(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支持体は、前記サスペンション材を前記支持体に結合するファスナを含み、前記ファスナは、前記複数の静電気放電繊維のうちの少なくとも1つと接触するように位置決めされ、前記電子プロセッサは、前記ファスナを介して前記複数の静電気放電繊維のうちの少なくとも1つに接続される、請求項1に記載の座席構造体。
前記支持体は、前記複数の静電気放電繊維のうちの1つに隣接して位置決めされた圧力コネクタを支持し、前記圧力コネクタは、前記圧力コネクタが前記複数の静電気放電繊維のうちの1つと接触する第1の状態と、前記圧力コネクタが前記複数の静電気放電繊維のうちの1つから切り離される第2の状態との間で切り替わり、前記電子プロセッサは、前記圧力コネクタが前記第1の状態にある場合に、前記圧力コネクタを介して前記複数の静電気放電繊維のうちの1つに接続される、請求項1に記載の座席構造体。
前記電子プロセッサは、前記容量性電極と前記複数の静電気放電繊維のサブセットとの間に容量場が形成されるように、前記容量性電極に前記駆動信号を印加するように構成され、前記センサは、前記容量性電極と前記複数の静電気放電繊維のサブセットとからなるグループから選択された1つに接続され、前記出力信号は、前記容量性電極と前記複数の静電気放電繊維のサブセットとの間の電圧を示す、請求項4に記載の座席構造体。
前記電子プロセッサは、前記複数の静電気放電繊維のうちの第1の静電気放電繊維に前記駆動信号を印加するように構成され、前記センサは、前記複数の静電気放電繊維のうちの第2の静電気放電繊維に接続されており、前記出力信号は、前記第1の静電気放電繊維と前記第2の静電気放電繊維と間の電圧を示す、請求項1に記載の座席構造体。
前記駆動信号は、印加された電圧であり、前記電子プロセッサは、前記印加された電圧の消散時間を特定して、前記消散時間が占有閾値を超過する場合に、前記座席構造体が占有されていると判定するように構成される、請求項1に記載の座席構造体。
前記駆動信号は、高周波信号であり、前記電子プロセッサは、前記駆動信号に応答して受信した応答信号の振幅を測定して、前記応答信号の振幅が占有閾値を下回る場合に、前記座席構造体が占有されていると判定するように構成される、請求項1に記載の座席構造体。
ファスナを用いて前記複数の静電気放電繊維のうちの少なくとも1つに前記電子プロセッサを接続する段階を更に含み、前記ファスナは、前記サスペンション材を前記座席構造体の支持体に結合し、前記電子プロセッサは、前記ファスナを介して前記複数の静電気放電繊維のうちの少なくとも1つに前記駆動信号を印加する、請求項11に記載の方法。
前記駆動信号を印加する段階は、前記複数の静電気放電繊維のサブセットに結合された容量性電極に前記駆動信号を印加する段階を含み、前記容量性電極は、前記複数の静電気放電繊維のサブセットから間隔をおいて配置される、請求項11に記載の方法。
前記電子プロセッサを用いて、第2の容量性電極と、前記複数の静電気放電繊維の第2のサブセットに対して直交して配向された前記複数の静電気放電繊維の第2のサブセットとの間に第2の容量場が形成されるように、前記第2の容量性電極に第2の駆動信号を印加する段階と、
第2のセンサを用いて、前記第2の容量性電極と前記複数の静電気放電繊維の前記第2のサブセットと間の第2の電圧を示す第2の出力信号を生成する段階と、
を更に含む、請求項15に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明のいずれかの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その用途において、以下の説明で記載される又は添付の図面で示される構造の詳細及び構成要素の配置に限定されるものではないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態の可能性があり、様々な方法で実施又は実行することができる。
【0008】
様々な例示的実施形態は、座席構造体及び座席構造体を作製する方法に関する。座席構造体は、ユーザの身体を支持するのに使用される何らかの構造体、例えば、限定されるものではないが、オフィスチェア、椅子、ソファ、飛行機シート、車両シート、自転車シート、船舶シート、ベッド、歯科用及び医療用シート及びベッド、講堂及び教育用の座席などを含むことができる。本明細書に開示される様々な方法及び装置は、例えば、限定されるものではないが、アームレスト、ヘッドレスト、及びその他の人間工学的位置決め特徴部を含む、シート及び/又は背もたれ以外の座席構造体に適用できることを理解されたい。更に、様々な方法及び装置は、座席構造体以外のフレーム及びサスペンション材を採用した構造体に適用することができる。図示の実施形態は、オフィスチェアに関連して示されているが、他の実施形態は、異なる構成を含むことができる。
【0009】
図1は、シート2、背もたれ4、及び基部6を含む椅子として構成された座席構造体1の例示的な実施形態を示している。基部6は、傾斜制御ハウジング8と、この傾斜制御ハウジング8に結合されてそれを支持する支持コラム10と、この支持コラム10に結合されてそれを支持する基部構造体12とを含む。一対のアームレスト11が、この椅子に結合することができる。
【0010】
シート2は、シートフレーム14と、シートサスペンション材16と、シート支持体18とを含む。シート支持体18は、シートサスペンション材16を保持し、シートフレーム14に結合する。図示の例示的な実施形態では、シートフレーム14は、シート開口部を規定する前部と、後部と、一対の側面とを有するリングとして形成される。また、シートフレーム14は、側面部材、上部部材、及び底部部材から形成することもできる。異なるサイズ、形状、及び構成のシートフレーム14は、美観、人間工学的観点、スペース、又は他の考慮事項に従って使用することができる。シートフレーム14は、単一の均質のユニットとして一体的に形成すること、又は別々の構成要素から形成することができる。シート支持体18がシートフレーム14と係合した場合に、シートサスペンション材16は、シート2の開口部にわたって広がる。
【0011】
背もたれ4は、背部フレーム20、背部サスペンション材22、及び背部支持体24を含む。背部支持体24は、背部サスペンション材22を保持し、背部フレーム20に結合する。図示の例示的な実施形態では、背部フレーム20は、背部開口部を規定する前部と、後部と、一対の側面とを有するリングとして形成される。また、背部フレーム20は、側面部材、上部部材、及び底部部材から形成することもできる。異なるサイズ、形状、及び構成の背部フレーム20は、美観、人間工学的観点、スペース、又は他の考慮事項に従って使用することができる。背部フレーム20は、単一の均質なユニットとして一体的に形成すること、又は別々の構成要素から形成することができる。背部支持体24が背部フレーム20と係合した場合に、背部サスペンション材22は、背もたれ4の開口部にわたって広がる。
【0012】
1つの実施形態では、サスペンション材16及び22は、様々なエラストマー材料、布地、又は様々な成形ポリマー材料を含む織物又はニット材料から作製される。シート2及び背もたれ4は、サスペンション材16及び22に同じ種類の材料又は異なる材料を利用することができる。サスペンション材16及び22の拡大図を示す
図2の部分25に示されるように、サスペンション材16及び22は、複数のマルチフィラメントストランド28と織り合わされた複数のモノフィラメント26を含むことができる。モノフィラメント26は、主荷重支持部材とすることができ、シート及び背もたれ4の縦糸方向で横方向に延び、一方で、マルチフィラメントストランド28は横糸方向で長手方向に延びる。更に、モノフィラメント26及び/又はマルチフィラメント28は、必要な場合に、横方向及び長手方向の両方に延びるように組み合わせることができる。
【0013】
また、サスペンション材16及び22は、導電性繊維又は糸30を含む。導電性繊維又は糸30は、静電気を接地に伝導して静電荷の蓄積を防止することができる。これらの導電性繊維30は、静電気放電(ESD)繊維とも呼ばれる。図示の実施例では、マルチフィラメントストランド28の少なくとも一部は、導電性繊維30を含む。他の実施形態では、モノフィラメント26は、導電性繊維30を含む。一部の実施形態では、シートサスペンション材16及び背部サスペンション材22は、導電性繊維30を含む。しかしながら、他の実施形態では、シートサスペンション材16又は背部サスペンション材22のみが、導電性繊維30を含む。
【0014】
支持体18及び24は、プラスチック材料から作製され、例えば
図3に示されている第1の部分31a(例えば、上部)及び第2の部分31b(例えば、下部)を含む。一部の実施形態では、第1の部分31a及び第2の部分31bは、支持体18及び24の輪郭縁部を形成するためのオーバーモールディング技法を使用して作製される。他の実施形態では、第1の部分31a及び第2の部分31bは、インサート射出成形技法を使用して作製される。
図2に概略的に示されているように、第1の部分31a及び第2の部分31bは、ファスナ32a−dによって接合される。ファスナ32a−dは、金属材料から作製される。図示の実施形態では、支持体18及び24は、2つの前部ファスナ32a及び32b及び2つの後部ファスナ32c及び32dを使用して固定される。しかしながら、他の実施形態では、より少ない又はより多いファスナ32が、支持体18、24の第1の部分を支持体18、24の第2の部分に固定するために、及び/又は支持体18、24をフレーム14、20に固定するために使用できる。また、ファスナ32a−dは、サスペンション材16、22を支持体18、24及びフレーム14、20に固定することもできる。
【0015】
一部の実施形態では、支持体18、24は、例えば、電子伝導性ポリマー(例えば、ポリアセチレン)、プロトン伝導性ポリマー、又はイオン伝導性ポリマーなどの導電性プラスチック材料から作製される。導電性プラスチック材料は、約10
0から10
12オーム/スクエアの範囲の表面抵抗率をもつことができ、具体的には、表面抵抗率は、10
1から10
6オーム/スクエアとすることができる。
【0016】
図3から7に示されているように、導電性繊維30は、接続部50を介して電子回路100(例えば、検知回路)に接続される。
図3は、接続部50の第1の実施形態を示している。第1の実施形態では、ファスナ32aから32dのうちの1つが、導電性繊維30を電子回路100に直接接続する。図示の実施形態では、ファスナ32aから32dは、ねじである。
図3に示されているように、後部ファスナのうちの1つ32cは、支持体18、24の第2の部分及び導電性繊維30と接触する。ワイヤ又はケーブル33は、ファスナ32cに取り付けられ(例えば、リング及びスペード端子を用いてワイヤ又はケーブル33をファスナ32cに巻く又ははんだ付けすることによって、或いは別の方法で固定される)さらに電子回路100に取り付けられて、導電性繊維30が電子回路100に接続される。ファスナ32cは、金属材料から作製されるので、電気信号は、ワイヤ33を通って電子回路100からファスナ32cに伝わり、支持体18、24を通って導電性繊維30に伝わることができる(例えば、支持体18、24が導電性プラスチックで作製されている場合)。
【0017】
第2の実施形態では、
図4に示されているように、導電性中間体55が、支持体18、24と導電性繊維30との間に位置決めされる。導電性中間体55は、例えば、小さな金属シート、導電性発泡体片、導電性プラスチック、導電性塗料スプレー(又はその他のコーティング)などを含むことができる。導電性中間体55は、支持体18、24からの電子信号を特定の導電性繊維に集中させることを助長する。更に、導電性中間体55は、導電性繊維30とファスナ32cと支持体18、24との間の信号における電気損失を減少させる。
【0018】
別の実施形態では、
図5に示されているように、接続部50を形成するファスナは、肩付きねじ70を含む。肩付きねじ70は、ねじ切り部72及び肩部74を含む。ねじ切り部72は、支持体18、24の第1の部分31aを支持体18、24の第2の部分31b及びサスペンション材16、22に結合する。肩部74は、ねじ切りされておらず、ファスナ32aを電子回路100に接続するコネクタ(例えば、ワイヤ33、リング及びスペードコネクタなど)を受ける。
【0019】
図6は、接続部50の更に別の実施形態を示している。図示の実施形態では、接続部50は、導電性繊維30を電子回路100に接続するための圧力コネクタ(pressure connector)75を含む。圧力コネクタ75は、第1の接続板77及び第2の接続板79を含む。
図6に示されているように、第1の接続板77は、シート支持体18の第1の部分31aに取り付けられ、第2の接続板79は、シート支持体18の第2の部分31bに取り付けられる。第2の接続板79は、ワイヤ80(例えば、
図3から5のワイヤ33と同様)を介して電子回路100に接続される。圧力コネクタ75は、圧力コネクタ75が導電性繊維30と接触する第1の状態と、圧力コネクタ75が導電性繊維30から切り離される第2の状態との間で移動できる。圧力がシートに加えられた場合に(例えば、ユーザがシートに着座した場合に)、圧力コネクタ75が、第1の状態に移り、第1の接続板77が、第2の接続板79と接触する。サスペンション材16は、第1の接続板77と第2の接続板79との間で圧迫される。従って、第1の接続板77及び第2の接続板79が接触する際に、電子回路100は、同様に、少なくとも1つの導電性繊維30に接続するようになる。さもなければ、圧力がシートに加えられていない場合には、圧力コネクタ75は第2の状態のままである。
【0020】
図7は、接続部50の別の実施形態を示している。図示の実施形態では、接続部50はワイヤレス接続である。導電板85(又は容量性電極)は、支持体18、24の第1の部分に位置決めされる。導電板85は、導電板30と複数の導電性繊維30との間にコンデンサが形成されるように、導電性繊維30の十分近くに(すなわち、それに接近して)位置決めされる。
図7の実施形態では、高密度の導電性繊維30(例えば、導電性繊維30の第1のサブセット)が、導電板85の近くに位置決めされる。電子回路100が、例えばワイヤ87を経由して導電板85に駆動信号を供給する場合、この駆動信号は、導電板85と導電性繊維30との間の静電容量を介して導電性繊維30に伝達される。従って、導電板85は、導電性繊維30と電子回路100の他の構成要素との間の間隙をワイヤレスで橋絡する。
【0021】
図8は、電子回路100のブロック図を示している。一部の実施形態では、電子回路100は、シートの基部において傾斜制御ボックス8の近くに位置決めすることができる。他の実施形態では、電子回路100は、座席構造体1上の他の場所に位置決めされる(例えば、背もたれ4に固定される)。
図8に示されているように、電子回路100は、電圧センサ105、電子プロセッサ110、電源115、及び通信コントローラ125を含む。電源115は、電子回路100に電力を供給する。一部の実施形態では、電源115は、例えば、座席構造体1に組み込まれて保持されたバッテリとすることができる。他の実施形態では、電源115は、例えばAC電圧源(例えば、壁コンセント)から電力を受け取り、受け取った電力を、電子回路100に使用できる形態(例えば、5、12、又は24ボルトDC)に変換するように構成された回路を含むことができる。
図8に示されているように、導電性繊維30は、電子プロセッサ110に接続されて、電子プロセッサ110から駆動信号120を受け取る。一部の実施形態では、電子プロセッサ110は、駆動信号120を直接導電性繊維30に送る。しかしながら、他の実施形態では、電子プロセッサ110は、制御信号を電気スイッチに送る。電気スイッチは、駆動信号120が導電性繊維30に送られない第1の状態と、駆動信号120が導電性繊維30に送られる第2の状態との間で切り替わることができる。電気スイッチは、電子プロセッサ110から受け取った制御信号に基づいて状態を変更する。また、電圧センサ105は、導電性繊維30に接続されて、駆動信号120の変化を測定してその測定値を電子プロセッサ110に送る。
【0022】
通信コントローラ125は、電子プロセッサ110に接続されて、例えば駆動信号120の測定された変化に関する情報を含むデータ信号を外部デバイス130に送る。一部の実施形態では、外部デバイス130は、ラップトップ又はデスクトップコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ、サーバなどを含むことができる。外部デバイス130は、通信コントローラ125から受け取ったデータ信号に基づいて追加の判定を行うことができる。1つの実施形態では、通信コントローラ125は、Bluetooth(登録商標)通信規格を使用してメッセージを送受信するように構成されたBluetooth(登録商標)コントローラを含む。他の実施形態では、通信コントローラ125は、例えば、Zig−bee(登録商標)通信、近距離無線通信などのような、外部デバイス130間の種々の通信規格を実装することができる。
【0023】
図9は、電子回路100及び導電性繊維30の第1の動作方法200を示すフローチャートである。第1の実施形態では、電子プロセッサ110は、第1の導電性繊維30aに接続される。電子プロセッサ110は、接続部50を介して駆動信号120を第1の導電性繊維30aに送る(ブロック205)。第1の実施形態では、駆動信号120は、第1の導電性繊維30aに印加される電圧を含む。電圧は、所定の期間にわたって第1の導電性繊維30aに印加される。電子プロセッサ110は、所定の期間が経過したか否かを判定する(ブロック210)。所定の期間が経過していない場合には、電子プロセッサ110は、駆動信号120を第1の導電性繊維30aに供給し続ける(ブロック205)。一方で、所定の期間が経過すると、電子プロセッサ110は、第1の導電性繊維30aへの電圧駆動信号の印加を停止する。導電性繊維の近接性及び平行性に起因して、駆動信号(例えば、電圧信号)が第1の導電性繊維30aに印加された場合に、コンデンサが、第1の導電性繊維30aと第2の導電性繊維30bとの間に形成される。
【0024】
第1の実施形態では、電圧センサ105が、第1の導電性繊維30a及び/又は第2の導電性繊維30bに接続される。電圧センサ105は、第1の導電性繊維30aと第2の導電性繊維30bとの間に形成されたコンデンサの電圧(例えば、充電状態)を検出する(ブロック215)。次に、電圧センサ105は、複数の出力信号(例えば、コンデンサの充電状態の測定値)を電子プロセッサ110に送る(ブロック220)。1つの実施形態では、電圧センサ105は、コンデンサの充電状態の測定値を所定のペースで送る(例えば、20ミリ秒ごとに1つの測定値)。他の実施形態では、電圧センサ105は、コンデンサが完全に充電されたときに一度、更に所定の時間後(例えば、コンデンサが完全に充電された20秒後)に再度コンデンサの充電状態の測定値を送る。次に、電子プロセッサ110は、電圧センサ105からの複数の測定値に基づいてコンデンサの消散時間を特定する(ブロック225)。電子プロセッサ110は、例えば、コンデンサの測定された充電状態を監視して、コンデンサの測定された充電状態が、何時所定の低電圧閾値に達したかを判定することができる。次に、コンデンサの消散時間は、完全に充電されたコンデンサと低電圧閾値に達したコンデンサとの間の時間差に基づいて計算することができる。電子プロセッサ110は、計算された消散時間が占有閾値を超過するか否かを判定する(ブロック230)。占有閾値は、電子プロセッサ110が、ユーザが座席構造体1を占有しているか否かを判定することを助長する。ユーザが第1の導電性繊維30aと第2の導電性繊維30bとの間に形成されたコンデンサに接近する場合に、ユーザの静電容量が、導電性繊維30のコンデンサの静電容量と並列に追加される。並列静電容量の追加は、全体の静電容量を増加させ、それによって、消散時間が、同様に増加する。
【0025】
従って、消散時間が占有閾値を下回る場合に、電子プロセッサ110は、座席構造体1が占有されていないと判定する(ブロック235)。一方で、消散時間が占有閾値を超過する場合には、電子プロセッサ110は、座席構造体1がユーザによって占有されていると判定する(ブロック240)。一部の実施形態では、方法200は更に、座席構造体1の状態に関するデータ信号を外部デバイス130に(例えば、通信コントローラ125を介して)送る段階を含む(ブロック245)。
【0026】
図10は、電子回路100及び導電性繊維30の第2の動作方法250を示すフローチャートである。
図11に示されているように、第2の実施形態では、座席構造体1は更に、容量性電極255(例えば、
図7に関して上述した導電板85と同様)を含む。図示の実施形態では、容量性電極255は、支持体18、24の第1の端部(例えば、シート支持体18の後端部)に位置決めされる。容量性電極255は、電子プロセッサ110に結合され、導電性繊維30から間隔をおいて配置される。電子プロセッサ110は、駆動信号(例えば、印加電圧)を容量性電極255に送る(ブロック260)。容量性電極255は、
図11に概略的に示されているように、支持体18、24の第2の端部(例えば、シート支持体18の前端部)に位置決めされた導電性繊維30と共にコンデンサを形成する。すなわち、駆動信号の印加は、容量性電極255と導電性繊維30との間に容量場を形成する。容量性電極255に印加される電圧(例えば、駆動信号120)は、容量性電極255と、支持体18、24の反対側の端部にある導電性繊維30との間に形成されたコンデンサを充電する。
図11の実施形態では、電圧センサ105は、接続部50を介して導電性繊維30に接続すること、又は容量性電極255と直接接続することができる。電圧センサ105は、容量性電極255と導電性繊維30との間に形成されたコンデンサの電圧(例えば、充電状態)を検出する(ブロック265)。電圧センサ105は、コンデンサの充電状態についての複数の測定値を電子プロセッサ110に送る(ブロック270)。
図9に関して上述したように、1つの実施形態では、電圧センサ105は、所定の周波数(又はペース)で周期的に電圧測定信号を電子プロセッサ110に送る。しかしながら、他の実施形態では、電圧センサ105は、2つの測定値、すなわち、コンデンサが完全に充電された場合の第1の電圧測定値及び所定の時間後(例えば、20秒後)の別の測定値のみを電子プロセッサ110に送る。
【0027】
次に、電子プロセッサ110は、受け取った電圧測定値に基づいて、コンデンサの消散時間(又は放電速度)を特定する(ブロック275)。次に、電子プロセッサ110は、消散時間が近接閾値を超過するか否かを判定する(ブロック280)。消散時間が近接閾値を下回る(例えば、コンデンサが、近接閾値より速く放電する)場合に、電子プロセッサ110は、座席構造体1がユーザの近くにないと判定する(ブロック285)。一方で、消散時間が近接閾値を超過する(例えば、コンデンサが、より長い間充電されたままである)場合には、電子プロセッサ110は、ユーザが座席構造体1の近くにいる(例えば、それと接触しているか、又はほとんどそれにタッチしている)と判定し、次に、消散時間が、同様に、占有閾値を超過するか否かを判定する(290)。消散時間が占有閾値を下回る場合には、電子プロセッサ110は、座席構造体1がユーザの近くにあると判定する(ブロック292)。一方で、消散時間が占有閾値を超過する場合には、電子プロセッサ110は、座席構造体1がユーザによって占有されていると判定する(ブロック295)。容量性電極255を使用することは、隣接する導電性繊維30の間に形成されたコンデンサと比較して、より大きなコンデンサが導電性繊維30によって形成されることを可能にする。より大きなコンデンサは、次に、ブロック280及び290に関して上述したように、消散時間を近接閾値及び占有閾値の両方と比較することを可能にする。図示の実施形態では、通信コントローラ125は、座席構造体の状態を示すデータ信号を外部デバイス130に送る(ブロック298)。
【0028】
図12は、電子回路100及び導電性繊維30の第3の動作方法300を示すフローチャートである。第3の実施形態では、座席構造体は、
図13に示されているように、複数の容量性電極255aから255dを含む。容量性電極255aから255dの各々は、導電性繊維30aから30dのサブセットと共にコンデンサを形成して、それぞれ、合計4つのコンデンサ305aから305dを形成する。
図13に示されているように、4つのコンデンサ305aから305dは、格子状に配列される。導電性繊維30aから30dのサブセットの各々の接続部は、
図3から8における第1の導電性繊維30aに関して説明した接続部50と同様である。また
図13に示されているように、第3の実施形態では、コンデンサ305aから305dの各々の一方の電極(例えば、容量性電極255aから255d又は導電性繊維30aから30d)は、電子プロセッサ110に接続されて駆動信号120を受け取るが、他端(例えば、容量性電極255aから255d又は導電性繊維30aから30dのもう一方)は、各々、電圧センサ105aから105dに接続される。他の実施形態では、座席構造体は、導電性繊維と共により少ない又はより多いコンデンサを形成するより少ない又はより多い容量性電極を含むことができる。
【0029】
第3の方法では、電子プロセッサ110は、駆動信号120(例えば、電圧信号)を4つのコンデンサ305aから305dの各々に印加する(ブロック310)。具体的には、電子プロセッサ110は、駆動信号120を容量性電極255aから255dの各々に印加する。次に、各電圧センサ105aから105dは、この電圧センサのそれぞれのコンデンサ305aから305dの充電状態を検出し(ブロック315)、電圧測定信号を電子プロセッサ110に送る(ブロック320)。電子プロセッサ110は、コンデンサ305aから305dの各々に関する消散時間を特定する(ブロック325)。電子プロセッサ110は、次に、第1のコンデンサ305aに関する消散時間が近接閾値を超過するか否かを判定する(ブロック330)。消散時間が近接閾値を下回る場合には、電子プロセッサ110は、第1のコンデンサ305aに関連するフラグを「0」に設定する(ブロック332)。第1のコンデンサ305に関する消散時間が近接閾値を超過する場合には、電子プロセッサ110は、第1のコンデンサ305aに関連するフラグを「1」に設定する(ブロック334)。電子プロセッサ110は、同様に、第2のコンデンサ305bに関する消散時間が近接閾値を超過するか否かを判定する(ブロック335)。第2のコンデンサ305bに関する消散時間が近接閾値を下回る場合には、電子プロセッサ110は、第2のコンデンサ305bに関連するフラグを「0」に設定する(ブロック336)。第2のコンデンサ305bに関する消散時間が近接閾値を超過する場合には、電子プロセッサ110は、第2のコンデンサ305bに関連するフラグを「1」に設定する(ブロック338)。電子プロセッサ110は、次に、第3のコンデンサ305cに関する消散時間が近接閾値を超過するか否かを判定し(ブロック340)、第4のコンデンサ305dに関する消散時間が近接閾値を超過するか否かを判定する(ブロック345)。消散時間が近接閾値を超過するか否かに基づいて、電子プロセッサ110は、ブロック332、334、336、及び338に関して上述したように、対応するコンデンサ(例えば、第3のコンデンサ305c又は第4のコンデンサ305d)に関連するフラグを適切な値に設定する(ブロック342、344、346、348)。
【0030】
次に、電子プロセッサ110は、どの消散時間が近接閾値を超過するかに基づいて、座席構造体1の状態を判定する(ブロック350)。例えば、消散時間が、いずれも、近接閾値を超過しない場合には、電子プロセッサ110は、座席構造体1が占有されておらず、ユーザから遠く離れていると判定する。別の例では、3以上の消散時間が近接閾値を超過する場合には、電子プロセッサ110は、座席構造体1がユーザによって占有されていると判定する。更に別の例では、2つのみの消散時間が近接閾値を超過する場合には、電子プロセッサ110は、ユーザが座席構造体1に近接していると判定し、一部の実施形態では、ユーザが近くにいる特定の領域を特定することができる。コンデンサ305aから305dが格子状アレイに配列されることによって、電子プロセッサ110は、ユーザによって占有される領域及び/又はユーザに近接する領域のより正確な特定を決定する。次に、通信コントローラ125は、座席構造体1の状態に関するデータ信号を外部デバイス130に送信する(ブロック355)。
【0031】
図13は、4つの別個の電圧センサ105aから105dを示しているが、一部の実施形態では、単一の電圧センサ105が、4つのコンデンサ305aから305dの充電状態を測定することができる。例えば、電圧センサ105は、各コンデンサ305aから305dの充電状態を特定するように開閉されるスイッチ(又は別の選択機構)を介して4つのコンデンサ305aから305dの各々に接続することができる。
【0032】
図9から13は、導電性繊維30によって形成されたコンデンサに電圧信号を送るものとして説明されているが、
図14から17に関して説明する方法は、高周波信号を導電性繊維30に印加して、この高周波信号が受ける減衰に基づいて座席構造体1の状態を判定する。
【0033】
図14は、電子回路100及び導電性繊維30の第4の動作方法400を示すフローチャートである。第4の実施形態では、電子プロセッサ110は、駆動信号120を第1の導電性繊維30aに送る(ブロック405)。第4の実施形態では、駆動信号120は、導電性繊維30aを通してパルス出力される(例えば、伝送される)高周波信号を含む。この高周波信号は、所定の振幅及び周波数を含む。高周波信号(例えば、駆動信号120)が、接続部50においてパルス出力された場合、この高周波信号は、第1の導電性繊維30aの長さを通って伝わる。第1の導電性繊維30aの長さの端部(例えば、支持体18、24の前端部又は反対側の端部)に達すると、高周波信号のエコーが、接続部50(例えば、この信号の元の位置)に戻ってくる。エコー信号は、応答信号(例えば、高周波信号に応答する)と呼ばれる場合もある。第2の実施形態では、電圧センサ105が、第1の導電性繊維30aに接続されており、高周波信号のエコー信号を検出する(ブロック410)。次に、電圧センサ105は、高周波信号の振幅測定値を電子プロセッサ110に送る(ブロック415)。
【0034】
電子プロセッサ110は、高周波送信信号の特性を特定する(ブロック420)。1つの実施形態では、電子プロセッサ110は、伝送時間を特定する。例えば、電子プロセッサ110は、接続部50における高周波信号の送信と高周波信号のエコーの受信との間の遅延を特定して伝送時間を特定する。他の実施形態では、電子プロセッサ110は、高周波信号の受信エコーの振幅を特定する。ユーザが、座席構造体1に接近する場合に、ユーザは、導電性繊維30の間の高周波信号の交換を妨げる。従って、ユーザが、座席構造体に接近する場合に、伝送時間が増加し(例えば、高周波信号が、その送信先に到達するのにより長い時間を必要とする)、受信信号の振幅が小さくなる。
図14の実施例では、電子プロセッサ110は、受信信号の振幅を特定する。次に、電子プロセッサ110は、測定された特性(この実施例では、受信信号の振幅)が近接閾値を超過するか否かを判定する(ブロック425)。受信信号の振幅が近接閾値を超過する場合には、電子プロセッサ110は、干渉が存在しない(又はほとんど存在しない)、従って、座席構造体1が占有されていないと判定する(ブロック430)。一方で、受信信号の振幅が近接閾値を下回る場合には、電子プロセッサ110は、ブロック435において、座席構造体1が占有されている(ユーザによって導入された干渉に起因して)と判定する。次に、通信コントローラ125は、座席構造体1の状態を示すデータ信号を外部デバイス130に送信する(ブロック440)。
【0035】
図15は、電子回路100及び導電性繊維30の第5の動作方法500を示すフローチャートである。第5の方法500は、
図14に示されている第4の動作方法400と同様であるが、電圧センサ105が第1の導電性繊維30aではなく第2の導電性繊維30bに接続されている点で異なる。第5の方法500では、電子プロセッサ110は、この場合もやはり、高周波信号を第1の導電性繊維30aにパルス出力する(ステップ505)。電圧センサ105は、第2の導電性繊維30bにおいて送信高周波信号の受信を検出する。一部の実施形態では、第2の導電性繊維30bは、第1の導電性繊維30aに隣接している。電圧センサ105は、受信信号の振幅を測定し(ブロック510)、測定された電圧を電子プロセッサ110に送る(ブロック515)。次に、電子プロセッサ110は、受信信号の振幅が近接閾値を超過するか否かを判定する(ブロック520)。受信信号の振幅が近接閾値を超過する場合には、電子プロセッサ110は、座席構造体1が占有されていないと判定する(ブロック525)。一方で、受信信号の振幅が近接閾値を下回る場合には、電子プロセッサ110は、座席構造体1が占有されていると判定する(ブロック530)。次に、通信コントローラ125は、座席構造体1の状態を示すデータ信号を外部デバイス130に送信する(ブロック535)。一部の実施形態では、追加的又は代替的に、電子プロセッサ110は、第1の導電性繊維30aにおける駆動信号120の送信と第2の導電性繊維30bにおける信号受信との間の遅延を特定することができる。電子プロセッサ110は、次に、時間遅延が近接閾値を超過するか否かを判定することができる。
【0036】
別の実施形態では、電子プロセッサ110は、第1の端部(例えば、座席構造体1の後部に位置決めされた第1の導電性繊維30aの端部)において第1の導電性繊維30aに接続され、電圧センサ105は、第2の端部(例えば、座席構造体1の前部に位置決めされた第1の導電性繊維30aの端部)において第1の導電性繊維30aに接続される。このような実施形態では、電子プロセッサ110は、第1の導電性繊維30aの第1の端部から駆動信号120を送り、電圧センサ105は、第1の導電性繊維30aの第2の端部において受信信号を検出する。電子プロセッサ110は、次に、伝送特性(例えば、伝送時間及び/又は受信信号の電力)を特定して、
図14及び15に関して上述したように、特定された伝送特性を、例えば占有閾値及び/又は近接閾値と比較することができる。電子プロセッサ110は、次に、伝送特性と占有閾値及び/又は近接閾値との比較に基づいて、座席構造体1の状態(例えば、座席構造体1が、占有されているか否か、及び/又はユーザの近くにいるか否か)を判定することができる。
【0037】
図16は、電子回路100及び導電性繊維30の第6の動作方法600を示すフローチャートである。第6の実施形態では、電子プロセッサ110は、駆動信号120(例えば、高周波信号)を複数の導電性繊維30aから30dに送信する(ブロック605)。第6の実施形態では、
図17に示されているように、電圧センサ105aから105dは、導電性繊維30eから30hの別のセット(例えば、第2の複数の導電性繊維)の各導電性繊維30eから30hに接続される。第1の複数の導電性繊維30aから30dの各々は、第2の複数の導電性繊維30eから30hの対応する導電性繊維に駆動信号を送る。
図17に示されているように、一対の送信及び受信導電性繊維30が、格子状アレイに位置決めされる(例えば、
図13のコンデンサの分布と同様)。
【0038】
次に、各電圧センサ105は、第2の複数の導電性繊維30eから30hの各々において受信信号の振幅を測定し(ブロック610)、測定信号(例えば、出力信号)を電子プロセッサ110に送る(ブロック612)。次に、電子プロセッサ110は、第1の受信導電性繊維30eにおいて受信した信号の振幅が近接閾値を超過するか否かを判定する(ブロック615)。第1の受信導電性繊維30aにおいて受信した信号の振幅が近接閾値を超過する場合には、電子プロセッサ110は、第1の受信導電性繊維30aに関連するフラグを「0」に設定する(ブロック616)。受信信号の振幅が近接閾値を下回る場合には、電子プロセッサ110は、第1の受信導電性繊維30aに関連するフラグを「1」に設定する(ブロック618)。同様に、電子プロセッサ110は、次に、受信信号の振幅が近接閾値を超過するか否かを判定する(ブロック620、625、630)。また、電子プロセッサ110は、ステップ616及び618に関して上述したように、受信信号の振幅に基づいて適切なフラグを設定する(ブロック622、624、626、628、632、634)。
【0039】
電子プロセッサ110は、次に、受信信号の振幅に基づいて、座席構造体1の状態を判定する(ブロック640)。例えば、振幅が、いずれも、近接閾値を超過しない場合に、電子プロセッサ110は、座席構造体1がユーザによって占有されていると判定する。別の例では、3以上の振幅又は受信信号が近接閾値を下回る場合には、電子プロセッサ110は、座席構造体1がユーザによって占有されていると判定する。更に別の例では、2つのみの振幅が近接閾値を下回ったままである場合には、電子プロセッサ110は、ユーザが座席構造体1に近接していると判定し、一部の実施形態では、ユーザが近くにいる特定の領域を特定することができる。導電性繊維30が格子状アレイに配列されることによって、電子プロセッサ110は、ユーザによって占有される領域及び/又はユーザに近接する領域をより正確に特定する。次に、通信コントローラ125は、座席構造体1の状態に関するデータ信号を外部デバイス130に送信する(ブロック645)。
【0040】
図9から13は、物体の存在を判定するための静電容量測定値の使用を説明しており、
図14から16は、座席構造体1の状態を判定するための高周波信号の使用を説明しているが、一部の実施形態では、電子回路100は、静電容量測定値及び高周波信号の両方を監視して座席構造体1の状態(例えば、座席構造体1が占有されているか否か)を判定することができる。更に、
図9から16は、通信コントローラ125が外部デバイス130にデータ信号を送ることを説明している。一部の実施形態では、データ信号は、座席構造体の状態を含まない。むしろ、データ信号は、消散時間及び/又は受信信号の振幅の測定値を含む。その後、外部デバイス130は、座席構造体1がユーザによって占有されているか否かを判定する。
【0041】
座席構造体1は、シート2又は背もたれ4のいずれかに容量性回路及び/又は高周波回路を含むものとして説明されている。一部の実施形態では、座席構造体1は、シート2のサスペンション材16を用いて形成された検知回路(例えば、容量性回路及び/又は高周波回路)と、背もたれ4のサスペンション材22を用いて形成された第2の検知回路とを含むことができる。このような実施形態では、電子プロセッサ110は、各検知回路を使用して、座席構造体1の状態(例えば、座席構造体1がユーザによって占有されているか否か)を確認すること、及び/又は座席構造体の使用状態に関してより多くの見識を得ることができる。
【0042】
一部の実施形態では、検知回路(例えば、容量性回路及び/又は高周波回路)は、占有閾値及び近接閾値の値を決定するように較正することができる。また、一部の実施形態では、電子プロセッサ110は、電圧センサ105からの測定値に基づいて座席構造体1を占有している間のユーザの位置を特定する。例えば、電子プロセッサ110は、ユーザが背もたれ4を利用しているか否かを判定することができる。電子プロセッサ110は、背もたれ4のサスペンション材に接続された電圧センサ105からの出力信号を受信し、この出力信号に基づいて、ユーザが背もたれ4に寄り掛かっているか否かを判定することができる。一部の実施形態では、追加的又は代替的に、電子プロセッサ110は、座席構造体1の異なる部分(例えば、座席構造体1の前の方へ、座席構造体1の片側(右側又は左側)上など)に着座するユーザを区別することができる。
【0043】
追加的又は代替的に、電子プロセッサ110は、座席構造体1を占有している間のユーザの姿勢を特定する。一部の実施形態では、ユーザの姿勢は、直立姿勢、前かがみの姿勢、腰を掛けた姿勢、及びリラックスした姿勢に分類することができる。次に、電子プロセッサ110は、電圧センサ105からの測定値を監視して、ユーザの現在の姿勢を特定することができる。例えば、電子プロセッサ110は、シート2に接続された電圧センサが、座席構造体1がユーザによって占有されていることを示すが、背もたれ4に接続された電圧センサが、ユーザが背もたれ4に寄り掛かっていないことを示す場合に、ユーザが直立位置にあると判定することができる。別の実施例では、シート2及び/又は背もたれ4は、複数の容量性回路及び/又は高周波回路を含むことができる。次に、電子プロセッサ110は、異なる容量性回路及び/又は高周波回路からの測定値に基づいて、座席構造体1のどの部分が、ユーザからのより大きな圧力を支持しているか(例えば、ユーザが、シート2の前方に傾いているか否か)を判定することができる。このような判定は、電子プロセッサ110がユーザの現在の姿勢を分類することを助長することができる。
【0044】
他の実施形態では、追加的又は代替的に、電子プロセッサ110は、ユーザの生体特性(例えば、体温、心拍数など)を特定することができる。このような実施形態では、座席構造体1は、どの生体特性が測定されるかに基づいて最大限の効果が得られるように配置された容量性回路及び/又は高周波回路(例えば、サスペンション材16、22によって形成された)を含むことができる。例えば、電子プロセッサ110がユーザの心拍数を特定する場合には、座席構造体1は、ユーザの背中中央に対応する高さにある背もたれ4上の容量性回路及び/又は高周波回路を含むことができる。次に、容量性回路及び/又は高周波回路は、ユーザの心拍数に基づいて(例えば、心電図の波形に基づいて)、静電容量の変化及び/又は高周波送信信号を検出することができる。一部の実施形態では、検出された静電容量及び/又は高周波送信信号をフィルタリングして、電子プロセッサ110がより小さい変化を検出するようにすることが有用であり得る。他の実施形態では、電子プロセッサ110は、様々な閾値(例えば、静電容量閾値、伝送時間閾値、伝送電力閾値など)を使用して、ユーザの異なる心拍数(又は、高心拍数、低心拍数、平均心拍数などの心拍数範囲)又はその他の生体特性を区別することができる。
【0045】
一部の実施形態では、座席構造体1は、ユーザの生体特性を検出するための追加のセンサを含む。例えば、座席構造体1は、ユーザの体温を監視するための体温センサ(例えば、熱電対)を含むことができる。一部の実施形態では、導電性繊維30の一部は、これらの追加のセンサとして作用するように特別に設計することができる(例えば、導電性繊維30の一部を異なる材料から作製すること、及び/又は導電性繊維30にコーティングを施すことによって)。
【0046】
一部の実施形態では、追加的に又は代替的に、電子プロセッサ110は、特定の環境条件を特定することができる。例えば、湿度、静電位、温度、及びその他の環境条件は、高周波送信信号及び/又は導電性繊維30の静電容量に影響を与える場合がある。このような実施形態では、電子プロセッサ110は、電圧センサ105(又は、2以上のセンサが座席構造体1に接続されている場合には、複数の電圧センサ)からの測定値を特定の閾値と比較する。各閾値は、特定の環境条件の変化に関連する。例えば、電子プロセッサ110は、電圧センサ105からの測定値を温度閾値、湿度閾値、静電位閾値、及び/又はこれらの組み合わせと比較することができる。このような比較に基づいて、電子プロセッサ110は、環境条件の変化及び/又は特定の環境条件に関する特定の範囲を決定することができる。
【0047】
一部の実施形態では、前述したように、電子プロセッサ110は、座席構造体1の一部として(例えば、制御回路100の一部として)含めることができる。しかしながら、他の実施形態では、電子プロセッサ110は、座席構造体1から離れた位置に配置することができる。このような実施形態では、電圧センサ105は、通信コントローラ125と直接通信して、通信コントローラ125経由で測定値を電子プロセッサ110に送信する。このような実施形態では、電子プロセッサ110は、例えば、外部デバイス130の一部として組み込むことができる。他の実施形態では、電子プロセッサ110は、座席構造体1によって支持され、電圧センサ105からの測定値に基づいて何らかの判定(例えば、座席構造体1が占有されているか否か)を行うが、リモートプロセッサ(例えば、外部デバイス130に含まれるプロセッサ)が、別の一連の判定(例えば、ユーザの姿勢、ユーザの生体特性、及び/又は環境条件)を行う。一部の実施形態では、外部デバイス130によって行われる判定は、座席構造体1によって支持された電子プロセッサ110によって行われる判定よりも複雑とすることができる。一部の実施形態では、電子プロセッサ110は、電圧センサ105からの現在の出力信号のみを使用して座席構造体1の状態を判定し、一方で、外部デバイス130は、電圧センサ105からの以前の測定値にアクセスして座席構造体1の様々な状態を判定することができる。
【0048】
一部の実施形態では、電子プロセッサ110が、シートが占有されているか、占有されていないか、又はユーザに近接しているか否かを判定した後、電子プロセッサ110は、座席構造体1の状態を示す信号を外部デバイス130に送信する。一部の実施形態では、座席構造体の状態を判定することに応答して、電子プロセッサ110は、モータを作動させて、座席構造体1又は別の家具製品の位置を変更する。例えば、座席構造体1は、座席構造体1の高さ、シート2に対する背もたれ4の角度などを変更するための1又は2以上のモータを含むことができる。電子プロセッサ110が、座席構造体1が占有されていると判定した場合に、電子プロセッサ110は、座席構造体1のモータのうちの1又は2以上を所定の位置(例えば、ユーザに関連する座高)に作動させることができる。別の実施例では、隣接する机は、この机の作業面の高さを上下させるためのモータを含む。このような実施形態では、電子プロセッサ110は、座席構造体が占有されていること、又は座席構造体がユーザに近接していることの判定に応答して、隣接する机に命令を送信してこの机の位置を変更することができる。
【0049】
従って、本発明は、特に、座席構造体が占有されているか否か、又は他のユーザ状態若しくは環境条件を検出するための電気センサとして使用されるサスペンション導電性繊維を有する座席構造体を提供する。本発明の様々な特徴及び利点は、以下の特許請求の範囲に記載されている。