特許第6966881号(P6966881)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6966881通信装置、通信装置の制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6966881
(24)【登録日】2021年10月26日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】通信装置、通信装置の制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/48 20180101AFI20211108BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20211108BHJP
   H04W 88/04 20090101ALI20211108BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20211108BHJP
【FI】
   H04W4/48
   H04W84/10 110
   H04W88/04
   H04W4/38
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-125589(P2017-125589)
(22)【出願日】2017年6月27日
(65)【公開番号】特開2019-9695(P2019-9695A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2020年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼田 正志
【審査官】 伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−297830(JP,A)
【文献】 特開2015−122695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Bluetoothの規格に準拠した通信方式を用いて、セントラル装置として機能して第1のピコネットに接続するとともに、ペリフェラル装置として機能して第2のピコネットに接続することが可能な通信装置であって、
前記第1のピコネットにおいてペリフェラル装置として機能する第1の装置から、当該第1の装置がサポートするサービスを識別する情報および当該サービスに関するデータを受信する第1の通信手段と、
前記第2のピコネットにおいてセントラル装置として機能する第2の装置に、前記サービスを識別する情報および前記通信装置がサポートするサービスを識別する情報を、Bluetoothの規格に準拠したアドバタイジングパケットを用いて送信する第2の通信手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記第2の通信手段は、前記第2の装置からサービスを検索するための要求を受信した場合、前記サービスを識別する情報を送信することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第2の通信手段は、所定のタイミング毎に、前記サービスを識別する情報を送信することを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記サービスに関するデータは、前記第1の通信手段が前記第1の装置へサービスを検索するための要求を送信することに応じて前記第1の装置から受信される応答に含まれることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第1の装置は、所定の対象をセンシングする機能を有する装置であり、前記サービスに関するデータは、前記第1の装置によりセンシングされた測定データであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記第2の装置に送信するためのデータを前記サービスに関するデータに更新する制御手段を更に有し、
前記第2の通信手段は、前記更新されたデータを前記第2の装置に送信することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記サービスを識別する情報は、UUID(Universally Unique Identifier)を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
Bluetoothの規格に準拠した通信方式を用いて、セントラル装置として機能して第1のピコネットに接続するとともに、ペリフェラル装置として機能して第2のピコネットに接続することが可能な通信装置の制御方法であって、
前記第1のピコネットにおいてペリフェラル装置として機能する第1の装置から、当該第1の装置がサポートするサービスを識別する情報および前記通信装置がサポートするサービスを識別する情報を受信する受信工程と、
前記第2のピコネットにおいてセントラル装置として機能する第2の装置に、前記サービスを識別する情報および当該サービスに関するデータを、Bluetoothの規格に準拠したアドバタイジングパケットを用いて送信する送信工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1から7のいずれか1項に記載の通信装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信装置の制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信装置が、近隣に存在するセンシング装置が測定した結果を近距離無線通信方式による通信を介して収集し、提供するサービスの付加情報として利用する、無線センサーネットワークシステムが実用化されている。近距離無線通信方式の1つであるBluetooth(登録商標)を利用するシステムでは、装置間で無線センサーネットワークサービスを享受する場合、サービスを享受する装置の組合せ毎に、ペアリング操作を実施する必要があった。
【0003】
また、Bluetoothを利用するシステムでは、通信装置がセンシング装置との間で既に形成しているピコネット(ネットワーク)を保持したまま、新たに、近隣の情報処理装置の形成しているピコネットにも参加可能な“スキャッタネット機能”を利用できる。例えば、心拍計等のセンシング装置との間でピコネットを形成中のモバイル通信装置(例えばスマートフォン)を携帯中のユーザが、Bluetoothオーディオサービスを提供中の車載情報処理装置が搭載されている車に搭乗する例を考える。この場合、モバイル通信装置は、スキャッタネット機能を利用することにより、モバイル通信装置に格納された音楽データの再生を車載情報処理装置において実施することができる。
【0004】
一方、車載情報処理装置に対しては、事故発生時の緊急通報システム等の進化に応じて、ユーザの所持するセンシング装置の測定するバイタル情報の自動収集の要望が挙がっている。しかしながら、Bluetoothのスキャッタネット関連の規格においては、通信接続のトポロジに対しての規定はあるが、データのブリッジ・ルーティング等に対する規定がない。そのため、モバイル通信装置がスキャッタネットを構成するのみでは、車載情報処理装置は、センシング装置の測定情報を取得できなかった。
【0005】
このような課題に対して、特許文献1では、特定の情報通信装置がシステム内の制御情報に関しての代理応答を行い、情報提供装置と情報受領装置間のペイロードデータ通信用無線リンクの設定の制御を実施するシステムが開示されている。また、特許文献2では、該当無線通信装置の推定存在位置の通信装置が、無線系の在圏確認制御メッセージに代理応答するシステムが開示されている。一方、情報の更新周期に着目すると、引用文献3には、情報提供装置と情報受領装置間に中継サーバーを設け、中継サーバーへのアクセス頻度に応じて情報を更新する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−59075号公報
【特許文献2】特開2006−515492号公報
【特許文献3】特開2013−537754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の従来技術では、車載情報通信装置は、センシング装置群を束ねるピコネットのマスタ通信装置として動作中のモバイル通信装置とスキャッタネットを構築しただけでは、モバイル通信装置を経由でセンシング情報を取得できなかった。また、一時的なサービスの利用に際しても、車載情報通信装置とセンシング装置群の各々とのペアリング操作が必要となり、このような操作は利用者の負担になっていた。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、サービスを利用するための通信を効率よく行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための一手段として、本発明の通信装置は以下の構成を有する。すなわち、Bluetoothの規格に準拠する通信方式を用いて、セントラル装置として機能して第1のピコネットに接続するとともに、ペリフェラル装置として機能して第2のピコネットに接続することが可能な通信装置であって、前記第1のピコネットにおいてペリフェラル装置として機能する第1の装置から、当該第1の装置がサポートするサービスを識別する情報および当該サービスに関するデータを受信する第1の通信手段と、前記第2のピコネットにおいてセントラル装置として機能する第2の装置に、前記サービスを識別する情報および前記通信装置がサポートするサービスを識別する情報を送信する第2の通信手段と、を有する。

【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、サービスを利用するための通信を効率よく行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態におけるセンシング情報収集システムの概略図。
図2】ウェアラブルカメラのハードウェア構成の一例を示す図。
図3】スマートフォン102のハードウェア構成の一例を示す図。
図4】車載情報通信装置(IVI)103のハードウェア構成の一例を示す図。
図5】心拍計104のハードウェア構成の一例を示す図。
図6】従来のセンシング情報収集システムの概略図。
図7】実施形態におけるセンシング情報収集システムのデータフローを示す模式図。
図8】スマートフォン102の処理のフローチャート。
図9】実施形態におけるセンシング情報収集システムの動作フローを示す模式図(1)。
図10】実施形態におけるセンシング情報収集システムの動作フローを示す模式図(2)。
図11】アドバタイズパケットのデータ構成例を示す図。
図12】Bluetooth GATT プロファイルデータのデータ構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して、本発明をその実施形態の一例に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態において示す構成は一例に過ぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
【0013】
図1に、本実施形態における、センシング装置が測定した結果を近距離無線通信方式による通信を介して収集するシステム(以下、センシング情報収集システム)の概略図を示す。本システムは、センシング装置としてのウェアラブルカメラ101と心拍計104、モバイル情報通信装置としてのスマートフォン102、車載情報通信装置(IVI(In-Vehicle Infotainment))103から構成されている。ウェアラブルカメラ101と心拍計104は、例えば、車載情報通信装置103が搭載されている車の運転手が装着または保持している。ウェアラブルカメラ101、スマートフォン102、車載情報通信装置103、心拍計104はそれぞれ、近距離無線通信規格の一例としてBluetooth規格に基づいた無線通信インタフェースを具備している。なお、上記装置は一例であり、各装置がBluetooth規格に基づいた無線通信インタフェースを具備する装置であれば、図1に示す装置に限定されない。
【0014】
本実施形態の説明では、スマートフォン102がBLE(Bluetooth Low Energy)接続のセントラル装置として、センシング装置(ウェアラブルカメラ101および/または心拍計104)とピコネットを形成している。BLE接続は、Bluetooth通信路を介して行われる。このピコネットを下位ピコネットとよぶ。ここでウェアラブルカメラ101と心拍計104は、BLE接続のペリフェラル装置としての役割を担う。そしてこのような状態で、スマートフォン102は、新たなBLE接続のセントラル装置としての車載情報通信装置103が形成しているピコネットに、ペリフェラル装置として参加することにより、スキャッタネットが形成される。車載情報通信装置103が形成しているピコネットを上位ピコネットとよぶ。図6は、従来のセンシング情報収集システムの概略図を示す。従来では、図6に示すように、スマートフォン102は、下位ピコネットにおいて、センシング装置から測定データ値を収集できる。しかしながら、車載情報通信装置103がセンシング装置から当該測定データ値を収集するためには、ユーザによるセンシング装置と車載情報通信装置103のペアリング操作が必要であった。一方、本実施形態では、スマートフォン102は、後述する処理を行うことにより、スマートフォン102は、センシング装置から収集した測定データ値を、センシング装置に代行して車載情報通信装置103に伝達することができる。
【0015】
続いて、図2図5を参照して、ウェアラブルカメラ101、スマートフォン102、車載情報通信装置103、心拍計104のハードウェア構成について説明する。まず、ウェアラブルカメラ101について説明する。図2は、ウェアラブルカメラ101のハードウェア構成を説明する図である。ウェアラブルカメラ101は、表示部201、操作部202、画像記憶部203、電源部204、撮影部205、制御部206、ROM207、RAM208、無線LAN通信部209、Bluetooth通信部210を備える。なお、ROMはRead Only Memoryの略であり、RAMはRandom Access Memoryである。
【0016】
表示部201は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等により構成され、視覚で認知可能な情報の出力する機能を有し、UI(User Interface)、アラーム、画像の表示などの表示を行う。操作部202は、各種入力等を行い、装置を操作するための機能を有する。画像記憶部203は、例えばSDカード等の不揮発メモリ媒体により構成され、画像データの記憶を行う。電源部204は、装置全体を動作させるための電源(バッテリー等)を保持し、各ハードウェアに電力を供給する。
【0017】
撮影部205は、例えばレンズ及び撮像素子を中心にした撮像エンジンにより構成され、撮影画像をエンコードして画像データを生成する。制御部206は、例えば一つ又は複数のCPU(Central Processing Unit)によって構成され、ウェアラブルカメラ101全体の動作を制御する。ROM207は、制御命令つまりプログラムを格納する。後述するウェアラブルカメラ101の各種動作は、ROM207に記憶された制御プログラムを制御部405が実行することにより実現される。RAM208は、プログラムを実行する際のワークメモリやデータの一時保存などに利用される。無線LAN通信部209は、IEEE802.11シリーズに準拠する通信(Wi-Fi(登録商標)等)を行い、画像データ等のペイロードテータの高速転送に利用される。Bluetooth通信部210は、省電力無線通信であるBluetooth通信を行う。
【0018】
続いて、スマートフォン102について説明する。図3は、スマートフォン102のハードウェア構成を説明する図である。スマートフォン102は、表示部301、操作部302、画像記憶部303、電源部304、制御部305、ROM306、RAM307、無線LAN通信部308、Bluetooth通信部309、公衆通信部310を備える。
【0019】
表示部301は、例えばLCDやLED(Light Emitting Diode)により構成され、視覚で認知可能な情報の出力する機能を有し、UI、アラームなどの表示を行う。操作部302は、各種入力等を行い、装置を操作するための機能を有する。画像記憶部303は、画像データの記憶を行う。電源部304は、装置全体を動作させるための電源(バッテリー等)を保持し、各ハードウェアに電力を供給する。制御部305は、一つ又は複数のCPUによって構成され、スマートフォン102全体の動作を制御する。ROM306は、制御命令つまりプログラムを格納する。後述するスマートフォン102の各種動作は、ROM306に記憶された制御プログラムを制御部305が実行することにより実現される。RAM307は、プログラムを実行する際のワークメモリやデータの一時保存などに利用される。
【0020】
無線LAN通信部308は、IEEE802.11シリーズに準拠する通信(Wi-Fi等)を行う。Bluetooth通信部309は、省電力無線通信であるBluetooth通信を行う。本実施形態では、Bluetooth通信部309は、近隣のセンシング装置(ウェアラブルカメラ101、心拍計104)、車載情報通信装置103と通信を行う。公衆通信部310は、3GPP(3rd Generation Partnership Project)、LTE(Long Term Evolution)等の公衆無線通信を行う。
【0021】
続いて、車載情報通信装置(IVI)103について説明する。図4は、車載情報通信装置のハードウェア構成を説明する図である。車載情報通信装置(IVI)103は、表示部401、操作部402、地図情報記憶部403、電源部404、制御部405、ROM406、RAM407、無線LAN通信部408、Bluetooth通信部409、公衆通信部410を備える。
【0022】
表示部401は、例えばLCDやLEDにより構成され、視覚で認知可能な情報の出力する機能を有し、UI、アラームなどの表示を行う。操作部402は、各種入力等を行い、装置を操作するための機能を有する。地図情報記憶部403は、例えばSDカード等の不揮発メモリ媒体により構成され、地図情報等の記憶を行う。電源部404は、装置全体を動作させるための電源電圧に、車載バッテリーの電源電圧を変換し、各ハードウェアに電力を供給する。制御部405は、一つ又は複数のCPUによって構成され、車載情報通信装置(IVI)103全体の動作を制御する。ROM406は、制御命令つまりプログラムを格納する。後述する車載情報通信装置(IVI)103の各種動作は、ROM406に記憶された制御プログラムを制御部405が実行することにより実現される。RAM407は、プログラムを実行する際のワークメモリやデータの一時保存などに利用される。
【0023】
無線LAN通信部408は、IEEE802.11シリーズに準拠する通信(Wi-Fi等)を行う。Bluetooth通信部409は、省電力無線通信であるBluetooth通信を行う。本実施形態では、Bluetooth通信部409は、近隣のスマートフォン102と通信を行う。公衆通信部410は、3GPP、LTE等の公衆無線通信を行う。
【0024】
続いて、心拍計104について説明する。図5は、装着型の心拍計104のハードウェア構成を説明する図である。心拍計104は、表示部501、操作部502、計測データ記憶部503、電源部504、血流センサー部505、制御部506、ROM507、RAM508、脈拍センサー部509、Bluetooth通信部510を備える。
【0025】
表示部501は、例えばLCD等により構成され、視覚で認知可能な情報の出力する機能を有し、UI、アラーム、画像の表示などの表示を行う。操作部502は、各種入力等を行い、装置を操作するための機能を有する。計測データ記憶部503は、例えば内蔵EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の不揮発メモリ媒体により構成され、計測データ履歴等の記憶を行う。電源部504は、装置全体を動作させるための電源(バッテリー等)を保持し、各ハードウェアに電力を供給する。
【0026】
血流センサー部505は、例えば光電素子を用いたセンサーにより構成され、装着箇所近辺の血管の血流を測定する。制御部506は、一つ又は複数のCPUによって構成され、心拍計104全体の動作を制御する。ROM507は、制御命令つまりプログラムを格納する。後述する心拍計104の各種動作は、ROM507に記憶された制御プログラムを制御部506が実行することにより実現される。RAM508は、プログラムを実行する際のワークメモリやデータの一時保存などに利用される。脈拍センサー部509は、圧電素子を用いたセンサーにより構成され、装着箇所近辺の血管の脈動を測定する。Bluetooth通信部210は、省電力無線通信であるBluetooth通信を行う。
【0027】
次に、スマートフォン102が自身の能力(Capability)を通知するために送信するアドバタイズパケットについて説明する。図11は、スマートフォン102が送信するアドバタイズパケット1100のデータ構成例を示す。アドバタイズパケット1100は、Lengthフィールド1101、AD(Advertising Data) Typeフィールド1102、AD Dataフィールド1103から構成される。Lengthフィールド1101は、パケットの有効データ長を通知するためのフィールドである。AD Typeフィールドは、アドバタイズパケット1100を用いて通知する情報の種別を指定するためのフィールドである。AD Dataフィールドは、通知対象のデータを格納するためのフィールドである。
【0028】
本実施形態では、アドバタイズパケット1100を、スマートフォン102のサポートするサービスを車載情報通信装置103へ通知する目的で利用することを想定する。よって、一例として、AD Typeフィールド1102には、“GAP (Generic Access Profile)Access Profile”を示す値が設定される。また、AD Dataフィールド1103内の“Organization ID”フィールド1104には、以降のフィールドの情報要素(1105、1106、1107)の規定を行う“Automotive Organization”を示す値が格納される。
【0029】
続いて、図7図12を参照して、スマートフォン102と、ウェアラブルカメラ101と心拍計104を装着中の運転手(以下、ユーザ)が、車載情報通信装置103を搭載する車に乗る際の処理に関して説明する。
【0030】
図7は、本実施形態におけるセンシング情報収集システムのデータフローを示す模式図である。モバイル情報通信装置としてのスマートフォン102は、センシング装置としてのウェアラブルカメラ101と、Bluetooth通信路を介して接続する。そして、スマートフォン102はカメラリモートコントロールサービス(Camera Remote Service711、712)を提供している。また、スマートフォン102は、センシング装置としての心拍計104と、Bluetooth通信路を介して接続し、ヘルスケア情報ロギングサービス(以下、ヘルスケアサービス)(Health Care Service721、722)を提供している。ここで、車載情報通信装置103は、ユーザが装着中の心拍計104からバイタル情報を収集するためのヘルスケアサービスを必要としているものとする。また、同時に、車載情報通信装置103は、と、緊急事態発生時にユーザのウェアラブルカメラの撮影情報の上書きをプロテクトするためのカメラリモートコントロールサービスを必要としているものとする。
【0031】
ここで、Bluetooth通信路において、スマートフォン102は、セントラル装置(Bluetooth Low Energy Central700)として動作しするものとする。また、ウェアラブルカメラ101と心拍計104が、ペリフェラル装置(Bluetooth Low Energy Peripheral710、720)で動作するものとする。よって、スマートフォン102とウェアラブルカメラ101間、スマートフォン102と心拍計104間でBluetooth通信媒体を用いたピコネットが構築されている。このピコネットを利用して、スマートフォン102は、ウェアラブルカメラ101と心拍計104よりサービスデータ713、723をそれぞれ受領することができる。また、スマートフォン102では、ウェアラブルカメラ101と心拍計104より受領したサービスデータ713、723を再公開するプロキシサーバ(GATT Server [Proxy])701、702が稼働している。
【0032】
また、スマートフォン102は、Bluetooth通信路において、ペリフェラル装置として動作すること。これにより、セントラル装置(Bluetooth Low Energy Central730)として動作する車載情報通信装置103との間にもピコネットを構築することができる。すなわち、このとき、スキャッタネットが構築される。スキャッタネットが構築された場合、スマートフォン102は、プロキシサーバ701、702により、新たなセントラル装置(車載情報通信装置103)に対して、ウェアラブルカメラ101/心拍計104から収集したサービスデータの再公開が可能である。
【0033】
このように、本案実施形態においては、スマートフォン102は、スキャッタネットを構築し、プロキシサーバ701、702を稼働させる。これにより、カメラリモートコントロールサービスのよるサービスデータの提供(再公開)、及び、ヘルスケアサービスによるサービスデータの提供(再公開)を行うことが可能となる。
【0034】
なお、Bluetooth通信路において、スマートフォン102は、スレーブ通信装置(Bluetooth Slave740)として動作することができる。よって、スマートフォン102は、例えば、マスタ通信装置(Bluetooth Master750)として動作する車載情報通信装置103に対して音楽情報配信サービス(Audio Service)を提供しても良い。
【0035】
続いて、図7図8を参照して、スマートフォン102の動作について説明する。図8は、スマートフォン102がセンシング情報を収集して車載情報通信装置(IVI)103に送信する処理のフローチャートである。スマートフォン102の制御部305のCPUが、ROM306に記憶されたプログラムを実行することによって、図8の各ステップは実行される。まず、スマートフォン102は、ペリフェラル装置(Bluetooth Low Energy Peripheral720)で動作している心拍計104と、Bluetooth通信路を介したBLE接続を検知したかを判定する(S801)。BLE接続が検知された場合(S801でYes)、スマートフォン102は、SDP(Service Discovery Protocol)に従った、サービス検索処理(Service Discovery)を実施する(S802)。サービス検索処理によって、スマートフォン102は、新たに接続された心拍計104は、Health Care Serviceをサポート、稼働中であることを認識する。また、スマートフォン102は、このHealth Care Serviceは、スマートフォン102にとって新しいサービス(提供されたサービス情報に変更があった)と判定する(S803でNo)。
【0036】
次に、スマートフォン102は、スマートフォン102における代行サービス項目を更新する(S804)。そして、スマートフォン102は、認識した心拍計104の稼働中サービスであるHealth Care Serviceの情報を代理で公開可能なように、Health Care Serviceのプロキシサーバ702を起動する。続いて、スマートフォン102は、心拍計104と通常の通信処理を開始する(S805)。プロキシサーバ702の起動完了後(S806でYes)、スマートフォン102は、心拍計104より、測定データ値を取得する(S807)。S806では、プロキシサーバ702がデータ更新タイミングと判断したタイミングで、心拍計104より、測定データ値を取得してもよい(S807)。S808では、プロキシサーバ702は、公開するサービスデータ723を、取得したデータ値に更新する(S808)。これにより、公開するサービスデータ723は、心拍計104が公開した値と同一化される。なお、S806でプロキシサーバ702が起動後に、スマートフォン102がサポートサービス通知用に送信するアドバタイズパケット1100は、一例として以下のように設定される。すなわち、AD Dataフィールド1103内の“Control Flags”フィールド1105が、“スキャッタネット対応可”、“Proxy Server稼働中”、“追加情報要素あり”にセットされる(図11を参照)。
【0037】
続いて、スマートフォン102は、セントラル装置(Bluetooth Low Energy Central730)として動作する車載情報通信装置103との接続を検知する(S809でYes)。続いて、スマートフォン102は、Service Search要求の受信の有無を判定する(S810)。Service Search要求を受信した場合(S810でYes)、スマートフォン102は、Service Search要求に対する応答を送信する(S811)。また、スマートフォン102は、Service Search要求の受信に関係なく(S810でNo)、所定の送信タイミング毎(定期的なサポートサービス通知用のアドバタイズパケットタイミング毎)に、アドバタイズパケットを送信する(S812)。S811/S812で送信される応答/アドバタイズパケットには、サービス(ここでは、Health Care Service)を識別するための情報(例えばUUID(Universally Unique Identifier))が含まれ得る。また、S812で送信されるアドバタイズパケットには、代行中のサービスの有無やそのサービスのステータスの情報も含まれ得る。
【0038】
続いて、図8と関連付けて図9図10を参照して、本実施形態におけるセンシング情報収集システムにおける各装置の動作について説明する。図9図10は、車載情報通信装置103、スマートフォン102、心拍計104間の動作シーケンスを示す図である。図9は、車載情報通信装置103の存在をスマートフォン102が検知する場合、図10は、スマートフォン102の存在を車載情報通信装置103が検知する場合を示す。
【0039】
まず、スマートフォン102は、心拍計104との接続を検知すると、心拍計104とBLE接続を開始する(S801でYes、S901、S1001)。その後、スマートフォン102は、SDPに従って、サービス要求信号(SDP_ServiceSearch REQ())を送信することにより、サービス検索処理を実施する(S802、S902、S1002)。心拍計104は、サービス要求信号を受信したことに応じて、Health Care Serviceをサポートすること示すサービス応答信号(SDP_ServiceSearch RES(Health Care))を送信する(S903、S1003)。サービス応答信号を心拍計104から受信したスマートフォン102は、Health Care Serviceの存在を認識し(S804)、Health Care ServiceのProxy Serverを起動する(S806でYes)。続いて、スマートフォン102は、心拍計104から測定データ値を取得するために、測定データ要求信号(ATT Read REQ(HealthCare))を送信する(S904、S1004)。心拍計104は、測定データ要求信号を受信したことに応じて、測定データ値を含んだ想定データ応答信号(ATT Read RES(HealthCare))を送信する(S905、S1005)。スマートフォン102は、心拍計104から測定データ値を受け取ると(S807)、公開するサービスデータを、心拍計104から受け取った測定データ値に同一化する。具体的には、スマートフォン102は、プロキシサーバ702のAttribute値と、心拍計104のAttribute値を同一化させる。
【0040】
その後、図10の例では、スマートフォン102は、追加情報を含む(例えば、代行中のサービス(ここでは、Health Care Service)があることを示す)アドバタイズ信号を送信する(S809でNo、S812、S1006、S1007)。車載情報通信装置103は、このアドバタイズ信号を受信することにより、スマートフォン102が近傍に存在することを検知する。一方、図9では、スマートフォン102は、このアドバタイズ信号の送信は行わず、車載情報通信装置103がスキャン要求メッセージ(Scan Request)を送信する(S906、S1008)。これは、例えば、ユーザが車載情報通信装置103を搭載した車に乗る(接近した)際に、車載情報通信装置103からBluetooth通信により送信される。これにより、スマートフォン102は、近傍に車載情報通信装置103が存在することを検知する。
【0041】
スキャン要求メッセージ(S906、S1008)を受信したスマートフォン102は、スキャン応答(Scan Response)を、車載情報通信装置103へ返送する(S907、S1009)。スマートフォン102は、接続要求信号(Connect REQ)を送信することにより、車載情報通信装置103と、Bluetooth通信のスキャッタネット動作へ移行する(S909、S910、S1010、S1011)。
【0042】
スキャッタネットへの移行後、スマートフォン102は、Bluetooth通信路を介して、車載情報通信装置103からのService Search要求メッセージを受信する(S810でYes、S911、S1012)。そして、スマートフォン102は、Service Search要求メッセージへの応答メッセージを送信する(S811、S912、S1013)。当該メッセージには、自身がセントラル装置として接続中のピコネットに接続された心拍計104が提供中のヘルスケアサービス(721、722)を代理公開中である旨が示される。ここでは、例えばヘルスケアサービスを識別する情報を含んだ応答メッセージを返信する。
【0043】
図12に、ヘルスケアサービスの再公開の代理サービスをサポートする旨を示す、Bluetooth GATT プロファイルデータの構成例を示す。図12では、代理サービスの提供元デバイスのニックネームを格納する“Device Name”情報エリア1204に、スマートフォン102のニックネームと併せて心拍計104の物理アドレス(BD Address)を、併せて登録する例を示している。
【0044】
なお、スマートフォン102が自装置で提供・公開中のサービス(本実施形態では、Audio[音楽配信])を識別する情報も併せて、応答メッセージ(S912、S1013)を用いて返信してもよい(S811)。
【0045】
以上のように本実施形態によれば、モバイル通信装置を上位ピコネットのセントラル装置である車載情報通信装置などとスキャッタネット接続させることで、車載情報通信装置が下位ピコネットのセンシング装置が提供するサービスを享受できるようになる。
【0046】
(変形例)
上記実施形態においては、Bluetooth通信路の設定後に実行される、SDS(Service Discovery Service)を利用して、提供サービス情報を授受する例を示した。ここで、授受が必要なProfileデータ構成のデータ長が、SDP1パケットのデータ情報エリアのサイズ(1107)以内であるなら、Bluetooth通信路の設定後に実行される、SDPを利用してもよい。SDPを利用して、提供サービス情報を授受しても同様の効果が得られる。
【0047】
本実施形態によれば、ピコネットにおいてセントラル装置として動作中のモバイル装置(スマートフォン102)がスキャッタネットを構成時に、該モバイル装置が管理するセンシング装置群のセンシング情報を取得して代理公開することが可能となる。具体的には、モバイル装置が、上位ピコネットのセントラル装置とスキャッタネット接続する場合に、取得している下位ピコネットのペリフェラル装置から提供されるサービスを上位ピコネットのセントラル装置に公開できるようになる。本実施形態では、上位ピコネットのセントラル装置は、車載情報通信装置103であり、下位ピコネットのペリフェラル装置は、ウェアラブルカメラ101、心拍計104である。これにより、サービスを享受する装置の組合せ毎にペアリング操作を実施するというユーザの操作を必要とせず、サービスを利用するための通信を効率よく行うことが可能となる。
【0048】
なお、上記実施形態では、Bluetoothの規格に準拠する通信方式を用いた、複数のピコネット形成時を例に説明した。これに替えて、Bluetoothに替えて他の近距離無線通信方式を用いた、親局(セントラル装置)と子局(ペリフェラル装置)を有する、複数のネットワーク形成時においても、本実施形態を適用可能である。
【0049】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0050】
101 ウェアラブルカメラ、 102 スマートフォン、 103 車載情報通信装置(IVI)、 104 心拍計
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図12