(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記提示手段は、前記ユーザにより自動駐車モードの選択が受け付けられた場合、前記遠隔操作端末を介した前記車両の遠隔制御が可能な状態にするために、前記シフト位置を前記第2の位置から前記第1の位置へ切り替えることを促すガイダンスをさらに提示することを特徴とする請求項2に記載の車両制御装置。
前記制御手段は、前記ガイダンスに従って前記シフト位置が前記第2の位置から前記第1の位置へ切り替えられたか否かを判定し、切り替えられたと判定された場合に、前記遠隔操作端末を介した前記車両の遠隔制御が可能な状態であることを前記遠隔操作端末へ通知することを特徴とする請求項3に記載の車両制御装置。
前記制御手段は、前記シフト位置が前記第1の位置に切り替えられた状態で、前記車両の乗員が降車した場合、当該降車後の前記遠隔制御を可能にするために前記車両の電源をオフにしないように制御することを特徴とする請求項4に記載の車両制御装置。
前記制御手段は、前記自動駐車が指示された際に前記シフト位置が第1の位置である場合に前記自動駐車モードを前記第1の自動駐車モードに制御した後、前記遠隔操作端末を介した前記車両の遠隔制御が可能な状態であることを前記遠隔操作端末へ通知することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでするものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<車両制御システムの構成>
図1は実施形態に係る車両制御システムの機能構成を示すブロック図である。
図1に示すように、車両制御システム1は車両に搭載された車両システム2と、操作端末3とを有する。車両システム2は、推進装置4、ブレーキ装置5、ステアリング装置6、外界センサ7、車両センサ8、通信装置9、ナビゲーション装置10、運転操作装置11、運転者検出センサ12、インタフェース装置(HMI装置)13、スマートキー14、及び制御装置15を有している。車両システム2の各構成は、CAN(Controller Area Network)等の車載通信ネットワークによって信号伝達可能に接続されている。
【0011】
推進装置4は車両に駆動力を付与する装置であり、例えば動力源及び変速機を含む。動力源はガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関及び電動機の少なくとも一方を有する。ブレーキ装置5は車両に制動力を付与する装置であり、例えばブレーキロータにパッドを押し付けるブレーキキャリパと、ブレーキキャリパに油圧を供給する電動シリンダとを含む。ブレーキ装置5はワイヤケーブルによって車輪の回転を規制するパーキングブレーキ装置を含む。ステアリング装置6は車輪の舵角を変えるための装置であり、例えば車輪を転舵するラックアンドピニオン機構と、ラックアンドピニオン機構を駆動する電動モータとを有する。推進装置4、ブレーキ装置5、及びステアリング装置6は、制御装置15によって制御される。
【0012】
外界センサ7は車両の周辺の物体等を検出するセンサである。外界センサ7はレーダ16、ライダ17(LIDAR:Light Detection and Ranging)及びカメラ18を含み、検出結果を制御装置15に出力する。
【0013】
レーダ16は、例えば、ミリ波レーダであり、電波により車両の周囲の物体を検知したり、物体との距離を測距したりことが可能である。レーダ16は車両の周囲に複数設けられており、例えば、レーダ16は車両の前部中央に1つ、前部各隅部に1つずつ、後部各隅部に一つずつ設けられている。
【0014】
ライダ17は、光により車両1の周囲の物体を検知したり、物体との距離を測距したりすることが可能である。ライダ17は車両の周囲に複数設けられており、例えば、ライダ17は車両の前部の各隅部に1つずつ、後部中央に1つ、後部各側方に1つずつ設けられている。
【0015】
カメラ18は車両の周囲を撮像する装置であり、例えば、CCDやCMOS等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ18は車両の前方を撮像する前方カメラと後方を撮像する後方カメラとを含む。カメラ18は車両のドアミラー設置場所近傍に設けられ、左右側部後方を撮像する左右一対のドアミラーカメラを含む。
【0016】
車両センサ8は、車両の速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、車両の向きを検出する方位センサ等を含む。ヨーレートセンサは、例えばジャイロセンサである。
【0017】
通信装置9は制御装置15と操作端末3との間の無線通信を媒介する。すなわち、制御装置15は通信装置9を介して、例えば赤外線通信やBluetooth(登録商標)等の通信方法を用いて、ユーザが所持する操作端末3との通信することが可能である。
【0018】
ナビゲーション装置10は車両の現在位置を取得し、目的地への経路案内等を行う装置であり、GPS受信部20、及び地図記憶部21を有する。GPS受信部20は人工衛星(測位衛星)から受信した信号に基づいて車両の位置(緯度や経度)を特定する。地図記憶部21は、フラッシュメモリやハードディスク等の記憶装置によって構成され、地図情報を記憶している。
【0019】
運転操作装置11は車室内に設けられ、車両を制御するためにユーザが行う入力操作を受け付ける。運転操作装置11は、運転操作ユニットとして、例えば、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル、パーキングブレーキ装置、シフトレバー、及び、プッシュスタートスイッチ(エンジンスタートボタン)を含む。プッシュスタートスイッチはユーザからの運転操作により車両を起動するための入力操作を受け付ける。運転操作装置11は操作量を検出するセンサを含み、操作量を示す信号を制御装置15に出力する。
【0020】
運転者検出センサ12は運転席に人が着座しているか否かを検知するためのセンサである。運転者検出センサ12は例えば、運転席の着座面に設けられた着座センサである。着座センサは静電容量式のものであってもよく、運転席に人が着座するとオンになるメンブレンスイッチであってもよい。その他、運転者検出センサ12は運転席に着座するユーザを撮像する室内カメラであってもよい。また、運転者検出センサ12は運転席のシートベルトのトングのバックルの差込の有無を取得して、運転席に人が着座しシートベルトを装着していることを検出するセンサであってもよい。運転者検出センサ12は検出結果を制御装置15に出力する。
【0021】
インタフェース装置13(HMI装置)は、制御装置15とユーザとの間のインタフェース(HMI:Human Machine Interface)を提供し、ユーザに対して表示や音声によって各種情報を報知すると共に、ユーザによる入力操作を受け付ける。インタフェース装置13は、液晶や有機EL等により構成され、ユーザからの入力操作を受け付け可能なタッチパネルとして機能する表示部23と、ブザーやスピーカ等の音声発生部24とを有する。
【0022】
制御装置15は、CPU、不揮発性メモリ(ROM)、及び、揮発性メモリ(RAM)等を含む電子制御装置(ECU)である。制御装置15はCPUでプログラムに基づいた演算処理を実行することで、各種の車両制御を実行することが可能である。制御装置15の各機能部の少なくとも一部は、LSIやASIC、FPGA等のハードウェアによって実現されてもよく、ソフトウェア及びハードウェアの組み合わせによって実現されてもよい。
【0023】
スマートキー14(FOB)はユーザが携帯可能な無線端末であり、車外から通信装置9を介して制御装置15と相互に通信可能に構成されている。スマートキー14はユーザが入力を行うためのボタンを備えており、ユーザはスマートキー14のボタンを操作することで、ドアの施錠(ドアロック)やドアの解錠(ドアロックの解除)、車両の起動等を行うことができる。
【0024】
操作端末3はユーザが携帯可能な無線端末であり、車外から通信装置9を介して制御装置15と相互に通信可能である。本実施形態では、操作端末3は、例えば、スマートフォンなどの携帯型の情報処理装置である。予め所定のアプリケーションが操作端末3にインストールされることによって、操作端末3は制御装置15と通信可能となる。操作端末3には操作端末3を識別可能な情報(例えば、各操作端末を識別するための所定の数値や文字列等を含む端末ID)が設定されており、制御装置15は端末IDに基づいて、操作端末3の認証を行うことが可能である。
【0025】
操作端末3は、
図1に示すように、入出力部30、撮像部31、位置検出部32、及び処理部33を機能構成として有する。
【0026】
入出力部30は操作端末3を操作するユーザに情報を提示すると共に、操作端末3を操作するユーザからの入力を受け付ける。入出力部30は、例えばタッチパネルとして機能し、入出力部30はユーザからの入力を受け付けると、入力に対応する信号を処理部33に出力する。
【0027】
撮像部31は、入出力部30から設定された撮像モードにより、画像(静止画像、動画像)の撮影が可能であり、撮像部31は、例えば、CMOS等によって構成されたデジタルカメラである。処理部33は、操作端末3を操作するユーザを撮像した画像に対して所定の画像処理を行うことにより画像の特徴を取得し、予め登録されているユーザの顔画像の特徴と比較してユーザの認証を行うことが可能である。
【0028】
位置検出部32は操作端末3の位置情報を取得することが可能なセンサを含む。位置検出部32は例えば測地衛星(GPS衛星)からの信号を受信することにより操作端末3の位置を取得することが可能である。また、位置検出部32は通信装置9を介して制御装置15との間で通信することによって、位置検出部32は車両に対する操作端末3の相対位置を含む位置情報を取得することも可能である。位置検出部32は取得した位置情報を処理部33に出力する。
【0029】
処理部33は、操作端末3に設定されている端末ID、入出力部30からの信号や、位置検出部32によって取得された位置情報を制御装置15に送信する。また、制御装置15からの信号を受信すると、処理部33は信号を処理し、入出力部30に操作端末3を操作するユーザに対して情報を提示させる。情報の提示は、例えば入出力部30への表示によって行われる。
【0030】
制御装置15は、操作端末3からの信号に基づいて車両を駆動させることができる。制御装置15はまた、遠隔で車両を所定の位置に移動させる制御、例えば遠隔駐車を行うことができる。車両の制御を行うため、制御装置15は少なくとも、起動部40、外界認識部41、位置特定部42、軌道計画部43、走行制御部44及び記憶部45を有する。
【0031】
起動部40はプッシュスタートスイッチからの信号に基づいて、スマートキー14の認証を行い、スマートキー14が車内にあるかを判定する。スマートキー14が認証され、且つスマートキー14が車内にあるときに、起動部40は推進装置4の駆動を開始する。また、起動部40は操作端末3から起動を指示する信号を受信すると、操作端末3の認証を行い、認証されたときに車両の駆動を開始する。起動部40は車両の駆動を開始するときに、推進装置4が内燃機関を含む場合には点火装置(イグニッション)をオンにする。
【0032】
外界認識部41は、外界センサ7の検出結果に基づいて、車両の周辺に存在する例えば、駐車車両や壁などの障害物や人物、その他のオブジェクトを認識し、障害物や人物、その他のオブジェクトに関する位置や大きさ等の情報を取得する。また、外界認識部41はカメラ18によって取得した画像をパターンマッチング等の画像解析手法に基づいて解析し、障害物や人物、その他のオブジェクトの有無及びその大きさを取得することが可能である。更に、外界認識部41はレーダ16、ライダ17からの信号を用いて障害物や人物までの距離を算出し、障害物や人物の位置を取得することが可能である。
【0033】
位置特定部42は、ナビゲーション装置10のGPS受信部20からの信号に基づいて、車両の位置を検出することが可能である。また、位置特定部42はGPS受信部20からの信号に加えて、車両センサ8から車速やヨーレートを取得し、いわゆる慣性航法を用いて車両の位置及び姿勢を特定することも可能である。
【0034】
外界認識部41は、外界センサ7の検出結果、より具体的にはカメラ18によって撮像された画像をパターンマッチング等の画像解析手法に基づいて解析し、例えば、駐車場等の路面に描かれた白線の位置を取得することができる。
【0035】
走行制御部44は、軌道計画部43からの走行制御の指示に基づいて、推進装置4、ブレーキ装置5、及びステアリング装置6を制御し、車両を走行させる。
【0036】
記憶部45はRAM等によって構成され、軌道計画部43、及び走行制御部44の処理に要する情報が記憶される。
【0037】
軌道計画部43はHMI装置13や操作端末3へのユーザからの入力があると、必要に応じて、車両の走行経路となる軌道を算出して、走行制御部44に走行制御の指示を出力する。
【0038】
軌道計画部43は車両が停止された後、ユーザから遠隔操作による駐車アシスト(リモートパーキングアシスト)を希望することに対応する入力があったときに、駐車アシスト処理を行う。
【0039】
駐車アシスト処理を行う場合に、軌道計画部43は最初に駐車可能位置の取得を行う取得処理を行う。軌道計画部43は外界センサ7からの信号に基づいて、障害物の位置及び大きさと、路面に描かれた白線の位置とを取得する。軌道計画部43は取得した障害物の位置及び大きさと白線とに基づいて、駐車可能なスペース(以下、駐車可能位置)を抽出する。
【0040】
次に、軌道計画部43は駐車可能位置から駐車位置を受け付ける駐車位置受付処理を行う。軌道計画部43は駐車可能位置を少なくとも1つ取得すると、軌道計画部43は運転を行うユーザに車両を停止させるように指示する通知を表示部23に表示させる。このとき、軌道計画部43は運転を行うユーザに車両を停止させた後、シフトレバーをパーキングポジションに変更するように指示することが可能である。
【0041】
軌道計画部43は車両の現在地と、駐車可能位置とを表示部23に表示させる。このとき、軌道計画部43は表示部23にカメラ18によって取得した画像を重ねて表示させることも可能である。その後、軌道計画部43は表示部23に、ユーザに駐車可能位置の中から車両を駐車させる位置(駐車位置)として1つを選択するよう通知する表示を行う。ユーザから希望する駐車位置が入力されると、表示部23は入力された駐車位置に対応する信号を軌道計画部43に出力する。
【0042】
このとき、軌道計画部43はユーザのタッチ位置に基づいて、ユーザから希望する駐車位置を取得する。このとき、軌道計画部43は、ユーザが前向き駐車及び後向き駐車のいずれかを選択するためのボタンを表示部23に表示させることが可能である。軌道計画部43は前向き駐車及び後向き駐車のそれぞれに対応する車両の現在地から駐車位置に至る軌道を算出し、表示部23に算出した軌道を表示させることも可能である。表示部23は軌道へのタッチ操作によって前向き駐車又は後向き駐車をユーザが選択できるようにし、選択結果を軌道計画部43に出力する。
【0043】
次に、軌道計画部43は表示部23からユーザによって入力された駐車位置を受信すると、車両の現在地から駐車位置に至るまでの車両の軌道を算出する軌道算出処理を行う。前向き駐車及び後向き駐車の選択に関するユーザの入力操作を受け付けたときに、軌道計画部43は車両の現在地及び駐車位置に加え、ユーザからの入力に基づいて軌道を算出することが可能である。
【0044】
軌道の算出が終わると、軌道計画部43は表示部23にユーザに降車を促す通知すると共に、ユーザに操作端末3の遠隔駐車のためのアプリケーションを起動するよう指示する通知を表示させる。これらの通知に従って、ユーザは降車した後、操作端末3のアプリケーションを起動させる。
【0045】
その後、操作端末3の入出力部30には、車両への接続実行を行うための入力ボタンが表示される。ユーザが入力ボタンにタッチすると、軌道計画部43は、処理部33から送信された端末IDを用いて操作端末3を認証する認証処理を行う。操作端末3の認証が完了すると、入出力部30に、車両の現在地、軌道、及び駐車位置と、上下方向の矢印が表示される。その後、ユーザは操作端末3に入力を行うことにより、軌道計画部43に遠隔駐車処理(リモート駐車処理)の実行を指示することができる。遠隔駐車処理には、車両を駐車位置に移動させる移動処理と、車両を駐車位置に駐車させる駐車処理とが含まれる。
【0046】
ユーザが、操作端末3の入出力部30に表示された矢印をスワイプすると、操作端末3はスワイプ量に応じた操作量信号を軌道計画部43に送信する。軌道計画部43は操作量信号を車両の移動量に換算し、駐車位置に到達するまで車両を軌道に沿って算出された移動量だけ移動させる移動処理を行う。
【0047】
軌道計画部43は、移動処理において、車両が駐車位置に到達したかを判定し、駐車位置に到達したと判定したときに、車両を駐車させる駐車処理を行う。駐車処理において、軌道計画部43はまず、走行制御部44のブレーキ装置5を駆動する。その後、軌道計画部43は走行制御部44のパーキングブレーキを駆動させる。車両の停止が完了すると軌道計画部43は操作端末3に駐車が完了したことを示す駐車完了通知を送信する。
【0048】
操作端末3は駐車完了通知を受信すると、操作端末3の入出力部30に駐車が完了した旨の通知を表示させ、操作端末3のアプリケーションを終了させる。これにより、駐車アシスト処理が完了する。
【0049】
<処理>
続いて、
図2のフローチャートを参照しながら、本実施形態に係る車両制御装置(制御装置15)が実施する処理の手順を説明する。本実施形態では、車両から離れた位置から遠隔操作端末(操作端末3)を操作して車両の移動指示を送り、車両の自動駐車制御を実行する前の状況、すなわち、自動駐車を行うために降車する前の状況を想定する。
【0050】
S201において、車両システム2の制御装置15は、自動駐車が設定されたか否かを判定する。例えば車両に設けられた自動駐車を開始する指示を行うためのボタンが押下された場合に自動駐車が設定されたと判定する。或いは、表示部23がタッチパネルディスプレイである場合に、タッチ操作により自動駐車の開始指示が入力されてもよいし、音声認識により自動駐車の開始指示が入力されてもよい。自動駐車が設定された場合、S202へ進む。一方、自動駐車が設定されていない場合、待機する。
【0051】
S202において、制御装置15は、推進装置4に含まれる変速機のシフト位置を判定する。シフト位置が第1の位置(例えばP(パーキング)レンジ)である場合、S210へ進む。シフト位置が第2の位置(例えばD(ドライブ)レンジ)である場合、S203へ進む。そして、シフト位置がその他の位置である場合、自動駐車を実行することなく処理を終了する。その際、「シフト位置を変更してくだい」といったガイダンスを提示してもよい。
【0052】
S203において、制御装置15は、第1の自動駐車モード又は第2の自動駐車モードを選択可能に設定する。
【0053】
ここで、第1の自動駐車モードとは、操舵が実行されず前進又は後退が可能な自動駐車モードである。ユーザは降車後に操作端末3を操作して前進又は後退の指示を車両に送ることで車両を自動的に駐車させることができる。また、第2の自動駐車モードとは、カメラ18により取得された映像から駐車枠を検出して自動的に操舵が実行される第2の自動駐車モードである。こちらもユーザは降車後に操作端末3を操作して指示を行うことで、車両が周辺情報を取得しながら車両が自動的に操舵操作を行いながら駐車枠に駐車することができる。
【0054】
ここで、
図3は本実施形態に係る第1の自動駐車モード及び第2の自動駐車モードの説明図である。第1の自動駐車モードでは、駐車枠300に対してほぼ正対している状態の車両310に対して適用可能なモードである。直線矢印に示されるように、操作端末3からの指示に応じて、前進又は後退の方向に移動可能であるが操舵は伴わないモードである。一方、第2の自動駐車モードでは、駐車枠300に対して斜めに離れている状態の車両320に対して適用可能なモードである。曲線矢印に示されるように、操作端末3からの指示に応じて、操舵を伴って自動的に移動可能なモードである。
【0055】
S204において、制御装置15は、第1の自動駐車モード又は第2の自動駐車モードの選択肢を提示する。例えば、何れかの自動駐車モードを選択するように表示部23に選択肢を表示する。
【0056】
S205において、制御装置15は、S204で提示された選択肢のうち、どの自動駐車モードが選択されたかを判定する。第1の自動駐車モードが選択された場合、S206へ進む。一方、第2の自動駐車モードが選択された場合、S207へ進む。
【0057】
S206において、制御装置15は、自動駐車モードを第1の自動駐車モードに設定する。S207において、制御装置15は、自動駐車モードを第2の自動駐車モードに設定する。
【0058】
S208において、制御装置15は、シフト位置を現在の第2の位置(例えばDレンジ)から第1の位置(例えばPレンジ)へ切り替えるようにガイダンスを提示する。例えば、切り替えを促すテキストメッセージを表示部23表示する。
【0059】
S209において、制御装置15は、シフト位置の切り替えが完了したか否かを判定する。切り替えが完了した場合、S211へ進む。一方、切り替えが完了していない場合、切り替えが完了するまで待機する。所定時間以上切り替えが行われない場合、自動駐車をキャンセルしてもよい。
【0060】
S210において、制御装置15は、自動駐車モードを第1の自動駐車モードに設定する。
【0061】
S211において、制御装置15は、操作端末3を介した車両の遠隔制御が可能な状態であることを操作端末3へ通知する。シフト位置が第1の位置(例えばPレンジ)に切り替えられた状態で、車両の乗員が降車した場合、当該降車後の遠隔制御を可能にするために車両の電源をオフにしないように制御する。これにより、シフト位置が第1の位置(例えばPレンジ)にせずに第2の位置(例えばDレンジ)のまま降車すると、スマートキー14の制御が優先されて(スマートキー14が車内で検出できなくなって)車両の電源がオフにされてしまい、遠隔制御を実行することができなくなるといった事態を回避することができる。一方、遠隔制御が可能な状態になっていない時に降車した場合には、車両の電源をオフにする。これにより、遠隔制御ができないことを認識することができる。
【0062】
車両の遠隔制御が可能な状態であることの通知を受けた後は、操作端末3の遠隔操作アプリケーションを起動して遠隔操作を受け付け、当該操作に基づいて、設定されている自動駐車モードに応じた自動駐車制御を実行する。このとき、車両の電源がオンのまま維持されているので、ユーザはスムースに遠隔制御に移行することができる。以上で
図2の処理が終了する。
【0063】
以上説明したように、本実施形態では、自動駐車が指示された際に、シフト位置が第1の位置(例えばPレンジ)である場合には、操舵が実行されず前進又は後退が可能な第1の自動駐車モードに制御する。そして、シフト位置が第2の位置(例えばDレンジ)である場合には第1の自動駐車モード、又は、駐車枠を検出して自動的に操舵が実行される第2の自動駐車モードを選択可能に制御する。
【0064】
これにより、車内で操舵を伴わない前進又は後退による自動駐車モードの選択が可能となる。さらに、ユーザのシフト操作と関連付けて各自動駐車モードの選択が可能となるため、直感的な操作で自動駐車モードの選択が可能となる。
【0065】
また、車内で操舵を伴わない前進又は後退による自動駐車モードを選択した後、カメラ18の映像に、前進又は後退の方向のラインをオーバーレイすることで、操舵を伴わない前進又は後退による自動駐車モードでの駐車スペースへの駐車が可能かどうかを降車前に確認することが可能となる。
【0066】
[変形例]
上記実施形態では、シフト位置として、第1の位置をPレンジ、第2の位置としてDレンジを例に説明を行ったが、この例に限定されない。例えば第1の位置を非走行位置(例えばPレンジ又はNレンジ)とし、第2の位置を走行位置(例えばD1レンジ、D2レンジ、…)としてもよい。
【0067】
また、上記実施形態で説明したガイダンスは表示部23へのメッセージの表示に限られず、音声発生部24を介した音声での報知であってもよい。
【0068】
また、各実施形態で説明された1以上の機能を実現するプログラムは、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給され、該システム又は装置のコンピュータにおける1以上のプロセッサは、このプログラムを読み出して実行することができる。このような態様によっても本発明は実現可能である。
【0069】
<実施形態のまとめ>
1.上記実施形態の車両制御装置(例えば15)は、
遠隔操作端末(例えば3)からの指示に応じて車両の自動駐車を制御する車両制御装置であって、
前記自動駐車の開始を指示する指示手段と、
前記指示手段により前記自動駐車が指示された際の変速機のシフト位置に基づいて自動駐車モードを制御する制御手段(例えば44)と、を備え、
前記自動駐車モードは、操舵が実行されず前進又は後退が可能な第1の自動駐車モードと、駐車枠を検出して自動的に操舵が実行される第2の自動駐車モードとを含み、
前記制御手段は、前記自動駐車が指示された際に、
前記シフト位置が第1の位置(例えばPレンジ)である場合には前記自動駐車モードを前記第1の自動駐車モードに制御し、
前記シフト位置が前記第1の位置とは異なる第2の位置(例えばDレンジ)である場合には前記自動駐車モードとして前記第1の自動駐車モード又は前記第2の自動駐車モードを選択可能に制御する。
【0070】
この実施形態によれば、車内で操舵を伴わない前進又は後退による自動駐車モードの選択が可能となる。さらに、ユーザのシフト操作と関連付けて各自動駐車モードの選択が可能となるため、直感的な操作で自動駐車モードの選択が可能となる。
【0071】
2.上記実施形態の車両制御装置では、
前記第1の自動駐車モード又は前記第2の自動駐車モードの選択肢をユーザに提示する提示手段(例えば23、24)をさらに備え、
前記制御手段は、前記自動駐車モードを、前記ユーザにより選択された自動駐車モードに設定する。
【0072】
この実施形態によれば、ユーザが車内で自動駐車モードを選択することが可能となる。
【0073】
3.上記実施形態の車両制御装置では、
前記提示手段は、前記ユーザにより自動駐車モードの選択が受け付けられた場合、前記遠隔操作端末を介した前記車両の遠隔制御が可能な状態にするために、前記シフト位置を前記第2の位置から前記第1の位置へ切り替えることを促すガイダンスをさらに提示する。
【0074】
この実施形態によれば、遠隔操作端末を介した車両の遠隔制御が可能な状態にするための前準備を行うことができる。
【0075】
4.上記実施形態の車両制御装置では、
前記制御手段は、前記ガイダンスに従って前記シフト位置が前記第2の位置から前記第1の位置へ切り替えられたか否かを判定し、切り替えられたと判定された場合に、前記遠隔操作端末を介した前記車両の遠隔制御が可能な状態であることを前記遠隔操作端末へ通知する。
【0076】
この実施形態によれば、遠隔操作端末を介した車両の遠隔制御が可能な状態であることを容易に認識することができる。
【0077】
5.上記実施形態の車両制御装置では、
前記制御手段は、前記シフト位置が前記第1の位置に切り替えられた状態で、前記車両の乗員が降車した場合、当該降車後の前記遠隔制御を可能にするために前記車両の電源をオフにしないように制御する。
【0078】
この実施形態によれば、スマートキーが車外に持ち出されたような場合であっても車両の電源がオフにならないため、ユーザはスムースに遠隔制御に移行することができる。
【0079】
6.上記実施形態の車両制御装置では、
前記制御手段は、前記自動駐車が指示された際に前記シフト位置が第1の位置である場合に前記自動駐車モードを前記第1の自動駐車モードに制御した後、前記遠隔操作端末を介した前記車両の遠隔制御が可能な状態であることを前記遠隔操作端末へ通知する。
【0080】
この実施形態によれば、シフト位置の変更が不要な状態である場合に、遠隔操作端末を介した車両の遠隔制御が可能な状態であることを早期に認識することができる。
【0081】
7.上記実施形態の車両制御装置では、
前記第1の位置はPレンジであり、前記第2の位置はDレンジである。
【0082】
この実施形態によれば、シフト位置がDレンジである場合に、操舵が実行されず前進又は後退が可能な第1の自動駐車モード、又は、駐車枠を検出して自動的に操舵が実行される第2の自動駐車モードの選択が可能となる。
【0083】
8.上記実施形態の車両は、
上記実施形態の車両制御装置(例えば15)を備える車両である。
【0084】
この実施形態によれば、車両制御装置が実施する処理を車両で実現できる。
【0085】
9.上記実施形態の車両制御装置(例えば15)の動作方法は、
遠隔操作端末(例えば3)からの指示に応じて車両の自動駐車を制御する車両制御装置の動作方法であって、
前記自動駐車の開始を指示する指示工程(例えばS201)と、
前記指示工程により前記自動駐車が指示された際の変速機のシフト位置に基づいて自動駐車モードを制御する制御工程(例えばS202〜S211)と、を有し、
前記自動駐車モードは、操舵が実行されず前進又は後退が可能な第1の自動駐車モードと、駐車枠を検出して自動的に操舵が実行される第2の自動駐車モードとを含み、
前記制御工程では、前記自動駐車が指示された際に、
前記シフト位置が第1の位置である場合には前記自動駐車モードを前記第1の自動駐車モードに制御し、
前記シフト位置が前記第1の位置とは異なる第2の位置である場合には前記自動駐車モードとして前記第1の自動駐車モード又は前記第2の自動駐車モードを選択可能に制御する。
【0086】
この実施形態によれば、車内で操舵を伴わない前進又は後退による自動駐車モードの選択が可能となる。さらに、ユーザのシフト操作と関連付けて各自動駐車モードの選択が可能となるため、直感的な操作で自動駐車モードの選択が可能となる。
【0087】
10.上記実施形態のプログラムは、
コンピュータを、上記実施形態の車両制御装置(例えば15)として機能させるためのプログラムである。
【0088】
この実施形態によれば、本発明の内容をコンピュータにより実現することが可能となる。
【0089】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。