【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、流体と相互作用するための平面状導波路デバイスに関する。この平面状導波路デバイスは、光閉じ込めを補助するために導波路層と、導波路層に入る光のイン結合、および導波路層からの光のアウト結合のための結合装置と、流体を収容するための流体ゾーンと、流体ゾーン、および導波路層の相互作用領域における導波路層との間に配置されたフィルタ層と、を備え、上記のフィルタ層は、流体が、導波路層によって誘導された光のエバネッセント場と相互作用するのを可能にするよう配置された、フィルタ開口部を備え、上記のフィルタ開口部は、規定のサイズよりも大きい粒子が、上記のエバネッセント場と相互作用するのを防ぐよう適合され、上記のフィルタ開口部は、導波路層によって誘導される光の伝播方向に対して平行である長手方向を有する、線状開口部として配置される。
【0006】
本発明の1つの利点は、フィルタ開口部における流体とのエバネッセント相互作用によって、流体との選択的な相互作用が得られることであり得る。より詳細には、例えば流体と比べて粒子の相互作用の可能性が高い場合、流体内の粒子は相互作用を妨げることが多い。
【0007】
本発明の別の利点は、選択的な相互作用が、早く正確に得られることであり得る。流体との光学的相互作用によって、化学反応、濾過、もしくは分離を含むか、または要求する任意の代替の相互作用が、防止され得る。
【0008】
本発明の別の利点は、固体粒子が予め正確な測定を阻害または妨害している、別の問題を有する流体環境を感知することを含む、様々な用途に使用することができる非常に堅牢なデバイスを提供することである。さらに、光閉じ込めを補助するよう適合された導波路を利用することによって、望ましくない光学的漏洩が最小限に抑えられるか、または防止され得る。これは、特に粒子を含む流体において新たな適用範囲を広げ、本発明は事前に必要な予備濾過なしで、直接的な測定を提供し得る。
【0009】
本発明の顕著な利点は、様々な異なる環境のための多目的センサおよび相互作用デバイスが得られることである。有利には、導波路層は光閉じ込めを補助し、それによって光が、結合装置を介する以外で、導波路層から漏れるのを効果的に防ぎ、したがって同時に、フィルタ開口部以外で周囲の流体と相互作用するのを防止する。本発明によるフィルタ開口部の配置により、光と流体との間の相互作用は、フィルタ開口部に入るには大きすぎる粒子が除外される相互作用のみを可能にするよう、フィルタ開口部内に選択的に制限される。これは、高い度合いの選択性を促進させ、例えば、粒子が流体との相互作用を阻害し得る環境のためのセンサ、および相互作用デバイスを作る場合に有利であり、それによってより正確なデバイスをもたらす。詳細には、部分的にフィルタ開口部の向きにより、すなわち長手方向が導波路層に誘導される光の伝播方向と平行となる線状開口部として配置されたフィルタ開口部によって、および部分的に、例えば十分に低い屈折率を伴うフィルタ層を有することよる光閉じ込めによって、フィルタ層への光の結合が効果的に最小限に抑えられるか、または排除されることは有利である。したがって、エバネッセント場は、導波路層自体から、および/または、もし存在するなら導波路層とフィルタ層との間の中間層から延びるべきであるが、フィルタ層から、特にフィルタ開口部の外側のフィルタ層の部分からは延びなくてもよい。なぜならそれは、エバネッセント場と、フィルタ開口部に入るには大きすぎる粒子との間の相互作用を可能にすることになるからである。したがって本発明は、エバネッセント場と、フィルタ開口部に入るには大きすぎる流体内の粒子との間の相互作用を、有利に防止する。
【0010】
本発明の別の利点は、流体の組成に対して比較的小さい影響で、非破壊で選択的な相互作用が得られることであり得る。より詳細には、平面状導波路デバイスの対象となる流体は、その作用を受けた後に実質的に影響を受けず、流体の事前濾過が避けられ得る。
【0011】
別の利点は、規定のサイズよりも小さいいくらかの粒子が相互作用されるが、規定のサイズよりも大きい粒子が光との相互作用から効果的に除外される場合に、粒子との選択的な相互作用が成され得る、ということであり得る。
【0012】
流体との考えられる相互作用は、フィルタ開口部におけるエバネッセント場を介した、流体による光の吸収と、フィルタ開口部におけるエバネッセント場を介した、光による流体の励起と、アウト結合における流体とのエバネッセント場相互作用を介した、流体の屈折率測定と、を含む。さらに、光は可視光だけではなく、近赤外線を含む赤外線ならびに紫外線も含むことを広く理解されたい。
【0013】
さらに上記の利点は、本発明のフィルタ層を使用することによって比較的簡単な方法で得られる場合がある。
この文脈において、光閉じ込めは、隣接する層すなわち上部の当接層および下方の当接層に向けた、導波路層内の光閉じ込めを示す。当然ながら、光閉じ込めは結合装置では働かない。なぜなら結合装置は、導波路層への光のイン結合、および導波路層からの光のアウト結合を効果的に実施するからである。例えば上部の当接フィルタ層(あるいは導波路層とフィルタ層との間に介在する別の当接層)、および下方の当接支持層などの隣接する層の材料の選択は、3層全ての屈折率が光閉じ込めを補助するものでなければならない。当接層における十分に低い屈折率は、光閉じ込めを保証する。光閉じ込めは、好ましくは少なくとも1つの光学モードが、導波路層内で補助されるようであるべきである。
【0014】
本明細書で使用する用語「平面状導波路デバイス」は、流体と相互作用するデバイスを意味するよう意図され、このデバイスは、相互作用光、すなわち流体と相互作用するための光を誘導するための、導波路層を組み込んでいる。導波路層を使用することによって、導波路デバイスは平面状の構成を得て、スラブ導波路デバイスと称されてもよい。
【0015】
本明細書で使用する用語「流体」は、液体または気体を意味するよう意図される。流体は、例えば血液、オイル、下水、もしくは流動食材料などの様々な液体、または様々な排気ガスなどの気体に使用され得る。
【0016】
本明細書で使用する用語「導波路層」は、適用可能な光の周波数のための導波路を形成する層を意味するよう意図される。通常、導波路層は、一方の側で上部クラッド層、および他方の側で下部クラッド層によって覆われる。クラッド層は、導波路層の屈折率よりも低い屈折率を有し、導波路層における光の誘導、すなわち光閉じ込めを促進させる。当然ながら、ここでの屈折率は、使用される光源に依拠した関連する波長を指す。
【0017】
本明細書で使用する用語「結合装置」は、導波路層に入る光、および出る光を結合する装置を意味するよう意図される。結合要素は、単一の結合要素であってよく、または例えば2つの結合要素である、導波路層に入る光を結合するためのイン結合要素、および導波路層から出る光を結合するためのアウト結合要素から構成され得る。結合装置は、導波路層に入る光の結合、および導波路層から出る光の結合に使用するのに好適な、任意のカプラを含み得る。
【0018】
本明細書で使用する用語「イン結合要素」は、導波路層の中に入る光を結合する、結合装置の部分を意味するよう意図される。イン結合要素は、導波路層の中に入る光を結合する際に使用するのに好適な、任意のインカプラを含み得る。
【0019】
本明細書で使用する用語「アウト結合要素」は、導波路層から出る光を結合する、結合装置の部分を意味するよう意図される。アウト結合要素は、導波路層から出る光を結合する際に使用するのに好適な、任意のアウトカプラを含み得る。
【0020】
本明細書で使用する用語「流体ゾーン」は、流体を収容するゾーンを意味するよう意図される。流体ゾーンは、流体フローチャネルまたは流体貯蔵器を備えるか、または流体フローチャネルまたは流体貯蔵器であってよい。このような装置は、いくつかの異なる方法で実現され得る。しかし重要なのは、相互作用されることになる流体が、フィルタ開口部においてエバネッセント場と相互作用できるよう、フィルタ層と接触可能となることである。
【0021】
本明細書で使用する用語「相互作用領域」は、流体が、導波路層を通過する光のエバネッセント場と相互作用することを可能とする領域を意味するよう意図される。したがって相互作用領域は、フィルタ開口部がこの相互作用を可能にする領域に相当する。
【0022】
本明細書で使用する用語「フィルタ開口部」は、流体が通ることができるが、規定のサイズよりも大きい粒子が通るのを防止または抑制する、フィルタ層の開口部を意味するよう意図される。フィルタ開口部は、格子を形成する、線状開口部すなわち溝として配置される。フィルタ開口部の寸法、およびフィルタ開口部同士の間の間隔は、実質的に同一か、または、さらに大きい粒子が導波路層を通過する光のエバネッセント場と相互作用するのを可能にするよう、フィルタ開口部の幅を徐々に増加させることによって、変化し得る。
【0023】
本明細書で使用する用語「粒子」は、特定の使用による様々な異なる粒子を指し得る。いくつかの実施形態において、流体内の粒子は、ある程度均一のサイズを有してよく、そのため全てはエバネッセント場との相互作用が防がれ、その一方で他の実施形態において、粒子は異なるサイズを有してよく、そのため規定のサイズよりも小さいいくらかの粒子は、エバネッセント場と相互作用可能になり得る。
【0024】
本明細書で使用する用語「伝播方向」は、導波路層内で誘導される光の方向を指すよう意図される。例えば、結合装置が、導波路層への光のイン結合、および導波路層からの光のアウト結合それぞれのための、2つの別個の結合要素を備える場合、伝播方向はイン結合要素からアウト結合要素へ向かうものとなる。
【0025】
本明細書で使用する用語「下部クラッド層」は、フィルタ層としての導波路層の反対側において、導波路層に隣接するクラッド層を意味するよう意図される。通常、下部クラッド層は、導波路層内の光の誘導を補助するため、導波路層の屈折率よりも低い屈折率を有する。
【0026】
本明細書で使用する用語「上部クラッド層」は、フィルタ層としての導波路層と同じ側において、導波路層に隣接するクラッド層を意味するよう意図される。通常、上部クラッド層は、導波路層内の光の誘導を補助するため、導波路層の屈折率よりも低い屈折率を有する。いくつかの実施形態において、上部クラッド層およびフィルタ層は同じ材料から作られる。例えば、フィルタ層は、フィルタ開口部を相互作用領域に作り出すために、導波路層の全てを覆う当初の上部クラッドの一部を取り除くことによって、形成され得る。
【0027】
本明細書で使用する用語「格子」は、回折格子、すなわち導波路層に入る光を結合できる格子、および導波路層から出る光を結合できる格子を意味するよう意図される。通常の格子は、実質的に同一、平行で、細長い要素の、任意の規則的な間隔の集積を含む。格子の間隔は、使用される光の特定の波長に適合され得る。
【0028】
本明細書で使用する用語「光閉じ込め」は、少なくとも1つの光学モードを補助するよう、導波路層を適合させることを指す。通常、光閉じ込めは、例えば一方の側で上部クラッド層、および他方の側で下部クラッド層である、隣接した層を有することによって提供され得る。これらの層は、導波路層の屈折率よりも低い屈折率を有し、導波路層における光の誘導を促進させ、それによって光閉じ込めを提供する。
【0029】
本発明の有利な実施形態によると、フィルタ開口部は、10マイクロメートル以下の線間隔、例えば5マイクロメートル以下、例えば1マイクロメートル以下、例えば800ナノメートル以下、例えば200ナノメートル以下、例えば100ナノメートル以下などの線間隔で画定される。すなわちフィルタ層は、小型化されたフィルタ層またはナノサイズのフィルタ層として理解され得る。
【0030】
本発明の実施形態によると、フィルタ開口部は、10ナノメートル〜10マイクロメートルの線間隔、例えば50ナノメートル〜5マイクロメートル、例えば100ナノメートル〜1マイクロメートルなどの線間隔によって画定される。線間隔は、フィルタ開口部の幅と称してもよい。
【0031】
本発明の実施形態によると、フィルタ開口部は実質的に同じ寸法を有する。換言すると、線間隔は、フィルタ開口部の全体にわたって実質的に等しい。
本発明の有利な実施形態によると、フィルタ層は第1の屈折率を有し、導波路層は第2の屈折率を有する。第1の屈折率は、第2の屈折率より、例えば少なくとも3パーセント低い。
【0032】
他の実施形態において、フィルタ開口部は異なる寸法を有し得る。例えば、フィルタ開口部の複数の幅が、異なる粒子サイズを濾過するために利用され得る。アウト結合された光は、例えばCCDまたはCMOSセンサなどの二次元センサによって検出され得る。一方の方向はスペクトルを解像し、他方の方向はフィルタ開口部の幅の差を解像する。
【0033】
本発明の有利な実施形態によると、上記の結合装置は、導波路層に入る光をイン結合するためのイン結合要素、および導波路層からの光をアウト結合するためのアウト結合要素を備える。
【0034】
上記の実施形態の1つの利点は、光がかなりの距離にわたって導波路層を通過可能にされ、それによって、フィルタ開口部におけるエバネッセント場を介して、吸収または励起などの流体との相互作用を可能にすることであり得る。
【0035】
本発明の有利な実施形態によると、相互作用領域は、イン結合要素とアウト結合要素との間に延びる。
上記の実施形態の1つの利点は、光がかなりの距離にわたって導波路層を通過可能にされ、それによって、フィルタ開口部におけるエバネッセント場を介して、吸収または励起などの流体との相互作用を可能にすることであり得る。
【0036】
本発明の有利な実施形態によると、相互作用領域は、イン結合要素とアウト結合要素との間に延び、さらにアウト結合要素の上に延びる。
上記の実施形態の1つの利点は、導波路層内を移動する光が、アウト結合要素にある間に、流体の屈折率による影響を受けることであり得る。換言すると、導波路層からの光のアウト結合は、流体の屈折率によって影響を受ける。流体の屈折率によって生じるこの影響を測定することによって、例えばアウト結合した光の屈曲の変化として、および/または固定位置における光の波長の変化として、屈折率の測定値が有利に得られる場合がある。この実施形態は、流体の屈折率の測定値を得るのと同時に、光の吸収または光の励起によって、エバネッセント場と流体との間の相互作用を有利に可能にする。
【0037】
格子をアウト結合要素として使用することで、流体の屈折率の測定を容易にする光の散乱を提供する。
本発明の有利な実施形態によると、上記の結合装置は、例えば相互作用領域の全体の上など、相互作用領域の少なくとも一部の上に延びる。
【0038】
上記の実施形態の1つの利点は、流体の屈折率が得られることであり得る。流体が結合装置において、すなわち光のアウト結合の位置において、光のエバネッセント場との相互作用を可能にすることによって、導波路層からの光のアウト結合は、流体の屈折率によって影響を受ける。流体の屈折率によって生じるこの影響を、例えばアウト結合した光の屈曲の変化として、および/または固定位置における光の波長の変化として測定することによって、屈折率の測定値が有利に得られる。
【0039】
格子をアウト結合要素として使用することで、流体の屈折率の測定を容易にする光の散乱を提供する。
本発明の有利な実施形態によると、アウト結合要素は格子などの分散要素を備える。
【0040】
上記の実施形態の1つの利点は、例えば格子などの分散要素が光の回折屈曲を生じさせ、それによって導波路からの光をアウト結合させることであり得る。回析屈曲は、波長に依拠して得られ、すなわち異なる波長は異なる角度で屈曲する。特に、相互作用領域が少なくとも部分的にアウト結合要素の上に延びるのを可能にする実施形態が組み合わされる場合、この利点は流体の屈折率の測定を可能にする。なぜなら分散作用すなわちアウト結合の角度が流体の屈折率によって影響を受けるからである。したがって、流体の屈折率によって生じるこの影響を、例えばアウト結合した光の屈曲の変化として、および/または固定位置における光の波長の変化として測定することによって、屈折率の測定値が有利に得られ得る。
【0041】
上記で示したように、結合装置はいくつかの実施形態において、別個のイン結合要素およびアウト結合要素を備えてよい。他の実施形態において、結合装置は、導波路層に入る光を結合すること、および導波路層から出る光を結合することの両方、すなわちイン結合要素およびアウト結合要素の両方として働く。
【0042】
代替として、アウト結合要素は、プリズムベースのアウト結合要素、または光ファイバへの直接結合であってもよい。
本発明の実施形態によると、イン結合要素は、格子、プリズム、または光ファイバへの直接結合を備える。
【0043】
本発明の実施形態によると、平面状導波路層は、上部クラッド層をさらに備える。上部クラッド層は、フィルタ層の外側の導波路層を覆い得る。いくつかの実施形態において、フィルタ層は上部クラッド層と同じ層であってもよく、フィルタ層は上部層の開口部を作り出すことによって形成され、それによって相互作用領域を形成する。通常、上部クラッド層は、導波路層よりも低い屈折率、例えば0.2単位低い屈折率を有し得る。
【0044】
本発明の実施形態によると、導波路層は、例えば少なくとも0.2単位低い屈折率など、より低い屈折率を有する下部クラッド層に堆積される。
平面状導波路デバイスは光源を備えてよく、または外部光源から光を受け取ってもよいことを理解されたい。
【0045】
本発明の有利な実施形態によると、平面状導波路層デバイスは、光源としてレーザデバイスをさらに備える。
上記の実施形態の1つの利点は、導波路層からのアウト結合における流体の屈折率による影響など、光に対する影響についての情報を得るための、アレイベースの光センサによって光の検出を可能にすることであり得る。
【0046】
本発明の有利な実施形態によると、平面状導波路層デバイスは、光源として広帯域光源をさらに備える。
上記の実施形態の1つの利点は、導波路層からのアウト結合における流体の屈折率による影響など、光に対する影響についての情報を得るための、固定位置における波長の分光測定検出を可能にすることであり得る。
【0047】
例えば、広帯域光源は、例えば400〜700ナノメートル、すなわち白光源から成る光など、可視スペクトルの全てにわたって延びる幅を有し得る。
本発明の有利な実施形態によると、平面状導波路デバイスは、CMOSセンサ、CCDセンサ、または光ダイオードアレイセンサなど、アレイベースの光センサをさらに備える。
【0048】
上記の実施形態の1つの利点は、アレイベースの光センサによる、レーザデバイスからの光の検出が、導波路層からのアウト結合における流体の屈折率による影響など、光に対する影響についての情報を与え得ることであり得る。
【0049】
この文脈において、CMOSセンサおよびCCDセンサは各々、いくつかのピクセルを備えるアレイであると考慮される。
格子などの分散要素を使用することによって、アウト結合した光はその波長成分に分離される。
【0050】
アレイベースの光線がレーザ光源と共に使用され、格子などの分散要素をアウト結合要素として使用する場合、アウト結合要素の少なくとも部分的、例えば全体を覆う相互作用領域、または全ての結合装置によって促進される、アウト結合を伴う流体の相互作用は、光のアウト結合角度を検出することによって検出することができる。
【0051】
アレイベースの光センサが広帯域光源と共に使用される場合、流体とアウト結合との間の相互作用は、光センサの特定の固定位置においてアウト結合された光の異なる波長をもたらす。したがって、光学分光計を光センサとして使用することで、アウト結合された光の検出された波長は、流体との相互作用の示度、すなわち流体の屈折率をもたらす。
【0052】
本発明の実施形態によると、平面状導波路層デバイスは、光センサとして光ダイオードをさらに備える。
本発明の有利な実施形態によると、平面状導波路層デバイスは、光センサとして光学分光計をさらに備える。
【0053】
上記の実施形態の1つの利点は、導波路層からのアウト結合における流体の屈折率による影響など、光に対する影響についての情報を得るための、固定位置における光の波長の分光測定検出であり得る。広帯域光源を使用することで、利用可能な十分な範囲の波長により、十分な範囲の屈折率を有する流体のための光学分光計によって、光の検出を可能にする。
【0054】
本発明の有利な実施形態によると、流体は血液などの液体である。
液体が血液である実施形態において、粒子は赤血球であってよく、特にそのとき平面状導波路デバイスは、溶血センサとして機能する。
【0055】
上記の実施形態の1つの利点は、溶血レベルの示度が、ヘモグロビンによって吸収された波長を用いる吸収測定によって得られることであり得る。
様々な実施形態によると、さらに考えられる液体として、例えば廃水、エンジンオイル、食材料などが挙げられる。
【0056】
本発明の有利な実施形態によると、平面状導波路層デバイスは、流体ゾーンを形成する流体フローチャネルをさらに備える。
本発明の有利な実施形態によると、流体フローチャネルはフローセルである。
【0057】
本発明の有利な実施形態によると、平面状導波路デバイスは、フィルタ層の反対側における導波路層と当接するクラッド層をさらに備える。クラッド層は、第3の屈折率を有し、この第3の屈折率は、例えば少なくとも3パーセント、第2の屈折率よりも低い。
【0058】
実施形態によると、フィルタ層は、UV硬化性ポリマー(OrmoComp)を備えるか、またはUV硬化性ポリマーから構成される。他のORMOCERポリマーも使用されてよい。さらに、SU8などのエポキシポリマー、もしくはアクリルUVレジストなど他のUV硬化性レジスト、または任意の他のナノインプリントレジストを使用してもよい。重要なことは、この材料は比較的安価で、様々な方法で形づけることができ、硬質かつ耐久性があることである。そのため材料は粒子による影響に抵抗し、流体の化学的性質に抵抗することになる。導波路層は、例えばシリコンを備えるか、またはシリコンで構成され得る。
【0059】
例えば、UVナノインプリント処理、熱インプリント処理、およびUV熱ハイブリッドインプリント処理などの様々な好適なインプリント処理など、様々な公知の方法を用いてフィルタ層を作り出してよい。
【0060】
本発明の実施形態によると、中間層が、導波路層とフィルタ層との間に介在する。中間層は、流体に対する導波路層の保護層として機能し、および/または、中間層は、流体内の特定の分子または物質の選択的な結束を促進させて、エバネッセント場との相互作用を増加させる。
【0061】
本発明はさらに、本発明による平面状導波路デバイスの使用、および溶血を検出するための、任意の使用の実施形態に関する。
溶血の示度は、血漿中の遊離ヘモグロビンの存在である。この遊離ヘモグロビンは、赤血球の破壊から生じる。この破壊は溶血として知られており、患者の状態の示度となり得る。しかし、ヘモグロビンが赤血球中にも存在するので、血漿中の残りのヘモグロビンを測定するために、赤血球は一般に、血漿から分離させる必要がある。さらに、例えば濾過中の、血液の取り扱い自体が、さらなる溶血、およびさらなる遊離ヘモグロビンをもたらし得る。測定したヘモグロビンが、患者の状態によって誘発された溶血からのヘモグロビンと、患者の状態とは無関係である別の溶血からのヘモグロビンとの両方から成るため、結果が不正確になるか、または使用に適さないことさえある。
【0062】
しかし、本発明の平面状導波路デバイスによって、遊離ヘモグロビンは、赤血球の事前濾過をすることなく、測定され得る。なぜなら赤血球はフィルタ層による相互作用から除外され、そのためより正確な結果が得られ得る。
【0063】
本発明の平面状導波路デバイスの様々な他の使用、および任意の使用の実施形態は、吸収測定、流体の屈折率の測定、および流体および/またはそれらの構成要素の励起を含み得る。
【0064】
本発明は、光を流体と相互作用させる方法にさらに関する。本方法は、導波路層に入る光を結合させるステップと、導波路層の外側のエバネッセント場を形成する導波路層内の光を誘導するステップと、誘導された光のエバネッセント場を流体と相互作用させるステップと、流体が、導波路層によって誘導された光のエバネッセント場と相互作用するのを可能にするよう配置されたフィルタ開口部を備えるフィルタ層を使用して、規定のサイズよりも大きい粒子が上記のエバネッセント場と相互作用するのを防ぐよう、流体を濾過するステップと、導波路層から出た相互作用された光を結合するステップと、を含み、上記のフィルタ開口部は、導波路層によって誘導される光の伝播方向に対して平行である長手方向を有する、線状開口部として配置されたものである。
【0065】
本発明の有利な実施形態によると、上記の方法は、アウト結合された光の少なくとも1つの特性を測定するステップをさらに含む。
本発明の有利な実施形態によると、流体は上記の規定のサイズよりも大きい粒子を備える。
【0066】
本発明の有利な実施形態によると、上記の方法は、本発明の平面状導波路デバイスまたは任意の方法の実施形態を用いて実施される。
本発明の有利な実施形態によると、平面状導波路デバイスは、本発明の方法または任意の方法の実施形態を用いて動作可能なように適合される。
【0067】
次に本発明を、図面を参照して説明する。