバ5に供給されるガスを制御する。プロセスガスは第1ガスの一例であり、クリーニングガスは第2ガスの一例である。
【0021】
図3に示すように、ガス供給ユニット1は、ベースプレート10と、第1中間ブロック12と、第2中間ブロック13と、第3中間ブロック14と、圧力センサ16と、バルブ17とを備え、チャンバ5に供給するガスを制御する。なお、圧力センサ16とバルブ17は、「上部機器」の一例である。また、ガス供給ユニット1は、第1ヒータ2Aと、第2ヒータ2Bと、冷却プレート部材3とを備え、プロセスに応じて加熱又は冷却される。冷却プレート部材3は、冷却部材の一例である。なお、上記機器の機種や数、中間ブロックの数は本形態に限定されない。
【0022】
第1中間ブロック12と第2中間ブロック13と第3中間ブロック14と機器ブロック161と機器ブロック171は、ステンレスなど伝熱性がよい金属を直方体形状に形成したものである。第1中間ブロック12と第2中間ブロック13と第3中間ブロック14は、ベースプレート10の上面にねじ固定されている。
【0023】
圧力センサ16は、圧力を検知するものであり、第1中間ブロック12と第2中間ブロック13の上面にねじ固定されている。バルブ17は、流体の供給を制御するものであり、第2中間ブロック13と第4中間ブロック14の上面にねじ固定されている。第1〜第3中間ブロック12〜14により、ベースプレート10と圧力センサ16及びバルブ17との間には、空間部S1,S2が形成されている。
【0024】
第1中間ブロック12は、図中左側面に第1継手11が一体的に設けられ、第1継手11を圧力センサ16の流路に接続するための流路121が形成されている。第2中間ブロック13は、圧力センサ16とバルブ17の流路を接続するためのV字形の流路131が形成されている。第3中間ブロック14は、図中右側面に第2継手15が設けられ、バルブ17の流路を第2継手15に接続するための流路141が形成されている。
【0025】
本形態のプロセスガスは、薄膜形成材料を含むガスであって、例えば塩化チタン(TiCl
4)のように、常温で液化するガスである。かかるプロセスガスの気化状態を保つために、ガス供給ユニット1は、
図2に示すように、プロセスガスが流れる圧力センサ16とバルブ17の両側に、つまり、ガスが流れる流路を挟んで両側に、第1ヒータ2Aと第2ヒータ2Bが配設されている。
【0026】
また、本形態のクリーニングガスは、ガス供給ユニット1の流路面や、チャンバ5の内表面や、ガス供給ユニット1とチャンバ5とを接続する配管の内周面などに付着する堆積物と反応して、堆積物を除去する材料を含むガスであって、化学反応を開始する反応開始温度がプロセスガスの設定温度より低いガスである。クリーニングガスは、例えば、三フッ化塩素(ClF
3)などのフッ化ガスである。ガス供給ユニット1は、第1ヒータ2Aと圧力センサ16及びバルブ17との間に、冷却プレート部材3が配設されている。冷却プレート部材3は、冷却部材の一例である。
【0027】
図1に示すように、第1ヒータ2Aは、矩形状の面状のヒータであり、配線21,22の間の通電量に応じて発熱する。
図2及び
図3に示すように、第1ヒータ2Aは、ベースプレート10と第1中間ブロック12の第1側面122と第2中間ブロック13の第1側面132と第3中間ブロック14の第1側面142と機器ブロック161の第1側面1612と機器ブロック171の第1側面1712に当接可能な大きさで設けられている。第2ヒータ2Bは、第1ヒータ2Aと同様に構成され、ベースプレート10と第1中間ブロック12の第2側面123と第2中間ブロック13の第2側面133と第3中間ブロック14の第2側面143と機器ブロック161の第2側面1613と機器ブロック171の第2側面1713に当接可能な大きさで設けられている。
【0028】
図4及び
図5に示すように、冷却プレート部材3は、ステンレスより伝熱性が高いアルミを、第1ヒータ2Aと同程度の大きさを有する板状に形成したものである。冷却プレート部材3は、冷却流路30を形成できる程度の厚みを有する。冷却流路30は、長流路31と分岐流路32a,32bを有する。長流路31は、圧力センサ16とバルブ17の連結方向、すなわち、ガスがガス供給ユニット1を流れる方向に沿って長く形成されている。分岐流路32a,32bは、長流路31から分岐して空間部S1,S2に連通するように形成されている。
【0029】
なお、本形態では、空間部S1,S2に対して分岐流路32a,32bを1個ずつ設けたが、空間部S1,S2に対して2以上の分岐流路32a,32bを設けてもよい。また、長流路31と分岐流路32a,32bは、水平方向に切った同一の断面上に設けられているが、例えば、分岐流路32a,32bを長流路31に対して斜めに形成してもよい。
【0030】
図5に示すように、冷却プレート部材3は、貫通穴33を備える。熱電対4は、第1ヒータ2Aと、冷却プレート部材3の貫通穴33に貫き通され、先端部が機器ブロック171の第1側面1712に突き当てられている。第1ヒータ2Aと第2ヒータ2Bを用いて、第1〜第3中間ブロック12〜14と機器ブロック161,171は一体的に加熱される。そのため、熱電対4は、機器ブロック171を介して、ガス供給ユニット1全体の温度を検出する。
【0031】
なお、ガス供給ユニット1は、熱電対4と第1ヒータ2Aと第2ヒータ2Bとに接続する図示しないコントローラによって、温度を制御される。図示しないコントローラは、ガス供給ユニット1と一体に設けられてもよいし、上位コントローラなどガス供給ユニット1と別体に設けられていてもよい。
【0032】
続いて、ガス供給ユニット1のガス供給動作を説明する。ここでは、プロセスガスとして塩化チタンを使用し、クリーニングガスとして三フッ化塩素を使用し、パージガスとして窒素ガスを使用するものとする。
【0033】
CVD装置が薄膜形成を行う場合、ガス供給ユニット1は、第1ヒータ2Aと第2ヒータ2Bを用いて、第1〜第3中間ブロック12〜14と機器ブロック161,171が加熱される。第1ヒータ2Aは、冷却プレート部材3を介してガス供給ユニット1の側面に配置されている。しかし、冷却プレート部材3は、熱伝導率の高い材料で形成されているので、第1ヒータ2Aと一体的に昇温する。そのため、ガス供給ユニット1は、冷却プレート部材3がない場合と同様に、第1ヒータ2Aと第2ヒータ2Bに加熱される。ガス供給ユニット1は、プロセスガスの設定温度と同程度の温度に加熱されたことを熱電対4が検出するまで、バルブ17が弁閉され、チャンバ5にプロセスガスを供給しない(予熱工程)。ここでは、プロセスガスの設定温度を150℃とする。
【0034】
ガス供給ユニット1は、熱電対4がプロセスガスの設定温度と同程度の温度を検出すると、バルブ17が弁開される。バルブ17が弁開すると、プロセスガスがガス供給ユニット1を介してチャンバ5に供給される。この間、ガス供給ユニット1は、第1ヒータ2Aと第2ヒータ2Bによって、プロセスガスの設定温度と同程度の温度に維持される。ガス供給ユニット1は、チャンバ5にプロセスガスを所定量供給すると、バルブ17が弁閉される(プロセスガス供給工程)。プロセスガス供給工程は、第1ガス供給工程の一例である。
【0035】
チャンバ5にて薄膜を形成する工程が終了すると、ガス供給ユニット1の上流側にて、ガス供給ユニット1に供給されるガスがプロセスガスからパージガスに切り換えられる。ガス供給ユニット1は、第1ヒータ2Aと第2ヒータ2Bによって加熱された状態でバルブ17が弁開され、パージガスをチャンバ5に供給する(パージガス供給工程)。
【0036】
チャンバ5は、上記のようにプロセスガスとパージガスの供給が切り換えられながら、薄膜を形成するプロセスを行う。
【0037】
ガス供給ユニット1やチャンバ5や配管のクリーニングを行う場合、ガス供給ユニット1は、バルブ17を弁閉した状態で、第1ヒータ2Aと第2ヒータ2Bへの通電が停止され、加熱されなくなる。そして、ガス供給ユニット1は、常温の冷却エアが冷却プレート部材3から空間部S1,S2に供給される(冷却工程)。
【0038】
冷却エアは、長流路31と分岐流路32a,32bを介して空間部S1,S2に所定流量で供給される。空間部S1,S2は、冷却プレート部材3と反対側の開口部が、第2ヒータ2Bによって塞がれているので、冷却エアが空間部S1,S2全体に行き渡る。また、分岐流路32a,32bが流路121,131,141の下端位置、または、当該下端位置より下側の位置において空間部S1,S2に開口している。そのため、冷却エアは、空間部S1,S2に熱対流を生じさせ、第1〜第3中間ブロック12〜14と圧力センサ16とバルブ17を効率良く冷却する。
【0039】
第2ヒータ2Bは、ベースプレート10、第1〜第3中間ブロック12〜14、圧力センサ16、バルブ17に密着せず、それらとの間に隙間を形成している。そのため、空間部S1,S2内の空気は、冷却エアの圧力によってその隙間に導入され、大気に押し出される。つまり、冷却エアは、空間部S1,S2に第1ヒータ2A側から第2ヒータ2B側への流れを形成し、第1ヒータ2Aと第2ヒータ2Bによって加熱された第1〜第3中間ブロック12〜14、圧力センサ16、及び、バルブ17との熱交換が促進される。よって、ガス供給ユニット1は、チャンバ5にクリーニングガスを供給する前に、冷却エアが空間部S1,S2を流れ、ガス供給ユニット1の温度を速やかに低下させる。
【0040】
ガス供給ユニット1は、クリーニングガスの反応開始温度以下、例えば80℃以下の温度を熱電対4が検出すると、ユニット上流側からクリーニングガスが供給される。ガス供給ユニット1は、バルブ17を弁開し、クリーニングガスをチャンバ5に供給する。所定時間が完了すると、ガス供給ユニット1は、バルブ17が弁閉され、クリーニングガスの供給を停止する(クリーニングガス供給工程)。クリーニングガス供給工程は第2ガス供給工程の一例である。ガス供給ユニット1、配管、チャンバ5は、クリーニングガスが流れることによって、堆積物を除去される。
【0041】
クリーニングガスは、反応開始温度以下まで降温したガス供給ユニット1を流れる。そのため、クリーニングガスは、反応開始温度以下の低温状態を維持した状態で、ガス供給ユニット1からチャンバ5に流入する。よって、クリーニングガスは、ガス供給ユニット1や、チャンバ5の内表面や、ガス供給ユニット1とチャンバ5とを接続する配管内面などに付着した堆積物と化学反応せずに、堆積物を除去する。
【0042】
次の薄膜形成を行う場合、ガス供給ユニット1は、上述した予熱工程、プロセスガス供給工程、パージガス供給工程を順次行う。尚、冷却工程とクリーニング工程は、薄膜を形成するプロセスが完了する度に行っても良いし、1日1回や1週間に1回など定期的に行っても良い。
【0043】
(まとめ)
以上説明したように、本形態のガス供給ユニット1は、第1温度に制御されたプロセスガス、又は、化学反応を開始する反応開始温度が第1温度より低いクリーニングガスをチャンバに供給するガス供給ユニット1において、ベースプレート10と、プロセスガスとクリーニングガスが流れる圧力センサ16及びバルブ17と、ベースプレート10と圧力センサ16及びバルブ17との間に配設され、圧力センサ16及びバルブ17の流路に接続すると共に、ベースプレート10と圧力センサ16及びバルブ17との間に空間部S1,S2を形成する第1〜第3中間ブロック12〜14と、圧力センサ16及びバルブ17を第1温度に加熱する第1ヒータ2Aと、空間部S1,S2に冷却エアを供給し、圧力センサ16及びバルブ17を反応開始温度以下まで冷却する冷却プレート部材3と、を有すること、を特徴とする。
【0044】
このような本形態のガス供給ユニット1では、第1ヒータ2Aにより圧力センサ16及びバルブ17を加熱してプロセスガスを供給した後、チャンバ5にクリーニングガスを供給して、ガス供給ユニット1や配管やチャンバ5のクリーニングを行う場合、クリーニングガスを供給する前に空間部S1,S2に冷却エアを供給する。空間部S1,S2に供給された冷却エアは、第1ヒータ2Aにより加熱された圧力センサ16及びバルブ17と熱交換を行い、圧力センサ16及びバルブ17を冷却する。よって、本形態のガス供給ユニット1によれば、圧力センサ16及びバルブ17を自然冷却する場合より、圧力センサ16及びバルブ17の冷却時間を短縮することができ、半導体製造装置のプロセス時間を短縮することができる。
【0045】
上述したように、プロセスガスとして塩化チタンを使用し、クリーニングガスとして三フッ化塩素を使用する場合、プロセス時には、塩化チタンの沸点が136.4℃と高いため、ガス供給ユニット1は、第1ヒータ2Aと第2ヒータ2Bを用いて150℃に加熱されている。クリーニングを行うときに、圧力センサ16及びバルブ17が150℃のままだと、三フッ化塩素が圧力センサ16及びバルブ17を流れる際に加熱され、チャンバ5に流入する前にガス供給ユニット1の流路面や、ガス供給ユニット1とチャンバ5とを接続する配管の内周面などに付着した堆積物と化学反応したり、チャンバ5に流入した後にチャンバ5の内表面に付着した堆積物と化学反応したりして、腐食やデポジット膜の成長を促進する。これを防止するため、圧力センサ16及びバルブ17は、三フッ化塩素を供給する前に、80℃以下に冷却される必要がある。
【0046】
自然冷却により、圧力センサ16及びバルブ17を150℃から80℃以下まで降温させる場合、冷却時間が約2時間かかった。しかし、冷却ガスを空間部S1,S2に供給して圧力センサ16及びバルブ17を80℃以下に強制冷却する場合、冷却時間は約15分であった。このように、本形態のガス供給ユニット1は、圧力センサ16及びバルブ17を自然冷却する場合と比べ、圧力センサ16及びバルブ17の冷却時間を大幅に短くなるので、半導体製造装置のプロセス時間を短縮できる。
【0047】
(2)(1)に記載するガス供給ユニット1において、圧力センサ16及びバルブ17は、材質がステンレスであること、第1ヒータ2Aは、面状のヒータであること、冷却プレート部材3は、第1ヒータ2Aと圧力センサ16及びバルブ17との間に配置され、第1ヒータ2Aと圧力センサ16及びバルブ17に面接触するアルミ製の冷却プレート部材3であること、を特徴とする。
【0048】
このような本形態のガス供給ユニット1では、ステンレスより伝熱性が高いアルミを材質とする冷却プレート部材3が、圧力センサ16及びバルブ17と第1ヒータ2Aに面接触している。第1ヒータ2Aが発熱する場合、冷却プレート部材3は、第1ヒータ2Aと同程度の温度まで素早く昇温し、第1ヒータ2Aと一体的に圧力センサ16及びバルブ17を加熱する。一方、第1ヒータ2Aが発熱しなくなり、冷却エアが空間部S1,S2に供給される場合、冷却プレート部材3は、冷却エアにより素早く冷却され、圧力センサ16及びバルブ17を冷やす。よって、本形態のガス供給ユニット1によれば、圧力センサ16及びバルブ17と第1ヒータ2Aとの間に冷却プレート部材3を配設していても、圧力センサ16及びバルブ17を効率良く加熱・冷却することができる。
【0049】
(3)(2)に記載するガス供給ユニット1において、冷却プレート部材3は、空間部S1,S2に冷却エアを供給する冷却流路30が、プロセスガスがガス供給ユニット1を流れる方向に沿って形成されていること、を特徴とする。
【0050】
このような本形態のガス供給ユニット1は、プロセスガスがガス供給ユニット1を流れる方向に沿って、つまり、圧力センサ16及びバルブ17の配置方向に沿って、冷却エアが冷却プレート部材3に流れるので、圧力センサ16及びバルブ17を均一に冷却し、冷却時間を短縮できる。
【0051】
(4)(1)乃至(3)の何れか一つに記載するガス供給ユニット1において、空間部S1,S2は、冷却プレート部材3から冷却エアを供給される開口部と反対側の開口部が、圧力センサ16及びバルブ17に当接するように配置された面状の第2ヒータ2Bにより塞がれていること、を特徴とする。
【0052】
このような本形態のガス供給ユニット1は、冷却エアを空間部S1,S2全体に行き渡らせることができるので、圧力センサ16及びバルブ17と第1〜第3中間ブロック12〜14を均一に冷却し、冷却時間を短くすることができる。
【0053】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
【0054】
(1)例えば、上記形態では、圧力センサ16及びバルブ17と第1ヒータ2Aとの間に配設される冷却プレート部材3から空間部S1,S2に冷却エアを供給するようにしたが、冷却エアを噴出するノズルを冷却部材として設け、第1ヒータ2Aに取り付けるようにしても良い。但し、冷却部材を冷却プレート部材3で構成することにより、圧力センサ16及びバルブ17を広い面積で冷却し、冷却時間を短縮できる。また、冷却プレート部材3に冷却流路30を形成することにより、冷却エアが流れる配管の配管スペースを省略し、ガス供給ユニット1をコンパクトにできる。
【0055】
(2)例えば、上記実施形態では、冷却プレート部材3をアルミで形成したが、ステンレスで形成しても良い。但し、冷却プレート部材3の材質をアルミにすることにより、冷却プレート部材3の昇温時間と冷却時間を短縮し、半導体製造装置のプロセス時間を短縮することができる。
【0056】
(3)例えば、上記実施形態では、空間部S1,S2の両端開口部を冷却プレート部材3と第2ヒータ2Bにより閉鎖した。これに対して、冷却プレート部材3と反対側の開口部を塞いでいなくても良い。但し、冷却プレート部材3と反対側の開口部を塞いで、圧力センサ16及びバルブ17の下の空間部S1,S2を部屋のように仕切ることにより、冷却エアを圧力センサ16及びバルブ17の下面に行き渡らせて、圧力センサ16及びバルブ17を効率良く冷却し、冷却時間を短縮できる。
【0057】
(4)例えば、上記形態では、ガス供給ユニット1をCVD装置のチャンバ5に接続し、プロセスガスとクリーニングガスの供給に用いたが、ガス供給ユニット1は、異なる工程のチャンバに接続し、種類が異なるプロセスガスなどの供給に用いても良い。
【0058】
(5)例えば、パージガス供給工程はなくても良い。つまり、ガス供給ユニット1は、プロセスガスの供給のみを行ってもよい。
【0059】
(6)ガス供給ユニット1の上部機器は、例えば、流量センサと比例弁、あるいは、流量制御弁と開閉弁というように、上記形態と異なってもよい。また、ガス供給ユニット1は、上部機器の数が1個、または、3個以上であってもよい。更に、中間ブロックの数は、上部機器の数や流路構成に応じて適宜変更してよい。例えば、マニホールドブロックに流体機器を取り付けて上部機器を構成し、マニホールドブロックとベースプレートとの間に中間ブロックを複数配置してもよい。
【0060】
(7)プロセスガスとパージガスを切り換える切換弁をガス供給ユニット1に設け、複数種類のガスの供給をガス供給ユニット1に制御させてもよい。