特許第6966906号(P6966906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6966906
(24)【登録日】2021年10月26日
(45)【発行日】2021年11月17日
(54)【発明の名称】洗浄機
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/46 20060101AFI20211108BHJP
   A47L 15/42 20060101ALI20211108BHJP
   A47L 15/00 20060101ALI20211108BHJP
【FI】
   A47L15/46 Z
   A47L15/42 D
   A47L15/00 D
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-177783(P2017-177783)
(22)【出願日】2017年9月15日
(65)【公開番号】特開2019-51094(P2019-51094A)
(43)【公開日】2019年4月4日
【審査請求日】2020年8月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】久保田 淳
【審査官】 村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−346747(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102007006787(DE,A1)
【文献】 特開2013−066596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/46
A47L 15/42
A47L 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄室に収容された被洗浄物を洗浄する洗浄機であって、
前記被洗浄物の洗浄に用いられる洗浄水を貯留する洗浄水タンクと、
前記洗浄水タンクに貯留された前記洗浄水の汚れを検出する検出部と、
前記洗浄室内の水蒸気を凝縮して前記水蒸気の包含量が減少した空気を排出する熱交換器と、
前記熱交換器に水を噴射する洗浄部と、
前記洗浄部への前記水の供給を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記検出部によって検出された前記洗浄水の汚れに基づいて、前記洗浄部への前記水の供給を制御する、洗浄機。
【請求項2】
前記制御部は、前記検出部により検出された前記洗浄水の汚れを示す値が規定値以上である場合に、前記洗浄部に前記水を供給する、請求項1に記載の洗浄機。
【請求項3】
前記洗浄部に前記水を供給する供給バルブを備え、
前記制御部は、前記供給バルブの開閉を制御する、請求項1又は2に記載の洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の洗浄機として、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載の洗浄機は、洗浄室を有する本体部と、洗浄室内の水蒸気を凝縮して水蒸気の包含量が減少した空気を排出する熱交換器と、熱交換器を洗浄するクリーナ装置と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開102007006787号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の洗浄機では、所定時間毎にクリーナ装置を作動させて、熱交換器を洗浄する。したがって、従来の洗浄機では、熱交換器が汚れていない場合であっても、クリーナ装置による熱交換器の洗浄が行われる。そのため、従来の洗浄機では、熱交換器の洗浄が効率的に行われていない。
【0005】
本発明の一側面は、熱交換器の洗浄を効率的に行うことができる洗浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る洗浄機は、洗浄室に収容された被洗浄物を洗浄する洗浄機であって、被洗浄物の洗浄に用いられる洗浄水を貯留する洗浄水タンクと、洗浄水タンクに貯留された洗浄水の汚れを検出する検出部と、洗浄室内の水蒸気を凝縮して水蒸気の包含量が減少した空気を排出する熱交換器と、熱交換器に水を噴射する洗浄部と、洗浄部への水の供給を制御する制御部と、を備え、制御部は、検出部によって検出された洗浄水の汚れに基づいて、洗浄部への水の供給を制御する。
【0007】
本発明の一側面に係る洗浄機では、制御部は、検出部によって検出された洗浄水の汚れに基づいて、洗浄部への水の供給を制御する。熱交換器には、洗浄室で発生した水蒸気が付着する。例えば、被洗浄物に油が付着している場合、被洗浄物に噴射された洗浄水から発生する水蒸気にも油分が含まれ得る。そのため、洗浄水が汚れている場合には、熱交換器も汚れている可能性が高い。そこで、洗浄機では、洗浄水の汚れに基づいて洗浄部への水の供給を制御する。これにより、洗浄機では、熱交換器が汚れている場合に、洗浄部から水を供給して熱交換器の洗浄を行うことができる。そのため、洗浄機では、熱交換器の洗浄を無駄に行うことがない。したがって、洗浄機では、熱交換器の洗浄を効率的に行うことができる。
【0008】
一実施形態においては、制御部は、検出部により検出された洗浄水の汚れを示す値が規定値以上である場合に、洗浄部に水を供給してもよい。この構成では、洗浄水タンク内の洗浄水が汚れている場合に、熱交換器の洗浄を行う。したがって、熱交換器に汚れが発生している適切なタイミングで、熱交換器の洗浄を行うことができる。
【0009】
一実施形態においては、洗浄部に水を供給する供給バルブを備え、制御部は、供給バルブの開閉を制御してもよい。この構成では、洗浄部への水の供給を精度良く制御できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一側面では、熱交換器の洗浄を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、一実施形態に係る食器洗浄機の斜視図である。
図2図2は、一実施形態に係る食器洗浄機の概略構成を示す断面図である。
図3図3は、食器洗浄機の内部構成を示す側面図である。
図4図4は、食器洗浄機の断面構成を示す図である。
図5図5は、熱交換ユニットを示す斜視図である。
図6図6は、熱交換ユニットの内部構成を示す背面図である。
図7図7は、ドアが開いた状態での食器洗浄機の内部構成を示す側面図である。
図8図8は、食器洗浄機の断面構成を示す図である。
図9図9は、食器洗浄機の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。以下の説明においては、図1で規定する方向(上下方向、前後方向、左右方向(幅方向))を説明に用いる。
【0013】
図1及び図2に示されるように、食器洗浄機1は、ステンレス製のパネルで覆われた洗浄機本体(本体部)2を有している。洗浄機本体2は、洗浄室3が形成された上側部分2Aと、機械室4が形成された下側部分2Bとに仕切られている。洗浄機本体2の背面側におけるコーナ部には、上側部分2Aと下側部分2Bとに渡って上下方向に延びる支柱6が配置され、支柱6,6間には背面パネル(一側部)5が配置されている。
【0014】
洗浄機本体2の上側部分2Aには、洗浄室3の開閉を行うための箱型のドア7が設けられている。このドア7は、ステンレス製の一対の支柱6,6により上下動自在に案内されると共に、前方において水平方向に延在するハンドル8Aによって上下動する。このハンドル8Aの両端には左右一対の回動アーム8B,8Bの先端が固定され、回動アーム8B,8Bはドア7の側面7Aに沿って斜めに配置されている。回動アーム8B,8Bには、ドア7の側面7Aに沿って配置されたリンク部8Cの一端が回動自在に連結され、リンク部8Cの他端は、軸ピン8Dを介してドア7に連結されており、ハンドル8Aの回動運動に対してドア7が上下運動可能となっている。洗浄機本体2の底面の四隅には脚部9が取り付けられている。
【0015】
図4に示されるように、ドア7の天井面7sには、シール部42が設けられている。シール部42は、ドア7の天井面7sにおいて、後部に配置されている。シール部42は、天井面7sから下方に突出している。シール部42は、洗浄機本体2の幅方向に沿って延在している。背面パネル5には、シール部44が設けられている。シール部44は、背面パネル5の上部に配置されている。シール部44は、背面パネル5から前方に突出している。シール部44の先端部は、シール部42の下端部に近接して位置する。シール部44は、洗浄機本体2の幅方向に沿って延在している。洗浄機本体2では、シール部42とシール部44とにより、ドア7の閉状態において、洗浄室3内の水蒸気がドア7と背面パネル5との間から外部に漏れることを抑制している。
【0016】
図2に示されるように、洗浄室3内には、ラックレール11が着脱自在に配置されており、このラックレール11上に、飲食後の皿や茶碗等の食器(被洗浄物)が並べられた格子状の食器ラックが載置される。洗浄室3の上部には、放射状に延びる3本のアームからなる上側洗浄ノズル12Aと、2本のアームからなる上側すすぎノズル13Aとがそれぞれ回転自在に配置されている。同様に、洗浄室3の下部には、放射状に延びる3本のアームからなる下側洗浄ノズル12Bと、2本のアームからなる下側すすぎノズル13Bとがそれぞれ回転自在に配置されている。食器ラックに並べられた食器は、上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bによって上下から洗浄水が噴射され、すすぎノズル13A,13Bによって上下からすすぎ水が噴射される。
【0017】
洗浄室3の底部には、機械室4内に突出するように洗浄水タンク15が設けられている。洗浄室3と洗浄水タンク15との間には、フィルタ18が着脱自在に配置されている。洗浄水タンク15には、汚れセンサ(検出部)40が設けられている。汚れセンサ40は、洗浄水タンク15内の洗浄水の汚れを検出する。汚れセンサ40は、例えば、投光部と、受光部と、を含む。この構成では、汚れセンサ40は、洗浄水の透過率を検出する。汚れセンサ40では、投光部は、洗浄水に光を照射し、受光部は、洗浄水を透過した光を受光する。洗浄水が汚れている場合、受光部の受光強度が低くなる。汚れセンサ40は、受光部の受光強度を示す検出信号を後述するコントローラ50に出力する。なお、汚れセンサ40は、洗浄水の電気の通りやすさを検出するセンサであってもよい。汚れセンサ40は、濁度計であってもよい。
【0018】
洗浄水タンク15の前壁には、洗浄水吸込口を介して洗浄ポンプ23が接続されている。洗浄ポンプ23の吐出口には洗浄水吐出管21が接続されている。洗浄水吐出管21は、第1洗浄水吐出管21Aと第2洗浄水吐出管21Bとに分岐して、第1洗浄水吐出管21Aは上側洗浄ノズル12Aに接続され、第2洗浄水吐出管21Bは下側洗浄ノズル12Bに接続されている。
【0019】
機械室4内には、外部から給水管(図示せず)を介してすすぎ水が供給されるすすぎ水タンク25が配置されている。すすぎ水タンク25には、すすぎ水吸込管29を介してすすぎポンプ27が接続されている。すすぎポンプ27の吐出口にはすすぎ水吐出管31が接続されている。すすぎ水吐出管31は、第1すすぎ水吐出管31Aと第2すすぎ水吐出管31Bとに分岐して、第1すすぎ水吐出管31Aは上側すすぎノズル13Aに接続され、第2すすぎ水吐出管31Bは下側すすぎノズル13Bに接続されている。第1すすぎ水吐出管31Aは、第1洗浄水吐出管21A内に配置されている。すなわち、第1洗浄水吐出管21A及び第1すすぎ水吐出管31Aは、二重管構造を成している。
【0020】
機械室4内には、食器洗浄機1の動作全般を制御するコントローラ(制御部)50が内蔵された電装ボックス(図示せず)などが収容されている。コントローラ50は、後述する熱交換ユニット60の洗浄ノズル66への水の供給を制御する。具体的には、コントローラ50は、汚れセンサ40から出力された検出信号に基づいて、洗浄ノズル66に水を供給する給水管66aに設けられた供給バルブ66bの開閉を制御する。
【0021】
コントローラ50は、汚れセンサ40により検出された洗浄水の汚れを示す値が規定値以上である場合に、洗浄ノズル66に水を供給する。本実施形態では、汚れセンサ40の検出信号が示す受光強度の値が閾値以下である場合、洗浄水の汚れを示す値が規定値以上であると判断する。コントローラ50は、汚れセンサ40の検出信号が示す受光強度の値が閾値以下である場合には、供給バルブ66bを開ける。すなわち、コントローラ50は、洗浄水が汚れて洗浄水の透過率が低くなった場合には、供給バルブ66bを開ける。規定値及び閾値は、試験、実験に基づいて適宜設定される。コントローラ50が供給バルブ66bを開けると、給水管66aを介して洗浄ノズル66に水が供給され、洗浄ノズル66から熱交換器64に対して水が噴射される。
【0022】
図3に示されるように、洗浄機本体2は、洗浄室3内の水蒸気を排気する排気口2Hを有する。排気口2Hは、背面パネル5を厚み方向(前後方向)に貫通して形成されている。排気口2Hは、洗浄機本体2の背面パネル5の上端部に配置されている。具体的には、排気口2Hは、シール部44よりも下方に配置されている。排気口2Hは、洗浄機本体2の幅方向に沿って延在している。
【0023】
図4に示されるように、洗浄機本体2は、カバー70を有している。カバー70は、排気口2Hの正面から見て、排気口2Hの少なくとも一部と重なる位置に配置されている。本実施形態では、正面から見るとは、洗浄機本体2の前方から見る(前後方向に沿って見る)ことを意味する。カバー70は、第1傾斜部72と、第2傾斜部74と、を有している。カバー70は、断面が略V字形状を呈している。第1傾斜部72及び第2傾斜部74は、板部材である。第1傾斜部72と第2傾斜部74とは、一体に形成されている。
【0024】
第1傾斜部72は、背面パネル5に取り付けられている。具体的には、第1傾斜部72の基端部は、排気口2Hが設けられた背面パネル5において、排気口2Hの下部に取り付けられている。第1傾斜部72は、基端部よりも第2傾斜部74に連結される先端部(他端部)が下方となるように傾斜している。第2傾斜部74は、第1傾斜部72の先端部に連結されている。第2傾斜部74は、排気口2Hに対して傾斜している。具体的には、第2傾斜部74は、上端部が下端部よりも排気口2Hから離間するように(排気口2Hとの間隔が大きくなるように)傾斜している。第2傾斜部74は、排気口2Hの正面側から見て、排気口2Hの少なくとも一部と重なっている。
【0025】
カバー70には、第1傾斜部72と第2傾斜部74との連結部76に、貫通穴78が設けられている。すなわち、貫通穴78は、カバー70の最下位置に設けられている。貫通穴78は、連結部76を厚み方向に貫通して形成されている。貫通穴78は、カバー70の長手方向において、所定の間隔をあけて複数設けられている。なお、貫通穴78は、カバー70の長手方向に沿って延在する長穴であってもよい。
【0026】
図1及び図3に示されるように、食器洗浄機1は、熱交換ユニット60を備えている。熱交換ユニット60は、筐体62と、熱交換器64と、洗浄ノズル(洗浄部)66と、排気ファン68と、を有している。熱交換ユニット60は、洗浄機本体2の洗浄室3から排出された水蒸気を凝縮して、水蒸気の包含量が減少した空気を外部に排出する。熱交換ユニット60では、水蒸気(空気)の流通する経路において、上流側から、熱交換器64、洗浄ノズル66及び排気ファン68がこの順番で配置されている。
【0027】
筐体62は、熱交換器64、洗浄ノズル66及び排気ファン68を収容する。筐体62は、箱状の部材である。筐体62は、洗浄室3から排気された水蒸気を流通させると共に、熱交換器64により熱交換された水蒸気の包含量が減少した空気を流通させる流路(ダクト)を構成している。筐体62は、洗浄機本体2の背面パネル5に固定されている。具体的には、筐体62の下端部に設けられたブラケット62a,62b(図5参照)が、洗浄機本体2の背面パネル5の上端部に固定されている。筐体62は、洗浄機本体2の背面側において、上下方向に延在している。
【0028】
図5に示されるように、筐体62は、吸気口63aと、排出口63b(図3参照)と、を有する。吸気口63aは、水蒸気を筐体62内に取り入れる。吸気口63aは、筐体62の下部に設けられている。洗浄機本体2の背面パネル5に設けられた排気口2Hに接続されている。これにより、洗浄機本体2の洗浄室3と筐体62とは、連通している。
【0029】
排出口63bは、水蒸気の包含量が減少した空気を外部に排出する。排出口63bは、筐体62の上部に設けられている。排出口63bは、吸気口63aと連通している。排出口63bには、グリル61(図1及び図3参照)が配置されている。グリル61によって、排気ファン68が覆われるため、作業者等が排気ファン68に接触すること防止できる。
【0030】
筐体62は、前壁(冷却面)62sを有する。前壁62sは、筐体62を構成する一側面であり、筐体62の前方に位置する。図7に示されるように、前壁62sは、ドア7が開いたときに、ドア7の後部の開口が臨む面である。前壁62sは、熱伝導性を有する。本実施形態では、前壁62sは、熱交換器64と近接又は接触している。これにより、熱交換器64に水が供給されて熱交換器64が冷却された場合、前壁62sも冷却される。前壁62sは、少なくとも、ドア7が開けられたときに水蒸気よりも温度の低い温度とされる。そのため、本実施形態では、ドア7が開けられるときには、熱交換器64に水が供給されている。前壁62sは、ドア7の開口から放出された水蒸気と接触し、水蒸気を凝縮する。これにより、水蒸気は、結露して水(水滴)となる。
【0031】
図8に示されるように、前壁62sの下端部は、シール部44の上方に位置する。これにより、前壁62sで発生した水は、前壁62sを伝って下方に流れ、前壁62sからシール部44に落下する。シール部44に落下した水は、シール部44の傾斜に沿って流れ、洗浄室3に排出される。すなわち、前壁62s及びシール部44は、前壁62sにおいて発生した水を洗浄室3に排出する排出経路を構成している。
【0032】
熱交換器64は、フィン及流路管(いずれも図示せず)等を有している。図6に示されるように、流路管の一端には、給水管64aが接続されている。給水管64aは、流路管に水を供給する。給水管64aには、図示しない水道等の水源から水が供給される。流路管の他端には、排水管64bが接続されている。排水管64bは、流路管を通過した水を排出する。排水管64bは、すすぎ水タンク25に接続されている。すなわち、熱交換器64の流路管を流通した水は、すすぎ水タンク25に排出される。熱交換器64は、筐体62内を流通する水蒸気と接触する。熱交換器64は、流路管を流通する水と水蒸気との間で熱交換を行う。
【0033】
洗浄ノズル66は、筐体62において、熱交換器64よりも水蒸気(空気)の下流側(熱交換器64の上部)に配置されている。洗浄ノズル66には、給水管66aが接続されている。給水管66aは、給水管64aと同じ水源に接続されている。或いは、給水管66aには、すすぎ水タンク25から水が供給される。給水管66aには、洗浄ノズル66に水を供給する供給バルブ66bが設けられている。供給バルブ66bは、コントローラ50によって開閉が制御される。供給バルブ66bの開かれることにより、給水管66aを介して洗浄ノズル66に水が供給される。これにより、洗浄ノズル66は、熱交換器64に対して水を噴射する。そのため、熱交換器64及び熱交換器64に至る水蒸気の流路を洗浄することができる。洗浄ノズル66から噴射された水は、筐体62の吸気口63a及び洗浄機本体2の排気口2Hを介して洗浄機本体2の洗浄室3に排出される。
【0034】
排気ファン68は、筐体62において、水蒸気(空気)の流通経路の下流部に配置されている。排気ファン68は、筐体62の排出口63b近傍に配置されている。具体的には、排気ファン68は、筐体62の上端部に配置され、前方に突出したダクト部62cに配置されている。本実施形態では、排気ファン68は、4個設けられている。排気ファン68は、幅方向に沿って並んで配置されている。排気ファン68は、ブラケット69に取り付けられている。排気ファン68の数は、適宜設定される。
【0035】
続いて、食器洗浄機1の動作について、図9を参照して説明する。最初に、食器洗浄機1は、電源スイッチがONされると、貯湯タンク28内の温水をすすぎポンプ34によって洗浄室3へ噴射することにより、洗浄水タンク15内へ温水が供給される。貯湯タンク28内の温水の温度は、例えば、80℃前後に設定されている。これにより初期給湯が行われる。そして、初期給湯量に合った量の洗剤が洗浄水タンク15内へ供給されて、洗浄水タンク15内の洗浄水の洗剤濃度が所定濃度となる。
【0036】
初期給湯後、ユーザが食器をラッキングして、ドア7を閉めると、ドアスイッチ(図示せず)により、ドアが閉められたことが検知されると共に、運転開始信号がコントローラ50へ入力される。運転開始信号がコントローラ50へ入力されると、食器の洗浄が開始される(ステップS01)。食器の洗浄は、洗浄水タンク15内の洗浄水を洗浄室3内の食器に向けて噴射することにより行われる。洗浄水タンク15内の洗浄水の温度は、例えば、60℃〜70℃となるように設定されている。
【0037】
洗浄ポンプ23が始動することにより、洗浄水タンク15内に貯留された洗浄水は、洗浄水吐出管24などを介して上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bに圧送されて、上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bから洗浄室3内の食器に向けて噴射される。このとき、上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bは噴射力の反力によって回転し続けるため、洗浄水が食器に満遍なく当てられて、食器の汚れが効率良く洗い落とされる。
【0038】
この洗浄室3内に噴射された洗浄水は、食器から洗い落とされた残菜などがフィルタ18によって取り除かれつつ洗浄水タンク15内に回収される。洗浄水タンク15内に回収された洗浄水は、洗浄ポンプ23により再び洗浄室3内に循環供給される。洗浄水による食器の洗浄が所定時間行われると、洗浄ポンプ23の作動を停止する。これにより、食器洗浄機1の動作が一時的に休止する(ステップS02)。
【0039】
次に、すすぎポンプ34が始動することにより、貯湯タンク28内に貯留されたすすぎ水は、すすぎ水吐出管36などを介して上側及び下側すすぎノズル13A,13Bに圧送されて、各すすぎノズル13A,13Bから食器に向けて噴射される(ステップS03)。貯湯タンク28から圧送されるすすぎ水の温度は、例えば、80℃前後に設定されている。このとき、各すすぎノズル13A,13Bもまた、噴射力の反力によって回転し続けるため、すすぎ水が食器に満遍なく当てられて、食器のすすぎが効率良く行われる。
【0040】
この食器に噴射されたすすぎ水は、フィルタ18を介して洗浄水タンク15内に回収されて洗浄水と混ざり合い、次回の洗浄工程における洗浄水として使用される。洗浄室3内にすすぎ水が噴射されて洗浄水タンク15内に回収されると、一定水位を超える余剰な洗浄水は、オーバーフロー管(図示省略)から外部に排出される。
【0041】
上側すすぎノズル13A及び下側すすぎノズル13Bから食器にすすぎ水が噴射されると、洗浄室3内に水蒸気が発生する。本実施形態の食器洗浄機1では、すすぎ工程が開始されると排気ファン68が作動を開始し、洗浄室3内で発生した水蒸気が排気ファン68によって排出される(ステップS04)。なお、排気ファン68の作動開始タイミングは、このタイミングに限定されず、上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bから水が噴射される洗浄工程S01から開始されてもよい。
【0042】
排気ファン68によって洗浄室3から水蒸気が排出されると、水蒸気は、排気口2Hを介して熱交換ユニット60の熱交換器64に送り出される。水蒸気は、熱交換器64が配置された流路を流通する。熱交換器64では、流路を流通する「水蒸気」と、熱交換器64を流通する「水」との間で熱交換が行われる。
【0043】
排気ファン68の作動により洗浄室3内の水蒸気の回収が所定の時間行われると、排気ファン68の作動が停止される。排気ファン68の作動が停止されると、熱交換器64への水蒸気の流通が停止する。このとき、洗浄室3内には、水蒸気(湯気)がほとんど存在していない。
【0044】
続いて、洗浄水が汚れているか否かを判断する(ステップS05)。コントローラ50は、汚れセンサ40により検出された洗浄水の汚れを示す値が規定値以上であるか否かを判断する。本実施形態では、コントローラ50は、汚れセンサ40から出力された受光強度を示す値が閾値以下であるか否かを判断する。受光強度を示す値が閾値よりも大きい場合には、処理を終了する。受光強度を示す値が閾値以下である場合には、給水管66aの供給バルブ66bが開放される。これにより、洗浄ノズル66から熱交換器64に対して水が噴射される(ステップS06)熱交換器64の洗浄が所定の時間行われると、供給バルブ66bが閉められる。熱交換器64を洗浄した水は、排気口2Hを介して洗浄室3に排出される。洗浄室3に排出された水は、洗浄水タンク15に貯留される。
【0045】
熱交換器64の洗浄が終了すると、洗浄水タンク15に貯留された洗浄水が全て排出(全排水)される(ステップS07)。全排水は、運転が繰り返し行われることにより次第に汚れていく洗浄水タンク15内の洗浄水を清浄な洗浄水に置き換えることを目的として実施される。全排水が終了すると、上述のように、初期給湯が行われる(ステップS08)。すなわち、貯湯タンク28内の温水をすすぎポンプ34によって洗浄室3へ噴射することにより、洗浄水タンク15内へ温水を供給する。以上により、食器洗浄機1の動作が終了する。食器洗浄機1は、上記動作が終了すると、洗浄受付待機状態となる。
【0046】
続いて、本実施形態の食器洗浄機1の作用効果について説明する。食器洗浄機1では、コントローラ50は、汚れセンサ40によって検出された洗浄水の汚れに基づいて、洗浄ノズル66への水の供給を制御する。熱交換器64には、洗浄室3で発生した水蒸気が付着する。例えば、食器に油が付着している場合、食器に噴射された洗浄水から発生する水蒸気にも油分が含まれ得る。そのため、洗浄水が汚れている場合には、熱交換器64も汚れている可能性が高い。そこで、食器洗浄機1では、洗浄水の汚れに基づいて洗浄ノズルへの水の供給を制御する。これにより、食器洗浄機1では、熱交換器64が汚れている場合に、洗浄ノズル66から水を供給して熱交換器64の洗浄を行うことができる。そのため、食器洗浄機1では、熱交換器64の洗浄を無駄に行うことがない。したがって、食器洗浄機1では、熱交換器64の洗浄を効率的に行うことができる。
【0047】
本実施形態では、洗浄ノズル66から水を噴射して熱交換器64を洗浄した後に、洗浄水タンク15の全排水を行う。これにより、食器洗浄機1では、熱交換器64を洗浄した水を含む洗浄水によって食器を洗浄することがない。したがって、食器を汚れた洗浄水で洗浄することを回避できる。
【0048】
本実施形態では、コントローラ50は、汚れセンサ40により検出された洗浄水の汚れを示す値が規定値以上である場合に、洗浄ノズル66に水を供給する。本実施形態では、汚れセンサ40から出力された受光強度を示す値が閾値以下である場合に、汚れセンサ40により検出された洗浄水の汚れを示す値が規定値以上であると判断する。この構成では、洗浄水タンク15内の洗浄水が汚れている場合に、熱交換器64の洗浄を行う。したがって、熱交換器64に汚れが発生している適切なタイミングで、熱交換器64の洗浄を行うことができる。
【0049】
本実施形態に係る食器洗浄機1は、洗浄ノズル66に水を供給する供給バルブ66bを備えている。コントローラ50は、供給バルブ66bの開閉を制御する。この構成では、洗浄のずる66への水の供給を精度良く制御できる。
【0050】
本実施形態に係る食器洗浄機1では、洗浄ノズル66から噴射されて熱交換器64を洗浄した水は、洗浄室3に排出されて洗浄水タンク15に貯留される。この構成では、洗浄ノズル66から噴射された水を排出するためだけの排水経路を設ける必要がない。そのため、コストが増大することがない。
【0051】
本実施形態に係る食器洗浄機1は、上下動自在に設けられており、上下への移動により洗浄室3を開閉するドア7と、熱交換器64を収容する筐体62と、を備えている。ドア7は、洗浄室3を開ける上方に位置したときに筐体62に臨む開口を有している。筐体62は、ドア7の開口が臨む位置に配置され、少なくともドア7が開けられたときに水蒸気よりも温度の低い前壁62sを有している。この構成では、ドア7を開けたときに、洗浄室3に残留していた水蒸気がドア7の開口から排出されると、水蒸気が前壁62sに接触する。前壁62sは、水蒸気の温度よりも低い。そのため、水蒸気が前壁62sに接触すると、水蒸気が結露する。そのため、水蒸気が食器洗浄機1の外部に排出されることを抑制できる。
【0052】
本実施形態に係る食器洗浄機1は、前壁62sにおいて発生した水を洗浄室3に排出する排出経路を有している。本実施形態では、前壁62s及びシール部44により、排出経路が構成されている。この構成では、前壁62sにおいて結露により発生した水(水滴)を、洗浄室3内に排出することができる。したがって、食器洗浄機1の外部に水が排出されることを防止できる。
【0053】
本実施形態に係る食器洗浄機1では、前壁62sは、熱交換器64によって冷却される。熱交換器64は、水を流通させ、水と水蒸気との間で熱交換を行う。そのため、熱交換器64は、水蒸気よりも温度が低い。そのため、前壁62sと熱交換器64とを接触又は近接させることによって、前壁62sを冷却できる。したがって、前壁62sを冷却するための他の装置を設ける必要がないため、構成の簡易化を図れる。
【0054】
本実施形態に係る食器洗浄機1では、洗浄機本体2は、カバー70を有している。カバー70には、最下位置に貫通穴78が設けられている。これにより、洗浄ノズル66から噴射された水は、排気口2Hから排出されると、貫通穴78を介して洗浄室3に排出される。そのため、水が排気口2Hから洗浄室3内に排出されるときに、水が食器に付着することをカバー70によって抑制できる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0056】
上記実施形態では、全排水(ステップS07)の後に、初期給湯(ステップS08)を行う形態を一例に説明した。しかし、全排水の後に、すすぎを行ってもよい。すなわち、全排水の後に、すすぎポンプ34を始動させて、上側及び下側すすぎノズル13A,13Bからすすぎ水を噴射させてもよい。このとき、洗浄水タンク15から水が排出される状態としておく。これにより、全排水後の洗浄水タンク15の洗浄を行うことができる。
【0057】
上記実施形態では、熱交換器64の洗浄を行った後に、洗浄水タンク15の全排水を行う形態を一例に説明した。しかし、熱交換器64の洗浄を行うタイミングはこれに限定されない。例えば、洗浄水タンク15の全排水を排水弁の開閉、又は、排水ポンプで行う場合には、排水弁が開いたタイミング、又は、排水ポンプが作動を開始したタイミングで、熱交換器64の洗浄を開始してもよい。例えば、洗浄水タンク15の全排水をオーバーフロー管を引き抜いて行う場合には、洗浄水タンク15内の洗浄水の水位の低下を水位センサ(図示省略)が検知したタイミングで、熱交換器64の洗浄を開始してもよい。
【0058】
上記実施形態では、筐体62の一側面を構成する前壁62sが冷却面である形態を一例に説明した。しかし、冷却面は、筐体62の前面上に配置される別部材によって構成される面であってもよい。
【0059】
上記実施形態では、筐体62の前壁62sを熱交換器64によって冷却する形態を一例に説明した。しかし、前壁62sは、他の装置(例えば、ペルチェモジュール等)により冷却されてもよい。
【0060】
上記実施形態では、図9に示されるように、汚れセンサ40の受光強度を示す値が規定値以上である場合に、熱交換器64の洗浄を行い、その後、洗浄水タンク15の全排水を行う形態を一例に説明した。しかし、熱交換器64の洗浄は、洗浄水タンク15の全排水が所定回数(例えば、2、3回)行われた場合に実施するようにしてもよい。この場合、図7のフローチャートにおいて、ステップS05の工程の前に、洗浄水タンク15の全排水が規定回数以上行われたか否かの判断を行えばよい。熱交換器64は、洗浄水タンク15に貯留される洗浄水よりも汚れの進行が遅い。そのため、洗浄水タンク15の全排水が所定回数行われた場合に熱交換器64の洗浄を実施する場合であっても、熱交換器64の汚れ具合に応じた適切なタイミングで洗浄できる。
【0061】
上記実施形態では、汚れセンサ40の検出結果に基づいて、洗浄ノズル66への水の供給を制御する形態を一例に説明した。しかし、積算運転回数(運転回数とは、食器の洗浄工程及びすすぎ工程を1サイクルとしたときのサイクルの回数をいう。)が規定回数に到達した場合に、洗浄ノズル66に水を供給して、熱交換器64の洗浄を行ってもよい。運転回数が増えると、洗浄水タンク15内の洗浄水も汚れる。すなわち、運転回数と洗浄水の汚れ具合とは比例する。そのため、積算運転回数が規定回数に到達した場合に洗浄ノズル66に水を供給することにより、熱交換器64の汚れ具合に応じた適切なタイミングで洗浄できる。
【0062】
上記実施形態及び上記変形例では、ドア7が上下に開閉するタイプの食器洗浄機を例に挙げて説明したが、本願発明は、洗浄室の前壁にドアが設けられたアンダーカウンタ式の食器洗浄機、又は、食器収容するためのラックを搬送しながら洗浄を行うコンベアタイプの食器洗浄機に適用することも可能である。
【0063】
上記実施形態では、洗浄室3から水蒸気を排出する手段として排気ファン68を例に挙げたが、洗浄室3から熱交換ユニット60に水蒸気を送り出せる手段であれば、これに限定されない。
【0064】
上記実施形態では、熱交換ユニット60において、洗浄機本体2の洗浄室3から排出された水蒸気を凝縮し、水蒸気の包含量が減少した空気を外部に排出する形態に一例に説明した。しかし、水蒸気の包含量が減少した空気は、洗浄室3内に戻されてもよい。すなわち、循環式の熱交換ユニットであってもよい。
【0065】
本発明は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態、上記変形例及びその他の変形例として記載の内容を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…食器洗浄機、3…洗浄室、7…ドア、15…洗浄水タンク、40…汚れセンサ(検出部)、50…コントローラ(制御部)、62…筐体、62s…前壁(冷却面)、64…熱交換器、66…洗浄ノズル(洗浄部)、66b…供給バルブ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9