(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記放射素子群、前記第1線路群、前記第2線路群、及び、前記媒介電極を含む導体パターンは、前記媒介電極の中心を通り、前記第2軸に平行な直線に対して対称である、
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項の何れか1項に記載のアンテナ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第1のタイプのアレイアンテナにおいては、線路の片側にのみ放射素子が配置されているため、線路に直交する平面における放射パターンの対称性が低い、という問題があった。また、第2のタイプのアレイアンテナにおいては、線路の両側に放射素子が配置されているため、配置に要するスペースが増大するという問題があった。
【0006】
本発明の一態様は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、第1のタイプのアレイアンテナよりも、放射パターンの対称性が高く、かつ、第2のタイプのアレイアンテナよりも、配置に要するスペースが小さいアンテナ装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様1に係るアンテナ装置においては、第1軸及び第2軸が張る平面において前記第1軸に沿って並んだ複数の放射素子からなる放射素子群と、前記放射素子群に属し互いに隣接する2つの放射素子を接続する線路からなる第1線路群と、前記放射素子群に属し互いに隣接する2つの放射素子を接続する線路からなる第2線路群と、を備えており、前記放射素子群に属する各放射素子と、当該放射素子を前記放射素子群に属し当該放射素子に隣接する放射素子に接続する2つの線路であって、一方は前記第
1線路群に属し他方は前記第
2線路群に属する2つの線路との接続点は、前記第2軸に沿って並んでいる、構成が採用されている。
【0008】
上記の構成によれば、第1のタイプの従来のアレイアンテナよりも、放射パターンの対称性が高く、かつ、第2のタイプの従来のアレイアンテナよりも、配置に要するスペースが小さいアンテナ装置を実現することができる。
【0009】
本発明の態様2に係るアンテナ装置においては、態様1に係るアンテナ装置の構成に加えて、前記第1軸と前記第2軸とが直交している、構成が採用されている。
【0010】
上記の構成によれば、アンテナ装置の利得を高めることができる。
【0011】
本発明の態様3に係るアンテナ装置においては、態様1又は2に係るアンテナ装置の構成に加えて、前記第1線路群と前記第2線路群とは、前記放射素子群が配置される領域の中心を通り、前記第1軸に平行な直線に対して対称であり、前記第1線路群及び前記第2線路群は、それぞれ、前記中心を通り、前記第2軸に平行な直線に対して対称である、構成が採用されている。
【0012】
上記の構成によれば、偏波比及びクロストーク特性を改善することができる。
【0013】
本発明の態様4に係るアンテナ装置においては、態様1〜3の何れかに係るアンテナ装置の構成に加えて、前記放射素子群に属する各放射素子について、当該放射素子と前記第1線路群に属する線路との接続点は、当該放射素子の前記第2軸正方向側の端部に設けられており、当該放射素子と前記第2線路群に属する線路との接続点は、当該放射素子の前記第2軸負方向側の端部に設けられている、構成が採用されている。
【0014】
上記の構成によれば、アンテナ装置の利得をさらに高めることができる。
【0015】
本発明の態様5に係るアンテナ装置においては、態様1〜4の何れかに係るアンテナ装置の構成に加えて、前記放射素子群に属し互いに隣接する2つの放射素子の間に配置された媒介電極であって、前記第1線路群に属し、当該2つの放射素子を接続する線路、及び、前記第2線路群に属し、当該2つの放射素子を接続する線路に接続された媒介電極と、開口が形成されたグランド層を介して前記媒介電極と対向する入力電極と、を更に備えている、構成が採用されている。
【0016】
上記の構成によれば、放射素子が形成される面内に給電のための線路を設ける必要がない。したがって、上記の構成によれば、配置に要する更に小さいアンテナ装置を実現することができる。また、当該アンテナ装置を基板型アンテナ装置として実現する場合、給電のためのビアを基板に設ける必要がない。したがって、信頼性を損なうことなく、基板を厚くすることが可能であり、その結果、より広帯域なアンテナ装置を実現することができる。
【0017】
本発明の態様6に係るアンテナ装置においては、態様5に係るアンテナ装置の構成に加えて、前記第1線路群に属する線路のうち、前記媒介電極に接続されていない線路の電気長、及び、前記第2線路群に属する線路のうち、前記媒介電極に接続されていない線路の電気長は、それぞれ、当該アンテナ装置に入力される高周波電流の波長の整数倍に設定されており、前記第1線路群に属する線路を介して、前記媒介電極の前記第1軸正方向側の辺から、前記放射素子群の放射素子のうち、前記媒介電極の前記第1軸正方向側に隣接する放射素子の前記第1軸負方向側の辺に至る電流路の電気長と、前記第2線路群に属する線路を介して、前記媒介電極の前記第1軸正方向側の辺から、当該隣接する放射素子の前記第1軸負方向側の辺に至る電流路の電気長との差、及び、前記第1線路群に属する線路を介して、前記媒介電極の前記第1軸負方向側の辺から、前記放射素子群の放射素子のうち、前記媒介電極の前記第1軸負方向側に隣接する放射素子の前記第1軸正方向側の辺に至る電流路の電気長と、前記第2線路群に属する線路を介して、前記媒介電極の前記第1軸負方向側の辺から、当該隣接する放射素子の前記第1軸正方向側の辺に至る電流路の電気長との差が、前記波長の整数倍になるように設定されている、構成が採用されている。
【0018】
上記の構成によれば、効率的に放射素子を励振することができる。
【0019】
本発明の態様7に係るアンテナ装置においては、態様5又は6に係るアンテナ装置の構成に加えて、前記媒介電極と前記第1線路群に属する線路との接続点は、前記媒介電極の前記第2軸正方向側の端部に設けられており、前記媒介電極と前記第2線路群に属する線路との接続点は、前記媒介電極の前記第2軸負方向側の端部に設けられている、構成が採用されている。
【0020】
上記の構成によれば、さらに広帯域なアンテナ装置を実現することができる。
【0021】
本発明の態様8に係るアンテナ装置においては、態様5〜7の何れかに係るアンテナ装置の構成に加えて、前記放射素子群、前記第1線路群、前記第2線路群、及び、前記媒介電極を含む導体パターンは、前記媒介電極の中心を通り、前記第2軸に平行な直線に対して対称である、構成が採用されている。
【0022】
上記の構成によれば、放射パターンの対称性が更に高いアンテナ装置を実現することができる。
【0023】
本発明の態様9に係るアンテナ装置においては、態様1〜4の何れかに係るアンテナ装置の構成に加えて、前記放射素子群に属する放射素子の中で最も第1軸負方向側に配置された放射素子に接続された第1入力線路及び第2入力線路を更に備えており、当該放射素子と前記第1入力線路との接続点と、当該放射素子と前記第2入力線路との接続点とが、前記第2軸に沿って並んでいる、構成が採用されている。
【0024】
上記の構成によれば、当該アンテナ装置を基板型アンテナ装置として実現する場合、給電のためのビアを基板に設ける必要がない。したがって、信頼性を損なうことなく、基板を厚くすることが可能であり、その結果、より広帯域なアンテナ装置を実現することができる。
【0025】
本発明の態様10に係るアンテナ装置においては、態様9に係るアンテナ装置の構成に加えて、前記第1線路群に属する各線路の電気長、及び、前記第2線路群に属する各線路の電気長は、それぞれ、当該アンテナ装置に入力される高周波電流の波長の整数倍に設定されており、前記第1入力線路の電気長、及び、前記第2入力線路の電気長は、その差が前記波長の整数倍になるように設定されている、構成が採用されている。
【0026】
上記の構成によれば、効率的に放射素子を励振することができる。
【0027】
本発明の態様11に係るアンテナ装置においては、態様9又は10に係るアンテナ装置の構成に加えて、前記放射素子群に属する放射素子の中で最も第1軸負方向側に配置された放射素子について、当該放射素子と前記第1入力線路との接続点は、当該放射素子の前記第2軸正方向側の端部に設けられており、当該放射素子と前記第2入力線路との接続点は、当該放射素子の前記第2軸負方向側の端部に設けられている、構成が採用されている。
【0028】
上記の構成によれば、アンテナ装置の利得をさらに高めることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一態様によれば、第1のタイプの従来のアレイアンテナよりも、放射パターンの対称性が高く、かつ、第2のタイプの従来のアレイアンテナよりも、配置に要するスペースが小さいアンテナ装置を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
〔第1の実施形態〕
(アンテナ装置の構成)
本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1の構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、アンテナ装置1の構成を示す分解斜視図である。
【0032】
なお、以下の説明においては、
図1に示す直交座標系を用いる。以下の説明におけるx軸、y軸、及びz軸は、それぞれ、第1軸、第1軸と直交する第2軸、及び、第1軸と第2軸とが張る平面に直交する第3軸と言い換えることができる。また、以下の説明におけるxy平面、yz平面、及びzx平面は、それぞれ、第1軸と第2軸とが張る平面、第2軸と第3軸とが張る平面、及び第3軸と第1軸とが張る平面と言い換えることができる。ただし、第2軸は、第1軸と交差していれば良く、必ずしも第1軸と直交することを要さない。また、第3軸は、第1軸と第2軸とが張る平面と交差していれば良く、必ずしも第1軸と第2軸とが張る平面と直交することを要さない。
【0033】
アンテナ装置1は、
図1に示すように、第1導体層L1と、第1誘電体層L2と、第2導体層L3と、第2誘電体層L4と、第3導体層L5と、により構成されている。アンテナ装置1において、第1導体層L1、第1誘電体層L2、第2導体層L3、第2誘電体層L4、及び第3導体層L5は、この順に積層されている。各層の主面は、xy平面と平行であり、積層方向は、z軸と平行である。
【0034】
第1導体層L1は、給電機能を担う導体層である。本実施形態において、第1導体層L1は、連続した1枚の導体膜11により実現されている。導体膜11の材料は、例えば、銅である。ただし、導体膜11の材料は、任意であり、これに限定されない。
導体膜11は、1個の電極11aと、1本の線路11bと、として機能する。電極11aは、平面視形状が長方形状の導体パターンである。電極11aは、長辺がy軸と平行になるように、xy平面と平行な面内に配置されている。線路11bは、平面視形状が帯状の導体パターンである。線路11bは、電極11aのy軸負方向側の短辺から、xy平面と平行な面内をy軸負方向に延伸している。線路11bは、第1誘電体層L2を介して対向する第2導体層L3と共にマイクロストリップ線路を構成する。
【0035】
第1誘電体層L2は、前述した第1導体層L1と後述する第2導体層L3との間に介在する誘電体層である。本実施形態において、第1誘電体層L2は、連続した1枚の誘電体基板12により実現されている。誘電体基板12の材料は、例えば、LCP(液晶ポリマー)である。ただし、誘電体基板12の層数及び材料は、任意であり、これに限定されない。
【0036】
第2導体層L3は、グランド機能を担う導体層(特許請求の範囲における「グランド層」の一例)である。本実施形態において、第2導体層L3は、連続した1枚の導体膜13により実現されている。導体膜13の材料は、例えば、銅である。ただし、導体膜13の材料は、任意であり、これに限定されない。導体膜13には、1つの開口13aが形成されている。開口13aは、平面視形状が長方形状の開口である。開口13aは、長辺がx軸と平行になるように、かつ、z軸正方向からの平面視において前述した電極11aと交差(本実施形態では、直交)するように、xy平面と平行な面内に配置されている。
【0037】
第2誘電体層L4は、前述した第2導体層L3と後述する第3導体層L5との間に介在する誘電体層である。本実施形態において、第2誘電体層L4は、連続した1枚の誘電体基板14により実現されている。誘電体基板14の材料は、例えば、LCPである。ただし、誘電体基板14の層数及び材料は、任意であり、これに限定されない。
【0038】
第3導体層L5は、放射機能を担う導体層である。本実施形態において、第3導体層L5は、連続した1枚の導体膜15により実現されている。導体膜15の材料は、例えば、銅である。ただし、導体膜15の材料は、任意であり、これに限定されない。
【0039】
導体膜15は、1個の電極15aと、4個の放射素子15b1,15b2,15c1,15c2と、8本の線路15d1,15d2,15e1,15e2,15f1,15f2,15g1,15g2と、として機能する。
【0040】
電極15aは、長方形の導体パターンである。電極15aの長辺がy軸と平行になるように、かつ、z軸正方向からの平面視において前述した開口13aと交差(本実施形態では、直交)するように、xy平面と平行な面内に配置されている。
【0041】
4個の放射素子15b1,15b2,15c1,15c2は、それぞれ、長方形の導体パターンである。放射素子15b1は、長辺がy軸と平行になるように、xy平面と平行な面内において電極15aのx軸正方向側に配置されている。放射素子15b2は、長辺がy軸と平行になるように、xy平面と平行な面内において放射素子15b1のx軸正方向側に配置されている。放射素子15c1は、長辺がy軸と平行になるように、xy平面と平行な面内において電極15aのx軸負方向側に配置されている。放射素子15c2は、長辺がy軸と平行になるように、xy平面と平行な面内において放射素子15c1のx軸負方向側に配置されている。なお、本実施形態では、放射素子15b1,15b2,15c1,15c2の長辺がy軸と平行になる構成を採用しているが、本発明は、これに限定されない。例えば、放射素子15b1,15b2,15c1,15c2の長辺がx軸と平行になる構成を採用してもよい。
【0042】
8本の線路15d1,15d2,15e1,15e2,15f1,15f2,15g1,15g2は、それぞれ、帯状の導体パターンである。線路15d1は、電極15aのx軸正方向側の辺のy軸正方向側の端部から、xy平面と平行な面内をx軸正方向に延伸した後、放射素子15b1のx軸負方向側の辺のy軸正方向側の端部に接続される。線路15d2は、放射素子15b1のx軸正方向側の辺のy軸正方向側の端部から、xy平面と平行な面内をx軸正方向に延伸した後、放射素子15b2のx軸負方向側の辺のy軸正方向側の端部に接続される。線路15e1は、電極15aのx軸正方向側の辺のy軸負方向側の端部から、xy平面と平行な面内をx軸正方向に延伸した後、放射素子15b1のx軸負方向側の辺のy軸負方向側の端部に接続される。線路15e2は、放射素子15b1のx軸正方向側の辺のy軸負方向側の端部から、xy平面と平行な面内をx軸正方向に延伸した後、放射素子15b2のx軸負方向側の辺のy軸負方向側の端部に接続される。線路15f1は、電極15aのx軸負方向側の辺のy軸正方向側の端部から、xy平面と平行な面内をx軸負方向に延伸した後、放射素子15c1のx軸正方向側の辺のy軸正方向側の端部に接続される。線路15f2は、放射素子15c1のx軸負方向側の辺のy軸正方向側の端部から、xy平面と平行な面内をx軸負方向に延伸した後、放射素子15c2のx軸正方向側の辺のy軸正方向側の端部に接続される。線路15g1は、電極15aのx軸負方向側の辺のy軸負方向側の端部から、xy平面と平行な面内をx軸負方向に延伸した後、放射素子15c1のx軸正方向側の辺のy軸負方向側の端部に接続される。線路15g2は、放射素子15c1のx軸負方向側の辺のy軸負方向側の端部から、xy平面と平行な面内をx軸負方向に延伸した後、放射素子15c2のx軸正方向側の辺のy軸負方向側の端部に接続される。
【0043】
なお、線路15d1と線路15f1とは、2つの放射素子15b1,15c1を接続する1本の線路(以下「線路A」とも記載する)と見做すことができる。同様に、線路15e1と線路15g1とは、2つの放射素子15b1,15c1を接続する1本の線路(以下、「線路B」とも記載する)と見做すことができる。この場合、電極15aは、2つの放射素子15b1,15c1の間に配置された電極であって、線路A及び線路Bに接続された電極と見做すことができる。また、この場合、電極15aと線路Aとの接続点は、電極15aのy軸正方向側の端部に位置し、電極15aと線路Bとの接続点は、電極15aのy軸負方向側の端部に位置していると見做すことができる。
【0044】
なお、電極15aに接続された4つの線路15d1,15e1,15f1,15g1の電気長は、同じ放射素子に接続される2つの線路(例えば、放射素子15b1に接続される2つの線路15d1,15e1、或いは、放射素子15c1に接続される2つの線路15e1,15f1)の電気長の差がアンテナ装置1に入力される高周波電流の波長の整数倍になるように設定されている。ここで、線路15d1の電気長は、第1線路群に属する線路Aを介して、電極15aのx軸正方向側の辺から、電極15aに隣接する放射素子15b1のx軸負方向側の辺に至る電流路の電気長と言い換えることができる。同様に、線路15e1の電気長は、第2線路群に属する線路Bを介して、電極15aのx軸正方向側の辺から、電極15aに隣接する放射素子15b1のx軸負方向側の辺に至る電流路の電気長と言い換えることができる。また、線路15f1の電気長は、第1線路群に属する線路Aを介して、電極15aのx軸負方向側の辺から、電極15aに隣接する放射素子15c1のx軸正方向側の辺に至る電流路の電気長と言い換えることができる。同様に、線路15g1の電気長は、第2線路群に属する線路Bを介して、電極15aのx軸負方向側の辺から、電極15aに隣接する放射素子15c1のx軸正方向側の辺に至る電流路の電気長と言い換えることができる。また、第1線路群に属する線路のうち、電極15aに接続されていない線路である線路15d2,15f2の電気長、及び、第2線路群に属する線路のうち、電極15aに接続されていない線路である線路15e2,15g2の電気長は、それぞれ、アンテナ装置1に入力される高周波電流の波長の整数倍に設定されている。これにより、電極15aに高周波電流が誘導されると、4つの放射素子15b1,15b2,15c1,15c2に同相の電流が流れる。ただし、電極15aに接続された4つの線路15d1,15e1,15f1,15g1の電気長は、等しく設定されているほうが好ましい。
【0045】
以上のように、アンテナ装置1は、(1)xy平面においてx軸に沿って並んだ4個の放射素子15b1,15b2,15c1,15c2からなる放射素子群と、(2)放射素子群に属し互いに隣接する2つの放射素子を接続する線路A(線路15d1,15f1は線路Aの一部),15d2,15f2からなる第1線路群と、(3)放射素子群に属し互いに隣接する2つの放射素子を接続する線路B(線路15e1,15g1は線路Bの一部),15e2,15g2からなる第2線路群と、を備えている。そして、放射素子群に属する各放射素子(例えば、放射素子15b1)と、当該放射素子を前記放射素子群に属し当該放射素子に隣接する放射素子(例えば、線路15b2)に接続する2つの線路であって、一方は前記第
1線路群に属し他方は前記第
2線路群に属する2つの線路(例えば、2つの線路15d2,15e2)との接続点は、y軸に沿って並んでいる。更に、アンテナ装置1は、互いに隣接する2つの放射素子15b1,15c1の間に配置された電極15a(特許請求の範囲における「媒介電極」の一例)と、開口13aが形成された導体膜13(特許請求の範囲における「グランド層」の一例)を介して電極15aに対向する電極11a(特許請求の範囲における「入力電極」の一例)と、を備えている。この電極15aは、第1線路群に属し、それらの放射素子15b1,15c1を接続する線路15d1,15f1、及び、第2線路群に属し、それらの放射素子15b1,15c1を接続する線路15e1,15g1に接続されている。
【0046】
以上の構成により、アンテナ装置1においては、電極15aを介して放射素子15b1,15b2,15c1,15c2を間接的に励振することが可能である。この励振方法の詳細については、参照する図面を代えて後述する。
【0047】
(放射素子の励振方法)
アンテナ装置1における放射素子15b1,15b2,15c1,15c2の励振方法について、
図2を参照して説明する。
図2は、アンテナ装置1の平面図である。
【0048】
本実施形態に係るアンテナ装置1においては、電極11aに高周波電流を入力することによって、電極15aを介して放射素子15b1,15b2,15c1,15c2を間接的に励振する励振方法が採用されている。
【0049】
すなわち、本励振方法においては、線路11bを介して電極11aに高周波電流が入力される。そうすると、開口13aを介して電極11aと電磁気的に結合している電極15aに、電流が誘導される。そうすると、放射素子15b1には、線路15d1及び線路15e1を介して電極15aから逆相の電流が供給される。この際、線路15d1を介して電極15aから放射素子15b1に供給される電流と、線路15e1を介して電極15aから放射素子15b1に供給される電流とに関して、x軸と平行な成分同士は互いに打ち消し合い、y軸と平行な成分同士は、互いに強め合う。その結果、放射素子15b1には、或る半周期においては
図2に白矢印で示すようにy軸正方向に向かい、次の半周期においては
図2に黒矢印で示すようにy軸負方向に向かう電流が流れる。放射素子15b2についても、同様である。一方、放射素子15c1には、線路15f1及び線路15g1を介して電極15aから逆相の電流が供給される。この際、線路15f1を介して電極15aから放射素子15c1に供給される電流と、線路15g1を介して電極15aから放射素子15c1に供給される電流とに関して、x軸と平行な成分同士は互いに打ち消し合い、y軸と平行な成分同士は、互いに強め合う。その結果、放射素子15c1には、或る半周期においては
図2に白矢印で示すようにy軸正方向に向かい、次の半周期においては
図2に黒矢印で示すようにy軸負方向に向かう電流が流れる。放射素子15c2についても、同様である。
【0050】
以上のように、本励振方法において、4つの放射素子15b1,15b2,15c1,15c2に誘導される電流の方向は、y軸と平行な方向である。したがって、本実施形態に係る励振方法によれば、偏波面がyz平面と平行な直線偏波(以下、「y偏波」とも記載する)が4つの放射素子15b1,15b2,15c1,15c2の各々からz軸正方向に向かって放射される。
【0051】
なお、アンテナ装置1おいては、放射素子群に属する各放射素子について、当該放射素子と第1線路群に属する線路との接続点は、当該放射素子のy軸正方向側の端部に設けられており、当該放射素子と第2線路群に属する線路との接続点は、当該放射素子のy軸負方向側の端部に設けられている。このため、より利得の高いアンテナ装置1を実現することが可能である。また、電極15aと第1線路群に属する線路15d1,15f1との接続点は、電極15aのy軸正方向側の端部に設けられており、電極15aと第2線路群に属する線路15e1,15g1との接続点は、電極15aのy軸負方向側の端部に設けられている。このため、より帯域の広いアンテナ装置1を実現することが可能である。
【0052】
また、アンテナ装置1においては、第1線路群と第2線路群とが、電極15aの中心(放射素子群の中心に相当)を通るx軸と平行な直線に対して対称である。これにより、アンテナ装置1の偏波比及びクロストーク特性を改善することができる。また、アンテナ装置1においては、放射素子群、第1線路群、及び第2線路群を含む導体膜15(特許請求の範囲における「導体パターン」の一例)が、電極15aの中心を通るy軸と平行な直線に対して対称である。これにより、アンテナ装置1の放射パターンの対称性を高めることができる。
【0053】
(アンテナ装置の放射パターン)
アンテナ装置1の放射パターンについて、
図3を参照して説明する。
図3は、利得の方向依存性をグラフである。
【0054】
図3においては、(1)y偏波のyz平面における利得の方向依存性、(2)y偏波のzx平面における利得の方向依存性、(3)x偏波のyz平面における利得の方向依存性、(4)x偏波のzx平面における利得の方向依存性を示している。いずれのグラフにおいても、横軸は、z軸正方向との成す角を示し、縦軸は、利得を示す。
【0055】
図3によれば、アレイ方向に垂直な方向、すなわち広角に利得を出したいyz面の±50度の角度範囲において、y偏波の利得が0dB以上であり、x偏波の利得が−20dB以下であることが分かる。すなわち、y偏波の選択的な放射に成功していることが分かる。
【0056】
〔第2の実施形態〕
(アンテナ装置の構成)
本発明の第2の実施形態に係るアンテナ装置1’の構成について、
図4を参照して説明する。
図4は、本変形例に係るアンテナ装置1’の構成を示す分解斜視図である。
【0057】
アンテナ装置1’は、前述したアンテナ装置1から第1導体層L1及び第1誘電体層L2を省略したものである。すなわち、アンテナ装置1’は、第2導体層L3、第2誘電体層L4、及び第3導体層L5により構成されている。
【0058】
第2導体層L3は、グランド機能を担う導体層である。本実施形態において、第2導体層L3は、連続した1枚の導体膜13’により実現されている。導体膜13’の材料は、例えば、銅である。ただし、導体膜13’の材料は、任意であり、これに限定されない。導体膜13’は、開口13aが形成されていない点を除き、前述した導体膜13と同様に構成されている。
【0059】
第2誘電体層L4は、前述した第2導体層L3と後述する第3導体層L5との間に介在する誘電体層である。本実施形態において、第2誘電体層L4は、連続した1枚の誘電体基板14’により実現されている。誘電体基板14’の材料は、例えば、LCPである。ただし、誘電体基板14’の層数及び材料は、任意であり、これに限定されない。なお、誘電体基板14’は、前述した誘電体基板14と同様に構成されている。
【0060】
第3導体層L5は、放射機能を担う導体層である。本実施形態において、第3導体層L5は、連続した1枚の導体膜15’に実現されている。導体膜15’の材料は、例えば、銅である。ただし、導体膜15’の材料は、任意であり、これに限定されない。
【0061】
導体膜15’は、5個の放射素子15h1〜15h5と、10本の線路15i1〜15i5,15j1〜15j5と、として機能する。
【0062】
5個の放射素子15h1〜15h5は、それぞれ、長方形の導体パターンである。放射素子15h1は、長辺がy軸と平行になるように、xy平面と平行な面内に配置されている。放射素子15h2は、長辺がy軸と平行になるように、xy平面と平行な面内において放射素子15h1のx軸正方向側に配置されている。放射素子15h3は、長辺がy軸と平行になるように、xy平面と平行な面内において放射素子15h2のx軸正方向側に配置されている。放射素子15h4は、長辺がy軸と平行になるように、xy平面と平行な面内において放射素子15h3のx軸正方向側に配置されている。放射素子15h5は、長辺がy軸と平行になるように、xy平面と平行な面内において放射素子15h4のx軸正方向側に配置されている。なお、本実施形態では、放射素子15h1〜15h5の長辺がy軸と平行になる構成を採用しているが、本発明は、これに限定されない。例えば、放射素子15h1〜15h5の長辺がx軸と平行になる構成を採用してもよい。
【0063】
10本の線路15i1〜15i5,15j1〜15j5は、それぞれ、帯状の導体パターンである。線路15i1は、放射素子15h1のx軸負方向側の辺のy軸正方向側の端部から、xy平面と平行な面内をx軸負方向側に延伸する。線路15i2は、放射素子15h1のx軸正方向側の辺のy軸正方向側の端部から、xy平面と平行な面内をx軸正方向側に延伸した後、放射素子15h2のx軸負方向側の辺のy軸正方向側の端部に接続される。線路15i3は、放射素子15h2のx軸正方向側の辺のy軸正方向側の端部から、xy平面と平行な面内をx軸正方向側に延伸した後、放射素子15h3のx軸負方向側の辺のy軸正方向側の端部に接続される。線路15i4は、放射素子15h3のx軸正方向側の辺のy軸正方向側の端部から、xy平面と平行な面内をx軸正方向側に延伸した後、放射素子15h4のx軸負方向側の辺のy軸正方向側の端部に接続される。線路15i5は、放射素子15h4のx軸正方向側の辺のy軸正方向側の端部から、xy平面と平行な面内をx軸正方向側に延伸した後、放射素子15h5のx軸負方向側の辺のy軸正方向側の端部に接続される。線路15j1は、放射素子15h1のx軸負方向側の辺のy軸負方向側の端部から、xy平面と平行な面内をx軸負方向側に延伸する。線路15j2は、放射素子15h1のx軸正方向側の辺のy軸負方向側の端部から、xy平面と平行な面内をx軸正方向側に延伸した後、放射素子15h2のx軸負方向側の辺のy軸負方向側の端部に接続される。線路15j3は、放射素子15h2のx軸正方向側の辺のy軸負方向側の端部から、xy平面と平行な面内をx軸正方向側に延伸した後、放射素子15h3のx軸負方向側の辺のy軸負方向側の端部に接続される。線路15j4は、放射素子15h3のx軸正方向側の辺のy軸負方向側の端部から、xy平面と平行な面内をx軸正方向側に延伸した後、放射素子15h4のx軸負方向側の辺のy軸負方向側の端部に接続される。線路15j5は、放射素子15h4のx軸正方向側の辺のy軸負方向側の端部から、xy平面と平行な面内をx軸正方向側に延伸した後、放射素子15h5のx軸負方向側の辺のy軸負方向側の端部に接続される。
【0064】
なお、高周波電流の電流源に接続される2つの線路15i1,15j1の電気長は、その差がアンテナ装置1’に入力される高周波電流の波長の整数倍になるように設定されている。また、それ以外の8つの線路15i2〜15i5,15j2〜15j5の電気長は、それぞれ、アンテナ装置1’に入力される高周波電流の波長の整数倍に設定されている。これにより、2本の線路15i1,15j1に高周波電流が誘導されると、5つの放射素子15h1〜15h5に同相の電流が流れる。
【0065】
以上のように、アンテナ装置1’は、(1)xy平面においてx軸に沿って並んだ5個の放射素子15h1〜15h5からなる放射素子群と、(2)放射素子群に属し互いに隣接する2つの放射素子を接続する線路15i2〜15i5からなる第1線路群と、(3)放射素子群に属し互いに隣接する2つの放射素子を接続する線路15j2〜15j5からなる第2線路群と、を備えている。そして、放射素子群に属する各放射素子(例えば、放射素子15h3)と、当該放射素子を放射素子群に属し当該放射素子に隣接する放射素子(例えば、放射素子h4)に接続する2つの線路であって、一方は前記第
1線路群に属し他方は前記第
2線路群に属する2つの線路(例えば、2つの線路15i4,15j4)との接続点は、y軸に沿って並んでいる。更に、アンテナ装置1’は、放射素子群に属する放射素子の中で最もx軸負方向側に配置された放射素子15h1に接続された1対の線路15i1,15j1(特許請求の範囲における「入力線路」の一例)を備えている。そして、放射素子15h1と線路15i1との接続点と、放射素子15h1と線路15j1との接続点とは、y軸に沿って並んでいる。
【0066】
以上の構成により、アンテナ装置1’においては、放射素子15h1〜15h5を直接的に励振することが可能である。この励振方法の詳細については、参照する図面を代えて後述する。
【0067】
(放射素子の励振方法)
アンテナ装置1’における放射素子15h1〜15h5の励振方法について、
図5を参照して説明する。
図5は、アンテナ装置1’の平面図である。
【0068】
本実施形態に係るアンテナ装置1’においては、線路15i1,15j1に高周波電流を入力することによって、放射素子15h1〜15h5を直接的に励振する励振方法が採用されている。
【0069】
すなわち、本励振方法においては、電流源から線路15i1,15j1に逆相の高周波電流が入力される。そうすると、放射素子15h1には、線路15i1及び線路15j1を介して逆相の電流が供給される。この際、線路15i1を介して放射素子15h1に供給される電流と、線路15j1を介して放射素子15h1に供給される電流とに関して、x軸と平行な成分同士は互いに打ち消し合い、y軸と平行な成分同士は、互いに強め合う。その結果、放射素子15h1には、或る半周期においては
図5に黒矢印で示すようにy軸正方向に向かう電流が流れ、次の半周期においては
図5に白矢印で示すようにy軸負方向に向かう電流が流れる。放射素子15h2〜15h5についても、同様である。
【0070】
以上のように、本励振方法において、5つの放射素子15h1〜15h5に誘導される電流の方向は、y軸と平行な方向である。したがって、本励振方法によれば、偏波面がyz平面と平行な直線偏波(以下、「y偏波」とも記載する)が5つの放射素子15h1〜15h5の各々からz軸正方向に向かって放射される。
【0071】
なお、本実施形態に係るアンテナ装置1’おいては、放射素子群に属する各放射素子について、当該放射素子と第1線路群に属する線路との接続点は、当該放射素子のy軸正方向側の端部に設けられており、当該放射素子と第2線路群に属する線路との接続点は、当該放射素子のy軸負方向側の端部に設けられている。また、放射素子15h1と線路15i1との接続点は、放射素子15h1のy軸正方向側の端部に設けられており、放射素子15h1と線路15j1との接続点は、放射素子15h1のy軸負方向側の端部に設けられている。このため、より利得の高いアンテナ装置1’を実現することが可能である。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。上述した各実施形態に開示された各技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。