(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記映像解析部は、前記黒煙検出領域と、前記映像における所定の背景領域を認識し、前記黒煙検出領域および前記背景領域について、RGB色空間の画像をグレースケール化して白黒画像に変換し、前記変換後の前記背景領域が示す白黒輝度値よりも所定の値以下の低い輝度値を有する前記変換後の前記黒煙検出領域の画素数を算出し、
前記黒煙判定部は、前記画素数が所定の閾値以上となると黒煙が発生した判定する、
請求項2に記載の監視装置。
前記異常フレア領域よりも前記バーナー部に近い範囲を含んで設定された所定の正常フレア領域に占める前記フレアの大きさに基づいて、前記フレアの失火を検出する失火判定部、をさらに備え、
前記映像解析部は、前記フレアに対応するRGB輝度値と前記RGB輝度値の範囲を示す設定情報に基づいて、前記正常フレア領域において、前記フレアが映った領域の画素数を算出し、
前記失火判定部は、前記画素数が所定の閾値以下となると前記フレアが失火したと判定する、
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の監視装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態>
以下、本発明の一実施形態によるフレアスタックの監視システムについて
図1〜
図5を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態における監視システムの一例を示す図である。
図1に、監視システム1の構成を示す。
図1に示すように監視システム1は、カメラ10と、映像取得装置15と、映像分配装置20と、監視用モニター25と、監視装置30と、を備える。
カメラ10は、フレアや煙が放出されるフレアスタック先端のバーナー部(フレアを放散する先端部、煙突)と、その周辺の映像を撮影する。
図3にカメラ10が撮影した映像の一例を示す。カメラ10が撮影した映像を、以下フレア映像と記載する。なお、カメラ10は、動画を撮影する撮像装置であることが好ましいが、例えば、所定の時間間隔で静止画を撮影するものであってもよい。
【0020】
映像取得装置15は、カメラ10が撮影したフレア映像を取得し、そのフレア映像を映像分配装置20へ出力する。一般的に映像取得装置15は、監視用モニター25と直接接続され、監視員は、監視用モニター25に表示されたフレア映像を見てフレアスタックのバーナー部の周辺や上空を確認し、フレアが大きくないか、失火していないか、黒煙が発生していないかなどを目視により監視する。本実施形態の監視システム1では、映像取得装置15は、映像分配装置20と接続される。
【0021】
映像分配装置20は、映像の分配する機能を有している。映像分配装置20は、監視用モニター25および監視装置30と接続されている。映像分配装置20は、映像取得装置15から取得したフレア映像を監視用モニター25および監視装置30へ出力する。
監視用モニター25は、フレア映像を表示する。監視員は、監視用モニター25に表示されたフレア映像を監視する。
【0022】
監視装置30は、フレア映像を解析して、フレア映像に映るフレアの大きさの異常、フレアの失火、黒煙の発生を検出する。監視装置30は、フレアの異常等を検出すると、その検出結果を監視装置30に接続された表示装置へ表示し、監視員に通知する。次に監視装置30について詳しく説明する。
【0023】
図2は、本発明の一実施形態における監視装置の一例を示す機能ブロック図である。
監視装置30は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置を備えたPC(Personal Computer)やサーバ等のコンピュータである。図示するように監視装置30は、映像取得部31と、設定情報取得部32と、映像解析部33と、異常フレア判定部34と、失火判定部35と、黒煙判定部36と、記憶部37と、出力制御部38と、を備えている。
【0024】
映像取得部31は、フレア映像を取得する。映像取得部31は、フレア映像を映像解析部33へ出力する。
設定情報取得部32は、フレア映像を解析しフレアの異常等の検出に必要な設定情報を取得する。設定情報取得部32は、取得した設定情報を記憶部37に記録する。
【0025】
映像解析部33は、フレア映像を解析する。ここで、
図3を参照する。
図3は、本発明の一実施形態における監視装置が解析する映像の一例を示す図である。
図3にフレア映像50の一例を示す。なお、矩形の枠51〜54は、フレア映像50そのものではなく、出力制御部38がフレア映像50に加えた画像情報である。(1)例えば、映像解析部33は、フレア映像に映るバーナー部56を、バーナー部の形状に基づくパターン認識により検出する。映像解析部33は、検出したバーナー部56の所定の位置(例えば、バーナー部56の中心)を、フレア映像50における基準位置として設定する。映像解析部33は、例えば、フレア映像50の左下端を原点としたときの基準位置の座標情報を記憶部37に記録する。
【0026】
(2)また、映像解析部33は、フレア映像50における基準位置に基づく所定範囲を、正常フレア領域51、異常フレア領域52、黒煙検出領域53、背景領域54として設定する。
正常フレア領域51は、例えば、バーナー部56の一部を含んでフレア55の大きさが正常とみなせる範囲を規定する。
異常フレア領域52は、例えば、正常フレア領域51よりも基準位置から離れた領域を含んで設定される。異常フレア領域52は、フレア55が拡大したときに、その一部が届く可能性がある位置に対して設定される。例えば、異常フレア領域52は、正常フレア領域51外側の上空側に、正常フレア領域51よりも広い幅を有して設定される。監視装置30は、フレア55が拡大し、その一部が異常フレア領域52に達し、所定の割合を占めるようになると、フレア55が大きい(異常)と判定する。なお、異常フレア領域52は、図示するように正常フレア領域51を含まないように設定されても良いし、正常フレア領域51を含んで設定されてもよい。以下では、特に断りのない限り、図示するように異常フレア領域52が、正常フレア領域51を含まないように設定される場合を例に説明を行う。
【0027】
黒煙検出領域53は、例えば、異常フレア領域52よりも基準位置からさらに離れた位置を含んで設定される。黒煙検出領域53は、黒煙が発生したときに黒煙が届く可能性がある位置に対して設定される。例えば、黒煙検出領域53は、異常フレア領域52外側の上空側に、異常フレア領域52よりもさらに広い幅を有して設定される。これは、黒煙は、上空の風の影響により、広い範囲に達する可能性があり、確実に黒煙を検出するためである。監視装置30は、黒煙検出領域53に黒煙の存在を検出すると黒煙が発生したと判定する。なお、黒煙の存在を検出するために映像解析部33は、背景領域54に含まれる画素の輝度値を基準として、黒煙検出領域53内に存在する画素の輝度値が、その基準の輝度値よりも所定の値以下であれば(暗ければ)、黒煙検出領域53内に存在する当該画素が黒煙を示していると判定する。なお、黒煙検出領域53は、図示するように異常フレア領域52および正常フレア領域51を含まないように設定されても良いし、異常フレア領域52、または、異常フレア領域52および正常フレア領域51を含んで設定されてもよい。以下では、特に断りのない限り、図示するように黒煙検出領域53が、異常フレア領域52および正常フレア領域51を含まないように設定される場合を例に説明を行う。
【0028】
背景領域54は、上記したように黒煙検出のために設定される。背景領域54は、フレアや黒煙が到達しない領域に設定される。背景領域54は、例えば、バーナー部56から十分に離れ、構造物が存在しない空間の一部について設定される。
なお、正常フレア領域51、異常フレア領域52、黒煙検出領域53、背景領域54は監視員が任意に設定することができる。
【0029】
(3)また、映像解析部33は、フレアに対応するRGB輝度値(RGB色空間における赤、緑、青それぞれの256階調の値)に基づいて、フレア映像50からフレア55を検出する。フレアに対応するRGB輝度値とその範囲を規定する値は、監視員が監視装置30へ入力し、設定情報取得部32がその値を取得してもよい、あるいは、映像解析部33は、バーナー部56の周辺の画素のうちフレア55が映った画素を解析してフレアに対応するRGB輝度値を設定してもよい。
【0030】
異常フレア判定部34は、映像解析部33の解析結果に基づいて、異常フレア領域52に占めるフレア55の大きさが所定の割合以上となるとフレア55は異常フレア(フレアが大きい)と判定する。より具体的には、異常フレア判定部34は、異常フレア領域52におけるフレアに対応するRGB輝度値を有する画素数が閾値以上となるとフレア55を異常フレアと判定する。
【0031】
失火判定部35は、映像解析部33の解析結果に基づいて、正常フレア領域51に占めるフレアの大きさが所定閾値以下となるとフレア55は失火したと判定する。より具体的には、失火判定部35は、正常フレア領域51におけるフレアに対応するRGB輝度値を有する画素数が閾値以下となると失火と判定する。あるいは、失火判定部35は、カメラ10が撮影したフレア映像50に対する映像解析部33による解析結果に基づいて、フレアに対応するRGB輝度値を有する画素数が閾値以下となる状態が、連続して所定時間以上継続すると失火と判定する。
【0032】
黒煙判定部36は、映像解析部33の解析結果に基づいて、黒煙検出領域53における黒煙に対応する輝度値を有する画素数が閾値以上となると黒煙が発生した判定する。後述するように黒煙の判定には白黒間の256階調の輝度値(白黒輝度値)を用いる。
【0033】
記憶部37は、種々の情報を記憶する。例えば、記憶部37は、バーナー部56の基準位置の座標情報や、フレアに対応するRGB輝度値およびその範囲の設定情報などを記憶する。
【0034】
出力制御部38は、異常フレア判定部34、失火判定部35、黒煙判定部36による判定結果を表示したり、設定情報を入力したりするためのユーザインタフェース(例えば
図4の監視画面60)の画像を生成する。出力制御部38は、ユーザインタフェース画像を監視装置30の表示装置に出力し、表示させる。
図4に監視画面の一例を示す。
【0035】
図4は、本発明の一実施形態における監視システムの監視画面の一例を示す図である。
出力制御部38は、
図4に例示する監視画面60の画像を生成する。監視画面60は、結果表示欄61、フレア輝度表示欄62a〜62b、設定情報入力欄63a〜63f、登録ボタン64、フレア映像50を含む。
結果表示欄61には、異常フレア判定部34および失火判定部35および黒煙判定部36による判定結果が表示される。異常フレア判定部34がフレア異常を検出せず、失火判定部35が失火を検出せず、黒煙判定部36が黒煙を検出しないとき、出力制御部38は、結果表示欄61に文字データ「正常」を表示する。異常フレア判定部34がフレア異常を検出すると、出力制御部38は、例えば、文字データ「フレア異常」を表示する。失火判定部35が失火を検出すると、出力制御部38は、例えば、文字データ「失火」を表示する。黒煙判定部36が黒煙を検出すると、出力制御部38は、例えば、文字データ「黒煙発生」を表示する。また、異常フレア判定部34がフレア異常を検出し、黒煙判定部36が黒煙を検出した場合、出力制御部38は、例えば、文字データ「フレア異常および黒煙発生」を表示する。
【0036】
出力制御部38は、フレア映像50のフレア55に対応する部分の画素のRGB輝度値(例えば平均値)を、フレア輝度表示欄62a〜62bに表示する。出力制御部38は、例えば、赤輝度値をフレア輝度表示欄62aに緑輝度値をフレア輝度表示欄62bに表示する。
出力制御部38は、カメラ10が撮影したフレア映像50に正常フレア領域51、異常フレア領域52、黒煙検出領域53、背景領域54それぞれの境界線を重ねた画像を表示する。
監視員は、監視用モニター25に表示されるフレア映像50に加え、結果表示欄61、フレア映像50、フレア輝度表示欄62a〜62bを見てフレアの監視を行う。なお、監視用モニター25に表示されるフレア映像50には、正常フレア領域51、異常フレア領域52、黒煙検出領域53、背景領域54を示す境界線は表示されない。
【0037】
監視員は、異常フレア判定部34がフレア異常と判定するときのしきい値、つまりフレア55が映っているとみなせる画素数の異常フレア領域52の全画素数に占める割合のしきい値を、設定情報入力欄63aに入力する。
監視員は、黒煙判定部36が、黒煙が発生したと判定するときのしきい値、つまり黒煙が映っているとみなせる画素数の黒煙検出領域53の全画素数に占める割合のしきい値を、設定情報入力欄63bに入力する。
【0038】
監視員は、映像解析部33が、フレア映像50からフレア55を検出するときに用いるときのしきい値を、設定情報入力欄63c〜63eに入力する。監視員は、例えば、設定情報入力欄63cには、フレア55のRGB輝度値のうち、赤(R)輝度値のしきい値を入力し、設定情報入力欄63dには、フレア55のRGB輝度値のうち、緑(G)輝度値のしきい値を入力する。監視員は、設定情報入力欄63eには、設定情報入力欄63c、63dに入力したしきい値の輝度幅を入力する。これらの入力より、映像解析部33は、設定情報入力欄63cに入力された値を中心として設定情報入力欄63eに入力した値を許容範囲とする赤輝度値と、設定情報入力欄63dに入力された値を中心として設定情報入力欄63eに入力した値を許容範囲とする緑輝度値と、を有する画素をフレア55と認識する。
【0039】
監視員は、映像解析部33が、フレア映像50における黒煙を検出するときに用いる値を設定情報入力欄63fに入力する。映像解析部33は、背景領域54内の画像をRGB色空間の画像(RGB画像)をグレースケール化して白黒画像に変換した後の輝度値から設定情報入力欄63fに入力された値を減算した値以下の輝度値を有する黒煙検出領域53内の画素(グレースケール化後の画素)を黒煙が映った画素であると認識する。
【0040】
監視員が、登録ボタン64を押下すると、設定情報取得部32が、設定情報入力欄63c〜63fに入力された値を記憶部37に記録する。映像解析部33は、記憶部37に記録された各設定情報に基づいて、フレア映像50の解析を行う。
【0041】
次に監視装置30における処理の流れについて説明する。
図5は、本発明の一実施形態における監視装置の処理の一例を示すフローチャートである。カメラ10は、フレアスタックのバーナー部周辺の映像を継続的に撮影しており、その映像を映像取得装置15へ出力している。また、監視装置30では、映像取得部31が映像分配装置20を介して、フレア映像を取得する。
【0042】
まず、監視員が、フレア映像50における正常フレア領域51、異常フレア領域52、黒煙検出領域53、背景領域54の位置関係を設定する(ステップS11)。例えば、監視員は、バーナー部と正常フレア領域51の位置関係を規定する情報(例えば、正常フレア領域51の各辺の長さや、バーナー部の所定位置から各辺の距離など)を監視装置30へ入力する。あるいは、監視装置30のディスプレイに表示された
図3、
図4に例示するフレア映像50の画像に対して、監視員が直接、正常フレア領域51の範囲を指定するような操作(例えば、画像上、正常フレア領域51を示す矩形の枠をマウス等の入力手段を用いて指定する等)を行って位置関係の設定を行ってもよい。他の異常フレア領域52、黒煙検出領域53、背景領域54についても同様である。設定情報取得部32は、これらの情報を取得し、記憶部37に記録する。
【0043】
次に映像解析部33が、記憶部37に記録された正常フレア領域51、異常フレア領域52、黒煙検出領域53、背景領域54の位置関係を規定する情報に基づいて、フレア映像50に対して各監視用エリア(正常フレア領域51、異常フレア領域52、黒煙検出領域53、背景領域54)を設定する(ステップS12)。映像解析部33は、フレア映像50におけるバーナー部56の位置をパターン認識処理により認識し、バーナー部56の所定位置を基準点として設定する。具体的には、まず、映像解析部33は、基準点と各監視用エリアとの位置関係を算出し、正常フレア領域51、異常フレア領域52、黒煙検出領域53、背景領域54の各エリアを設定する。そして、出力制御部38は、カメラ10が撮影したフレア映像50に正常フレア領域51、異常フレア領域52、黒煙検出領域53、背景領域54それぞれの境界線を重ねた画像を所定の位置に表示した
図4で例示したような監視画面60の画像を生成し、ディスプレイに表示する。
【0044】
次に監視員は、
図4で例示した監視画面60の各設定情報を入力する。設定情報取得部は、入力された各設定情報を記憶部37に記録する。映像解析部33が、記憶部37に記録された各設定情報を、フレア映像50の解析に用いるしきい値として設定する(ステップS13)。次に監視員は、監視を開始する(ステップS14)。まず、映像解析部33は、フレア映像50のバーナー部を認識し、必要に応じて基準点や各監視用エリア(正常フレア領域51、異常フレア領域52、黒煙検出領域53、背景領域54)を再設定する(ステップS15)。この処理は、監視員の操作によりカメラ10の撮影方向が変更され、その後、再度、フレアスタックの方向へ調整されたり、何らかの外的要因によってカメラ10の撮影方向がずれたりすることがある。その場合、各監視用エリアは、前回の基準点に対し設定されたものなので、現在の基準点との間では適切な位置関係にない可能性がある。ステップS15の処理は、それを是正し、カメラ10が撮影するフレア映像50における監視エリアの範囲を調整する目的で行う。
【0045】
次に映像解析部33は、フレア映像50について解析処理を行う(ステップS16)。例えば、映像解析部33は、正常フレア領域51におけるフレア55が映った画素を、設定情報入力欄63c〜63eに入力されたしきい値(例えば、赤輝度しきい値:243、緑輝度しきい値:152、輝度幅:30)に基づいて検出する。映像解析部33は、正常フレア領域51におけるフレア55が映った画素数(フレア画素数(正常))を失火判定部35へ出力する。
また、映像解析部33は、異常フレア領域52におけるフレアが映った画素を、同様のしきい値に基づいて検出する。映像解析部33は、異常フレア領域52におけるフレアが映った画素数(フレア画素数(異常))を異常フレア判定部34へ出力する。
なお、
図4で例示した監視画面60では、赤輝度値と緑輝度値を設定する場合を例示したが、映像解析部33は、正常フレア領域51や異常フレア領域52におけるフレアが映った画素の検出にさらに青輝度値を加えて検出してもよい。また、監視画面60には、青輝度値を設定する入力欄を設けてもよい。
【0046】
また、映像解析部33は、背景領域54における複数の画素について、RGB画像をグレースケール化して白黒画像へ変換し、変換後の白黒画像における白黒輝度値の代表値(複数画素の輝度値の平均値や中央値など)を算出する。映像解析部33は、算出した白黒輝度値(256階調)の代表値から、設定情報入力欄63fに入力された値(例えば、100)を減算して黒煙と判定するための画素値のしきい値を算出する。映像解析部33は、黒煙検出領域53における全画素を、RGB画像から白黒画像へ変換する。映像解析部33は、変換後の白黒画像における黒煙検出領域53の全画素の白黒輝度値を、黒煙判定用のしきい値と比較する。映像解析部33は、黒煙判定用のしきい値より小さな輝度値を有する画素数を算出して、この画素数(黒煙画素数)を黒煙判定部36へ出力する。
【0047】
また、フレア55の検出について、映像解析部33は以下のように処理してもよい。つまり、監視員により設定されたRGB輝度値の閾値や輝度幅を用いるのではなく、正常フレア領域51の画素に基づいて、フレア55の輝度値を設定する。例えば、映像解析部33は、基準点から所定の位置関係にある画素(通常の運転状態でフレアが映っている確率が最も高い部分の画素)を、フレア55が映った画像の一部であるとみなし、当該画素のRGB輝度値を算出してフレア55のしきい値として設定してもよい。映像解析部33は、算出したRGB輝度値に任意の輝度幅を設定して、正常フレア領域51におけるフレア画素数(正常)、異常フレア領域52におけるフレア画素数(異常)を算出する。
【0048】
次に異常フレア判定部34が、フレア画素数(異常)が異常フレア判定用の閾値以上か否かを判定する(ステップS17)。異常フレア判定用の閾値とは、異常フレア領域52に含まれる全画素数に設定情報入力欄63aに入力された割合を乗じた値である。例えば、全画素数が100個で、設定情報入力欄63aに20(%)と入力された場合、異常フレア判定部34は、映像解析部33から取得したフレア画素数(異常)が20個以上かどうかを判定する。異常フレア判定用の閾値以上の場合(ステップS17;Yes)、異常フレア判定部34は、異常フレア(フレア55が大きい)と判定する(ステップS18)。異常フレア判定部34は、異常フレアが発生しているとの判定結果を出力制御部38へ出力する。
【0049】
異常フレア領域52に含まれるフレア画素数(異常)が異常フレア判定用の閾値未満の場合(ステップS17;No)、異常フレア判定部34がフレアは正常であると判定し、この判定結果を出力制御部38に出力する。そして、失火判定部35が、フレア画素数(正常)が失火判定用のしきい値以下か否かを判定する(ステップS19)。失火判定用のしきい値とは、例えば、0である。この場合、失火判定部35は、正常フレア領域にフレアとみなせるRGB輝度値を有する画素の有無を判定する。フレア画素数(正常)が失火判定用の閾値以下の場合(ステップS19;Yes)、失火判定部35は、フレア55は失火したと判定する(ステップS20)。失火判定部35は、フレア55が失火したとの判定結果を出力制御部38へ出力する。なお、失火判定用のしきい値は予め記憶部37に記録されている。
【0050】
なお、失火判定部35は、映像解析部33から取得したフレア画素数(正常)が失火判定用のしきい値以下の状態が所定の時間継続すると、あるいは、所定の回数以上連続して失火判定用のしきい値以下のフレア画素数(正常)を映像解析部33から取得すると、失火が生じたと判定してもよい。
【0051】
正常フレア領域51に含まれるフレア画素数(正常)が失火判定用の閾値を上回る場合(ステップS19;No)、失火判定部35は、失火が生じていないと判定し、この判定結果を出力制御部38に出力する。そして、黒煙判定部36は、黒煙画素数が黒煙発生判定用のしきい値以上か否かを判定する(ステップS21)。黒煙発生判定用のしきい値とは、黒煙検出領域53に含まれる全画素数に設定情報入力欄63bに入力された割合を乗じた値である。例えば、全画素数が100個で、設定情報入力欄63bに5(%)と入力された場合、黒煙判定部36は、映像解析部33から取得した黒煙画素数が5個以上かどうかを判定する。黒煙発生判定用のしきい値以上の場合(ステップS21;Yes)、黒煙判定部36は、黒煙が発生したと判定する(ステップS22)。黒煙判定部36は、黒煙が発生しているとの判定結果を出力制御部38へ出力する。
【0052】
黒煙検出領域53に含まれる黒煙画素数が黒煙発生判定用の閾値未満の場合(ステップS21;No)、黒煙判定部36が、黒煙が発生していないと判定し(ステップS23)、この判定結果を出力制御部38に出力する。
【0053】
次に出力制御部38が、各判定処理に基づく判定結果を監視画面60に反映させる。例えば、ステップS17およびステップS19およびステップS21の判定でNoの場合、出力制御部38は、文字データ「正常」を監視画面60の結果表示欄61に設定する。また、ステップS18で異常フレアと判定された場合、出力制御部38は、例えば、文字データ「フレア異常」を監視画面60の結果表示欄61に設定する。また、ステップS20で失火と判定された場合、出力制御部38は、例えば、文字データ「失火」を監視画面60の結果表示欄61に設定する。また、ステップS22で黒煙発生と判定された場合、出力制御部38は、例えば、文字データ「黒煙発生」を監視画面60の結果表示欄61に設定する。なお、ステップS18で異常フレアと判定され、さらにステップS22で黒煙発生と判定された場合、出力制御部38は、例えば、文字データ「フレア異常および黒煙発生」を監視画面60の結果表示欄61に設定する。
【0054】
また、出力制御部38は、正常フレア領域51においてフレア55が映った画素の赤輝度値をフレア輝度表示欄62a、緑輝度値をフレア輝度表示欄62bに表示する。これらの値は、例えば、映像解析部33がステップS19の判定用に算出したものを用いる。
出力制御部38は、上記の値を設定した監視画面60の画像を生成し、ディスプレイに表示する(ステップS24)。フレア55の監視を継続する場合(ステップS25;No)、ステップS15以降の処理を繰り返し、フレア55の監視を終了する場合(ステップS25;Yes)、一連の処理を終了する。なお、「フレア異常」、「失火」、「黒煙発生」等と判定されたとき、その時の時刻とフレア映像を、ログとして記憶部37に記録するようにしてもよい。
【0055】
なお、異常フレア領域52を、正常フレア領域51を含むように設定した場合、映像解析部33は、ステップS16の処理で、異常フレア領域52におけるフレアが映った領域の画素数から正常フレア領域51におけるフレアが映った領域の画素数を減算した値を、フレア画素数(異常)として、異常フレア判定部34へ出力してもよい。あるいは、異常フレア判定用のしきい値を大きな値に設定してもよい。
また、黒煙検出領域53を、異常フレア領域52を含むように設定した場合、映像解析部33は、ステップS16の処理で、黒煙検出領域53における黒煙が映った領域の画素数から異常フレア領域52における黒煙が映った領域の画素数を減算した値を、黒煙画素数として、黒煙判定部36へ出力してもよい。同様に、黒煙検出領域53を、異常フレア領域52および正常フレア領域51を含むように設定した場合、映像解析部33は、ステップS16の処理で、黒煙検出領域53における黒煙が映った領域の画素数から異常フレア領域52または正常フレア領域51における黒煙が映った領域の画素数を減算した値を、黒煙画素数として、黒煙判定部36へ出力してもよい。あるいは、黒煙判定用のしきい値を大きな値に設定してもよい。
【0056】
一般にフレアスタックでは、フレアの映像を撮影し、監視を行っている。本実施形態の監視システム1によれば、そのフレア映像を監視装置30に入力するだけで、1つのシステムでフレアの異常、失火、黒煙の発生を検出することができる。また、
図1に示す監視システム1に示すようにフレア映像を監視用モニター25に表示させて従来通りの監視を行いつつ、監視装置30が通知する「正常」、「フレア異常」、「失火」、「黒煙発生」などの検出結果を参照することができる。また、監視員は、余剰ガスの性質やフレアスタックの設置環境などに応じて、フレア異常等の判定基準となる、正常フレア領域51、異常フレア領域52、黒煙検出領域53、背景領域54の範囲や、フレアに対応する輝度値などを任意に設定することができるので、どのような設備にも適用することができる。
【0057】
監視装置30における各処理の過程は、例えば監視装置30が有するCPU等がプログラムを実行することによって実現できる。監視装置30によって実行されるプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録され、この記録媒体に記録されたプログラムを読み出して実行することによって実現してもよい。なお、監視装置30は、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、コンピュータが読み取り可能な記録媒体は、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、監視装置30に内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、コンピュータが読み取り可能な記録媒体には、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0058】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
なお、RGB輝度値とは、RGB色空間における赤(R)、緑(G)、青(B)の輝度値(0〜255)の組み合わせで表される値のことである、白黒輝度値とは、0(黒)〜255(白)の256階調で表される値のことである。