【文献】
MASSON, Yder,A fast two-step algorithm for invasion percolation with trapping,Computers & Geosciences,Elsevier Ltd.,2016年,Vol. 90,p.41-48
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記潜在的なトラップピークを識別するために、隣接するすべてのグリッドセルが特定のグリッドセルよりも高いポテンシャル値を有する、前記特定のグリッドセルを特定するように各セルの絶対油相ポテンシャル値をチェックする、
請求項1に記載のコンピュータによって実施される並列処理方法。
前記潜在的なトラップピークを識別するために、隣接するすべてのグリッドセルが特定のグリッドセルよりも高いポテンシャル値を有する、前記特定のグリッドセルを特定するように各セルの絶対油相ポテンシャル値をチェックする、
請求項8に記載の非一時的なコンピュータ読取り可能媒体。
前記潜在的なトラップピークを識別するために、隣接するすべてのグリッドセルが特定のグリッドセルよりも高いポテンシャル値を有する、前記特定のグリッドセルを特定するように各セルの絶対油相ポテンシャル値をチェックする、
請求項15に記載のコンピュータによって実施される並列処理システム。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の詳細な説明は、分散メモリ、高性能計算(HPC)クラスタを対象とする2相油水システムの並列処理インベージョンパーコレーション(IP)マイグレーション方法について述べ、当業者が1又は複数の特定の実施の文脈で開示された主題を作り上げて、これを使用できるようにするために提示される。開示された実施において様々な改変、変更、及び並べ替えを行えることは当業者には容易に明らかであり、また定義された一般的な原理は、本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施及び用途に適用するようにしてもよい。本開示は、記載又は図示の実施に限定されることを意図してはおらず、記載する原理及び特徴に整合する最も広い範囲が付与されることを意図している。
【0034】
石油システム/堆積盆は、炭化水素(HC)集積の存在に必要な地質要素とプロセスとからなる地質システムである。地質要素として含まれるのは、通常は、根源岩、貯留岩、シール岩、及び表土岩である。HC集積に必要なプロセスとして、トラップの形成、HC類の連続生成、排出、移動、及び集積が含まれる。
【0035】
堆積盆モデリング/シミュレーションは、石油システムモデリング/シミュレーションとしても知られ、堆積盆モデルのデジタル化と堆積盆に関連付けられた相互関係のあるプロセスのシミュレーションとにより、数億年の地質学的時間スケールで堆積盆の進化とその流体含有量を追跡する。近年、これは、地球探査科学者がHC流体の種類と存在を予測し、HC流体を回収するために探査坑井を掘削する前に地質リスクを評価するための重要なツールとなっている。堆積盆シミュレータには、1)逆抽出と圧縮、2)圧力計算、3)熱流解析及び動力学、4)石油の生成、吸着、及び排出、5)HC流体相の挙動、並びに、6)HCマイグレーションとエントラップメント、を計算するための数値モジュールが含まれていることが多い。最近、IPは、二次HCマイグレーションをモデル化する一般的な方法になっている。
【0036】
従来の堆積盆シミュレーションでは、Darcyの法則の多相流拡張が適用されている。Darcyの法則を用いる3次元(3D)の超大規模堆積盆モデルのHCマイグレーションを十分詳細にシミュレートするための計算要件は、通常、HC探査会社及び生産会社がアクセス可能な典型的なコンピュータハードウェア資源を超えており、コンピュータ処理時間のかなりの部分を消費することになる。ルールに基づくIP手法を用いたHCマイグレーションのシミュレーションは、計算量の少ない挑戦的な方法であり、従来の慣例よりも高い解像度で二次HCマイグレーションシミュレーションを実行できる。堆積盆モデリングソフトウェアの現行の商用リリースには、ルールベースのIP法をシリアルに実行するために用いられるシリアル計算構成を備えている。通常は、最高数百万セルのしきい値までの堆積盆モデルにシリアルな方法が用いられるが、このしきい値は、HCマイグレーションの細かいグリッドモデリングにより得られる高解像度のために望まれる大規模な堆積盆シミュレーションにとって望ましくない制約である。
【0037】
パーコレーション理論は、一定の印加圧力における毛管力の影響下での多孔質媒体内の流動現象を説明するものである。パーコレーション理論と、毛管力の作用下での、多孔質媒体中の或る流体の別の流体による置き換え(displacement)との関係が研究されてきた。用語IPは、一定圧力ではなく一定流量での、或る流体の別の流体による置き換えに関する用語である。加えて、選択されたしきい値抵抗へのインタフェースの前進とは対照的に、最小の抵抗ポイントへのインタフェースの前進が導入された。その違いが、ここで述べるIP手法へと導いたのである。
【0038】
この新しいIP手法では、媒体が、サイト(site)と結合(bond)とのネットワークとして特徴付けられる。シミュレーションでは、この特徴はグリッドセルと隣接するグリッドセルとのグリッドセル接続に変換される。新しいIP手法は、ネットワークのすべてのサイトが常駐(防御(defending))流体で充填されていることを前提としている。システムに導入される侵入流体が防御流体と置き換わる。毛管力は、HCがシステム内でどのように移動するかという点で最大の役割を果たす。この移動は、浮力により促進され、侵入流体と常駐流体との間の毛管圧により阻害されることになり、HC流体(例えば、油)は毛管圧に打ち勝って岩の細孔から隣接する細孔スロートを通らねばならなくなる。
【0039】
本開示のために、記号とその意味を以下に列挙する。
g 重力定数
P
ce 毛管入口圧力
P
cow 油水毛管圧
P
o 油圧
P
w 水圧
P
B 浮力圧力
S
co 臨界油飽和度
S
wc 遺留水飽和度
V (体積)量
z 基準からの深さ
Φ
0 油ポテンシャル
Φ
w 水ポテンシャル
p
0 油密度
p
w 水密度
φ 気孔率
上に列挙した記号と通常の意味との間に矛盾がある限りにおいて、列挙した意味が優先するものとする。記号の意味が依然として明確でない限りにおいて、当業者が理解する記号の意味を前提とする。
【0040】
高レベルでは(概括すれば)、移動する前線を備える、非標準で非典型的な、並列処理による新しいIP手法によって、堆積盆シミュレーションでのHCマイグレーションが加速され、もっと大規模で解像度の高いモデルを用いることが可能になる。この新しいIP手法は、HCマイグレーションと集積(accumulation)の両方に対して分散メモリの並列処理を実行する。堆積盆ドメインは、この新しいIP手法によっていくつかの計算サブドメインに分割されるが、各サブドメインに必要な作業量は、他のサブドメインとおおよそバランスが取れている。各サブドメインは、HPCクラスタ内(1又は複数の計算ノード内)の中央処理装置(CPU)の割り当てられたワークグループの計算コアに割り当てられる。HPCクラスタの各計算ノードには、1又は複数のCPU/プロセッサが含まれていることに留意されたい。各プロセッサには、1又は複数の計算コアが含まれている。
【0041】
分散したHCは、計算プロセス全体で根源(source)からトラップまで並列に移動する。移動後に集積プロセスが行われ、そこではトラップが動的に成長し、複数のサブドメインを横断して併合する可能性がある。スピル(spill、溢流)や漏出に達すると、又は、過剰なHC(体積)量が排出されると、集積は停止する。移動と集積処理は定常状態に達するまで交互に行われる。さらに、この新しいIP手法はプロセス間通信を最小限に抑え、優れたスケーラビリティ(scalability、拡張性)を実現する。シリアルIP手法は、計算ノードで使用可能なメモリストレージと、移動及び集積をシリアルに処理するために必要な実行時間とによって制約を受ける。新しいIP手法は、より多くの計算ノードを用いてモデルのストレージ要件を分散でき、個別の計算プロセスに存在する複数の情報(tip)の同時処理を用いて、マイグレーションステップと集積ステップとを交互に実行(interleaving)することで処理のスピードアップが図れる。スピルと漏出も管理され、その後に三次マイグレーションが行われる場合がある。IP手法を用いるマイグレーションのすべてのコンポーネントは並列化される。記載する新しいこのIP手法は汎用的であり、あらゆるタイプの潜在的なフィールドに適用できる。
【0042】
堆積盆モデルには、さまざまなタイプの複雑性と岩石タイプとが含まれてもよい。この方法は、石油システムを複数のサブドメインに分散することと、集積段階で必要な非隣接サブドメイン間の通信(communication)とから生じる複雑さを扱う。さらに、この方法は、2つのトラップ間で併合が発生した場合に、又は移動する細脈(stringer)が集積された油(オイル)を含むトラップと併合した場合に、必要な通信を扱う。この通信では、移動細脈が1つのサブドメインでトラップに入る可能性があるが、同じトラップの漏出又はスピルポイントは異なるサブドメインに存在する可能性があるので、非隣接サブドメイン間の通信が必要になる場合もある。
【0043】
移動(マイグレーション)は、排出されたHC流体(例えば、油)の、根源岩からトラップ又は集積(トラップ境界で発生)への動きをモデル化する。移動中に、排出されたHC流体はキャリア岩を通って動くことができる。堆積盆モデルには複数の根源岩が含まれる場合があり、各根源岩には任意の数の根源ポイントがあり、複数のサブドメインに広がる場合がある。根源が1つのサブドメインに存在し、トラップが別のサブドメインに存在する可能性がある。
【0044】
移動経路は複数のサブドメインを通過して、離れた集積トラップに接続する場合がある。埋め戻し(backfilling)プロセスでは、トラップが複数のサブドメインにまたがって成長する場合がある。複数の集積トラップが合体してより大きなトラップを形成する一方で、スピルと漏出は正確にモデル化され、トラップの位置と集積量を正しく予測する。集積プロセスは、スピル又は漏出が発生したとき、又は過剰なHC流体が排出されたときに停止する。最終結果に至るために、すべてのプロセスは複数のサブドメインにまたがる場合があり、そして、さまざまな形式のプロセス間通信(例えば、送信又は受信)又は集合プロセス(例えば、ルートプロセスではなく複数のプロセスから結果を集める)を伴う場合がある。
【0045】
典型的な実施において、この方法は、トラップ集積、併合、及びスピルと漏出を管理するための、一意の並列分散データシステム及び関連する方法を含む。データシステムには、各トラップが一意に識別されるトラップ配列が含まれている。石油システムのトラップが推定され、トラップピークのグローバルセル番号が識別子として用いられる。トラップは、HCがトラップへ移動するまでは非アクティブである。このように、格納データは、もしトラップがサブドメインに存在すれば、そのトラップに関連するそのサブドメインに存在する指標のみが境界リストに格納されるデータである。トラップピークのグローバルセル指標を用いて、どのリストがどのトラップに属するかを識別する。集積トラップが成長し、その境界がサブドメインの外側ハロー(halo)に入ると、リストは分割され、外側ハローの指標が、対応する内側ハロー値にマッピングされ、それらのセル指標が実際に存在するサブドメインへ送信される。さらに、侵入に対する抵抗が最も少ないセルの指標を特定するために、対応する指標のポテンシャル値も配列に保存される。すべてのアクティブトラップをグローバルに追跡し、集積プロセスの実行中に正しいリストを参照するために、必要な情報を用いてアクティブなトラップ配列が構成される。HCには、貯留層内の異なる流体(水攻法の水及びHCなど)の間を移動する前線(又は境界)がある。例えば、水とHCに関しては、より多くの水が押し込まれ、HCが抽出されるにつれて、前線が地層を通過する。本開示では、この前線を、侵入及び集積の先端(invasion and accumulation tip)と呼ぶこともある。特定のトラップの侵入先端は、常にアクティブなトラップ配列に維持される。2つのトラップ間の併合が発生すると、トラップピークのグローバル値もアクティブなトラップ配列に併合される。
【0046】
さらに、典型的な実施では、侵入プロセスと集積プロセスは別々であると見なされ、この方法は、これら2つのメインプロセス間で交互に実行される。侵入プロセスには、HCがサブドメインの外側ハローに達するまで局所的に最小抵抗の経路をたどって高ポテンシャル部位から低ポテンシャル部位へ移動する、侵入メインルーチンを含むドライバが含まれる。この侵入ドライバルーチンは、このサブドメインの外側ハローから隣接サブドメインの内側ハローまでで起こる通信を処理する。通信が完了すると、HCが新しい侵入先端から、より低いポテンシャルの隣接セルへ移動できる限り、そのサブドメインで侵入ルーチンが続行される。侵入プロセスは、HCの流れが発生しなくなるまで、通信及び流れのルーチンを交互に繰り返す。この段階で、根源ポイントからのすべてのHCがトラップピークへの移動を終えている。侵入プロセスが完了すると、方法は集積段階に入る。ここでも、集積ドライバが必要な通信を処理し、集積ルーチンがローカルな集積を処理する。集積プロセスは、HC又は境界リストが外側ハローに達したときに、HCのローカル(局所的)な埋め戻しと通信とを交互に繰り返す。スピル又は漏出が発生すると、対応するトラップ集積プロセスは停止し、プロセスは集積がそれ以上できなくなるまで他のトラップのHCを埋め戻し続ける。その後、集積プロセスは終了し、スピル段階又は漏出段階にHCがある場合、本手法は再び侵入プロセスに入り、HCの移動が始まる。この方法は、HCが石油システムへ均等に分配されるまで、これら2つのメインプロセスを交互に実行する。
【0047】
メッセージパッシングインタフェース(Message Passing Interface、MPI)標準は、分散メモリHPCクラスタを対象とする並列処理方法を実施するために用いられる。ここで述べる方法論とHPCクラスタとを用いることにより、計算パフォーマンスとスケーラビリティが向上する。超大規模な堆積盆シミュレーションは、従来の又は他の方法で必要とされるよりもはるかに短い期間で実行でき、堆積盆モデリングのための高解像度のマイグレーションシミュレーションを地球科学者及びエンジニアが実行できる性能をもたらす。
【0048】
この開示では、新しいIP手法について説明した後、この新しいIP手法における新しい並列処理の実施の数値成分について順を追って説明する。先に述べたように、実施は2相油水システムであり、1層又は複数層の複数の根源から排出されるHC流体の移動をシミュレートすることができる。実施について、14億セルの堆積盆モデルを含む数値例を用いて更に説明する。この数値例では、並列処理の新しいIP手法の実施の正確性とスケーラビリティとが検証される。
【0050】
IPを二次HCマイグレーションに適用する場合、グリッドセルの防御流体は湿潤流体(例えば水)と見なされ、侵入する非湿潤流体(例えば油)によって置き換えられる。毛管入口圧力P
ceは湿潤相(水)に対する非湿潤相(油)のための毛管しきい圧力としても知られ、S
w=1−S
coでの毛管圧力値である。ここでS
coは臨界油飽和度である(つまり、HCは流れない)。毛管圧は、非湿潤相が湿潤相で占められている細孔に侵入するための入口圧力である。2相油水システムでは、毛管圧は次のように定義される。
【数1】
【0051】
新しいIP手法において、水相は連続相と見なされる。水相の圧力とポテンシャルは、堆積盆シミュレーションに割り当てられた時間ステップで解決される。水相の圧力解から、油相のHC相ポテンシャルを計算できる。
【0052】
水相ポテンシャルは、次の方法で堆積盆の時間ステップで水圧解から並列に計算できる。
【数2】
【0053】
すべてのグリッドセルの油相ポテンシャルは以下のように定義できる。
【数3】
CO
2隔離問題(sequestration problem)のためにインベージョンパーコレーションの別の派生が示されており、ここで水相ポテンシャルは一定であり、油の動きは浮力と毛管現象との相互作用の結果である。式(3)で、zはデータ基準(datum)の深さである。隣接するすべてのグリッドセルと比較したグリッドセルの油相ポテンシャルの違いにより、新しいIP手法で油がとる移動経路が特定される。油は、ポテンシャルの大きいセルからポテンシャルの低いセルへ移動する。セル内の余分な油は、ポテンシャル値が最小の隣接セルへ移動する。細脈としても知られる移動経路の残りの油飽和は、臨界油飽和であり、油の除去量は次のように定義できる。
【数4】
【0054】
ポテンシャル値がすべての隣接セルよりも小さいグリッドセルに油が達すると、集積が始まる。トラップは、最初に集積されたセルから、油のポテンシャルが最も低い隣接セルまで満たされる。充填油量は以下のように計算できる。
【数5】
ここで、S
WCは、遺留(connate)水飽和度である。
【0055】
トラップ内に集積された油は、垂直平衡条件を満たさねばならない。したがって、トラップ内の充填されたグリッドセルのすべては、同じポテンシャル値に達する。この充填プロセス中におけるトラップされた油のポテンシャルは上昇していく必要があり、ポテンシャルは少なくとも最後に充填されたセルのポテンシャルでなければならない。油の集積は離散的に発生し、各グリッドセルの厚さと深さは異なる可能性があるので、トラップのポテンシャル値は、最後に充填されたセルのポテンシャルで更新され、増分浮力ポテンシャルはセルの厚さの半分に等しくなる。
【数6】
式(6)は、水と油の接触深さは、それが充填前のトラップポテンシャルよりも大きい値である場合において、最後に充填されたグリッドセルの底に近いことを意味する。
【0056】
新しいIP手法を用いるマイグレーションと集積に関連するプロセスには、多くの並列化の課題がある。分散メモリ並列処理では、堆積盆ドメインはいくつかのサブドメインに分割され、各サブドメインは、HPCクラスタのCPUの計算コアによって処理される計算プロセスに割り当てられる。したがって、先に述べたように、トラップは複数のサブドメインにまたがることができ、根源ポイントは複数のサブドメインにまたがることもできる。根源岩からトラップへのマイグレーションプロセスをシミュレートする際、HCはある計算プロセスから別の計算プロセスへ移動する場合がある。これには、1つのサブドメインから隣接サブドメインへの移動情報を交換するためのデータ通信が必要となる。
【0057】
並行して、隣接するグリッドセルのリストを作成する必要があるため、埋め戻しは計算上の難しい課題となる。そのグリッドセルの最小抵抗は、対応する油ポテンシャルから特定される。これらのリストは、侵入する次善(2番目の)のグリッドセルを特定するときに用いられる。トラップは複数のサブドメインにまたがることができるため、侵入する次善のグリッドセルは、非隣接サブドメインに存在し得る。埋め戻しの並列化により、HPCクラスタの異なる計算ノードに割り当てられる可能性のある非隣接サブドメイン間で必要な通信が行われる。
【0058】
典型的な実施では、プロセス間通信に、先に述べたMPI標準が用いられる。外側ハローは、隣接サブドメインに属するグリッドセルの外側の境界層であるが、情報は現在のサブドメインで維持され、並列プロセスの同時計算を容易にする。内側ハローは、現在のサブドメインに属するグリッドセルの内側の境界層である。
【0059】
図1Aは、一実施に係る、分散メモリ及びHPCクラスタを対象とする2相油水システムのための並列処理IP方法100aを示すフローチャートである。提示を明確にするために、以下の説明は、本明細書の他の図の文脈で方法100aを一般的に説明する。しかしながら、方法100aは、例えば、任意の適切なシステム、環境、ソフトウェア、及びハードウェア、又は、システム、環境、ソフトウェア、及びハードウェアの適切な組み合わせによって実行できることは言うまでもない。実施によっては、方法100aのさまざまなステップは、並行して、組み合わせて、ループで、又は任意の順序で実行することもできる。
【0060】
図1Aでは、方法100aは、並列侵入プロセス(例えば、
図1Aの上半分)と並列集積プロセス(例えば、
図1Aの下半分)とを交互に実行する(インターリーブする)。方法100aが対象とするのは並列での実施であって、そこでは、課題を解決するためにいくつかの同時並行プロセスが機能している。例えば、説明のように、侵入(入り込む(invade))(120)の間、各プロセスは、すべての細脈(ここで細脈はそのプロセスのために存在する)がトラップに併合(マージ)される(145)まで、又は境界で失われるまで、又は現プロセスに属するサブドメインから移動して出る(140)まで、細脈の移動を処理する。集積(155)の間、すべての過剰なHCを用いて、複数のサブドメイン(プロセス)にまたがるトラップを構築する。ステップ165は、一プロセスから別のプロセスへの集積先端のシフトを処理する。トラップが大きくなると、別のトラップと結合する場合がある。ステップ175はこの状況でのトラップの併合を処理する。
【0061】
ステップ110では、HCが排出されたかどうか(例えば、根源岩のケロジェン(kerogen、油母)がHCに反応して排出するのに十分な温度変化を受けた場合)を特定する。HCが排出されたことが特定された場合(例えば、1つのサブドメインに、排出されたHC/根源ポイントが含まれている場合)、集合的な通信サブルーチンを用いて、すべてのサブドメインが連帯してステップ115へ進む必要があるすべてのプロセスと通信する。そうではなく、HCが排出されていないことが特定された場合、方法100aはステップ190へ進む。
【0062】
ステップ115では、すべての潜在的なトラップピークが識別/マーク付けされる。ここで、方法100aは、絶対油相ポテンシャル値をチェックし、特定のセルを見つけるが、ここでは、すべての隣接セルのポテンシャル値は、特定のセルのポテンシャル値より大きい。
【0063】
図2Aに移ると、
図2Aは、一実施に係る、内側ハローと外側ハローとの間の境界におけるトラップピーク識別(凡例205を参照)のブロック
図200aである。ここでは、グリッドセル210に極小値(5.8)が示されている。グリッドセル210がトラップピークとして識別されると、グリッドセル210は(
図2Bに示すように)トラップピークとしてマーク付けされるが、HCがそこへ移動するまでは非アクティブのままである。識別には、すべてのサブドメインの外側ハローのグリッドセルに油相ポテンシャル値を入力するために並列化が必要である。トラップピークは内側ハローに存在する可能性があるため、その特定を行うには外側ハロー油相のポテンシャル値が必要である。
【0064】
図2Bに移ると、
図2Bは、一実施に係る外側ハローの隣接値に基づく内側ハローのトラップピークの識別を示すブロック
図200bである。図示されているように、外側ハローにあるグリッドセル215の値(6.2)は、5.8が実際にその隣接セルの最小油相ポテンシャル値であることを特定するために必要である。説明したアプローチでは、現在のグリッドセルとセルの面を共有する隣接グリッドセルを考慮することに留意されたい。したがって、グリッドセル210(5.8の値)に対して斜めのグリッドセルは考慮されない。当業者によって理解されるように、他の実施において、説明されたアプローチを、対角グリッドセル又は3次元(又はそれ以上)のグリッドセルの比較を可能にするために修正できる。したがって、グリッドセル210はトラップピークとして識別される。
【0065】
識別されたトラップピーク(グリッドセル210)のグローバル指標は、ローカル指標からマッピングされ、保存される。これらのトラップピーク指標は、先に述べたトラップロジックに用いられる。グローバル指標は、トラップとそれに関連する埋め戻されたセル、境界リスト、及び油相ポテンシャル値を区別及び識別するために用いられる。必要なトラップ情報にアクセスするために、すべてのアクティブなトラップのグローバル配列のローカルコピーと関連情報とが、すべてのプロセッサに保存されるように構成される。
【0066】
典型的な実施では、グローバルアクティブトラップ配列には表1に示す情報が含まれる。
【表1】
他の実施では、より多くのまたはより少ない情報を表1に含めることができる。
図1Aへ戻り、方法100aはステップ115からステップ120へ進む。
【0067】
ステップ120で、侵入プロセスが始まる。侵入プロセスには、方法100aの複数のステップが含まれる(破線の枠121で示す)。ここで、排出サイトからのHC類は、隣接するグリッドセルのより低い油相ポテンシャル値を探すというIPルールに従って移動する。より小さい油相ポテンシャル値が見つかった場合、油相ポテンシャル値が、最小のグリッドセルが次に侵入するセルとして選択される。HC量はそのサイトを離れて新しい侵入部位に入るが、式(4)のように計算されるクリティカルパスの飽和が残っているため、その量だけ減少する。移動経路にあるグリッドセルが新たに侵入され、既に残留できない量のHCが含まれている場合、その量を、移動される過剰なHCに追加する必要がある。根源ポイントから次の侵入サイトへのフローは、すべてのプロセッサでローカルに始まる。セル内にHC量を有するすべてのプロセッサは侵入ルーチンを通過し、HCはポテンシャル勾配に沿って、HCの移動が停止するまで、高から低に移動する。方法100aは、ステップ120からステップ125へ進む。
【0068】
ステップ125では、HCが移動中であるかどうか判定される。方法100aは、HCの移動を継続的にチェックする。HCが移動中であると特定された場合、方法100aはステップ120へ戻り、侵入が継続する。そうではなく、HCが移動中ではないと特定された場合、方法100aはステップ130へ進む。
【0069】
ステップ130では、HCの動きが停止しているかどうかの特定がなされる(例えば、HC/移動細脈が、充填されたトラップに達しているか?)。HCの移動が停止していると特定された場合、方法100aはステップ145へ進む。そうではなく、HCの移動は停止していないと特定された場合、方法100aはステップ135へ進む。
【0070】
ステップ145では、移動細脈がトラップに併合される。方法100aは、ステップ145からステップ120へ戻る。
【0071】
ステップ135では、HCが特定のサブドメインの境界に達したことによりHCの移動が停止しているどうかの特定がなされる。参照される境界は、堆積盆システムの内部境界であるが、サブドメインの外部境界である。これは、サブドメインの外側ハローとも呼ばれる。HCが特定のサブドメインの境界に達したことにより移動が停止していると特定された場合、方法100aはステップ140へ進む。そうではなく、HCが特定のサブドメインの境界に達したことにより移動が停止しているのではないと特定された場合、方法100aはステップ150へ進み、集積プロセスが始まる(破線の枠151で示す)。
【0072】
ステップ140では、一旦、HCの動きがすべてのプロセッサで停止し、HC量が外側ハローに存在する場合、方法100aは外側ハローのすべてのHCを隣接サブドメインの内側ハローに通信する(送る)。
【0073】
図3に移ると、
図3は、一実施に係る、フロールーチン中のHC交換を示すブロック
図300である。
図3の内側及び外側ハローグリッドセルの識別については、凡例205を参照されたい。ここで、HCがサブドメイン1 310の外側ハローグリッドセル305に達していることがわかる。ステップ140で説明したように、方法100aは、外側ハローグリッドセル(例えば、サブドメイン1のグリッドセル305)上のすべてのHCを隣接サブドメインの内側ハローグリッドブロック(例えば、サブドメイン2 320の内側ハローグリッドセル315)へ送る。説明の実施では、HCは斜めには横断しないと見なされる。当業者にとっては言うまでもなく、他の実施では、説明するアプローチは、HCが斜めに横断できるように改変することができる。
【0074】
方法100aでは、HC類がどのプロセス上でも移動しなくなるポイントにシステムが達するまで、HC類をローカルに移動させること及びサブドメイン境界でHC量を通信することを交互に行う。これ以上の移動がないということは、すべてのHC類が、それ以上の低い油ポテンシャルが存在しない位置まで達し、これ以上移動できないことを示している(これらは以前に特定されたトラップピークである)。
【0075】
実施によっては、HC類によっては外部境界を介して堆積盆システムから移動できるが、HC損失と見なされる。侵入プロセスが終了すると、方法100aは集積プロセスへ進む。並行して、方法100aは、すべてのプロセッサがマイグレーションプロセスを完了し、すべての排出されたHCが関連するトラップピークに達し、それ以上流れなくなるのを待つ。
図1Aへ戻り、方法100aは、ステップ140からステップ120に戻る。
【0076】
ステップ150では、HC量を含むセルを介する検索が、HC量が過剰であることを示しているかどうか特定される。埋め戻しは、セル内のHC量が移動する場所がもはや無く、集積飽和値より多い量が含まれているときに開始される。最初は、過剰状態であるセルが見つかるとするなら、それは以前に特定されたトラップピークにあるであろう。HCがトラップピークに入ると、トラップピークがアクティブになり、埋め戻しが開始される。埋め戻しは、式(5)のように、充填されたセル内のすべての可動水を移動させ、HCに置き換える。過剰条件の存在が特定された場合、方法100aはステップ155へ進む。そうではなく、過剰条件が存在しないと特定された場合、方法100aはステップ180へ進む。
【0077】
スピルは、新たに侵入されたセルが、そのセルより油相ポテンシャル値が低い直接隣接するセルを有する場合に、埋め戻し中に発生する。HCは、その後に移動可能で、埋め戻しプロセスの中断が発生することがある。集積プロセスは、すべてのトラップが充填し終えるまで、又はスピルポイントに達するまで継続し、方法100aは侵入プロセスに切り替わる。侵入プロセスに切り替わるまで、移動すべき過剰なHC量を含むスピルポイント指標にフラグを付すことにより、ルーチンが残りのすべてのアクティブトラップの処理を完了するまで、埋め戻しプロセスによってセルをスキップできるようにする。
【0078】
漏出(breakthrough)は、集積体の油ポテンシャルが、侵入するべき次善のグリッドセルがシールポイントの1つに属するポイントまで増加した場合に発生する。漏出ポイントは、シール上の最も弱いポテンシャルポイントになるであろう。シールの漏出ポイントに過剰なHC量が侵入した後、埋め戻しルーチンは、スピルが処理されると、漏出を処理する。シールグリッドセルは直接隣接するセルを検索し、ポテンシャル値のより低い隣接セルが見つかった場合に、油が移動する。コードは埋め戻しルーチンを終了させ、マイグレーションルーチンを再び始める。
【0079】
スピルの後、HCは移動を始める。HCは、移動損失としてモデルから出てアクティブでないトラップに移動することができる、又は、以前に集積されたトラップへ移動することもできるが、この場合には併合を生じるであろう。
【0080】
HCが既に集積されたセルを除き、より低いポテンシャルが存在しないポイントまで移動した場合、ステップ135で実行された併合がなされることに留意されたい。集積されたセルは集積段階でタグ付けされていたため、アクティブなトラップ配列を検索することによって、侵入先端とそのプロセッサ番号を知ることができる。その情報が分かれば、過剰なHC量がトラップ侵入先端へ送られる。侵入先端は、別のサブドメインに存在する可能性があるが、アクティブトラップ配列の第2のエントリから特定できる。MPIは、過剰なHC量をそのプロセッサへ送るために用いられるであろう。
【0081】
ステップ180では、埋め戻し中にスピルが発生したかどうかが特定される。スピル条件が存在すると特定された場合、方法100aはステップ120へ戻る。そうではなく、スピル条件が存在しないと特定された場合、方法100aはステップ185へ進む。
【0082】
ステップ185では、更新されたHCポテンシャル値が対応するトラップに割り当てられ、その値がグローバルアクティブトラップ配列に保存される。ポテンシャル配列のHCポテンシャル値は、効率化の目的で新しいIP手法の最後に限って更新される。新しいIP手法を終了しようとする(ステップ190)と、グローバルトラップピークでタグ付けされた集積指標の配列が、アクティブトラップ配列とともに検索され、対応するHCの更新されたトラップポテンシャルは、集積されたセルの絶対HCポテンシャル値を置き換える。更新プロセスは、集積体が静的平衡状態にあり、集積内に流れがないというルールに従って行われる。方法100aは、ステップ185からステップ190へ進む。
【0083】
ステップ190で方法100aが終了する。実施によっては、方法100aが終了する前に、本開示と矛盾しない任意のデータに対して後処理又は他の機能を実行することができる。例えば、終了通知を生成及び送信することができ、終了通知には分析用のレポートデータを含めることができる。
【0084】
ステップ155では、小さいポテンシャル値から大きいポテンシャル値へ順番に、グリッドセルへのHCの集積が生ずる。隣接するグリッドセル間でHCの移動が発生する。隣接するグリッドセルから、ポテンシャル値が最小のグリッドセルを検索する。このグリッドセルが、侵入すべきグリッドセルとして選択される。
【0085】
図4Aに移ると、
図4Aは、一実施に係る、(
図1Aの符号115で先に特定された)潜在的なトラップピークが過剰なHC量を含むとしてマーク付けされた最初のステップを示すブロック
図400aである。
図4Aに関して、潜在的なトラップピークであるグリッドセル405aは、過剰なHC量を含むとしてマーク付けされている。
図4Bに移ると、
図4Bは、一実施に係る、過剰なHC量を含むとしてマーク付けされたトラップピークを示すブロック
図400bであり、図において、最小のポテンシャル値を有する侵入された隣接セルは集積グリッドセルとなり、その隣接セルはすべて、より大きいポテンシャル値を有する。
図4Bに関して、トラップピークのグリッドセル405bは、過剰なHC量を含むとしてマーク付けされ、隣接するグリッドセル410bは、集積されたグリッドセルとしてマーク付けされる。
【0086】
隣接するグリッドセル指標は、ポテンシャルリストに加えられているであろう対応するポテンシャルとともに、境界リストに追加される。これらのリストは、集積が行われている際に侵入すべき次善のグリッドセルを検索するときに一緒に用いられる。対応する最小のポテンシャル値を有するグリッドセル指標が、次に侵入すべきグリッドセルとして選択される。
【0087】
例えば、
図4Aのグリッドセル3が、その特定の近隣で最小のポテンシャルを含むならば、それが次の侵入ターゲットになるように選択され、グリッドセル405aからの過剰なHCで充填される。トラップグリッドセルの油量は式(5)に従って設定され、トラップの過剰HC量はその量だけ減少した。充填されたセルはトラップの一部になり、式(6)を用いてトラップポテンシャルが更新される。
【0088】
新しいIP手法では、トラップごとに1つのHC更新値が保持される。次に、新たに侵入されたグリッドセルの新しい隣接セルがチェックされ、その新しい隣接セルのポテンシャルが新しく侵入されたセルよりも大きい場合は、埋め戻しが続行され、その新しい隣接セルが境界リストに追加される。
【0089】
図4Bは、グリッドセル3(405b)(例えば、
図4Aのグリッドセル3)がグリッドセル405aから(例えば、
図4Aから)侵入されたことを示している。新しいグリッドセルが境界リストに追加される(ここでは、グリッドセル5、6、7)。トラップピークに達した後に埋め戻しされるすべてのグリッドセルは、トラップピークのグローバル指標値でマーク付けされる。このマーキングプロセスは、どの埋め戻しセルがどのトラップに属するかを識別するために用いられる。シリアル処理方式では、プロセスはHC量が使い果たされるまで、又は、スピルポイント若しくは漏出に達するまで続行される。
【0090】
図1Aへ戻ると、方法100aは、ステップ155からステップ160へ進む。
【0091】
ステップ160では、HCの集積が別の計算プロセッサで発生しているかどうかについて特定がなされる(HCがサブドメインの外側ハローに侵入したかどうか、又は異なるサブドメインに存在する指標が最小のポテンシャル指標として選択された場合)。並列処理では、トラップの埋め戻しが複数のサブドメインにまたがることがある。
【0092】
図5に移ると、
図5は、一実施に係る、0から3の番号が付された4つの異なるサブドメインにまたがる集積を示すブロック
図500である。斜線で示されたグリッドセルは埋め戻されたグリッドセルを表し、グリッドセル101は過剰なHC量を含む侵入先端を表し、灰色の影付きグリッドセルはトラップの境界セルを表す。
【0093】
図1Aへ戻ると、HC集積が別の計算プロセッサで発生していると特定された場合、方法100aはステップ165へ進む。そうではなく、HC集積が別の計算プロセッサで発生していないと特定された場合、方法100aはステップ170へ進む。
【0094】
ステップ165では、並列通信が行われる。外側ハローの指標が選択された場合、その指標は最初に、そのセルが実際に存在するサブドメインの対応する内側ハロー指標値にマッピングされる。通信負荷(communication overhead)を減らすために、境界リストはすべてのサブドメインでローカルに作成され、そこに存在する。すべてのサブドメインは、ローカルに最も抵抗の少ない境界指標を見つける。グローバルな最小位置が見つかる。もし集積中のサブドメインの外側ハローにあるリストに境界グリッドセルが存在するならば、この方法は外側ハロー指標をフィルタリングし、ローカルな境界リストからそれらのセルを削除する。外側ハローのセルは、そのセルが存在する正しいプロセッサへ送られ、そのサブドメインの対応する内側ハローにトラップ識別子でタグ付けされた境界リストが作成される。新しいIP手法は、境界リストにローカルな指標のみが含まれることを保証する。侵入先端を有するプロセッサは、他のサブドメインに存在するポテンシャル値とともに、ポテンシャルが最も低い単一の境界指標を受け取る。
【0095】
図6に移ると、
図6は、一実施に係る、複数のサブドメインにわたって集積が行われるときに実行される通信を示すブロック
図600である。トラップに関連する境界リストを含む侵入先端を含むサブドメインとは別のサブドメインは、最小抵抗指標を見出し、その最小抵抗指標とそれらの間のポテンシャル値とを、侵入先端を有するサブドメインへ送信する。HCがサブドメインを離れると、過剰なHC量、最小抵抗境界指標、及びその対応するポテンシャル値が、HCが侵入した新しいサブドメインへ送られる。網掛けされたグリッドセル605はトラップ識別子であり、これは以前に見出されたトラップピーク指標の対応するグローバル番号である。方法100aは、ステップ165からステップ170へ進む。
【0096】
ステップ170では、トラップが集積境界を共有しているかどうか特定される。埋め戻しの段階では、もし、あるトラップの侵入先端が別のトラップによって埋め戻されるために選択されたならば、併合が発生するであろう。ステップ170はこの状態をチェックし、もしそうしたことが起きた場合には、最初のトラップの侵入先端にある過剰なHCと第2のトラップの過剰なHC量とが合計され、2つのトラップは併合されることになる。トラップが集積境界を共有していると特定された場合、方法100aはステップ175へ進む。そうではなく、トラップが集積境界を共有していないと特定された場合、方法100aはステップ150へ戻る。
【0097】
ステップ175ではトラップが併合される。この併合プロセスは、先に述べた細脈併合とは異なる。埋め戻しはまだ進行中なので、侵入先端は2つのトラップで共有されたポイントになり、2つのトラップが1つのエンティティ(実体)になったときに境界とポテンシャルリストとは併合されなければならない。さらに、各トラップのアクティブトラップピーク配列は併合される必要があり、ここで、その併合されたトラップのHCポテンシャルは同じポテンシャル値を持ち、その2つのトラップのグローバル指標が同じ配列に追加される。
【0098】
表2は、併合が発生したときにアクティブなトラップピーク配列がどのように拡張するかを示す例である。
【表2】
【0099】
集積プロセスは、1つのプロセッサ上で一回に1つのトラップで生じる。ただし、1つのサブドメインは複数のサブドメインから情報を受信できる。これは、1つのサブドメインに2つ以上の隣接するサブドメインがあり、そのサブドメインが拡大する集積をともなう場合に発生する。
【0100】
図7は、一実施に係る、1又は複数のサブドメインから情報を受信する1つのサブドメインを示すブロック
図700である。図示のように、2つのトラップ(例えば、それぞれトラップ710a及び710b)からの2つの侵入先端(例えば、705a及び705b)は、1つのサブドメイン(ここでは、サブドメイン1)に同時に集積している。侵入先端と埋め戻しされたグリッドセルに関連付けられた色については、凡例715を留意されたい。複数のトラップ情報を1つのプロセッサに通信する場合、その通信される情報は特定のトラップに関連付けられる。先に述べたように、境界リストは、第1の指標でトラップ識別子によってタグ付けされるが、その指標はグローバルトラップピーク指標である。過剰なHCはアクティブなトラップ配列から特定できる侵入先端指標へ送られる。集積プロセスは、スピル又は漏出が発生するまで、又は、過剰なHCがなくなるまで続く。新しいIP手法は、すべてのプロセッサが埋め戻し完了ポイントに達するまで、すべてのプロセッサで埋め戻しを続ける。
【0101】
図1Aへ戻り、方法100aは、ステップ175からステップ150へ戻る。
【0102】
図1Bに移ると、
図1Bは、一実施に係る、
図1Aの破線の枠121で描いた方法ステップを改めて述べるフローチャート100bを示す。
【0103】
ステップ102bでは、HCの移動が停止するまで侵入が発生する。方法100bは、ステップ102bからステップ104bへ進む。
【0104】
ステップ104bでは、HCがトラップ又はサブドメインの境界に達したかどうかがチェックされる。HCがサブドメインの境界に達した場合、方法100bはステップ106bへ進む。HCがトラップに達した場合、方法100bはステップ108bへ進む。
【0105】
ステップ106bでは、HCサブドメインの境界に達していれば、HCは近隣のサブドメインへ送られ、フローはステップ110bへ進む。そうでなければ、フローはステップ102bへ戻る。
【0106】
ステップ108bでは、HCが別のサブドメインにピークがあるトラップに達すると、通信と併合が発生し、フローはステップ102bへ戻る。そうでない場合、それ以外のフローはステップ102bへ戻る。
【0107】
ステップ110bでは、HCが同じサブドメインにピークを有するトラップに達すると、併合が発生し、フローは102bへ戻る。
【0108】
侵入プロセスは、システム内でHCの移動がなくなるまで続く。もし、いずれかのグリッドセル内のHCの体積がグリッドセルの容積を上回る場合、システムは非平衡状態にあり、集積プロセスが行われる。
【0109】
図1Cに移ると、
図1Cは、一実施に係る、
図1Aの枠151によって描いた方法のステップを再度説明するフローチャート100cを示す。
【0110】
ステップ102cでは、HCはシステムが平衡状態になるまで埋め戻しを受ける。方法100cは、ステップ102Cからステップ104Cへ進む。
【0111】
ステップ104cでは、HCがサブドメインの境界、トラップの境界、又はスピルポイントに達したかどうかのチェックがなされる。HCがサブドメインの境界に達した場合、方法100cはステップ106cへ進む。HCがトラップの境界に達した場合、方法100cはステップ108cへ進む。スピルポイントに達した場合、方法100cはステップ110cへ進む。
【0112】
ステップ106cでは、HCサブドメインの境界に達すると、HC量、最小ポテンシャル値と指標、及びリストが隣接サブドメインへ送られる。方法100cはステップ106cからステップ102cへ戻る。
【0113】
ステップ108cでは、トラップが集積境界を共有している場合、複数のトラップを併合する必要がある。トラップが異なるサブドメインにある場合、トラップ情報の通信が行われる。方法100cは、ステップ108cからステップ102cへ戻る。
【0114】
ステップ110cでは、
図1A及び
図1Bで説明したように、終了し、侵入プロセスが始まる。
【0116】
ここで述べる新しいIP手法は、数百の岩相と複数の根源岩とを含むモデルを含んだ、さまざまなモデルサイズの複数の堆積盆モデルで(直列及び並列に)試された。試された最大のモデルサイズは、面積グリッドサイズが250メートル(m)の14億個のセルの堆積盆モデルであった。本書には2つのテストケースの結果が含まれている。これらのテスト例を用いて、並列実施の検証、及びこの手法の計算パフォーマンスとスケーラビリティを示す。この方法は、超大規模堆積盆シミュレーションを数時間で実行できるため、地球科学者やエンジニアに、堆積盆モデリングのための高解像度のマイグレーションシミュレーションを実行するための性能の強化を提供する。
【0118】
使用モデルは、x方向に135グリッドセル、y方向に135グリッドセル、層序が82層で構成され、モデルサイズは1,494,450グリッドセルである。面積グリッドサイズは、x方向とy方向が共に2キロメートル(km)であり、73,000平方キロメートル(km
2)の表面積をカバーする。シミュレーションの実行は、5億5,000万年前の最初の層序堆積から始まり、現在まで、既知の反応速度モデルを用いる。このモデルの岩相は2つのタイプのみを用いて単純化される。一方はシール層として、他方は残りの層序層に対して用いられる。
【0119】
図8に移ると、
図8は、一実施に係る、単一の計算コアでテストケース1のモデルを実行した後の結果を示すプロット800である。図示のように、変換率(transformation ratio)は、赤(例えば符号805)から水色(例えば符号810)の色の範囲であり、それぞれ高い所から低い所への変換を示す。変換率は、ケロジェンのどれだけが反応し成熟してHCを生成したかを表す。濃い緑色と薄い緑色のグリッドセルは、集積飽和を表す。図示のように、成熟した根源岩は集積体の真下ではなく、モデルの北東にあり、HCは根源岩からシールの下の最小ポテンシャル点に移動したことを示している。移動後に集積プロセスを実行した。集積体を
図8に示す。符号815が集積体例である。
【0120】
図9に移ると、
図9は、一実施に係る、複数のトラップピークを含む集積体を示すプロット900である。集積体905内では、トラップピークは黄色のグリッドセルとして示されている(例えば、トラップピーク910)。シリアル処理では、この方法は一回に1つのトラップピークを埋め戻し、3つのトラップピークのそれぞれに関連付けられた集積が1つのエンティティに併合されるが、それは併合方法が正しく機能していることを示している。集積体905に隣接する2つのグリッドセル915a/915bは、HCの集積のない孤立したトラップピークであることに留意されたい。
【0121】
図10に移ると、
図10は、一実施に係る、50個の計算コアを用いて実行された
図8及び
図9のテストケースの結果のプロット1000である。図示のように、さまざまな色の長方形(例えば、長方形1005)は異なるサブドメインを表す。結果は同一であることが示され(例えば、
図9の集積体905及び
図8の集積体815と比較した集積体1010を参照)、新しいIP方法の並列化が検証されている。言い換えれば、
図10の集積体1010は(
図8の集積体815の拡大切取図である)
図9の集積体905と同一である。
【0122】
並列処理の併合に関しては、結果もシリアル処理の結果と一致することが示される。例えば、
図11に移ると、
図11は、一実施に係る、異なるサブドメインに存在する併合におけるトラップピークを示すプロット1100である。図示するように、サブドメインには0から3のラベルが付されている。このケースの場合、並列方式はトラップ1(1105)とトラップ2(1110)を同時に集積する。これらは別々のサブドメイン(0から3)にあるからである。トラップ2(1110)が集積するためにサブドメイン3を離れてサブドメイン1に入ると、トラップ3(1115)はサブドメイン3で集積を開始する。異なるサブドメインの異なるトラップからの集積が同時に処理され、シリアル実行と同じ集積の幾何形状(accumulation geometries)が得られる。これは、並列処理の併合方法も正しく機能していることを示す。
【0123】
テストケース2a:粗いグリッドモデル
【0124】
第2のモデルは、x方向に535グリッドセル、y方向に505グリッドセルで構成され、層序が82層で構成され、モデルサイズは22,154,350グリッドセルのものである。面積グリッドサイズは、x方向とy方向の両方ともに2キロメートル(km)で、1,080,700平方キロメートル(km
2)の表面積をカバーする。テストケース1と同様に、シミュレーションの実行は、5億5,000万年前での最初の層序堆積から始まり現在まで、同じ反応速度モデルを用いる。繰り返すが、このモデルの岩相は2つのタイプ、すなわち1)一方をシール層として、及び2)他方を残りの層序層に対してのみ用いるように単純化されている。
【0125】
図12に移ると、
図12は、一実施に係る、テストケース2aのシリアル実行による結果を示すプロットである。濃い緑色のグリッドセル(例えば、符号1205及び符号1210のグリッドセル)は、集積飽和(ボディ)を示す。赤(例えば、符号1215)から青(例えば、符号1220)までの範囲の色は、先に述べた変換率を示す。
【0126】
HCがモデル境界から流出せずにより長い距離を流れることができる、横方向でより大規模な例を用いて、侵入ルーチンの性能を試すことができる。
【0127】
いくつかの集積体は変換率の範囲から遠く離れた領域で見られるが、ここでも、排出されたHCがモデル全体におけるポテンシャルの低い領域へ移動していることが示されている。並行して、このテストケースにおいて、HCは更に多くのサブドメインをわたって移動する。
【0128】
図13に移ると、
図13は、一実施に係る、複数のサブドメインにわたって発生し、互いに直接隣接していないサブドメインにまたがるテストケース2aの併合を示すプロットである。図示のように、表示された黄色のグリッドセル(例えば、グリッドセル1305)は、トラップ1310のトラップピークを示す。トラップ1310は、6つの異なるサブドメイン0、1、4、5、7、及び8と通信するポテンシャルを有する。トラップ1310では、サブドメイン1のグリッドセルで埋め戻しが発生した後、侵入すべき次のセルがサブドメイン8に存在する可能性があって、その結果、隣接しないドメイン通信が発生する。このような、より複雑なケースを実行することで、新しいIP手法のロバスト(堅牢)性が更に試される。
【0129】
図14Aに移ると、
図14Aは、一実施に係る、単一の計算コアでテストケース2aモデルを実行した結果を示すプロット1400aである。マイグレーションプロセスから生成された集積体(1405a、1410a、1415a等)を表す濃い緑色のパッチに留意されたい。
【0130】
図14Bに移ると、
図14Bは、一実施に係る、1,000個の計算コアでテストケース2aモデルを実行した結果を示すプロット1400bである。
図14Bの図示は、新しいIP手法を更に検証するものである。例えば、濃い緑色のパッチ例1405b、1410b、及び1415bは、マイグレーション処理で生成された集積体であり、シミュレーションの実行に用いられる計算コアの数に関して不変であるべきである。図示のように、(1,000個の計算コアを用いて生成される)集積体の例1405b、1410b、及び1415bは、(単一の計算コアを用いて生成される)
図14Aの集積体の例1405a、1410a、及び1415aに対応する。
【0131】
テストケース2b:細かいグリッドモデル
【0132】
本方法を用いて超大規模な高解像度の堆積盆モデルを実行できることを示すために、テストケース2bは、x方向に4,273グリッドセル、y方向に4,033グリッドセルのグリッドサイズで、82層の層序に細分され、サイズ1,413,106,738グリッドセルのモデルとなった。モデルの他のすべての特性を同じに保ち、計算ノードごとに14個のプロセッサを用いて1,000個の計算コアでモデルを実行した。
【0133】
図15に移ると、
図15は、一実施に係る、1,000個の計算コアを用いてテストケース2bモデルを実行した結果を示すプロット1500である。図に見られるように、示されるトラップ位置は、粗い(coarse)グリッドのテストケース2aモデル(
図14B)と同質である。しかし、テストケース2aにおいて低解像度の粗いグリッドゆえにアーチファクトであると疑われた、小さく示されたトラップの多くは、テストケース2bでは消失していた。実施では、テストケース2bの並列処理のシミュレーション処理時間は、テストケース2bのモデル(例えば、10億個のセルを含む)では13時間という実時間(つまり、壁時間(wall time))である。これと比べて、通常は1,000万から5,000万セルのモデルサイズを用いる従来のシリアルIP方式にとって、テストケース2bのモデルは大きすぎる。テストケース2bのモデルで従来のシリアルIP手法を用いようとすると、並列処理のシミュレーション処理を用いたテストケース2b処理の何倍もの(例えば、5から10倍)の壁時間がかかってしまう。
【0134】
テストケース1及びテストケース2a/2bのスケーラビリティ
【0135】
報告されたスケーラビリティの結果は、QLOGIC INFINIBAND interconect(QLogic Corporation,アリソビエホ,カリフォルニア州,米国)に接続されたLINUX PCクラスタを用いたシミュレーション実行のためのものである。クラスタ内の各計算ノードは、2つのXEON E5−2680CPU(Intel Corporation,サンタクララ,カリフォルニア州,米国)で構成され、2.80GHzのクロック速度で実行され、各CPUには10個の計算コアがある。両テストケースとも、計算ノードあたり16個のプロセッサを用いて実行された。
【0136】
図16に移ると、
図16は、一実施に係る、テストケース1についてプロットされた計算コアの数に対する正規化された実行時間のグラフ1600である。同様に、
図17に移ると、
図17は、一実施に係る、テストケース2a/2bについてプロットされた計算コアの数に対する正規化された実行時間のグラフ1700である。
図16及び
図17に示す結果は、並列化された新しいIP手法が実際に非常にスケーラブルであることを示している。グラフ1600及びグラフ1700の理想ライン1602及び1702は、それぞれ完全なスケーラビリティを表していることに留意されたい。つまり、理想的には、1コアに対して10コアのコンピュータを用いる場合、並列化によるオーバーヘッドがなく、コンピュータに処理のボトルネックがないとしたならば、コードの実行速度は10倍に及ぶと予想される。実際には、実際の高速化因子は理想よりも小さくなるのが普通である。グラフ1600及びグラフ1700は、記載されたアプローチが約57/64(グラフ1600)及び
図17では約51/64の高速化因子に達していることを示している。これは、実際の場合のこの方法の並列処理の効率を示しているが、達成されるスケーラビリティは、実際のモデルにおける過剰なHCの分布、及び結果として得られる集積体にも依存する。
【0137】
図18は、一実施に係る、本願で説明されるような記述されたアルゴリズム、方法、機能、プロセス、フロー、及び手順に関連付けられた計算機能を提供するために使用された例示的なコンピュータシステム1800を示すブロック図である。図示されたコンピュータ1802は、サーバ、デスクトップコンピュータ、ラップトップ/ノートブックコンピュータ、無線データポート、スマートフォン、パーソナルデータアシスタント(PDA)、タブレットコンピューティングデバイス、これらのデバイスのうちの1つ若しくは複数のプロセッサ、又は任意の他の適切な処理デバイスといった任意のコンピューティングデバイスを包含することを意図しており、該コンピューティングデバイスの物理インスタンス又は仮想インスタンス(又はその両方)を含む。加えて、コンピュータ1802は、キーパッド、キーボード、タッチスクリーン、又はユーザ情報を受け入れ可能な他のデバイスといった入力デバイスと、コンピュータ1802の動作に関連付けられた情報を伝達する出力デバイスとを含むコンピュータを包含していてもよく、デジタルデータ、視覚情報、または音声情報(若しくは情報の組み合わせ)、又はグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を含む。
【0138】
コンピュータ1802は、クライアント、ネットワークコンポーネント、サーバ、データベースあるいは他の持続性のもの、又は本願に説明された主題を実行するためのコンピュータシステムの任意の他のコンポーネント(又は役割の組み合わせ)としての役割を果たすことができる。例示のコンピュータ1802は、ネットワーク1830と通信可能に結合される。いくつかの実施では、コンピュータ1802の1又は複数のコンポーネントは、クラウドコンピューティングベースの、ローカルな、グローバルな、又は他の環境(又は環境の組み合わせ)を含む環境内で動作するように構成できる。
【0139】
高レベルでは、コンピュータ1802は、説明された主題に関連付けられたデータ及び情報を受け、送出し、処理し、保存し、又は管理するように動作可能な電子的計算デバイスである。いくつかの実施によれば、コンピュータ1802は、アプリケーションサーバ、電子メールサーバ、ウェブサーバ、キャッシングサーバ、ストリーミングデータサーバ、又は他のサーバ(又はサーバの組み合わせ)を含んでいても、或いは通信可能に結合されていてもよい。
【0140】
コンピュータ1802は、(例えば、別のコンピュータ602上で動作する)クライアントアプリケーションからネットワーク1830を介してリクエストを受けることができ、受信したリクエストを適切なソフトウェアアプリケーションを用いて処理することによって受信したリクエストに応答することができる。加えて、リクエストは、コンピュータ1802へ、(例えば、コマンドコンソールから又は他の適切なアクセス方法によって)内部ユーザ、外部ユーザ又はサードパーティ、他の自動化されたアプリケーション、更には、その他の適切なエンティティ、個人、システム、又はコンピュータから送信されるようにしてもよい。
【0141】
コンピュータ1802の各コンポーネントは、システムバス1803を用いて通信できる。いくつかの実施では、コンピュータ1802のコンポーネントのいずれか又は全ては、ハードウェア又はソフトウェアの両方(又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ)が、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)1812又はサービスレイヤ1813(又は、API1812及びサービスレイヤ1813の組み合わせ)を用いて、システムバス1803を介して、互いに又はインタフェース1804(又は両方の組み合わせ)とインタフェース接続することができる。API1812は、ルーチン、データ構造、及びオブジェクトクラスの仕様を含むことができる。API1812は、コンピュータ言語に依存しないか又は依存するかのいずれかであり、また完全なインタフェース、単一の関数、又は一組のAPIを指していてもよい。サービスレイヤ1813は、コンピュータ1802へソフトウェアサービスを、又はコンピュータ1802に通信可能に結合された他のコンポーネントを(図示されているかどうかに関わらず)提供する。コンピュータ1802の機能は、このサービスレイヤを用いて全てのサービスコンシューマにアクセス可能であってもよい。サービスレイヤ1813によって提供されたサービスといったソフトウェアサービスは、定義済みのインタフェースを介して再利用可能な定義済み機能を提供する。例えば、インタフェースは、JAVA(登録商標)、C++、又は、拡張マークアップ言語(XML)フォーマット若しくは他の適切なフォーマットでデータを提供する他の適切な言語で書かれたソフトウェアであり得る。コンピュータ1802の統合コンポーネントとして図示される一方で、代替の実施は、API1812又はサービスレイヤ1813を、コンピュータ1802の他のコンポーネント又はコンピュータ1802に通信可能に結合された他のコンポーネントに(図示されているかどうかに関わらず)関連してスタンドアロンコンポーネントとして例示することができる。さらには、API1812又はサービスレイヤ1813のいずれか又は全ての部分は、本願の範囲から逸脱することなく、別のソフトウェアモジュール、エンタープライズアプリケーション、又はハードウェアモジュールの子モジュール又はサブモジュールとして実施されるようにしてもよい。
【0142】
コンピュータ1802は、インタフェース1804を含む。
図18には単一のインタフェース1804として図示されているが、2つ又はそれより多くのインタフェース1804を、コンピュータ1802の特定のニーズ、要望、又は特定の実施に従って使用することができる。インタフェース1804は、分散環境においてネットワーク1830に(図示されているかどうかに関わらず)接続される他のシステムと通信するために、コンピュータ1802によって使用される。一般にインタフェース1804は、ソフトウェア又はハードウェア(又はソフトウェア及びハードウェアの組み合わせ)でエンコードされたロジックを含み、またネットワーク1830と通信するように動作可能である。より具体的には、インタフェース1804は、ネットワーク1830又はインタフェースのハードウェアが図示のコンピュータ1802の内側及び外側において物理信号を通信するように動作可能であるように、通信に関連付けられた1又は複数の通信プロトコルをサポートするソフトウェアを含むことができる。
【0143】
コンピュータ1802は、プロセッサ1805を含む。
図18においては単一のプロセッサ1805として示されるが、2又はそれより多くのプロセッサを、コンピュータ1802の特定のニーズ、要望、又は特定の実施に従って使用することができる。一般に、プロセッサ1805は、命令を実行し、また、本願に記載されるように、コンピュータ1802の動作、及び任意のアルゴリズム、方法、機能、プロセス、フロー、若しくは手順を実行するためにデータを処理する。
【0144】
また、コンピュータ1802は、コンピュータ1802又はネットワーク1830に(図示されているかどうかに関わらず)接続可能な他のコンポーネント(又はこの両方の組み合わせ)のためのデータを保持することができるデータベース1806を含む。例えば、データベース1806は、インメモリの、従来型の、又は他のタイプのデータベースであることができ、該データベースは、本願に整合するデータを格納する。いくつかの実施では、データベース1806は、説明された機能及びコンピュータ1802の特定のニーズ、要望、又は特定の実施に従う、2以上の異なるデータベースタイプの組み合わせ(例えば、インメモリと従来型とのハイブリッド型データベース)であり得る。
図18において単一のデータベース1806として示されるが、(同じタイプ又はタイプの組み合わせの)2以上のデータベースは、説明された機能及びコンピュータ1802の特定のニーズ、要望、又は特定の実施に従って、使用できる。データベース1806は、コンピュータ1802の不可欠な構成要素として示されるが、代替の実施では、データベース1806は、コンピュータ1802の外部にあってもよい。
【0145】
また、コンピュータ1802は、ネットワーク1830に(図示されているかどうかに関わらず)接続できるコンピュータ1802又は他のコンポーネント(又は両方の組み合わせ)のためのデータを保持可能なメモリ1807を含む。例えば、メモリ1807は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、光学的なもの、磁気的なもの等であることができ、本願に整合するデータを格納する。いくつかの実施では、メモリ1807は、説明された機能及びコンピュータ1802の特定のニーズ、要望又は特定の実施に従う、2又はより多くの異なるタイプのメモリの組み合わせ(例えば、RAMと磁気記憶装置との組み合わせ)であることができる。
図18には単一のメモリ1807として示されるが、(同じタイプ又はタイプの組み合わせの)2以上のメモリ1807が、説明された機能及びコンピュータ1802の特定のニーズ、要望、又は特定の実施に従って使用できる。メモリ1807は、コンピュータ1802の不可欠な構成要素として示されるが、代替の実施では、メモリ1807はコンピュータ1802の外部にあってもよい。
【0146】
アプリケーション1808は、コンピュータ1802の特定のニーズ、要望、又は特定の実施に従う機能を、特に本願において説明された機能に関して提供するアルゴリズムソフトウェアエンジンである。例えば、アプリケーション1808は、1又は複数のコンポーネント、モジュール、又はアプリケーションとして働くことができる。さらに、単一のアプリケーション1808として示されているが、アプリケーション1808は、コンピュータ1802上において複数のアプリケーション1808として実施されていてもよい。加えて、コンピュータ1802と一体として図示されているが、代替の実施では、アプリケーション1808は、コンピュータ1802の外部にあってもよい。
【0147】
また、コンピュータ1802は、電源1814を含むことができる。電源1814は、ユーザによる交換可能又はユーザによる交換不可能に構成できる充電式又は非充電式バッテリを含むことができる。いくつかの実施では、電源1814は、(再充電、スタンバイ、又は別の電力管理の機能を含む)電力変換又は管理回路を含むことができる。いくつかの実施では、電源1814は、コンピュータ1802を壁のソケットや別の電源に接続でき電源プラグを含み、これにより例えばコンピュータ1802に電力を供給したり充電式バッテリを再充電したりすることができる。
【0148】
任意の数のコンピュータ1802が、このコンピュータ1802を含むコンピュータシステムに関連付けられ、又は該コンピュータシステムの外部にあり、各コンピュータ1802はネットワーク1830を介して通信する。さらに、用語「クライアント」、「ユーザ」、又は他の適切な用語は、本願の範囲から逸脱することなく、必要に応じて、交換可能に使用される。さらに、本願では、多くのユーザが1台のコンピュータ1802を使用できることや、1人のユーザが複数のコンピュータ1802を使用できることを想定している。
【0149】
いくつかの実施では、既述された方法論は、コンピュータにより実施されるコントローラ、データベース、又はコンピュータにより実施される他のシステムに、メッセージ、命令、又は他の通信を送って、コンピュータにより実施される操作又は他の機能の操作をコンピュータにより実施されるシステムの制御を動的に開始し、コンピュータにより実施される操作又は他の機能の操作をコンピュータにより実施されるシステムを制御し、又はコンピュータにより実施される操作又は他の機能/操作を別のコンピュータにより実施されるシステムに実行させるように構成することができる。例えば、データ、操作、出力、又はGUIとのインタラクション(対話、相互作用)に基づく操作が送信されて、コンピュータ、データベース、ネットワーク、又はコンピュータに基づく他のシステムに関連付けられた操作に、記憶効率の操作、データ検索の操作、又はこの開示に整合する他の操作を実行させることができる。別の例では、図示されたGUI(例えば、
図8−13、14A−14B、15−17)とインタラクションすると、自動的に、一又は複数の命令がGUIから送信されて、データのためのリクエスト、データの保存、データの分析、又は本願に整合する他の操作がトリガされるようになる。
【0150】
場合によっては、送信された命令により、計算機器又は他の機器という現実世界の有形品に関する制御、動作、修正、強化、又は他の動作が生じ得る。例えば、説示されたGUIは、コンピュータデータベースの磁気/光学ディスクドライブの速度を遅く若しくは速くしたり、コンピューティングシステムを起動若しくは停止したり、ネットワーク接続にわたって許可されるデータ帯域幅をネットワークインタフェースデバイスに無効化させ、調整させ、若しくは増加させたり、あるいは、記述された方法論に関連付けられたコンピューティングシステムに関する若しくは記述された方法論に関連付けられた該コンピューティングシステムとのインタラクションの結果、動作、特定、若しくは分析の通知として(機械的アラーム/発光デバイスといった)可聴/可視アラームを発したりする。
【0151】
実施によっては、先の方法論の出力を使って、炭化水素の生産、分析、及び回収に関連する、又は本開示に沿った他の目的のための、具体的な実体面での機器に、動的に影響を及ぼす、指示する、制御する又は、それらを管理することができる。例えば、進行中の掘削作業から受信したリアルタイムデータを、先の方法論を用いてなされる分析に入れ込むことができる。前述した並列処理のインバージョンパーコレーション(IP)マイグレーション方法の出力は、さまざまな目的に使える。例えば、先の方法論で生成された結果に応じて、掘削軌道を変更したり、ドリル速度を加減したり、ドリルを停止したり、(視覚、聴覚、又は音声アラームで)アラームを有効/無効にしたりして、(例えば、停止、再起動、加速、又は減少させるように)製油所やポンプの操作に影響を及ぼすことができる。他の例としては、HCトラップの検出に基づいて、ジオステアリング及び掘進方向スタッフへの警告(視覚、聴覚、音声アラームなど)を含めることができる。実施によっては、先の方法論は、本開示と整合する炭化水素関連の、又はその他の有形である実体面での機器を制御し、影響を及ぼし、又は使用するための動的なコンピュータにより実施される制御システムの一部として統合できる。
【0152】
本主題で説明する実施は、1つ以上の特徴を単独で又は組み合わせて含むことができる。
【0153】
例えば、第1の実施では、地下媒体内の炭化水素(HC)の移動をシミュレートするための、コンピュータによって実施される並列処理方法であって:1又は複数のサブドメインに分割された複数のグリッドセルに関連付けられた根源岩から、HCが排出されたことを特定するステップと;潜在的なトラップピークを前記複数のグリッドセル内で識別するステップと;前記HCが前記複数のグリッドセル内で移動を停止するまで侵入プロセスを実行するステップと;HC類を含むグリッドセルが過剰量のHC類を含んでいるかどうかを特定するステップと;前記識別された潜在的なトラップピークに関連付けられたトラップにおける、グリッドセルへの前記HCの充填をモデル化するために、集積プロセスを実行するステップと;前記トラップをHCのポテンシャル値で更新するステップと;を含む。
【0154】
前述した及び他に説明された実施は、オプションとして、以下に示す機能の1又は複数を含むことができる。
【0155】
以下の機能のいずれかと組み合わせ可能な第1の機能として、前記潜在的なトラップピークを識別するために、隣接するすべてのグリッドセルが特定のグリッドセルよりも高いポテンシャル値を有する、前記特定のグリッドセルを特定するように各セルの絶対油相ポテンシャル値をチェックする。
【0156】
前述の又は以下の機能のいずれかと組み合わせ可能な第2の機能として、スピルポイントに達したことを特定するステップと;戻って前記侵入プロセスを実行するステップと;を更に含む。
【0157】
前述の又は以下の機能のいずれかと組み合わせ可能な第3の機能として、前記侵入プロセスは:前記HCがサブドメイン境界に達したことを特定するステップと;前記HCを、隣接するサブドメインに移動するステップと;前記HCが同じサブドメインで充填トラップに達した場合、前記HCを前記充填トラップと併合するステップと;を含む。
【0158】
前述の又は以下の機能のいずれかと組み合わせ可能な第4の機能として、前記サブドメイン境界においてHC量を通信するステップと;サブドメイン境界を越えた前記HCを、別のサブドメインに関連付けられたトラップと併合するステップと;を更に含む。
【0159】
前述の又は以下の機能のいずれかと組み合わせ可能な第5の機能として、前記HCがサブドメイン境界に達していることを特定するステップと;前記サブドメイン境界に関連付けられた隣接するサブドメインに、HC量、最小の油ポテンシャル値を有するグリッドセルのグリッドセル指標、及び境界グリッドセルリストを送信するステップと;を更に含む。
【0160】
前述の又は以下の機能のいずれかと組み合わせ可能な第6の機能として、前記HCがトラップ境界に達したことを特定するステップと;複数のトラップが集積境界を共有するかどうかを特定するステップと;を更に含む。
【0161】
第2の実施では、地下媒体内の炭化水素(HC)の移動をシミュレートするための、コンピュータによって実施される並列処理の方法の1又は複数の命令を格納する非一時的なコンピュータ読取り可能媒体であって、前記1又は複数の命令は所定の操作を実行するためにコンピュータシステムによって実行可能であり、前記操作は:1又は複数のサブドメインに分割された複数のグリッドセルに関連付けられた根源岩からHCが排出されたことを特定する操作と;潜在的なトラップピークを前記複数のグリッドセル内で識別する操作と;前記HCが前記複数のグリッドセル内で移動を停止するまで侵入プロセスを実行する操作と;HC類を含むグリッドセルに過剰量のHCが含まれているかどうかを特定する操作と;前記識別された潜在的なトラップピークに関連付けられたトラップにおけるグリッドセルへの前記HCの充填をモデル化するために、集積プロセスを実行する操作と;前記トラップをHCのポテンシャル値で更新する操作と;を含む。
【0162】
前述した及び他に説明された実施は、オプションとして、以下に示す機能の1又は複数を含むことができる。
【0163】
以下の機能のいずれかと組み合わせ可能な第1の機能として、前記潜在的なトラップピークを識別するために、隣接するすべてのグリッドセルが特定のグリッドセルよりも高いポテンシャル値を有する、前記特定のグリッドセルを特定するように各セルの絶対油相ポテンシャル値をチェックする。
【0164】
前述の又は以下の機能のいずれかと組み合わせ可能な第2の機能として、スピルポイントに達していることを特定する操作と;戻って前記侵入プロセスを実行する操作と;を実行する1又は複数の命令を更に含む。
【0165】
前述の又は以下の機能のいずれかと組み合わせ可能な第3の機能として、前記侵入プロセスは:前記HCがサブドメイン境界に達したことを特定する操作と;前記HCを隣接するサブドメインに移動する操作と;前記HCが同じサブドメインで充填されたトラップに達した場合、前記HCを前記充填されたトラップと併合する操作と;を実行する1又は複数の命令を含む。
【0166】
前述の又は以下の機能のいずれかと組み合わせ可能な第4の機能として、前記サブドメイン境界でHC量を通信する操作と;サブドメインの境界を越えて前記HCを別のサブドメインに関連付けられたトラップと併合する操作と;を実行する1又は複数の命令を更に含む。
【0167】
前述の又は以下の機能のいずれかと組み合わせ可能な第5の機能として、前記HCがサブドメイン境界に達したことを特定する操作と;前記サブドメイン境界に関連付けられた隣接のサブドメインに、HC量、最小の油ポテンシャル値を有するグリッドセルのグリッドセル指標、及び境界グリッドセルリストを送信する操作と;を実行する1又は複数の命令を更に含む。
【0168】
前述の又は以下の機能のいずれかと組み合わせ可能な第6の機能として、前記HCがサブドメイン境界に達したことを特定する操作と;複数のトラップが集積境界を共有するかどうかを特定する操作と;を実行する1又は複数の命令を更に含む。
【0169】
第3の実施では、地下媒体内の炭化水素(HC)の移動をシミュレートするための、コンピュータによって実施される並列処理システムであって:コンピュータメモリと;前記コンピュータメモリと相互作動可能に結合され、所定の操作を実行するように構成されたハードウェアプロセッサとであって、前記操作は:1又は複数のサブドメインに分割された複数のグリッドセルに関連付けられた根源岩からHCが排出されたことを特定する操作と;潜在的なトラップピークを前記複数のグリッドセル内で識別する操作と;前記HCが前記複数のグリッドセル内で移動を停止するまで侵入プロセスを実行する操作と;HCを含むグリッドセルに過剰量のHCが含まれているかどうかを特定する操作と;前記識別された潜在的なトラップピークに関連付けられたトラップにおけるグリッドセルへの前記HCの充填をモデル化するために、集積プロセスを実行する操作と;前記トラップをHCポテンシャル値で更新する操作と;を備える、前記ハードウェアプロセッサと;を含む。
【0170】
前述した及び他に説明された実施は、オプションとして、以下に示す機能の1又は複数を含むことができる。
【0171】
以下の機能のいずれかと組み合わせ可能な第1の機能として、前記潜在的なトラップピークを識別するために、隣接するすべてのグリッドセルが特定のグリッドセルよりも高いポテンシャル値を有する、前記特定のグリッドセルを特定するように各セルの絶対油相ポテンシャル値をチェックする。
【0172】
前述の又は以下の機能のいずれかと組み合わせ可能な第2の機能として、スピルポイントに達したことを特定し;戻って前記侵入プロセスを実行する;ように更に構成される。
【0173】
前述の又は以下の機能のいずれかと組み合わせ可能な第3の機能として、前記侵入プロセスは:前記HCがサブドメイン境界に達したことを特定し;前記HCを、隣接するサブドメインに移動し;前記HCが同じサブドメインで充填されたトラップに達した場合、前記HCを前記充填されたトラップと併合する;ように更に構成される。
【0174】
前述の又は以下の機能のいずれかと組み合わせ可能な第4の機能として、前記サブドメイン境界でHC量を通信し;サブドメイン境界を越えて前記HCを別のサブドメインに関連付けられたトラップと併合する;ように更に構成される。
【0175】
前述の又は以下の機能のいずれかと組み合わせ可能な第5の機能として、前記HCがサブドメイン境界に達したことを特定し;前記サブドメイン境界に関連付けられた隣接のサブドメインに、HC量、最小の油ポテンシャル値を有するグリッドセルのグリッドセル指標、及び境界グリッドセルリストを送信するように更に構成される。
【0176】
前述の又は以下の特徴のいずれかと組み合わせ可能な第6の特徴として、HCがトラップ境界に達していることを特定し;複数のトラップが集積境界を共有しているかどうかを特定する;ようにさらに構成される。
【0177】
コンピュータにより実施される並列処理方法では、地下媒体内の炭化水素(HC)のマイグレーション(移動)シミュレーションは、堆積盆シミュレータで実行される。堆積盆ドメインは複数のサブドメインに分割され、各サブドメインは堆積盆体積のサブセットを表し、HC流体に関するデータを有するグリッドセルの集合体に編成される。堆積盆のシミュレーションは、分割された堆積盆のサブドメインが割り当てられている少なくとも1つのマスタノードで構成されるクラスタコンピュータで実行される。グリッドセルの対象となる流体特性パラメータがシミュレートされる。このコンピュータにより実施される方法は:炭化水素(HC)類が、1又は複数のサブドメインに分割された複数のグリッドセルに関連付けられた根源岩から排出されたことを特定するステップと;複数のグリッドセル内の潜在的なトラップピークを特定するステップと;HCが複数のグリッドセル内での移動を停止するまで、侵入プロセスを実行するステップと;HC類を含むグリッドセルに過剰量のHC類が含まれているかどうかを特定するステップと;集積プロセスを実行して潜在的な識別されたトラップピークに関連付けられたトラップにおいてグリッドセルにHCを充填することをモデル化するステップと;トラップをHCポテンシャル値で更新するステップと;を含む。
【0178】
本明細書で記述された主題及び機能的な操作の実施は、デジタル電子回路、有形に具体化されたコンピュータのソフトウェア又はファームウェア、コンピュータハードウェアに、又はそれらの一又は複数の組み合わせで実施でき、これらデジタル電子回路、ソフトウェア、ファームウェア、及びコンピュータハードウェアは、本明細書に開示される構造及びそれらの構造的な同等物を含む。記述された主題におけるソフトウェアの実施は、一又は複数のコンピュータプログラム、つまり、コンピュータプログラム命令の一又は複数のモジュールとして実施されることができ、コンピュータプログラム命令は、コンピュータ若しくはコンピュータにより実施されるシステムによる実行のために、有形の非一時的なコンピュータ読取可能媒体上にエンコードされ、又はコンピュータ若しくはコンピュータにより実施されるシステムの動作を制御する。代替的に又は追加的に、プログラム命令は、人工的に生成された伝播信号、例えば、マシン生成の電気的、光学的、又は電磁気的な信号にエンコードされ、この信号は、コンピュータ又はコンピュータにより実施されるシステムによる実行のために受振器装置への送信用の情報をエンコードするために生成される。コンピュータ記憶媒体は、機械により読取可能な記憶装置、機械により読取可能な記憶基板、ランダム若しくはシリアルアクセスのメモリデバイス、又はコンピュータ記憶媒体の組み合わせであり得る。一又は複数のコンピュータを構成することは、一又は複数のコンピュータがハードウェア、ファームウェア、又はソフトウェア(又はハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアの組み合わせ)をインストールし、一又は複数のコンピュータがソフトウェアを実行するときに特定の計算操作が実行されることを意味する。
【0179】
「リアル−タイム」、「リアルタイム」、「リアル(ファースト)タイム(RFT)」、「ほぼリアルタイム(NRT)」、「準リアルタイム」、又は(当業者が理解する)類似の用語は、個々が、実質的に同時に動作及び応答が生じることを知覚するように、該動作及び応答が時間的に近接していることを意味する。例えば、データにアクセスするための個々の動作に続くデータの表示(又は表示の開始)に対する応答の時間差は、1ミリ秒(ms)未満、1秒(s)未満、又は5s未満であり得る。要求されたデータが、即時に表示(又は表示開始)される必要はないが、記述されたコンピューティングシステムの処理制限と、データを例えば収集し、正確に評価し、分析し、処理し、格納し、又は送信するために必要な時間とを考慮して、意図的な遅延なしに表示(又は表示開始)される。
【0180】
用語「データ処理装置」、「コンピュータ」、又は「電子コンピュータデバイス」(又は当業者によって理解される同等の用語)は、データ処理ハードウェアを指し、あらゆる種類の装置、デバイス、及びマシンを包含し、これらの種類は、データを処理するためのものであり、例示として、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサ若しくはコンピュータを含む。コンピュータは、例えば、中央処理装置(CPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は特定用途向け集積回路(ASIC)を包含する専用ロジック回路であるか、又はこれらを更に含むことができる。いくつかの実施では、コンピュータ若しくはコンピュータにより実施されるシステム、又は専用ロジック回路(又はコンピュータ若しくはコンピュータにより実施されるシステムと専用ロジック回路との組み合わせ)は、ハードウェア系又はソフトウェア系(又はソフトウェア系及びハードウェア系の両方の基づく組み合わせ)であることができる。コンピュータは、オプションとして、コンピュータプログラムの実行環境を生成するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、又は実行環境の組み合わせを構成するコードを含むことができる。本願は、あるタイプのオペレーティングシステムを持つコンピュータ又はコンピュータにより実施されるシステムの使用を想定しており、オペレーティングシステムは、例えば、LINUX、UNIX(登録商標)、WINDOWS(登録商標)、MACOS、ANDROID(登録商標)、又はIOSである。
【0181】
コンピュータプログラムは、プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、ユニット、モジュール、ソフトウェアモジュール、スクリプト、コード、又は他のコンポーネントとして参照され又は記述されるものであって、コンパイル言語若しくはインタープリタ言語を含むプログラミング言語、又は宣言型若しくは手続き型の言語の形式で記載でき、またコンピュータプログラムは、コンピューティング環境で使用するための任意の形式で展開でき、例えばスタンドアロンプログラム、モジュール、コンポーネント、又はサブルーチンとして含む。コンピュータプログラムは、ファイルシステム内のファイルに対応できるが、必ずしも対応する必要はない。プログラムは、他のプログラム又はデータを保持するファイルの一部、例えばマークアップ言語ドキュメントに格納された一又は複数のスクリプトに保存でき、該他のプログラムは、問題のプログラム専用の単一ファイル内に、或いは複数の連携したファイル、例えば一又は複数のモジュール、サブプログラム、又はコードの一部に格納できる。コンピュータプログラムは、一又は複数のコンピュータ上に展開でき、該コンピュータは、一のサイトに位置し、又は複数のサイトに分散されて配置され、これらは通信ネットワークによって相互接続される。
【0182】
様々な図面に例示されたプログラムの部分は、ユニット又はモジュールといった個々のコンポーネントとして例示でき、個々のコンポーネントは、様々なオブジェクト、方法、又は他のプロセスを用いて、説明された特徴及び機能を実施しているが、プログラムは、それらの代わりに、いくつかのサブユニット、サブモジュール、サードパーティのサービス、コンポーネント、ライブラリ、及び他のコンポーネントを、必要に応じて含むことができる。逆に、必要に応じて、様々なコンポーネントの機能及び特徴は、単一のコンポーネントに組み合わせることができる。計算上の特定を為すために使用されたしきい値は、静的に、動的に、又は静的と動的との両方で特定できる。
【0183】
説明された方法、プロセス、又は論理フローは、本願と整合する機能の一又は複数の例示を表したものであって、説示された又は図示された実施に本願を限定することを意図したものではなく、説示された原理及び特徴に整合する最も広い範囲が与えられるべきである。説示された方法、プロセス、又は論理フローは、一又は複数のプログラム可能なコンピュータによって実行でき、該コンピュータは、入力データを操作して出力データを生成することによって機能を実行する一又は複数のコンピュータプログラムを実行する。方法、プロセス、又は論理フローは、特定用途のロジック回路、例えばCPU、FPGA、又はASICとして実行でき、またコンピュータも、特定用途のロジック回路、例えばCPU、FPGA、又はASICとして実施できる。
【0184】
コンピュータプログラムの実行のためのコンピュータは、汎用又は特定用途のマイクロプロセッサ、これらの両方、又は別のタイプのCPUに基づくことができる。一般的には、CPUは、メモリから命令及びデータを受け取り、メモリに書き込む。コンピュータの重要な要素は、命令を行い又は実行するためのCPU、及び命令及びデータを保存するための一又は複数のメモリデバイスである。一般に、コンピュータは、データを保存するための一又は複数の大容量記憶装置、例えば磁気、光磁気ディスク、又は光ディスクを含み、或いはこれらの大容量記憶装置に動作可能に結合され、データを受信し、転送し、又はこの両方を行う。しかし、コンピュータは、そのようなデバイスを持つ必要はない。さらには、コンピュータは、別のデバイス、例えば携帯電話、携帯情報端末(PDA)、モバイルオーディオ若しくはビデオプレーヤー、ゲームコンソール、全地球測位システム(GPS)受信機、又はポータブルメモリストレージデバイスに組み込まれることができる。
【0185】
コンピュータプログラム命令及びデータを格納するための非一時的なコンピュータ読取可能媒体は、例示として半導体メモリデバイス、磁気デバイス、及び光学メモリデバイスを含む、あらゆる形態の永続的/非永続的又は揮発性/不揮発性のメモリ、媒体、及びメモリデバイスを含むことができる。あらゆる形態のメモリデバイスは:半導体メモリデバイス、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、相変化メモリ(PRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、及びフラッシュメモリデバイスと;磁気デバイス、例えば、テープ、カートリッジ、カセット、内部/リムーバブルディスクと;光磁気ディスクと;光学メモリデバイス、例えば、デジタルバーサタイル/ビデオディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD)ROM、DVD+/−R、DVD−RAM、DVD−ROM、高精細/密度(HD)−DVD、及びBLU−RAY/BLU−RAYDISC(BD)、及び他の光学メモリテクノロジーと;を含む。メモリは、様々なオブジェクト又はデータを格納でき、オブジェクト又はデータは、キャッシュ、クラス、フレームワーク、アプリケーション、モジュール、バックアップデータ、ジョブ、Webページ、Webページテンプレート、データ構造、データベーステーブル、動的情報を格納するリポジトリ、又は他の適切な情報を包含しており、他の適切な情報は、任意のパラメータ、任意の変数、任意のアルゴリズム、任意の命令、任意のルール、任意の制約、又は任意の参照を含む。さらに、メモリは、ログ、ポリシー、セキュリティ又はアクセスのデータ、レポートファイルといった他の適切なデータを含むことができる。プロセッサ及びメモリは、特定用途ロジック回路によって補完され又は組み込むことができる。
【0186】
ユーザとのインタラクションを提供するために、本明細書で記載された主題の実施は、ユーザに情報を表示するためのディスプレイデバイス、例えば陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)又はプラズマモニターと、ユーザがコンピュータに入力を提供するキーボード及びポインティングデバイス、例えばマウス、トラックボール、トラックパッドとを有するコンピュータ上で実施できる。入力が、タブレットコンピュータの感圧性表面、静電容量式若しくは電気式のセンシングを使用したマルチタッチスクリーンといった、タッチスクリーンを用いてコンピュータに提供することもできる。他のタイプのデバイスが、ユーザとインタラクションするために使用できる。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、(視覚、聴覚、触覚、又は複数のフィードバックタイプの組み合わせといった)あらゆる形態の感覚のフィードバックであることができる。ユーザからの入力は、音響入力、音声入力、触覚入力を包含する、あらゆる形式で受信できる。さらに、コンピュータは、ユーザによって使用されるクライアントコンピューティングデバイスからのドキュメントを受信し及び該ドキュメントをクライアントコンピューティングデバイスに送信することによって(例えば、Webブラウザから受けたリクエストに応答してユーザのモバイルコンピューティングデバイス上においてWebブラウザにWebページを送ることにより)ユーザとインタラクションできる。
【0187】
用語「グラフィカルユーザインタフェース」又は「GUI」は、単数又は複数で使用して、一又は複数のグラフィカルユーザインタフェース及び特定のグラフィカルユーザインタフェースのディスプレイの各々を説明できる。したがって、GUIは、Webブラウザ、タッチスクリーン、又はコマンドラインインタフェース(CLI)を含むが、これらに限定されることなく、任意のグラフィカルユーザインタフェースを提示することができ、コマンドラインインタフェースは、情報を処理すると共に情報の結果をユーザに効率的に提示する。一般的に、GUIは、いくつかユーザインタフェース(UI)要素、例えばインタラクティブフィールド、プルダウンリスト、ボタンを含むことができ、これらのうちのいくつか又は全ては、Webブラウザに関連付けられる。これら及び他のUI要素は、Webブラウザの機能に関連付けられまたWebブラウザの機能を表すことができる。
【0188】
本明細書で記述された主題の実施は、バックエンドコンポーネントを例えばデータサーバとして含むコンピューティングシステム、ミドルウェアコンポーネントを、例えばアプリケーションサーバとして含むコンピューティングシステム、フロントエンドコンポーネントを、例えばクライアントコンピュータとして含むコンピューティングシステム、及び、一又は複数のこのようなバックエンド、ミドルウェア、又はフロントエンドコンポーネントの任意の組み合わせを含むコンピューティングシステムにおいて実施でき、クライアントコンピュータは、ユーザが本明細書においで記述される主題の実施とインタラクションできるグラフィカルユーザインタフェース又はWebブラウザを有する。システムのコンポーネントは、有線又は無線のデジタルデータ通信(又はデータ通信の組み合わせ)、例えば通信ネットワークの任意の形式又は媒体によって相互接続されることができる。通信ネットワークの例示は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、無線アクセスネットワーク(RAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、広域ネットワーク(WAN)、マイクロ波アクセスの世界的な相互運用性(WIMAX)、例えば802.11a/b/g/n又は802.20(又は802.11xと802.20の組み合わせ、又は本願に整合する他のプロトコル)を用いる無線ローカルエリア(WLAN)、インターネットの全て若しくは一部、別の通信ネットワーク、又は通信ネットワークの組み合わせを含む。通信ネットワークは、例えば、インターネットプロトコル(IP)パケット、フレームリレーフレーム、非同期転送モード(ATM)セル、音声、ビデオ、データ、又はネットワークノード間の他の情報と通信できる。
【0189】
コンピューティングシステムは、クライアント及びサーバを含むことができる。クライアント及びサーバは、一般的には、互いに離れており、また典型的には、通信ネットワークを介してインタラクションする。クライアント及びサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で動作すると共に互にクライアント・サーバ関係にあるコンピュータプログラムのおかげで生じる。
【0190】
本明細書は多くの特定の実施の詳細を含む一方で、これらは、任意の発明概念の範囲又は請求される得る範囲の制限として解釈されるべきではなく、むしろ、特定の発明概念の特定の実施固有の特徴の説明として解釈されるべきである。個別の実施の観点で本明細書において説明された機能は、組み合わせて又は単一の実施で、実現できる。逆に、単一の実施の観点で既述された様々な特徴は、複数の実施で、個別に、又は任意のサブコンビネーションで実施されることもできる。さらには、既述の特徴は特定の組み合わせで動作するものとして説示され、最初はそのようなものとして請求されているが、一又は複数の特徴は、請求された組み合わせから場合によっては削除され、またサブコンビネーション又はサブコンビネーションの変形であり得る。
【0191】
主題の特定の実施が説明された。記載された実施の置換、変更、及び他の実施は、当業者には明らかである以下の請求の範囲内である。操作は特許請求の範囲に又は特定の順序で図面に描かれている一方で、これは、望ましい結果を達成するために、示された特定の順序で又は順番でそのような操作が実行されること又は全ての図示された操作が実行される(いくつかの操作は随意的と見なされる)ことを要求するものとして理解されるべきではない。ある状況では、マルチタスク又は並列処理(又はマルチタスク及び並列処理の組み合わせ)を行うことが有利であり、適切と思われる場合に実行される。
【0192】
さらに、既述の実施における様々なシステムモジュール及びコンポーネントの分離又は統合が、全ての実施においてそのような分離又は統合を必要とするものとして理解されるべきではない。また、記載されたプログラムコンポーネント及びシステムは、一般的には、単一のソフトウェア製品に統合でき、又は複数のソフトウェア製品にパッケージ化できることが理解されるべきである。
【0193】
これに従って、既述の例示的な実施は、本願を定義し又は制約しない。他の変更、置換、及び変更も、本開示の範囲及び精神から逸脱することなく可能である。
【0194】
さらには、請求された任意の実施は、少なくとも、コンピュータにより実施される方法、非一時的なコンピュータ読取可能媒体、及びコンピュータシステムに適用可能であると考えられ、非一時的なコンピュータ読取可能媒体は、コンピュータにより実施される方法を実行するコンピュータにより読取可能な命令を格納し、またコンピュータシステムは、ハードウェアプロセッサに相互に動作可能に結合されたコンピュータメモリを含み、ハードウェアプロセッサは、非一時的なコンピュータ読取可能媒体に格納されたコンピュータにより実施される方法又は命令を実行するように構成される。
以下、本発明の実施の態様の例を列挙する。
[第1の局面]
地下媒体内の炭化水素(HC)の移動をシミュレートするための、コンピュータによって実施される並列処理方法であって:
1又は複数のサブドメインに分割された複数のグリッドセルに関連付けられた根源岩から、HCが排出されたことを特定するステップと;
潜在的なトラップピークを前記複数のグリッドセル内で識別するステップと;
前記HCが前記複数のグリッドセル内で移動を停止するまで侵入プロセスを実行するステップと;
HC類を含むグリッドセルが過剰量のHC類を含んでいるかどうかを特定するステップと;
前記識別された潜在的なトラップピークに関連付けられたトラップにおける、グリッドセルへの前記HCの充填をモデル化するために、集積プロセスを実行するステップと;
前記トラップをHCのポテンシャル値で更新するステップと;を備える、
コンピュータによって実施される並列処理方法。
[第2の局面]
前記潜在的なトラップピークを識別するために、隣接するすべてのグリッドセルが特定のグリッドセルよりも高いポテンシャル値を有する、前記特定のグリッドセルを特定するように各セルの絶対油相ポテンシャル値をチェックする、
第1の局面に記載のコンピュータによって実施される並列処理方法。
[第3の局面]
スピルポイントに達したことを特定するステップと;
戻って前記侵入プロセスを実行するステップと;を更に備える、
第1の局面に記載のコンピュータによって実施される並列処理方法。
[第4の局面]
前記侵入プロセスは:
前記HCがサブドメイン境界に達したことを特定するステップと;
前記HCを、隣接するサブドメインに移動するステップと;
前記HCが同じサブドメインで充填トラップに達した場合、前記HCを前記充填トラップと併合するステップと;を備える、
第1の局面に記載のコンピュータによって実施される並列処理方法。
[第5の局面]
前記サブドメイン境界においてHC量を通信するステップと;
サブドメイン境界を越えた前記HCを、別のサブドメインに関連付けられたトラップと併合するステップと;を更に備える、
第1の局面に記載のコンピュータによって実施される並列処理方法。
[第6の局面]
前記HCがサブドメイン境界に達していることを特定するステップと;
前記サブドメイン境界に関連付けられた隣接するサブドメインに、HC量、最小の油ポテンシャル値を有するグリッドセルのグリッドセル指標、及び境界グリッドセルリストを送信するステップと;を更に備える、
第1の局面に記載のコンピュータによって実施される並列処理方法。
[第7の局面]
前記HCがトラップ境界に達したことを特定するステップと;
複数のトラップが集積境界を共有するかどうかを特定するステップと;を更に備える、
第1の局面に記載のコンピュータによって実施される並列処理方法。
[第8の局面]
地下媒体内の炭化水素(HC)の移動をシミュレートするための、コンピュータによって実施される並列処理の方法の1又は複数の命令を格納する非一時的なコンピュータ読取り可能媒体であって、前記1又は複数の命令は所定の操作を実行するためにコンピュータシステムによって実行可能であり、前記操作は:
1又は複数のサブドメインに分割された複数のグリッドセルに関連付けられた根源岩からHCが排出されたことを特定する操作と;
潜在的なトラップピークを前記複数のグリッドセル内で識別する操作と;
前記HCが前記複数のグリッドセル内で移動を停止するまで侵入プロセスを実行する操作と;
HC類を含むグリッドセルに過剰量のHCが含まれているかどうかを特定する操作と;
前記識別された潜在的なトラップピークに関連付けられたトラップにおけるグリッドセルへの前記HCの充填をモデル化するために、集積プロセスを実行する操作と;
前記トラップをHCのポテンシャル値で更新する操作と;を備える、
非一時的なコンピュータ読取り可能媒体。
[第9の局面]
前記潜在的なトラップピークを識別するために、隣接するすべてのグリッドセルが特定のグリッドセルよりも高いポテンシャル値を有する、前記特定のグリッドセルを特定するように各セルの絶対油相ポテンシャル値をチェックする、
第8の局面に記載の非一時的なコンピュータ読取り可能媒体。
[第10の局面]
スピルポイントに達していることを特定する操作と;
戻って前記侵入プロセスを実行する操作と;を実行する1又は複数の命令を更に備える、
第8の局面に記載の非一時的なコンピュータ読取り可能媒体。
[第11の局面]
前記侵入プロセスは:
前記HCがサブドメイン境界に達したことを特定する操作と;
前記HCを隣接するサブドメインに移動する操作と;
前記HCが同じサブドメインで充填されたトラップに達した場合、前記HCを前記充填されたトラップと併合する操作と;を実行する1又は複数の命令を備える、
第8の局面に記載の非一時的なコンピュータ読取り可能媒体。
[第12の局面]
前記サブドメイン境界でHC量を通信する操作と;
サブドメインの境界を越えて前記HCを別のサブドメインに関連付けられたトラップと併合する操作と;を実行する1又は複数の命令を更に備える、
第8の局面に記載の非一時的なコンピュータ読取り可能媒体。
[第13の局面]
前記HCがサブドメイン境界に達したことを特定する操作と;
前記サブドメイン境界に関連付けられた隣接のサブドメインに、HC量、最小の油ポテンシャル値を有するグリッドセルのグリッドセル指標、及び境界グリッドセルリストを送信する操作と;を実行する1又は複数の命令を更に備える、
第8の局面に記載の非一時的なコンピュータ読取り可能媒体。
[第14の局面]
前記HCがサブドメイン境界に達したことを特定する操作と;
複数のトラップが集積境界を共有するかどうかを特定する操作と;を実行する1又は複数の命令を更に備える、
第8の局面に記載の非一時的なコンピュータ読取り可能媒体。
[第15の局面]
地下媒体内の炭化水素(HC)の移動をシミュレートするための、コンピュータによって実施される並列処理システムであって:
コンピュータメモリと;
前記コンピュータメモリと相互作動可能に結合され、所定の操作を実行するように構成されたハードウェアプロセッサであって、前記操作は:
1又は複数のサブドメインに分割された複数のグリッドセルに関連付けられた根源岩からHCが排出されたことを特定する操作と;
潜在的なトラップピークを前記複数のグリッドセル内で識別する操作と;
前記HCが前記複数のグリッドセル内で移動を停止するまで侵入プロセスを実行する操作と;
HCを含むグリッドセルに過剰量のHCが含まれているかどうかを特定する操作と;
前記識別された潜在的なトラップピークに関連付けられたトラップにおけるグリッドセルへの前記HCの充填をモデル化するために、集積プロセスを実行する操作と;
前記トラップをHCポテンシャル値で更新する操作と;を備える、前記ハードウェアプロセッサと;を備える、
コンピュータによって実施される並列処理システム。
[第16の局面]
前記潜在的なトラップピークを識別するために、隣接するすべてのグリッドセルが特定のグリッドセルよりも高いポテンシャル値を有する、前記特定のグリッドセルを特定するように各セルの絶対油相ポテンシャル値をチェックする、
第15の局面に記載のコンピュータによって実施される並列処理システム。
[第17の局面]
スピルポイントに達したことを特定し;
戻って前記侵入プロセスを実行する;ように更に構成される、
第15の局面に記載のコンピュータによって実施される並列処理システム。
[第18の局面]
前記侵入プロセスは:
前記HCがサブドメイン境界に達したことを特定し;
前記HCを、隣接するサブドメインに移動し;
前記HCが同じサブドメインで充填されたトラップに達した場合、前記HCを前記充填されたトラップと併合する;ように更に構成される、
第15の局面に記載のコンピュータによって実施される並列処理システム。
[第19の局面]
前記サブドメイン境界でHC量を通信し;
サブドメイン境界を越えて前記HCを別のサブドメインに関連付けられたトラップと併合する;ように更に構成される、
第15の局面に記載のコンピュータによって実施される並列処理システム。
[第20の局面]
前記HCがサブドメイン境界に達したことを特定し;
前記サブドメイン境界に関連付けられた隣接のサブドメインに、HC量、最小の油ポテンシャル値を有するグリッドセルのグリッドセル指標、及び境界グリッドセルリストを送信するように更に構成される、
第15の局面に記載のコンピュータによって実施される並列処理システム。