(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記学習完了情報が登録されている場合、前記処理手段は、前記仮想駐車制御モード及び前記遠隔駐車制御モードを実行可能な制御モードとして設定することを特徴とする請求項1または2に記載の車両制御装置。
サーバから前記車両に送信されたコード情報と、前記操作端末から前記車両に送信されたコード情報との不一致により、前記操作端末と前記車両との間でペアリングが不成立となった場合、
前記処理手段は、前記仮想駐車制御モードを実行可能な制御モードとして設定することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
サーバから前記車両に送信されたコード情報と、前記操作端末から前記車両に送信されたコード情報との一致により、前記操作端末と前記車両との間でペアリングが成立した場合、
前記操作端末の処理手段は、前記車両との間で前記遠隔駐車制御モードでの処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
前記通信速度が閾値以上である場合、前記処理手段は無線通信により前記車両と通信可能と判定し、前記処理手段は、実行可能な制御モードとして、前記仮想駐車制御モードおよび前記遠隔駐車制御モードを設定することを特徴とする請求項6に記載の車両制御装置。
コンピュータに、操作端末からの操作に基づいて車両の移動及び駐車を制御することが可能な車両制御装置における車両制御方法を実行させるプログラムであって、前記車両制御方法が、
画面上に表示した仮想車両を前記操作端末からの操作により仮想的に動作させる仮想駐車制御モードでの処理と、前記操作端末からの操作に基づいて前記車両を駐車位置に移動させ当該駐車位置に前記車両を駐車させる遠隔駐車制御モードでの処理と、を実行可能な処理工程を有し、
前記処理工程では、
前記仮想駐車制御モードでの処理を実行した場合、前記操作端末のユーザの学習履歴として学習完了情報を記憶手段に登録し、前記学習完了情報が登録される前の状態では、前記遠隔駐車制御モードの実行を制限し、
前記学習完了情報の登録後、前記遠隔駐車制御モードの実行制限を解除することを特徴とするプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでするものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明に必須のものとは限らない。
【0013】
図1は実施形態に係る車両制御システムの機能構成を示すブロック図である。
図1に示すように、車両制御システムSTMは車両1に搭載された車両システム2と、操作端末3とを有する。車両システム2は、推進装置4、ブレーキ装置5、ステアリング装置6、外界センサ7、車両センサ8、通信装置9、ナビゲーション装置10、運転操作装置11、運転者検出センサ12、インタフェース装置(HMI装置)13、スマートキー14、及び制御装置15を有している。車両システム2の各構成は、CAN(Controller Area Network)等の車載通信ネットワークによって信号伝達可能に接続されている。
【0014】
推進装置4は車両に駆動力を付与する装置であり、例えば動力源及び変速機を含む。動力源はガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関及び電動機の少なくとも一方を有する。ブレーキ装置5は車両に制動力を付与する装置であり、例えばブレーキロータにパッドを押し付けるブレーキキャリパと、ブレーキキャリパに油圧を供給する電動シリンダとを含む。ブレーキ装置5はワイヤケーブルによって車輪の回転を規制するパーキングブレーキ装置を含む。ステアリング装置6は車輪の舵角を変えるための装置であり、例えば車輪を転舵するラックアンドピニオン機構と、ラックアンドピニオン機構を駆動する電動モータとを有する。推進装置4、ブレーキ装置5、及びステアリング装置6は、制御装置15によって制御される。
【0015】
外界センサ7は車両の周辺の物体等を検出するセンサである。外界センサ7はレーダ16、ライダ17(LIDAR:Light Detection and Ranging)及びカメラ18を含み、検出結果を制御装置15に出力する。
【0016】
レーダ16は、例えば、ミリ波レーダであり、電波により車両の周囲の物体を検知したり、物体との距離を測距することが可能である。レーダ16は車両の周囲に複数設けられており、例えば、レーダ16は車両の前部中央に1つ、前部各隅部に1つずつ、後部各隅部に一つずつ設けられている。
【0017】
ライダ17は、光により車両1の周囲の物体を検知したり、物体との距離を測距することが可能である。ライダ17は車両の周囲に複数設けられており、例えば、ライダ17は車両の前部の各隅部に1つずつ、後部中央に1つ、後部各側方に1つずつ設けられている。
【0018】
カメラ18は車両の周囲を撮像する装置であり、例えば、CCDやCMOS等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ18は車両の前方を撮像する前方カメラと後方を撮像する後方カメラとを含む。カメラ18は車両のドアミラー設置場所近傍に設けられ、左右側部後方を撮像する左右一対のドアミラーカメラを含む。
【0019】
車両センサ8は、車両の速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、車両の向きを検出する方位センサ等を含む。ヨーレートセンサは、例えばジャイロセンサである。
【0020】
通信装置9は制御装置15と操作端末3との間の無線通信を媒介する。すなわち、制御装置15は通信装置9を介して、例えば赤外線通信やBluetooth(登録商標)等の通信方法を用いて、ユーザが所持する操作端末3との通信することが可能である。
【0021】
ナビゲーション装置10は車両の現在位置を取得し、目的地への経路案内等を行う装置であり、GPS受信部20、及び地図記憶部21を有する。GPS受信部20は人工衛星(測位衛星)から受信した信号に基づいて車両の位置(緯度や経度)を特定する。地図記憶部21は、フラッシュメモリやハードディスク等の記憶装置によって構成され、地図情報を記憶している。
【0022】
運転操作装置11は車室内に設けられ、車両を制御するためにユーザが行う入力操作を受け付ける。運転操作装置11は、運転操作ユニットとして、例えば、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル、パーキングブレーキ装置、シフトレバー、及び、プッシュスタートスイッチ(エンジンスタートボタン)を含む。プッシュスタートスイッチはユーザからの運転操作により車両を起動するための入力操作を受け付ける。運転操作装置11は操作量を検出するセンサを含み、操作量を示す信号を制御装置15に出力する。
【0023】
運転者検出センサ12は運転席に人が着座しているか否かを検知するためのセンサである。運転者検出センサ12は例えば、運転席の着座面に設けられた着座センサである。着座センサは静電容量式のものであってもよく、運転席に人が着座するとオンになるメンブレンスイッチであってもよい。その他、運転者検出センサ12は運転席に着座するユーザを撮像する室内カメラであってもよい。また、運転者検出センサ12は運転席のシートベルトのトングのバックルの差込の有無を取得して、運転席に人が着座しシートベルトを装着していることを検出するセンサであってもよい。運転者検出センサ12は検出結果を制御装置15に出力する。
【0024】
インタフェース装置13(HMI装置)は、制御装置15とユーザとの間のインタフェース(HMI:Human Machine Interface)を提供し、ユーザに対して表示や音声によって各種情報を報知すると共に、ユーザによる入力操作を受け付ける。インタフェース装置13は、液晶や有機EL等により構成され、ユーザからの入力操作を受け付け可能なタッチパネルとして機能する表示部23と、ブザーやスピーカ等の音声発生部24とを有する。
【0025】
制御装置15は、CPU、不揮発性メモリ(ROM)、及び、揮発性メモリ(RAM)等を含む電子制御装置(ECU)である。制御装置15はCPUでプログラムに基づいた演算処理を実行することで、各種の車両制御を実行することが可能である。制御装置15の各機能部の少なくとも一部は、LSIやASIC、FPGA等のハードウェアによって実現されてもよく、ソフトウェア及びハードウェアの組み合わせによって実現されてもよい。
【0026】
スマートキー14(FOB)はユーザが携帯可能な無線端末であり、車外から通信装置9を介して制御装置15と相互に通信可能に構成されている。スマートキー14はユーザが入力を行うためのボタンを備えており、ユーザはスマートキー14のボタンを操作することで、ドアの施錠(ドアロック)やドアの解錠(ドアロックの解除)、車両の起動等を行うことができる。
【0027】
操作端末3はユーザが携帯可能な無線端末であり、車外から通信装置9を介して制御装置15と相互に通信可能である。
【0028】
操作端末3は、
図1に示すように、入出力部30、撮像部31、位置検出部32、及び処理部33、表示制御部34、有線接続ポート(I/F部35)を機能構成として有する。
【0029】
入出力部30は操作端末3を操作するユーザに情報を提示すると共に、操作端末3を操作するユーザからの入力を受け付ける。入出力部30は、例えばタッチパネルとして機能し、入出力部30はユーザからの入力を受け付けると、入力に対応する信号を処理部33に出力する。
【0030】
撮像部31は、入出力部30から設定された撮像モードにより、画像(静止画像、動画像)の撮影が可能であり、撮像部31は、例えば、CMOS等によって構成されたデジタルカメラである。処理部33は、操作端末3を操作するユーザを撮像した画像に対して所定の画像処理を行うことにより画像の特徴を取得し、予め登録されているユーザの顔画像の特徴と比較してユーザの認証を行うことが可能である。
【0031】
位置検出部32は操作端末3の位置情報を取得することが可能なセンサを含む。位置検出部32は例えば測地衛星(GPS衛星)からの信号を受信することにより操作端末3の位置を取得することが可能である。また、位置検出部32は通信装置9を介して制御装置15との間で通信することによって、位置検出部32は車両に対する操作端末3の相対位置を含む位置情報を取得することも可能である。位置検出部32は取得した位置情報を処理部33に出力する。
【0032】
処理部33は、操作端末3に設定されている端末ID、入出力部30からの信号や、位置検出部32によって取得された位置情報を制御装置15に送信する。また、制御装置15からの信号を受信すると、処理部33は信号を処理し、入出力部30に操作端末3を操作するユーザに対して情報を提示させる。情報の提示は、例えば入出力部30への表示によって行われる。
【0033】
表示制御部34は、外部の表示装置や車載モニタと操作端末3とが接続した場合に、画面上に表示する車両(仮想車両)を操作端末3からの操作に連動して動作させるための表示制御を行う。
【0034】
有線接続ポート(I/F部35)は、外部の表示装置等と操作端末3との間にケーブルが接続されたことを検出すると、ケーブル接続信号を処理部33に出力する。
【0035】
本実施形態では、操作端末3は、例えば、スマートフォンなどの携帯型の情報処理装置(車両制御装置)である。予め所定のアプリケーションが操作端末3にインストールされることによって、操作端末3は車両制御装置として機能する。アプリケーションのインストールにより、操作端末3(車両制御装置)は制御装置15と通信可能となり、遠隔操作により車両を所定の駐車位置に移動させる車両制御(遠隔駐車制御)を実行することが可能になる。
【0036】
車両制御(遠隔駐車制御)に関してアプリケーションは、2つの制御モード(仮想駐車制御モード、遠隔駐車制御モード)をサポートしている。第1の制御モードは仮想駐車制御モードであり、外部の表示装置等と操作端末3を接続すると、操作端末3の表示制御部34は表示装置の画面上に車両(仮想車両)を表示させる。操作端末3からの操作入力が無い場合、表示制御部34は、画面上に表示された車両(仮想車両)を静止状態とする。操作端末3からの操作が入力されると、入力された操作に応じて、表示制御部34は、車両(仮想車両)を画面上で動作させる。車両(仮想車両)の動作は操作端末3からの操作に連動したもので、操作(例えば、入出力部30に対して指を動かす方向(操作方向)や操作量や操作スピードなど)に応じて、表示制御部34は車両(仮想車両)を動作させる。
【0037】
携帯端末からの操作により車両を所定の駐車位置に移動させる車両制御について、車両の挙動を体感した学習経験がない場合であっても、仮想駐車制御モードにおいて、携帯端末からの操作に対応した車両(仮想車両)の動作についての操作感を体験的に学習することができるため、実際の車両(実車)による車両制御(遠隔駐車制御)を円滑に行うことが可能になる。
【0038】
操作端末3には操作端末3を識別可能な情報(例えば、各操作端末を識別するための所定の数値や文字列等を含む端末ID)が設定されており、仮想駐車制御モードにおいて、所定の学習が完了すると、処理部33は端末IDおよび学習完了情報をサーバに送信する。
【0039】
サーバは端末IDおよび学習完了情報を受信すると、端末IDによりユーザ及びユーザの車両を特定する。そして、サーバは学習完了を承認したことを示すコード情報を発行し、操作端末3の処理部33及び制御対象となるユーザの車両の制御装置15に送信する。仮想駐車制御モードに関する車両制御システムにおける処理の概略的な流れは、後に
図2を参照して説明する。
【0040】
第2の制御モードは実車による車両制御(遠隔駐車制御)を実行する遠隔駐車制御モードであり、遠隔駐車制御を実行するための前提として、ユーザは事前に仮想駐車制御モードにおいて学習(チュートリアル)を完了していることが必要となる。仮想駐車制御モードにおける学習完了前の状態では、車両制御(遠隔駐車制御)の実行は制限された状態であり、学習完了に基づいて遠隔駐車制御の実行制限が解除される。
【0041】
車両と操作端末3との間でペアリングを行うため、操作端末3は、学習完了の承認によりサーバから送信されたコード情報と、端末IDを車両の制御装置15に送信する。車両の制御装置15は、コード情報に基づいて、操作端末3(端末ID)の認証を行うことが可能である。制御装置15が操作端末3の認証を完了することにより、操作端末3と車両の制御装置15との間にペアリングが成立し、制御装置15は、操作端末3からの操作に応じて、遠隔駐車制御モードによる車両制御を実行することが可能になる。遠隔駐車制御モードに関する車両制御システムにおける処理の概略的な流れは、後に
図3を参照して説明する。
【0042】
(仮想駐車制御モード:第1の制御モード)
図2は、操作端末3及びサーバにおける処理の概略的な流れを説明する図である。まず、ステップS10において、ユーザは操作端末3に車両制御(遠隔駐車制御)を実行するため、サーバからダウンロードしたアプリケーションをインストールする。ステップS11において、ユーザはアプリケーションを起動するためのユーザ認証を行う。ユーザ認証は、例えば、撮像部31によりユーザを撮像したユーザの顔画像に基づいてユーザの認証を行うことが可能である。また、所定のパスワードやPINコードの入力によりユーザ認証を行うことができる。
【0043】
アプリケーションの起動により、ステップS12において、処理は仮想駐車制御モードに移行する。仮想駐車制御モードでは、ユーザは、仮想的に車両制御(遠隔駐車制御)に関する操作を学習することができる。仮想駐車制御モードにおける学習は、操作端末3を外部の表示装置(モニタ)や車載モニタに接続することにより行うことが可能である。ここで、操作端末3は、有線接続(例えば、USB、HDMI(登録商標)等)または無線接続(Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi等)により、外部の表示装置(モニタ)や車載モニタに接続することが可能である。
【0044】
仮想駐車制御モードにおいて、操作端末3の表示制御部34は表示装置(モニタ)や車載モニタの表示を制御することが可能であり、ユーザが操作端末3の入出力部30から所定の操作を行うと、表示制御部34は画面上に表示している車両を操作量に応じて仮想的に動作させる。本実施形態において、学習とは、仮想駐車制御モードにおいて、画面上に表示した車両(仮想車両)を入出力部30から所定の操作により仮想的に動作させるための操作方法の教示をいい、この学習により、ユーザは、例えば、駐車位置の探索、探索された駐車位置の選択、駐車方向の指示、駐車の際の車両の前進操作及び車両の後退操作など、実際の車両による遠隔駐車制御を行うために必要とされる基本的な操作方法を事前に確認することができるとともに、入出力部30への操作に連動した車両の動き(挙動)を仮想的に体験することができる。
【0045】
操作方法の学習には、例えば、基本操作に関するチェック項目が複数項目あり、各チェック項目について学習が終了すると、チェック項目ごとに学習の終了の履歴が処理部33の内部メモリに記録される。これにより、途中で学習を中断した場合でも、内部メモリに記録されている履歴情報を参照することにより、中断したところから学習を再開することができる。全てのチェック項目が終了すると一連の学習が終了する。
【0046】
ステップS13の判定で、処理部33は、全てのチェック項目が終了しているか否かを判定し、全てのチェック項目が終了していない場合(S13−No)、学習完了待ちの状態となる。
【0047】
一方、ステップS13の判定で、全てのチェック項目が終了している場合(S13−Yes)、処理部33は、一連の学習が終了したと判定し、処理をステップS14に進める。
【0048】
ステップS14において、処理部33は、仮想駐車制御モードにおける学習完了に基づいて、実際の車両(実車)による車両制御(仮想駐車制御モード)の実行制限を解除する。仮想駐車制御モードにおける学習完了前では、遠隔駐車制御モード(第2の制御モード)の実行は制限された状態が維持されるが、学習完了に基づいて、処理部33は遠隔駐車制御モードの実行制限を解除する。
【0049】
ステップS15において、処理部33は学習完了を示す学習完了情報を生成し、操作端末3の端末IDおよび学習完了情報をサーバに送信する。
【0050】
また、操作端末3は生成した学習完了情報を内部メモリ(記憶部)に登録する。学習完了情報の登録はユーザが学習済であることを示す学習履歴の内部情報となる。内部メモリを参照して、学習完了情報が登録されていれば、操作端末3のユーザは学習済と判定することができる。
【0051】
学習完了情報が内部メモリに登録されている場合、ユーザは仮想駐車制御モードまたは遠隔駐車制御モードのいずれかを選択することが可能であり、選択された制御モードに基づいて処理部33は処理を実行することが可能である。すなわち、ユーザは、仮想駐車制御モードにおける学習を一度完了すれば、次回から、アプリケーションがサポートする2つの制御モードのうち、いずれか一方を選択することができる。
【0052】
また、仮想駐車制御モードにおける学習は1回に限定されるものでなく、ユーザは、仮想駐車制御モードにおける学習を複数回行い、入出力部30への操作に連動した車両の動作方法を練習することも可能である。
【0053】
尚、処理部33は、学習結果を評価して、外部の表示装置(モニタ)や車載モニタの画面上、または入出力部30の画面上に評価結果を表示させることも可能である。例えば、車両(仮想車両)を前進または後退により、所定の駐車位置に駐車させる際に、基準となる許容駐車エリア内に仮想車両を移動させることができたか否か、あるいは、仮想車両を移動させた位置と許容駐車エリアとの相対的な位置関係(例えば、位置ずれ量、許容駐車エリア内に移動した仮想車両の面積など)を評価項目として、学習の評価結果を画面上に表示させることが可能である。客観的な評価結果をユーザに提示することにより、遠隔駐車制御モードを実行する際のユーザの熟練度を、より一層向上させることが可能になる。
【0054】
ステップS20において、サーバは端末IDに基づいてデータベースを参照し、端末IDのユーザおよびユーザの車両を特定する。サーバのデータベースには、端末IDに対応する情報として、ユーザおよびユーザの車両情報(例えば、車種や車台番号など)が登録されており、サーバは、操作端末3から送信された端末IDに基づいて、データベースに登録されているユーザ及びユーザの車両を特定することが可能である。ここで、ユーザ及びユーザの車両を特定するための情報として端末IDを使用しているが、この例に限定されず、ユーザを特定する固有の識別情報を予め設定しておき、端末IDの代わりにユーザの識別情報に基づいて、ユーザおよびユーザの車両を特定することも可能である。
【0055】
ステップS21において、サーバは、特定したユーザに対して学習完了の承認を示すコード情報を生成し、送信元の端末IDの操作端末3に対してコード情報を送信する。
【0056】
ステップS22において、サーバは、先のステップS21で生成したコード情報をユーザの車両に送信する。そして、ステップS23で、車両の制御装置15は、サーバから送信されたコード情報を、通信装置9を介して受信する。ここで、ユーザの車両が遠隔駐車制御モード(第2の制御モード)における制御対象の車両となる。
【0057】
一方、操作端末3側の処理では、ステップS16において、処理部33は、サーバからコード情報を受信し、内部メモリ(記憶部)に登録する。コード情報の登録は、ユーザの学習完了がサーバで承認済であることを示す承認履歴の情報となる。内部メモリを参照して、コード情報が登録されていれば、ユーザの学習完了がサーバで承認済と判定することができる。このコード情報は、実車による車両制御(遠隔駐車制御モード)を実行する際に、操作端末3および車両の間でペアリングを行うための情報として使用される。
【0058】
(遠隔駐車制御モード:第2の制御モード)
図3は、操作端末3及び車両における処理の概略的な流れを説明する図である。まず、ステップS30において、ユーザは制御モードの選択を行う。学習完了情報が内部メモリに登録されている場合、ユーザは仮想駐車制御モードまたは遠隔駐車制御モードのいずれかを選択することが可能であり、選択された制御モードに基づいて処理部33は処理を実行することが可能である。
【0059】
ステップS31において、処理部33は、ステップS30で選択された制御モードが仮想駐車制御モードであるか否か判定する。
【0060】
選択された制御モードが仮想駐車制御モードである場合(S31−Yes)、ステップS32において、処理部33は仮想駐車制御モードでの処理を実行する。この処理は、先に説明した
図2のステップS12と同様の処理であり、ユーザが操作端末3の入出力部30から所定の操作を行うと、表示制御部34は画面上に表示している車両を操作量に応じて仮想的に移動させる。この学習により、ユーザは、例えば、駐車位置の選択、駐車方向の指示、車両の前進操作、車両の後退操作など、遠隔駐車制御における基本的な操作方法を学習することができるとともに、入出力部30への操作に連動した車両(仮想車両)の動きを学習(体験)することができる。
【0061】
ステップS33において、仮想駐車制御モードでの処理を終了するか否か判定し、処理を終了しない場合(S33−No)、ステップS32に戻り、処理部33は仮想駐車制御モードでの処理を継続する。仮想駐車制御モードでの処理中において、遠隔駐車制御モードでの処理を実行する場合、仮想駐車制御モードでの処理を終了させる必要がある。
【0062】
ステップS33の終了判定で、仮想駐車制御モードでの処理を終了する場合(S33−Yes)、処理部33はステップS30に処理を戻す。ステップS30で、遠隔駐車制御モードが選択された場合(S31−No)、処理はステップS34に進められる。
【0063】
ステップS34において、操作端末3は、車両と操作端末3との間でペアリングを行うため、サーバから受信したコード情報(
図2のS16)と、端末IDを車両の制御装置15に送信する。
【0064】
一方、車両側の処理では、ステップS40において、制御装置15は、サーバから受信したコード情報(
図2のS23)と、操作端末3から送信されたコード情報(S34)とを比較する。コード情報が一致しない場合(S40−No)、制御装置15は、遠隔駐車制御モードでの処理を実行することができないと判定し、処理をステップS30に戻す。
【0065】
(実行可能な制御モードの制限)
学習完了情報が内部メモリに登録されることにより、遠隔駐車制御モードの実行制限が解除されていても、以下の場合は、実行可能な制御モードの制限が加えられる。
【0066】
・ペアリング不成立の場合
操作端末3側では、遠隔駐車制御モードの実行制限は解除されているが、コード情報が一致しないため、ペアリングが不成立となり、車両側で遠隔駐車制御モードでの処理を実行することができない状態となる。この場合、ステップS30では、処理部33は仮想駐車制御モードのみを実行可能な制御モードとして設定する。
【0067】
・操作端末3が無線通信可能であるか否かの判定に基づく場合
実行可能な制御モードの制限に関しては、ペアリング不成立の場合の他、例えば、操作端末3が無線通信可能であるか否かの判定に基づいて、処理部33は実行可能な制御モードの設定を変更することが可能である。
【0068】
図4は操作端末が無線通信可能であるか否かの判定に基づいた制御モードの設定処理の流れを説明する図である。処理部33は、起動時における操作端末3の設定、または、操作端末3の通信環境において、通信速度(通信レート)が所定の閾値以上であるか否かにより、操作端末3が無線通信可能であるか否かを判定することが可能である。
【0069】
例えば、操作端末3の起動時に、近距離無線通信(Bluetooth(登録商標))を含む無線通信のスイッチがOFFに設定されている場合や、通信速度(通信レート)が閾値未満である場合、処理部33は無線通信により車両と通信できないと判定し(S410−No)、処理をステップS430に進め、実行可能な制御モードとして、仮想駐車制御モードを設定する。
【0070】
一方、ステップS410の判定で、操作端末3が無線通信可能である場合(S410−Yes)、処理部33は処理をステップS420に進め、実行可能な制御モードとして、仮想駐車制御モードおよび遠隔駐車制御モードを設定する。この場合、ユーザは仮想駐車制御モードおよび遠隔駐車制御モードからいずれかの制御モードを選択することが可能である。例えば、通信速度が閾値以上である場合、処理部33は無線通信により車両と通信可能と判定し、処理部33は、実行可能な制御モードとして、仮想駐車制御モードおよび遠隔駐車制御モードを設定する。
【0071】
・有線接続ポートの接続状態に基づく場合
実行可能な制御モードの制限に関しては、ペアリング不成立の場合、無線通信可能であるか否かの判定に基づく場合の他、例えば、USBポートやHDMIポート等の操作端末3の有線接続ポート(I/F部35)に有線ケーブルが接続されているか否かの判定に基づいて、処理部33は実行可能な制御モードの設定を変更することが可能である。
【0072】
図5は操作端末3の有線接続ポート(I/F部35)に有線ケーブルが接続されているか否かの判定に基づいた制御モードの設定処理の流れを説明する図である。有線接続ポート(I/F部35)はケーブルが接続されたことを検出すると、ケーブル接続信号を処理部33に出力する。処理部33は、ケーブル接続信号の受信の有無により、有線接続ポート(I/F部35)に有線ケーブルが接続されているか否かを判定することが可能である。
【0073】
ケーブル接続信号の受信に基づいて有線接続ポート(I/F部35)に有線ケーブルが接続されていると判定される場合(S510−Yes)、例えば、車載モニタと有線ケーブルで操作端末3が接続している場合、ユーザが車両から降車して操作端末3を操作する可能性は低いため、この場合、処理部33は処理をステップS530に進め、実行可能な制御モードとして、仮想駐車制御モードを設定する。
【0074】
一方、ステップS510の判定で、ケーブル接続信号を受信していない場合、処理部33は有線接続なしと判定し(S510−No)、処理部33は処理をステップS520に進め、実行可能な制御モードとして、仮想駐車制御モードおよび遠隔駐車制御モードを設定する。この場合、ユーザは仮想駐車制御モードおよび遠隔駐車制御モードからいずれかの制御モードを選択することが可能である。
【0075】
説明を
図3のステップS40の判定処理に戻し、制御装置15は、サーバから受信したコード情報(
図2のS23)と、操作端末3から送信されたコード情報(S34)とを比較する。コード情報が一致する場合(S40−Yes)、処理をステップS41に進め、制御装置15は、コード情報が一致したことを示す認証情報を生成し、通信装置9を介して、生成した認証情報を操作端末3に送信する。
【0076】
ステップS42において、制御装置15は遠隔駐車制御モードを実行可能な状態にして待機する。
【0077】
一方、操作端末3側では、ステップS35において、処理部33がコード情報の一致により車両から認証情報を受信すると、車両と操作端末3との間でペアリングが成立する(ステップS36)。そして、ペアリングの成立により、操作端末3と車両との間で遠隔駐車制御モードでの処理を実行することが可能になる(S37)。
【0078】
ステップS37において、処理部33が遠隔駐車制御モードの実行を車両に指示すると、ステップS43において、車両の制御装置15は駐車可能位置の探索、車両を駐車位置に移動させる移動処理、駐車位置に車両を駐車させる駐車処理を実行する。
【0079】
ステップS37及びステップS43では、操作端末3と車両との間で双方向の通信が可能であり、車両側で行われた駐車可能位置の探索結果が操作端末3側に送信される。操作端末3の入出力部30から、駐車位置の指定と指定された駐車位置に移動するための操作量が送信される。
【0080】
ユーザが、操作端末3の入出力部30をスワイプすると、操作端末3はスワイプ量に応じた操作量信号を車両の制御装置15に送信する。制御装置15は操作量信号を車両の移動量に換算し、駐車位置に到達するまで車両を軌道に沿って算出された移動量だけ移動させる移動処理を行う。制御装置15は、移動処理において、車両が駐車位置に到達したかを判定し、駐車位置に到達したと判定したときに、車両を駐車させる駐車処理を行う。駐車処理において、車両の停止が完了すると制御装置15は操作端末3に駐車完了を示す駐車完了通知を送信する。
【0081】
操作端末3は駐車完了通知を受信すると、操作端末3の入出力部30に駐車が完了した旨の通知を表示させる。
【0082】
ステップS38において、処理部33は、遠隔駐車制御モードでの処理の終了判定を行い、処理を継続する場合(S38−No)、ステップS37の処理を継続する。一方、ステップS38において、遠隔駐車制御モードでの処理を終了させる場合(S38−Yes)、処理部33は処理をステップS30に戻し、操作端末3のアプリケーションを終了させる。これにより、遠隔駐車制御モードの処理が完了する。
【0083】
(実車による遠隔駐車制御モード)
次に、遠隔駐車制御モードを実行するための車両側の構成について説明する。制御装置15は、操作端末3からの信号に基づいて車両を駆動させることができる。制御装置15はまた、車両を所定の位置に移動させて遠隔駐車を行うことができる。車両の制御を行うため、制御装置15は少なくとも、起動部40、外界認識部41、位置特定部42、軌道計画部43、走行制御部44及び記憶部45を有する。
【0084】
起動部40はプッシュスタートスイッチからの信号に基づいて、スマートキー14の認証を行い、スマートキー14が車内にあるかを判定する。スマートキー14が認証され、且つスマートキー14が車内にあるときに、起動部40は推進装置4の駆動を開始する。また、起動部40は操作端末3から起動を指示する信号を受信すると、操作端末3の認証を行い、認証されたときに車両の駆動を開始する。起動部40は車両の駆動を開始するときに、推進装置4が内燃機関を含む場合には点火装置(イグニッション)をオンにする。
【0085】
外界認識部41は、外界センサ7の検出結果に基づいて、車両の周辺に存在する例えば、駐車車両や壁などの障害物を認識し、障害物に関する位置や大きさ等の情報を取得する。また、外界認識部41はカメラ18によって取得した画像をパターンマッチング等の画像解析手法に基づいて解析し、障害物の有無及びその大きさを取得することが可能である。更に、外界認識部41はレーダ16、ライダ17からの信号を用いて障害物までの距離を算出し、障害物の位置を取得することが可能である。
【0086】
位置特定部42は、ナビゲーション装置10のGPS受信部20からの信号に基づいて、車両の位置を検出することが可能である。また、位置特定部42はGPS受信部20からの信号に加えて、車両センサ8から車速やヨーレートを取得し、いわゆる慣性航法を用いて車両の位置及び姿勢を特定することも可能である。
【0087】
外界認識部41は、外界センサ7の検出結果、より具体的にはカメラ18によって撮像された画像をパターンマッチング等の画像解析手法に基づいて解析し、例えば、駐車場等の路面に描かれた白線の位置を取得することができる。
【0088】
走行制御部44は、軌道計画部43からの走行制御の指示に基づいて、推進装置4、ブレーキ装置5、及びステアリング装置6を制御し、車両を走行させる。
【0089】
記憶部45はRAM等によって構成され、軌道計画部43、及び走行制御部44の処理に要する情報が記憶される。
【0090】
軌道計画部43はインタフェース装置(HMI装置)13や操作端末3へのユーザからの入力があると、必要に応じて、車両の走行経路となる軌道を算出して、走行制御部44に走行制御の指示を出力する。
【0091】
軌道計画部43は車両が停止された後、ユーザから遠隔操作による遠隔駐車制御モードでの処理を指示する入力があったときに、遠隔駐車制御モードに対応した車両制御処理を行う。
【0092】
遠隔駐車制御モードに対応した車両制御処理を行う場合に、軌道計画部43は最初に駐車可能位置の取得を行う取得処理を行う。軌道計画部43は外界センサ7からの信号に基づいて、障害物の位置及び大きさと、路面に描かれた白線の位置とを取得する。軌道計画部43は取得した障害物の位置及び大きさと白線とに基づいて、駐車可能なスペース(以下、駐車可能位置)を抽出する。ユーザから希望する駐車位置が入力されると、軌道計画部43は車両の現在地から駐車位置に至る軌道を算出する。
【0093】
ユーザが、操作端末3の入出力部30の画面表示をスワイプすると、操作端末3はスワイプ量に応じた操作量信号を軌道計画部43に送信する。軌道計画部43は操作量信号を車両の移動量に換算し、駐車位置に到達するまで車両を軌道に沿って算出された移動量だけ移動させる移動処理を行う。
【0094】
軌道計画部43は、移動処理において、車両が駐車位置に到達したかを判定し、駐車位置に到達したと判定したときに、車両を駐車させる駐車処理を行う。駐車処理において、軌道計画部43はまず、走行制御部44のブレーキ装置5を駆動する。その後、軌道計画部43は走行制御部44のパーキングブレーキを駆動させる。車両の停止が完了すると軌道計画部43は操作端末3に駐車が完了したことを示す駐車完了通知を送信する。
【0095】
操作端末3は駐車完了通知を受信すると、操作端末3の入出力部30に駐車が完了した旨の通知を表示させ、操作端末3のアプリケーションを終了させる。これにより、遠隔駐車制御モードに対応した車両制御処理が完了する。
【0096】
[その他の実施形態]
また、学習完了情報はネットワークを介さず操作端末3と車両1間のローカル通信によって通信されるようにしてもよい。各実施形態で説明された1以上の機能を実現する車両制御プログラムは、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給され、該システム又は装置のコンピュータにおける1以上のプロセッサは、このプログラムを読み出して実行することができる。このような態様によっても本発明は実現可能である。
【0097】
<実施形態のまとめ>
上記実施形態は、少なくとも以下の構成を開示する。
【0098】
構成1.上記実施形態の車両制御装置は、操作端末(例えば、
図1の3)からの操作に基づいて車両の移動及び駐車を制御することが可能な車両制御装置(例えば、
図1の3、33)であって、
画面上に表示した仮想車両を前記操作端末(3)からの操作により仮想的に動作させる仮想駐車制御モードでの処理と、前記操作端末(3)からの操作に基づいて前記車両を駐車位置に移動させ当該駐車位置に前記車両を駐車させる遠隔駐車制御モードでの処理と、を実行可能な処理手段(例えば、
図1の33)を備え、
前記処理手段(33)は、
前記仮想駐車制御モードでの処理を実行した場合、前記操作端末(3)のユーザの学習履歴として学習完了情報を登録し、前記学習完了情報が登録される前の状態では、前記遠隔駐車制御モードの実行を制限し、
前記学習完了情報の登録後、前記遠隔駐車制御モードの実行制限を解除する。
【0099】
構成1の車両制御装置によれば、操作端末からの操作により車両を所定の駐車位置に移動させ、駐車位置に駐車させる車両制御を円滑に行うことが可能になる。例えば、操作端末からの操作により車両を所定の駐車位置に移動させる車両制御について、車両の挙動を体感した学習経験がない場合であっても、駐車位置からの操作に対応した車両の挙動を学習により経験することができるため、実際の車両を所定の駐車位置に移動させ、駐車位置に駐車させる車両制御を円滑に行うことが可能になる。
【0100】
構成2.上記実施形態の車両制御装置(3、33)では、前記処理手段(33)は、前記ユーザの学習履歴として前記学習完了情報を登録する記憶手段を備え、
前記処理手段(33)は、前記記憶手段を参照して前記学習完了情報が登録されている場合、前記ユーザは前記仮想駐車制御モードでの処理方法を学習済と判定する。
【0101】
構成2の車両制御装置によれば、学習完了情報の登録はユーザが学習済であることを示す学習履歴の内部情報となり、内部メモリを参照して、学習完了情報が登録されていれば、操作端末のユーザは学習済と判定することができる。
【0102】
構成3.上記実施形態の車両制御装置(3、33)では、前記学習完了情報が登録されている場合、前記処理手段(33)は、前記仮想駐車制御モード及び前記遠隔駐車制御モードを実行可能な制御モードとして設定する。
【0103】
構成3の車両制御装置によれば、学習完了情報が内部メモリに登録されている場合、ユーザは仮想駐車制御モードまたは遠隔駐車制御モードのいずれかを実行可能な制御モードとして選択することが可能であり、選択された制御モードに基づいて処理部は処理を実行することが可能になる。すなわち、ユーザは、仮想駐車制御モードにおける学習を一度完了すれば、次回から、アプリケーションがサポートする2つの制御モードのうち、いずれか一方を選択することが可能になる。
【0104】
構成4.上記実施形態の車両制御装置(3、33)では、サーバから前記車両に送信されたコード情報と、前記操作端末(3)から前記車両に送信されたコード情報との不一致により、前記操作端末(3)と前記車両との間でペアリングが不成立となった場合、前記処理手段(33)は、前記仮想駐車制御モードを実行可能な制御モードとして設定する。
【0105】
構成4の車両制御装置によれば、学習完了情報が登録されることにより、遠隔駐車制御モードの実行制限が解除されていても、操作端末と車両との間でペアリングが不成立となった場合、車両との間で無線通信を行うことができないため、処理部は、仮想駐車制御モードを実行可能な制御モードとして設定し、起動することが可能になる。
【0106】
構成5.上記実施形態の車両制御装置(3、33)では、サーバから前記車両に送信されたコード情報と、前記操作端末(3)から前記車両に送信されたコード情報との一致により、前記操作端末(3)と前記車両との間でペアリングが成立した場合、
前記操作端末の処理手段(33)は、前記車両との間で前記遠隔駐車制御モードでの処理を実行する。
【0107】
構成5の車両制御装置によれば、学習完了情報が登録されることにより、遠隔駐車制御モードの実行制限が解除され、かつ、操作端末と車両との間でペアリングが成立した場合、車両との間で無線通信を行うことが可能となるため、処理部は、遠隔駐車制御モードでの処理を実行することが可能になる。
【0108】
構成6.上記実施形態の車両制御装置(3、33)では、前記処理手段(33)は、前記操作端末(3)の通信環境において、通信速度が所定の閾値以上であるか否かにより、前記操作端末(3)が無線通信可能であるか否かを判定し、
前記通信速度が閾値未満である場合、前記処理手段(33)は無線通信により前記車両と通信できないと判定し、実行可能な制御モードとして、前記仮想駐車制御モードを設定する。
【0109】
構成6の車両制御装置によれば、学習完了情報が登録されることにより、遠隔駐車制御モードの実行制限が解除されていても、操作端末の通信環境において、通信速度が所定の閾値未満である場合、処理部は無線通信により車両と通信を安定的に行うことができないと判定し、処理部は、仮想駐車制御モードを実行可能な制御モードとして設定し、起動することが可能になる。
【0110】
構成7.上記実施形態の車両制御装置(3、33)では、前記通信速度が閾値以上である場合、前記処理手段(33)は無線通信により前記車両と通信可能と判定し、前記処理手段は、実行可能な制御モードとして、前記仮想駐車制御モードおよび前記遠隔駐車制御モードを設定する。
【0111】
構成7の車両制御装置によれば、前記通信速度が閾値以上となる場合には、処理部は無線通信により車両と安定的に通信可能と判定し、実行可能な制御モードとして、仮想駐車制御モードおよび遠隔駐車制御モードを設定する。これにより、ユーザは、アプリケーションがサポートする2つの制御モードのうち、いずれか一方を選択することが可能になる。
【0112】
構成8.上記実施形態の車両制御装置(3、33)では、ケーブルが接続されたことを検出すると、ケーブル接続信号を前記処理手段(33)に出力する有線接続手段(例えば、
図1の35)を更に備え、
前記ケーブル接続信号の受信に基づいて前記有線接続手段(35)にケーブルが接続されていると判定される場合、前記処理手段(33)は、実行可能な制御モードとして、前記仮想駐車制御モードを設定する。
【0113】
構成8の車両制御装置によれば、学習完了情報が登録されることにより、遠隔駐車制御モードの実行制限が解除されていても、操作端末にケーブルが接続されている場合は、処理部は、仮想駐車制御モードを実行可能な制御モードとして設定し、起動することが可能になる。この場合、遠隔駐車制御モードよりも仮想駐車制御モードを優先して起動することが可能になる。
【0114】
構成9.上記実施形態の車両制御装置の車両制御方法は、操作端末(例えば、
図1の3)からの操作に基づいて車両の移動及び駐車を制御することが可能な車両制御装置(例えば、
図1の3、33)における車両制御方法であって、
画面上に表示した仮想車両を前記操作端末(3)からの操作により仮想的に動作させる仮想駐車制御モードでの処理と、前記操作端末(3)からの操作に基づいて前記車両を駐車位置に移動させ当該駐車位置に前記車両を駐車させる遠隔駐車制御モードでの処理と、を実行可能な処理工程(例えば、
図3のS32、S37)を有し、
前記処理工程では、
前記仮想駐車制御モードでの処理を実行した場合、前記操作端末(3)のユーザの学習履歴として学習完了情報を記憶手段に登録し、前記学習完了情報が登録される前の状態では、前記遠隔駐車制御モードの実行を制限し(例えば、
図2のS12)、
前記学習完了情報の登録後、前記遠隔駐車制御モードの実行制限を解除する(例えば、
図2のS14)。
【0115】
構成10.上記実施形態のプログラムは、コンピュータに、操作端末(例えば、
図1の3)からの操作に基づいて車両の移動及び駐車を制御することが可能な車両制御装置(例えば、
図1の3、33)における車両制御方法を実行させるプログラムであって、前記車両制御方法が、
画面上に表示した仮想車両を前記操作端末(3)からの操作により仮想的に動作させる仮想駐車制御モードでの処理と、前記操作端末(3)からの操作に基づいて前記車両を駐車位置に移動させ当該駐車位置に前記車両を駐車させる遠隔駐車制御モードでの処理と、を実行可能な処理工程(例えば、
図3のS32、S37)を有し、
前記処理工程では、
前記仮想駐車制御モードでの処理を実行した場合、前記操作端末(3)のユーザの学習履歴として学習完了情報を記憶手段に登録し、前記学習完了情報が登録される前の状態では、前記遠隔駐車制御モードの実行を制限し(例えば、
図2のS12)、
前記学習完了情報の登録後、前記遠隔駐車制御モードの実行制限を解除する(例えば、
図2のS14)。
【0116】
構成9の車両制御方法及び構成10のプログラムによれば、操作端末からの操作により車両を所定の駐車位置に移動させ、駐車位置に駐車させる車両制御を円滑に行うことが可能になる。例えば、操作端末からの操作により車両を所定の駐車位置に移動させる車両制御について、車両の挙動を体感した学習経験がない場合であっても、駐車位置からの操作に対応した車両の挙動を学習により経験することができるため、実際の車両を所定の駐車位置に移動させ、駐車位置に駐車させる車両制御を円滑に行うことが可能になる。
【0117】
本発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。